(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】食材盛付装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20231026BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20231026BHJP
G07F 13/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A23L7/10 E
A23L35/00
G07F13/06 Z
(21)【出願番号】P 2019178721
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 商談場所 株式会社ローソン本社(東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー)他 別紙記載の2カ所 商談日 平成31年3月1日 他 別紙記載の6日 商談先 株式会社ローソン
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】沢田 泰功
(72)【発明者】
【氏名】杉野 健太
(72)【発明者】
【氏名】大澤 賢明
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-065250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
G07F 13/00-13/10
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯を落下供給する米飯供給装置と、
前記米飯供給装置に隣接して設置され、
計量機構で設定量に計量された所定の具材を落下供給する複数台の具材供給装置と、
前記具材供給装置からの具材の落下経路を開閉
し、閉鎖位置において具材の落下供給後に前記具材供給装置に残留した具材の垂れを受けるシャッタ装置と、
前記米飯供給装置の米飯落下位置および前記具材供給装置の具材落下位置を通るように容器を搬送する搬送装置と、
容器に盛り付けられる米飯および具材を入力する入力手段と、
前記米飯落下位置および前記具材落下位置で前記搬送装置による容器の搬送を停止しながら当該容器に前記入力手段の入力内容に沿った米飯および具材を盛り付けるとともに、具材供給時以外は前記落下経路を閉鎖するよう前記シャッタ装置の動作を制御する制御手段と、
を有する
ことを特徴とする食材盛付装置。
【請求項2】
前記シャッタ装置は、
垂れた残留具材を受ける具材受けトレイを備えた可動部、および前記可動部を介して前記具材受けトレイを前記落下経路に対して進退移動させる駆動部を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の食材盛付装置。
【請求項3】
前記具材受けトレイは、前記可動部に対して着脱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の食材盛付装置。
【請求項4】
前記入力手段は、
容器に盛り付けられる米飯および具材の内容を設定する設定部、
または容器に盛り付けられる米飯および具材の情報が記録された記録媒体を読み込む読込部である、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の食材盛付装置。
【請求項5】
前記搬送装置は、
容器を載せて走行する走行テーブル、走行テーブルの走行を案内するガイドレール、および前記ガイドレールに沿って走行テーブルを走行させる走行用モータを備える、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の食材盛付装置。
【請求項6】
前記ガイドレールおよび前記走行用モータは、前記走行テーブルの走行領域の側方に配置されている、
ことを特徴とする請求項5記載の食材盛付装置。
【請求項7】
前記米飯供給装置、複数台の前記具材供給装置および前記搬送装置が格納された筐体と、
前記筐体に設けられ、空の容器を前記搬送装置の前記米飯落下位置に設置するとともに、米飯および具材が盛り付けられた容器を取り出す容器出入口とを備え、
前記制御手段は、前記容器出入口を始点および終点に容器を往復搬送するように前記搬送装置の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の食材盛付装置。
【請求項8】
前記米飯供給装置、複数台の前記具材供給装置および前記搬送装置が格納された筐体と、
前記筐体に設けられ、空の容器を前記搬送装置の前記米飯落下位置に設置する投入口と、
前記筐体に設けられ、米飯および具材が盛り付けられた容器を取り出す取出口とを備え、
