(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】洗面装置
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20231026BHJP
A47K 10/48 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A47K1/00 K
A47K10/48 A
(21)【出願番号】P 2019119890
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宇惠 晴香
(72)【発明者】
【氏名】井戸田 育哉
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-080465(JP,A)
【文献】特開平11-036394(JP,A)
【文献】特開2017-179726(JP,A)
【文献】特開平10-028721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面ボウルと、
前記洗面ボウル内に空気を吹き出すハンドドライヤと、
前記ハンドドライヤの吹出口が設けられたケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、前記吹出口から前記洗面ボウル内に、抗菌作用を有する抗菌物質を供給する抗菌装置と、
を備える洗面装置。
【請求項2】
前記吹出口から、前記ハンドドライヤにより送風される空気とともに、前記抗菌物質が洗面ボウル内に供給される請求項1に記載の洗面装置。
【請求項3】
人体を検知するセンサをさらに備え、
前記抗菌装置は、前記センサにより人体が存在しないことが検知されたとき、前記抗菌物質を供給するように構成され
る請求項1
または2に記載の洗面装置。
【請求項4】
洗面ボウルと、
前記洗面ボウル内に、抗菌作用を有する抗菌物質を供給する抗菌装置と、
人体を検知するセンサと、
前記洗面ボウルの開口部を覆う蓋と、
前記センサにより人体が検知されたときに前記蓋を開け、前記センサにより人体が検知されないときに前記蓋を閉める蓋開閉装置と、
を備え
る洗面装置。
【請求項5】
前記抗菌装置は、前記蓋が閉められた前記洗面ボウル内に、前記抗菌物質を供給する請求項
4に記載の洗面装置。
【請求項6】
前記洗面ボウル内に空気を吹き出すハンドドライヤをさらに備え、
前記抗菌装置は、前記ハンドドライヤにより送風される空気とともに、前記抗菌物質が洗面ボウル内に供給されるように配置される請求項
4または5に記載の洗面装置。
【請求項7】
前記抗菌物質は、マイナスイオン、プラスイオン、オゾン、紫外線の少なくとも1つを含む請求項1から
6のいずれかに記載の洗面装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面ボウルに水の吐水口、石鹸液の吐出口およびハンドドライヤの吹出口が一体的に設けられ、手洗いから乾燥まで自動的に行うことのできる洗面装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような洗面装置では、使用者が快適に手洗い等を行うことができるよう、洗面装置の清潔性を向上することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、清潔性を向上した洗面装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の洗面装置は、洗面ボウルと、洗面ボウル内に抗菌作用を有する抗菌物質を供給する抗菌装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る洗面装置を備えた洗面化粧室の一部を示す斜視図である。
【
図2】ハンドドライヤおよびイオン発生装置の構成を説明するための概略図である。
【
図3】実施形態に係る洗面装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図4】別の実施形態に係る洗面装置を示す斜視図である。
【
図5】別の実施形態に係る洗面装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0009】
図1に示される洗面装置10は、手洗いから乾燥まで自動的に行うことのできる洗面装置である。
【0010】
洗面装置10は、カウンター102に設置されるカウンタータイプの洗面装置である。洗面装置10は、陶器製の洗面ボウル12と、洗面ボウル12の奥側に装着された機能ユニット14と、を備える。洗面ボウル12は、陶器製でなくてもよく、例えば樹脂製でもよい。
