(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】移動式間仕切り
(51)【国際特許分類】
E06B 3/48 20060101AFI20231026BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20231026BHJP
E05D 15/26 20060101ALI20231026BHJP
E06B 7/36 20060101ALI20231026BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E06B3/48
E05D15/00 A
E05D15/26
E06B7/36 G
E04B2/74 561C
(21)【出願番号】P 2019177919
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2019091734
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 慶弘
(72)【発明者】
【氏名】秋山 拓也
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-241767(JP,A)
【文献】実開平04-123984(JP,U)
【文献】特開2008-190142(JP,A)
【文献】実開昭55-022487(JP,U)
【文献】特開2017-214724(JP,A)
【文献】特開2008-255773(JP,A)
【文献】特開2008-303561(JP,A)
【文献】実用新案登録第2522703(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/48
E05D 15/00,15/26
E06B 7/36
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルが折り畳まれた折り畳み状態と、折り畳まれていない伸張状態との間で変位自在な移動式間仕切りにおいて、
前記パネルの隣接しているパネルの対向している一対の縦框に連繋して、それぞれの前記縦框を変位可能に支持する連結
板と、
前記連結板の端部に連繋して配される2本の軸部を備えた軸部材と、
前記縦框のそれぞれの上下の端部に当該縦框と一体的に連繋して配され、前記軸部材の前記軸部が各別に遊挿される軸穴が形成されると共に、外周面に互いに噛合する歯部が形成された一対の召し合わせ框キャップと、からなり、
前記一対の召し合わせ框キャップが前記軸部材の前記軸部を中心に回動することで、隣接している前記パネルは同期して回転する、
ことを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式間仕切りであって、
前記召し合わせ框キャップは、前記パネルを保持し、一対の前記パネルの対向する前記縦框のそれぞれに設けられて、前記一対のパネルの動作を、一端側で案内し、他端側同士が折り畳み状態で離隔し、伸張状態で接近し、
前記複数のパネルが伸張状態にある場合において、
前記動作の案内を果たす前記一端側から前記他端側の端部に掛けて拡開させて、挟み込み防止間隙を設けたことを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項3】
請求項2に記載の移動式間仕切りであって、
前記複数のパネルが伸張状態にある場合において、
前記動作の案内を果たす一対の前記召し合わせ框キャップの一端側から他端側の端部に向けて適宜な位置まで密着する内側平面と、
前記他端側の端部から前記一端側の端部に向けて適宜な位置まで平行となる外側平面と、
前記内側平面と前記外側平面のそれぞれの中央部側の端部に連続した傾斜面と、
を設け、
前記傾斜面と前記外側平面との間部分で前記挟み込み防止間隙が形成されていることを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の移動式間仕切りであって、
前記縦框と前記連結板とは、
前記縦框または前記連結板のいずれか一方に設けた抱持部と、
前記縦框または前記連結板の他方に設けた、前記抱持部に抱持されて、該縦框の変位時には該抱持部内における位置が変位する被抱持部と、
を介して連繋していることを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項5】
請求項4に記載の移動式間仕切りであって、
前記抱持部は、中空の渦巻き形状で形成され、
前記被抱持部は、中実の渦巻き形状で形成され、
前記
中実の渦巻き形が前記中空の渦巻き形内を移動して、前記抱持部内における被抱持部の位置が変位することを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の移動式間仕切りであって、
前記パネルが伸張状態にある場合に、係脱自在に前記縦框同士を係止する係止手段を備えていることを特徴とする移動式間仕切り。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の移動式間仕切りであって、
前記縦框の背後側の左右端縁部のうちの、少なくとも前記連結板が配されている側とは反対側の端縁部に、背後方向に突出させた指掛け部が形成されていることを特徴とする移動式間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、案内レール等により案内される移動式間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、広い部屋を広い状態で利用したり、二部屋に区画した状態で利用したりすることができるように、間仕切りが用いられることがある。当初からこのような利用に供することで設計される場合には、天井や床に案内レールを敷設して、この案内レールに案内されて移動できるようにすることがある。
【0003】
この種の間仕切りには、例えば、特許文献1に、折り戸障子同士の連結等に使用することができる、隣接するふたつの形材をそれぞれ回動自在に連結する連結部材を介して、両形材を互いに回動自在に連結する部材の接続構造として、前記連結部材はその両端部が前記両形材の開口部内にそれぞれ収容される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された部材の接続構造では、隣接するふたつの形材は、連結部材に対して各別に回動することができるもので、一方の形材を操作して折り曲げようとした場合、他方の形材が連動しない。このため、展開した状態の形材を折り曲げたり、折り曲げられた状態の形材を展開させたりする操作を円滑に行えないおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、部屋を区画する間仕切りであって、案内レールに案内されて移動自在で、操作性の良好な間仕切りを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の観点によると、複数のパネルが折り畳まれた折り畳み状態と、折り畳まれていない伸張状態との間で変位自在な移動式間仕切りにおいて、前記パネルの隣接しているパネルの対向している一対の縦框に連繋して、それぞれの縦框を変位可能に支持する連結板を有し、前記一対の縦框を互いに噛合させたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の他の側面は、上述の移動式間仕切りであって、前記連結板の端部に連繋して配される2本の軸部を備えた軸部材と、前記一対の縦框のそれぞれの上下の端部に縦框と一体的に連繋して配され、前記軸部材の軸部が各別に遊挿される軸穴が形成されると共に、外周面に互いに噛合する歯部が形成された一対の縦框キャップと、からなり、前記縦框キャップが軸部材の軸部を中心に回動することが好ましい。
【0009】
また、本発明の他の側面は、上述の移動式間仕切りであって、複数のパネルが折り畳まれた折り畳み状態と、折り畳まれていない伸張状態との間で変位自在な移動式間仕切りにおいて、前記パネルを保持し、一対のパネルの対向する縦框のそれぞれに設けられて、一対のパネルの動作を、一端側で案内し、他端側同士が折り畳み状態で離隔し、伸張状態で接近する縦框キャップを有し、前記複数のパネルが伸張状態にある場合において、前記動作の案内を果たす前記一端側から他端側の端部に掛けて拡開させて、挟み込み防止間隙を設けたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の他の側面は、上述の移動式間仕切りであって、前記複数のパネルが伸張状態にある場合において、前記動作の案内を果たす一対の縦框キャップの一端側から他端側の端部に向けて適宜な位置まで密着する内側平面と、前記他端側の端部から前記一端側の端部に向けて適宜な位置まで平行となる外側平面と、前記内側平面と外側平面のそれぞれの中央部側の端部に連続した傾斜面と、を設け、前記傾斜面と外側平面との間部分で前記挟み込み防止間隙が形成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に係る移動式間仕切りであって、前記縦框と前記連結板とは、前記縦框または連結板のいずれか一方に設けた抱持部と、前記縦框または連結板の他方に設けた、前記抱持部に抱持されて、該縦框の変位時には該抱持部内における位置が変位する被抱持部と、を介して連繋させることが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に係る移動式間仕切りであって、前記抱持部は、中空の渦巻き形状で形成され、前記被抱持部は、中実の渦巻き形状で形成され、中実の渦巻き形が中空の渦巻き形内を移動して、抱持部内における被抱持部の位置が変位するようにすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に係る移動式間仕切りであって、パネルが伸張状態にある場合に、係脱自在に縦框同士を係止する係止手段を備えていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に係る移動式間仕切りであって、前記縦框の背後側の左右端縁部のうちの、少なくとも連結板が配されている側とは反対側の端縁部に、背後方向に突出させた指掛け部を形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る移動式間仕切りによれば、パネルを伸張状態とした際に、召し合わせ框を連結する連結板がパネルの側方に現れないから、間仕切りの外観を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る移動式間仕切りの一実施形態を示す斜視図であり、移動式間仕切りが折り戸からなる場合の、折られた状態の折り戸の上部を示す図である。