前記制御手段は、前記投入口から前記取出口へと容器を片道搬送するように前記搬送装置の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の食材盛付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材盛付装置に関し、特に容器に米飯と具材とを盛り付ける食材盛付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、ホテルのバイキングやコンビニエンスストアのセルフサービスでカレーライスや中華丼などのように一つの容器に米飯と具材とが盛り付けられた料理を食べようとした場合は、米飯供給装置で米飯を盛り付けた後、具材供給装置の設置場所まで移動してカレーライスなどの具材を盛り付けていた。すなわち、米飯の盛り付けと具材の盛り付けとを、それぞれ異なる場所で、異なる装置の操作で行っていた。
【0003】
なお、米飯の上に具材を供給する技術については、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の技術によれば、米飯供給装置と具材供給装置とが別々のメーカで製造されている場合が多いために表示形式や操作方法に統一性がなく、操作に手間取ったり誤操作するおそれがある。
【0006】
また、具材供給装置の具材供給口から残留具材の垂れが発生し、容器の縁に付着することがある。これは、具材供給装置により盛付動作を自動で行った場合、人の手で盛り付けを行った場合のようにどの段階で具材の垂れが発生しているのかが確認できないからである。そして、具材供給装置を複数台設置しているに場合は、装置の動作状態や容器を運ぶタイミングによっては垂れ落ちた具材が違う具材に混ざってしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、米飯の盛付操作と具材の盛付操作とを簡便に行うことのできる食材盛付装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、具材供給装置における残留具材の垂れを防止できる食材盛付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の食材盛付装置は、米飯を落下供給する米飯供給装置と、前記米飯供給装置に隣接して設置され、計量機構で設定量に計量された所定の具材を落下供給する複数台の具材供給装置と、前記具材供給装置からの具材の落下経路を開閉し、閉鎖位において具材の落下供給後に前記具材供給装置に残留した具材の垂れを受けるシャッタ装置と、前記米飯供給装置の米飯落下位置および前記具材供給装置の具材落下位置を通るように容器を搬送する搬送装置と、容器に盛り付けられる米飯および具材を入力する入力手段と、前記米飯落下位置および前記具材落下位置で前記搬送装置による容器の搬送を停止しながら当該容器に前記入力手段の入力内容に沿った米飯および具材を盛り付けるとともに、具材供給時以外は前記落下経路を閉鎖するよう前記シャッタ装置の動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記シャッタ装置は、垂れた残留具材を受ける具材受けトレイを備えた可動部、および前記可動部を介して前記具材受けトレイを前記落下経路に対して進退移動させる駆動部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項2に記載の発明において、前記具材受けトレイは、前記可動部に対して着脱可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記入力手段は、容器に盛り付けられる米飯および具材の内容を設定する設定部、または容器に盛り付けられる米飯および具材の情報が記録された記録媒体を読み込む読込部である、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記搬送装置は、容器を載せて走行する走行テーブル、走行テーブルの走行を案内するガイドレール、および前記ガイドレールに沿って走行テーブルを走行させる走行用モータを備える、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項5に記載の発明において、前記ガイドレールおよび前記走行用モータは、前記走行テーブルの走行領域の側方に配置されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記米飯供給装置、複数台の前記具材供給装置および前記搬送装置が格納された筐体と、前記筐体に設けられ、空の容器を前記搬送装置の前記米飯落下位置に設置するとともに、米飯および具材が盛り付けられた容器を取り出す容器出入口とを備え、前記制御手段は、前記容器出入口を始点および終点に容器を往復搬送するように前記搬送装置の動作を制御する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の本発明の食材盛付装置は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記米飯供給装置、複数台の前記具材供給装置および前記搬送装置が格納された筐体と、前記筐体に設けられ、空の容器を前記搬送装置の前記米飯落下位置に設置する投入口と、前記筐体に設けられ、米飯および具材が盛り付けられた容器を取り出す取出口とを備え、前記制御手段は、前記投入口から前記取出口へと容器を片道搬送するように前記搬送装置の動作を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、米飯供給装置と複数台の具材供給装置とが互いに隣接して設置され、米飯供給装置の米飯落下位置および具材供給装置の具材落下位置を通るように容器を搬送する搬送装置が設けられ、米飯落下位置および具材落下位置で搬送装置による容器の搬送を停止しながら入力手段の入力内容に沿った米飯および具材を容器に盛り付けるようにしている。これにより、入力手段への入力操作だけで容器に米飯と具材とが自動的に盛り付けられるので、米飯の盛付操作と具材の盛付操作とを簡便に行うことが可能になる。
