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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】カメラモジュール遮蔽装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/57 20230101AFI20231026BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231026BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20231026BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20231026BHJP
【FI】
H04N23/57
G03B17/02
G03B17/04
G03B17/56 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019238359
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021108409
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 祐司
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111294433(CN,A)
【文献】特表2020-527916(JP,A)
【文献】特開2018-113590(JP,A)
【文献】特開平11-242787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/57
G03B 17/02
G03B 17/04
G03B 17/56
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを電子機器の筐体内に収容して遮蔽する装置であって、
前記カメラモジュールが遮蔽位置と開放位置の間で往復移動するように、前記カメラモジュールを支持する支持部材を移動させる移動アクチュエータを備えると共に、前記移動アクチュエータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記移動アクチュエータの駆動を、動作初期に対して動作途中で省電力駆動に切り替えることを特徴とするカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項2】
前記移動アクチュエータは複数のアクチュエータからなり、
前記制御部は、前記省電力駆動にて、前記複数のアクチュエータの一部を停止させることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記省電力駆動にて、PWM制御のデューティ比を低下させることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項4】
前記制御部によって制御され、前記遮蔽位置と前記開放位置にて、前記支持部材を係止する係止部材を係止状態と解除状態の間で動作する係止アクチュエータを備え、
前記制御部は、前記係止部材が解除状態になるように、前記係止アクチュエータを動作させた後に、前記移動アクチュエータを動作させ、前記移動アクチュエータの動作後に、前記係止部材が係止状態になるように、前記係止アクチュエータを動作することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記係止アクチュエータによる係止を行う際に、前記移動アクチュエータによって、前記支持部材の位置を前記遮蔽位置又は前記開放位置に対してオーバーセットさせることを特徴とする請求項4記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項6】
前記係止部材は、前記開放位置にて、カム面を介して前記支持部材を係止しており、
前記支持部材に加わる前記遮蔽位置に向けた押圧力で、前記カム面が前記係止部材を解除状態にすることを特徴とする請求項4又は5記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項7】
前記係止部材は、前記係止状態に向けて弾性的に付勢されており、