【
図2】
図1に示す折り戸の上部から、召し合わせ框キャップと軸部材を分離して示す分解斜視図である。
【
図3】
図2示す折り戸の上部から、さらに連結板を途中まで分離して示す分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す折り戸の伸張状態にある場合を示す上部の斜視図である。
【
図5】召し合わせ框キャップと軸部材とが連繋している状態の上方から見た斜視図であり、連結板の上部が併記されている。
【
図6】
図5に示す状態から、召し合わせ框キャップと軸部材とを分離して示す上方から見た斜視図であり、連結板の上部が併記されている。
【
図7】
図5に示す状態の下方から見た斜視図であり、連結板の上部が併記されている。
【
図8】
図6に示す状態の下方から見た斜視図であり、連結板の上部が併記されている。
【
図9】召し合わせ框と連結板とを分離した状態を示した横断面図である。
【
図10】軸部材を示す図で、連結板と連繋する側である内側を示す斜視図である。
【
図11】伸張した状態にある折り戸の平面図で、召し合わせ框の部分を拡大して示している。
【
図12】折られた状態にある折り戸の平面図で、召し合わせ框の部分を拡大して示している。
【
図13】召し合わせ框の上部に被せられた召し合わせ框キャップの好ましい実施形態を示す平面図で、(A)はパネルが折り畳み状態にある場合を、(B)、(C)の順で伸張状態に動作する変位状態を示し、(D)は伸張状態を示している。
【
図14】連結板と召し合わせ框との連繋を説明する召し合わせ框の横断面図で、伸張した状態にある召し合わせ框の部分を拡大して示している。
【
図15】連結板と召し合わせ框との連繋を説明する召し合わせ框の横断面図で、折られた状態にある召し合わせ框の部分を拡大して示している。
【
図16】召し合わせ框が連結板に対して揺動する状態を説明する図で、(A)が伸張状態を示し、(B)、(C)の順で折り畳み状態へ動作する変位状態を示している。
【
図17】
図16に続く動作による変位状態を、(A)、(B)、(C)の順で示してあり、(C)が折り畳み状態を示している。
【
図18】折り畳み状態にある召し合わせ框を示す斜視図で、召し合わせ框を伸張状態に維持する係止手段を説明する図である。
【
図19】縦框の横断面図であり、(A)はパネルを移動させる前の状態を示し、(B)は手指で挟んでパネルを引き動かす状態を示し、(C)は指先を掛止させて押し動かす状態を示している。
【
図20】パネルの上下の框と上側案内レール、下側案内レールとを、パネルの中間部を省略して示す縦断面図であり、(A)は通常の状態を、(B)は矢標S方向に力が加えられて、パネルが湾曲した状態を示している。
【
図21】
図20における上框と上側案内レールとの拡大図である。
【
図22】
図20における下框と下側案内レールとの拡大図である。
【
図23】ストッパ装置の第1の実施形態を示す分解斜視図で、縦框の下部が併記されている。
【
図24】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動許容位置にある状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図25】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動許容位置にある状態を、背面側から見た斜視図である。
【
図26】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図27】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を、背面側から見た斜視図である。
【
図28】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を示す正面図である。
【
図29】第1の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を示す背面図である。
【
図30】ストッパ装置の第2の実施形態を示す分解斜視図で、縦框の下部が併記されている。
【
図31】第2の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動許容位置にある状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図32】第2の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動許容位置にある状態を、背面側から見た斜視図である。
【
図33】第2の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を、正面側から見た斜視図である。
【
図34】第2の実施形態に係るストッパ装置のピン保持部材が移動阻止位置にある状態を、背面側から見た斜視図である。
【
図35】下側案内レールが敷設されていない方式の引き戸に用いられるストッパ装置の床ガイドを示す斜視図である。
【
図36】下側案内レールが敷設されていない方式の引き戸に用いられるストッパ装置のパネルガイドを示す斜視図である。
【
図37】下側案内レールが敷設されていない方式の引き戸に用いられるストッパ装置を説明する図で、召し合わせ部の縦框の縦断面図である。
【
図38】開き戸の戸当り部の横断面図であり、(A)には閉鎖時が、(B)には開放時が示されている。
【
図39】折り戸機能を備えると共に、伸張状態では引き戸機能を備えている移動式間仕切りを示す斜視図である。
【
図40】折り戸機能を備えている移動式間仕切りを示す斜視図である。
【
図41】引き戸機能を備えている移動式間仕切りを示す斜視図である。
【
図42】引き戸機能を備えている移動式間仕切りであって、下側案内レールを有しない吊り下げ式の移動式間仕切りを示す斜視図である。
【
図43】吊り下げ式の移動式間仕切りであって、部屋の壁面等と平行に沿わせて収納可能な移動式間仕切りを示す斜視図である。
【
図44】
図43に示す吊り下げ式の移動式間仕切りの開き戸となるパネルのヒンジ側となる縦框と上框、下框を分離して示す分解斜視図であり、縦框の中間部を省略して示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に係る移動式間仕切りの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
まず、この発明に係る移動式間仕切りの代表的な種類と構造を説明する。移動式間仕切りとしては、
図39~
図43に示す構造を備えたものが知られている。また、
図44は、
図43に示す移動式間仕切りの開き戸のパネル5a1の支持構造を示している。
【0019】
図39に示す移動式間仕切り1は、二枚のパネル1a、1aが一対とされて、この一対を構成する二枚のパネル1aが、折り畳まれた折り畳み状態と、一枚の板状に伸張された伸張状態との間で変位する。それぞれのパネル1aの上框1atは上側案内レール1bと連繋しており、下框1abは下側案内レール1cと連繋して、これらの案内レール1b、1cに沿って移動自在とされている。なお、これら上側案内レール1bと下側案内レール1cとは、一対のそれぞれのパネル1aに対しては共通であり、他の一対のパネル1aとは異なっている。すなわち、パネル1aの対ごとに連繋している案内レール1b、1cが異なっている。また、パネル1aの移動は、折り畳み状態と伸張状態のいずれの状態にある場合にも、自在とされている。すなわち、二枚のパネル1aを折り畳むことで折り戸として使用できると共に、伸張状態にある場合には、引き戸として使用できる。このような折り戸と引き戸のいずれとしても使用できる移動式間仕切り1を、以下において、「折り戸・引き戸式」と称する。そして、全ての対のパネル1aを伸張状態として並設させることにより、部屋を二部屋に区画する間仕切りとなる。さらに、全ての対のパネル1aを折り畳み状態として、案内レール1b、1cの一方または両方の端部に移動させることにより、最も広い間口となって、部屋を広く使用することができる。また、一の対のパネル1aを折り畳み状態とし、他の対のパネル1aを伸張状態として並設すると、折り畳み状態にある一の対のパネル1aの部分が区画された部屋の通路として利用できる。また、二部屋に区画した状態では、引き戸機能を利用して出入りすることができる。なお、パネル1aは、上框1atと、下框1ab、縦框のうちの隣接しているパネルが対向して召し合わせ部となる召し合わせ框1af、縦框1apとを有している。
【0020】
図40に示す移動式間仕切り2は、二枚のパネル2aが一対とされて、この一対を構成する二枚のパネル2aが、折り畳まれた折り畳み状態と一枚の板状に伸張させた伸張状態との間で変位する。パネル2aの上框2atは上側案内レール2bと連繋しており、下框2abは下側案内レール2cと連繋して、これらの案内レール2b、2cに沿って移動することにより、パネル2aが折り畳み状態と伸張状態との間で変位する。なお、これら上側案内レール2bと下側案内レール2cは全て対のパネル2aに共用されており、したがって、引き戸としての機能を備えていない。このような折り戸としてのみ使用できる移動式間仕切り2を、以下において、「折り戸・折り戸式」と称する。そして、全ての対のパネル2aを伸張状態とすると、部屋を二部屋に区画する間仕切りとなる。さらに、全ての対のパネル2aを折り畳み状態として案内レール2b、2cの一方または両方の端部に移動させることで、間口を最も開放させることができる。なお、パネル2aは、上框2atと下框2ab、召し合わせ框2af、縦框2apとを有している。
【0021】
図41に示す移動式間仕切り3は、一枚のパネル3aによる引き戸である。パネル3aの上框3atは上側案内レール3bと連繋し、下框3abは下側案内レール3cと連繋している。しかも、全てのパネル3aは異なる案内レール3b、3cに連繋している。このような引き戸としてのみ使用できる移動式間仕切り3を、以下において、「引き戸・引き戸式」を称する。そして、全てのパネル3aが重ならないように配置させることにより、部屋を二部屋に区画する間仕切りとなる。また、全てのパネル3aを重ねた状態とすることにより、重ねられたパネル3aが袖壁として機能すると共に、パネル3aが存しない部分が通路となる。なお、パネル3aは上框3atと下框3ab、召し合わせ框3af、縦框3apとを有している。
