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  • 特許-排水カバーおよび排水構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】排水カバーおよび排水構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
E03C1/20 Z
E03C1/20 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019176773
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021055279
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 立行
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】森 慎吾
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-083123(JP,A)
【文献】特開2000-265513(JP,A)
【文献】特開平08-177098(JP,A)
【文献】特開2011-214339(JP,A)
【文献】特開2011-021412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い場に設けられた排水口、および前記洗い場の床面よりも低い位置にあり、前記排水口の周りに設けられた載置部を覆う蓋部と、
前記載置部に接触して前記蓋部を支持し、前記載置部からの高さが第1の高さである第1の部位の外側面が、前記載置部からの高さが第2の高さである第2の部位の外側面よりも外側に張り出すように形成されている脚部と、を備え
前記外側面は、前記脚部の高さ方向を含み前記外側面に交差する断面において外側に対して凹状に形成されている排水カバー。
【請求項2】
前記第1の高さは、前記脚部の下端であり、
前記第2の高さは、前記脚部の高さの半分の高さである
請求項1に記載の排水カバー。
【請求項3】
前記外側面は、前記脚部の高さ方向を含み前記外側面に交差する断面において円弧状に形成されている請求項1または2に記載の排水カバー。
【請求項4】
前記外側面は、前記脚部の高さ方向に交差する断面において外側に対して凸となる円弧状に形成されている請求項1からのいずれか1項に記載の排水カバー。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の排水カバーと、
前記排水口と、
前記載置部と、
を備える排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い場床の排水カバーおよび排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の洗い場床等の排水口には、髪の毛やゴミなどで排水管が詰まることを防ぐためにヘアキャッチャーが配されている。ヘアキャッチャーの上方は排水カバーで覆われており、ヘアキャッチャーが露出しないように構成されている。
【0003】
例えば特許文献1には、洗い場床に設けられた凹所内にヘアキャッチャーを配し、ヘアキャッチャーを覆う排水カバーが設けられた排水構造が開示されている。凹所は、平面視形状が略長方形の枡状部であり、その底部には排水トラップ連結用の開口が設けられている。凹所の四隅には、上向き段部よりなる排水カバー載置部が設けられている。排水カバー載置部に四隅を載せるようにして、略長方形の板状体よりなる排水カバーが装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-226197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の排水構造は、排水カバーの四隅における側面が凹所の四隅における内側面に対向し、両面の間に狭所が生じて水が溜まり易くなる。このような狭所に髪の毛を含んだ水が流れ込むと、髪の毛が狭所で停滞して付着してしまう。排水カバー載置部と排水カバーとの接触部分における隙間にも、水が流れ込み、髪の毛が接触部分の周りに付着してしまう。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脚部周りの通水性を高めて髪の毛の付着を抑制することができる排水カバーおよび排水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の排水カバーは、洗い場に設けられた排水口、および前記洗い場の床面よりも低い位置にあり、前記排水口の周りに設けられた載置部を覆う蓋部と、前記載置部に接触して前記蓋部を支持し、前記載置部からの高さが第1の高さである第1の部位の外側面が、前記載置部からの高さが第2の高さである第2の部位の外側面よりも外側に張り出すように形成されている脚部と、を備える排水カバー。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る排水構造を含む洗い場床の外観を示す斜視図である。
図2】排水構造部分の断面図である。
図3】凹所の外観を示す斜視図である。
図4】排水カバーの下方から見た斜視図である。
図5】排水カバーの底面図である。
図6図5に示すA-A線による排水カバーの断面図である。
図7】排水カバーの脚部における水の流れについて説明するための模式図である。
図8図7に示すB-B線による排水カバーの断面図である。
図9図9(a)~図9(d)は変形例に係る排水カバーの図6に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図9を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
(実施形態)
図1図2を参照する。洗い場床8は、平面視長方形状をなし、浴槽側の側辺部8aの中央に排水構造1が配置されている。洗い場床8は、側辺部8aに対向する側辺部8bから側辺部8aに向かうにつれて下降する勾配を有し、側辺部8aに交差する側辺部8cから側辺部8aの中央部へ向かうにつれて下降する勾配を有する。洗い場床8に降りかかった水は、側辺部8aの中央に設けられた排水構造1へ向かって流れる。
【0011】
排水構造1は、凹所10、排水カバー20等を備え、凹所10の底部には上下に貫通する排水口11が設けられている。排水口11の下方に排水部6が設けられている。排水口11には筒状の接続フランジ61が取り付けられており、接続フランジ61にヘアキャッチャー5が取り付けられている。
【0012】
接続フランジ61の下方にはトラップ部62が設けられている。洗い場床8からの水は、トラップ部62へ流入し、排出口64から排出される。浴槽の排水口に接続される浴槽側接続部63は、配管を介してトラップ部62に接続されており、浴槽からの水もトラップ部62へ流入し、排出口64から排出される。
