(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】作業補助装置の評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20231026BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G06Q10/00
B25J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019113915
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】山田 高之
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-303047(JP,A)
【文献】特開2004-139515(JP,A)
【文献】特開2010-094147(JP,A)
【文献】特開2014-199595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B25J 1/00-21/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重筋作業を補助する複数の作業補助装置の評価システムであって、
前記重筋作業の態様を示す作業項目ごとに入力された、当該重筋作業に関する入力値に基づいて、前記複数の作業補助装置ごとの評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値に基づいて、前記重筋作業に対する前記複数の作業補助装置の適合の度合いを評価する作業補助装置評価部と、
を具備
し、
前記複数の作業補助装置は、
前記重筋作業の補助に関する特性をそれぞれ有し、
前記評価値算出部は、
前記複数の作業補助装置のうち一の作業補助装置の評価を行う場合において、
前記複数の作業項目のうち前記一の作業補助装置の前記特性に関する作業項目において、当該特性に応じた入力値が入力された場合、当該一の作業補助装置の評価値が高くなるように当該評価値の算出を行う、
作業補助装置の評価システム。
【請求項2】
前記評価値を算出する前に、前記入力値に基づいて、前記重筋作業に対する前記作業補助装置の適否を判断する適否判断部を具備し、
前記評価値算出部は、
前記複数の作業補助装置のうち、前記適否判断部により不適と判断された作業補助装置以外の作業補助装置について、前記評価値を算出する、
請求項1に記載の作業補助装置の評価システム。
【請求項3】
前記特性に関する作業項目には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の姿勢に関する情報が含まれる、
請求項1又は請求項2に記載の作業補助装置の評価システム。
【請求項4】
前記特性に関する作業項目には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の移動距離に関する情報が含まれる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作業補助装置の評価システム。
【請求項5】
前記特性に関する作業項目には、
前記重筋作業を行う場合の重量物の重量に関する情報が含まれる、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の作業補助装置の評価システム。
【請求項6】
前記重筋作業の運動強度、作業時間及び時間単価に基づいて、前記作業補助装置を使用していない状態での前記重筋作業において、作業者に掛かる負担を示す第一の重筋作業コストを算出する第一重筋作業コスト算出部と、
前記第一の重筋作業コストと、前記作業補助装置に設定された運動強度低減割合と、に基づいて、前記作業補助装置を使用した状態での前記重筋作業において、前記作業者に掛かる負担を示す第二の重筋作業コストを算出する第二重筋作業コスト算出部と、
を具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業補助装置の評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業補助装置の評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者の身体に装着され、作業者の身体の所定の部分の動作を補助する作業補助装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、装着者(作業者)の腰部に装着され、作業者が中腰姿勢から立ち上がる際に、当該作業者の腰部に対する大腿部の動きを補助する装着式動作補助装置が記載されている。
【0004】
上記装着式動作補助装置によれば、重量物の運搬等、作業者の筋肉に比較的大きな負担が掛かる作業(重筋作業)において、作業者が中腰姿勢から重量物を持ち上げる際の腰部や大腿部に掛かる負担を軽減することができる。
【0005】
ここで、作業者の身体において負担がかかる部分は、重筋作業の種類によって異なり、作業補助装置としては、上述したような腰部や大腿部に掛かる負担を軽減するものに限られず、例えば、脚部や腕部に掛かる負担を軽減するもの等、様々な種類がある。
【0006】
このような種々の作業補助装置は、重筋作業に応じて適切なものが使用されなければ、作業者の負担を効果的に軽減し難い。従って、重筋作業に応じて適切な作業補助装置を使用するため、所定の重筋作業に対する作業補助装置の適合の度合いを好適に評価することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、重筋作業に対する作業補助装置の適合の度合いを好適に評価することができる作業補助装置の評価システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、重筋作業を補助する複数の作業補助装置の評価システムであって、前記重筋作業の態様を示す作業項目ごとに入力された、当該重筋作業に関する入力値に基づいて、前記複数の作業補助装置ごとの評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値に基づいて、前記重筋作業に対する前記複数の作業補助装置の適合の度合いを評価する作業補助装置評価部と、を具備し、前記複数の作業補助装置は、前記重筋作業の補助に関する特性をそれぞれ有し、前記評価値算出部は、前記複数の作業補助装置のうち一の作業補助装置の評価を行う場合において、前記複数の作業項目のうち前記一の作業補助装置の前記特性に関する作業項目において、当該特性に応じた入力値が入力された場合、当該一の作業補助装置の評価値が高くなるように当該評価値の算出を行うものである。
【0011】
請求項2においては、前記評価値を算出する前に、前記入力値に基づいて、前記重筋作業に対する前記作業補助装置の適否を判断する適否判断部を具備し、前記評価値算出部は、前記複数の作業補助装置のうち、前記適否判断部により不適と判断された作業補助装置以外の作業補助装置について、前記評価値を算出するものである。
【0013】
請求項3においては、前記特性に関する作業項目には、前記重筋作業を行う場合の作業者の姿勢に関する情報が含まれるものである。
【0014】
請求項4においては、前記特性に関する作業項目には、前記重筋作業を行う場合の作業者の移動距離に関する情報が含まれるものである。
【0015】
請求項5においては、前記特性に関する作業項目には、前記重筋作業を行う場合の重量物の重量に関する情報が含まれるものである。
【0016】
請求項6においては、前記重筋作業の運動強度、作業時間及び時間単価に基づいて、前記作業補助装置を使用していない状態での前記重筋作業において、作業者に掛かる負担を示す第一の重筋作業コストを算出する第一重筋作業コスト算出部と、前記第一の重筋作業コストと、前記作業補助装置に設定された運動強度低減割合と、に基づいて、前記作業補助装置を使用した状態での前記重筋作業において、前記作業者に掛かる負担を示す第二の重筋作業コストを算出する第二重筋作業コスト算出部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、重筋作業に対する作業補助装置の適合の度合いを好適に評価することができる。また、重筋作業に対する作業補助装置の適合の度合いをより好適に評価することができる。
【0019】
請求項2においては、評価値算出部による処理の簡素化を図ることができる。
【0021】
請求項3においては、重筋作業を行う場合の作業者の姿勢を考慮した作業補助装置の評価が可能となる。
【0022】