【0022】
図42に示す移動式間仕切り4は、一枚のパネル4aによる引き戸である。パネル4aは上框4atが上側案内レール4bと連繋しているのに対して、下框4abが連繋すべき下側案内レールが敷設されておらず、パネル4aが上側案内レール4bに吊り下げられているものである。また、全てのパネル4aは異なる上側案内レール4bに連繋している。このような下側案内レールが敷設されず、引き戸としてのみ使用できる移動式間仕切り4を、以下おいて、「ノンレール引き戸式」と称する。そして、全てのパネル4aが重ならないように配置させることにより、部屋を二部屋に区画する間仕切りとなる。また、全てのパネル4aを重ねた状態とすることにより、重ねられたパネル4aが袖壁として機能すると共に、パネル4aが存しない部分が通路となる。なお、パネル4aは上框4atと下框4ab、召し合わせ框4af、縦框4apとを備えている。
【0023】
また、
図43に示す移動式間仕切り5は、一枚の開き戸となるパネル5a1を備え、他のパネル5aは引き戸とされている。開き戸のパネル5a1は、壁際に配された後述する支持軸を中心に回動することにより、開閉する。また、他のパネル5aを部屋の壁面と平行に沿わせる等によりパネル5a1と共に格納できる構造を備えている。このパネル5aは上框5atが上側案内レール5bと連繋しているのに対して、下框5abが連繋する下側案内レールが敷設されていない、パネル5aが上側案内レール5bに吊り下げられているものである。また、全てのパネル5aは上側案内レール5bを共用している。この上側案内レール5bの途中に、収納案内レール5dが分岐されており、パネル5aの上框5atはこの収納案内レール5dにも連繋するようにしてある。収納案内レール5dは、上側案内レール5bから分岐した移動案内レール5d1とこの移動案内レール5d1の先端から上側案内レール5bに平行で、上側案内レール5bの端部であって収納案内レール5dが配されている側の端部の方向に延伸させた収納部レール5d2とから構成されている。このため、パネル5aの上框5atの一方の端部を収納部レール5d2に位置させ、他方の端部を上側案内レール5bの端部に位置させることにより、パネル5aが上側案内レール5bとほぼ直角となって、部屋の壁面に平行に沿った状態となり、部屋の壁面に沿って格納される状態となる。なお、このパネル5aを格納する移動式間仕切り5を、以下において「移動収納式」と称する。そして、全てのパネル5aを上側案内レール5bに沿って引き出して、パネル5a1を閉鎖した状態では、部屋を二部屋に区画する間仕切りとなる。このとき、開き戸のパネル5a1を開放すれば通路とすることができる。なお、パネル5a、5a1は上框5atと下框5ab、召し合わせ框5af、縦框5apとを備えている。開き戸となるパネル5a1の召し合わせ框5afには、
図38に示すように、引き戸となるパネル5aの召し合わせ框5afに当接して、開き戸のパネル5a1を閉鎖位置に位置決めを行う戸当り框5asが設けられている。
【0024】
図44は、開き戸のパネル5a1の回動を支持する構造を説明する分解斜視図である。上述したように、開き戸のパネル5a1は、開放状態と閉鎖状態との間で回動することになる。なお、
図44は、パネル5a1の縦框5apと上框5at、下框5abを示しており、上框5atと下框5abのそれぞれには、後述する隙間防止部材14と隙間防止部材15がそれぞれ取り付けられている。
開き戸のパネル5a1の回動軸側、すなわちヒンジ側となる縦框5apの上部には上框5atを連結させる上框連結金具5aptが取り付けられ、下部には下框5abを連結させる下框連結金具5apbが取り付けられている。上框連結金具5aptは上框5atに向かって突出した取付板部5at1を備え、下框連結金具5apbは下框5abに向かって突出した取付板部5ab1を備えている。これら取付板部5at1と取付板部5ab1の先端部側に上框5atと下框5abのそれぞれが取り付けられる。
そして、下框連結金具5apbの取付板部5ab1には下方を指向させて突出させた支持軸5apaが支持されている。この支持軸5apaの先端部は、部屋の床面に形成された図示しない軸穴に、該支持軸5apaの軸を中心として回動自在に挿入される。
また、上框連結金具5aptの取付板部5at1には、支持軸5apaと同軸とされた支持軸5ataが、上方を指向させて突出した状態で支持され、この支持軸5ataに回転自在に支持ローラ5brが支持されて、ランナーが構成されている。
また、上側案内レール5bと連繋している引き戸となるパネル5aの上框5atにも、支持ローラ5brと同様な支持ローラを備えたランナーが配されており、このランナーを介して上側案内レール5bと連繋している。この上框5atを備えたパネル5aは引き戸として上側案内レール5bに沿って移動する。
そして、上側案内レール5bは部屋の壁面に達するまで延伸させてあり、この上側案内レール5bの壁面側の端部に、支持ローラ5brを連繋させてある。これにより、パネル5a1の上側は支持ローラ5brにより、下側は支持軸5apaにより回動自在に支持されることになる。すなわち、これら支持軸5apaと支持軸5ataを軸として回動することで、開き戸のパネル5a1が開閉することになる。
このように、下框連結金具5apbと上框連結金具5aptとに、支持軸5apaと支持軸5ataを設けてあり、縦框5apにこれら支持軸5apaと支持軸5ataを設けていないので、この縦框5apの横断面の形状を小さくできる。このため、パネル5a1を備えた開き戸の小型化を図って、移動式間仕切り5の小型化を図り、一般家屋に設置するのに適した小型の移動式間仕切り5とすることができる。
また、支持ローラ5brを設けずに支持軸5ataを長くして、天井面に形成した軸穴にこの支持軸5ataの先端部を挿入させる構造とすることもできる。この構造とする場合には、上側案内レール5bには軸穴と一致する位置に支持軸5ataが貫通する透孔を形成しても、あるいは、上側案内レール5bを壁面まで延伸させずに、支持軸5ataの支障とならない位置に端部を配しても構わない。
【0025】
また、パネル5aの召し合わせ框5afと上側案内レール5bとを連繋させる構造と、縦框5apと上側案内レール5bとを連繋させる構造にも上框連結金具5aptを用いることによって、これら召し合わせ框5afと縦框5apの横断面の形状を小さくできる。
さらに、他の形式の移動式間仕切りの縦框と上側案内レール、下側案内レールとを連繋させる構造にも、上框連結金具5aptと同様の構造の上框連結金具や下框連結金具を用いることができる。特に、「引き戸・引き戸式」と称する移動式間仕切り3のパネル3aの縦框3apと上側案内レール3b、下側案内レール3cの連繋や、「ノンレール引き戸式」と称する移動式間仕切り4の縦框4apと上側案内レール4bの連繋に用いることにより、これら縦框3apと縦框4apの横断面の形状を小さくできて、移動式間仕切り3や移動式間仕切り4の小型化を図ることができる。
また、「折り戸・引き戸式」と称する移動式間仕切り1と「折り戸・折り戸式」と称する移動式間仕切り2にも、上框連結金具5aptと同様の上框連結金具や下框連結金具を用いて、縦框1ap、2apと上側案内レール1b、2b、下側案内レール1c、2cとを連繋させることができ、縦框1ap、2apの横断面の形状を小さくできる。このように、縦框1ap、2apを上框連結金具と下框連結金具とを介して上側案内レール1b、2b、下側案内レール1c、2cに連係させる構造では、一対のパネル1a、パネル2aが折り畳まれた状態では、これらパネル1a、パネル2aが上側案内レール1b、2b、下側案内レール1c、2cを挟んだ一方の側にのみ突出することになる。
【0026】
(折り戸の折り畳み構造)
図39に示す「折り戸・引き戸式」の移動式間仕切り1に用いられているパネル1aは、一対のパネル1aを、上下方向を軸として中央部で折り畳むことができて、折り畳み状態と伸張状態とに変位させることができる折り畳み構造を備えている。同様に、
図40に示す「折り戸・折り戸式」の移動式間仕切り2に用いられているパネル2aも、一対のパネル2aを、上下方向を軸として中央部で折り畳むことができて、折り畳み状態と伸張状態とに変位させることができる折り畳み構造を備えている。
図1~
図18は一対のパネル1aの折り畳み構造を示すものであるが、一対のパネル2aが備えた折り畳み構造も同様の構造を備えている。
【0027】
図1は折り畳みの途中の状態にあるパネル1aの上部を示す斜視図であり、一対のパネル1aが折り戸に組み立てられている状態を示している。また、
図2と
図3は、パネル1aの上部の分解斜視図である。折り戸を構成する一対のパネル1aは、召し合わせ框1af同士が対向して配置されている。なお、召し合わせ框1afの対向して外側を指向している側を、一対のパネル1aのいずれについても、前方側あるいは正面側とし、パネル1aと連繋している側を後方側あるいは背面側とする。これら召し合わせ框1afは、
図3に示すように、これらの間位置であって、折り畳まれる状態で内側となる側に配される連結板10を介して連繋されている。召し合わせ框1afの上下の端部には、縦框キャップとしての召し合わせ框キャップ11が被せられて、固定されている。また、連結板10の上下の端部には軸部材12が取り付けられる。このため、連結板10はこの軸部材12が取り付けられるスペースを確保できるように、召し合わせ框1afよりも短く、しかも、この召し合わせ框キャップ11の外側面は、召し合わせ框キャップ11を被せた状態で、召し合わせ框1afと上框1at、下框1abとのそれぞれの外側面にほぼ一致する形状とされている。また、折り畳まれた状態で召し合わせ框1afの外側に配される側面には、後述するように、ゴム等を素材として可撓性を備えた隙間防止部材13が取り付けられている。そして、
図4に示すように、パネル1aが折り畳まれていない伸張状態にある場合には、これら隙間防止部材13が召し合わせ框1afの対向した部分に形成される隙間を覆い、連結板10がこの隙間防止部材13に隠される状態となる。
【0028】
また、
図18に示すように、召し合わせ框1afの、対向する正面の一方の面には一対の係合部16aが取り付けられ、他方の面にはこの係合部16aと係脱する係合受け部16bが取り付けられている。そして、これら係合部16aと係合受け部16bとにより係止手段が構成されている。
