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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20231026BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B60P1/44 E
B60R16/02 623P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019107121
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020199834
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-254974(JP,A)
【文献】特許第4020724(JP,B2)
【文献】実開平05-003287(JP,U)
【文献】特開2010-188985(JP,A)
【文献】特許第5490484(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0138181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面には荷物を積載可能であり、裏面には展開時における車両前後方向に延びた形態のスチフナを一体的に有し、車体に対して回動する荷受台と、
前記荷受台に回動可能に連結され、前記荷受台を昇降させる昇降機構と、
前記スチフナの内部に配置され、前記スチフナと前記昇降機構とに連結され、作動油の出し入れにより伸縮して前記荷受台を回動させるチルトシリンダと、
作動油を前記チルトシリンダに送出する油圧駆動機構と、
前記油圧駆動機構と前記チルトシリンダとを結び、前記スチフナの内部に配置された油圧配管と、
前記荷受台に備えられた電気機器に接続され、一部が前記スチフナの内部に配置された電気配線と、を備え、
前記電気配線のうち、前記スチフナの内部において前記チルトシリンダに隣接する部分が、前記油圧配管に固縛されており、
前記荷受台は、前記裏面に車幅方向に並列した一対の前記スチフナを有し、
各スチフナの内部には、前記チルトシリンダが配置され、
前記油圧配管は、前記油圧駆動機構と各チルトシリンダとを結び、前記各スチフナの内部に配置された、可撓性を有する油圧ホースであり、
前記油圧ホースは、前記油圧駆動機構から前記一対のスチフナのうち一方のスチフナに導入され、前記一対のスチフナのうち他方のスチフナ内部に配置された前記チルトシリンダに接続され、
前記電気配線は、前記油圧ホースにおける前記一方のスチフナから前記他方のスチフナまでの区間に固縛されたことを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物車両等に装着された荷受台を昇降させるために用いる荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置として、例えば特許文献1に、荷受台裏面に設けられたスチフナの内部にチルトシリンダが配置されており、電気配線をスチフナの内部に通す構成が開示されている。
【0003】
スチフナの内部にはチルトシリンダが配置されている。このため、チルトシリンダの側方に電気配線を通すと、例えば荷受台が移動する際に電気配線が揺れてチルトシリンダに絡まってしまう可能性がある。そうなった場合、チルトシリンダが伸縮する際に動くと、電気配線が断線してしまう恐れがある。
【0004】
前記電気配線が断線してしまうことへの対策として、スチフナの内面のうちチルトシリンダの側方部分に、電気配線を固定するための固定具を設けることが考えられる。しかしこの構成では、固定具がスチフナの内面から突出してしまう。すると、固定具が伸縮の際に動くチルトシリンダと干渉して、チルトシリンダが損傷してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4020724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、電気配線の断線やチルトシリンダの損傷が発生することを抑制した荷受台昇降装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面には荷物を積載可能であり、裏面には展開時における車両前後方向に延びるスチフナを有し、車体に対して回動する荷受台と、前記荷受台に回動可能に連結され、前記荷受台を昇降させる昇降機構と、前記スチフナの内部に配置され、前記スチフナと前記昇降機構とに連結され、作動油の出し入れにより伸縮して前記荷受台を回動させるチルトシリンダと、作動油を前記チルトシリンダに送出する油圧駆動機構と、前記油圧駆動機構と前記チルトシリンダとを結び、前記スチフナの内部に配置された油圧配管と、前記荷受台に備えられた電気機器に接続され、一部が前記スチフナの内部に配置された電気配線と、を備え、前記電気配線のうち、前記スチフナの内部において前記チルトシリンダに隣接する部分が、前記油圧配管に固縛されたことを特徴とする荷受台昇降装置である。
