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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】プレート式混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/422 20220101AFI20231026BHJP
【FI】
B01F25/422
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019207237
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021079316
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グェン ゴク タム
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 功
(72)【発明者】
【氏名】楠 健司
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特許第7280798(JP,B2)
【文献】特開2008-290038(JP,A)
【文献】特表2008-537904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0274596(US,A1)
【文献】特開平08-299772(JP,A)
【文献】特表2017-504780(JP,A)
【文献】特開2017-003173(JP,A)
【文献】特開平08-094276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01J 19/00-19/32
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
F28F 3/00- 3/14
F28D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体に含まれる複数の成分を混合させるプレート式混合器であって、
第一方向に重ね合わされた複数のプレートを備え、
これら複数のプレートは、隣り合うプレートのプレート間のそれぞれに前記流体が流通可能な流路を形成し、
これら複数のプレートには、該プレートの重ね合わせ方向に延び且つ各流路に連通することで前記各流路に前記流体をそれぞれ流入させる一方の連通路と、前記重ね合わせ方向に延び且つ前記各流路に連通することで前記各流路から前記流体をそれぞれ流出させる他方の連通路とが、形成され、
前記隣り合うプレートの各対向面は、前記第一方向と直交する第二方向に延びる該プレートの中心線に対して所定の角度で傾斜する傾斜方向に長手を有する凸部及び凹部を有し且つ前記傾斜方向に沿って交互に並ぶ該凸部及び該凹部によって構成される凹凸群であって、前記傾斜方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群を有し、
該複数の凹凸群のそれぞれの凸部は、該凸部を含む凹凸群と前記傾斜方向と直交する方向に隣り合う凹凸群の凹部に対して横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群のそれぞれの凹部は、該凹部を含む凹凸群と前記傾斜方向と直交する方向に隣り合う凹凸群の凸部に対して横並びに配置され、
前記隣り合うプレートは、互いの凹凸群の凸部同士を交差した状態で対向している、プレート式混合器。
【請求項2】
前記隣り合うプレートにおける一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、前記隣り合うプレートにおける他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの少なくとも二つの凹凸群の凸部と交差した状態で対向している、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項3】
前記隣り合うプレートにおける一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、前記隣り合うプレートにおける他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凸部と交差した状態で対向している、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項4】
前記一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凹部のそれぞれは、前記他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凹部と交差した状態で対向している、請求項3に記載のプレート式混合器。
【請求項5】
前記傾斜方向は、前記第二方向に延びる中心線に対して60°未満の角度で傾斜している、請求項1~4の何れか1項に記載のプレート式混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体に含まれる複数の成分を混合させるプレート式混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定方向に重ね合わされた複数のプレートのプレート間に流体を流すことで該流体に含まれる複数の成分を混合させるプレート式混合器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このプレート式混合器では、複数のプレートが第一方向に重ね合わされ、各プレート間に流体の流通可能な流路が形成されている。
【0004】
第一方向に隣り合うプレートの各対向面には、第一方向と直交する第二方向に延びる該プレートの中心線(以下、「縦中心線」と称する。)に対して傾斜する方向に延びる凸条と該凸条と同方向に延びる凹条とがそれぞれの延びる方向と直交する方向に交互に配置されている。そして、これら各対向面の複数の凸条同士が、第一方向から見て格子状となるように、互いに交差した状態で当接している。
【0005】
このように構成される各プレート間(流路)を、二種類以上の液体を合わせた流体又は一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体が第二方向に向けて流れると、複数の凸条及び複数の凹条とによって該流体の流れに乱れが生じ、その結果、この流体に含まれる複数の成分(二種以上の液体、又は、一種以上の液体と粉体)が混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-299772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、混合器における混合性能の向上が求められている。そこで、上記のプレート式混合器において、プレートの対向面にある凸条及び凹条の縦中心線に対する傾斜角度を大きくすることで、プレート間を流れる流体が複数の凸条を繰り返し乗り越えつつ流路内を第二方向に流れるようにして流体の流れに生じる乱れを大きくし、これにより、高い混合性能を得ることが考えられる。
【0008】
しかし、この場合、流体が複数の凸条を繰り返し乗り越えつつ流路内を第二方向に流れるため、流体が流路を流れる際の圧力損失(流通抵抗)が非常に大きくなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、流体の流通抵抗の増加を抑えつつ、高い混合性能を得ることのできるプレート式混合器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプレート式混合器は、
流体に含まれる複数の成分を混合させるプレート式混合器であって、
第一方向に重ね合わされた複数のプレートを備え、
これら複数のプレートは、隣り合うプレートのプレート間に前記流体が流通可能な流路を形成し、
前記隣り合うプレートの各対向面は、前記第一方向と直交する第二方向に延びる該プレートの中心線に対して所定の角度で傾斜する傾斜方向に長手を有する凸部及び凹部を有し且つ前記傾斜方向に沿って交互に並ぶ該凸部及び該凹部によって構成される凹凸群であって、前記傾斜方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群を有し、
該複数の凹凸群のそれぞれの凸部は、該凸部を含む凹凸群と前記傾斜方向と直交する方向に隣り合う凹凸群の凹部に対して横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群のそれぞれの凹部は、該凹部を含む凹凸群と前記傾斜方向と直交する方向に隣り合う凹凸群の凸部に対して横並びに配置され、
前記隣り合うプレートは、互いの凹凸群の凸部同士を交差した状態で対向している、
【0011】
かかる構成によれば、流体が流路を第二方向に通過する際に各凹凸群の凹部に沿って流れつつ、該凹部と同方向に長手を有する凸部に衝突して分散と合流を繰り返すことで、流体の流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0012】
流体が流路を第二方向に通過する際に、凹部に沿って流れた流体が、該凹部の下流において隣り合う凸部(共通の凹凸群の凸部)と衝突して周辺の凹部(例えば、両側の凹凸群の凹部、相手方のプレートの凹凸群の凹部等)に流れ込み、この周辺の凹部に流れ込んだ流体が該凹部の下流において隣り合う凸部と衝突してさらに周辺の凹部に流れ込む。このように、流体が下流に向けて進むにつれて凸部と衝突して周辺の凹部に流れ込む毎に流体の分岐と合流とが繰り返され、これにより、高い混合性能が得られる。しかも、各凹凸群の凸部と凹部との長手方向がそれぞれ同じであるため、凹部に沿って流れた流体の凸部への長手方向と交差する方向からの衝突が防がれ、これにより、流体の流通抵抗が抑えられる。
【0013】
前記プレート式混合器では、
前記隣り合うプレートにおける一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、前記隣り合うプレートにおける他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの少なくとも二つの凹凸群の凸部と交差した状態で対向してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、凹部と対向する位置に該凹部と交差する方向に長手を有する凸部が位置することで該凹部に沿って流れる流体の流れにより乱れが生じると共に、凸部同士が交差した状態で対向する箇所の数が増えることでも流体の流れにより乱れが生じるため、流体の混合性能がより向上する。
【0015】
また、前記プレート式混合器では、
前記隣り合うプレートにおける一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、前記隣り合うプレートにおける他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凸部と交差した状態で対向してもよい。
【0016】
かかる構成によれば、凸部同士が交差した状態で対向する箇所の数が抑えられ、これにより、流通抵抗の増加が抑えられる。
【0017】
この場合、
