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特許7373353熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法
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  • 特許-熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法 図1
  • 特許-熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/82 20230101AFI20231026BHJP
   H10N 10/01 20230101ALI20231026BHJP
【FI】
H10N10/82
H10N10/01
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019189373
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021064725
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松並 博之
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲史
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-008084(JP,A)
【文献】特開2005-050862(JP,A)
【文献】特開2002-374008(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0128186(KR,A)
【文献】特開2004-281930(JP,A)
【文献】特開2006-332443(JP,A)
【文献】特開平10-173244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/82
H10N 10/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部基板と、
該下部基板の上方に対向して配置された上部基板と、
これら下部基板と上部基板との間に、それぞれ複数が配置されたp型及びn型の熱電素子と、
前記下部基板の上面及び前記上部基板の下面に配置されて、前記p型及びn型の熱電素子を交互に順次接続して直列回路を形成する第一電極と、
前記下部基板上に設けられて、前記直列回路の端部の熱電素子とポストを接続する第二電極と、
を備え、
前記ポストは、
チタンから形成されたポスト本体と、
該ポスト本体の側面を覆うチタン不働態膜と、
を有する熱電モジュール。
【請求項2】
前記ポストは、
前記第二電極に接続される該ポストの第一面に設けられ、金と錫の合金から形成される第一めっき部と、該ポストの前記第一面に対向する第二面に設けられ、金から形成された第二めっき部と、
をさらに有する請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項3】
前記ポストは、
前記第二めっき部と前記ポストの間、及び前記第一めっき部と前記ポストの間の少なくとも一方に設けられた中間層をさらに有する請求項2に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
前記中間層は、金、パラジウム、プラチナ、及びロジウムを含む群から選択された少なくとも1つの種によって形成されている請求項3に記載の熱電モジュール。
【請求項5】
チタンから形成されるとともに、厚さ方向に互いに離間する方向を向く一対の端面を有する板状の素体を準備する工程と、
該素体の前記厚さ方向における一方側の端面に、金によるめっき処理を施すとともに、該素体の厚さ方向における他方側の端面に、金と錫の合金によるめっき処理を施すことでめっき済み素体を形成する工程と、
該めっき済み素体を前記厚さ方向から格子状にダイシングすることで、複数のポストを形成する工程と、
を含む熱電モジュール用ポストの製造方法。
【請求項6】
前記めっき済み素体を形成する工程では、前記めっき処理の前に前記素体の厚さ方向の片面に中間層を形成する工程を実行する請求項5に記載の熱電モジュール用ポストの製造方法。
【請求項7】
前記めっき済み素体を形成する工程では、前記めっき処理の前に前記素体の厚さ方向の両面に中間層を形成する工程を実行する請求項5に記載の熱電モジュール用ポストの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ効果によって吸熱又は発熱する回路素子として、熱電モジュールがこれまでに広く用いられている。一例として下記特許文献1に記載されているように、熱電モジュールは、p型とn型の熱電素子と、これら熱電素子を接続する一対の電極と、電極に対して電流を供給するためのポストと、これら熱電素子、電極、及びポストを外側から覆うハウジングと、を備えている。p型の熱電素子とn型の熱電素子は交互かつ直列に接続されており、当該直列回路の両端部にはそれぞれニッケルによって形成された柱状のポストが設けられている。一方のポストを正極とし、他方のポストを負極として電流を供給する。これにより、熱電素子にペルチェ効果が発現し、一方の電極では吸熱が生じ、他方の電極では発熱が生じる。
【0003】