【0008】
前記構成によれば、チルトシリンダに隣接する電気配線の揺れを抑制できる。そして、電気配線を固定する目的のために、スチフナの内部におけるチルトシリンダの近傍に突出物を設ける必要がないので、電気配線の断線を抑制でき、しかもチルトシリンダが損傷することを抑制できる。
【0009】
また更に、前記荷受台は、前記裏面に車幅方向に並列した一対の前記スチフナを有し、各スチフナの内部には、前記チルトシリンダが配置され、前記油圧配管は、前記油圧駆動機構と各チルトシリンダとを結び、前記各スチフナの内部に配置された、可撓性を有する油圧ホースであり、前記油圧ホースは、前記油圧駆動機構から前記一対のスチフナのうち一方のスチフナに導入され、前記一対のスチフナのうち他方のスチフナ内部に配置された前記チルトシリンダに接続され、前記電気配線は、前記油圧ホースにおける前記一方のスチフナから前記他方のスチフナまでの区間に固縛されたものとできる。
【0010】
この構成によれば、電気配線を油圧ホースと一緒に、一対のスチフナの間に配置することができるため、両者を荷受台に配置する作業を楽にできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、電気配線の断線やチルトシリンダの損傷が発生することを抑制した荷受台昇降装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による荷受台昇降装置を備えた貨物車両を示す側面図である。
図2】前記荷受台昇降装置における荷受台につき、スチフナの内部構造がわかるように示した底面図である。
図3図2におけるIII部の拡大図である。
図4】前記荷受台を示す、図2におけるIV-IV矢視の断面図である。
図5】本発明の他実施形態による荷受台昇降装置における荷受台につき、スチフナの内部構造がわかるように示した底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明につき一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、以下における方向の表現に関し、「上下」は図1に示された上下方向に対応する。また、「前後」は車両の前後に対応しており、運転台のある方を前方、その逆を後方としている。また、「左右」は車幅方向に対応し、かつ、車両の後方から見た場合の左右方向に対応する。
【0014】
本実施形態の荷受台昇降装置1は、図1に示すように、例えば荷箱B1等の荷台を備えた貨物車両Bの後部に設けられる。この荷受台昇降装置1は、主に、荷受台2、昇降機構3、チルトシリンダ4、油圧駆動機構5、油圧ホース6、照明装置7、電気配線8を備える。また、油圧ホース6に対して電気配線8を固縛するための固縛具9を備える。
【0015】
荷受台2は、車体(例えばシャシや荷箱)に対し、収納状態(図1の上下方向に二点鎖線で示すように地面Gに対して表面が垂直に立った状態)と展開状態(図1の左右方向に実線で示すように地面Gに対して表面が平行になるように寝た状態)となるように回動可能に設けられている。収納状態においては、図示のように荷受台2の表面が荷箱B1の後面に対向する。
【0016】
荷受台2の表面(図1の実線表示における上面)には荷物を積載可能である。また、裏面には補強のためスチフナ22が形成されている。スチフナ22は、板状である荷受台本体21と一体に形成されている。スチフナ22は、図2に示すように、車幅方向(図示左右方向)に並列して一対設けられている(左スチフナ22L、右スチフナ22R)。なお、各スチフナ22L,22Rの内部構造の説明のため、図2及び図5は裏面側の板を除去した状態で示している(実際には、内部構造は外観に現れない)。
【0017】
昇降機構3は、荷受台2に回動可能に連結され、荷受台2を昇降させる機構である。本実施形態の昇降機構3は、上下に並列した棒状のリンク部材31,32の前端部同士と後端部同士が接続部材33,34によって接続されたことにより、側面視で細長い四角枠状に形成された枠部35に対し、作動油の出し入れにより伸縮するリフトシリンダ36が組み合わされた平行リンク機構とされている。
【0018】
昇降機構3における平行リンク機構の枠部35は、前端がシャシに回動可能に接続され、後端が荷受台2の基端部に回動可能に接続されている。また、リフトシリンダ36は、前端がシャシに回動可能に接続され、後端が枠部35に回動可能に接続されている。図示はしていないが、枠部35及びリフトシリンダ36は、車幅方向(図1における紙面奥行き方向、図2における左右方向)に並列して一対設けられている。
【0019】
