IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プレート式熱交換器 図1
  • 特許-プレート式熱交換器 図2
  • 特許-プレート式熱交換器 図3
  • 特許-プレート式熱交換器 図4
  • 特許-プレート式熱交換器 図5
  • 特許-プレート式熱交換器 図6
  • 特許-プレート式熱交換器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20231026BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20231026BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20231026BHJP
   F24H 9/00 20220101ALN20231026BHJP
   F24H 1/14 20220101ALN20231026BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F27/00 511J
F28F3/08 311
F24H9/00 A
F24H1/14 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019166897
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042929
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘逸
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1389465(KR,B1)
【文献】特開2005-308232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D1/00-13/00
F28F3/08,27/00
F24H1/14,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換体を備え、前記複数の熱交換体が積層されて構成されるプレート式熱交換器であって、
前記熱交換体は、前記熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路面と交差する方向に前記第2流体が前記熱交換体の外部を流通するように形成された複数の貫通孔を有し、
隣接する熱交換体は、前記第2流体の流路方向から見て、一方の熱交換体の前記貫通孔の投影面が、他方の熱交換体の前記貫通孔と重ならないように形成され、
少なくとも前記第2流体の流路の最上流に位置する最上流熱交換体を含む上流側熱交換群における各熱交換体は、前記上流側熱交換群前記第2流体の前記流路の下流側に隣接する熱交換体から最下流に位置する最下流熱交換体までの下流側熱交換群におけるそれよりも、前記複数の貫通孔の総開口面積が大きくなるように形成されているプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載のプレート式熱交換器において、
前記上流側熱交換群は、前記最上流熱交換体から前記第2流体の前記流路の前記下流側の所定位置の熱交換体までを含むプレート式熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプレート式熱交換器において、
前記上流側熱交換群における前記各熱交換体は、前記下流側熱交換群におけるそれよりも、最大貫通孔の開口面積が大きくなるように形成されているプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプレート式熱交換器において、
前記上流側熱交換群における前記各熱交換体は、前記下流側熱交換群におけるそれよりも、前記第1流体の流路の容積が大きくなるように形成されているプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換体を有し、複数の熱交換体が積層されて構成されるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上熱交換プレートと下熱交換プレートとが接合された複数の熱交換体を備えるプレート式熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1)。各熱交換体は、上熱交換プレートと下熱交換プレートとの間に第1流体である熱媒が流通する内部空間と、内部空間を非連通状態で貫通し、第2流体である燃焼排気が上下方向に流通する複数の貫通孔とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国登録特許第10-1608149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の熱交換体が積層されたプレート式熱交換器では、燃焼排気の流路方向から見て、一方の熱交換体の貫通孔の投影面が他方の熱交換体の貫通孔と重ならないように隣接する熱交換体を形成すれば、熱交換器内の燃焼排気のガス流路が長くなり、熱効率を向上させることができる。また、できるだけ小さな開口面積の貫通孔を形成すれば、熱交換体の受熱面積が大きくなり、熱効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、上記のような貫通孔の配置構造を有する熱交換器では、上流側の熱交換体の貫通孔は下流側の熱交換体の貫通孔の形成されていない投影面と対向する。