前記制御部は、前記係止部材を前記係止状態から前記解除状態にする場合にのみ、前記係止アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動アクチュエータの駆動電流を検出して、前記省電力駆動への切り替えを行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項9】
前記制御部は、電子機器の動作信号に連動して前記移動アクチュエータを動作させることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項記載のカメラモジュール遮蔽装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載のカメラモジュール遮蔽装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール遮蔽装置及びこれを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、取得した画像を処理・保存・送信する機能を備えるものが多く、画像取得のためにカメラモジュールを備えるものが一般化している。カメラモジュールを備える電子機器は、一般に、レンズとイメージセンサを具備するカメラモジュールが電子機器の筐体内に配置されており、電子機器の筐体に形成された開口部からレンズが露出する状態になっている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2015/041066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子機器は、「IoT:Internet of Things(モノのインターネット)」という言葉で表現されているように、ネットワークに接続された状態で使用するものが多くなっている。IoTにおいて、電子機器は、常にクラッキング(悪意のあるハッキング)やサイバー攻撃の危機に曝されていると言え、そのためのセキュリティ対策が不可欠になっている。
【0005】
カメラモジュールを備える電子機器は、前述したように、カメラモジュールに光を取り込むレンズ開口が常に開放された状態になっているので、IoTにおいて、悪意の外部操作でカメラ機能が作動されると、プライベート画像の流出や不正な画像取得による防犯機能の低下などと言った問題が生じる。
【0006】
また、IoTと切り離した場合にも、カメラモジュールのレンズ開口が常に開放されていると、携帯用電子機器などでは、意図しない画像が取り込まれて保存されてしまう可能性があり、このようなことになると、盗撮の疑いを掛けられるといった事態になりかねない問題が生じる。また、実際に画像が取り込まれることが無くても、カメラモジュールのレンズ開口が開放された状態になっていることで、周囲から盗撮されているのではないかという、あらぬ疑いをかけられるといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、カメラモジュールを備える電子機器において、消費電力を抑えながら、プライベート画像の流出や不正な画像取得による防犯機能の低下などを抑止して、IoTにおけるセキュリティ対策を強化すること、意図しない画像が取り込まれて保存される可能性を排除すると共に、周囲から見て電子機器のカメラ機能が働いていないことを明確にすること、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
カメラモジュールを電子機器の筐体内に収容して遮蔽する装置であって、前記カメラモジュールが遮蔽位置と開放位置の間で往復移動するように、前記カメラモジュールを支持する支持部材を移動させる移動アクチュエータを備えると共に、前記移動アクチュエータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記移動アクチュエータの駆動を、動作初期に対して動作途中で省電力駆動に切り替えることを特徴とするカメラモジュール遮蔽装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るカメラモジュール遮蔽装置を示した説明図。
図2】カメラモジュール遮蔽装置の動作を示した説明図((a)がカメラ開放状態、(b)がカメラ遮蔽状態)。
図3】カメラモジュール遮蔽装置のシステム構成の概要を示した説明図。
図4】システム構成の具体例の一つを示した説明図。
図5図4に示したシステム構成例の動作シーケンスを示した説明図。
図6】システム構成の他の例を示した説明図。
図7図6に示したシステム構成例の動作シーケンスを示した説明図。
図8】システム構成の他の例を示した説明図。
図9】カメラモジュール遮蔽装置を備える電子機器を示した説明図((a)が開放状態、(b)が遮蔽状態)。