請求項4においては、重筋作業を行う場合の作業者の移動距離を考慮した作業補助装置10の評価が可能となる。
【0023】
請求項5においては、重筋作業を行う場合の重量物の重量を考慮した作業補助装置の評価が可能となる。
【0024】
請求項6においては、重筋作業に対する作業補助装置の適合の度合いを分かり易く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)作業補助装置を模式的に示した正面図。(b)作業補助装置の評価システムの構成を示したブロック図。
【
図2】作業補助装置評価処理を示したフローチャート。
【
図5】作業補助装置ごとの評価値の算出方法及び評価基準を示した表。
【
図6】重筋作業と作業補助装置の評価との関係を示した表。
【
図7】重筋作業コスト算出処理を示したフローチャート。
【
図8】作業項目と運動強度の設定値との関係を示した表。
【
図9】重筋作業と重筋作業コストの評価との関係を示した表。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の一実施形態に係る作業補助装置の評価システム1について説明する。まず、
図1(a)に示す、作業補助装置の評価システム1の対象となる作業補助装置10について説明する。
【0027】
作業補助装置10は、重量物の運搬等、作業者の筋肉に比較的大きな負担が掛かる作業(重筋作業)を補助するものである。作業補助装置10は、作業者の身体に装着して使用され、重筋作業において、作業者の身体のうちの所定の部位(例えば、腰部等)に掛かる負担を軽減する。本実施形態では、作業補助装置10の例として、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dを例示する。
【0028】
中腰作業補助装置10Aは、主として中腰姿勢(かがみ姿勢)での重筋作業を補助するものである。ここで、中腰姿勢とは、主として腰部のみを曲げた(膝部を大きく曲げない)姿勢である。中腰姿勢での重筋作業としては、中腰姿勢から重量物を持ち上げる作業や、中腰姿勢を維持した状態での作業等が挙げられる。
【0029】
中腰作業補助装置10Aは、腰部及び大腿部に装着される。中腰作業補助装置10Aを装着することで、作業者が中腰姿勢から立ち上がる際の腰部及び大腿部の動作や、中腰姿勢を維持することの補助が可能となる。これにより、上記重筋作業において作業者の腰部や大腿部に掛かる負担を軽減することができる。
【0030】
中腰作業補助装置10Aは、所定のバッテリーと、上記バッテリーの電力により駆動されるモータと、を内蔵し、上記モータの駆動により作業者の動作を補助する。中腰作業補助装置10Aは、比較的重量が大きい重量物を比較的長時間扱う中腰姿勢での作業であって、作業者の移動距離が比較的小さい重筋作業に適するという特性を有する。
【0031】
前屈作業補助装置10Bは、主として前屈姿勢での重筋作業を補助するものである。ここで、前屈姿勢とは、腰部を曲げた姿勢である。前屈姿勢には、上記中腰姿勢や腰部及び膝部を曲げる姿勢(スクワット)が含まれる。前屈姿勢での重筋作業としては、中腰姿勢で重量物を水平方向に移動する作業や、スクワットにより重量物を上下に移動する作業等が挙げられる。
【0032】
前屈作業補助装置10Bは、腰部及び大腿部に装着される。前屈作業補助装置10Bは、所定のばねを内蔵し、上記ばねの付勢力により、中腰姿勢から立ち上がる際の動作やスクワット動作を補助する。これにより、上記重筋作業において作業者の腰部に掛かる負担を軽減することができる。
【0033】
また、前屈作業補助装置10Bは、バッテリーやモータを有さず、比較的軽量とされている。前屈作業補助装置10Bは、比較的重量が小さい重量物を比較的長時間扱う前屈姿勢での重筋作業に適するという特性を有する。
【0034】
立位作業補助装置10Cは、主として立位姿勢での重筋作業を補助するものである。ここで、立位姿勢とは、脚部により上半身を支えるように立った姿勢である。立位姿勢での重筋作業としては、所定の作業台に載せられたものを対象とした、立位姿勢を維持したまま行われる作業等が挙げられる。
【0035】
立位作業補助装置10Cは、脚部に装着される。立位作業補助装置10Cを装着することで、作業者は、立位作業補助装置10Cに座るようにして立位姿勢を維持することができる。このように、立位作業補助装置10Cによって作業者の上半身の体重を支えることで、立位姿勢での重筋作業において作業者の腰部や脚部に掛かる負担を軽減することができる。
【0036】
また、立位作業補助装置10Cは、装着した状態での歩行による移動が可能とされる。立位作業補助装置10Cは、立位姿勢を長時間に亘って維持することを要する重筋作業に適している。なお、立位作業補助装置10Cは、バッテリーやモータを有さず、比較的軽量とされている。立位作業補助装置10Cは、移動距離が比較的小さく、比較的長時間行われる立位姿勢での重筋作業に適するという特性を有する。
【0037】
上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、主として上肢の姿勢を保持した状態での重筋作業を補助するものである。ここで、上肢の姿勢を保持した状態とは、上肢(肩部から指先までの部分)を、ある程度の高さで保持した状態である。ここで、上肢の姿勢の保持としては、腕部による作業が可能な程度に、腕部の移動をある程度許容する態様を含む。上肢の姿勢を保持した状態での重筋作業としては、所定の作業台に載せられたものを対象とした、腕部を用いた作業(例えば、組み立て作業)等が挙げられる。
【0038】
上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、上肢に装着される。上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、所定のばねを内蔵し、上記ばねの付勢力により、腕部をある程度の高さとなるように持ち上げることで、肩部や腕部の姿勢を保持する。これにより、上記重筋作業において作業者の上肢に掛かる負担を軽減することができる。
【0039】
上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、長時間に亘って腕部を使用する重筋作業に適している。なお、上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、バッテリーやモータを有さず、比較的軽量とされている。上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、上肢の姿勢を保持した状態での作業であって、重量物の持ち上げ距離が比較的大きく、繰り返し回数が比較的大きい重筋作業に適するという特性を有する。
【0040】
次に、作業補助装置の評価システム1について説明する。
【0041】
図1(b)に示す作業補助装置の評価システム1は、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合い(適合度)を評価するものである。作業補助装置の評価システム1は、主として記憶部2、制御部3、表示部4及び入力部5を具備する。
【0042】
記憶部2は、各種のプログラムやデータ等が記憶されるものである。記憶部2は、HDD、RAM、ROM等により構成される。
【0043】
制御部3は、記憶部2に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部3は、CPUにより構成される。
【0044】
表示部4は、各種の情報を表示するものである。表示部4は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0045】
入力部5は、各種の情報を入力するためのものである。入力部5は、キーボード、マウス等により構成される。
【0046】
このように、作業補助装置の評価システム1としては、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0047】
作業補助装置の評価システム1は、
図2に示す作業補助装置評価処理を実行可能である。作業補助装置評価処理は、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合度を評価するものである。
【0048】
また、作業補助装置の評価システム1は、
図7に示す重筋作業コスト算出処理を実行可能である。重筋作業コスト算出処理は、所定の重筋作業において、作業者に掛かる負担を、金銭的なコスト(費用)に換算して算出するものである。
【0049】
作業補助装置評価処理及び重筋作業コスト算出処理は、