【0018】
また、本発明によれば、具材供給装置からの具材の落下経路を開閉するシャッタ装置が設けられ、具材供給装置から容器に具材を落下供給するときには落下経路を開放し、それ以外のときには落下経路を閉鎖するようにしているので、具材供給装置に残留した具材の垂れを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態である食材盛付装置について筐体を開いた状態で示す斜視図である。
【
図2】
図1の食材盛付装置の容器出入口を閉じた状態の正面図である。
【
図3】
図1の食材盛付装置の容器出入口を開いた状態の正面図である。
【
図4】
図1の食材盛付装置に設けられた液晶タッチパネルの表示デザインを示す図面である。
【
図5】
図1の食材盛付装置の内部構造を、走行テーブルが米飯落下位置にあるときで示す斜視図である。
【
図6】
図5において搬送装置周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図1の食材盛付装置における容器の搬送経路(往路)を示す正面図である。
【
図8】
図1の食材盛付装置に設けられたシャッタ装置において具材受けトレイが前進移動した状態での斜視図である。
【
図9】
図1の食材盛付装置において前進移動した具材受けトレイと具材供給装置の供給口との位置関係を示す説明図である。
【
図10】
図1の食材盛付装置の内部構造を、走行テーブルが第2の具材供給装置の具材落下位置にあるときで示す斜視図である。
【
図11】
図10において搬送装置周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図12】
図1の食材盛付装置における容器の搬送経路(復路)を示す正面図である。
【
図13】
図1の食材盛付装置に設けられたシャッタ装置において具材受けトレイが後退移動した状態での斜視図である。
【
図14】
図1の食材盛付装置において後退移動した具材受けトレイと具材供給装置の供給口との位置関係を示す説明図である。
【
図15】
図1の食材盛付装置の制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1~
図3に示すように、食材盛付装置Mは、米飯を落下供給する米飯供給装置10、例えばカレーライス(具材)を落下供給する第1の具材供給装置11a(具材供給装置11)、例えばスパイシーキーマカレー(具材)を落下供給する第2の具材供給装置11b(具材供給装置11)が相互に隣接して横並びで設置されている。また、米飯供給装置10の米飯落下位置、第1の具材供給装置11aの具材落下位置および第2の具材供給装置11bの具材落下位置を通るように容器Tを搬送する搬送装置12が設けられている(
図7、
図12参照)。そして、これらの装置10,11a,11b,12は、筐体13に格納されて一体化されている。
【0022】
米飯供給装置10ならびに第1および第2の具材供給装置11a,11bには、米飯や具材の重量を計量する計量機構(図示せず)が内部に設けられており、後述する液晶タッチパネル13a-1において設定された量が計量機構で計量されて供給口10-1,11a-1,11b-1から落下供給される。
【0023】
ここで、具材供給装置11は複数台設置されていればよく、本実施の形態のように2台ではなく、3台以上であってもよい。また、各具材供給装置11から供給される具材は本実施の形態に示すものに限定されず、自由に決定することができる。一例を挙げると、同一ジャンルの具材(カレーライスとスパイシーキーマカレー、甘口カレーライスと辛口カレーライスなど)、異なるジャンルの具材(カレーライスと牛丼など)、あるいはこれらの組み合わせなどが考えられる。さらに、具材は固形ではなく、液体の具材と液体の具材(玉子スープと味噌汁など)でもよく、固形の具材と液体の具材(牛丼と味噌汁など)でもよい。また、米飯供給装置10と複数台の具材供給装置11との並び順は本実施の形態以外でもよく、例えば、第1の具材供給装置11aと第2の具材供給装置11bとの間に米飯供給装置10が設置されていてもよい。
【0024】
筐体13には、米飯供給装置10の前面に位置して設定部(入力手段)の一例である液晶タッチパネル13a-1が設けられた開閉可能な米飯部扉13aと、第1および第2の具材供給装置11a,11bの前面に位置する開閉可能な具材部扉13bが備えられている。そして、米飯部扉13aや具材部扉13bを開いて米飯供給装置10や第1および第2の具材供給装置11a,11bの前面に設けられたパネル10-2,11a-2,11b-2を視認、操作することにより、米飯や具材の残量確認、保温温度の設定などができるようになっている。なお、米飯や具材の保温は、IH(Induction Heating)ヒータや電熱線ヒータなどで行われる。