図10】カメラモジュール遮蔽装置を備える他の電子機器を示した説明図((a)が開放状態、(b)が遮蔽状態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
図1にて、本発明の実施形態に係るカメラモジュール遮蔽装置を説明する。カメラモジュール遮蔽装置(以下、単に遮蔽装置)1は、カメラモジュール2を、図示省略した電子機器の筐体内に収容して遮蔽する装置である。この遮蔽装置1は、カメラモジュール2を支持する支持部材3、移動アクチュエータ4、移動機構5、制御部6を備えている。また、係止部材8を駆動する係止アクチュエータ7を備えている。
【0012】
支持部材3は、薄厚状の部材(板状部材)であり、カメラモジュール2を支持すると共に厚さ方向(図示のY方向)に直交する平面(図示のX-Z平面)に沿って移動自在に配備されている。支持部材3を薄厚状にすることで、遮蔽装置1自体の薄厚化が可能になる。図示の例では、支持部材3は、枠体10に設けたガイド部12に沿って図示のZ方向に直線的に移動するように、枠体10内に配備されている。
【0013】
移動アクチュエータ4は、往復移動する可動子40を備えており、カメラモジュール2を移動させる駆動源になっている。移動アクチュエータ4の形態は特に限定されないが、図示の例では、枠体10のベース部11に支持され、ベース部11に設けた回転軸(支持部材3の厚さ方向に沿った回転軸)41周りに揺動する可動子(回転磁石)40と、可動子40を挟むように端部が配置されるU字状のヨーク42と、ヨーク42に巻かれたコイル43などを備えている。
【0014】
移動アクチュエータ4は、制御部6によって動作が制御され、制御部6からの信号によってコイル43に通電される電流の向きを変えることで、可動子40が回転軸41周りを揺動する。図示の例では、支持部材3の移動方向に複数(2個)の移動アクチュエータ4A,4Bが並列配置されている。複数配置された移動アクチュエータ4A,4Bのコイル43は直列に接続されており、これによって、カメラモジュール2を支持する支持部材3を移動させる初動時の力量を確保している。
【0015】
移動機構5は、前述した可動子40の動作(揺動)によって、カメラモジュール2が遮蔽位置と開放位置の間で往復移動するように、支持部材3を移動させる機構である。図示の例では、移動機構5は、可動子40によって揺動するレバー部材50の先端部を支持部材3に連結している。レバー部材50は、可動子の回転磁石に一端側が固着(一体化)され、他端の先端側が支持部材3の連結部30に連結している。図示の例では、複数(2個)の移動アクチュエータ4A,4Bにおける複数(2本)のレバー部材50によって平行リンクが形成されている。移動機構5を設けることで、移動アクチュエータ4の可動子40の動作範囲に拘わらず、カメラモジュール2を遮蔽位置と開放位置の間で往復移動させることができる。
【0016】
係止アクチュエータ7は、カメラモジュール2の遮蔽位置と開放位置にて支持部材3を係止する機能を有し、これも制御部6によって制御されている。係止アクチュエータ7は、これを設けることで、カメラモジュール2を遮蔽位置と開放位置で安定的に支持することができ、衝撃が加わった場合などに、誤動作でカメラモジュール2が開放状態になることを抑止できる。また、係止アクチュエータ7の解除を行う煩雑さが加わることで、不正にカメラモジュール2が開放状態になるのを抑止することができる。
【0017】
係止アクチュエータ7の形態は特に限定されないが、図示の例では、移動アクチュエータ4と同様に、枠体10のベース部11に支持されており、ベース部11に設けた回転軸(支持部材3の厚さ方向に沿った回転軸)71周りに揺動する可動子(回転磁石)70と、可動子70を挟むように端部が配置されるU字状のヨーク72と、ヨーク72に巻かれたコイル73を備えている。図示の例では、係止アクチュエータ7の可動子70は、コイル73への電流の方向により、係止部材8を係止位置と解除位置に移動させる。
【0018】
このような遮蔽装置1の動作を説明する。図2(a)に示すように、支持部材3に支持されたカメラモジュール2が枠体10から突出した状態が、カメラの開放位置であり、この状態になると図示省略した電子機器の筐体からカメラモジュール2が突出してレンズ開口が開放された状態になる。また、図2(b)に示すように、支持部材3に支持されたカメラモジュール2が枠体10内に収容された状態が遮蔽位置であり、この状態になると図示省略した電子機器の筐体にカメラモジュール2が収容されてレンズ開口が遮蔽された状態になる。