図4に示す重筋作業に関する作業項目ごとに入力された入力値に基づいて行われる。
【0050】
ここで、作業項目とは、重筋作業の態様を複数の項目に分類して示した項目であって、作業補助装置10の適合度の評価に用いられる項目である。作業項目には、「重量物持ち上げ時の姿勢a」、「持ち手(指)b」、「持ち手(位置)c」、「持ち上げ距離d」、「最大重量e」、「繰り返し回数f」、「作業時間g」、「往復移動距離h」、「中腰作業の有無i」、「中腰作業角度j」及び「中腰作業時間k」が含まれる。
【0051】
また、入力値とは、上記作業項目ごとに入力される値であって、重筋作業において実際に行われる作業に基づいた値である。入力値は、作業補助装置評価処理及び重筋作業コスト算出処理を実行する前に、入力部5を介して入力される。また、当該入力値は、記憶部2に記憶される。
【0052】
以下では、
図4を参照して、上記作業項目及び、当該作業項目ごとに入力される入力値について具体的に説明する。
図4に示す表においては、評価の対象となる重筋作業として、後述する重量物運搬作業及び重量物反転作業を例示し、これらの重筋作業に対して作業項目ごとに適宜入力値が入力されている。
【0053】
重量物持ち上げ時の姿勢aは、重筋作業において重量物を持ち上げる際の姿勢を示す項目である。重量物持ち上げ時の姿勢aには、入力値として、「座り姿勢」、「立位姿勢」、「背伸び姿勢」、「中腰姿勢」及び「スクワット」のうちのいずれかが入力される。ここで、「座り姿勢」とは、椅子等に座った姿勢である。また、「背伸び姿勢」とは、直立した状態で腕部を上方に上げた姿勢である。
【0054】
持ち手(指)bは、重筋作業において重量物を持ち上げる際に、重量物にかかる指の範囲を示す項目である。持ち手(指)bには、入力値として、「第二関節まで」及び「その他」のうちのいずれかが入力される。ここで、「第二関節まで」とは、重量物に指の第一関節がかかる場合又は第一関節を超えて第二関節がかかる場合であって、第三関節には至らない状態を示す。また、「その他」は、重量物にかかる指の範囲が、第三関節に至る状態を示す。
【0055】
持ち手(位置)cは、重筋作業において、両手で重量物を持ち上げる際の持ち手の左右の位置(間隔)を示す項目である。持ち手(位置)cには、入力値として、「600mm以内」及び「600mm超」のうちのいずれかが入力される。なお、600mmは肩幅の目安となる値である。
【0056】
持ち上げ距離dは、重筋作業において重量物を持ち上げる際の鉛直方向の距離を示す項目である。持ち上げ距離dには、入力値として、上記鉛直方向の距離(mm)を示す数値が入力される。
【0057】
最大重量eは、重筋作業において扱われる重量物の重量のうち、最大の重量を示す項目である。最大重量eには、入力値として、上記重量(kg)を示す数値が入力される。
【0058】
繰り返し回数fは、重筋作業を繰り返す1日あたりの回数を示す項目である。繰り返し回数fには、入力値として、上記回数を示す数値が入力される。
【0059】
作業時間gは、重筋作業の1日あたりの作業時間を示したものである。作業時間gには、入力値として、上記時間(h)を示す数値が入力される。
【0060】
往復移動距離hは、重筋作業において重量物を運ぶ際の往復の移動距離を示す項目である。往復移動距離hには、入力値として、上記往復移動距離(m)を示す数値が入力される。
【0061】
中腰作業の有無iは、重筋作業において中腰姿勢での作業の有無を示す項目である。中腰作業の有無iには、入力値として、「有」及び「無」のうちのいずれかが入力される。
【0062】
中腰作業角度jは、重筋作業における中腰姿勢での腰部及び大腿部が成す角度を示す項目である。中腰作業角度jには、入力値として、「角度なし」、「浅い」、「中間」、及び「深い」のうちのいずれかが入力される。本実施形態では、中腰作業が無い場合には、「角度なし」を入力するものとする。また、本実施形態では、上記角度が30度未満の場合に「浅い」を入力し、上記角度が30度以上60度未満の場合に「中間」を入力し、上記角度が60度以上90度未満の場合に「深い」を入力するものとする。
【0063】
中腰作業時間kは、重筋作業において中腰姿勢となる1日あたりの時間を示す項目である。中腰作業時間kには、入力値として、上記時間(h)を示す数値が入力される。
【0064】
以下では、作業補助装置評価処理の詳細について説明する。
【0065】
作業補助装置評価処理は、ある重筋作業に対する作業補助装置10の適合度の評価が求められる場合に、操作者による入力部5を介した操作を契機として実行される。作業補助装置評価処理は、上記操作に先立って入力される、上記重筋作業に関する作業項目の入力値に基づいて行われる。
【0066】
以下では、
図2のフローチャートを用いて、作業補助装置評価処理において制御部3が行う処理について説明する。本実施形態に係る作業補助装置評価処理においては、適否判断処理、評価値算出処理及び最終評価処理が、上記した順番に行われる。
【0067】
まず、制御部3は、適否判断処理(ステップS10)を実行する。適否判断処理は、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適否を判断する処理である。
【0068】
以下では、
図3のフローチャートを用いて、適否判断処理について説明する。
【0069】
まず、ステップS20において、制御部3は、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として、「立位姿勢」が入力されているか否かを判断する。制御部3は、上記入力値として「立位姿勢」が入力されていると判断した場合(ステップS20:YES)には、ステップS21の処理へ移行する。一方、制御部3は、上記入力値として「立位姿勢」以外のものが入力されていると判断した場合(ステップS20:NO)には、ステップS23の処理へ移行する。
【0070】
ステップS21において、制御部3は、当該重筋作業において中腰作業補助装置10Aが不適であると判断する。制御部3は、ステップS21の処理を実行した後、ステップS22の処理へ移行する。
【0071】
ステップS22において、制御部3は、中腰作業補助装置10Aを評価値算出処理の対象から除外する。制御部3は、ステップS22の処理を実行した後、適否判断処理を終了する。
【0072】
ステップS23において、制御部3は、当該重筋作業において立位作業補助装置10Cが不適であると判断する。制御部3は、ステップS23の処理を実行した後、ステップS24の処理へ移行する。
【0073】
ステップS24において、制御部3は、立位作業補助装置10Cを評価値算出処理の対象から除外する。制御部3は、ステップS24の処理を実行した後、適否判断処理を終了する。
【0074】
上述したように、重量物持ち上げ時の姿勢aにおいて「立位姿勢」が入力されているか否かの判断に基づいて、立位姿勢を主として補助する立位作業補助装置10Cと、当該立位姿勢とは大きく異なる姿勢である中腰姿勢を主として補助する中腰作業補助装置10Aと、のうちの一方を評価値算出処理の対象から除外することで、所定の重筋作業に適した作業補助装置10の選択肢をある程度絞り込むことができる。
【0075】
次に、制御部3は、評価値算出処理(ステップS11)を実行する。評価値算出処理は、作業項目ごとの入力値に基づいて、適否判断処理において不適と判断された作業補助装置10(中腰作業補助装置10A又は立位作業補助装置10C)以外の作業補助装置10に対応する評価値を算出する処理である。ここで、評価値とは、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合度の評価に用いられる数値である。
【0076】
本実施形態のように、適否判断処理の後に評価値算出処理を実行することで、所定の重筋作業に対してある程度適すると判断された作業補助装置10のみの評価値を算出することができ、処理の簡素化を図ることができる。
【0077】
本実施形態では、入力値に応じて所定の点数を加点することで評価値を算出する構成としている。上記評価値の算出方法は、作業補助装置10(中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10D)ごとに異なる。具体的には、上記評価値の算出に用いられる作業項目や当該作業項目の入力値に応じて加算される点数が、作業補助装置10ごとに異なる。以下では、
図5を参照して、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dの順番で、上記評価値の算出方法を説明する。
【0078】