【0025】
筐体13の天板13cも開閉可能になっており、当該天板13cならびに前述の米飯部扉13aや具材部扉13bを開き、さらに米飯供給装置10や第1および第2の具材供給装置11a,11bの上蓋10-3,11a-3,11b-3を開くことで、米飯や具材が投入されるようになっている。
【0026】
また、筐体13には、空の容器Tを搬送装置12に設置し、米飯および具材の盛り付けが終了した容器Tを搬送装置12から取り出すための容器出入口13d-1を開閉する容器用扉13dが設けられている。
【0027】
本実施の形態の液晶タッチパネル13a-1は、
図4に示すように、需要者が容器Tに盛り付けられる米飯および具材を入力するためのもので、本実施の形態では、米飯(ごはん)の量(普通・大盛)、具材の種類(カレーライス・スパイシーキーマカレー)およびその量(普通・大盛)の設定が行えるようになっている。なお、液晶タッチパネル13a-1は
図4に示すデザインに限定されないのはもちろんであるが、入力手段としての設定部は液晶タッチパネル13a-1に限定されるものではない。つまり、容器に盛り付けられる米飯および具材の内容について需要者により設定が可能になっていれば足り、例えば、ボタン式などであってもよい。
【0028】
【0029】
これらの図面において、搬送装置12は、容器Tを載せてスライド走行する走行テーブル12a、走行テーブル12aの走行を案内するガイドレール12b、およびガイドレール12bに沿って走行テーブル12aを走行させる走行用モータ12cを備えている。また、走行テーブル12aの待機位置(始点および終点)は、容器出入口13d-1(つまり、米飯供給装置10の米飯落下位置)となっている。なお、本実施の形態において、走行用モータ12cには、モータの回転角を捕捉して走行テーブル12aの位置決め(米飯供給装置10の米飯落下位置、第1の具材供給装置11aの具材落下位置および第2の具材供給装置11bの具材落下位置の位置決め)制御を行うことが可能なブラシレスモータが用いられている。
【0030】
走行テーブル12aはガイドレール12bに沿って走行可能な支持アーム12dに支持されている。この支持アーム12dは、走行用モータ12cの回転軸12caと図示しない従動ローラとに掛け渡されて周回する無端状ベルト12eに取り付けられている。また、走行用モータ12cは正逆2方向に回転するようになっている。
【0031】
したがって、走行用モータ12cが回転(正逆転)して無端状ベルト12eが周回すると、当該無端状ベルト12eに取り付けられた支持アーム12dがガイドレール12bに沿って走行する。これにより、支持アーム12dに支持された走行テーブル12a(つまり、容器を載せた走行テーブル12a)が、米飯供給装置10の米飯落下位置から第1の具材供給装置11aの具材落下位置を通って第2の具材供給装置11bの具材落下位置に至り、そこから折り返して再び米飯供給装置10の米飯落下位置に戻るように走行する。
【0032】
なお、ガイドレール12bや走行用モータ12cなどは走行テーブル12aの走行領域の側方に配置されており、両者の間には区画壁12fが設けられて、駆動系に食材が予期せずに入り込むことがないようになっている。区画壁12fには、支持アーム12dが貫通する長孔12faが当該支持アーム12dの走行方向に沿って形成されている。そして、支持アーム12dは、区画壁12fを挟んだ一方側が無端状ベルト12eに取り付けられるとともにガイドレール12bに沿って走行可能に嵌め込まれており、他方側が走行テーブル12aを支持している。
【0033】
さて、前述のように、第1の具材供給装置11aおよび第2の具材供給装置11bには、具材を容器Tに落下供給するための供給口11a-1,11b-1が設けられている。そして、
図1、
図5~
図8、
図10~
図13に示すように、当該供給口11a-1,11b-1からの具材の落下経路を開閉するシャッタ装置11a-4,11b-4が設けられている。
【0034】
このシャッタ装置11a-4,11b-4は、具材受けトレイSaが具材の落下経路に対して進退移動することで当該落下経路を開閉する構造となっている。具体的には、
図8および
図13に示すように、具材受けトレイSaを備えた可動部Sbと、可動部Sbを介して具材受けトレイSaを落下経路に対して進退移動させる駆動部Scとを備えている。また、可動部Sbは、図示しない規制レールに嵌め込まれており、具材受けトレイSaを進退移動させる方向にのみ移動可能になっている。駆動部Scは、シャッタ用モータSm(Sma、Smb)と、シャッタ用モータSmの回転軸に垂直に取り付けられて水平方向に回転するアームSc-1と、一端がアームに回転自在に取り付けられるとともに他端が可動部Sbに回転自在に取り付けられた連結棒Sc-2とからなる。
【0035】
なお、
図8、
図13および後述する