前記一方のプレートの対向面にある複数の凹凸群の凹部のそれぞれは、前記他方のプレートの対向面にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凹部と交差した状態で対向してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、凹部同士が交差した状態で対向しているため、第二方向から見て、一方の対向面の凹部側を流れる流れと、他方の対向面の凹部側を流れる流れとにおいて、第一方向及び第二方向とそれぞれ直交する第三方向における逆向きの速度成分が生じ、これにより、対向する凹部間において第二方向を中心とする螺旋流が形成される。その結果、混合性能がより向上する。
【0019】
また、前記プレート式混合器では、
前記傾斜方向は、前記第二方向に延びる中心線に対して60°未満の角度で傾斜していてもよい。
【0020】
かかる構成によっても、凹部に沿って流体が流れることで該流体が流路を第二方向に通過する際の流通抵抗が抑えられる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、流体の流通抵抗の増加を抑えつつ、高い混合性能を得ることのできるプレート式混合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るプレート式混合器の斜視図である。
図2図2は、前記プレート式混合器の分解斜視図である。
図3図3は、前記プレート式混合器が備える第一プレートの正面図である。
図4図4は、前記第一プレートの背面図である。
図5図5は、前記プレート式混合器における第二プレートの正面図である。
図6図6は、前記第二プレートの背面図である。
図7図7は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図8図8は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図9図9は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間に形成される流路の部分的な領域での流体の流れを説明するための図である。
図10図10は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間に形成される流路の部分的な領域での流体の流れを説明するための図である。
図11図11は、本発明の第二実施形態に係るプレート式混合器の斜視図である。
図12図12は、前記プレート式混合器の分解斜視図である。
図13図13は、前記プレート式混合器が備える第一プレートの正面図である。
図14図14は、前記第一プレートの背面図である。
図15図15は、前記プレート式混合器における第二プレートの正面図である。
図16図16は、前記第二プレートの背面図である。
図17図17は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図18図18は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図19図19は、本発明の第三実施形態に係るプレート式混合器の斜視図である。
図20図20は、前記プレート式混合器の分解斜視図である。
図21図21は、前記プレート式混合器が備える第一プレートの正面図である。
図22図22は、前記第一プレートの背面図である。
図23図23は、前記プレート式混合器における第二プレートの正面図である。
図24図24は、前記第二プレートの背面図である。
図25図25は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図26図26は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間に形成される流路での流体の流れを示す図である。
図27図27は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間において、凹部同士が対向する領域を通過するときの第一流体の流れを説明するための図である。
図28図28は、前記第一プレートの正面と前記第二プレートの背面との間に形成される流路の部分的な領域での流体の流れを説明するための図である。
図29図29は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間において、凹部同士が対向する領域を通過するときの第二流体の流れを説明するための図である。
図30図30は、前記第一プレートの背面と前記第二プレートの正面との間に形成される流路の部分的な領域での流体の流れを説明するための図である。
図31図31は、他実施形態に係るプレート式混合器における第一流路の部分的な領域での凸部及び凹部の形状を説明するための図である。
図32図32は、前記プレート式混合器における第二流路の部分的な領域での凸部及び凹部の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一実施形態にかかるプレート式混合器について、図1図10を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係るプレート式混合器(以下、単に「混合器」と称する。)は、混合対象となる二種類以上の液体を合わせた流体(混合対象流体)、一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体(混合対象流体)、又は、一種類以上の液体と気体とを合わせた流体(混合対象流体)を流通させることで該流体に含まれる複数の成分を混合する。この混合器は、図1及び図2に示すように、第一方向に重ね合わされた複数のプレート2、3を備え、これら複数のプレート2、3は、各プレート2、3間に流体(混合対象流体)Aを流通させる流路Raを形成する。
【0025】
尚、以下の説明において、第一方向を直交座標系のX軸方向とし、第一方向と直交する第二方向を直交座標系のZ軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向を直交座標系のY軸方向とする。
【0026】
複数のプレート2、3のそれぞれは、図3図6にも示すように、X軸方向と直交する方向に広がる板状の混合部20、30と、混合部20、30の外周全周から延出した環状部21、31と、を備える。
【0027】
混合部20、30は、X軸方向の両面S1、S2に、流体Aの混合に寄与する混合領域200a、200b、300a、300bを含む。具体的に、混合部20、30は、X軸方向から見て四角形状である。本実施形態の混合部20、30は、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状(長方形状)である。この混合部20、30は、Z軸方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CL1と、Y軸方向に延びる中心線(以下、横中心線という)CL2との交点を含む主混合部20a、30aと、Z軸方向における主混合部20a、30aの両側にある一対の端部20b、30bと、を有する。
【0028】
主混合部20a、30aは、X軸方向から見て四角形状であり、本実施形態の主混合部20a、30aは、Z軸方向に長尺な矩形状である。
【0029】
混合部20、30の第一面S1及び第二面S2のうちの主混合部20a、30aと対応する領域が混合領域200a、200b、300a、300bである。これら混合領域200a、200b、300a、300bのそれぞれは、縦中心線CL1に対して傾斜する方向(以下、傾斜方向VLという)に長手を有する凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bを有し且つ傾斜方向VLに沿って交互に並ぶ該凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bによって構成される複数の凹凸群201、202、301、302を有する。これら複数の凹凸群201、202、301、302は、傾斜方向VLと直交する方向に並ぶ。
【0030】
複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aは、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対して横並びに配置される。また、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bは、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して横並びに配置される。
【0031】
本実施形態の混合部20、30では、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aは、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対してY軸方向に並ぶと共に、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対してZ軸方向に並んでいる。
【0032】
一方、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bは、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対してY軸方向に並ぶと共に、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対してZ軸方向に並んでいる。
【0033】
即ち、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとがY軸方向に交互に配置された群(行)が、Z軸方向に複数並ぶ。また、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aがZ軸方向に並ぶ群(列)と、異なる凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bがZ軸方向に並ぶ群(列)と、がY軸方向に交互に並ぶ。
【0034】
これにより、複数の凹凸群201、202、301、302の各凸部201a、202a、301a、302aは、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて千鳥状に配置される。また、各凹部201b、202b、301b、302bは、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれにおいて凸部201a、202a、301a、302aの間に配置されているため、複数の凹凸群201、202、301、302の各凹部201b、202b、301b、302bも、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて千鳥状に配置されている。
【0035】
傾斜方向VLは、縦中心線CL1に対して60°未満の角度で傾斜する方向である。即ち、縦中心線CL1に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ1は、60°未満である。一方、横中心線CL2に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ2は、30°以上である。本実施形態の傾斜角度θ1は、30°≦θ1≦40°である。また、本実施形態の傾斜角度θ2は、60°<θ2<70°である。
【0036】