【0019】
遮蔽状態では、係止部材8が解除状態になった後に、図1の破線で示すように支持部材3が移動し、その後に係止部材8が係止状態になって、支持部材3を固定する。係止状態では、係止部材8は支持部材3の被係止部31の上側に係止され、カメラモジュール2が不意に電子機器の筐体から外に突出するのを抑止する。
【0020】
カメラモジュール2を開放位置に移動させる際には、係止部材8を支持部材3の被係止部31から退避させて解除状態にし、その後、支持部材3を移動させ、カメラモジュール2をレンズ開口が開放される開放位置まで移動させる。カメラモジュール2が所定の開放位置まで移動すると、係止部材8を支持部材3側に移動させることで、係止部材8が支持部材3における被係止部31の下側に係止される(図1参照)。
【0021】
移動アクチュエータ4と係止アクチュエータ7の無通電時には、カメラモジュール2が開放状態になっている場合には、係止部材8が係止状態側に磁気吸引されることで、支持部材3は開放状態を維持する。また、カメラモジュール2が遮蔽状態になっている場合には、係止部材8が係止状態側に磁気吸引されることで、支持部材3は遮蔽状態を維持する。
【0022】
係止部材8は、図1に示すように、支持部材3の開放位置にて、カム面31Aを介して支持部材3の被係止部31を係止している。この状態で、支持部材3に遮蔽位置に向けた押圧力が加わると、支持部材3のカム面31Aが係止部材8を移動させて、係止部材8は解除状態になる。このように、図1に示した遮蔽装置1は、手動の押圧でカメラモジュール2を開放位置から遮蔽位置に移動することができるようになっている。
【0023】
遮蔽装置1のシステム構成は、図3に示すように、操作スイッチ20或いは支持部材3や係止部材8の位置を検知する位置センサ21からの信号入力で、制御部6が移動アクチュエータ4と係止アクチュエータ7を制御する。
【0024】
図4は、システム構成の具体例の一つを示している。この例では、制御部6として、CPU61、移動アクチュエータ4用のドライバIC62、係止アクチュエータ7用のドライバIC63を備え、更に移動アクチュエータ4の駆動電流を検出する電流検出部64を備えている。電流検出部64はドライバIC62の駆動電流が所定値になったことを検出してCPU61に検出信号を送信するものであり、基準電圧と電流検出用抵抗64Aの電圧を比較器64Bで比較して、電流検出用抵抗64Aの電圧が基準電圧になったところでCPU61に検出信号を送信する。CPU61は、この検出信号の入力によって、FET4Cを制御して、移動アクチュエータ4Bの駆動を停止する。
【0025】
図4に示したシステム構成例は、制御部6が移動アクチュエータ4の駆動を、動作初期に対して動作途中で省電力駆動に切り替えるものである。この例では、移動アクチュエータ4は、複数の移動アクチュエータ4A,4Bからなり、制御部6は、操作スイッチ20(突出スイッチ20A)の入力により、動作初期の駆動電流で移動アクチュエータ4(4A,4B)の動作を加速させ、その後トルクが下がる時点を電流検出部64の検出信号で検出して、検出後は、複数の移動アクチュエータ4A,4Bの一部(移動アクチュエータ4B)を停止させる省電力駆動に切り替える。
【0026】
図4に示したシステム構成例の動作シーケンスは、図5に示すように、先ず、カメラ位置が遮蔽状態になっており、係止部材8が係止状態になっている状態で、操作スイッチ20の突出スイッチ20AがONになる(t1)と、設定された出力電流がドライバIC63から出力され、係止アクチュエータ7が駆動して係止部材8が係止状態から解除状態になる。
【0027】
突出スイッチ20AのON(t1)から設定時間T1後に、FET4CをONにして、ドライバIC62から2つの移動アクチュエータ4A,4Bを駆動する出力電流が出力される。ここでの設定時間T1は、係止部材8が係止状態から解除状態になる時間を見越して設定されている。
【0028】
設定時間T1後には、電流検出部64が検出信号を出力するまでの時間T2だけFET4CをONにし、検出信号が出力されるとFET4CをOFFにする。時間T2の間、移動アクチュエータ4(4A,4B)は高い出力電流で駆動され、高トルクで支持部材3を上昇させる。そして、トルク値の変化が電流検出部64の検出信号で検出されると、FET4CをOFFにして移動アクチュエータ4の出力電流を移動アクチュエータ4A一個分の低レベルに下げる。この低レベルの出力電流で、移動アクチュエータ4Aは支持部材3をオーバーセット位置まで上昇させる。
【0029】