このように構成された昇降機構3(平行リンク機構)では、枠部35の後端が、リフトシリンダ36を伸長させると上昇し、リフトシリンダ36を収縮させると下降する。これに伴い、図1に示すように、枠部35に接続された荷受台2を昇降させることができる。なお、展開状態にある荷受台2は、前記昇降中において、図示のように表面の水平が継続的に保たれる。ちなみに、荷受台2が展開状態で接地したとき、図1に二点鎖線で示すように荷受台2の後端が地面Gから浮いていると荷物の積み下ろしに支障するため、荷受台2に設けられたチルトシリンダ4を操作することにより、昇降機構3(平行リンク機構)に対して荷受台2を回動させ、荷受台2の後端を接地させることができる(図示はしない)。
【0020】
チルトシリンダ4は、図2に示すように、左右において一対のスチフナ22L,22Rのうち、左スチフナ22Lの内部に配置されている(左チルトシリンダ4L)。チルトシリンダ4(左チルトシリンダ4L)は、スチフナ22(左スチフナ22L)と昇降機構3とに連結され、作動油の出し入れにより伸縮する。この伸縮動作に応じて荷受台2を回動させることができる。チルトシリンダ4(左チルトシリンダ4L)はスチフナ22(左スチフナ22L)において、荷受台2の回動中心に近い側の内部に配置されている。
【0021】
なお、チルトシリンダ4は、図5に示すように、左右において一対のスチフナ22L,22Rの各々の内部に配置されていてもよい(左チルトシリンダ4L、右チルトシリンダ4R)。この場合、左チルトシリンダ4Lと右チルトシリンダ4Rとは、図5に示すように対称の位置に設けることができる。
【0022】
油圧駆動機構5は、作動油をリフトシリンダ36、チルトシリンダ4等に送出する機構であって、例えば、オイルタンク、油圧ポンプ、ソレノイドバルブ51、フローコントロールバルブ、チェックバルブ等が油路を介して組み合わされている(ソレノイドバルブ51を除いて図示していない)。この油圧駆動機構5の少なくとも一部は、貨物車両Bの後部に設けられたクロスメンバに内蔵されている(ただしこれに限られない)。なお、ソレノイドバルブ51は、図2に示すように左スチフナ22Lの内部に設けられている。
【0023】
本実施形態における油圧配管としての油圧ホース6は、油圧駆動機構5とチルトシリンダ4(左チルトシリンダ4L)とを結び、可撓性を有する管である。油圧ホース6は、左スチフナ22Lの内部に配置されている。なお、図5に示す形態における油圧ホース6は、油圧駆動機構5と各チルトシリンダ4L,4Rとを結ぶ。この場合の油圧ホース6は、一対のスチフナ22L,22Rの間では荷受台本体21の内部を通される。荷受台本体21は一般的に、アルミニウム合金等が押出し成形されて形成されていることから、図4に示すように中空構造となっている。このため、油圧ホース6を荷受台本体21の内部に通すことができる。
【0024】
次に、電気機器としての照明装置7は、荷受台2に設けられていている。本実施形態の照明装置7は、車幅方向の両端縁部と、展開時における車両後部(より詳しくは、荷物や台車が不意に荷台の表面を移動してしまうことを防止するため、荷受台2の表面に対して立ち上げられるように設けられたカートストッパー上(カートストッパー自体の図示はしていない))とに設けられている。本実施形態では、カートストッパー上に設けられた照明装置7は、左右スチフナ22L,22Rの延びる方向の延長線上に設けられている。このように照明装置7を配置することで、後述のように電気配線8がスチフナ22の内部を通るように配置されていることから、スチフナ22を出てカートストッパー上の照明装置7に至る電気配線8を短縮化できる利点がある。本実施形態の照明装置7は、通電により点灯する複数のLEDが並べられて形成されたユニットであって、荷受台2自体、または荷受台2が有するカートストッパーにこのユニットが埋め込まれている。この照明装置7により、夜間や悪天候時に荷役作業を行う場合に、周囲に荷受台2が存在する範囲を示すことができるため、例えば通行人が荷受台2にぶつかる等の事故を予防できる。
【0025】
電気配線8は、電源と照明装置7とを通電可能に接続する。この電気配線8は、電源から照明装置7に至るまでの間に荷受台2の内部に配置されている。そして、電気配線8の一部はスチフナ22の内部に配置されている。本実施形態では、荷受台2のうち図2において二重線(実線及び破線)で表示するように電気配線8が配置されている。電気配線8は、スチフナ22の外部では荷受台本体21の内部に配置されている。
【0026】
電気配線8のうち、少なくとも、スチフナ22の内部においてチルトシリンダ4に隣接する部分は、油圧ホース6に固縛されている。固縛のため、油圧ホース6と電気配線8とに巻き回される固縛具9が用いられる。固縛具9としては種々のものを用いることができ、例えば結束バンド、針金、粘着テープ、Uボルト等を使用できる。
【0027】