以上のように構成される複数のプレート2、3が混合部20、30の混合領域200a、200b、300a、300bを対向させた状態で重ね合わされることで、隣り合うプレート2、3の互いの凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302a同士が交差した状態で対向する。本実施形態の凸部201a、202a、301a、302a同士は、交差した状態で当接する。
【0037】
ここで、各凹凸群201、202、301、302に含まれる凸部201a、202a、301a、302aの長手方向(傾斜方向VL)の長さ及び凹部201b、202b、301b、302bの長手方向(傾斜方向VL)の長さ(傾斜方向VLに並ぶ凸部201a、202a、301a、302a同士の間隔)は、一つの凸部201a、202a、301a、302aが、隣り合う(相手方の)プレート2、3の混合領域200a、200b、300a、300bが有する二つ(二列)以上の凹凸群201、202、301、302に跨る(二つ以上の凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して交差した状態で当接する)ように設定されている。
【0038】
凸部201a、202a、301a、302a(凸部201a、202a、301a、302aの頂上)と凹部201b、202b、301b、302b(凹部201b、202b、301b、302bの底)とは、X軸方向における位置を異にする。そのため、凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの間には、凸部201a、202a、301a、302aの頂上から凹部201b、202b、301b、302bの底(或いは、凹部201b、202b、301b、302bの底から凸部201a、202a、301a、302aの頂上)に繋がる中間領域(採番しない)が形成されている。
【0039】
この中間領域は、凹凸群201、202、301、302にある凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの間や、隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの間に配置される。
【0040】
中間領域は、凸部201a、202a、301a、302aの頂上と凹部201b、202b、301b、302bの底との途中位置にZ軸方向及びY軸方向に広がる中段部位が含まれてもよいが、本実施形態の中間領域は、凸部201a、202a、301a、302aの頂上から凹部201b、202b、301b、302bの底に向けて(或いは、凹部201b、202b、301b、302bの底から凸部201a、202a、301a、302aの頂上に向けて)連続的にZ軸方向及びY軸方向に対して傾斜している。
【0041】
一対の端部20b、30bは、主混合部20a、30aとZ軸方向に連続する。一対の端部20b、30bのそれぞれは、X軸方向に貫通した貫通孔203、204、303、304を有する。一対の端部20b、30bのうちの一方の端部20b、30bの貫通孔203、303と、他方の端部20b、30bの貫通孔204、304とは、矩形状の混合部20、30の対角位置に配置されている。
【0042】
以上のように構成される複数のプレート2、3のそれぞれは、例えば、金属プレートがプレス成型されることにより形成されている。このため、各プレート2、3において、第一面S1に含まれる混合領域200a、300aの凸部201a、301aと第二面S2に含まれる混合領域200b、300bの凹部202b、302bとが表裏の関係(X軸方向から見て重なる位置)にあり、第一面S1に含まれる混合領域200a、300aの凹部201b、301bと第二面S2に含まれる混合領域200b、300bの凸部202a、302aとが表裏の関係(X軸方向から見て重なる位置)にある。即ち、プレート2、3の第一面S1に含まれる混合領域200a、300aの凹凸群201、301と、この凹凸群201、301を有する第一面S1(混合領域200a、300a)の反対(裏)側の面である第二面S2に含まれる混合領域200b、300bの凹凸群202、302とは、X軸方向に重なる位置にあり、且つ凹凸関係が反対である。
【0043】
本実施形態に係る混合器1は、二種類のプレート2、3を有する。この二種類のプレート2、3は、混合部20、30からの環状部21、31の延出方向及び凹凸群201、202、301、302の位置を異にする以外は、同一構成である。
【0044】
具体的に、二種類のプレート2、3において、各プレート2、3が混合部20、30と、環状部21、31とを備える点と、混合部20、30の第一面S1及び第二面S2の混合領域200a、200b、300a、300bがそれぞれ複数の凹凸群201、202、301、302を有する点とが共通している。
【0045】
二種類のプレート2、3のうちの一方のプレート(第一プレート)2において、環状部21は、混合部20の周縁から第二面S2側に延出する。また、二種類のプレート2、3のうちの他方のプレート(第二プレート)3において、環状部31は、混合部30の周縁から第一面S1側に延出している。
【0046】
第一プレート2の混合部20(主混合部20a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域200a、200bにおいて、複数の凹凸群201、202は、X軸方向から見てY軸方向における混合部20の一端から他端側に向けて先下りに傾斜している(図3及び図4参照)。これに対し、第二プレート3の混合部30(主混合部30a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域300a、300bにおいて、複数の凹凸群301、302は、X軸方向から見てY軸方向における混合部30の他端から一端側に向けて先下りに傾斜している(図5及び図6参照)。
【0047】
本実施形態の第二プレート3の複数の凹凸群301、302は、X軸方向における同一側から見て、縦中心線CL1を回転軸にして第一プレート2の複数の凹凸群201、202を反転させた上でY軸方向に所定ピッチ(本実施形態においては1ピッチ)位置ずれさせた配置になっている。
【0048】
これら第一プレート2及び第二プレート3は、図2に示すように、X軸方向において交互に配置され、隣り合う第一プレート2及び第二プレート3の環状部21、31同士を嵌合させる(図1参照)。このとき、第一プレート2の混合部20の第一面S1が第二プレート3の混合部30の第一面S1と対向し、第一プレート2の混合部20の第二面S2が第二プレート3の混合部30の第二面S2と対向する。
【0049】
この状態において、第一プレート2の混合部20の第一面S1(混合領域200a)が有する複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二プレート3の混合部30の第一面S1(混合領域300a)が有する二つ(二列)の凹凸群301が交差し、これら二つの凹凸群301の凸部301aがそれぞれ交差した状態で当接する。即ち、第一プレート2の混合部20の第一面S1(混合領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二プレート3の混合部30の第一面S1(混合領域300a)にある異なる凹凸群301の二つの凸部301aがそれぞれ交差した状態で当接する(図7参照)。
【0050】
また、第一プレート2の混合部20の第二面S2(混合領域200b)が有する複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二プレート3の混合部30の第二面S2(混合領域300b)が有する二つ(二列)の凹凸群302が交差し、これら二つの凹凸群302の凸部302aがそれぞれ交差した状態で当接する。即ち、第一プレート2の混合部20の第二面S2(混合領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二プレート3の混合部30の第二面S2(混合領域300b)にある異なる凹凸群302の二つの凸部302aがそれぞれ交差した状態で当接する(図8参照)。
【0051】
このようにX軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)において、環状部21、31間等が適宜液密にシールされる。本実施形態の混合器1では、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3がロウ付けにより一体にされている。即ち、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3において、環状部21、31間等がロウ付けによってシールされている。
【0052】
これにより、複数のプレート2、3の混合部20、30(第一プレート2の混合部20、第二プレート3の混合部30)を境にして、流体AをZ軸方向に流通させる流路Raが各プレート2、3間に形成される。即ち、第一プレート2の混合部20の第一面S1に含まれる混合領域200a及び第二プレート3の混合部30の第一面S1に含まれる混合領域300aによって形成される空間と、第一プレート2の混合部20の第二面S2に含まれる混合領域200b及び第二プレート3の混合部30の第二面S2に含まれる混合領域300bによって形成される空間とが、それぞれ流路Raを構成する。
【0053】
また、複数のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)の対応する貫通孔204、304同士がX軸方向に連なり、各流路Raに連通した一方の連通路Ra1が形成される。この一方の連通路Ra1は、各流路Raに対して流体Aを流入させる。また、複数のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)の対応する貫通孔203、303同士がX軸方向に連なり、各流路Raに連通した他方の連通路Ra2が形成される。この他方の連通路Ra2は、各流路Raから流体Aを流出させる。
【0054】
本実施形態に係る混合器1は、以上のように構成され、一方の連通路Ra1に流体Aが供給されると、流体Aが各流路Raに流入する。そうすると、図7及び図8に示すように、流体Aは、各流路Ra内をZ軸方向に(本実施形態の例では、貫通孔204、304から貫通孔203、304に向けて)流れる。即ち、流体Aは、各流路Ra内において、混合領域200a、300a間及び混合領域200b、300b間をZ軸方向における他端から一端側に向けて(図7及び図8における上方に向けて)それぞれ通過(流通)する。
【0055】
具体的には、混合領域200a、300a間に形成される流路Ra内を流れる流体Aは、図9に示すように、凹部201b、301bに沿って流れ、その凹部201b、301bの含まれる凹凸群201、301の凸部201a、301a(凹部201b、301bと隣り合う凸部201a、301a)に衝突する。この衝突により、流体Aは、衝突した凸部201a、202a、301a、302aの両側に分岐する。
【0056】
分岐した流体Aは、衝突した凸部201a、301aを含む凹凸群201、301の両側にある凹凸群201、301の凹部201b、301bに沿って下流側に流れる。そして、凹部201b、301bに沿って流れる流体Aは、その凹部201b、301bの含まれる凹凸群201、301の凸部201a、301a(凹部201b、301bと隣り合う凸部201a、301a)に衝突する。その結果、凸部201a、301aに衝突した流体Aは、該凸部201a、301aの両側に分岐する。
【0057】