そのため、上流側の熱交換体の貫通孔を流通した燃焼排気は、まず上記の下流側の熱交換体の一面上の投影面に衝突し、その後、下流側の熱交換体の一面上に広がり、さらに下流側の熱交換体の貫通孔から下流側に流通する。従って、高温の燃焼排気が流通する燃焼排気のガス流路の上流域では、下流側の熱交換体における上流側の熱交換体の貫通孔と対向する部分が集中して加熱され、ローカルヒートが生じるという問題がある。特に、燃焼排気のガス流路の最上流の熱交換体に隣接する下流側の熱交換体には、最上流の熱交換体の内部を流通する熱媒と熱交換することなく、最上流の熱交換体の貫通孔を流通する高温の燃焼排気が衝突するため、ローカルヒートの問題が生じやすい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、第2流体の流路の上流域における熱交換体のローカルヒートを防止することができるプレート式熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換体を備え、前記複数の熱交換体が積層されて構成されるプレート式熱交換器であって、
前記熱交換体は、前記熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路面と交差する方向に前記第2流体が前記熱交換体の外部を流通するように形成された複数の貫通孔を有し、
隣接する熱交換体は、前記第2流体の流路方向から見て、一方の熱交換体の前記貫通孔の投影面が、他方の熱交換体の前記貫通孔と重ならないように形成され、
少なくとも前記第2流体の流路の最上流に位置する最上流熱交換体を含む上流側熱交換群における各熱交換体は、前記上流側熱交換群前記第2流体の前記流路の下流側に隣接する熱交換体から最下流に位置する最下流熱交換体までの下流側熱交換群におけるそれよりも、前記複数の貫通孔の総開口面積が大きくなるように形成されているプレート式熱交換器が提供される。
【0008】
上記熱交換器によれば、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔の下流側に隣接する熱交換体への投影面の総面積は、下流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔のそれよりも大きい。そのため、第2流体が上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を流通して、その下流側に隣接する熱交換体に衝突する部分の総受熱面積は、第2流体が下流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を流通して、その下流側に隣接する熱交換体に衝突する部分のそれよりも大きい。従って、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を流通する第2流体が下流側に隣接する熱交換体に衝突するとき、第2流体から熱交換体に伝達される熱の集中を緩和させることができる。これにより、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を流通する第2流体がその下流側に隣接する熱交換体に衝突するときの下流側に隣接する熱交換体の局部過熱を防止することができる。
【0009】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記上流側熱交換群は、前記最上流熱交換体から前記第2流体の前記流路の前記下流側の所定位置の熱交換体までを含む。
【0010】
上記熱交換器によれば、最上流熱交換体だけでなく、最上流熱交換体から下流側の所定位置までの熱交換体も大きな貫通孔の総開口面積を有する。そのため、下流側の熱交換体の内部空間が減少し、隣接する貫通孔間の距離が短くなる。その結果、第1流体が下流側の熱交換体の内部を流通するとき、第1流体の流速が増加するとともに、上流側の熱交換体の貫通孔の投影面周辺により多くの第1流体が流れる。従って、貫通孔の投影面周辺の熱を逃がすことができる。これにより、下流側の熱交換体の局部過熱を防止することができる。
【0011】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記上流側熱交換群における前記各熱交換体は、前記下流側熱交換群におけるそれよりも、最大貫通孔の開口面積が大きくなるように形成される。
【0012】
上流側熱交換群における各熱交換体には、下流側熱交換群における各熱交換体よりも高温の第2流体が接触する。また、第2流体の温度が高温であるほど、第2流体が貫通孔を通過するときの圧力損失が大きくなる。従って、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔が、下流側熱交換群における各熱交換体のそれよりも小さい場合、第2流体が上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を通過するときの圧力損失が大きくなる。しかしながら、上流側熱交換群における各熱交換体の最大貫通孔の開口面積を下流側熱交換群における各熱交換体の最大貫通孔のそれよりも大きくすることにより、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔を通過する第2流体の圧力損失を低減することができる。