図15において、符号Smaは第1の具材供給装置11aのシャッタ装置11a-4に設けられたシャッタ用モータ、符号Smbは第2の具材供給装置11bのシャッタ装置11b-4に設けられたシャッタ用モータを示している。
【0036】
このようなシャッタ装置11a-4,11b-4によれば、シャッタ用モータSmによりアームSc-1が水平方向に回転すると、連結棒Sc-2におけるアームSc-1との取付位置がシャッタ用モータSmの回転軸を中心に円運動する。そして、可動部Sbは具材受けトレイSaを進退移動させる方向にのみ移動可能になっていることから、このような円運動により、連結棒Sc-2における可動部Sbとの取付位置は直線往復運動して具材受けトレイSaが進退移動する。
【0037】
図8では、具材受けトレイSaが前進移動した位置、つまり具材の落下経路を閉鎖した位置のシャッタ装置11a-4,11b-4を示している。また、
図13では、具材受けトレイSaが後退移動した位置、つまり具材の落下経路を開放した位置のシャッタ装置11a-4,11b-4を示している。
【0038】
なお、図示するように、具材受けトレイSaの外周縁は壁になっており、受けた具材の落下や液体成分の漏れ出しが防止されている。さらに、具材受けトレイSaは、可動部Sbに対して着脱可能に取り付けられている。これにより、具材受けトレイSaを直接取り外して具材を廃棄し、当該具材受けトレイSaを掃除することが可能になる。
【0039】
本実施の形態の食材盛付装置Mの制御系について、
図15を用いて説明する。
【0040】
図示するように、食材盛付装置Mには、液晶タッチパネル13a-1で入力された内容を受けて、米飯供給装置10、第1の具材供給装置11a、第2の具材供給装置11b、走行用モータ12c、シャッタ用モータSmaおよびシャッタ用モータSmbの動作を制御する制御部(制御手段)14が備えられている。
【0041】
具体的には、走行用モータ12cを回転させて走行テーブル12aをスライド走行させて容器を搬送し、走行用モータ12cの回転角を捕捉して米飯供給装置10の米飯落下位置、第1の具材供給装置11aの具材落下位置および第2の具材供給装置11bの具材落下位置で走行テーブル12aを停止(換言すれば、容器Tの搬送を停止)させながら、液晶タッチパネル13a-1の入力内容に沿った米飯および具材を容器Tに盛り付ける(供給する)。また、シャッタ用モータSmaおよびシャッタ用モータSmbを回転させることで、第1の具材供給装置11aや第2の具材供給装置11bから具材が落下供給されないときには可動部Sbを介して具材受けトレイSaを前進移動させて具材の落下経路を閉鎖し、具材が供給されるときには具材受けトレイSaを後退移動させて具材の落下経路を開放する。
【0042】
次に、本実施の形態の食材盛付装置Mの動作について説明する。
【0043】
最初に、容器出入口13d-1を開けて容器出入口13d-1に待機している走行テーブル12aに空の容器Tを載せ、容器出入口13d-1を閉める。
【0044】
次いで、液晶タッチパネル13a-1を操作して、米飯(ごはん)の量および具材の種類と量とを入力し、パネル上の「スタート」表示を押す。ここでは、一例として、米飯の量が普通で、具材として普通の量のスパイシーキーマカレーが入力されたものとする。なお、前述のように、スパイシーキーマカレーは第2の具材供給装置11bから供給される。
【0045】
以上の操作により、制御部14による制御の下で装置の盛付動作が始まる。
【0046】
最初に、
図5~
図7に示すように、走行テーブル12aの待機位置つまり米飯供給装置10の米飯落下位置で容器Tに普通量の米飯が盛り付けられる。図示するように、この状態では、第1の具材供給装置11aおよび第2の具材供給装置11bのシャッタ装置11a-4,11b-4は、何れも具材受けトレイSaが前進移動して(
図8参照)、具材の落下経路を閉鎖した位置となっている(
図9参照)。
【0047】
次いで、走行用モータ12cが回転して、容器Tを載せた走行テーブル12aがスライド走行し、カレーライスが供給される第1の具材供給装置11aの具材落下位置を通過し、スパイシーキーマカレーが供給される第2の具材供給装置11bの具材落下位置で停止する。このとき、この盛り付けの前に第1の具材供給装置11aでカレーライスが盛り付けられていたとしても、第1の具材供給装置11aのシャッタ装置11a-4の具材受けトレイSaは前進移動して具材の落下経路を閉塞しているので、第1の具材供給装置11aの供給口11a-1に残留していたカレーライスが予期せずに落下して容器Tに付着したりスパイシーキーマカレーに混ざることがない。
【0048】
さて、容器Tを載せた走行テーブル12aが第2の具材供給装置11bの具材落下位置で停止したならば、
図10~
図12に示すように、その直後にシャッタ用モータSmbが回転して第2の具材供給装置11bのシャッタ装置11b-4の具材受けトレイSaが後退移動して(
図13参照)、具材の落下経路が開放される(
図14参照)。そして、米飯の隣に、第2の具材供給装置11bから普通量のスパイシーキーマカレーが落下供給される。
【0049】