この両側に分岐した流体Aの一方は、元の凹凸群201、301に含まれる凹部201b、301bに沿って流通する。即ち、上流側の凸部201a、301aによって分岐した流体Aの一部は、異なる列(隣の列)の凸部201a、301aとの衝突によって元の列(凹凸群201、301)の凹部201b、301bに沿って流れる流体Aに合流する。このように、流体Aは、流路Ra内を分岐と合流とを繰り返しつつ下流側に流れる。これにより、混合領域200a、300a間に形成される流路Ra内において、流体Aの流れに乱れが生じる。換言すると、流路Ra内において、流体Aが十分に撹拌される。
【0058】
また、混合領域200b、300b間に形成される流路Ra内を流通する流体Aも、図10に示すように、凹部202b、302bに沿って流れ、その凹部202b、302bの含まれる凹凸群202、302の凸部202a、302a(凹部202b、302bと隣り合う凸部202a、302a)に衝突し、衝突した凸部202a、302aを含む凹凸群202、302の両側にある凹凸群202、302の凹部202b、302bに沿って下流側に流れる。流体Aがこの動作を繰り返すことで、混合領域200b、300b間に形成される流路Ra内においても、流体Aが分岐と合流とを繰り返しつつ下流側に流れ、十分に撹拌される。
【0059】
また、本実施形態の凹凸群201、202、301、302(凹凸群201、202、301、302の沿う傾斜方向VL)は、縦中心線CL1に対して60°未満で傾斜している。かかる構成によっても、各凹部201b、202b、301b、302bに沿って流体Aが流れることで該流体Aが流路RaをZ軸方向に通過する際の流通抵抗が抑えられる。
【0060】
このように、流体Aが各流路Ra内を流れることで撹拌され、該流体Aに含まれる複数の成分が十分に混合(ミキシング)される。そして、図2に示すように、複数の成分が十分に混合された後の流体Aは、各流路Raから他方の連通路Ra2を経て外部に排出される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る混合器1は、流体Aに含まれる複数の成分を混合させる混合器1であって、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3を備える。これら複数のプレート2、3は、隣り合うプレート2、3のプレート間に流体Aが流通可能な流路Raを形成する。そして、隣り合うプレート2、3の各対向面(第一面S1同士、又は第二面S2同士)は、Z軸方向に延びる該プレート2、3の縦中心線CL1に対して所定の角度θ1で傾斜する傾斜方向VLに長手を有する凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bを有し且つ傾斜方向VLに沿って交互に並ぶ該凸部201a、202a、301a、302a及び該凹部201b、202b、301b、302bによって構成される凹凸群201、202、301、302であって、傾斜方向VLと直交する方向に並ぶ複数の凹凸群201、202、301、302を有する。これら複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aは、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対して横並びに配置されるとともに、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bは、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して横並びに配置される。隣り合うプレート2、3は、互いの凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302a同士を交差した状態で当接させている。
【0062】
かかる構成によれば、流体Aが流路RaをZ軸方向に通過する際に各凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れつつ、該凹部201b、202b、301b、302bと同方向に長手を有する凸部201a、202a、301a、302aに衝突して分岐と合流を繰り返すことで、流体Aの流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られる。詳しくは、以下の通りである。
【0063】
流体Aが流路RaをZ軸方向に通過する際に、凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れた流体Aが、該凹部201b、202b、301b、302bの下流において隣り合う凸部201a、202a、301a、302a(共通の凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302a)と衝突して周辺の凹部201b、202b、301b、302b(例えば、両側の凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302b、相手方のプレート2、3の凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302b等)に流れ込み、この周辺の凹部201b、202b、301b、302bに流れ込んだ流体Aが該凹部201b、202b、301b、302bの下流において隣り合う凸部201a、202a、301a、302aと衝突してさらに周辺の凹部201b、202b、301b、302bに流れ込む。このように、流体Aが流路Ra内を下流に向けて進むにつれて凸部201a、202a、301a、302aと衝突して周辺の凹部201b、202b、301b、302bに流れ込む毎に流体Aの分岐と合流とが繰り返され、これにより、高い混合性能が得られる。しかも、各凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの長手方向がそれぞれ同じ(傾斜方向VL)であるため、凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れた流体Aの凸部201a、202a、301a、302aへの長手方向と交差する方向からの衝突が防がれ、これにより、流体Aの流通抵抗が抑えられる。
【0064】
また、本実施形態の混合器1では、隣り合うプレート2、3における一方のプレート(例えば、第一プレート)2の対向面(混合部20の第一面S1又は第二面S2)にある複数の凹凸群201、202の凸部201a、202aのそれぞれは、隣り合うプレート2、3における他方のプレート(例えば、第二プレート)3の対向面(混合部30の第一面S1又は第二面S2)にある複数の凹凸群301、302のうちの少なくとも二つの凹凸群301、302の凸部301a、302aと交差した状態で当接している。
【0065】
かかる構成によれば、凹部201b、202bとX軸方向に対向する位置に該凹部201b、202bと交差する方向に長手を有する複数の凸部301a、302aが位置することで該凹部201b、202bに沿って流れる流体Aの流れに、より乱れが生じると共に、凸部201a、202a、301a、302a同士の当接箇所の数が増えることでも流体Aの流れにより乱れが生じる。これにより、流体Aがより十分に撹拌され、混合性能がより向上する。
【0066】
また、本実施形態の混合器1では、傾斜方向VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して60°未満の角度θ1で傾斜している。かかる構成によれば、凹部201b、202b、301b、302bに沿って流体Aが流れることで該流体Aが流路RaをZ軸方向に通過する際の流通抵抗が抑えられる。
【0067】
次に、本発明の第二実施形態に係る混合器(プレート式混合器)について、図11図18を参照しつつ説明する。本実施形態に係る混合器は、第一実施形態の混合器と同一の構成又は相当する構成を有する。これに伴い、本実施形態に係る混合器の説明において、第一実施形態の混合器と同一の構成又は相当する構成については、同一名称及び同一符号を付し、第一実施形態の混合器と異なる構成について詳細に説明する。尚、本実施形態においても、プレートの並ぶ第一方向を直交座標系のX軸方向とし、第一方向と直交する第二方向を直交座標系のZ軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向を直交座標系のY軸方向とする。
【0068】
本実施形態に係る混合器は、二種類の流体(第一流体A及び第二流体B)を流通させ、第一流体Aに含まれる複数の成分を混合しつつ、該第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる。この混合器は、図11及び図12に示すように、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3を備える。また、混合器1では、複数のプレート2、3のそれぞれを境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路Rbとが、X軸方向において交互に形成されている。
【0069】
複数のプレート2、3のそれぞれは、図13図16にも示すように、第一面S1と第二面S2とを有する混合部20、30と、混合部20、30の外周全周から延出した環状部21、31とを備える。
【0070】
混合部20、30のX軸方向の両面S1、S2は、第一流体Aと第二流体Bとのそれぞれの混合に寄与する混合領域200a、200b、300a、300bを含む。本実施形態の混合部20、30は、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる際に、第一流路Raから第二流路Rbへ、及び、第二流路Rbから第一流路Raへ伝熱可能な伝熱部も兼ねている。
【0071】
また、混合部20、30は、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状であり、Z軸方向の中央部に配置される主混合部20a、30aと、Z軸方向における主混合部20a、30aの両側に配置される一対の端部20b、30bと、を有する。この混合部20、30の第一面S1及び第二面S2における主混合部20a、30aに対応する領域が、混合領域200a、200b、300a、300bである。
【0072】
プレート2、3の各混合領域200a、200b、300a、300bは、傾斜方向VLに沿って交互に並ぶ凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bによって構成される複数の凹凸群201、202、301、302を有する。これら複数の凹凸群201、202、301、302は、傾斜方向VLと直交する方向に並ぶ。
【0073】
また、各凹凸群201、202、301、302を構成する凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bは、それぞれ傾斜方向VLに長手を有する。この傾斜方向VLは、第一実施形態と同様に、縦中心線CL1に対して60°未満の角度で傾斜する方向である。本実施形態における縦中心線CL1に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ1は、30°≦θ1≦40°であり、横中心線CL2に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ2は、60°<θ2<70°である。
【0074】