【0013】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記上流側熱交換群における前記各熱交換体は、前記下流側熱交換群におけるそれよりも、前記第1流体の流路の容積が大きくなるように形成される。
【0014】
熱交換体の貫通孔の総開口面積を増加させると、熱交換体の内部を流れる第1流体の流路が狭くなって、第1流体の流路抵抗が増加する。しかしながら、上記熱交換器によれば、上流側熱交換群における各熱交換体の内部を流れる第1流体の流路は、下流側熱交換群における内部を流通する第1流体のそれよりも大きな容積を有するから、第1流体の流路抵抗の増加を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、第2流体の流路方向から見て、隣接する熱交換体の一方の熱交換体の貫通孔の投影面が他方の熱交換体の貫通孔と重ならないように複数の熱交換体が積層されているプレート式熱交換器において、第2流体の流路の上流域における熱交換体のローカルヒートを防止することができる。これにより、第1流体の沸騰や変性を防止できるとともに、熱交換体の変形を防止できるから、優れた耐久性を有する熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る熱交換器を有する熱源機を示す概略部分切欠斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る熱交換器を示す概略部分分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る熱交換器を示す流入管側の概略要部拡大断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る熱交換器を示す流出管側の概略要部拡大断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る熱交換器における第1流体と第2流体の流れを説明する概略模式図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る熱交換器における第1流体と第2流体の流れを説明する概略模式図である。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係る熱交換器における第1流体と第2流体の流れを説明する概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係るプレート式熱交換器及びそれを備える熱源機について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る熱源機は、流入管20から熱交換器1内に流入する水(第1流体)を、バーナ31で生成される燃焼排気(第2流体)により加熱し、流出管21を通じてカランやシャワーなどの温水利用先(図示せず)に供給する給湯器である。図示しないが、給湯器は、ケーシング内に組み込まれる。なお、第1流体として、他の熱媒(例えば、不凍液)が用いられてもよい。
【0019】
この給湯器では、上方から順に、バーナ31の外郭を構成するバーナボディ3、燃焼室2、熱交換器1、及びドレン受け40が配設される。また、バーナボディ3の一方側方(図1では、右側)には、バーナボディ3内に燃料ガスと空気との混合ガスを送り込む燃焼ファンを備えるファンケース4が配設される。また、バーナボディ3の他方側方(図1では、左側)には、ドレン受け40と連通する排気ダクト41が配設される。排気ダクト41は、ドレン受け40に排出される燃焼排気を給湯器の外部に排出する。
【0020】
なお、本明細書では、ファンケース4及び排気ダクト41がバーナボディ3の側方にそれぞれ配置された状態で給湯器を見たとき、奥行方向が前後方向に対応し、幅方向が左右方向に対応し、高さ方向が上下方向に対応する。
【0021】
バーナボディ3は、平面視略小判形状を有し、例えば、ステンレス系金属で形成される。図示しないが、バーナボディ3は、下方に開放している。
【0022】
ファンケース4と連通するガス導入部は、バーナボディ3の中央部から上方に突出している。バーナボディ3は、下向きの燃焼面30を有する平面状のバーナ31を備える。燃焼ファンを作動させることにより、混合ガスがバーナボディ3内に供給される。
【0023】
バーナ31は、全一次空気燃焼式であり、例えば、下向きに開口する多数の炎孔(図示せず)を有するセラミックス製の燃焼プレート、または金属繊維をネット状に編み込んだ燃焼マットからなる。バーナボディ3内に供給された混合ガスが、燃焼ファンの給気圧によって、下向きの燃焼面30から下方へ向けて噴出される。この混合ガスを着火させることにより、バーナ31の燃焼面30に火炎が形成され、燃焼排気が生成される。従って、バーナ31から噴出される燃焼排気は、燃焼室2を介して熱交換器1に送り込まれる。次いで、熱交換器1を通過した燃焼排気は、ドレン受け40及び排気ダクト41を通って給湯器の外部に排出される。
【0024】
すなわち、この熱交換器1では、バーナ31が設けられている上方側が燃焼排気のガス流路の上流側に対応し、バーナ31が設けられている側と反対側の下方側が燃焼排気のガス流路の下流側に対応する。
【0025】
燃焼室2は、平面視略小判形状を有する。燃焼室2は、例えば、ステンレス系金属で形成される。燃焼室2は、上下に開放するように、一枚の略長方形状の金属板を湾曲させて両端部を接合することにより形成される。
【0026】
