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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】路上発炎筒配置装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 5/40 20060101AFI20231026BHJP
   F42B 3/10 20060101ALI20231026BHJP
   F41H 9/08 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G08B5/40 F
F42B3/10
F41H9/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019183451
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021060703
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509171391
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・パトロール名古屋株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509274407
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228349
【氏名又は名称】日本カーリット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 鉱治
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 太一
(72)【発明者】
【氏名】干村 秀次
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康二
(72)【発明者】
【氏名】林 賢治
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0201372(US,A1)
【文献】特開2003-159981(JP,A)
【文献】特開2002-163731(JP,A)
【文献】特開平10-320658(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104718425(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 5/40
F42B 3/10
F41H 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の背面に並べて配置された複数の収容筒を備え、
前記収容筒は、上側開口に設けられた第一の蓋部と、下側開口に設けられた第二の蓋部を有し、
前記第一の蓋部の裏面に、スパーク式着火器が設けられ、
前記第二の蓋部は、前記スパーク式着火器に連動して前記下側開口を開放し、
前記上側開口と前記下側開口が閉鎖されたときに形成される収容空間は、着火部が上側にして配置される発炎筒を、前記着火部が前記スパーク式着火器の発する火花に触れる状態で収容し、
前記スパーク式着火器は、前記車両の内部からの操作が可能とされていることを特徴とする路上発炎筒配置装置。
【請求項2】
前記複数の収容筒の各々の下方に配置された傾斜路を備える請求項1に記載の路上発炎筒配置装置。
【請求項3】
前記車両は、後部ドアを通して荷物の出し入れが可能とされ、前記複数の収容筒は、前記車両の背面下部に支点を有する支持具に取り付けられ、前記支持具は、前記車両の走行時に起立した状態が維持され、前記後部ドアの開放時には、前記後部ドアと干渉しない状態まで傾倒可能とされている請求項1又は2に記載の路上発炎筒配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路上の進行方向前方に通行規制領域や障害物等が存在し、通常走行を行うことができない状態となった場合において、走行車両に対し注意を促すための発炎筒を着火した状態で路上に配置する路上発炎筒配置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両が高速で走行する高速道路では、走行方向前方における通行規制領域や障害物等の存在に対する認知が遅れた場合、重大な追突事故につながる可能性が極めて高い。そこで、高速道路上の進行方向前方に通行規制領域や障害物等が存在し、通常走行を行うことができない状態となった場合、走行車両に対し注意を促すための発炎筒が、その地点より手前の地点の路上に、着火された状態で配置される。そして、着火した状態の発炎筒を路上に配置するための様々な手法が提案されている。
【0003】