中腰作業補助装置10Aは、比較的重量が大きい重量物を比較的長時間扱う中腰姿勢での作業であって、移動距離が比較的小さい重筋作業に適するという特性を有する。これにより、中腰作業補助装置10Aの評価値の算出方法は、上記特性に関する作業項目である中腰作業の有無i、往復移動距離h、最大重量e及び中腰作業時間kにおいて、上記特性に応じた入力値が入力された場合、中腰作業補助装置10Aの評価値が高くなるような算出方法とされている。具体的には、中腰作業の有無iの入力値として「有」が入力され、往復移動距離hの入力値が小さく、最大重量e及び中腰作業時間kの入力値が大きい場合に、評価値が大きくなるような算出方法とされている。
【0079】
本実施形態では、中腰作業補助装置10Aにおいては、中腰作業の有無iの入力値として「有」が入力された場合には5点が加点され、上記入力値として「無」が入力された場合には0点が加点される。
【0080】
また、中腰作業補助装置10Aにおいては、往復移動距離hの入力値が1m以下の場合には5点が加点され、上記入力値が1mより大きく3m以下の場合には3点が加点され、上記入力値が3mより大きい場合には0点が加点される。
【0081】
また、中腰作業補助装置10Aにおいては、最大重量eの入力値と中腰作業時間kとを乗算した値が、40以上の場合には5点が加点され、上記値が20以上40未満の場合には3点が加点され、上記値が20未満の場合には0点が加点される。
【0082】
制御部3は、上記中腰作業補助装置10Aにおいて加点された点数の合計を、中腰作業補助装置10Aの評価値として算出する。
【0083】
前屈作業補助装置10Bは、比較的重量が小さい重量物を比較的長時間扱う前屈姿勢での重筋作業に適するという特性を有する。これにより、前屈作業補助装置10Bの評価値の算出方法は、上記特性に関する作業項目である重量物持ち上げ時の姿勢a、最大重量e及び作業時間gにおいて、上記特性に応じた入力値が入力された場合、前屈作業補助装置10Bの評価値が高くなるような算出方法とされている。具体的には、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」又は「スクワット」が入力され、最大重量eの入力値が小さく、作業時間gの入力値が大きい場合に、評価値が大きくなるような算出方法とされている。
【0084】
本実施形態では、前屈作業補助装置10Bにおいては、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」が入力された場合には5点が加点され、上記入力値として「スクワット」が入力された場合には3点が加点され、上記入力値として「中腰姿勢」及び「スクワット」以外が入力された場合には0点が加点される。
【0085】
また、前屈作業補助装置10Bにおいては、最大重量eの入力値が30kg以下の場合には5点が加点され、上記入力値が30kgを超える場合には0点が加点される。
【0086】
また、前屈作業補助装置10Bにおいては、作業時間gの入力値が4時間以上の場合には5点が加点され、上記入力値が2時間以上4時間未満の場合には3点が加点され、上記入力値が1時間以上2時間未満の場合には1点が加点され、上記入力値が1時間未満の場合には0点が加点される。
【0087】
制御部3は、上記前屈作業補助装置10Bにおいて加点された点数の合計を、前屈作業補助装置10Bの評価値として算出する。
【0088】
立位作業補助装置10Cは、移動距離が比較的小さく、比較的長時間行われる立位姿勢での重筋作業に適するという特性を有する。これにより、立位作業補助装置10Cの評価値の算出方法は、上記特性に関する作業項目である往復移動距離h及び作業時間gにおいて、上記特性に応じた入力値が入力された場合、立位作業補助装置10Cの評価値が高くなるような算出方法とされている。具体的には、立位作業補助装置10Cの評価値の算出方法は、往復移動距離hの入力値が小さく、作業時間gの入力値が大きい場合に、評価値が大きくなるような算出方法とされている。
【0089】
本実施形態では、立位作業補助装置10Cにおいては、往復移動距離hの入力値が1m以下の場合には5点が加点され、上記入力値が1mよりも大きく3m以下の場合には3点が加点され、上記入力値が3mよりも大きい場合には0点が加点される。
【0090】
また、立位作業補助装置10Cにおいては、作業時間gの入力値が4時間以上の場合には5点が加点され、上記入力値が2時間以上4時間未満の場合には3点が加点され、上記入力値が1時間以上2時間未満の場合には1点が加点され、上記入力値が1時間未満の場合には、0点が加点される。
【0091】
制御部3は、上記立位作業補助装置10Cにおいて加点された点数の合計を、立位作業補助装置10Cの評価値として算出する。
【0092】
上肢姿勢保持作業補助装置10Dは、上肢の姿勢を保持した状態での作業であって、重量物の持ち上げ距離が比較的大きく、繰り返し回数が比較的大きい重筋作業に適するという特性を有する。これにより、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値の算出方法は、上記特性に関する作業項目である中腰作業の有無i、持ち上げ距離d及び繰り返し回数fにおいて、上記特性に応じた入力値が入力された場合、立位作業補助装置10Cの評価値が高くなるような算出方法とされている。具体的には、中腰作業の有無iの入力値として「無」が入力され、持ち上げ距離dの入力値が大きく、繰り返し回数fの入力値が大きい場合に、評価値が大きくなるような算出方法とされている。
【0093】
本実施形態では、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、中腰作業の有無iの入力値として「無」が入力された場合には5点が加点され、上記入力値として「有」が入力された場合には0点が加点される。
【0094】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、持ち上げ距離dの入力値が400mm以上の場合には5点が加点され、上記入力値が200mm以上400mm未満の場合には3点が加点され、上記入力値が200mm未満の場合には0点が加点される。
【0095】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、繰り返し回数fの入力値が300回以上の場合には5点が加点され、上記入力値が100回以上300回未満の場合には3点が加点され、上記入力値が100回未満の場合には0点が加点される。
【0096】
制御部3は、上記上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいて加点された点数の合計を、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値として算出する。
【0097】
制御部3は、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dのそれぞれについて評価値を算出した後、評価値算出処理を終了する。
【0098】
次に、制御部3は、最終評価処理(ステップS12)を実行する。最終評価処理は、作業補助装置10の評価値に基づいて、所定の重筋作業に対する作業補助装置10の適合度を評価する処理である。
【0099】
最終評価処理においては、作業補助装置10ごとの適合度を4段階で評価する。上記適合度は、評価が高い順番に「◎」、「○」、「△」及び「×」で示される。なお、本実施形態では、適否判断処理において不適と判断された作業補助装置10についても、「×」として評価するものとしている。上記評価の結果は、表示部4に表示される。
【0100】
上記評価値に基づく評価基準は、作業補助装置10(中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10D)ごとに異なる。以下では、
図5を参照して、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dの順番で、上記評価の基準について説明する。
【0101】
中腰作業補助装置10Aにおいては、評価値が13点以上であれば「◎」、10点以上13点未満であれば「○」、5点以上10点未満であれば「△」、5点未満であれば「×」と評価される。
【0102】
前屈作業補助装置10Bにおいては、評価値が11点以上であれば「◎」、9点以上11点未満であれば「○」、5点以上9点未満であれば「△」、5点未満であれば「×」と評価される。
【0103】
立位作業補助装置10Cにおいては、評価値が8点以上であれば「◎」、5点以上8点未満であれば「○」、5点未満であれば「△」と評価される。
【0104】
