(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】検体容器下降装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/04 20060101AFI20231026BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65G33/04
G01N35/04 H
(21)【出願番号】P 2019238838
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-06-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月8日に顧客への説明会にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】506429606
【氏名又は名称】株式会社S&Sエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】塚越 俊光
(72)【発明者】
【氏名】市村 吉明
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0101272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 33/04
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり、その軸方向の一端が他端よりも上方に位置するように配置されたケース部材であって、前記一端近傍に検体容器の投入口が形成され、前記他端近傍に前記検体容器の排出口が形成されたケース部材と、
その軸方向が前記ケース部材の前記軸方向と平行となる姿勢で前記ケース部材内に配置されており、螺旋状の溝を有するスクリューと、
前記スクリューを回転させるための駆動源と、を備えて
おり、
前記駆動源により前記スクリューを回転させることで、前記検体容器が前記スクリューの前記螺旋状の溝である搬送路を滑り降りるように構成されることを特徴とする検体容器下降装置。
【請求項2】
複数の前記検体容器を同時に前記投入口に投入可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の検体容器下降装置。
【請求項3】
前記スクリューの上端及び下端は、前記ケース部材内に位置しており、
前記投入口は、前記ケース部材の前記一端と前記スクリューの上端との間に位置しており、
前記排出口は、前記ケース部材の前記他端と前記スクリューの下端との間に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の検体容器下降装置。
【請求項4】
前記検体容器は管状であ
り、
前記検体容器の向きを揃える必要なく前記検体容器を下降可能に構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の検体容器下降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器を下降させる検体容器下降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などにおいて、患者から採取した血液や尿などの検体が収容された検体容器を搬送する装置が備えられることがある。例えば、特許文献1には、検体容器をホルダに収容した状態で、搬送レール上を自走するホルダ搬送車によって搬送する検体搬送装置が開示されている。かかる検体搬送装置においては、人の動線を確保するために、搬送レールの一部が山状に高くなっており、高い位置で検体容器が搬送されるようになっている。
【0003】
特許文献1のように、高い位置で検体容器を搬送する場合、下降させる際に検体容器に強い衝撃が加わり、検体容器が破損するのを避ける必要がある。また、検体容器の搬送効率を向上するために、上述のようなレールでの搬送に替えて、コンベアによって連続的に搬送することが考えられる。
【0004】
コンベアによって検体容器を搬送する場合に、検体容器を少ない衝撃で下降させる機構としては、特許文献2に開示されているような桟付きのコンベアを採用することが考えられる。また、特許文献3の
図12に開示されているような一対のエンドレスコンベアによって、検体容器を挟んで搬送することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-132785号公報
【文献】特開2009-001349号公報
【文献】特開2000-288981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
桟付きのコンベアで検体容器を搬送する場合には、桟が通過するタイミングで検体容器を1つずつ桟に載せる必要があるため、検体容器をスピーディーに下降させることができない。
【0007】
一方、一対のエンドレスコンベアによって検体容器を挟んで搬送する場合には、一対のエンドレスコンベアによって挟み込むことができる姿勢となるように、事前に検体容器を整列させる必要がある。また、一対のエンドレスコンベアによって挟み込む構成であるために、搬送可能な検体容器のサイズに制限がある。
【0008】
本発明の目的は、スピーディーな下降が可能であり、且つ、検体容器のサイズの自由度が大きく、少ない衝撃で検体容器を下降させることができる検体容器下降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検体容器下降装置は、筒状であり、その軸方向の一端が他端よりも上方に位置するように配置されたケース部材であって、前記一端近傍に検体容器の投入口が形成され、前記他端近傍に前記検体容器の排出口が形成されたケース部材と、その軸方向が前記ケース部材の前記軸方向と平行となる姿勢で前記ケース部材内に配置されており、螺旋状の溝を有するスクリューと、前記スクリューを回転させるための駆動源と、を備えている。
【0010】