一対の係合部16aは、その間位置に係合受け部16bを受け入れることができる距離を隔てて配されている。すなわち、一対の係合部16aの対向する面間の距離が係合受け部16bの上下方向の長さとほぼ等しくされている。一対の係合部16aは有底の筒体で形成されており、この筒体の開口側が対向する状態に取り付けられている。一対の係合部16aのそれぞれには係合球16a1が収容されており、また、筒体には図示しない押圧バネが収容されて、その復元力が、この係合球16a1の一部が開口から突出するように付勢されている。
また、係合受け部16bの上下の面には、係合部16aの開口から突出している係合球16a1の一部を受け入れることができる、球体受容部16b1が設けられている。
なお、この実施形態では、係合部16aを一対として説明したが、いずれか一方のみであっても構わない。また、一対とする場合には、後述する作用をより確実に行わせることができるので、好ましい。また、これら係合部16aと係合受け部16bとは、召し合わせ框1afの長さ等に応じて適宜な数の組を設けることが好ましい。
また、
図39に示すように、パネル1aは上下方向の中間部で上側中桟1anと下側中桟1amとの二本の中桟1an、1amにより保持されている。そして、係合部16aと係合受け部16bとは、これら中桟1an、1amのうちの、容易に手が届かない位置にある上側中桟1anを固定するためのビスによって召し合わせ框1afに取り付けられている。下側中桟1amに対応する位置にこれら係合部16aと係合受け部16bが取り付けられる場合には、下側中桟1amの高さが、パネル1aを折り畳み状態と伸張状態と間で変位させる操作を行い易い位置にあるため、操作時に手指を挟んでしまうおそれが生じ、下側中桟1amには係合部16aと係合受け部16bは取り付けないことが好ましい。
なお、状況によっては、上側中桟1anと連繋させることなく、召し合わせ框1afに取り付けることでも構わない。
また、移動式間仕切り2のパネル2aについても、同様に上側中桟2anに対応させて係合部16aと係合受け部16bとを取り付けることが好ましい。また、下側中桟2amと連繋させることは、高さ位置の関係で好ましくないことは、移動式間仕切り1の場合と同様である。
【0029】
図5~
図8は、連結板10と召し合わせ框キャップ11、軸部材12との関係を示す斜視図であり、
図5と
図6は上方から見た斜視図で、
図7と
図8は下方から見た斜視図である。また、
図9は連結板10と召し合わせ框キャップ11とを、分離して示す横断面図である。
連結板10は、
図9に示されているように、横断面がほぼ対称に形成されて、主体板10aに一対の抱持舌片10bと一対の収容舌片10dとが設けられている。主体板10aの外側の面はほぼ平面に形成されている。主体板10aの内側には側端部から内側に向かって突出すると共に、先端が中心側に向かって湾曲する抱持舌片10bが設けられ、抱持舌片10bの湾曲している内側の部分で抱持部10cが形成されている。また、連結板10の内側の中央部には適宜な間隔で、内側に向かって突出した一対の収容舌片10dが設けられている。この収容舌片10dは先端が側方に指向して伸長して、これら一対の収容舌片10dの間隔が先端側にかけて徐々に大きくなっており、これら収容舌片10dの中央側の面の間で形成されるほぼV字形の空間部が軸部材収容部10eとされている。
【0030】
収容舌片10dの側方側の面は曲面で形成されて、この曲面による側面と抱持舌片10bの湾曲している内側の面とにより上述の抱持部10cが形成されている。なお、収容舌片10dの側方側の曲面と抱持舌片10bの湾曲している内側の面を連続させて渦巻き形状に形成することで、この抱持部10cを、横断面が中空の渦巻き形状に形成することができる。そして、収容舌片10dの先端部と抱持舌片10bの先端部とが適宜に離隔して、抱持部10cののど部10fとされている。
【0031】
一方、召し合わせ框1afの前面の壁部であって、折り畳まれる際に内側となる側の端部には、抱持部10cに連繋して抱持される被抱持部10gが設けられている。この被抱持部10gは、召し合わせ框1afの前面から前方に首部10g1が突出し、この先端部が抱持部10cに抱持される状態に巻かれた形状とされて、抱持端部10hが形成されている。なお、前述のように、抱持部10cを、横断面が中空の渦巻き形状に形成する場合には、この被抱持部10gを抱持部10cの中空の渦巻き形に収容される中実の渦巻き形状に形成することで、これら抱持部10cと被抱持部10gとが確実に連繋できることになる。
また、この被抱持部10gの首部10g1が、のど部10fを通過する。さらに、首部10g1の側面であって、抱持部10cが巻かれる方向の側と反対側の面には、係止突起10g2が突設されている。この係止突起10g2が、
図14に示すように、連結板10の収容舌片10dの先端に当接することにより、抱持部10cに対する被抱持部10gの位置が規制されて、パネル1aが伸張状態となる。
【0032】
また、中空の渦巻き形状の抱持部10cと中実の渦巻き形状の被抱持部10gとの間に適宜な間隙を設けることで、後述するように、軸部材12の軸部12bを軸として召し合わせ框1afを連結板10に対して揺動させる際に、被抱持部10gを抱持部10cに対する位置を円滑に移動させることができる。
【0033】
これら、召し合わせ框1afと連結板10とを連繋させるには、召し合わせ框1afの端部から連結板10の端部を差し込んで、連結板10を召し合わせ框1afの長手方向に摺動させる。このとき、連結板10の抱持部10cに抱持端部10hを抱持させるように差し込む。
これにより、連結板10と一対の召し合わせ框1afとが一体的となると共に、後述するように、召し合わせ框1afが回動すると、抱持端部10hが抱持部10cに抱持された状態を維持して、抱持部10c内で移動する。
【0034】
軸部材12は、
図5~
図8、
図10に示すように、連結板10と召し合わせ框キャップ11とに連繋する。
図6と
図8とを参照して、連結板10と軸部材12との連繋を説明する。
なお、召し合わせ框キャップ11と軸部材12とは、召し合わせ框1afの上部と下部とのそれぞれに配されるが、
図5~
図8には、上部に配される召し合わせ框キャップ11と軸部材12を示している。したがって、以下の説明における「上下」の語は、上部に配される軸部材12や召し合わせ框1afに関するものである。
軸部材12は、
図6と
図8、
図10に示すように、長円形に形成された台座部12aを主体に構成されている。この台座部12aの上面には、上方に突出した2本の軸部12bが設けられている。また、
図10に示すように、下面には台座部12aの長円形の長辺の一方から下方へ突出させた連結板受け部12cが設けられている。この連結板受け部12cは長円に沿って伸長している平板部12c1と、この平板部12c1の中央部に、長円形の他方の長辺に向かって突出させた突出部12c2とを備えている。これら平板部12c1と突出部12c2との下面は平面に形成されて、連結板受け面12c3とされている。すなわち、軸部材12が連結板10に連繋した状態で、この連結板受け面12c3には、連結板10の端面が当接することになる。
連結板受け面12c3の中央部には、連結板10の軸部材収容部10eに合致する形状で、軸部材収容部10eに挿入される断面ほぼV字形に形成された連繋部12dが設けられている。連結板10の軸部材収容部10eは、
図5と
図6、
図9に示すように、その断面形状は、収容舌片10d側が拡開された形状に形成されており、連繋部12dの断面形状は先端側である平板部12c1の側が細く、この平板部12c1側の先端側が連結板10の軸部材収容部10eの主体板10aの側に挿入される。また、連繋部12dの基端側である断面形状の太い側の端部には、保持板12eが設けられている。そして、この保持板12eの連繋部12d側の面に、連結板10の収容舌片10dの外側面が当接する。そして、連結板10と軸部材12とを連繋させた状態では、連結板10の軸部材収容部10eに連繋部12dが挿入されて、前述したように、連結板10の先端面が連結板受け面12c3に当接する。
【0035】
召し合わせ框キャップ11は、函体により形成されており、その側板の外形が召し合わせ框1afの外形とほぼ一致する形状とされている。なお、
図5~
図8は、一対のパネル1aのそれぞれの召し合わせ框1afに取り付けられた召し合わせ框キャップ11が連繋している状態を示している。
召し合わせ框キャップ11の上面は、召し合わせ框1afに取り付けられた状態で上框1atの上面とほぼ一致する。また、上面には、後述する隙間防止部材が取り付けられる隙間防止材取付溝11aが設けられている。この召し合わせ框キャップ11の下面側は函体の空間部となっており、この空間部には、
図7と
図8とに示すように、強度を確保するためのリブが適宜に配されている。また、召し合わせ框キャップ11の下側には、軸部材12の軸部12bのそれぞれが各別に挿入される軸穴11bが設けられている。
召し合わせ框キャップ11の外周面であって、対向した部分には、それぞれ歯部11cが形成されて、一対の召し合わせ框キャップ11が連繋した状態で、これらの歯部11cが噛合する。そして、召し合わせ框1afに連結板10が連繋した状態で、召し合わせ框キャップ11を被せると、
図5と
図7とに示すように、軸穴11bに軸部12bが挿入されると共に、それぞれの召し合わせ框キャップ11の歯部11cが噛合することになる。
【0036】
図13に、前述した召し合わせ框キャップ11とは形状の異なる召し合わせ框キャップ111を示す。なお、一対のパネル1aに被せられる召し合わせ框キャップ111のそれぞれには召し合わせ框キャップ11の歯部11cと同様に歯部111cを有している。
図13は、これら歯部111c同士が噛合した状態を、一部を省略して示す平面図で、(A)は一対のパネル1aが折り畳み状態にある状態を示し、(B)と(C)は折り畳み状態から伸張状態に変位する途中の状態を順次示し、(D)は一つのパネル1aが伸張状態にある状態を示している。
前述した召し合わせ框キャップ11では、
図11に示すように、パネル1aが伸張状態となると、歯部11cが形成されていない側は、前面同士が密着したり、端部側に僅かに間隙が形成されたりする形状とされている。このため、召し合わせ框キャップ11の間に手足の指先が挟まってしまうおそれがあり、特に、下側の召し合わせ框キャップ11には足の指先が挟まるおそれがある。
これに対して、
図13に示す召し合わせ框キャップ111では、手足の指先が不用意に挟まれてしまうことが防止される。