複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aは、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対して横並びに配置される。また、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bは、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して横並びに配置される。
【0075】
本実施形態の混合領域200a、200b、300a、300bにおいても、第一実施形態と同様に、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとがY軸方向に交互に配置された群(行)が、Z軸方向に複数並ぶ。また、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aがZ軸方向に並ぶ群(列)と、異なる凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bがZ軸方向に並ぶ群(列)と、がY軸方向に交互に並ぶ。
【0076】
各凹凸群201、202、301、302に含まれる凸部201a、202a、301a、302aの長手方向(傾斜方向VL)の長さ及び凹部201b、202b、301b、302bの長手方向(傾斜方向VL)の長さ(傾斜方向VLに並ぶ凸部201a、202a、301a、302a同士の間隔)は、一つの凸部201a、202a、301a、302aが、隣り合う(相手方の)プレート2、3の混合領域200a、200b、300a、300bが有する二つ(二列)以上の凹凸群201、202、301、302に跨る(二つ以上の凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して交差した状態で当接する)ように設定されている。
【0077】
一対の端部20b、30bのそれぞれは、X軸方向に貫通した一対の貫通孔203、204、303、304を有する。一対の端部20b、30bのそれぞれにおいて、一対の貫通孔203、204、303、304は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の一対の貫通孔203、204、303、304は、縦中心線CL1を挟んだ両側に配置されている。
【0078】
以上のように構成される複数のプレート2、3のそれぞれは、例えば、ステンレスやチタン等の伝熱性の高い金属プレートがプレス成型されることにより形成されている。このため、プレート2、3の第一面S1に含まれる混合領域200a、300aの凹凸群201、301と、この凹凸群201、301を有する第一面S1(混合領域200a、300a)の反対(裏)側の面である第二面S2に含まれる混合領域200b、300bの凹凸群202、302とは、X軸方向に重なる位置にあり、且つ凹凸関係が反対である。
【0079】
本実施形態に係る混合器1は、第一プレート2と第二プレート3との二種類のプレートを有する。この二種類のプレート2、3は、環状部21、31の混合部20、30からの延出方向及び凹凸群201、202、301、302の凹凸の位置を異にする以外は、同一構成である。
【0080】
第一プレート2の混合部20(主混合部20a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域200a、200bにおいて、複数の凹凸群201、202は、X軸方向から見てY軸方向における混合部20の一端から他端側に向けて先下りに傾斜している(図13及び図14参照)。これに対し、第二プレート3の混合部30(主混合部30a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域300a、300bにおいて、複数の凹凸群301、302は、X軸方向から見てY軸方向における混合部30の他端から一端側に向けて先下りに傾斜している(図15及び図16参照)。
【0081】
そして、隣り合う第一プレート2及び第二プレート3の環状部21、31同士が嵌合されることで(図11参照)、第一プレート2の混合部20の第一面S1が第二プレート3の混合部30の第一面S1と対向すると共に、第一プレート2の混合部20の第二面S2が第二プレート3の混合部30の第二面S2と対向する。
【0082】
これにより、第一プレート2の混合部20の第一面S1(混合領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二プレート3の混合部30の第一面S1(混合領域300a)にある異なる凹凸群301の二つの凸部301aがそれぞれ交差した状態で当接する(図17参照)。
【0083】
また、第一プレート2の混合部20の第二面S2(混合領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二プレート3の混合部30の第二面S2(混合領域300b)にある異なる凹凸群302の二つの凸部302aがそれぞれ交差した状態で当接する(図18参照)。
【0084】
以上のように第一プレート2と第二プレート3とがX軸方向に交互に重ね合わされることで、混合器1では、複数のプレート2、3の混合部20、30(第一プレート2の混合部20、第二プレート3の混合部30)を境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向において交互に形成される。即ち、第一プレート2の混合部20の第一面S1に含まれる混合領域200aと第二プレート3の混合部30の第一面S1に含まれる混合領域300aとの間に形成される空間が、第一流路Raを構成すると共に、第一プレート2の混合部20の第二面S2に含まれる混合領域200bと第二プレート3の混合部30の第二面S2に含まれる混合領域300bとの間に形成される空間が、第二流路Rbを構成する。
【0085】
また、複数のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)の対応する貫通孔203、204、303、304同士がX軸方向に連なることにより、第一流路Raのみに連通した一対の第一連通路Ra1、Ra2と、第二流路Rbのみに連通した一対の第二連通路Rb1、Rb2と、が形成される。これら、一対の第一連通路Ra1、Ra2は、第一流路Raに対して第一流体Aを流入又は流出させ、一対の第二連通路Rb1、Rb2は、第二流路Rbに対して第二流体Bを流入又は流出させる。
【0086】
本実施形態に係る混合器1は、以上のように構成され、一方の第一連通路Ra1に第一流体Aが供給されると共に、一方の第二連通路Rb1に第二流体Bが供給されると、第一流体Aが一方の第一連通路Ra1から複数の第一流路Raのそれぞれに流入すると共に、第二流体Bが一方の第二連通路Rb1から複数の第二流路Rbのそれぞれに流入する。
【0087】
これにより、本実施形態の混合器1では、図17及び図18に示すように、第一流体Aが第一流路Ra内をZ軸方向に流れ、第二流体Bが第二流路Rb内をZ軸方向に流れる。詳しくは、第一流体Aが、第一流路Ra内において、混合領域200a、300a間をZ軸方向の一端から他端側に向けて通過(流通)し、第二流体Bが、第二流路Rb内において、混合領域200b、300b間をZ軸方向の他端から一端側に向けて通過(流通)する。
【0088】
このとき、第一流体Aは、第一流路Ra内を分岐と合流とを繰り返しつつ下流側に流れる。これにより、第一流路Ra内において、第一流体Aが十分に撹拌される。また、第二流体Bは、第二流路Rb内を分岐と合流とを繰り返しつつ下流側に流れる。これにより、第二流路Rb内において、第二流体Bが十分に撹拌される(即ち、第二流体Bの流れに十分な乱れが生じる)。
【0089】
このように、混合器1において、第一流体Aが第一流路Ra内を流れることで撹拌され、該第一流体Aに含まれる複数の成分が十分に混合されると共に、第二流体Bが第二流路Rb内を流れることで撹拌され、該第二流体Bの流れに十分な乱れが生じる。
【0090】
このとき、本実施形態の混合器1では、第一流体Aと第二流体Bとが、第一流路Raと第二流路Rbとを区画する混合部(伝熱部)20、30(混合領域200a、200b、300a、300b)を介して熱交換する。このように、本実施形態の混合器1は、第一流体Aに含まれる複数の成分を混合させつつ第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる(第一流体Aを加熱又は冷却させる)ことで、第一流体Aに含まれる成分同士を反応させる反応器としても機能する。
【0091】
そして、図12に示すように、混合及び熱交換を終えた第一流体Aは、第一流路Raから他方の第一連通路Ra2を経て外部に排出され、熱交換を終えた第二流体Bは、第二流路Rbから他方の第二連通路Rb2を経て外部に排出される。
【0092】
本実施形態の混合器1によれば、第一流体Aが第一流路RaをZ軸方向に通過する際に各凹凸群201、301の凹部201b、301bに沿って流れつつ、該凹部201b、301bと同方向に長手を有する凸部201a、301aに衝突して分岐と合流を繰り返すことで、第一流体Aの流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られる。また、第二流体Bが第二流路RbをZ軸方向に通過する際に各凹凸群202、302の凹部202b、302bに沿って流れつつ、該凹部202b、302bと同方向に長手を有する凸部202a、302aに衝突して分岐と合流を繰り返すことで、第二流体Bの流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られ(流れに十分な乱れを生じさせることができ)、これにより、第一流路Raを流れる第一流体Aと第二流路Rbを流れる第二流体Bとの熱交換効率が向上する。
【0093】
しかも、各凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの長手方向がそれぞれ同じ(傾斜方向VL)であるため、凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れた第一流体A及び第二流体Bの凸部201a、202a、301a、302aへの長手方向と交差する方向からの衝突が防がれ、これにより、第一流路Raでの第一流体Aの流通抵抗が抑えられると共に、第二流路Rbでの第二流体Bの流通抵抗が抑えられる。
【0094】
また、本実施形態の混合器1では、凹部201b、202b、301b、302bとX軸方向に対向する位置に該凹部201b、202b、301b、302bと交差する方向に長手を有する複数の凸部201a、202a、301a、302aが位置することで、該凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れる流体Aの流れに十分な乱れが生じると共に、凸部201a、202a、301a、302a同士の当接箇所の数が増えることでも第一流体A及び第二流体Bの流れに、それぞれより乱れが生じる。これにより、第一流体A及び第二流体Bがより十分に撹拌され、混合性能及び熱交換効率がより向上する。
【0095】
また、本実施形態の混合器1では、傾斜方向VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して60°未満の角度θ1で傾斜している。かかる構成によれば、Z軸方向に混合領域200a、200b、300a、300b間を通過する第一流体A及び第二流体Bが凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れることで、第一流体Aが第一流路RaをZ軸方向に通過する際の流通抵抗及び第二流体Bが第二流路Rbを通過する際の流通抵抗が抑えられる。