ここで、熱電素子の温調温度が周囲の環境雰囲気の露点を下回った場合、熱電モジュールに結露を生じる可能性がある。結露が生じると、上記のポストにエレクトロケミカルマイグレーションと呼ばれる現象が誘発される。エレクトロケミカルマイグレーションとは、電気回路上の電極間の絶縁性が電気的、化学的また熱等の要因により不良となり、電極金属がイオンとして溶出・還元されることで短絡を起こす現象である。このエレクトロケミカルマイグレーションを回避するため、ハウジングを外部に対して密閉するとともに、ハウジング内部を不活性ガスで満たす構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-111326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにハウジングを密閉し、その内部に不活性ガスを満たす場合、製造に係るコスト、工数の増加につながるため、経済的とは言えない。このため、簡素な構成のもとでエレクトロケミカルマイグレーションをさらに抑制できる熱電モジュールに対する要請が高まっている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、簡素な構成のもとでエレクトロケミカルマイグレーションをさらに抑制することが可能な熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る熱電モジュールは、下部基板と、該下部基板の上方に対向して配置された上部基板と、これら下部基板と上部基板との間に、それぞれ複数が配置されたp型及びn型の熱電素子と、前記下部基板の上面及び前記上部基板の下面に配置されて、前記p型及びn型の熱電素子を交互に順次接続して直列回路を形成する第一電極と、前記下部基板上に設けられて、前記直列回路の端部の熱電素子とポストを接続する第二電極と、を備え、前記ポストは、チタンから形成されたポスト本体と、該ポスト本体の側面を覆うチタン不働態膜と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成のもとでエレクトロケミカルマイグレーションをさらに抑制することが可能な熱電モジュール、及び熱電モジュール用ポストの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る光モジュールの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る熱電モジュールの構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るポストの構成を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るポストの製造方法の各工程を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るポストの製造方法のうち、準備工程における素体の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るポストの製造方法のうち、めっき処理工程が完了した後のめっき済み素体の構成を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るポストの製造方法のうち、ダイシング工程が完了した後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(光モジュールの構成)
以下、本発明の実施形態に係る光モジュール100、及び熱電モジュール1について、図1から図7を参照して説明する。光モジュール100は、例えば光通信に使用される。図1に示すように、光モジュール100は、熱電モジュール1と、発光素子101と、ヒートシンク102と、第一ヘッダ103と、受光素子104と、第二ヘッダ105と、温度センサ106と、金属板107と、レンズ108と、レンズホルダ109と、ワイヤ112と、ハウジング113と、を備える。
【0011】
さらに、光モジュール100は、光アイソレータ115と、光フェルール116と、光ファイバ117と、スリーブ118と、を有する。
【0012】
熱電モジュール1は、ペルチェ効果によって吸熱又は発熱する回路素子である。熱電モジュール1の詳細な構成については後述する。
【0013】
発光素子101は、光を射出する。発光素子101は、例えばレーザ光を発するレーザダイオードを含む。ヒートシンク102は、発光素子101を支持する。ヒートシンク102は、発光素子101で発生した熱を放散する。第一ヘッダ103は、ヒートシンク102を支持する。ヒートシンク102は、第一ヘッダ103に固定されている。
【0014】
受光素子104は、発光素子101から発生した光を検出する。受光素子104は、例えばフォトダイオードを含む。第二ヘッダ105は、受光素子104を支持している。受光素子104は、第二ヘッダ105に固定されている。
【0015】
温度センサ106は、金属板107の温度を検出する。温度センサ106は、例えばサーミスタを含む。
【0016】
金属板107は、第一ヘッダ103、第二ヘッダ105、及び温度センサ106を支持する。第一ヘッダ103、第二ヘッダ105、及び温度センサ106は、ハンダ付けによって金属板107に固定されている。
【0017】
レンズ108は、発光素子101から射出された光を集める。レンズホルダ109は、レンズ108を支持している。
【0018】
ハウジング113は、熱電モジュール1、発光素子101、ヒートシンク102、第一ヘッダ103、受光素子104、第二ヘッダ105、温度センサ106、金属板107、レンズ108、レンズホルダ109を収容する。ハウジング113には、発光素子101から射出された光が通過する開口部114が形成されている。