この召し合わせ框キャップ111のそれぞれの正面側の面であって、一端側に歯部111cが形成され、歯部111cが形成されていない他端側の部分には、
図13(D)に示すように、パネル1aが伸張状態にある状態でほぼ平行となる外側平面111aが、端部から中央部に掛けて適宜な位置まで形成されている。この外側平面111a同士の間隙による空間部で挟み込み防止間隙Gaが形成される。一方、歯部111cの歯元であって、召し合わせ框キャップ111の正面の中央部側に位置した歯元から適宜な位置まで内側平面111bが形成される。この内側平面111b同士は、
図13(D)に示すように、パネル1aが伸張状態となると密着するようにしてある。
そして、外側平面111aの中央部側の端部と内側平面111bの中央部側の端部とに、外側平面111aと内側平面111bのそれぞれに対して交差する方向の平面による傾斜面111dを連続させてある。すなわち、この傾斜面111dは、内側平面111bの端部から外側平面111aの端部に掛けて外側平面111a側が拡開している。なお、この傾斜面111d同士の間にも適宜な間隔の空間部が形成されており、この空間部も挟み込み防止間隙Gaの一部を構成している。
なお、傾斜面111dを設けることなく、内側平面111bの中央部側の端部から外側平面111aの中央部側の端部まで拡幅させて、挟み込み防止間隙Gaを形成することもできる。
【0037】
このため、
図13(B)に示すように、指先Fが召し合わせ框キャップ111の間に位置した状態で、パネル1aが伸張状態に向かって回動する途中において、指先Fに傾斜面111dが接触し、この傾斜面111dが狭められる方向の力が作用して指先Fが押し出されると共に、指先Fが挟まれるおそれがあることを感じて指先Fを迅速に待避させることができる。また、万一、パネル1aの回動が伸張状態まで継続した場合であっても、挟み込み防止間隙Gaの外側平面111a同士の距離を指先Fよりも適宜に大きくすることにより、指先Fが挟まれることがない。
【0038】
また、召し合わせ框1afには、
図14と
図15の横断面図に示すように、背面側の側端部には、側壁を後方に向かって突出させた指掛け部1af1が形成されている。また、
図19に示すように、縦框1apの前面側の側端部には、側方に膨出させた正面側指掛け部1ap1が形成されている。また、縦框1apの背面側の側端部には、背面側指掛け部1ap2が側方に向かって突出して設けられている。
【0039】
(折り戸の変位動作)
図11~
図18を参照して、折り戸の折り畳み状態と伸張状態との変位動作を説明する。
図11と
図14は、折り戸・引き戸式の移動式間仕切り1の一対のパネル1aが伸張状態にある場合を示す図である。また、
図16と
図17は、一対のパネル1aが折り畳み状態から伸張状態まで、召し合わせ框1afが連結板10に対して揺動する動作を示している。すなわち、
図16(A)は伸張状態を示し、徐々に揺動して
図17(C)に示す折り畳み状態に変化する。
図11と
図14、
図16(A)の伸張状態では、二枚のパネル1aが同一直線状に配されて一枚の板状となって、引き戸として機能させることができる。また、
図11は二枚のパネル1aの平面図であり、
図14は二枚のパネル1aの召し合わせ框1afの横断面図である。また、
図16と
図17は、召し合わせ框1afの横断面図である。また、折り戸・折り戸式の移動式間仕切り2の一対のパネル2aは、パネル1aと同様の構造であるので、パネル1aについて説明する。なお、移動式間仕切り2の場合にはパネル2aは引き戸しては機能しない。
二枚のパネル1aの召し合わせ框1afに被せられている召し合わせ框キャップ11、111は、
図11と
図13に示すように、それぞれに形成された歯部11c、111c同士が噛合している。なお、以下の説明は、召し合わせ框キャップ11に関して行う。また、召し合わせ框キャップ111については折り畳み状態から伸張状態に変位する際に、指先Fが挟み込むことを防止するよう機能することは前述の通りである。
二枚のパネル1aが伸張状態にある場合には、
図14と
図16(A)に示すように、連結板10の主体板10aの外側面と召し合わせ框1afの側面とが同一面内に位置する。また、連結板10と連繋している側と反対側の端部に設けられた隙間防止部材13により召し合わせ框1afの間に形成される隙間が閉じられた状態にある。なお、
図14と
図16、
図17に示すように、対向している召し合わせ框1afの一方に取り付けられた隙間防止部材13と他方に取り付けられた隙間防止部材13とを反転させて組み合わせて、隙間防止部材13が備えている舌片13aの間の部分に空間部13bを形成することが好ましい。
また、
図12と
図15、
図16(B)、
図16(C)、
図17(A)、
図17(B)は、二枚のパネル1aが折り畳み状態と伸張状態と間の変位途中の状態を示しており、この状態から、さらにパネル1aが折り畳まれて二枚のパネル1aが平行な状態となって、
図17(C)に示す折り畳み状態となる。
【0040】
伸張状態にある二枚のパネル1aを折り畳み状態に変位させるには、
図11と
図14、
図16(A)とにおいて、召し合わせ框1afを矢標Pで示す方向に移動させる。このとき、連結板10の側から操作する場合には、召し合わせ框1afを矢標Pで示す方向に押動させる。また、隙間防止部材13の側から操作する場合には、指掛け部1af1に手の指先を掛止させて、手前に引くことにより矢標P方向に移動させる。
召し合わせ框1afが矢標P方向へ移動すると、二枚のパネル1aのそれぞれは、後述する、上框1atと上側案内レール1bとの連繋部を中心として揺動する。この揺動により、召し合わせ框1afが上側案内レール1bの側方に移動させられると共に、二枚のパネル1aの上框1atと上側案内レール1bとの連繋部が接近するように移動する。召し合わせ框1afが矢標P方向へ移動する際には、それぞれの召し合わせ框1afが、軸部材12の軸部12bをそれぞれ中心として揺動する。
【0041】
伸張状態から折り畳み状態へ変位するために、
図16と
図17に示すように、召し合わせ框1afが軸部材12の軸部12bを中心として揺動すると、連結板10の抱持部10c内を召し合わせ框1afの被抱持部10gが移動する。
伸張状態にある場合には、
図16(A)に示すように、被抱持部10gが抱持部10cの最奥部に位置した状態にあって、被抱持部10gの係止突起10g2が連結板10の収容舌片10dの先端に当接した状態にある。
伸張状態から折り畳み状態へ変位する際には、被抱持部10gが抱持部10cに対して徐々に移動する。被抱持部10gが配された召し合わせ框1afの揺動は、軸部材12の軸部12bを軸として行われるので、召し合わせ框1afが連結板10に対する揺動が許容されるためには、被抱持部10gが抱持部10cに対して移動することが許容されなければならない。前述したように、抱持部10cを中空の渦巻き形状に形成し、被抱持部10gをこの抱持部10cに連繋する中実の渦巻き形状で形成する場合には、これらの間に間隙を形成することにより、被抱持部10gに対する抱持部10cの移動と、連結板10に対する召し合わせ框1afの揺動のいずれもが許容されることになる。
抱持部10cに対して被抱持部10gが移動する際には、被抱持部10gが抱持部10cから徐々に離脱する方向に移動することになる。また、この被抱持部10gの移動方向は、被抱持部10gの係止突起10g2が収容舌片10dの先端から離隔する方向となる。
図17(C)に示す折り畳み状態となると、被抱持部10gは抱持部10cから最も突出した位置に離脱した状態となる。この状態であっても、被抱持部10gが抱持部10cから離脱してしまうことがないように、召し合わせ框1afと連結板10とを連繋させてある。このため、これら召し合わせ框1afと連結板10とを連繋させるには、前述したように、召し合わせ框1afの端部から連結板10の端部を、連結板10の抱持部10cに抱持端部10hを抱持させるように差し込んで、連結板10を召し合わせ框1afの長手方向摺動させるようにする。
また、このとき、一対の召し合わせ框キャップ11に形成されている歯部11cは、軸部12bを中心として回動すると共に、噛合状態が維持されているので、一対の召し合わせ框キャップ11は同期して回動する。
【0042】
折り畳み状態にある二枚のパネル1aを伸張状態に変位させるには、一方のパネル1aの縦框1apを他方のパネル1aの縦框1apから離隔する方向に移動させる。これにより、召し合わせ框キャップ11が軸部材12の軸部12bを中心に揺動して、歯部11cの噛合関係によって二枚のパネル1aは同期して回動するから、これら二枚のパネル1aは伸張状態となる。このとき、被抱持部10gが抱持部10c内を移動し、
図14に示すように、伸張状態となったときに、係止突起10g2が連結板10の収容舌片10dの先端に当接する。
【0043】
また、伸張状態に変位する際には、
図18に示す、一対の係合部16aの間位置に係合受け部16bが進入して、これら係合部16aと係合受け部16bとが係合する。係合部16aから一部が突出している係合球16a1が、係合受け部16bの上下の面の縁部を通過する際、図示しない押圧バネの復元力に抗して係合部16aの筒体内に埋没して、上下の面のそれぞれを擦過する。この係合球16a1が係合受け部16bの球体受容部16b1に達すると、押圧バネの復元力によって係合球16a1が球体受容部16b1に受容されて、係合部16aと係合受け部16bとが係合する。これら係合部16aと係合受け部16bとが係合した状態では、召し合わせ框1af同士が係止された状態となり、伸張状態が維持される。
伸張状態にある二枚のパネル1aを折り畳み状態に変位させるには、前述のように、
図11と
図14、
図16(A)における矢標Pで示す方向の力を受けて、召し合わせ框1afが回動する。この回動によって、係合球16a1と球体受容部16b1との係合が解除されて、パネル1aを折り畳むことができる。係合球16a1と球体受容部16b1との係合の解除は、召し合わせ框1afの回動により、係合球16a1が球体受容部16b1から離脱する。このとき、図示しない押圧バネの復元力に抗して係合球16a1が係合部16aの筒体内に埋没することで、係合部16aと係合受け部16bとの係合の解除が可能となる。係合球16a1が係合受け部16bの上下の面から離脱すると、押圧バネの復元力を受けて係合部16aから突出した状態となる。
【0044】
また、伸張状態となった二枚のパネル1aは引き戸として機能させることができるが、その場合には、
図19(B)に示すように、縦框1apに形成した正面側指掛け部1ap1を手指で把持したり、