図2に示すように、熱交換器1は、平面視略小判形状を有する。熱交換器1は、複数の薄板状の熱交換体10が積層されたプレート式熱交換器である。なお、熱交換器1は、その周囲を覆う筐体を有してもよい。
【0027】
図3及び図4は、熱交換器1の燃焼排気のガス流路の上流域における4つの熱交換体10を示す概略拡大断面図である。熱交換器1は、1または複数の熱交換体10を有する複数のブロック5を上下方向に積み重ねて構成されている。最上流のブロック5(以下、「最上流ブロック5a」という)及び最上流ブロック5aに隣接する下流側のブロック5(以下、「第1下流側ブロック5b」という)はそれぞれ、1つの熱交換体10から構成されている。また、第1下流側ブロック5bの下流側に隣接するブロック(以下、「第2下流側ブロック5c」という)は、複数の熱交換体10が積層されて構成されている。後述するように、1つのブロック5が複数の熱交換体10から構成される場合、水は、その1つのブロック5を構成する各熱交換体10の内部を同一方向に並列に流れる。また、各ブロック5における隣接する熱交換体10は、水が下方から上方に向かって流れるように相互に連通されている。また、隣接するブロック5は、水が下方から上方に向かって流れるように相互に連通されている。また、隣接するブロック5は、一方のブロック5における各熱交換体10の内部を流れる水の流路方向が、他方のブロック5における各熱交換体10の内部を流れる水の流路方向と逆方向となるように構成されている。図示しないが、この熱交換器1では、熱交換器1内の水の流路がブロック5の段数に応じて4パスとなるように、ブロック5ごとに水の流路方向が折り返されている。これにより、熱交換器1内に長い水の流路が形成され、熱効率を向上させることができる。
【0028】
次に、熱交換体10の構成について説明する。各熱交換体10は、上下貫通孔の位置やコーナ部の通水孔の有無などの一部の構成が相違する以外は、共通の構成を有する一組の上熱交換プレート11と下熱交換プレート12とを上下方向に重ね合わせて、後述する所定箇所をロウ材等の接合手段で接合することにより形成される。また、ローカルヒートは、高温の燃焼排気が流通する燃焼排気のガス流路の上流域における熱交換体10で生じる。このため、以下では、燃焼排気のガス流路の最上流に位置する熱交換体10(以下、「最上流熱交換体10a」という)及び最上流熱交換体10aから下流側の2つの熱交換体10(以下、上流側から順に、「第2熱交換体10b」及び「第3熱交換体10c」という)の構成を主に説明する。なお、各図面は、必ずしも実際の寸法を示したものでなく、実施形態を限定するものではない。
【0029】
図2図4に示すように、上下熱交換プレート11,12は、平面視略小判形状を有する。上下熱交換プレート11,12は、例えば、所定の厚さを有するステンレス製の金属板から形成される。上下熱交換プレート11,12はそれぞれ、コーナ部を除くプレートの略全面に多数の略円形状の上下貫通孔11a,12aと、上下貫通孔11a,12aの周縁に形成された上下貫通孔フランジ部11c,12cとを有する。なお、上下貫通孔11a,12aは、略楕円形状などの他の形状を有してもよい。
【0030】
上下熱交換プレート11,12の周縁にはそれぞれ、上方に向かって突出する上下周縁接合部W1,W2が形成されている。下熱交換プレート12の下周縁接合部W2は、下周縁接合部W2と上熱交換プレート11の下面周縁とを接合させたときに、上下熱交換プレート11,12が所定高さの間隙を存して離間するように設定されている。
【0031】
また、上熱交換プレート11の上周縁接合部W1は、上周縁接合部W1と上方に隣接する熱交換体10の下熱交換プレート12の下面周縁とを接合させたときに、下方の熱交換体10の上熱交換プレート11と、上方の熱交換体10の下熱交換プレート12とが所定高さの間隙を存して離間するように設定されている。
【0032】
従って、下熱交換プレート12の下周縁接合部W2と上熱交換プレート11の下面周縁とを接合させることにより、所定の平均高さの内部空間14が形成される(図3及び図4参照)。また、複数の熱交換体10を接合させることにより、上下に隣接する熱交換体10の間には、所定の平均高さの排気空間15が形成される(図3及び図4参照)。
【0033】
上下貫通孔11a,12aはそれぞれ、4つのコーナ部を除いた上下熱交換プレート11,12の略全面にわたって前後及び左右方向に所定の間隔で格子状に開設されている。また、上下貫通孔フランジ部11c,12cは、上下貫通孔11a,12aの開口縁から周方向外方に略水平に広がり、平面視略正八角形状の外形を有するように形成されている。なお、本実施の形態では、各熱交換体10の上下貫通孔11a,12aは、同一の大きさ及び形状を有する。しかしながら、各熱交換体10の上下貫通孔11a,12aは、上下方向で対向する一対の上下貫通孔11a,12aが同一の大きさ及び形状に形成されていれば、他の一対の上下貫通孔11a,12aのそれらと異なってもよい。
【0034】
上下貫通孔11a,12a及び上下貫通孔フランジ部11c,12cはそれぞれ、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに相互に対応する位置に形成されている。また、上下貫通孔11a,12a及び上下貫通孔フランジ部11c,12cは、絞り加工により、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに対向する上下貫通孔フランジ部11c,12cが面接触するように、内方に突出する段差部の底面に形成されている。