例えば、特開平6ー347198公報には、高速道路等において車両等に搭載された電気点火式発炎筒を点火発炎させた後、自動脱落させる、電気点火式発炎筒の点火装置が開示されている。
【0004】
また、特開2002ー163731公報には、運転席又は助手席のドアの外面に装着された発炎筒用シュータの上端部位に投入口から、着火部を下向きにして投入された発炎筒が、シュータの下端部位に具備した着火機構で着火された直後に、シュータの下端部位の排出口から路上に投下される、作業車両における発炎筒の投下装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6ー347198公報
【文献】特開2002ー163731公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、着火した状態の発炎筒を路上へ配置するための従来の手法では、発炎筒への着火を確実なものとするために、発炎筒は、着火部が下側に配置された状態で着火されている。そして、その状態のまま路上に投下されていたため、投下時の衝撃で火種が外れて消えてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、発炎筒を、確実に着火させた状態で路上へ配置することができる路上発炎筒配置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る路上発炎筒配置装置は、車両の背面に並べて配置された複数の収容筒を備える。前記収容筒は、上側開口に設けられた第一の蓋部と、下側開口に設けられた第二の蓋部を有する。前記第一の蓋部の裏面に、スパーク式着火器が設けられ、前記第二の蓋部は、前記スパーク式着火器に連動して前記下側開口を開放し、前記上側開口と前記下側開口が閉鎖されたときに形成される収容空間は、着火部が上側にして配置される発炎筒を、前記着火部が前記スパーク式着火器の発する火花に触れる状態で収容する。そして、前記スパーク式着火器は、前記車両の内部からの操作が可能とされている。
【0009】
なお、本発明において、スパーク式着火器とは、放電により生じる火花を利用して、対象物に着火させるものである。
【0010】
本発明に係る路上発炎筒配置装置は、前記複数の収容筒の各々の下方に配置された傾斜路を備えるものであってもよい。
【0011】
また、前記車両は、後部ドアを通して荷物の出し入れが可能とされ、前記複数の収容筒は、前記車両の背面下部に支点を有する支持具に取り付けられ、前記支持具は、前記車両の走行時に起立した状態が維持され、前記後部ドアの開放時には、前記後部ドアと干渉しない状態まで傾倒可能とされているものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発炎筒の着火にスパーク式着火器の発する火花を利用するため、着火部が上側にして配置された状態にある発炎筒に確実に着火させることができる。また、上側に配置された着火部に着火された状態にある発炎筒は、第二の蓋部がスパーク式着火器と連動して開放する収容筒の下側開口から、着火部と反対側の底部を先頭として排出されるため、路上投下時の衝撃で火種が外れて消えるおそれがない。従って、発炎筒を、確実に着火させて状態で路上へ配置することができる。
【0013】
また、複数の収容筒の各々の下方に配置された傾斜路を備えるものであれば、収容筒から排出された発炎筒が傾斜路を介して傾斜した状態で路面に導かれるため、着火させた状態をより確実に保つことができる。
【0014】
更に、複数の収容筒が、車両の背面下方に支点を有する支持具に取り付けられ、支持具が、車両の走行時に起立した状態が維持され、後部ドアの開放時には後部ドアと干渉しない状態まで傾倒可能とされたものであれば、巡回車として広く採用されている、後部ドアを通して荷物の出し入れが可能とされた車両にも搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る路上発炎筒配置装置が車両に搭載された状態を示す側面図である。
図2】路上発炎筒配置装置が搭載されている車両後部を拡大して示す平面図である。
図3】路上発炎筒配置装置が傾倒されている状態にある車両後部を拡大して示す側面図である。
図4】路上発炎筒配置装置が傾倒されている状態にある車両後部を拡大して示す平面図である。
図5】発炎筒を収容した状態にある収容筒の縦断面図である。
図6】上側開口が開放された状態にある収容筒の縦断面図である。
図7】下側開口が開放された状態にある収容筒の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~7を参照しながら、本発明に係る路上発炎筒配置装置の実施形態について説明する。
この実施形態の路上発炎筒配置装置1は、後部ドア3を通して荷物の出し入れが可能とされた車両2に装備されたもので、車両2の背面下部に基端が固定された支持具11に、複数の収容筒12が、車両2の車幅方向に並べて取り付けられている。なお、この実施形態では、三個の収容筒12が取り付けられているが、その数に制限は無く、使用状況等に応じて適宜決めればよい。