図19(C)に示すように、背面側指掛け部1ap2に指先を掛けたりすることにより、パネル1aを上側案内レール1bと下側案内レール1cとに沿って移動させることができる。
【0045】
上述のように、折り戸の折り畳み構造は、連結板10を介して二枚のパネル1aの召し合わせ框1afを連繋させるもので、この連結板10に対してそれぞれのパネル1aの召し合わせ框1afが揺動することで、折り畳み状態と伸張状態とに変位自在となる。連結板10は召し合わせ框1afに上下に亘って召し合わせ框1afと連繋しているから、召し合わせ框1afの上下の中間部に隙間が生じることがない。
そして、パネル1aの揺動は、召し合わせ框1afに配された召し合わせ框キャップ11が軸部材12の軸部12bを中心として回動することに伴われて行われる。すなわち、連結板10と召し合わせ框キャップ11、軸部材12とにより召し合わせ框1afの揺動を行わせることができ、簡単な構造で、部品点数が少なくなるとともに、一対の召し合わせ框1afの揺動を容易に同期して行わせることができる。
しかも、召し合わせ框1afが連結板10に対して揺動しても、被抱持部10gが抱持部10cから脱落することがない。
また、二枚のパネル1aが伸張状態にある場合、連結板10の主体板10aの外側面と召し合わせ框1afの側面とを同一平面内に位置させることができて、伸張状態とした場合に、外側に突出する部分が存せず、外観が損なわれることがない。
また、一対のパネル1aが伸張状態にある場合には、二枚のパネル1aの召し合わせ框1af同士の正面が対向して位置して、これら召し合わせ框の間に隙間が形成される。折り畳み状態から伸張状態に変位した際には、隙間防止部材13があるので、この隙間に指等が挟まれてしまうことが防止される。しかも、伸張状態では、この隙間が隙間防止部材13によって閉じられるから、移動式間仕切り1の外観にこの隙間が現れず、移動式間仕切り1の外観が損なわれることがない。
また、この隙間防止部材13に、ゴム材等のような可撓性を備えている材料を用いることにより、指が突き当たった場合でも適宜に撓んで衝撃を与えることがない。なお、隙間防止部材13は、中空体によって形成することで、軽量化を図ることができて好ましい。
パネルが伸張状態にある場合は、部屋を二部屋に区画して利用する場合であるから、不用意に折り畳まれては不都合である。このため、伸張状態を維持できるように、召し合わせ框同士を係止する、係合部16aと係合受け部16bとからなる係止手段を設けたものである。この係止手段は係脱自在とされて、適宜な力で係合が解除されてパネルを折り畳むことができるようにすることが好ましい。
また、パネル1aの召し合わせ框1afや縦框1apに、指掛け部1af1や正面側指掛け部1ap1、背面側指掛け部1ap2を設けることにより、移動式間仕切り1の折り戸を変位させたり、引き戸として移動をさせたりすることを支障なく行わせることができる。
他方、一般的には、
図39と
図41、
図42に示すように、把手1ahや把手3ah、把手4ahを縦框1ap等に設けることで、移動式間仕切り1のパネル1aの操作を行えるようにしてある。この実施形態では、このような把手1ah等を設けることなく移動式間仕切り1のパネル1aを行えるようにしたものであるが、例えば、ユーザーの所望により把手1ah等を取り付けられるようにすることが好ましい。
なお、把手等が取り付けられていない場合には、パネルの小型化を図れて、移動式間仕切りの小型化を図ることができる。
【0046】
(パネルの支持構造及び上框と下框、案内レールとの連繋部構造)
肉厚の小さいパネル1aが用いられる場合には、
図20(B)の矢標Sで示すように、パネル1aの面に力が加えられると湾曲するおそれがある。特に、一般家屋に設置するために、移動式間仕切り1の小型化を図る場合には、上框1atや下框1ab、召し合わせ框1af、縦框1apが小型化し、肉厚の小さなパネル1aが用いられる。このため、僅かな力でパネル1aが湾曲してしまうおそれが生じる。そこで、パネル1aが湾曲しようとする場合、この湾曲を許容して、元の状態に復元される構造が要求される。
【0047】
図20~
図22は、パネル1aと上框1atと上側案内レール1bとの連繋部と、パネル1aと下框1abと下側案内レール1cとの連繋部の構造を示す縦断面図である。
パネル1aは、上框1atの下側壁と下框1abの上側壁にパネル1aの上下の端部が支持されて保持されている。
【0048】
上框1atの下側壁には、
図21に示すように、上框1atの長手方向に支持溝1at1が形成されており、パネル1aの上端がこの支持溝1at1に挿入される。また、この支持溝1at1には適宜な弾性を備えている緩衝材1adが配されており、パネル1aの端部と支持溝1at1とはこの緩衝材1adを介して連繋されている。このため、パネル1aが上框1atに対して適宜に傾くことが許容されている。
上框1atには上下方向を軸方向とした上側軸1at2が設けられており、この上側軸1at2の上端部が上框1atの上方に突出している。一方、上側案内レール1bには、長手方向に転動自在な一対のローラ1b1が配されている。このローラ1b1は支持ブロック1b2に支持された支持軸1b3を中心として回動自在に支持されており、この回動によって上側案内レール1bに案内されて転動する。また、これらローラ1b1の支持軸1b3の方向と上側軸1at2の軸方向とは直交させてあり、この上側軸1at2の上端部が支持ブロック1b2に回動自在に支持されている。この上側軸1at2の支持ブロック1b2に対する回動によって、パネル1aは折り畳み状態と伸張状態との間で変位する。また、上側軸1at2の上部にはフランジ部1at21が形成されており、このフランジ部1at21と支持ブロック1b2の下面との間には間隙Gtが設けられており、上側軸1at2がローラ1b1の回動軸と直交する方向に対して適宜な角度に傾くことが許容されている。
また、上框1atの上面の側端部には、上側軸1at2を挟むように、一対の隙間防止部材14が設けられており、これら隙間防止部材14の先端を上側案内レール1bに接近させて、上框1atと上側案内レール1bとの間に形成される隙間が閉じられている。また、この隙間防止部材14は、ゴム等の材料が用いられて、可撓性が備えられている。
【0049】
下框1abの上側壁には、
図22に示すように、下框1abの長手方向に支持溝1ab1が形成されており、パネル1aの下端がこの支持溝1ab1に挿入される。また、この支持溝1ab1には適宜な弾性を備えている緩衝材1aeが配されており、パネル1aの端部と支持溝1ab1とはこの緩衝材1aeを介して連繋されている。このため、パネル1aが下框1abに対して適宜に傾くことが許容されている。
下框1abには有底の筒状に形成されたバネ筐体1abbが収容されており、このバネ筐体1abbに圧縮コイルバネからなる押圧バネ1ab2が収容されている。バネ筐体1abbは上方に底部が、下方に開口1abb1が配されており、押圧バネ1ab2はこのバネ筐体1abbの上部、すなわち底部に適宜に保持されて収容されている。このバネ筐体1abbには下側軸1ab3が収容され、この下側軸1ab3の先端部が開口1abb1から突出している。また、下側軸1ab3はバネ筐体1abbに対して軸方向に摺動自在とされている。下側軸1ab3の基端部には、押圧バネ1ab2が係脱自在に連繋させてあり、係合時にはこの押圧バネ1ab2の復元力が、下側軸1ab3がバネ筐体1abbから突出する方向に付勢されている。
なお、バネ筐体1abbと下側軸1ab3とにより、伸縮自在な、いわゆるテレスコピック形式の軸とし、その外筒に押圧バネ1ab2を設けた構造とすることでも構わない。
下側軸1ab3の先端には下側案内レール1cと連繋しているスライダー1dが、これら下側軸1ab3とスライダー1dとの間に適宜な遊びを介して、すなわち適宜な間隙を介して連結されて、下側軸1ab3の軸を中心として回動自在に支持されている。また、押圧バネ1ab2の復元力により、スライダー1dが下側案内レール1cに押圧されている。下側案内レール1cの上面には、断面形状が鳩尾状に形成されたレール部1c1が設けられており、スライダー1dの下部にはこのレール部1c1を収容する鳩尾状のレール溝部1d1が形成されている。また、これらレール部1c1がレール溝部1d1に収容された状態で、レール部1c1の内側面とレール溝部1d1の外側面との間に適宜な間隙Gbが設けられている。
また、下側軸1ab3のスライダー1dとの連繋部は縮径された形状に形成され、下側軸1ab3の拡径側の端部とスライダー1dとの間には間隙Gsが設けられている。このため、これら間隙Gbと間隙Gsによって、下側軸1ab3がスライダー1dに対して傾くことと、スライダー1dが下側案内レール1cに対して傾くこととが許容されている。
また、下框1abの下面の側端部には、下側軸1ab3を挟むように、一対の隙間防止部材15が設けられており、これら隙間防止部材15の先端を下側案内レール1cに接近させて、下框1abと下側案内レール1cとの間に形成される隙間が閉じられている。また、この隙間防止部材15は、ゴム等の材料が用いられて、可撓性が備えられている。
【0050】
以上に説明した上側軸1at2と下側軸1ab3とは、同一の軸上に配されている。また、折り戸・引き戸式の移動式間仕切り1の二枚のパネル1aのそれぞれには、これら上側軸1at2と下側軸1ab3とからなる連繋部は上框1atと下框1abの一箇所に配されている。しかも、二枚のパネル1aのそれぞれの連繋部は、前述した連結板10を軸として対称となる位置に設けられている。
なお、折り戸・折り戸式の移動式間仕切り2における二枚のパネル2aのそれぞれには、同様に、上側軸1at2と下側軸1ab3が上框2atと下框2abの一箇所に配されている。
上側軸1at2は支持ブロック1b2に対して回動自在であり、下側軸1ab3はスライダー1dに対して回動自在である。このため、支持ブロック1b2を収容している上側案内レール1bとスライダー1dと係合している下側案内レール1cに対しても、これら上側軸1at2と下側軸1ab3が回動自在となっている。したがって、折り戸の場合に、折り畳み状態と伸張状態との間で変位させようとパネル1aを回動させる場合には、これら上側軸1at2と下側軸1ab3とを中心として回動させることができることになる。
【0051】
なお、折り戸として機能しない引き戸機能のみの移動式間仕切り3と移動式間仕切り4、移動式間仕切り5に用いられるパネル3aとパネル4a、パネル5aの場合には、上側軸1at2と下側軸1ab3とは複数箇所に設けることが好ましい。