上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、評価値が13点以上であれば「◎」、10点以上13点未満であれば「○」、7点以上10点未満であれば「△」、7点未満であれば「×」と評価される。
【0105】
制御部3は、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dのそれぞれについて上記評価を行った後、作業補助装置評価処理を終了する。
【0106】
以下では、作業補助装置評価処理の一例について説明する。なお、以下では、重筋作業の一例として、重量物運搬作業及び重量物反転作業を例に挙げて説明する(
図6参照)。
【0107】
まず、重量物運搬作業における作業補助装置評価処理について説明する。重量物運搬作業は、重量物を運搬する作業である。
【0108】
重量物運搬作業においては、
図4に示すように、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」が入力される。また、持ち手(指)bの入力値として「第二関節まで」が入力される。また、持ち手(位置)cの入力値として「600mm以内」が入力される。また、持ち上げ距離dの入力値として「500mm」が入力される。また、最大重量eの入力値として「80kg」が入力される。また、繰り返し回数fの入力値として「400回」が入力される。また、作業時間gの入力値として「8時間」が入力される。また、往復移動距離hの入力値として「2m」が入力される。また、中腰作業の有無iの入力値として「有」が入力される。また、中腰作業時間kの入力値として「0.5時間」が入力される。
【0109】
上記入力値に基づいて、制御部3は、まず、
図2に示す適否判断処理を実行する(ステップS10)。具体的には、
図4に示すように、重量物運搬作業では、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」が入力されることから、適否判断処理において、制御部3は、上記入力値として「立位姿勢」以外のものが入力されていると判断する(ステップS20:NO)。
【0110】
これにより、制御部3は、立位作業補助装置10Cを不適と判断する(ステップS23)。また、制御部3は、立位作業補助装置10Cを評価値算出処理の対象から除外する(ステップS24)。
【0111】
評価値算出処理において、制御部3は、上述した入力値に基づいて、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値を算出する(ステップS11)。
【0112】
具体的には、中腰作業補助装置10Aにおいては、中腰作業の有無iの入力値として「有」が入力されていることから、5点が加点される(
図4及び
図5参照)。また、往復移動距離hの入力値として2mが入力されており、1mより大きく3m以下であることから、3点が加点される。また、最大重量eの入力値として80kgが入力され、中腰作業時間kの入力値として0.5時間が入力されている。従って、最大重量eの入力値と中腰作業時間kとを乗算した値は40となり、上記値は40以上であることから5点が加点される。以上から、上記点数の合計である中腰作業補助装置10Aの評価値は13となる。
【0113】
また、前屈作業補助装置10Bにおいては、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」が入力されていることから、5点が加点される。また、最大重量eの入力値として「80kg」が入力されており、当該入力値が30kgを超えることから、0点が加点される。また、作業時間gの入力値として「8時間」が入力されており、当該入力値が4時間以上であることから、5点が加点される。以上から、上記点数の合計である前屈作業補助装置10Bの評価値は10となる。
【0114】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、中腰作業の有無iの入力値として「有」が入力されており、「無」以外が入力されていることから、0点が加点される。また、持ち上げ距離dとして「500mm」が入力されており、当該入力値が400mm以上であることから、5点が加点される。また、繰り返し回数fの入力値として「400回」が入力されており、当該入力値が300回以上であることから、5点が加点される。以上から、上記点数の合計である上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値は10となる。
【0115】
また、制御部3は、上記入力値に基づいて、最終評価処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部3は、中腰作業補助装置10Aの評価値が13であり、当該評価値が13点以上であることから、中腰作業補助装置10Aを「◎」と評価する。
【0116】
また、制御部3は、前屈作業補助装置10Bの評価値が10であり、当該評価値が9点以上11点未満であることから、前屈作業補助装置10Bを「○」と評価する。
【0117】
また、制御部3は、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値が10であり、当該評価値が10点以上13点未満であることから、上肢姿勢保持作業補助装置10Dを「○」と評価する。
【0118】
また、制御部3は、適否判断処理において不適と判断した立位作業補助装置10Cを、「×」と評価する。
【0119】
以上から、重量物運搬作業においては、「◎」と評価された中腰作業補助装置10Aが最も適していることが示される。また、「○」と評価された前屈作業補助装置10B及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dが、中腰作業補助装置10Aの次に適していることが示される。
【0120】
次に、重量物反転作業における作業補助装置評価処理について説明する。重量物反転作業は、ある場所において重量物の上下の向きを反転する作業である。
【0121】
重量物反転作業においては、
図4に示すように、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「立位姿勢」が入力される。また、持ち手(指)bの入力値として「第二関節まで」が入力される。また、持ち手(位置)cの入力値として「600mm以内」が入力される。また、持ち上げ距離dの入力値として「400mm」が入力される。また、最大重量eの入力値として「30kg」が入力される。また、繰り返し回数fの入力値として「130回」が入力される。また、作業時間gの入力値として「3時間」が入力される。また、往復移動距離hの入力値として「0m」が入力される。また、中腰作業の有無iの入力値として「無」が入力される。また、中腰作業時間kの入力値として「0時間」が入力される。
【0122】
上記入力値に基づいて、制御部3は、まず、
図2に示す適否判断処理を実行する(ステップS10)。具体的には、
図3に示すように、重量物反転作業では、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「立位姿勢」が入力されることから、適否判断処理において、制御部3は、上記入力値として「立位姿勢」が入力されていると判断する(ステップS20:YES)。
【0123】
これにより、制御部3は、中腰作業補助装置10Aを不適と判断する(ステップS21)。また、制御部3は、中腰作業補助装置10Aを評価値算出処理の対象から除外する(ステップS22)。
【0124】
評価値算出処理において、制御部3は、上述した入力値に基づいて、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値を算出する(ステップS11)。
【0125】
具体的には、前屈作業補助装置10Bにおいては、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「立位姿勢」が入力されていることから、0点が加点される(
図4及び
図5参照)。また、最大重量eの入力値として「30kg」が入力されており、当該入力値が30kg以下であることから、5点が加点される。また、作業時間gの入力値として「3時間」が入力されており、当該入力値が2時間以上4時間未満であることから、3点が加点される。以上から、上記点数の合計である前屈作業補助装置10Bの評価値は8となる。
【0126】
また、立位作業補助装置10Cにおいては、往復移動距離hの入力値として「0m」が入力されており、当該入力値が1m以下であることから、5点が加点される。また、作業時間gの入力値として「3時間」が入力されており、当該入力値が2時間以上4時間未満であることから、3点が加点される。以上から、上記点数の合計である立位作業補助装置10Cの評価値は8となる。