【0019】
光アイソレータ115は、ハウジング113の外側で、開口部114を塞ぐようにして配置されている。光アイソレータ115は、一方向に進行する光を通過させ、逆方向に進行する光を遮断する。発光素子101から射出され、レンズ108を通過した光は、開口部114を経て光アイソレータ115に入射する。光アイソレータ115に入射した光は、光アイソレータ115を通過する。
【0020】
光フェルール116は、光アイソレータ115から射出された光を光ファイバ117に導く。スリーブ118は、光フェルール116を支持している。
【0021】
次に、光モジュール100の動作について説明する。発光素子101から射出された光は、レンズ108によって集められた後、開口部114を介して光アイソレータ115に入射する。光アイソレータ115に入射した光は、光アイソレータ115を通過した後、光フェルール116を経て光ファイバ117の端面に入射する。
【0022】
発光素子101から発生した熱は、ヒートシンク102及び第一ヘッダ103を介して金属板107に伝達される。温度センサ106は、金属板107の温度を検出する。金属板107の温度が、予め定められた規定温度に達したことを温度センサ106が検知した場合、熱電モジュール1に電流が供給される。熱電モジュール1の熱電素子3が通電されることによって、当該熱電モジュール1は、ペルチェ効果により吸熱する。これにより、発光素子101が冷却される。発光素子101は、熱電モジュールによって温度調節される。
【0023】
<熱電モジュール>
図2に示すように、熱電モジュール1は、一対の基板2(上部基板21、及び下部基板22)と、これら基板2同士の間に配置された複数の熱電素子3(p型熱電素子3P、及びn型熱電素子3N)と、これら熱電素子3を接続する第一電極4A(上部電極41、及び下部電極42)と、ポスト111と、第二電極4Bとを有する。
【0024】
上部基板21、及び下部基板22は、電気絶縁材料で形成された板状をなしている。一例として上部基板21、及び下部基板22は、セラミックで形成されている。上部基板21は、下部基板22に対して上方に対向するととともに、間隔をあけて配置されている。
【0025】
熱電素子3は、上部基板21と下部基板22との間に互いに間隔をあけて複数配置されている。つまり、熱電素子3は、下部基板22の上面及び上部基板21の下面に、後述する電極4を介して対向するようにして配置されている。熱電素子3には、当該熱電素子3に含まれる半導体の極性に応じて、p型熱電素子3Pと、n型熱電素子3Nとが含まれる。本実施形態では、これらp型熱電素子3Pとn型熱電素子3Nとが、断面視で交互となるように配列されている。
【0026】
図2に示すように、p型熱電素子3P、及びn型熱電素子3Nの上端面には上部電極41が設けられ、下端面には下部電極42が設けられている。上部電極41、及び下部電極42はともに、基板2上に金属箔等で形成された配線部材である。p型熱電素子3P、及び当該p型熱電素子3Pに隣接するn型熱電素子3Nとは、下部電極42によって互いに接続されている。n型熱電素子3N、及び当該n型熱電素子3Nに隣接するp型熱電素子3Pは、上部電極41によって互いに接続されている。これにより、p型熱電素子3Pとn型熱電素子3Nとが交互に順次接続され、直列回路を形成している。
【0027】
下部基板22の上面には、ポスト111が立設されている。ポスト111は、上記の直列回路の端部に位置する熱電素子3に対して、下部基板22の上面に設けられた第二電極4Bを介して電気的に接続されている。ポスト111の上端面には外部から電流を供給するためのワイヤ112が接続されている。つまり、このポスト111を介して、ワイヤ112から熱電素子3に電流が供給される。なお、図2では、1つのポスト111のみ示しているが、ポスト111は、正極・負極としてそれぞれ1つずつ、計2つ設けられている。
【0028】
<ポスト>
図3に示すように、ポスト111は、ポスト本体5と、このポスト本体5の上下方向における両端面にそれぞれ設けられた中間層6と、中間層6の外側に設けられためっき部7と、ポスト本体5の側面を覆う不働態膜5F(チタン不働態膜)と、を有している。
【0029】
ポスト本体5は、チタンによって一体に形成された角柱状をなしている。チタンは空気に触れると直ちに変性し、その表面に不働態膜5Fが形成される。つまり、製造直後の状態では、ポスト本体5の側面には何らの加工や処理も施されていない。不働態膜5Fは、チタンの表面に形成される酸化皮膜である。不働態膜5Fは、溶液や酸にさらされても溶け去ることが無いため、内部のチタン(ポスト本体5)を保護して、酸化の進行を抑制する。なお、ポスト本体5の「側面」とは、下部電極42と接合される面と、当該接合される面と対向する面を除く他の4つの面を指す。
【0030】
中間層6は、めっき部7の食いつきを改善するために設けられている金属膜である。中間層6として具体的には、金、パラジウム、プラチナ、及びロジウムを含む群から選択された少なくとも1つの種が好適に用いられる。なお、この中間層6を設けずに、ポスト本体5に対してめっき部7(後述)を直接設ける構成を採ることも可能である。
【0031】
めっき部7は、ポスト本体5の上端側の面である第一面に形成された上部めっき部71(第一めっき部)と、下端側の面である第二面に形成された下部めっき部72(第二めっき部)とを有する。上部めっき部71は、金によって形成されためっき層である。下部めっき部72は、金と錫の合金によって形成されためっき層である。なお、中間層6は、下部めっき部72とポスト111の間、及び上部めっき部71とポスト111の間の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0032】