【0052】
また、隙間防止部材14と隙間防止部材15が取り付けられているため、上框1atと上側案内レール1bとの隙間、または下框1abと下側案内レール1cとの隙間に指が差し込まれてしまうことが防止される。特に、下框1abと下側案内レール1cとの隙間には、足の指が差し込まれてしまうおそれがあり、このため、少なくとも、下框1abに隙間防止部材15を設けることが好ましい。さらに、下框1abと下側案内レール1cとの間隔を、足の指が差し込まれない大きさとすることも好ましい。
また、これら隙間防止部材14と隙間防止部材15にゴム材等による可撓性を備えさせることにより、指が突き当たった場合でも適宜に撓んで衝撃を与えることがない。
【0053】
(パネルの湾曲時の動作)
パネル1aの中央部に衝撃等の力が加えられると、
図20(B)に示すように、パネル1aが湾曲することになる。
このとき、パネル1aは上框1atに緩衝材1adを介して支持され、下框1abに緩衝材1aeを介して支持されているから、これら緩衝材1ad、1aeによって衝撃が緩和されると共に、緩衝材1adが圧潰されて、パネル1aの湾曲が許容される。また、上側軸1at2のフランジ部1at21と支持ブロック1b2との間に設けられた間隙Gtにより、上側軸1at2が上側案内レール1bに対して傾くことが許容される。また、下側軸1ab3に取り付けられたスライダー1dと下側案内レール1cとの間に設けられた間隙Gbにより、下側軸1ab3が下側案内レール1cに対して傾くことが許容される。さらに、下側軸1ab3とスライダー1dとの間に設けられた間隙Gsにより、下側軸1ab3がスライダー1dに対して傾くことが許容される。
したがって、パネル1aの湾曲は、これら上側軸1at2と下側軸1ab3が傾くことによって許容される。
さらに、パネル1aが湾曲すると、上框1atと下框1abとの距離が小さくなる。このため、これら上框1atと下框1abとが接近する方向に移動する。上框1atは上側案内レール1bとの関係で位置が規制されているから、上框1atは移動せずに、
図20(B)に示すように、下框1abが斜め上方に移動して、上框1atに接近する。なお、この下框1abの斜め上方への移動は、下側案内レール1cとスライダー1dとの間隙Gbによって許容される。また、この下框1abの斜め上方へのこの移動は、下側軸1ab3に対してバネ筐体1abbが軸方向に摺動することによる。このため、バネ筐体1abbの底部と下側軸1ab3の先端部とが離隔するから、スライダー1dに対する押圧バネ1ab2の復元力により生じている付勢状態が解除される。
【0054】
パネル1aに対する衝撃等による力が消滅すると、湾曲したパネル1aがその復元力によって平板状に復帰する。この復帰動作によって、間隙Gtにより上側案内レール1bに対して傾いた上側軸1at2が元の状態に復帰する。また、間隙Gbにより下側案内レール1cに対して傾いたスライダー1dが元の位置に復帰し、さらに、スライダー1dに対して傾いた下側軸1ab3が元の位置に復帰する。
また、上框1atに接近するよう上昇した下框1abが下降して、元の位置に復帰する。このとき、バネ筐体1abbが下側軸1ab3に対して摺動して下框1abが下降する。バネ筐体1abbのこの下降によって押圧バネ1ab2が下側軸1ab3と係合し、この押圧バネ1ab2の復元力がスライダー1dに作用する状態となる。このため、スライダー1dが下側案内レール1cに押圧されて、スライダー1dが下側案内レール1cに案内されて移動することができる状態となる。
【0055】
(引き戸のストッパ装置)
折り戸・引き戸式の移動式間仕切り1のパネル1aを引き戸として利用する場合や引き戸・引き戸式の移動式間仕切り3のパネル3aによる引き戸では、間仕切りとして使用する場合には、パネル1aやパネル3aを定位置に固定する必要が生じる場合がある。例えば、伸張状態にある一方の一対のパネル1aを出入りのための引き戸として利用する場合、他方の一対のパネル1aは不用意に移動しないように固定されることが好ましい。また、移動式間仕切り3の場合には一枚のパネル3aを出入り口とし、他のパネル3aは固定することが好ましい。
このために、パネル1aの縦框1apの下端部にはストッパ装置が取り付けられている。
図23~
図29には、下側案内レール1cを備えている移動式間仕切り1、移動式間仕切り3の場合に適したストッパ装置20が、
図30~
図34には移動収納式の移動式間仕切り5の場合に適したストッパ装置30が示されている。
【0056】
ストッパ装置20は、
図39に示す移動式間仕切り1と
図41に示す移動式間仕切り3に備えさせることが好ましく、以下に説明する構造は、移動式間仕切り1に設けられるストッパ装置20についてのものであるが、移動式間仕切り3に設けられるストッパ装置20も同様な構造とすることができる。
【0057】
ストッパ装置20は、主として、ホルダ部材21とピン保持部材としての作動部材22、係止ピン23、ピン受け穴としてのピン受けつぼ24により構成されている。
ホルダ部材21は、パネル1aの縦框1apの下端部に挿入されて取り付けられている。このホルダ部材21の正面は縦框1apの下端部の正面に露呈して配されている。ホルダ部材21の左右には、上下方向に貫通した一対のガイド孔21aが形成されている。また、
図25と
図27とに示すように、背面の中央上部には、上端から下方の適宜な位置まで切り込まれた係止用切欠部21bが形成されている。また、ホルダ部材21正面には背面側に窪んだ操作部としての凹部21cが設けられており、この凹部21cの下部は、ホルダ部材21の下面で開放されている。
一方、作動部材22はガイド孔21aに挿通される一対のガイド柱22aを備えており、このガイド柱22aがガイド孔21aに対して摺動自在とされている。このガイド柱22aは作動部材22の台板22dに立設されており、後述する動作によっても、ガイド孔21aから不用意に離脱することのない高さとされている。また、
図27に示すように、台板22dの背面側には上方を指向して可撓性を備えたバネ板部22bが設けられている。なお、ホルダ部材21にはこのバネ板部22bが挿通する挿通孔21dが貫通して設けられており、バネ板部22bはこの挿通孔21dを貫通している。また、このバネ板部22bの上部には後方に向かって、ホルダ部材21の係止用切欠部21bと係脱自在な係止突起22cが突設されている。すなわち、これら係止用切欠部21bと係止突起22cとによって作動部材22をホルダ部材21に係止させる係手段が構成されている。なお、この係止突起22cの係止用切欠部21bに対する係脱は、バネ板部22bが備えている自身の可撓性により行われる。ガイド柱22aがガイド孔21aに対して摺動することにより、ホルダ部材21の下面と作動部材22の台板22dの上面とが接触する位置と離隔する位置とに位置することになる。また、接触した位置にある状態で、ホルダ部材21の凹部21cの下部には台板22dの上面が露呈することになる。また、作動部材22の正面側であって、台板22dの下部には背面側に窪んだ操作部としての凹部22eが設けられている。
【0058】
作動部材22の下部にはピン保持板23aが保持されており、作動部材22に伴われてホルダ部材21に対して移動する。このピン保持板23aは一部が作動部材22の側方から突出させてあり、この突出した部分に係止ピン23が下方を指向して突設されている。
また、下側案内レール1cの一部であって、パネル1aを固定させようとする位置に対応した部分には透孔1caが形成され、この透孔1caにピン受けつぼ24が埋設されている。
【0059】
図30~
図34に示すストッパ装置30も、ストッパ装置20と同様の構造を備えており、主として、ホルダ部材31と作動部材32、係止ピン33とにより構成されている。なお、このストッパ装置30は、移動式間仕切り5のような下側案内レールのない構造に適しており、ストッパ装置20が備えているピン受けつぼ24に替えて、床面の所定の位置にピン受け穴(図示せず)が設けられている。
【0060】
ホルダ部材31は、パネル5aの縦框5apの下端部に挿入されて取り付けられ、このホルダ部材31の正面は縦框5apの下端部の正面に露呈して配されている。このホルダ部材31に形成されたガイド孔31aに作動部材32の台板32dに立設させたガイド柱32aが摺動自在に挿入されている。台板32dの背面側にはバネ板部32bが設けられている。このバネ板部32bの上部には、ホルダ部材31の背面に形成された係止用切欠部31bと、このバネ板部32bの可撓性によって係脱する係止突起32cが突出させてある。なお、ホルダ部材31には挿通孔31dが設けられており、バネ板部32bはこの挿通孔31dに挿通されている。
また、作動部材32の台板32dの上面はホルダ部材31の操作部である凹部31cに露呈する。また、作動部材32の正面側であって、台板32dの下部には背面側に操作部として窪ませた凹部32eが設けられている。
【0061】
(ストッパ装置の動作)
パネル1aが移動自在の状態では、作動部材22の台板22dがホルダ部材21の下面に当接している状態にある。この状態で、係止突起22cが係止用切欠部21bと係合して、作動部材22がホルダ部材21に保持された状態にあって、係止ピン23が上昇した位置にあり、ピン受けつぼ24と係合しない位置にある。この係止ピン23のピン受けつぼ24と係合していない位置を、移動許容位置とする。
パネル1aを所定の位置に固定する場合には、パネル1aを移動させて、係止ピン23がピン受けつぼ24に対向する位置に位置付かせる。そして、凹部21cに指先を挿入して台板22dを押し下げると、作動部材22がホルダ部材21に対して下降する。このとき、バネ板部22bが撓むことによって係止突起22cが係止用切欠部21bから離脱し、作動部材22の下降が許容される。ホルダ部材21は縦框1apに保持されているから、作動部材22が下降すると、係止ピン23も下降して、ピン受けつぼ24に係合する。この係止ピン23とピン受けつぼ24との係合によって、パネル1aの移動が阻止された状態となりパネル1aが当該位置に固定された状態となる。この係止ピン23のピン受けつぼ24と係合した位置を、移動阻止位置とする。
【0062】
係止ピン23とピン受けつぼ24との係合を解除するには、作動部材22の台板22dの下部の凹部22eに指先を挿入して、作動部材22をホルダ部材21に対して上昇させる。これにより、係止ピン23がピン受けつぼ24から離脱して、これらの係合状態が解除される。また、作動部材22を上昇させることにより、係止突起22cが係止用切欠部21bに達すると、撓んだ状態にあるバネ板部22bがその復元力によって係止突起22cを係止用切欠部21bに係合させるから、以後は作動部材22がホルダ部材21に保持された状態となって、作動部材22が不用意に下降しない。これにより、パネル1aを移動させることができる。