【0035】
従って、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされた状態で、上下貫通孔フランジ部11c,12cがロウ材等の接合手段により接合されると、上下貫通孔フランジ部11c,12cによって内部空間14を閉塞するフランジ部が形成される。また、上下貫通孔11a,12aによって内部空間14を非連通状態で貫通する貫通孔13が形成される。
【0036】
上下貫通孔11a,12aや上下貫通孔フランジ部11c,12cを除く上下熱交換プレート11,12の略全面には、複数の上下凹部及び複数の上下凸部がそれぞれ所定の間隔で形成されている。これらの上下凹部及び上下凸部はそれぞれ、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに相互に対応する位置に形成されている。従って、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされると、上下凹部によって熱交換体10の内部空間14の高さを減少させる内向き段差部が形成され、上下凸部によって熱交換体10の内部空間14の高さを増加させる外向き段差部が形成される。なお、これらの凹凸部は、形成されなくてもよい。
【0037】
最上流熱交換体10aを形成する上熱交換プレート11を除いて、各熱交換体10の上下熱交換プレート11,12はそれぞれ、少なくとも1つのコーナ部に、通水孔63と、通水孔63の周縁から外方に向かって突出する通水孔フランジ部とを有する。1つの熱交換体10を形成する上下熱交換プレート11,12の少なくとも1つのコーナ部に設けられた通水孔63は、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたとき、上下熱交換プレート11,12の間に形成される内部空間14と連通するように開口している。
【0038】
図5は、熱交換器1における燃焼排気及び水の流れを説明する概略模式図である。なお、煩雑化を避けるため、図5中、凹凸部や貫通孔の周囲のフランジ部は省略されている。
【0039】
第3熱交換体10cを形成する上熱交換プレート11及び第2熱交換体10bを形成する下熱交換プレート12の右側前方のコーナ部には、対向する通水孔63が形成されている。また、第2熱交換体10bを形成する上熱交換プレート11及び最上流熱交換体10aを形成する下熱交換プレート12の左側前後両方のコーナ部には、対向する通水孔63が形成されている。これらの上下熱交換プレート11,12に形成されている通水孔63は、上下に隣接する熱交換体10の同軸上に位置する通水孔63の周縁の通水孔フランジ部相互を接合させることにより、上下に隣接する熱交換体10を連通させる連通路を形成している。
【0040】
燃焼排気のガス流路の最下流に位置する熱交換体(以下、「最下流熱交換体10s」という)を形成する下熱交換プレート12の左側前方のコーナ部の通水孔63には、流入管20が接続されている。また、最下流熱交換体10sを形成する下熱交換プレート12の右側後方のコーナ部の通水孔63には、最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまで上方に向かって延びる導出管23が挿通されている。導出管23の上端部は、最上流熱交換体10aを形成する下熱交換プレート12の右側後方のコーナ部の通水孔63と接続されている。導出管23の外周面は、最下流熱交換体10sを形成する下熱交換プレート12の右側後方のコーナ部の通水孔63の内周縁とロウ材等の接合手段により接合されている。また、導出管23の上端開口部は、最上流熱交換体10aの内部空間14と連通している。また、導出管23が最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまで挿通されると、導出管23は最上流熱交換体10a以外の熱交換体10の内部空間14及び全ての排気空間15を非連通状態で貫通する。
【0041】
従って、燃焼排気のガス流路の上流域において、左側前後両方のコーナ部の通水孔63から第3熱交換体10cの内部空間14に流入する水は、内部空間14内を左右方向の一方向(図5中、左側から右側)に流れる。また、右側前方のコーナ部の通水孔63から第2熱交換体10bの内部空間14内に流入する水は、内部空間14内を左右方向の一方向(図5中、右側から左側)に流れる。この第2熱交換体10bの内部空間14を流通する水の流路方向は、第3熱交換体10cのそれと反対になる。また、左側前後両方のコーナ部の通水孔63から最上流熱交換体10aの内部空間14内に流入する水は、内部空間14内を左右方向の一方向(図5中、左側から右側)に流れる。この最上流熱交換体10aの内部空間14を流通する水の流路方向は、第2熱交換体10bのそれと反対になる。そして、最上流熱交換体10aの内部空間14内を流通する水は、最上流熱交換体10aの右側後方のコーナ部の通水孔63に挿通された導出管23に流出する。導出管23に流出する水は、導出管23を流下し、最下流熱交換体10sに接続された流出管21から熱交換器1の外部に流出する。
【0042】