突出スイッチ20AのON(t1)から設定時間T3後にドライバIC63の出力電流が反転されて、設定時間T4だけ反転された電流で係止アクチュエータ7が駆動され、係止部材8が解除状態から係止状態になる。その後、係止アクチュエータ7は無通電状態になる。この際の設定時間T4は、カメラ位置がオーバーセット位置に達していることを見越して設定される。その後は、ドライバIC62の通電時間T5後に、移動アクチュエータ4Aが無通電状態になる。
【0030】
次に、カメラ位置が開放状態になっており、係止部材8が係止状態になっている状態で、操作スイッチ20の収納スイッチ20BがONになる(t2)と、FET4CがONになり、出力電流がドライバIC62から出力され、移動アクチュエータ4(4A,4B)がカメラ位置をオーバーセット位置に上昇させる。収納スイッチ20BのON(t2)から設定時間T6後に、出力電流がドライバIC63から出力され、係止アクチュエータ7が駆動して係止部材8が係止状態から解除状態になる。この設定時間T6は、カメラ位置がオーバーセット位置に移動したことを見越して設定される。
【0031】
出力電流がドライバIC62から出力されて設定時間T7後には、ドライバIC62の出力電流が反転され、移動アクチュエータ4(4A,4B)により支持部材3の下降動作が開始される。そして、動作初期は、高い出力電流で移動アクチュエータ4(4A,4B)を駆動するが、出力電流がドライバIC62から出力されて時間T8後の動作途中で、FET4CをOFFにして、移動アクチュエータ4の出力電流を移動アクチュエータ4A一個分の低レベルに下げる。この低レベルの出力電流で、移動アクチュエータ4Aは支持部材3を遮蔽位置まで降下させる。そして、ドライバIC62の出力電流が反転されてから設定時間T9後に移動アクチュエータ4Aは無通電状態になる。
【0032】
移動アクチュエータ4Aが無通電状態になった後、出力電流がドライバIC63から出力されてから設定時間T10後に、ドライバIC63の出力電流が設定時間T11だけ反転され、係止アクチュエータ7により係止部材8が解除状態から係止状態になる。その後は、係止アクチュエータ7も無通電状態になる。
【0033】
図6は、システム構成の他の具体例を示している。この例は、FET4Cとその制御ラインを除き、CPU61からドライバIC62への制御ラインに、PWM制御の制御ラインを付加した以外は、図4に示した例と同様である。
【0034】
図6に示した例は、図4に示した例と同様に、制御部6が移動アクチュエータ4の駆動を動作途中で省電力駆動に切り替えるものである。この例では、制御部6は、ドライバIC62の駆動を制御するPWM制御のデューティ比を低下させるように切り替えて、省電力駆動を行う。なお、図6に示した例では、移動アクチュエータ4を複数の移動アクチュエータ4A,4Bにしているが、これを一つのアクチュエータにして、それを駆動するPWM制御のディーティ比を切り替えるようにしても良い。
【0035】
図6に示した例の動作シーケンスは、図7に示すように、移動アクチュエータ4のカメラ位置の動作とドライバIC62の出力電流、係止アクチュエータ7の係止部材8の動作とドライバIC63の出力電流に関しては、図4に示した例と同様であるが、FETのON・OFFに換えて、PWM制御のデューティ比の切り替えが行われる。
【0036】
カメラ位置を上昇させる際には、PWM制御の切り替えは、操作スイッチ20における突出スイッチ20AのON(t1)から設定時間T1後のドライバIC62の出力電流が100%ディーティ比で出力され、時間T2後に、電流検出部64が検出信号を出力すると、ドライバIC62の出力電流がデューティ比を50%に切り替えて、移動アクチュエータ4を省電力駆動する。その後は、省電力駆動で移動アクチュエータ4を駆動して、支持部材3をオーバーセット位置まで上昇させる。
【0037】
また、カメラ位置を下降させる際には、PWM制御の切り替えは、操作スイッチ20における収納スイッチ20BのON(t2)で、出力電流がドライバIC62から出力されて時間T8後の動作途中に、反転されたドライバIC62の出力電流がデューティ比100%から50%に切り替えられる。その後は、この出力電流で、移動アクチュエータ4は支持部材3を遮蔽位置まで降下させ、ドライバIC62の出力電流が反転されてから設定時間T9後に移動アクチュエータ4は無通電状態になる。
【0038】
図8には、他のシステム構成を示している。図8に示した例は、係止部材8が係止方向に向けてバネなどで弾性的に付勢されている例であり、制御部6は、CPU61とドライバIC62を備え、係止アクチュエータ7のドライバICを省いている。制御部6は、係止部材8を係止状態にする際には、FET7Aを制御して係止アクチュエータ7を無通電状態にする。