【0011】
機能ユニット14は、ケーシング16を有しており、各種の機能部品がケーシング16内に収容されている。ケーシング16の前面16aの略中央には、水の吐水口18が設けられている。ケーシング16の前面16aの向かって左側には、石鹸液の吐出口20が設けられている。吐水口18および吐出口20の直上にはそれぞれ、人体検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0012】
洗面装置10では、石鹸液の吐出口20の前方に手を差し出すと、吐出口20の直上に設けられた人体検知センサがこれを検知して吐出口20から自動的にムース状の石鹸液(石鹸液に空気を混合して泡状としたもの)を吐出する。ムース状の石鹸液に代えて、吐出口20から液状やジェル状の石鹸が吐出されてもよい。
【0013】
吐水口18の前方に手を差し出すと、吐水口18の直上に設けられた人体検知センサがこれを検知して吐水口18から自動的に水を吐水する。
【0014】
さらにケーシング16の前面16aの向かって右側には、ハンドドライヤ22の吹出口24が設けられている。ハンドドライヤ22は、吹出口24の直上に人体検知センサ26を備えている。手洗後の濡れた手を吹出口24の前方に差し出すと、人体検知センサによる検知に基づいて吹出口24から洗面ボウル12内に自動的に空気を吹き出し、濡れた手を乾燥させる。
【0015】
本実施形態に係る洗面装置10は、抗菌装置としてイオン発生装置28を備える。イオン発生装置28は、洗面ボウル12内にマイナスイオンを供給する。マイナスイオンは、抗菌物質の一種である。つまり、マイナスイオンは、抗菌作用を発揮する。本開示における抗菌は、広義の意味で用いられる。本開示における抗菌は、狭義の抗菌と、除菌と、殺菌との何れかのことである。狭義の抗菌は、表面における細菌の増殖を抑制することを意味する。殺菌は、滅菌と消毒との何れかのことである。マイナスイオンは、少なくとも除菌効果を有する。このイオン発生装置28は、ケーシング16内に設けられ、吹出口24から洗面ボウル12内にイオンが供給される。
図1には、吹出口24から供給されたイオンが図示されている。
【0016】
吹出口24から洗面ボウル12内に供給されたイオンにより、洗面ボウル12内や吐水口18、吐出口20などを除菌することができるので、洗面装置10の清潔性を向上することができる。
【0017】
本実施形態では、イオン発生装置28は、ハンドドライヤ22により送風される空気とともにイオンが洗面ボウル12内に供給されるように配置される。
【0018】
図2に示すように、ハンドドライヤ22は、吹出口24と、吹出ノズル27と、人体検知センサ26と、ドライヤ本体(図示せず)と、送風管29と、を備える。
【0019】
本実施形態に係る洗面装置10において、人体検知センサ26は、使用者の手が吹出口24の前方に差し出されたか否かを検知可能に構成されるとともに、使用者が洗面装置10の前に存在しているか否かを検知可能に構成される。
【0020】
図2に示すように、吹出口24は、左右に細長いスリット状に形成されている。吹出ノズル27は吹出口24の前方に設けられており、吹出口24からの空気を斜め下向きに導くように配置される。
【0021】
ドライヤ本体は、送風機及びヒータを有しており、カウンター102の下部に配置される。ドライヤ本体と吹出口24は、可撓性のホースから成る送風管29で連絡されている。ハンドドライヤ22においては、人体検知センサ26により使用者の手が吹出口24の前方に差し出されたことが検知されると、ドライヤ本体から温められた空気が送風管29を通じて吹出口24に送られる。吹出口24から吹き出された空気は、吹出ノズル27を通じて洗面ボウル12の内部に手乾燥用の温風として吹き出される。ヒータは、吹出口24、送風管29など風路の途中に設けられてもよい。
【0022】
イオン発生装置28は、既知の方式でイオンを発生させるものである。イオン発生装置28は、吹出口24の手前に配置されている。従って、イオンが発生中にハンドドライヤ22が作動すると、
図2に示すように、温風とともにイオンが洗面ボウル12内に供給される。
【0023】
図3のフローチャートを参照して、洗面装置10の動作を説明する。人体検知センサ26は、洗面装置10の前に人体が存在するか否か検知する(S10)。人体検知センサ26により人体が検知されたとき(S10のYes)、イオン発生装置28は作動せず、従ってイオンは供給されない(S12)。
【0024】