【0096】
次に、本発明の第三実施形態に係る混合器(プレート式混合器)について、図19図30を参照しつつ説明する。本実施形態に係る混合器は、第一実施形態及び第二実施形態の混合器と同一の構成又は相当する構成を有する。これに伴い、本実施形態に係る混合器の説明において、第一実施形態及び第二実施形態の混合器と同一の構成又は相当する構成については、同一名称及び同一符号を付し、第一実施形態及び第二実施形態の混合器と異なる構成について詳細に説明する。尚、本実施形態においても、プレートの並ぶ第一方向を直交座標系のX軸方向とし、第一方向と直交する第二方向を直交座標系のZ軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向を直交座標系のY軸方向とする。
【0097】
本実施形態の混合器は、第二実施形態の混合器と同様に、二種類の流体(第一流体A及び第二流体B)を流通させ、第一流体Aに含まれる複数の成分を混合しつつ、該第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる。この混合器は、図19及び図20に示すように、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3を備える。また、混合器1では、複数のプレート2、3のそれぞれを境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路Rbとが、X軸方向において交互に形成されている。
【0098】
複数のプレート2、3のそれぞれは、図21図24にも示すように、第一面S1と第二面S2とを有する混合部20、30と、混合部20、30の外周全周から延出した環状部21、31とを備える。
【0099】
混合部20、30のX軸方向の両面S1、S2は、第一流体Aと第二流体Bとのそれぞれの混合に寄与する混合領域200a、200b、300a、300bを含む。本実施形態の混合部20、30は、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる際に、第一流路Raから第二流路Rbへ、及び、第二流路Rbから第一流路Raへ伝熱可能な伝熱部も兼ねている。
【0100】
また、混合部20、30は、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状であり、Z軸方向の中央部に配置される主混合部20a、30aと、Z軸方向における主混合部20a、30aの両側に配置される一対の端部20b、30bと、を有する。この混合部20、30の第一面S1及び第二面S2における主混合部20a、30aに対応する領域が、混合領域200a、200b、300a、300bである。
【0101】
プレート2、3の各混合領域200a、200b、300a、300bは、傾斜方向VLに沿って交互に並ぶ凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bによって構成される複数の凹凸群201、202、301、302を有する。これら複数の凹凸群201、202、301、302は、傾斜方向VLと直交する方向に並ぶ。
【0102】
また、各凹凸群201、202、301、302を構成する凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bは、それぞれ傾斜方向VLに長手を有する。この傾斜方向VLは、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、縦中心線CL1に対して60°未満の角度で傾斜する方向である。本実施形態における縦中心線CL1に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ1は、30°≦θ1≦40°であり、横中心線CL2に対する傾斜方向VLの傾斜角度θ2は、60°<θ2<70°である。
【0103】
複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aは、該凸部201a、202a、301a、302aを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対して横並びに配置される。また、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bは、該凹部201b、202b、301b、302bを含む凹凸群201、202、301、302と傾斜方向VLと直交する方向に隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して横並びに配置される。
【0104】
本実施形態の混合領域200a、200b、300a、300bにおいても、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとがY軸方向に交互に配置された群(行)が、Z軸方向に複数並ぶ。また、混合領域200a、200b、300a、300bにおいて、異なる凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aがZ軸方向に並ぶ群(列)と、異なる凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bがZ軸方向に並ぶ群(列)と、がY軸方向に交互に並ぶ。
【0105】
以上のように構成される複数のプレート2、3が混合部20、30の混合領域200a、200b、300a、300bを対向させた状態で重ね合わされることで、隣り合うプレート2、3の互いの凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302a同士は、交差した状態で当接する。また、隣り合うプレート2、3の互いの凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302b同士は、X軸方向から見て交差し且つX軸方向に間隔をあけた状態で対向する。
【0106】
ここで、各凹凸群201、202、301、302に含まれる各凸部201a、202a、301a、302aの長手方向(傾斜方向VL)の長さは、一つの凸部201a、202a、301a、302aが、隣り合う(相手方の)プレート2、3の混合領域200a、200b、300a、300bが有する一つ(一列)の凹凸群201、202、301、302と交差(一つの凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aに対して交差した状態で当接)するように設定されている。
【0107】
また、各凹凸群201、202、301、302に含まれる凹部201b、202b、301b、302bの長手方向(傾斜方向VL)の長さ(傾斜方向VLに並ぶ凸部201a、202a、301a、302a同士の間隔)は、一つの凹部201b、202b、301b、302bが、隣り合う(相手方の)プレート2、3の混合領域200a、200b、300a、300bが有する一つ(一列)の凹凸群201、202、301、302と交差(一つの凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bに対して交差した状態で対向)するように設定されている。
【0108】
一対の端部20b、30bのそれぞれは、X軸方向に貫通した一対の貫通孔203、204、303、304を有する。一対の端部20b、30bのそれぞれにおいて、一対の貫通孔203、204、303、304は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の一対の貫通孔203、204、303、304は、縦中心線CL1を挟んだ両側に配置されている。
【0109】
以上のように構成される複数のプレート2、3のそれぞれは、例えば、ステンレスやチタン等の伝熱性の高い金属プレートがプレス成型されることにより形成されている。このため、プレート2、3の第一面S1に含まれる混合領域200a、300aの凹凸群201、301と、この凹凸群201、301を有する第一面S1(混合領域200a、300a)の反対(裏)側の面である第二面S2に含まれる混合領域200b、300bの凹凸群202、302とは、X軸方向に重なる位置にあり、且つ凹凸関係が反対である。
【0110】
本実施形態に係る混合器1は、第一プレート2と第二プレート3との二種類のプレートを有する。この二種類のプレート2、3は、環状部21、31の混合部20、30からの延出方向及び凹凸群201、202、301、302の凹凸の位置を異にする以外は、同一構成である。
【0111】
第一プレート2の混合部20(主混合部20a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域200a、200bにおいて、複数の凹凸群201、202は、X軸方向から見てY軸方向における混合部20の一端から他端側に向けて先下りに傾斜している(図21及び図22参照)。これに対し、第二プレート3の混合部30(主混合部30a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの混合領域300a、300bにおいて、複数の凹凸群301、302は、X軸方向から見てY軸方向における混合部30の他端から一端側に向けて先下りに傾斜している(図23及び図24参照)。
【0112】
そして、隣り合う第一プレート2及び第二プレート3の環状部21、31同士が嵌合されることで(図19参照)、第一プレート2の混合部20の第一面S1が第二プレート3の混合部30の第一面S1と対向すると共に、第一プレート2の混合部20の第二面S2が第二プレート3の混合部30の第二面S2と対向する。
【0113】
これにより、第一プレート2の混合部20の第一面S1(混合領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二プレート3の混合部30の第一面S1(混合領域300a)にある一つの凸部301aが交差した状態で当接する(図25参照)。
【0114】
また、第一プレート2の混合部20の第二面S2(混合領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二プレート3の混合部30の第二面S2(混合領域300b)にある一つの凸部302aが交差した状態で当接する(図26参照)。
【0115】
以上のように第一プレート2と第二プレート3とがX軸方向に交互に重ね合わされることで、混合器1では、複数のプレート2、3の混合部20、30(第一プレート2の混合部20、第二プレート3の混合部30)を境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向において交互に形成される。即ち、第一プレート2の混合部20の第一面S1に含まれる混合領域200aと第二プレート3の混合部30の第一面S1に含まれる混合領域300aとの間に形成される空間が、第一流路Raを構成すると共に、第一プレート2の混合部20の第二面S2に含まれる混合領域200bと第二プレート3の混合部30の第二面S2に含まれる混合領域300bとの間に形成される空間が、第二流路Rbを構成する。
【0116】