【0039】
この例では、係止アクチュエータ7のドライバICを省くことで、システムコストを削減することができると共に、制御部6は、係止部材8を係止状態から解除状態にする場合にのみ、係止アクチュエータ7を駆動し、係止部材8を解除状態から係止状態に移動させる際には駆動電流を使わないので、省電力化が可能になる。
【0040】
以上説明した遮蔽装置1は、PC(Personal Computer)、AIスピーカー、スマートフォン、ホームセキュリティーカメラ(監視カメラ)など、ネットワークに接続されている電子機器に採用して、プライバシー保護を実現することができる。
【0041】
すなわち、前述した遮蔽装置1は、カメラ位置を遮蔽状態にすることで、カメラモジュール2が電子機器の筐体内に収容されて、カメラモジュール2のレンズ開口2Aが遮蔽される。これによって、カメラモジュール2の遮蔽状態でカメラ撮像機能が作動しても、プライベート画像が撮像されたり、意図しない画像の取り込みがなされたりすることがなく、遮蔽状態では、カメラモジュール2自身が外部から見えなくなるので、周囲から盗撮のあらぬ疑いをかけられることもない。また、遮蔽装置1は、カメラモジュール2ごと移動させるので、カメラモジュール2の画質に影響することなく、レンズ開口2Aを遮蔽・開放することができる。
【0042】
前述した遮蔽装置1は、制御部6からの信号で、カメラモジュール2を支持する支持部材3を移動させる。これによって、電子機器の動作信号に連動して、移動アクチュエータ4を動作させて、カメラモジュール2の遮蔽・開放を切り替えることができる。これにより、ユーザーの操作によってカメラ機能の使用状態・不使用状態を切り替える煩雑さが解消され、また、ユーザーの操作忘れで、カメラモジュール2が開放状態のまま、カメラ機能が作動可能な状態で放置されてしまうことを抑止することができる。
【0043】
特に、電子機器がスリープ状態になっている場合には、外観的には電源OFFのように見えるが、電子機器は作動可能な状態になっている。ネットワークに接続されている電子機器をスリープ状態のまま放置していると、悪意の外部操作でカメラ機能が作動する可能性がある。これに対処するためには、電子機器のスリープ動作に連動して移動アクチュエータ4を動作させ、カメラモジュール2を遮蔽位置に移動させる制御を行うことが有効である。これによると、ユーザーが電源を切り忘れてスリープ状態が放置されている場合にも、カメラモジュール2がスリープ動作に連動して遮蔽状態になるので、悪意の外部操作がなされたとしても、プライベート画像の流出や不正画像の取得を抑止することができる。
【0044】
また、前述したスリープ動作だけでなく、電子機器のカメラ機能が使用されていない状態を検知して、常時、カメラモジュール2を遮蔽位置に移動させる制御を行うことで、より効果的にプライベート画像の流出や不正画像の取得を抑止することができる。そして、電子機器におけるカメラ撮影動作(カメラアプリへのアクセス操作)に連動して移動アクチュエータ4を動作させ、カメラモジュール2を開放位置に移動させる制御を行うことで、ユーザーはストレス無く遮蔽状態になっているカメラモジュール2を開放状態に切り替えることができる。
【0045】
また、前述した遮蔽装置1は、薄厚状の枠体10の平面に沿って薄厚状の支持部材3を移動させるので、全体構成を薄厚にすることができる。これによって、厚さ方向のスペース確保が難しい電子機器内において、電子機器内の他の部品の配置スペースを圧迫すること無く、カメラモジュール2を遮蔽状態にすることができる。
【0046】
また、前述した遮蔽装置1は、係止アクチュエータ7を備えており、支持部材3が遮蔽位置と開放位置で係止部材8によって係止されるので、カメラモジュール2を安定した状態で遮蔽位置と開放位置に保持することができる。そして、係止アクチュエータ7と移動アクチュエータ4の動作シーケンスを制御部6で制御しており、係止アクチュエータ7によって係止部材8を解除しないと、移動アクチュエータ4による支持部材3の移動ができないようになっているので、仮に、悪意の外部操作で移動アクチュエータ4の動作を行おうとしても、係止アクチュエータ7の解除を行う煩雑さが抑止効果になる。
【0047】
また、前述した遮蔽装置1は、制御部6が、係止アクチュエータ7による係止を行う際に、移動アクチュエータ4によって、支持部材3の位置を遮蔽位置又は開放位置に対してオーバーセットさせているので、係止部材8が支持部材3の被係止部31に衝突することを抑止することができる。これによって、係止アクチュエータ7による係止時に衝突音が生じたり、衝突による変形や破損が生じたりすることを回避することができる。