図3図5に示すように、隣接する熱交換体10の貫通孔13は、上流側の熱交換体10の貫通孔13の投影面が下流側の熱交換体10の貫通孔13と重ならないように、燃焼排気の流路方向に対して垂直に交差する左右方向にずれている。従って、上流側から流れてきた燃焼排気は、1つの熱交換体10の貫通孔13を通過した後、その熱交換体10と下流側に隣接する熱交換体10との間の排気空間15に流れ出る。そして、排気空間15に流れ出た燃焼排気は、下流側に隣接する熱交換体10の上熱交換プレート11に衝突し、下流側に隣接する熱交換体10の貫通孔13からさらに下流側に流れる。すなわち、燃焼排気が熱交換器1内を上流側から下流側に向かって流れるとき、熱交換器1内にはジグザグ状のガス流路が形成される。これにより、熱交換器1内における燃焼排気と上下熱交換プレート11,12との接触時間が増加する。
【0043】
また、第2熱交換体10b及び第3熱交換体10cの各貫通孔13は、略同一の開口面積を有するように形成されているが、最上流熱交換体10aの各貫通孔13は、第2熱交換体10b及び第3熱交換体10cのそれよりも大きな開口面積を有するように形成されている(例えば、第2熱交換体10bの各貫通孔13の開口面積の150~200%)。上流側の熱交換体10の貫通孔13の投影面が下流側の熱交換体10の貫通孔13と重ならないように、各熱交換体10における貫通孔13の数は同一に設定され、各熱交換体10における隣接する貫通孔13の中心間の距離は略同一に設定されている。従って、最上流熱交換体10aにおける隣接する貫通孔13間の距離は、第2熱交換体10b及び第3熱交換体10cにおける隣接する貫通孔13間のそれよりも小さい。すなわち、最上流熱交換体10aは、第2熱交換体10b及び第3熱交換体10cより、大きな貫通孔13の総開口面積を有する(例えば、第2熱交換体10bの貫通孔13の総開口面積の150~200%)。なお、図示しないが、第3熱交換体10cから最下流熱交換体10sまでの熱交換体10の各貫通孔13は、第3熱交換体10cのそれと略同一の形状及び大きさを有する。従って、本実施の形態では、最上流熱交換体10aが上流側熱交換群9aを構成し、第2熱交換体10bから最下流熱交換体10sまでの熱交換体10が下流側熱交換群9bを構成する。
【0044】
本実施の形態によれば、燃焼排気は各熱交換体10を貫通する貫通孔13を上下方向に流通する。従って、各熱交換体10の貫通孔13は、燃焼排気が各熱交換体10の内部を流通する水の流路面に対して略垂直に交差する方向に熱交換体10の外部を流通するように形成されている。また、貫通孔13は、各熱交換体10の略全面に前後及び左右方向に略一定の間隔で形成されている。そのため、ガス流路の上流側から流れてくる燃焼排気は、貫通孔13を除いた最上流熱交換体10aの一面全体に衝突し、最上流熱交換体10aを加熱する。すなわち、最上流熱交換体10aでは、貫通孔13を除いた部分が受熱面となる。一方、隣接する熱交換体10は、上流側の熱交換体10の貫通孔13の投影面が下流側の熱交換体10の貫通孔13と重ならないように形成されている。そのため、最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通する燃焼排気は、第2熱交換体10b上の小面積の投影面にまず衝突する。この第2熱交換体10bに衝突する燃焼排気は、最上流熱交換体10aと接触していない高温の燃焼排気(すなわち、最上流熱交換体10aの内部空間14内を流通する水と熱交換が行われていない燃焼排気)も含んでいる。その結果、最上流熱交換体10aの下流側に隣接する第2熱交換体10bで局部過熱が生じやすい。
【0045】
しかしながら、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10aの貫通孔13は、第2熱交換体10bのそれよりも、大きな総開口面積を有するように形成されているから、最上流熱交換体10aの貫通孔13を第2熱交換体10bに投影した投影面の総面積は、第2熱交換体10bの貫通孔13を第3熱交換体10cに投影した投影面のそれよりも大きい。このため、燃焼排気が最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通して第2熱交換体10bに衝突する部分の総受熱面積は、燃焼排気が第2熱交換体10bの貫通孔13を流通して第3熱交換体10cに衝突する部分のそれよりも大きい。これにより、燃焼排気から第2熱交換体10bに伝達される熱の集中が緩和され、第2熱交換体10bの局部過熱を防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、上流側熱交換群9aを構成する最上流熱交換体10aのみが大きな貫通孔13を有し、下流側熱交換群9bを構成する最下流熱交換体10sから第2熱交換体10bまでの熱交換体10は小さな貫通孔13を有するから、最上流熱交換体10aの内部を流通する水の流量が減少しても、熱交換器1全体の熱効率の低下を抑えることができる。
【0047】
なお、好ましくは、上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10は、下流側熱交換群9bにおけるそれよりも、最大貫通孔13の開口面積が大きくなるように形成される。上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10には、下流側熱交換群9bにおける各熱交換体10よりも高温の燃焼排気が接触する。また、燃焼排気の温度が高温であるほど、燃焼排気が貫通孔13を通過するときの圧力損失が大きくなる。従って、上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10の貫通孔13が、下流側熱交換群9bにおける各熱交換体10のそれよりも小さい場合、燃焼排気が上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10の貫通孔13を通過するときの圧力損失が大きくなる。