このように固縛具9を用いて、電気配線8のうちチルトシリンダ4に隣接する部分を、油圧ホース6に固縛することにより、電気配線8の移動の自由度を制限できる。このため、スチフナ22内部での電気配線8の揺れを抑制しながら、電気配線8を固定できる。なお、油圧ホース6は内部に作動油の圧力を受けても破裂しないよう、ある程度の剛性を有しているから、油圧ホース6自体は、チルトシリンダ4に絡まるほど揺れることはない。このように電気配線8を油圧ホース6に固縛することで、スチフナ22の内部におけるチルトシリンダ4の近傍に、電気配線8をスチフナ22に固定するための突出物等、チルトシリンダ4に当たるようなものを特に設ける必要がない。したがって、この固縛により、電気配線8の断線を抑制でき、しかもチルトシリンダ4が損傷することを抑制できる。
【0028】
電気配線8のうち分岐部分は、図3に示すように、スチフナ22の内部に固定されたチャンネル材223と、このチャンネル材に取付けられたバンド224により、スチフナ22の内部でずれないようにされている。ちなみにこのチャンネル材223は、前述した「突出物」に該当する。しかし、このチャンネル材223は、チルトシリンダ4に隣接する部分ではなく、チルトシリンダ4の伸縮範囲から離れた部分に設けられていることから、このチャンネル材223によって前述のような悪影響が生じることはない。
【0029】
また、図5に示すように、油圧ホース6が、油圧駆動機構5と各チルトシリンダ4L,4Rとを結ぶ場合、電気配線8は、油圧ホース6における左スチフナ22Lから右スチフナ22Rまでの区間でも、固縛具9によって固縛されることができる(図5では、図示右側の照明装置7とこれに接続される電気配線8だけを示している)。この構成では、電気配線8を油圧ホース6にあらかじめ固縛した上で、電気配線8を油圧ホース6と一緒に荷受台本体21の内部を通すことができるため、両者を荷受台本体21に配置する作業を楽にできる。
【0030】
荷受台2において、電気配線8及び油圧ホース6(図5に示す形態の場合、以下同じ)を各チルトシリンダ4L,4Rと結ぶように配置するため、本実施形態では、一対のスチフナ22L,22Rのうち一方のスチフナである左スチフナ22Lは、左チルトシリンダ4Lよりも先端側の位置(荷受台2の回動中心から遠い位置)に、表面側に開口した一方側連通穴である左連通穴221Lを有する。左連通穴221Lは、荷受台本体21に設けられた左連通穴211Lと一致するように設けられている。このため、左スチフナ22Lの内部空間と荷受台本体21の内部空間とを連通する。また、各スチフナ22L,22Rから側方に向かう電気配線8のため、例えば左スチフナ22Lでは、図3に示すように、左スチフナ22Lには別の左連通穴222Lが、荷受台本体21に設けられた別の左連通穴212Lと一致するように設けられている。
【0031】
本実施形態では、左スチフナ22Lの左連通穴221L,222Lよりも荷受台本体21に設けられた左連通穴211L,212Lの方が小さい。例えば、荷受台本体21の左連通穴211Lは、図2及び図3に示すように、車幅方向(左右方向)に長い長円形とされている。左連通穴221Lの周縁に角を有さないことから、周縁に電気配線8及び油圧ホース6(図5に示す形態)が触れたとしても、電気配線8及び油圧ホース6を傷つけにくい。また左連通穴221Lの長径寸法及び短径寸法は、電気配線8及び油圧ホース6の外径寸法に対して十分大きな寸法に設定されており、かつ、電気配線8及び油圧ホース6の曲げの曲率を考慮して、電気配線8及び油圧ホース6に損傷が早期に生じ得るような無理な曲げが生じない寸法に設定されている。荷受台本体21における、電気配線8のための別の左連通穴212Lについても同様である。
【0032】
また、左連通穴221Lが車幅方向(左右方向)に長い長円形とされていることから、図2において上方に延びた上で右方に曲げられる電気配線8及び油圧ホース6の曲げ方向に左連通穴221Lの長径方向を略一致させることができる。このため、荷受台2における電気配線8及び油圧ホース6の取り回し(特に曲げ)の自由度を高めることができる。
【0033】
本実施形態では更に、右スチフナ22Rにおいても、右チルトシリンダ4Rよりも先端側の位置に、表面側に開口した他方側連通穴である右連通穴221Rを有する。右連通穴221Rは、荷受台本体21に設けられた右連通穴211Rと一致するように設けられている。このため、右連通穴221Rは、右スチフナ22Rの内部空間と荷受台本体21の内部空間とを連通する。本実施形態の右連通穴221Rは、左連通穴221Lと同一形状である。また、荷受台本体21に設けられた右連通穴211Rも左連通穴211Lと同一形状である。ただし、これに限定されず、例えば荷受台2における電気配線8及び油圧ホース6の配置計画(曲げの曲率の設定等に応じた配置計画)に応じて、右連通穴221Rを左連通穴221Lと異なる形状にすることもできる。また、本実施形態の右連通穴221Rは、左連通穴221Lと車幅方向において対称位置、すなわち左右対称位置に設けられている。ただし、これに限定されず、右連通穴221Rを左連通穴221Lと非対称の位置に設けることもできる。
【0034】