【0017】
支持具11は、図4に示すように、平行に配置した一対の棒材の両端を連結して構成され、収容筒12は、これら棒材に上部と下部が支持される形で取り付けられている。
【0018】
支持具11は、また、車両2に設けられたヒッチメンバー13に対し、収容筒12の取り付けられていない側から延出する連結部14を介して固定されている。連結部14は支持具11に取り付けられる第一部材とヒッチメンバー13に取り付けられる第二部材を、支軸を介して連結し構成したもので、第一部材と第二部材が支軸を中心として自在に屈曲するものとなっている。そして、支持具11は、連結部14の支軸が配置されて位置を支点とし、車両2の走行時には、図1及び図2に示す起立状態とし、後部ドア3の開放時には、図3及び図4に示す、後部ドア3と干渉しない位置まで傾倒した状態とすることが可能となっている。
【0019】
収容筒12は、発炎筒15を一本収容するための空間を有する筒体で構成した収容部21と、収容部21の上側開口に設けられた第一の蓋部22と、下側開口に設けられた第二の蓋部23を有している。
【0020】
第一の蓋部22は、収容部21に対しヒンジ24を介し取り付けられている。また、ヒンジ24を介して取り付けられた部位に向かい合う側の部位は、係止具25を介し、収容部21に対し接離自在に固定されている。そして、係止具25の係止状態を解除することにより、図6に示すように、上側開口を開放できるものとなっている。
【0021】
更に、第一の裏面には、スパーク式着火器26が設けられている。そして、上側開口と下側開口が閉鎖されたときに形成される収容空間27は、着火部が上側にして配置される発炎筒15を、その着火部がスパーク式着火器26の発する火花に触れる状態で収容するものとなっている。
【0022】
スパーク式着火器26は、電気信号により起動するものとされ、車両2の内部に配置された図示しない起動スイッチに結線されている。すなわち、車両2の内部からの操作が可能とされている。
【0023】
この実施形態において、スパーク式着火器26には、公知のプラズマライターが転用されている。ただし、放電により生じる火花を利用して対象物に着火させるもので、電気信号等による遠隔制御ができるものあれば、他の公知の機構を使用してもよい。
【0024】
第二の蓋部23も、第一の蓋部22と同様に、収容部21に対しヒンジ24を介し取り付けられている。また、ヒンジ24を介して取り付けられた部位に向かい合う側の部位は、係止具28を介し、収容部21に対し接離自在に固定されている。そして、係止具28の係止状態を解除することにより、図7に示すように、下側開口を開放できるものとなっている。
【0025】
第一の蓋部22の係止具25は、その係止状態と係止解除状態を、手動で切り替えるものとなっている。そして、発炎筒15を装填する場合は、装填作業を行う者が自らの手で係止具25を係止解除状態とし、発炎筒15を収容部21の内部に装填した後、自らの手で上側開口を第一の蓋部22で閉じ、係止具25を係止状態に切り替えるものとなっている。
【0026】
これに対し、第二の蓋部23の係止具28は、モータ29によって、係止状態から係止解除状態への切り替えがなされるものとなっている。モータ29は、スパーク式着火器26に結線されている。そして、スパーク式着火器26から出力される動作信号を受けて作動し、係止具28を係止解除状態とするものとなっている。すなわち、第二の蓋部23は、スパーク式着火器26に連動して下側開口を開放するものとなっている。
【0027】
モータ29は、係止具28を操作できるものであればよい。この実施形態では、係止具28として、第二の蓋部23の一部に引っ掛かる係止部材を摺動させることで、第二の蓋部23の収容部21に対する係止状態を解除するものとなっている。従って、モータ29は、係止部材を所定の短い距離だけ摺動させるものであればよく、公知の小型モータを採用することができる。
【0028】
なお、モータ29として小型モータを採用する場合、第二の蓋部23を操作することは難しい。従って、下側開口を開放した状態にある第二の蓋部23は、発炎筒15を路上に配置する作業が完了した後、車両2を停車させ、下側開口を閉鎖した状態に作業者の手で戻すものとする。
【0029】
収容筒12の下方には、傾斜路30が配置されている。なお、この実施形態の傾斜路30は、収容筒12に対し、着脱可能とされている。図1~4に示されている収容筒12は、傾斜路30が取り付けられていない状態のものである。
【符号の説明】
【0030】
1 路上発炎筒配置装置
2 車両
3 後部ドア
11 支持具
12 収容筒
13 ヒッチメンバー
14 連結部
15 発炎筒
21 収容部
22 第一の蓋部
23 第二の蓋部
24 ヒンジ
25、28 係止具
26 スパーク式着火器
27 収容空間
29 モータ
30 傾斜路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7