しかしながら、上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10の最大貫通孔13の開口面積を下流側熱交換群9bにおける各熱交換体10の最大貫通孔13のそれよりも大きくすることにより、上流側熱交換群9aにおける各熱交換体10の貫通孔13を通過する燃焼排気の圧力損失を低減することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通して第2熱交換体10bに高温の燃焼排気が衝突することによる第2熱交換体10bのローカルヒートを防止することができる。従って、第2熱交換体10bの内部を流れる水の局部的な沸騰を防止できるとともに、第2熱交換体10bの内部の圧力の増加による第2熱交換体10bの損傷を防止でき、熱交換器1の耐久性を向上させることできる。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る熱交換器1aは、ブロック5の構成が異なる以外は、実施の形態1の熱交換器1と同一の構成を有する。このため、実施の形態1と異なる構成のみを説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、本実施の形態の熱交換器1aは、水が最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14を左右方向で同一方向(図5中、左側から右側)に並列に流通するように形成されている。このため、最上流ブロック5aには、2つの平行流路が形成される。従って、本実施の形態では、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bが最上流ブロック5aを構成し、第3熱交換体10cが第1下流側ブロック5bを構成する。
【0051】
また、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bは同一の最上流ブロック5aに属するが、実施の形態1と同様に、最上流熱交換体10aのみが大きな貫通孔13を有する。このため、最上流熱交換体10aが上流側熱交換群9aを構成し、第2熱交換体10bから最下流熱交換体10sまでの熱交換体10が下流側熱交換群9bを構成する。
【0052】
従って、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、最上流熱交換体10aの貫通孔13の総開口面積及び各貫通孔13の開口面積は、第2熱交換体10bのそれらよりも大きいから、第2熱交換体10bの局部過熱を防止することができる。また、本実施の形態によれば、燃焼排気のガス流路の上流域における複数の熱交換体10の内部空間14内を同一方向に並列に水が流れるように水の流路が形成される。そのため、これらの熱交換体10の内部空間14内を流れる水の流路抵抗を低減することができる。これにより、熱交換器1に供給される水の流量が低下した場合でも、ローカルヒートを防止することができる。
【0053】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る熱交換器1bは、ブロック5の構成及び第2熱交換体10bの構成が異なる以外は、実施の形態1の熱交換器1と同一の構成を有する。このため、実施の形態1と異なる構成のみを説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、本実施の形態の熱交換器1bは、実施の形態2と同様に、水が最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14を左右方向で同一方向(図5中、左側から右側)に並列に流通するように形成されている。このため、最上流ブロック5aには、2つの平行流路が形成される。従って、本実施の形態では、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bが最上流ブロック5aを構成し、第3熱交換体10cが第1下流側ブロック5bを構成する。
【0055】
また、第2熱交換体10bの各貫通孔13は、最上流熱交換体10aのそれと略同一の形状及び大きさを有する。また、第3熱交換体10cから最下流熱交換体10sまでの熱交換体10の各貫通孔13は、第3熱交換体10cのそれと略同一の形状及び大きさを有する。従って、本実施の形態では、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bが上流側熱交換群9aを構成し、第3熱交換体10cから最下流熱交換体10sまでの熱交換体10が下流側熱交換群9bを構成する。
【0056】