【0127】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおいては、中腰作業の有無iの入力値として「無」が入力されていることから、5点が加点される。また、持ち上げ距離dとして「400mm」が入力されており、当該入力値が400mm以上であることから、5点が加点される。また、繰り返し回数fの入力値として「130回」が入力されており、当該入力値が100回以上300回未満であることから、3点が加点される。以上から、上記点数の合計である上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値は13となる。
【0128】
次に、制御部3は、上記評価値に基づいて、最終評価処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部3は、前屈作業補助装置10Bの評価値が8であり、当該評価値が5点以上9点未満であることから、前屈作業補助装置10Bを「△」と評価する。
【0129】
また、制御部3は、立位作業補助装置10Cの評価値が8であり、当該評価値が8点以上であることから、立位作業補助装置10Cを「◎」と評価する。
【0130】
また、制御部3は、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの評価値が13であり、当該評価値が13点以上であることから、上肢姿勢保持作業補助装置10Dを「◎」と評価する。
【0131】
また、制御部3は、適否判断処理において不適と判断した中腰作業補助装置10Aを、「×」と評価する。
【0132】
以上から、重量物反転作業においては、「◎」と評価された立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dが最も適していることが示される。
【0133】
次に、重筋作業コスト算出処理の詳細について説明する。
【0134】
重筋作業コスト算出処理は、操作者による操作を契機として実行される。上記操作は、入力部5を介して行われる。なお、重筋作業コスト算出処理は、作業補助装置評価処理と同じ操作を契機として実行されるものとしてもよく、作業補助装置評価処理とは別の操作を契機として実行されるものとしてもよい。
【0135】
以下では、
図7のフローチャートを用いて、重筋作業コスト算出処理において制御部3が行う処理について説明する。本実施形態に係る重筋作業コスト算出処理においては、運動強度算出処理、第一重筋作業コスト算出処理及び第二重筋作業コスト算出処理が、上記した順番に行われる。
【0136】
まず、制御部3は、運動強度算出処理を実行する(ステップS30)。運動強度算出処理は、重筋作業に関する作業項目ごとに入力された入力値に基づいて、運動強度m(METs)を算出する処理である。
【0137】
運動強度mは、身体活動の強さを示すものである。運動強度mの単位としては、METsが用いられる。METsは、運動時(作業時)の身体活動の強さが、安静時(1METs)の何倍に相当するかを示す単位である。
【0138】
運動強度mは、作業項目のうち、重量物持ち上げ時の姿勢a、持ち手(指)b、持ち手(位置)c、持ち上げ距離d、最大重量e及び往復移動距離hに基づいて算出される。具体的には、運動強度mは、
図8に示すように、重量物持ち上げ時の姿勢a、持ち手(指)b、持ち手(位置)c、持ち上げ距離d、最大重量e及び往復移動距離hにそれぞれ設定された設定値(METs)に基づいて算出される。
【0139】
重量物持ち上げ時の姿勢aにおいては、「座り姿勢」、「立位姿勢」、「背伸び姿勢」、「中腰姿勢」及び「スクワット」に対応する設定値を、それぞれ1METs、2METs、3METs、4METs及び5METsとしている。
【0140】
持ち手(指)bにおいては、「第二関節まで」及び「第二関節超」に対応する設定値を、それぞれ1METs及び1.5METsとしている。
【0141】
持ち手(位置)cにおいては、「600mm以内」及び「600mm超」に対応する設定値を、それぞれ1METs及び1.5METsとしている。
【0142】
持ち上げ距離dにおいては、「100mm以下」、「100mm超150mm以下」、「150mm超200mm以下」、「200mm超250mm以下」、「250mm超300mm以下」、「300mm超350mm以下」、「350mm超400mm以下」、「400mm超500mm未満」及び「500mm以上」に対応する設定値を、それぞれ1METs及び1.5METs、2METs、2.5METs、3METs、3.5METs、4METs、4.5METs及び5METsとしている。
【0143】
最大重量eにおいては、「5kg以下」、「5kg超10kg以下」、「10kg超15kg以下」、「15kg超25kg未満」及び「25kg以上」に対応する設定値を、それぞれ1METs、2METs、3METs、4METs及び5METsとしている。
【0144】
往復移動距離hにおいては、「1m以下」、「1m超1.5m以下」、「1.5m超2m以下」、「2m超2.5m以下」、「2.5m超3m以下」、「3m超3.5m以下」、「3.5m超4m以下」、「4m超5m未満」及び「5m以上」に対応する設定値を、それぞれ1METs及び1.5METs、2METs、2.5METs、3METs、3.5METs、4METs、4.5METs及び5METsとしている。
【0145】
運動強度mは、以下の数式(1)によって算出される。
運動強度m=重量物持ち上げ時の姿勢aの設定値+持ち手(指)bの設定値+持ち手(位置)cの設定値+持ち上げ距離dの設定値+最大重量eの設定値+往復移動距離hの設定値・・・(1)
【0146】
次に、制御部3は、第一重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS31)。第一重筋作業コスト算出処理は、運動強度m、作業時間g及び時間単価に基づいて、第一の重筋作業コストを算出するものである。ここで、第一の重筋作業コストとは、作業補助装置10を使用していない状態での重筋作業において、作業者に掛かる負担を金銭的なコスト(費用)に換算したものである(
図9参照)。第一の重筋作業コストは、一日あたりのコストとして算出される。
【0147】
また、時間単価(円/秒)は、重筋作業において発生する1秒あたりのコストの基準となる値である。本実施形態では、時間単価を1秒あたり1円として説明する。時間単価は、ある重筋作業において発生する人件費に基づいて算出可能である。上記人件費としては、例えば、重筋作業が行われる工場や地域ごとに設定された種々のものを採用可能である。また、時間単価としては、人件費に基づいて算出されるものに限られず、重筋作業の種類や内容、工場の環境等に基づいて算出されたものを採用可能である。また、時間単価としては、上記した例に限られず、種々の値を採用可能である。
【0148】
第一重筋作業コスト算出処理により算出された第一重筋作業コストは、表示部4に表示される。
【0149】
第一重筋作業コストは、以下の数式(2)によって算出される。
第一重筋作業コスト=運動強度m×作業時間g×360×時間単価・・・(2)
【0150】
次に、制御部3は、第二重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS32)。第二重筋作業コスト算出処理は、第一重筋作業コストと、作業補助装置10ごとに設定された所定の運動強度低減割合と、に基づいて、第二の重筋作業コストを算出するものである。ここで、第二の重筋作業コストとは、作業補助装置10を使用した状態での重筋作業において、作業者に掛かる負担を金銭的なコスト(費用)に換算したものである(
図9参照)。第二の重筋作業コストは、第一の重筋作業コストと同様、一日あたりのコストとして算出される。
【0151】
運動強度低減割合は、作業補助装置10を使用した場合に重筋作業の運動強度mを低減させる割合である。運動強度低減割合は、作業補助装置10(中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10D)ごとにそれぞれ設定される。
【0152】
本実施形態では、中腰作業補助装置10Aの運動強度低減割合を40%としている。また、前屈作業補助装置10Bの運動強度低減割合を、中腰作業の有無iにおいて「有」が入力された場合には40%、「無」が入力された場合には20%としている。また、立位作業補助装置10Cの運動強度低減割合を50%としている。また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの運動強度低減割合を20%としている。