また、複数のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)の対応する貫通孔203、204、303、304同士がX軸方向に連なることにより、第一流路Raのみに連通した一対の第一連通路Ra1、Ra2と、第二流路Rbのみに連通した一対の第二連通路Rb1、Rb2と、が形成される。これら、一対の第一連通路Ra1、Ra2は、第一流路Raに対して第一流体Aを流入又は流出させ、一対の第二連通路Rb1、Rb2は、第二流路Rbに対して第二流体Bを流入又は流出させる。
【0117】
具体的には、一方の第一連通路Ra1に第一流体Aが供給されると共に、一方の第二連通路Rb1に第二流体Bが供給されると、第一流体Aが一方の第一連通路Ra1から複数の第一流路Raのそれぞれに流入すると共に、第二流体Bが一方の第二連通路Rb1から複数の第二流路Rbのそれぞれに流入する。
【0118】
これにより、本実施形態の混合器1では、図25及び図26に示すように、第一流体Aが第一流路Ra内をZ軸方向に流れ、第二流体Bが第二流路Rb内をZ軸方向に流れる。具体的には、第一流体Aが、第一流路Ra内において、混合領域200a、300a間をZ軸方向の一端から他端側に向けて通過(流通)し、第二流体Bが、第二流路Rb内において、混合領域200b、300b間をZ軸方向の他端から一端側に向けて通過(流通)する。詳しくは、以下の通りである。
【0119】
第一流路Ra内を流れる第一流体Aは、第一プレート2の混合部20(混合領域200a)の凹部201bと第二プレート3の混合部30(混合領域300a)の凹部301bとがX軸方向から見て交差した状態で対向している領域に流れ込むと、その一部が第一プレート2の混合部20の凹部201b内を該凹部201bに沿って流れる。これにより、第一プレート2の混合部20の近傍をZ軸方向の一端から他端側(図25における上方側)に向けて流れる第一流体Aの流れに対し、Y軸方向の他端から一端側に向かう速度成分が付与される(図27における矢印α参照)。
【0120】
また、第一プレート2の混合部20(混合領域200a)の凹部201bと第二プレート3の混合部30(混合領域300a)の凹部301bとがX軸方向から見て交差した状態で対向している領域に流れ込んだ第一流体Aの一部は、第二プレート3の混合部30の凹部301b内を該凹部301bに沿って流れる。これにより、第二プレート3の混合部30の近傍をZ軸方向の一端から他端側(図27において手前から奥側)に流れる第一流体Aの流れに対し、Y軸方向の一端から他端側に向かう速度成分が付与される(図27における矢印β参照)。
【0121】
このように、交差した状態で対向する凹部201b、301b間をZ軸方向に通過しようとする第一流体Aにおいて、混合部20側の第一流体Aの流れと、混合部30側の第一流体Aの流れとにおいて、Y軸方向における逆向きの速度成分がそれぞれ付与されることで、これら交差した状態で対向する凹部201b、301b間をZ軸方向に通過する第一流体Aは、旋回しつつ流れる(即ち、螺旋流となる)。
【0122】
続いて、凹部201b、301b同士が対向する領域において凹部201b、301bに沿って流れた第一流体Aは、該領域を通過すると、該凹部201b、301bの含まれる凹凸群201、301の凸部201a、301a(凹部201b、301bと隣り合う凸部201a、301a)に衝突し、この衝突した凸部201a、202a、301a、302aの両側に分岐する(図28参照)。この分岐した第一流体A方は、衝突した凸部201a、301aを含む凹凸群201、301の両側にある凹凸群201、301における凹部201b、301b同士の対向する領域(交差した状態で対向する凹部201b、301b間)にそれぞれ流れ込む。
【0123】
このとき、第一流体Aの流れにおいて、交差した状態で対向する凹部201b、301b間から流れ出たときの第一流体Aの分岐と、Y軸方向に隣り合う凹部201b、301b間(凹部201b、301同士の対向する領域)のそれぞれから流れ出た第一流体A同士が下流側の共通の凹部201b、301b間に流れ込んだときの第一流体Aの合流と、が生じる。
【0124】
続いて、この分岐と合流とが行われた第一流体Aは、流れ込んだ下流側の凹部201b、301b間を旋回しつつ下流側に流れる。
【0125】
以上のように、混合領域200a、300a間を通過する第一流体Aが旋回と分岐及び合流とを繰り返しつつ下流側に流れることにより、第一流路Ra内の第一流体Aの流れに十分な乱れが生じる。換言すると、第一流体Aが第一流路Ra内において十分に撹拌される。
【0126】
また、本実施形態の凹凸群201、301(凹凸群201、301の沿う傾斜方向VL)の縦中心線CL1に対する角度θ1が60°未満である。かかる構成によれば、第一流体Aが混合部20、30(混合領域200a、300a)間を下流側に向けて流通する際に第一流体Aが各凹部201a、202a、301a、302aに沿って流れることで、流通抵抗が抑えられる。
【0127】
一方、第二流路Rbを画定する混合部20、30の第二面S2(混合領域200b、300b)にある複数の凹凸群202、302は、第一流路Raを画定する混合部20、30の第一面S1(混合領域200a、300a)にある複数の凹凸群201、301に対して凹凸関係を逆にした態様である。このため、混合部20の単一の凸部202aに対して混合部30の単一の凸部302aが交差した状態で当接し、且つ、混合部20の単一の凹部202bに対して混合部30の単一の凹部302bが交差した状態で対向している。これにより、図29及び図30に示すように、第二流路Rb内を第一流体Aと逆向きに流れる(図29において手前から奥側に流れる)第二流体Bにおいても、第一流路Ra内を流れる第一流体Aと同様に、旋回と分岐及び合流とを繰り返しつつ下流側に流れ、その結果、第二流路Rb内において、第二流体Bが十分に撹拌される(即ち、第二流体Bの流れに十分な乱れが生じる)。
【0128】
このように、第一流体Aが第一流路Ra内を流れて十分に撹拌されることにより、第一流体Aに含まれる複数の成分の混合が十分に行われる。また、第一流体Aが第一流路Ra内を流れると共に第二流体Bが第二流路Rb内を流れることにより、それぞれが各流路Ra、Rb内において十分に撹拌されつつ、第一流体Aと第二流体Bとが第一流路Raと第二流路Rbとを区画する主混合部20a、30a(混合領域200a、200b、300a、300b)を介して熱交換する。このように、本実施形態の混合器1も、第二実施形態と同様に、第一流体Aに含まれる複数の成分を混合させつつ、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる(第一流体Aを加熱又は冷却させる)ことで、第一流体Aに含まれる成分同士を反応させる反応器としても機能する。
【0129】
そして、図20に示すように、混合及び熱交換を終えた第一流体Aは、第一流路Raから他方の第一連通路Ra2を経て外部に排出され、熱交換を終えた第二流体Bは、第二流路Rbから他方の第二連通路Rb2を経て外部に排出される。
【0130】
本実施形態の混合器1によれば、第一流体Aが第一流路RaをZ軸方向に通過する際に各凹凸群201、301の凹部201b、301bに沿って流れつつ、該凹部201b、301bと同方向に長手を有する凸部201a、301a、に衝突して分岐と合流を繰り返すことで、第一流体Aの流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られる。また、第二流体Bが第二流路RbをZ軸方向に通過する際に各凹凸群202、302の凹部202b、302bに沿って流れつつ、該凹部202b、302bと同方向に長手を有する凸部202a、302aに衝突して分岐と合流を繰り返すことで、第二流体Bの流通抵抗の増加を抑えつつ高い混合性能が得られ(流れに十分な乱れを生じさせることができ)、これにより、第一流路Raを流れる第一流体Aと第二流路Rbを流れる第二流体Bとの熱交換効率が向上する。
【0131】
しかも、各凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと凹部201b、202b、301b、302bとの長手方向がそれぞれ同じ(傾斜方向VL)であるため、凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れた流体(第一流体A、第二流体B)の凸部201a、202a、301a、302aへの長手方向と交差する方向からの衝突が防がれ、これにより、第一流路Raでの第一流体Aの流通抵抗が抑えられると共に、第二流路Rbでの第二流体Bの流通抵抗が抑えられる。
【0132】
また、本実施形態の混合器1では、第一プレート2の混合領域(対向面)200a、200bにある複数の凹凸群201、202の凸部201a、202aのそれぞれは、第二プレート3の混合領域(対向面)300a、300bにある複数の凹凸群301、302のうちの一つの凹凸群301、302の一つの凸部301a、302aと交差した状態で当接している。このため、凸部201a、202a、301a、302a同士の当接箇所の数が抑えられ、これにより、流通抵抗の増加が抑えられる。
【0133】
また、本実施形態の混合器1では、第一プレート2の混合領域(対向面)200a、200bにある複数の凹凸群201、202の凹部201b、202bのそれぞれは、第二プレート3の混合領域(対向面)300a、300bにある複数の凹凸群301、302のうちの一つの凹凸群301、302の一つの凹部301b、302bと交差した状態で対向している。
【0134】
このように凹部201b、202b、301b、302b同士が交差した状態で対向していることで、Z軸方向から見て、一方の混合領域(対向面)200a、200bの凹部201b、202b側を流れる流体(第一流体A、第二流体B)の流れと、他方の混合領域(対向面)300a、300bの凹部301b、302b側を流れる流体(第一流体A、第二流体B)の流れとにおいて、Y軸方向における逆向きの速度成分が生じる(図27及び図29の矢印α、β参照)。これにより、対向する凹部201b、202b、301b、302b間においてZ軸方向を中心とする螺旋流(旋回流)が形成される。このように、第一流路Ra内で第一流体Aが螺旋流を作り、第二流路Rb内で第二流体Bが螺旋流を作ることで、第一流体Aの混合性能がより向上すると共に、第一流体Aと第二流体Bとの間の熱交換効率がより向上する。
【0135】
また、第一流路Ra内を流れる第一流体Aと第二流路Rbを流れる第二流体Bとのそれぞれにおいて螺旋流が形成されるため、本実施形態の混合器1は、第一流体A又は第二流体Bの少なくとも何れか一方に含まれる成分が流通過程で分離することも防止できる。
【0136】
また、本実施形態の混合器1では、傾斜方向VLがZ軸方向に延びる縦中心線CL1に対して60°未満の角度θ1で傾斜している。かかる構成によれば、第一流体A及び第二流体Bが各凹部201b、202b、301b、302bに沿って流れることで、第一流体Aが第一流路RaをZ軸方向に通過する際の流通抵抗及び第二流体Bが第二流路Rbを通過する際の流通抵抗がそれぞれ抑えられる。
【0137】
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0138】
上記各実施形態の混合器1では、X軸方向に隣り合うプレート2、3の凸部201a、202a、301a、302a同士がそれぞれ交差した状態で当接しているが、この構成に限定されない。隣り合うプレート2、3の対向する凸部201a、202a、301a、302a同士のうちの少なくとも一部の凸部間(凸部201a、202a、301a、302aの頂上間)に隙間が形成されていてもよい。即ち、隣り合うプレート2、3の凸部201a、202a、301a、302a同士がX軸方向から見て交差した状態で対向していればよい。