【0048】
また、前述した遮蔽装置1は、係止部材8が、開放位置にて、カム面31Aを介して支持部材3を係止しており、支持部材3に加わる遮蔽位置に向けた押圧力で、カム面31Aが係止部材8を解除状態に押し込む。これよると、遮蔽装置1は、カメラ位置が開放状態になっているときに、手動でカメラ位置を遮蔽状態にすることができ、ユーザーの意思による緊急的な対応でカメラ位置を遮蔽状態にすることができる。
【0049】
また、前述した遮蔽装置1は、制御部6が、移動アクチュエータ4の駆動を、動作初期に対して動作途中で省電力駆動に切り替えるので、遮蔽装置1を動作させる際の消費電流を抑えることができ、遮蔽装置1を備える電子機器のバッテリの消耗を抑えることができる。また、遮蔽装置1を駆動するに際して、動作初期に高トルクで動作し、動作終盤のトルクが軽くなるところでは省電力駆動するので、動作終了時の衝撃や衝突音を軽減することができ、遮蔽装置1自体を長寿命化することができる。
【0050】
図9には、前述した遮蔽装置1を備えた電子機器の一例を示している。図示の例の電子機器100は、前面に透明なフロントパネル101とディスプレイパネル(例えば、LCDパネル)102を備えた筐体100Aを具備するノート型のPC(Personal Computer)である。これによると、カメラモジュール2は、使用時には筐体100Aの外側に突出され、非使用時には筐体100Aの内部に収容されるので、筐体100Aにカメラモジュール2のレンズ開口を設けるスペースを確保する必要が無い。このため、図示のように、筐体100Aの一面のほぼ全体にディスプレイパネル102の表示面を設けることができ、ディスプレイパネル102の表示面積を筐体100Aの前面に対して最大限に広げることができる。遮蔽装置1は薄厚であるため、電子機器100の筐体100Aの厚さの嵩張りを抑えて、遮蔽装置1とディスプレイパネル102とを筐体1の内部で重ねて配置することができる。
【0051】
図10には、前述したカメラモジュール2の遮蔽装置1を備えた電子機器の他の一例を示している。図示の例の電子機器200は、筐体200Aの前面にディスプレイパネル201を備える携帯電子機器である。また、 遮蔽装置1は薄厚であるため、電子機器200の厚さの嵩張りを抑えて、遮蔽装置1とディスプレイパネル201とを筐体200Aの内部で重ねて配置することができる。
【0052】
そして、前述したカメラモジュール2の遮蔽装置1を備える電子機器100,200は、プライベート画像の流出や不正な画像取得を抑止して、IoTにおけるセキュリティ対策を強化することができると共に、意図しない画像が取り込まれて保存される可能性を排除することができる。また、カメラモジュール2が筐体100A,200A内に収容されている状態では、周囲から見て電子機器100,200のカメラ機能が働いていないことが明らかになるので、携帯用として使用する場合に、盗撮のなどのあらぬ疑いをかけられることがない。
【0053】
なお、 電子機器100,200は、前述した携帯電子機器(例えば、スーマトフォン、タブレット端末)やノート型のPCだけに限らず、他の電子機器も含まれる。また、 カメラモジュール2が遮蔽位置にあるときに、電子機器100,200が備えるマイクが遮音されるようにしてもよい。具体的には、遮蔽装置1が遮音部をさらに備え、その遮音部が支持部材3の移動に合わせて動作する機構を採用することできる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1:カメラモジュール遮蔽装置(遮蔽装置),
2:カメラモジュール,2A:レンズ開口,
3:支持部材,30:連結部,31:被係止部,31A:カム面,
4,4A,4B:移動アクチュエータ,4C,7A:FET,
40:可動子,41:回転軸,42:ヨーク,43:コイル,
5:移動機構,50:レバー部材,
6:制御部,61:CPU,62,63:ドライバIC,
64:電流検出部,64A:電流検出用抵抗,64B:比較器,
7:係止アクチュエータ,
70:可動子,71:回転軸,72:ヨーク,73:コイル,
10:枠体,11:ベース部,12:ガイド部,
20:操作スイッチ,20A:突出スイッチ,20B:収納スイッチ,
21:位置センサ,100,200:電子機器,100A,200A:筐体,
101:フロントパネル,102,201:ディスプレイパネル
図1
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図10