<ポストの製造方法>
次いで、図4から図6を参照してポスト111の製造方法について説明する。図4に示すように、この製造方法は、準備工程S1と、中間層形成工程S2と、めっき処理工程S3と、ダイシング工程S4と、を含む。
【0033】
準備工程S1では、チタンで形成された板材(素体8)を準備する(図5)。素体8は、厚さ方向に互いに離間する方向を向く一対の端面を有する。より詳細には、素体8がXY平面内に広がる場合に、上記厚さ方向はXYZ座標系におけるZ軸方向である。中間層形成工程S2では、この素体8の厚さ方向一方側の面(上面)、及び他方側の面(下面)に、上述の中間層6を形成する。なお、この中間層形成工程S2を実行せずに、後続のめっき処理工程S3を実行することも可能である。めっき処理工程S3では、中間層6のさらに外側に上述のめっき部7を形成する。具体的には、上面側に金による上部めっき部71を形成し、下面側に金と錫の合金による下部めっき部72を形成する。これにより、めっき済み素体8Gが得られる。その後、このめっき済み素体8Gに対して、ダイシング処理を施す。ダイシング処理によって、めっき済み素体8Gを厚さ方向から格子状に切断(ダイシング)する。これにより、複数のポスト111が得られる(図7)。以上により、ポスト111の製造に係る全工程が完了する。
【0034】
<効果>
ここで、例えばポスト111が一例としてニッケルによって形成されている場合を考える。この場合、熱電素子3による温調温度が周囲の環境雰囲気の露点を下回ると、熱電モジュール1に結露を生じる可能性がある。結露が生じると、上記のポスト111にエレクトロケミカルマイグレーションと呼ばれる現象が誘発される。エレクトロケミカルマイグレーションとは、電気回路上の電極間の絶縁性が電気的、化学的また熱等の要因により不良となり、電極金属がイオンとして溶出・還元されることで短絡を起こす現象である。このような現象が生じると、熱電モジュール1の安定的な動作に支障を来たす虞がある。このエレクトロケミカルマイグレーションを回避するため、ハウジングを外部に対して密閉するとともに、ハウジング内部を不活性ガスで満たす構成が一例として考えられる。
【0035】
しかしながら、ハウジングを密閉し、その内部に不活性ガスを満たす場合、製造に係るコスト、工数の増加につながるため、経済的とは言えない。このため、簡素な構成のもとでエレクトロケミカルマイグレーションをさらに抑制できる熱電モジュールに対する要請が高まっていた。
【0036】
そこで、本実施形態では、ポスト111をチタンによって形成している。ポスト本体5をチタンによって形成することで、その側面には不働態膜5Fが自然に形成される。この不働態膜5Fが形成されていることによって、たとえ上記のような結露が生じた場合であっても、水分による変性や劣化を防ぐことができる。また、不働態膜5Fにキズが生じてチタンが露呈した場合であっても、直ちにこのキズを覆うようにして新たな不働態膜5Fが形成される。これにより、ポスト111の環境耐性を高めることができる。
【0037】
また、上記の構成では、ポスト本体5の上端面に金による上部めっき部71が形成され、下端面に金と錫の合金による下部めっき部72が形成されている。これにより、上部めっき部71に対してワイヤ112を接続する(ボンディングする)際の食いつきを良くすることができる。また、下部めっき部72に対しては、ハンダ付けによる下部電極42への食いつきを向上させることができる。
【0038】
さらに、これら上部めっき部71、及び下部めっき部72とポスト本体5との間には、中間層6が設けられている。これにより、上部めっき部71、及び下部めっき部72の剥離や脱落が生じる可能性をさらに低減することができる。
【0039】
また、上記の製造方法によれば、中間層6、及びめっき部7を素体8の厚さ方向両面に形成した後、めっき済み素体8Gをダイシングすることによって、大量のポスト111を短時間に効率的に製造することができる。これにより、工数やコストを削減することができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記実施形態では、熱電モジュール1が光モジュール100の一要素として用いられている場合について説明した。しかしながら、熱電モジュール1は光モジュール100とは異なる他の機械装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
100…光モジュール、1…熱電モジュール、2…基板、21…上部基板、22…下部基板、3…熱電素子、3P…p型熱電素子、3N…n型熱電素子、4…電極、4A…第一電極、4B…第二電極、41…上部電極、42…下部電極、5…ポスト本体、5F…不働態膜、6…中間層、7…めっき部、71…上部めっき部(第一めっき部)、72…下部めっき部(第二めっき部)、8…素体、8G…めっき済み素体、101…発光素子、102…ヒートシンク、103…第一ヘッダ、104…受光素子、105…第二ヘッダ、106…温度センサ、107…金属板、108…レンズ、109…レンズホルダ、111…ポスト、112…ワイヤ、113…ハウジング、114…開口部、115…光アイソレータ、116…光フェルール、117…光ファイバ、118…スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7