【0153】
第二重筋作業コストは、以下の数式(3)によって算出される。
第二重筋作業コスト=第一重筋作業コスト×(100-運動強度低減割合)/100・・・(3)
【0154】
本実施形態では、最終評価処理における評価が「◎」又は「○」とされた作業補助装置10について第二重筋作業コスト算出処理を行い、上記評価が「△」又は「×」とされた作業補助装置10については第二重筋作業コスト算出処理を行わないものとしている。
【0155】
第二重筋作業コスト算出処理により算出された第二重筋作業コストは、表示部4に表示される。本実施形態では、
図9に示すように、「◎」又は「○」と評価された複数の作業補助装置10の第二重筋作業コストを、並べて表示する構成としている。これにより、複数の作業補助装置10の第二重筋作業コストを比較し、最も第二重筋作業コストが低い作業補助装置10の評価が可能となる。
【0156】
制御部3は、第二重筋作業コスト算出処理を行った後、重筋作業コスト算出処理を終了する。
【0157】
以下では、重筋作業コスト算出処理の一例について説明する。なお、以下では、重筋作業の一例として、上記作業補助装置評価処理の一例と同様、重量物運搬作業及び重量物反転作業を例に挙げて説明する。
【0158】
まず、重量物運搬作業における重筋作業コスト算出処理について説明する。
【0159】
制御部3は、まず、
図7に示す運動強度算出処理を実行する(ステップS30)。制御部3は、
図4に示す重量物運搬作業の作業項目に入力された入力値に基づいて、重量物運搬作業における運動強度mを算出する。
【0160】
具体的には、重量物運搬作業においては、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「中腰姿勢」が入力されることから、重量物持ち上げ時の姿勢aにおける設定値は、4METsとなる(
図4及び
図8参照)。
【0161】
また、持ち手(指)bの入力値として「第二関節まで」が入力されることから、持ち手(指)bにおける設定値は、1METsとなる。
【0162】
また、持ち手(位置)cの入力値として「600mm以内」が入力されることから、持ち手(位置)cにおける設定値は、1METsとなる。
【0163】
また、持ち上げ距離dの入力値として「500mm」が入力されることから、持ち上げ距離dにおける設定値は、5METsとなる。
【0164】
また、最大重量eの入力値として「80kg」が入力されることから、当該入力値は「25kg以上」であるので、最大重量eにおける設定値は、5METsとなる。
【0165】
また、往復移動距離hの入力値として「2m」が入力されることから、往復移動距離hにおける設定値は、2METsとなる。
【0166】
以上から、重量物運搬作業における運動強度mは、18METsとなる。
【0167】
次に、制御部3は、重量物運搬作業における第一重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS31)。
【0168】
本実施形態では、作業時間gの入力値として8時間が入力される。従って、重量物運搬作業における第一重筋作業コストは、51840円となる。
【0169】
次に、制御部3は、重量物運搬作業における第二重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS32)。
【0170】
本実施形態では、重量物運搬作業における最終評価処理の評価が、中腰作業補助装置10Aについては「◎」、前屈作業補助装置10Bについては「○」、立位作業補助装置10Cについては「×」、上肢姿勢保持作業補助装置10Dについては「○」とされている。従って、制御部3は、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dについて第二重筋作業コスト算出処理を実行する。
【0171】
具体的には、中腰作業補助装置10Aについては、運動強度低減割合は40%とされている。従って、中腰作業補助装置10Aにおける第二重筋作業コストは、31104円となる。
【0172】
また、本実施形態では、中腰作業の有無iにおいて「有」が入力されているので、前屈作業補助装置10Bの運動強度低減割合は40%となる。従って、前屈作業補助装置10Bにおける第二重筋作業コストは、31104円となる。
【0173】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dについては、運動強度低減割合は20%とされている。従って、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおける第二重筋作業コストは、41472円となる。
【0174】
以上から、重量物運搬作業においては、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの第二重筋作業コストよりも、中腰作業補助装置10A及び前屈作業補助装置10Bの第二重筋作業コストが小さいことが示される。
【0175】
また、これにより、作業補助装置評価処理において共に「○」と評価された前屈作業補助装置10B及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dのうちでは、第二重筋作業コストの小さい前屈作業補助装置10Bの方が、重量物運搬作業に適している(適合度が高い)という評価が可能となる。
【0176】
次に、重量物反転作業における重筋作業コスト算出処理について説明する。
【0177】
制御部3は、まず運動強度算出処理を実行する(ステップS30)。制御部3は、重量物反転作業の作業項目に入力された入力値に基づいて、重量物反転作業における運動強度mを算出する。
【0178】
具体的には、重量物反転作業においては、重量物持ち上げ時の姿勢aの入力値として「立位姿勢」が入力されることから、重量物持ち上げ時の姿勢aにおける設定値は、2METsとなる(
図4及び
図8参照)。
【0179】
また、持ち手(指)bの入力値として「第二関節まで」が入力されることから、持ち手(指)bにおける設定値は、1METsとなる。
【0180】
また、持ち手(位置)cの入力値として「600mm以内」が入力されることから、持ち手(位置)cにおける設定値は、1METsとなる。
【0181】
また、持ち上げ距離dの入力値として「400mm」が入力されることから、持ち上げ距離dにおける設定値は、4METsとなる。
【0182】
また、最大重量eの入力値として「30kg」が入力されることから、当該入力値は「25kg以上」であるので、最大重量eにおける設定値は、5METsとなる。
【0183】
また、往復移動距離hの入力値として「0m」が入力されることから、当該入力値は「1m以下」であるので、往復移動距離hにおける設定値は、1METsとなる。
【0184】
以上から、重量物反転作業における運動強度mは、14METsとなる。
【0185】
次に、制御部3は、重量物反転作業における第一重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS31)。
【0186】
本実施形態では、作業時間gの入力値として3時間が入力される。従って、重量物反転作業における第一重筋作業コストは、15120円となる。
【0187】
次に、制御部3は、重量物反転作業における第二重筋作業コスト算出処理を実行する(ステップS32)。
【0188】
本実施形態では、重量物反転作業における最終評価処理の評価が、中腰作業補助装置10Aについては「×」、前屈作業補助装置10Bについては「△」、立位作業補助装置10Cについては「◎」、上肢姿勢保持作業補助装置10Dについては「◎」とされている。従って、制御部3は、立位作業補助装置10C、上肢姿勢保持作業補助装置10Dについて第二重筋作業コスト算出処理を実行する。
【0189】
具体的には、立位作業補助装置10Cについては、運動強度低減割合は50%とされている。従って、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおける第二重筋作業コストは、7560円となる。
【0190】
また、上肢姿勢保持作業補助装置10Dについては、運動強度低減割合は20%とされている。従って、上肢姿勢保持作業補助装置10Dにおける第二重筋作業コストは、12096円となる。
【0191】
以上から、重量物反転作業においては、上肢姿勢保持作業補助装置10Dの第二重筋作業コストよりも、立位作業補助装置10Cの第二重筋作業コストが小さいことが示される。
【0192】