【0013】
図3を参照する。凹所10は平面視で略長方形の枡状である。凹所10は、底部に円形の排水口11を有している。凹所10の内側部であって、排水口11の周りには、洗い場床8の床面よりも低い位置にある段部でなる載置部12が形成されている。載置部12には排水カバー20が載せ置かれ、排水カバー20によって排水口11と載置部12とが覆われる。
【0014】
載置部12は、平面視長方形状の凹所10の内部であり、円形の排水口11領域の外側であるので、少なくとも凹所10内の四隅に形成される。平面視において、凹所10の辺の長さよりも排水口11の直径が小さい場合には、凹所10の辺の部分にも載置部12が形成できる。
【0015】
図4図5を参照する。排水カバー20は、矩形板状の蓋部21、および脚部22を有する。平面視において、蓋部21の外形寸法は凹所10よりも小さく、凹所10内に蓋部21が納まり、蓋部21の上面を洗い場床8の床面と面一とすることができる。脚部22は、柱状をなし蓋部21の四隅に設けられている。
【0016】
脚部22は、底面から見て外側に対して凸となる円弧状に形成されている。脚部22の一端側22aは、蓋部21の外周縁から内側に後退した位置にある。これに比べて、脚部22の他端側22bは、蓋部21の外周縁に近接した位置にある。
【0017】
排水カバー20を凹所10内に載置したときに、脚部22の一端側22aと凹所10の内側面との間の隙間は、脚部22の他端側22bと凹所10の内側面との間の隙間よりも広くなる。このことは、排水カバー20の四隅において同等である。
【0018】
図6を参照する。脚部22の外側面23は、脚部22の高さ方向を含み外側面23に交差する断面において外側に対して凹となる円弧状に形成されている。また脚部22の外側面23は、脚部22の高さ方向における上端部23aおよび下端部23cが、中途部23bよりも外側に張り出すように形成されている。本発明における第1の部位は脚部22の下端部23cに相当し、第1の高さは脚部22の下端に相当する。本発明における第2の部位は脚部22の中途部23bに相当し、第2の高さは脚部22の中途部23bの高さに相当する。第2の高さは例えば脚部22の高さの半分の高さである。
【0019】
次に排水構造1の動作について説明する。図7および図8を参照する。図7は排水カバー20を凹所10に載置した状態の側面図に相当している。洗い場床8からの水は、図7に示す矢印Pのように、凹所10の四隅において、排水カバー20の蓋部21の外周縁と凹所10の内側面との間の隙間から流れ込み、脚部22の外側面23と凹所10の内側面との間に流下する。
【0020】
脚部22の外側面23と凹所10の内側面との間に流下した水は、図7に示す矢印Qのように、横方向へ流れの方向が変わり、脚部22の外側面23と凹所10の内側面との間に形成される通流路30を通流し、脚部22の間から排水口11へと流れる。
【0021】
脚部22の外側面23は、下端部23cが中途部23bよりも外側に張り出すように形成されているため、通流路30に流れ込んだ水が矢印Qのように脚部22に沿って流れ易くなる。通流路30内において、脚部22に沿って通水性が高くなることで、水に含まれる髪の毛が脚部22まわりに付着することを抑制することができる。
【0022】
また脚部22の外側面23は、脚部22の高さ方向を含み外側面に交差する断面において外側に対して凹となる円弧状に形成されており、脚部22の該側面に形成される、中途部23bを底とする断面円弧状の溝に沿って水がより流れ易くなる。
【0023】
図8に示す矢印Rのように、通流路30に流れ込んだ水が凹所10の内側面から脚部22へ向かって流れた場合を考える。脚部22は、その高さ方向に交差する断面において外側に対して凸となる円弧状に形成されているので、脚部22に向かって流れてきた水の方向が横方向へ変化し易く、流れ込んだ水が通流路30に滞留することを抑制することができる。
【0024】
また図8に示すように、脚部22の一端側22aと凹所10の内側面との間の隙間は、脚部22の他端側22bと凹所10の内側面との間の隙間よりも広くなっている。このため、通流路30に流れ込んだ水が一端側22aの方へ流れ易くなっており、流速の低下を抑制することができる。
【0025】
(変形例)
図9(a)~図9(d)を参照する。図9(a)に示す排水カバー20では、脚部22の外側面23が、脚部22の高さ方向を含み外側面に交差する断面において外側に対して凹状であり、外側から一定の深さに穿たれた形状となっている。この場合も断面が円弧状の場合と同様に外側面23に沿って水が流れ易くなる。
【0026】
図9(b)に示す排水カバー20では、脚部22の高さ方向における上端部23aから下端部23cにかけて徐々に外側へ張り出すように脚部22の外側面23が形成されている。この場合、上端部23a寄りに溝が形成されることで、外側面23に沿って水が流れ易くなる。
【0027】
図9(c)に示す排水カバー20では、蓋部21の外周縁に対応する位置に、脚部22の上端部23aが形成され、上端部23aから下端部23cにかけて徐々に外側へ張り出すように脚部22の外側面23が形成されている。この場合、上端部23a寄りに上方が開放された溝が形成されていることになり、外側面23に沿って水が流れ易くなる。
【0028】
図9(d)に示す排水カバー20では、脚部22の高さ方向における下端部23cが中途部23bよりも内側に凹むように脚部22の外側面23が形成されている。この場合、脚部22が接触する載置部12とで下端部23c寄りに溝が形成されていることになり、外側面23に沿って水が流れ易くなる。この場合、本発明における第1の部位は脚部22の中途部23bに相当し、第1の高さは脚部22の中途部23bの高さに相当する。本発明における第2の部位は脚部22の下端部23cに相当し、第2の高さは脚部22の下端に相当する。第1の高さは例えば脚部22の高さの半分の高さである。
【0029】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく一例として扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0030】
1 排水構造、 10 凹所、 11 排水口、 12 載置部、
20 排水カバー、 21 蓋部、 22 脚部、 23 外側面、
8 洗い場床。
図1
図2
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図4
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図6
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