【0063】
また、ストッパ装置30の場合には、凹部31cに指先を挿入して台板32dを押し下げると、作動部材32がホルダ部材31に対して下降し、係止ピン33が床面に形成された図示しないピン受け穴に係合して移動阻止位置に位置し、パネル5aの移動が阻止される。
また、凹部32eに指先を挿入して作動部材32を押し上げると、係止ピン33がピン受け穴から離脱して、これらの係合状態が解除されて、移動許容位置に位置する。また、係止突起32cが係止用切欠部31bに達すると、撓んでいたバネ板部32bの復元力によって係止突起32cが係止用切欠部31bに係合して、作動部材32がホルダ部材31に保持された状態となる。これにより、作動部材32が不用意にホルダ部材31から離脱することがなく、パネル5aを移動させることができる。
【0064】
作動部材22を作動させて係止ピン23を移動許容位置と移動阻止位置との間で移動させる操作は、縦框1apの正面によって行うことができるので、作動部材22の移動を案内するホルダ部材21を縦框1apに収容させて設けることができる。このため、ストッパ装置20を小型化することができ、縦框1apを小型化でき、移動式間仕切り1を小型化できて、一般家屋に設置するのに支障のない大きさの移動式間仕切り1とすることができる。
【0065】
(ノンレール引き戸の揺れ防止構造)
ノンレール引き戸式の移動式間仕切り4では、下側案内レールが敷設されておらず、上框4atで上側案内レール4bに吊下され、下框4abが自由な状態にある。このため、パネル4a等の側方から力が加えられると、パネル1aが上框1atと上側案内レール4bとの連係部を中心として左右に揺動するおそれがある。パネル4aが揺動する場合には、移動式間仕切り4としての機能が損なわれるおそれがあるから、この揺動を阻止することが好ましい。
そこで、ノンレール引き戸式の移動式間仕切り4には、揺動防止機能を備えることが好ましい。以下に、この揺動防止機能を果たす、揺れ防止構造を説明する。
【0066】
図37は、ノンレール引き戸式の移動式間仕切り4のパネル4aの正面図である。また、
図35は床ガイド40の斜視図、
図36はパネルガイド42の斜視図である。なお、パネル4aの下框4abには、一対の隙間防止部材15が取り付けられている。
床ガイド40は、
図35に示すように、床面に固定される支持板部40aと、この支持板部40aの一端部から上方に向かって突出させた係止部40bとを備えている。支持板部40aには、床面に固定する際に固定ボルト等を挿通させる透孔40a1が設けられている。係止部40bの上部には、下部に対して幅を小さくした緩衝材保持部40b1が形成されており、
図37に示すように、この緩衝材保持部40b1に筒状に成形された緩衝材40cが保持される。
パネルガイド42は、帯板材がほぼU字形に形成され、U字形の一方の腕部が他方の腕部よりも伸長されている。この伸長している側の腕部が支持腕部42aとされ、短い側の腕部が係止腕部42bとされている。支持腕部42aは引き戸として重なり合う一方のパネル4aの召し合わせ部の縦框4apの側面に固定され、係止腕部42bは他方のパネル4aと係合する。支持腕部42aには、パネル4aに固定する際に固定ボルト等を挿通させる透孔42a1が設けられている。係止腕部42bの上部には、下部に対して幅を小さくした緩衝材保持部42b1が形成されており、
図37に示すように、この緩衝材保持部42b1に筒状に成形された緩衝材42cが保持される。
例えば、二枚のパネル4aによるノンレール引き戸式の移動式間仕切り4では、二枚のパネル4aは異なる上側案内レール4bに吊下されて、それぞれの移動の軌道が異なっている。このため、二枚のパネル4aは全域で重なり合うことができ、また、間仕切りとして二部屋に区画する際には、二枚のパネル4aの縦框4apが召し合わせ部で重なった状態となる。
【0067】
図37は二部屋に区画した際の召し合わせ部を示す縦断面図で、この召し合わせ部の一方のパネル4aの縦框4apが位置する部分の床面には、床ガイド40が固定される。床ガイド40の支持板部40aを床面に固定すると、係止部40bが上方に向かって起立した状態となる。この状態で、緩衝材保持部40b1が、この床ガイド40の上方を通過して移動するパネル4aの下框4abに取り付けられた一対の隙間防止部材15の間に位置する。なお、
図37に示すように、下框4abと縦框キャップ4ap1の下面に長手方向に沿った凹部4ab1を形成して、緩衝材40cがこの凹部4ab1に挿入されるようにすることが好ましい。
床ガイド40の上方を通過するパネル4aは、緩衝材保持部40b1が隙間防止部材15の間や凹部4ab1と連繋した状態で移動する。したがって、この床ガイド40の上方を通過するパネル4aが揺動しようとすると、緩衝材保持部40b1の緩衝材40cが隙間防止部材15や凹部4ab1に当接して揺動が阻止される。また、当接時に生じる衝撃は緩衝材40cによって緩和される。
【0068】
床ガイド40の上方を通過する一方のパネル4aの縦框4apの側面にはパネルガイド42の支持腕部42aが固定されている。このパネルガイド42のU字形の中央部が他方のパネル4aに向かって伸長して、係止腕部42bが他方のパネル4aの隙間防止部材15の間に位置する。また、この他方のパネル4aの下框4abの下面にも凹部4ab1を形成して、緩衝材42cがこの凹部4ab1に挿入されるようにすることが好ましい。
パネルガイド42の緩衝材保持部42b1の上方を通過するパネル4aは、緩衝材保持部42b1が隙間防止部材15の間や凹部4ab1と連繋した状態で移動する。したがって、このパネルガイド42の緩衝材保持部42b1の上方を通過するパネル4aが揺動しようとすると、緩衝材保持部42b1の緩衝材42cが隙間防止部材15や凹部4ab1に当接して揺動が阻止される。また、当接時に生じる衝撃は緩衝材40cによって緩和される。
【0069】
(戸当り部の操作部構造)
図43に示す移動式間仕切り5では、収納案内レール5d側に位置しているパネル5a1を開き戸としてある。このため、このパネル5a1の召し合わせ框5afには、引き戸のパネル5aに当接して、パネル5a1の閉鎖位置を位置決めする戸当り框5asが召し合わせ框5afに設けられている。この戸当り框5asは、
図38に示すように、開き戸の扉体となるパネル5a1の召し合わせ框5afの側方に突出し、さらに前方に突出した形状に形成されている。すなわち、この戸当り框5asは、
図38(A)に示すように、閉鎖時に隣接することになるパネル5aの召し合わせ框5afの側面に当接して、開き戸のパネル5a1を閉鎖位置に位置決めして維持させる。この戸当り框5asの側方に突出した部分の先端に、前方と後方に突出させた側面指掛け部5as1が形成されている。
【0070】
扉体のパネル5aを開放する場合には、
図38(A)に示すように、側面指掛け部5as1を手指で把持して、戸当り框5asを手前に引けば、扉体のパネル5aが旋回して、
図38(B)に示すように、この開き戸の間口を容易に開放できる。また、扉体のパネル5aを閉鎖側に旋回させるには、戸当り框5asを押動させればよい。
【符号の説明】
【0071】
1…移動式間仕切り、1a…パネル、1ab…下框、1ab1…支持溝、1ab2…押圧バネ、1ab3…下側軸、1abb…バネ筐体、1abb1…開口、1ad…緩衝材、1ae…緩衝材、1af…召し合わせ框(縦框)、1af1…指掛け部、1ap…縦框、1ap1…正面側指掛け部、1ap2…背面側指掛け部、1at…上框、1at1…支持溝、1at2…上側軸、1at21…フランジ部、1b…上側案内レール、1b1…ローラ、1b2…支持ブロック、1b3…支持軸、1c…下側案内レール、1c1…レール部、1d…スライダー、1d1…レール溝部、2…移動式間仕切り、2a…パネル、2ab…下框、2af…召し合わせ框(縦框)、2ap…縦框、2at…上框、2b…上側案内レール、2c…下側案内レール、3…移動式間仕切り、3a…パネル、3ab…下框、3af…召し合わせ框(縦框)、3ap…縦框、3at…上框、3b…上側案内レール、3c…下側案内レール、4…移動式間仕切り、4a…パネル、4ab…下框、4ab1…凹部、4af…召し合わせ框(縦框)、4at…上框、4ap…縦框、4ap1…縦框キャップ、4b…上側案内レール、5…移動式間仕切り、5a…パネル、5a1…開き戸のパネル、5ab…下框、5af…召し合わせ框(縦框)、5ap…縦框、5at…上框、5b…上側案内レール、5d…収納案内レール、5d1…移動案内レール、5d2…収納部レール、5as…戸当たり框、5as1…側面指掛け部、5apt…上框連結金具、5apb…下框連結金具、5apa…支持軸、5br…支持ローラ、10…連結板、10a…主体板、10b…抱持舌片、10c…抱持部、10d…収容舌片、10e…軸部材収容部、10f…のど部、10g…被抱持部、10g1…首部、10g2…係止突起、10h…抱持端部、11…召し合わせ框キャップ、11a…隙間防止材取付溝、11b…軸穴、11c…歯部、111…召し合わせ框キャップ、111a…外側平面、111b…内側平面、111c…歯部、111d…傾斜面、12…軸部材、12a…台座部、12b…軸部、12c…連結板受け部、12c1…平板部、12c2…突出部、12c3…連結板受け面、12d…連繋部、12e…保持板、13…隙間防止部材、13a…舌片、13b…空間部、14…隙間防止部材、15…隙間防止部材、16a…係合部、16a1…係合球、16b…係合受け部、16b1…球体受容部、20…ストッパ装置、21…ホルダ部材、21a…ガイド孔、21b…係止用切欠部、21c…凹部、22…作動部材、22a…ガイド柱、22b…バネ板部、22c…係止突起、22d…台板、22e…凹部、23…係止ピン、23a…ピン保持板、24…ピン受けつぼ(ピン受け穴)、30…ストッパ装置、31…ホルダ部材、31a…ガイド孔、31b…係止用切欠部、31c…凹部、32…作動部材、32a…ガイド柱、32b…バネ板部、32c…係止突起、32d…台板、32e…凹部、33…係止ピン、40…床ガイド、40a…支持板部、40a1…透孔、40b…係止部、40b1…緩衝材保持部、40c…緩衝材、42…パネルガイド、42a…支持腕部、42b…係止腕部、42b1…緩衝材保持部、42c…緩衝材、F…指先、Ga…挟み込み防止間隙、Gb…間隙、Gt…間隙、Gs…間隙