また、これにより、作業補助装置評価処理において共に「◎」と評価された立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dのうちでは、第二重筋作業コストの小さい立位作業補助装置10Cの方が、重量物反転作業に適している(適合度が高い)という評価が可能となる。
【0193】
以上のように、本発明の一実施形態に係る作業補助装置の評価システム1は、
重筋作業を補助する複数の作業補助装置10の評価システム1であって、
前記重筋作業に関する作業項目ごとに入力された、前記重筋作業に関する入力値に基づいて、前記複数の作業補助装置10ごとの評価値を算出する(ステップS11)評価値算出部(制御部3)と、
前記評価値に基づいて、前記重筋作業に対する前記複数の作業補助装置10の適合の度合いを評価する(ステップS12)作業補助装置評価部(制御部3)と、
を具備するものである。
【0194】
このような構成により、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを好適に評価することができる。すなわち、重筋作業に関する入力値に基づいた定量的な評価により、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを評価することができる。これにより、所定の重筋作業に対して最も適した作業補助装置10を選択することができる。
【0195】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記評価値を算出する前に、前記入力値に基づいて、前記重筋作業に対する前記作業補助装置10の適否を判断する(ステップS10)適否判断部(制御部3)を具備し、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業補助装置10のうち、前記適否判断部(制御部3)により不適と判断された作業補助装置10以外の作業補助装置10について、前記評価値を算出するものである。
【0196】
このような構成により、評価値算出部(制御部3)による処理の簡素化を図ることができる。すなわち、所定の重筋作業に対して、ある程度適すると判断された作業補助装置10のみの評価値を算出することができ、評価値算出部(制御部3)による処理の簡素化を図ることができる。
【0197】
また、前記複数の作業補助装置10は、
前記重筋作業の補助に関する特性をそれぞれ有し、
前記評価値算出部(制御部3)は、
前記複数の作業補助装置10のうち一の作業補助装置10の評価を行う場合において、
前記複数の作業項目のうち前記一の作業補助装置10の前記特性に関する作業項目において、当該特性に応じた入力値が入力された場合、当該一の作業補助装置10の評価値が高くなるように当該評価値の算出を行うものである。
【0198】
このような構成により、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いをより好適に評価することができる。すなわち、所定の作業補助装置10の特性に応じた重筋作業に対して、当該作業補助装置10の評価値が高くなるように当該評価値の算出を行うことで、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いをより好適に評価することができる。
【0199】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記特性に関する作業項目(中腰作業の有無i)には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の姿勢に関する情報が含まれるものである。
【0200】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業者の姿勢を考慮した作業補助装置10の評価が可能となる。
【0201】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記特性に関する作業項目(往復移動距離h)には、
前記重筋作業を行う場合の作業者の移動距離に関する情報が含まれるものである。
【0202】
このような構成により、重筋作業を行う場合の作業者の移動距離を考慮した作業補助装置10の評価が可能となる。
【0203】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記特性に関する作業項目(最大重量e)には、
前記重筋作業を行う場合の重量物の重量に関する情報が含まれるものである。
【0204】
このような構成により、重筋作業を行う場合の重量物の重量を考慮した作業補助装置10の評価が可能となる。
【0205】
また、作業補助装置の評価システム1は、
前記重筋作業の運動強度m、作業時間g及び時間単価に基づいて、作業補助装置10を使用していない状態での前記重筋作業において、作業者に掛かる負担を示す第一の重筋作業コストを算出する(ステップS31)第一重筋作業コスト算出部(制御部3)と、
前記第一の重筋作業コストと、前記作業補助装置10に設定された運動強度低減割合と、に基づいて、前記作業補助装置10を使用した状態での前記重筋作業において、前記作業者に掛かる負担を示す第二の重筋作業コストを算出する(ステップS32)第二重筋作業コスト算出部(制御部3)と、
を具備するものである。
【0206】
このような構成により、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを分かり易く評価することができる。すなわち、第一の重筋作業コストと、作業補助装置10に設定された運動強度低減割合と、に基づいて、第二の重筋作業コストを算出することで、第二の重筋作業コストに基づいた定量的な評価により、重筋作業に対する作業補助装置10の適合の度合いを分かり易く評価することができる。
【0207】
また、作業者に掛かる負担という一般的に比較し難い対象を、コストという一般的に比較し易い金銭的な指標に置き換えて示すことができる。こうして、例えば作業補助装置10の取り扱いに比較的疎い作業者等であっても、重筋作業に対する作業補助装置10の適合度合いを直感的に把握することができ、重筋作業に応じて適切な作業補助装置10を使用することができる。
【0208】
なお、本実施形態に係る制御部3は、本発明に係る評価値算出部、作業補助装置評価部及び適否判断部の一形態である。
また、本実施形態に係る中腰作業の有無i、往復移動距離h及び最大重量eは、本発明に係る特性に関する作業項目の一形態である。
【0209】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0210】
例えば、本実施形態では、作業補助装置10の例として、中腰作業補助装置10A、前屈作業補助装置10B、立位作業補助装置10C及び上肢姿勢保持作業補助装置10Dを例示したが、このような態様に限られず、作業補助装置10としては、重筋作業を補助可能な種々のものを採用可能である。
【0211】
また、本実施形態に係る作業補助装置評価処理(適否判断処理、評価値算出処理及び最終評価処理)は、一例であり、上述した実施形態の構成に限られない。
【0212】
例えば、本実施形態では、制御部3により適否判断処理を実行する構成としたが、このような態様に限られない。すなわち、適否判断処理を実行せず、全ての作業補助装置10について評価値算出処理を実行する構成としてもよい。
【0213】
また、本実施形態に係る重筋作業コスト算出処理(運動強度算出処理、第一重筋作業コスト算出処理及び第二重筋作業コスト算出処理)は、一例であり、上述した実施形態の構成に限られない。
【0214】
例えば、本実施形態では、制御部3により運動強度算出処理を実行する構成としたが、このような態様に限られない。すなわち、運動強度算出処理を実行せず、運動強度として所定の値を入力するようにしてもよい。
【0215】
また、本実施形態では、複数の第二の重筋作業コストを、表示部4に比較可能に表示する構成としたが、このような態様に限られない。例えば、複数の第二の重筋作業コストのうち、最もコストの低いものを表示する構成としてもよい。
【0216】
また、本実施形態では、作業補助装置評価処理において、「◎」又は「○」と評価された作業補助装置10について、第二重筋作業コスト算出処理を実行する構成としたが、このような態様に限られない。例えば、全ての作業補助装置10について、第二重筋作業コスト算出処理を実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0217】
1 作業補助装置の評価システム
3 制御部(評価値算出部、作業補助装置評価部、適否判断部)
10 作業補助装置