本実施の形態によれば、第2熱交換体10bは、最上流熱交換体10aと同様に、大きな貫通孔13の総開口面積を有する。そのため、第2熱交換体10bの内部空間14が減少し、隣接する貫通孔13間の距離が短くなる。その結果、水が第2熱交換体10bの内部を流通するとき、水の流速が増加するとともに、第1熱交換体10aの貫通孔13の投影面周辺により多くの水が流れる。従って、貫通孔13の投影面周辺の熱を水に効率的に逃がすことができる。これにより、第2熱交換体10bの局部過熱をさらに防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの貫通孔13の総開口面積及び各貫通孔13の開口面積は、第3熱交換体10cのそれらよりも大きい。このため、最上流熱交換体10aの貫通孔13を第2熱交換体10bに投影した投影面の総面積及び第2熱交換体10bの貫通孔13を第3熱交換体10cに投影した投影面の総面積はそれぞれ、第3熱交換体10cの貫通孔13をその下流側の熱交換体10に投影した投影面のそれよりも大きい。従って、燃焼排気が最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通して第2熱交換体10bに衝突する部分の総受熱面積及び燃焼排気が第2熱交換体10bの貫通孔13を流通して第3熱交換体10cに衝突する部分の総受熱面積はそれぞれ、燃焼排気が第3熱交換体10cの貫通孔13を流通してその下流側の熱交換体10に衝突する部分の総受熱面積よりも大きい。また、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの各貫通孔13の開口面積は、第3熱交換体10cの各貫通孔13のそれよりも大きい。
【0058】
燃焼排気の温度は、燃焼排気が熱交換器1b内を上流側から下流側に向かって流れていく間に、各熱交換体10の内部空間14内を流れる水と燃焼排気との間で熱交換が行われて、低下していく。一方、最上流熱交換体10aに大きな貫通孔13を形成すると、最上流熱交換体10a自身の受熱面積が減少する。そのため、最上流熱交換体10aの内部空間14内を流通する水と燃焼排気との間の熱交換により燃焼排気から最上流熱交換体10aに伝達される熱が減少し、燃焼排気の上流域において、燃焼排気の温度が低下し難い。その結果、第2熱交換体10bの貫通孔13を流通して第3熱交換体10cに衝突する燃焼排気によって第3熱交換体10cが局部過熱される虞がある。
【0059】
しかしながら、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの貫通孔13の総開口面積及び各貫通孔13の開口面積はそれぞれ、第3熱交換体10cのそれらよりも大きいから、第2熱交換体10b及び第3熱交換体10cの局部過熱を防止することができる。
【0060】
上記のように、上流側熱交換群9aが、最上流熱交換体10aから燃焼排気のガス流路の下流側の所定位置の熱交換体10までを含むように熱交換器1bを構成すれば、最上流熱交換体10aの下流側に隣接する第2熱交換体10bだけでなく、さらに下流側の第3熱交換体10cのローカルヒートも効果的に防止することができる。また、本実施の形態によれば、燃焼排気のガス流路の上流域における複数の熱交換体10の内部空間14内を同一方向に水が流れるように水の流路が形成されているため、これらの熱交換体10の内部空間14内を流れる水の流路抵抗を低減することができる。これにより、熱交換器1bに供給される水の流量が低下した場合でも、ローカルヒートを防止することができる。
【0061】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、上流側熱交換群における各熱交換体の内部を流れる第1流体の流路である内部空間は、下流側熱交換群における各熱交換体のそれと略同一の平均高さを有する。しかしながら、上流側熱交換群における各熱交換体の内部を流れる第1流体の流路の平均高さは、下流側熱交換群における各熱交換体のそれより高くしてもよい。これにより、上流側熱交換群における各熱交換体は、下流側熱交換群におけるそれよりも、大きな第1流体の流路の容積を有する(例えば、下流側熱交換群における熱交換体の第1流体の流路の容積の105~110%)。すなわち、上流側熱交換群における各熱交換体の貫通孔の総開口面積を大きくすると、上流側熱交換群における各熱交換体の内部を流れる第1流体の流路抵抗が増加しやすい。しかしながら、上流側熱交換群における各熱交換体の第1流体の流路の容積を大きくすることにより、各熱交換体の内部を流れる第1流体の流路抵抗の増加を抑えることができる。これにより、熱効率を向上させることができる。
【0062】
(2)上記実施の形態では、1つの熱交換体には、略同一の開口面積を有する貫通孔が形成されている。しかしながら、1つの熱交換体に、異なる開口面積を有する貫通孔が形成されてもよい。ローカルヒートは第1流体の滞留しやすい通水孔から離れた位置で発生しやすい。このため、ローカルヒートの発生しやすい領域に対向する上流側の熱交換体の貫通孔を大きく形成し、ローカルヒートの発生し難い領域に対向する上流側の熱交換体の貫通孔を小さく形成してもよい。このように、1つの熱交換体に開口面積の異なる大小の貫通孔を形成することにより、熱効率の低下を最小限に抑えながら、ローカルヒートを防止することができる。
【0063】
(3)上記実施の形態では、下向きの燃焼面を有するバーナが熱交換器の上方に配設されている。しかしながら、上向きの燃焼面を有するバーナが熱交換器の下方に配設されてもよい。
【0064】
(4)上記実施の形態では、複数の熱交換体が上下に積層されている。しかしながら、複数の熱交換体は左右に積層されてもよい。
【0065】
(5)上記実施の形態では、給湯器が用いられているが、ボイラなどの熱源機が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1b,1c 熱交換器
10 熱交換体
10a 最上流熱交換体
5 ブロック
13 貫通孔
9a 上流側熱交換群
9b 下流側熱交換群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7