この構成によれば、右スチフナ22R内で、右チルトシリンダ4Rが配置されていないため比較的余裕のあるスペースで電気配線8及び油圧ホース6を右スチフナ22Rに入れて右チルトシリンダ4Rに向かわせることができる。よって、右スチフナ22R内で右チルトシリンダ4Rと電気配線8及び油圧ホース6との干渉を防止できる。従って、右スチフナ22R内で電気配線8及び油圧ホース6が破損することを抑制できる。
【0035】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。
【0036】
例えば、スチフナ22の形状に関し、前記実施形態では、図4に示すように荷受台2の先端に向かって高さ寸法(厚み寸法)を順次小さくしたものであったが、形状は特定されない。均一な高さであってもよいし、荷受台2の先端に向かって高さ寸法を大きくしてもよい。このような形状とすることで、スチフナ22内の空間が広くなっても、チルトシリンダ4が拡大されたスペースまで動くことで油圧ホース6に擦れる可能性があることから、本発明の構成は有効に作用する。
【0037】
また、昇降機構3については、前記実施形態のように平行リンク機構を用いて昇降する構成であってもよいし、スライダによって垂直方向に昇降する構成であってもよい。更に、車体の床下に荷受台2を収納するように昇降する構成であってもよく、特に限定されない。
【0038】
また、各スチフナ22L,22Rにおいて荷受台2の表面側に開口した各連通穴221L,221Rは、前記実施形態では、各チルトシリンダ4L,4Rよりも荷受台2の回動中心から遠い位置に設けられていた。しかしこれに限定されず、各連通穴221L,221Rを各チルトシリンダ4L,4Rと荷受台2の回動中心からの距離が同じ位置(すなわち、各チルトシリンダ4L,4Rの横の位置)に設けることもできる。
【0039】
また、図5に示した形態では、油圧ホース6及び電気配線8が、一対のスチフナ22L,22Rの間では荷受台本体21の内部(具体的には、荷受台本体21を構成する、押出成形で形成されたブロック内の空間)を通されていた。しかしこれに限定されず、荷受台本体21の内部以外(前記ブロック外)を通すこともできる。この場合であっても、電気配線8を油圧ホース6と一緒にできるため、前記形態と同様に、両者を荷受台本体21に配置する作業を楽にできる。
【0040】
また、油圧配管は前記実施形態では可撓性のある油圧ホース6であったが、可撓性のないパイプであってもよい。また、前記実施形態では、各スチフナ22L,22R内の油圧配管が全て、可撓性のある油圧ホース6であったが、一部分だけを油圧ホース6とし、他の部分を可撓性のないパイプとしてもよい。この場合、例えば、一方のスチフナである左スチフナ22Lから他方のスチフナである右スチフナ22Rに向かって曲げる部分の油圧配管だけを油圧ホース6とすることもできる。
【0041】
また、電気機器は、前記実施形態では照明装置7であったが、通電と状態変化との間で相関がある種々の機器を用いることができる。このため電気機器には、例えば、スイッチ、センサ、制御基板も含まれる。
【0042】
通電と状態変化との間の相関とは、例えば、電気機器が照明装置7である場合には、通電に伴い点灯という状態変化がなされることを指す。また、電気機器がスイッチである場合には、開閉操作という状態変化に伴い通電がなされることを指す。また、電気機器がセンサである場合には、被検知対象の検知という状態変化に伴い通電(具体的には信号電流の出力)がなされることを指す。また、電気機器が制御基板である場合には、通電(例えば信号電流の入力)に伴い出力が変化するという状態変化がなされることを指す。
【0043】
また、前記「通電」とは、電流が流れていない状態(無電流の状態)が流れる状態になったことに限られず、流れている電流に変化(例えば、信号の発信に伴う変化)があったことも含む。
【0044】
また、前記「通電」に係る電流は、電気機器の作動や作用に直接かかわる電流(駆動電流等)に限定されず、電気機器の操作に関する信号電流も含む。つまり、「通電」には通信という概念も含む。このため、電気配線8には信号線も含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…荷受台昇降装置、2…荷受台、3…昇降機構、4…チルトシリンダ、4L…左チルトシリンダ、4R…右チルトシリンダ、5…油圧駆動機構、6…油圧配管(油圧ホース)、7…電気機器(照明装置)、8…電気配線、9…固縛具、21…荷受台本体、22…スチフナ、22L…一方のスチフナ(左スチフナ)、22R…他方のスチフナ(右スチフナ)、31,32…リンク部材、33,34…接続部材、35…枠部、36…リフトシリンダ、211L,212L…荷受台本体の一方側連通穴(左連通穴)、211R…荷受台本体の他方側連通穴(右連通穴)、221L,222L…スチフナの一方側連通穴(左連通穴)、221R…スチフナの他方側連通穴(右連通穴)、223…チャンネル材、224…バンド、B…貨物車両、B1…荷箱、G…地面
図1
図2
図3
図4
図5