一方、人体検知センサ26により洗面装置10の前に人体が存在しないことが検知されたとき(S10のNo)、イオン発生装置28およびハンドドライヤ22が作動し、洗面ボウル12内にイオンが供給される(S14)。これにより、洗面ボウル12や吐水口18および吐出口20の除菌を行うことができる。洗面装置10前に人が不在のときにイオンを吹き出すことにより、イオンを洗面ボウル12から洗面化粧室100内に拡散させることができるので、洗面化粧室100内の空気清浄を行うことができる。
【0025】
図4に示すように、別の実施形態に係る洗面装置30は、蓋32と、蓋開閉装置34と、人体検知センサ19とをさらに備える点が、上述の洗面装置10と異なる。ハンドドライヤ22およびイオン発生装置28の構成等は
図2に示すものと同様であってよい。
【0026】
蓋32は、洗面ボウル12の開口部を覆うことが可能な大きさおよび形状に形成されている。蓋32が閉められたとき、蓋32と洗面ボウル12との間は略密閉空間となる。本実施形態において、蓋32は、巻き取り可能な材質で形成される。
【0027】
人体検知センサ19は、上述の人体検知センサ26とは別のセンサであり、蓋32が閉じた状態でも人体を検知可能な位置(例えばケーシング16の上面)に設けられる。
【0028】
蓋開閉装置34は、ケーシング16内に収容されており、人体検知センサ19による使用者の検知結果に応じて、蓋32を自動的に開閉可能に構成される。本実施形態においては、蓋開閉装置34は、蓋32を巻き取り式で収納する。
【0029】
図5のフローチャートを参照して、洗面装置30の動作を説明する。人体検知センサ19は、洗面装置10の前に人体が存在するか否か検知する(S20)。人体検知センサ19により人体が検知されると(S20のYes)、蓋開閉装置34は蓋32を開ける(S22)。これにより、洗面装置30を使用可能な状態となる。
【0030】
一方、人体検知センサ19により使用者が洗面装置10の前に検知されないと(S20のNo)、蓋開閉装置34は蓋32を閉める(S24)。このように、洗面装置10の前に使用者を検知していないときには蓋32を閉め、洗面装置10の前に使用者を検知したときだけ蓋32を開けることにより、埃などで洗面ボウル12内が汚れ難くなるので、清潔性を向上することができる。
【0031】
蓋32が閉められているとき、イオン発生装置28は、洗面ボウル12内にイオンを供給する(S26)。この場合、略密閉空間内にイオンを満たすことができるので、より効果的に洗面ボウル12内の除菌を行うことができる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、及びそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0033】
上述の実施形態とは異なり、洗面装置は、壁掛タイプのものであってもよい。
【0034】
上述の実施形態とは異なり、ハンドドライヤの吹出口とは別の部分からイオンが洗面ボウル内に供給されるように構成されてもよい。イオンを洗面ボウル12内に閉じ込める手段として、蓋32の代わりに、エアカーテンを用いてもよい。
【0035】
上述の実施形態とは異なり、抗菌物質としてマイナスイオンおよびプラスイオンの両方を用いてもよいし、プラスイオンのみを用いてもよい。抗菌物質として、イオンの代わりに、オゾンおよび紫外線の少なくとも何れかを用いてもよいし、イオンに加えて、オゾンおよび紫外線の少なくとも何れかを用いてもよい。すなわち、抗菌物質としてのマイナスイオン、プラスイオン、オゾン、紫外線からなる群より選択される少なくとも一種を用いてよい。
【0036】
上述の実施形態とは異なり、蓋32は、折り畳み式、蛇腹式などの方式で収納されてもよい。人が洗面ボウル12の近くに居る時に、人に有害性が低い抗菌物質を供給してもよい。人が洗面ボウル12の近くに居る場合、人が洗面ボウル12の近くに存在しない場合に比べ、抗菌物質を供給するための風量を小さくしてもよい。所定の時間帯(例えば夜間)においては、その他の時間帯の場合に比べ、抗菌物質を供給するための風量を小さくしてもよい。抗菌物質を供給する場合は、ヒータを動作させなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 洗面装置、 12 洗面ボウル、 14 機能ユニット、 16 ケーシング、 18 吐水口、 20 吐出口、 22 ハンドドライヤ、 24 吹出口、 26 人体検知センサ、 27 吹出ノズル、 28 イオン発生装置、 29 送風管、 30 洗面装置、 32 蓋、 34 蓋開閉装置、 100 洗面化粧室、 102 カウンター。