このようにして容器Tにスパイシーキーマカレーが盛り付けられたならば、シャッタ用モータSmbが回転して第2の具材供給装置11bのシャッタ装置11b-4の具材受けトレイSaが前進移動して、再び具材の落下経路が閉鎖される。その後、走行用モータ12cが逆回転して容器Tを載せた走行テーブル12aが逆方向にスライド走行し、容器出入口13d-1である待機位置に戻る。そして、容器出入口13d-1を開けて、通量の米飯の隣に普通量のスパイシーキーマカレーが盛り付けられた容器Tを取り出す。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、米飯供給装置10と複数台(本実施の形態では2台)の具材供給装置11とが互いに隣接して設置され、米飯供給装置10の米飯落下位置および具材供給装置11の具材落下位置を通るように容器Tを搬送する搬送装置12が設けられ、米飯落下位置および具材落下位置で搬送装置12による容器Tの搬送を停止しながら液晶タッチパネル13a-1の入力内容に沿った米飯および具材を容器Tに盛り付けるようにしているので、液晶タッチパネル13a-1への入力操作だけで容器Tに米飯と具材とが自動的に盛り付けられるので、米飯の盛付操作と具材の盛付操作とを簡便に行うことが可能になる。
【0051】
また、具材供給装置11からの具材の落下経路を開閉するシャッタ装置11a-4,11b-4が設けられ、具材供給装置11から容器Tに具材を落下供給するときには落下経路を開放し、それ以外のときには落下経路を閉鎖するようにしているので、具材供給装置11に残留した具材の垂れを防止することが可能になる。これにより、垂れ落ちた具材が違う具材に混ざってしまうことがなくなる。
【0052】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、入力手段としては、液晶タッチパネル13a-1などのような設定部に限定されるものではなく、容器Tに盛り付けられる米飯および具材について入力可能な手段であれば、様々なものを適用することができる。一例を挙げると、事前に会計を行うシステムを採用し、その際、容器に盛り付けられる米飯および具材の量や種類についての情報が記録された記録媒体(例えば磁気カードや二次元コードなど)を発行するようにしておく。そして、食材盛付装置Mには、入力手段として、この記録媒体を読み込む読込部を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、筐体13に設けられた容器出入口13d-1を始点および終点に容器Tを往復搬送しており、当該容器出入口13d-1は、空の容器Tを搬送装置12に設置し、盛り付けが終了した容器Tを取り出すための場所となっている。しかしながら、筐体13に、空の容器Tを搬送装置12に設置する投入口と、盛り付けが終了した容器Tを取り出す取出口とを設け、投入口から取出口へと容器Tを片道搬送するように制御部14が搬送装置12の動作を制御するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態における米飯供給装置10の米飯落下位置は、容器出入口13d-1から容器Tを入れた走行テーブル12aの待機位置となっているが、両者は異なる位置であってもよい。
【0056】
また、搬送装置12についても本実施の形態に示す構造に限定されるものではなく、例えば無端状ベルトが周回するベルト搬送形式などを採用してもよい。
【0057】
また、具材としては、液体と液体あるいは固形と液体でもよいことは既に述べたが、固形と固形あるいは液体と液体では、何れか一つの具材が選択されると考えられる。しなしながら、固形の具材と液体の具材とでは両方の具材が選択される場合がある。したがって、複数の具材供給装置においては、具材が選択的に供給される場合もあるが、両方の具材供給装置から具材が供給される場合もある。
【0058】
また、本実施の形態では、米飯の隣に具材が盛り付けられるトレイ型の容器Tとなっているが、具材は米飯の上に盛り付けるようにしてもよく、容器Tは丼型などであってもよい。なお、容器Tの形状が変わった場合は、必要に応じて、容器Tを載せる走行テーブル12aを変更すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、容器に米飯と具材とを盛り付ける(落下供給する)様々な食材盛付装置に適用が可能であり、具材の種類については特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 米飯供給装置
10-1 供給口
11,11a,11b 具材供給装置
11a-1,11b-1 供給口
11a-4,11b-4 シャッタ装置
12 搬送装置
12a 走行テーブル
12b ガイドレール
12c 走行用モータ
12d 支持アーム
12e 無端状ベルト
12f 区画壁
13 筐体
13a 米飯部扉
13a-1 液晶タッチパネル(設定部・入力手段)
13b 具材部扉
13c 天板
13d 容器用扉
13d-1 容器出入口
14 制御部(制御手段)
M 食材盛付装置
Sa 具材受けトレイ
Sb 可動部
Sc 駆動部
Sc-1 アーム
Sc-2 連結棒
Sm,Sma,Smb シャッタ用モータ
T 容器