【0139】
このように凸部201a、202a、301a、302a間に隙間が形成される場合、伝熱プレート3の成形深さ(換言すると、凹部201b、202b、301b、302bの深さ)をdとしたときに、前記隙間が0.5d以内となる構成が好ましい。例えば、成形深さが4mmの場合、前記隙間は2mm以内が好ましく、成形深さが10mmの場合、前記隙間は5mm以内が好ましい。このような隙間(0.5d以内の隙間)を設けることで、小さな固形物を含む流体A、Bを各流路Ra、Rbに流通させることが可能となる。また、コンタミレス化や洗浄の容易化を図ることもできる。しかも、前記間隔を0.5d以内とすることで、該隙間に起因する混合性能の低下が生じた場合でも許容範囲内(必要な混合性能が得られる範囲内)の低下で収まる。
【0140】
上記各実施形態の混合器1では、X軸方向に重ね合わされた複数のプレート2、3同士がロウ付けされ、プレート2、3間が液密にシールされているが、この構成に限定されない。例えば、流路を画定する環状(枠状)のガスケットが隣り合うプレート2、3間に配置され、該ガスケットがプレート2、3間をシールしてもよい。
【0141】
上記各実施形態の混合器1は、凹凸群201、202、301、302の凹凸の位置を異にする二種類のプレート2、3を備え、この二種類のプレート2、3(第一プレート2、第二プレート3)が交互に重ね合わされているが、この構成に限定されない。
【0142】
例えば、プレート2の混合領域200a、200bにある複数の凹凸群201、202の凸部201a、202aのそれぞれが、X軸方向に隣り合う相手方のプレート2の混合領域200a、200bにある複数の凹凸群201、202のうちの少なくとも二つの凹凸群201、202の凸部201a、202aと交差した状態で当接する、或いは、プレート2の混合領域200a、200bにある複数の凹凸群201、202の凸部201a、202aのそれぞれがX軸方向に隣り合う相手方のプレート2の混合領域200a、200bにある複数の凹凸群201、202のうちの一つの凹凸群201、202の一つの凸部201a、202aと交差した状態で当接するように、プレート2の凹凸群201、202の凹凸の位置や、サイズ(長さ、幅)、間隔(ピッチ)等が設定されることを前提に、同一のプレート2がX軸方向に重ね合わされてもよい。
【0143】
この場合において、上記各実施形態と同様に、複数のプレート(例えば、第一プレート2)同士がロウ付けされる混合器1では、各第一プレート2が環状部21を有するため、X軸方向において一つおきに第一プレート2がX軸方向に延びる仮想線を中心にして180°回転させた状態で配置される。また、隣り合うプレート間(例えば、第一プレート2間)に流路を画定する環状のガスケットが配置され、該ガスケットによって第一プレート2間がシールされる混合器1では、第一プレート2が環状部21を有していない。このため、第一プレート2間にガスケットが配置される混合器1では、X軸方向において一つおきに第一プレート2がX軸方向に延びる仮想線を中心にして180°回転させた状態、或いは、縦中心線CL1又は横中心線CL2を基準(中心)にして180°反転させた状態、のいずれかの状態で配置される。
【0144】
上記各実施形態の混合器1では、プレート2、3の凹凸群201、202、301、302に含まれる凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bのそれぞれが縦中心線CL1に対して60°未満の傾斜角度θ1で傾斜する傾斜方向VLに沿って延びているが、これに限定されない。
【0145】
例えば、プレート2、3の凹凸群201、202、301、302に含まれる凸部201a、202a、301a、302a及び凹部201b、202b、301b、302bのそれぞれが縦中心線CL1に対して60°以上の傾斜角度θ1で傾斜する傾斜方向VLに沿って延びてもよい。但し、傾斜方向VLは、縦中心線CL1に対して90°未満で傾斜する。
【0146】
上記各実施形態の混合器1では、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aが隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bとY軸方向に並ぶように(Y軸方向に横並びに)配置され、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bが隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aとY軸方向に並ぶように(Y軸方向に横並びに)配置されたが、この構成に限定されない。
【0147】
例えば、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凸部201a、202a、301a、302aが隣り合う凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302bと傾斜方向VLに対して直交方向(Y軸方向及びZ軸方向の合成方向)に並ぶように(直交方向に横並びに)配置され、複数の凹凸群201、202、301、302のそれぞれの凹部201b、202b、301b、302bが隣り合う凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302aと傾斜方向VLに対して直交方向(Y軸方向及びZ軸方向の合成方向)に並ぶように(直交方向に横並びに)配置されてもよい。
【0148】
上記第三実施形態の混合器1では、凹凸群201、202、301、302の凹部201b、202b、301b、302b及び凸部201a、202a、301a、302aが、傾斜方向VLに沿って真っ直ぐに延びているが、この構成に限定されない。例えば、図31及び図32に示すように、第一流体A及び第二流体Bの螺旋流の連続性を向上させるべく、凹部201b、202b、301b、302b及び凸部201a、202a、301a、302aのそれぞれがX軸方向から見て湾曲形状(S字状又は逆S字状)に延びていてもよい。尚、図31及び図32では、形状を把握し易いように、各凹部201b、202b、301b、302b及び各凸部201a、202a、301a、302aの湾曲度合を誇張して表している。
【0149】
上記第三実施形態の混合器1では、凹部201b、202b、301b、302b同士の対向する領域(凹部対向領域)がZ軸方向に並び、且つ、各凹部対向領域の凹部201b、202b、301b、302bの形状が同じ、即ち、縦中心線CL1に対する傾斜角度θ1や傾斜する向き、傾斜方向VLの長さ等がそれぞれ同じであるが、この構成に限定されない。Z軸方向に並ぶ複数の凹部対向領域のうちの一部の凹部対向領域における凹部201b、202b、301b、302bの縦中心線CL1に対する傾斜角度θ1や傾斜する向き、傾斜方向の長さ等が、他の凹部対向領域における凹部201b、202b、301b、302bと異なっていてもよい。
【0150】
これらZ軸方向に並ぶ各凹部対向領域の凹部201b、202b、301b、302bの縦中心線CL1に対する傾斜角度θ1や傾斜する向き、傾斜方向の長さ等が適宜設定されることで、Z軸方向の各位置(凹部対向領域)を流れる流体(第一流体Aや第二流体B)の螺旋流のピッチ(Z軸方向の螺旋のピッチ)を変化させたり、Z軸方向の途中位置において螺旋流の旋回方向を反転させたりすることができる。
【0151】
上記第二実施形態及び第三実施形態の混合器1では、第一流路Raに流路に第一流体Aが供給され、第二流路Rbに第二流体Bが供給されているが、この構成に限定されない。第一流路Raと第二流路Rbとのそれぞれに、第一流体A(混合対象となる二種類以上の液体を合わせた流体、一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体、又は一種類以上の液体と気体とを合わせた流体)が供給されてもよい。この場合、第一流路Raと第二流路Rbとのそれぞれにおいて第一流体Aが十分に撹拌され、該第一流体Aの複数の成分が混合される。
【0152】
また、混合器1は、三種以上の流路(第一流路、第二流路、第三流路、・・・)を備える構成でもよい。この場合、各流路のX軸方向における配列(配置順)は限定されない。例えば、X軸方向に順に第一流路、第二流路、第三流路、第一流路、第二流路、第三流路、・・・と所定の配置が繰り返される構成(配置)でもよく、第一流路、第三流路、第一流路、第二流路、第二流路、・・・等のランダムに並んでいてもよい。即ち、X軸方向に複数のプレート2、3が重ね合わされた混合器1(即ち、プレート2、3間に形成される流路がX軸方向に複数並ぶ混合器1)において、少なくとも一つの流路を規定するプレート対(隣り合うプレート2、3)の対向面(第一面S1、第二面S2)のそれぞれに、複数の凹凸群201、202、301、302がそれぞれ配置され、該プレート対が互いの凹凸群201、202、301、302の凸部201a、202a、301a、302a同士を交差した状態で当接させていればよい。
【0153】
尚、第三実施形態の混合器1において、第一実施形態と同様に、一種類の流路(例えば、第一流路Raのみ)がX軸方向に複数並ぶ構成であってもよい。
【0154】
また、混合器1の各プレート2、3の材質は、熱伝導率の高い金属に限定されない。混合器1において隣り合う流路を流れる流体間で熱交換の必要がない場合、混合器1の各プレート2、3の材質は、コストや耐食性等に基づき流路を流れる流体の種類に応じて適宜選択される。例えば具体的に、プレート2、3は、樹脂、セラミック等によって構成されていてもよい。この場合、プレート2、3は、真空成型、射出成型、削り出し加工、3Dプリンター等によって形成される。
【0155】
また、上記第二実施形態及び第三実施形態の混合器1は、第一流体Aの供給側に一つの第一連通路(一方の第一連通路)Ra1を有し、該第一連通路Ra1に対して、混合の対象となる二種類以上の液体を合わせた流体、一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体、或いは一種類以上の液体と気体とを合わせた流体が第一流体Aとして供給されるが、この構成に限定されない。混合器1が第一流体Aの供給側に二つ以上の第一連通路Ra1を有し、各第一連通路Ra1から供給された液体(混合の対象となる複数の液体)等が第一流路Raにおいて合流し、この合流した液体が第一流体Aとして第一流路Raを流れる構成でもよい。
【符号の説明】
【0156】
1…プレート式混合器、2…第一プレート(プレート)、3…第二プレート(プレート)、20、30…混合部、20a、30a…主混合部、20b、30b…端部、21、31…環状部、200a、200b、300a、300b…混合領域、201、202、301、302…凹凸群、201a、202a、301a、302a…凸部、201b、202b、301b、302b…凹部、203、204、303、304…貫通孔、A…第一流体(流体)、B…第二流体、CL1…縦中心線(中心線)、CL2…横中心線(中心線)、Ra…第一流路(流路)、Ra1、Ra2…第一連通路(連通路)、Rb…第二流路、Rb1、Rb2…第二連通路、S1…第一面(対向面)、S2…第二面(対向面)、VL…傾斜方向、θ1…傾斜角度、θ2…傾斜角度
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