この構成によると、駆動源によりスクリューを回転させることで、検体容器がスクリューの螺旋状の溝を滑り降りる。したがって、少ない衝撃で検体容器を下降させることができる。また、検体容器を投入するタイミングを計る必要なく、且つ、複数の検体容器を同時に投入できるので、スピーディーに検体容器を下降させることができる。さらに、検体容器は、スクリューの螺旋状の溝を滑り降りることができる大きさであれば良いので、検体容器のサイズの自由度が大きい。
【0011】
また、本発明の検体容器下降装置では、前記ケース部材は、前記軸方向が鉛直方向と平行となるように配置されている。
【0012】
この構成によると、ケース部材の軸方向が鉛直方向と平行でない場合に比べて設置面積が小さいので、省スペース化を実現できる。
【0013】
さらに、本発明の検体容器下降装置では、前記スクリューの上端及び下端は、前記ケース部材内に位置しており、前記投入口は、前記ケース部材の前記一端と前記スクリューの上端との間に位置しており、前記排出口は、前記ケース部材の前記他端と前記スクリューの下端との間に位置している。
【0014】
この構成によると、検体容器がスクリューの螺旋状の溝内で詰まるのを抑制し、検体容器をスムーズに下降させることができる。
【0015】
加えて、本発明の検体容器下降装置では、前記検体容器は管状である。
【0016】
検体容器が管状の場合に、桟付きのコンベアで検体容器を搬送する構成や、一対のエンドレスコンベアによって検体容器を挟んで搬送する構成では、事前に検体容器の向きを揃える必要があり、スピーディーな下降の実現が特に困難になり得る。これに対し、本発明では、検体容器がスクリューの螺旋状の溝を滑り降りる構成を採用したことで、管状の検体容器の向きを揃える必要がなく、スピーディーな下降を実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スピーディーな下降が可能であり、且つ、検体容器のサイズの自由度が大きく、少ない衝撃で検体容器を下降させることができる検体容器下降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる下降装置を備えた搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図6】蓋開閉機構の斜視図であり、気送子の蓋を開く前の状態を示す。
【
図7】蓋開閉機構の斜視図であり、気送子の蓋を開いた状態を示す。
【
図9】カメラの通信システムを示すブロック図である。
【
図10】
図1に示す搬送システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】制御部で行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(搬送システムの概略構成)
以下、
図1を参照しつつ、本発明の一実施形態にかかる下降装置を備えた搬送システム1について説明する。搬送システム1は、病院に設置されるものであり、患者から採取した血液を収容した採血管T(
図3、
図5及び
図8参照)を搬送するものである。
【0020】
より具体的には、搬送システム1は、気送管設備8のステーション81から血液の検査装置9まで採血管Tを搬送する。気送管設備8は、病院内の各所に設置されたステーション81を有しており、送信元のステーション81から送信先のステーション(受信ステーション)81まで気送管82を介して気送子7(
図2~
図4参照)を送るものである。後で詳述するように、気送子7は、略筒状の容器であり、複数の採血管Tを収容可能である。本実施形態においては、入院患者から採取した血液を収容した採血管Tを気送子7に収容し、病棟に設置されたステーション81から検査室90又は検査室90の近くに設置されたステーション81まで送ることを想定している。
【0021】
図1に示すように、搬送システム1は、ステーション81、搬送機構2、カメラ5a~5c及び制御部6を主に備えている。ステーション81は、ステーション81で受信した気送子7から採血管Tを取り出すための取出装置10(
図5参照)を備えている。搬送機構2は、送出コンベア20、水平コンベア30及び下降装置40を有している。
【0022】
送出コンベア20は、取出装置10によって気送子7から取り出された採血管Tを水平コンベア30に送り出すためのものである。水平コンベア30は、
図8に示すように、室内空間に対向する天井壁面Cに沿って配置されている。水平コンベア30は、採血管Tを水平方向に移動させて、下降装置40まで運ぶ。下降装置40は、水平コンベア30によって運ばれた採血管Tを下降させて検査装置9に投入するためのものである。
【0023】
(気送子の構成)
ここで、
図2~
図4を参照しつつ、気送子7の構成について説明する。気送子7は、本体部71、中子76及び蓋77を有している。本体部71は、筒状である。以下の説明において、筒状の本体部71の軸方向を単に「軸方向」と称する。
【0024】
本体部71は、筒体72、端部材73及び環状部材75で構成されている。筒体72は、軸方向に沿って延びている。端部材73は、筒体72の両端にそれぞれ嵌め込まれている。
図3に示すように、端部材73は、筒体72の端部の外周面を覆う第1部分73aと、軸方向に関して筒体72の外側に位置する第2部分73bとからなる。第1部分73aと第2部分73bとは、軸方向に関して隣接している。
【0025】
第1部分73aの外周面には、軸方向に延びる筋状の突起74が複数形成されている。突起74は、テーパー状である。突起74の高さは、第2部分73b側が最も高く、第2部分73bから離れるほど次第に低くなっている。環状部材75は、端部材73における第2部分73bの外周に嵌め込まれている。気送子7の外径Rは、本体部71の環状部材75部分で最も大きくなっている。
【0026】
筒体72には、マーカー79が設けられている。マーカー79は、後で詳述する取出装置10が有する光学センサ18(
図5参照)によって検出可能なものである。マーカー79は帯状であり、筒体72における端部材73と軸方向に隣接する領域A(
図3参照)に巻き付けられている。病院に設置された気送管設備8で取り扱われる気送子7は、採血管Tを収容するものに限られず、カルテや薬剤を収容するものもある。マーカー79は、採血管Tを収容する気送子7のみに設けられている。すなわち、マーカー79は、採血管Tを収容する気送子7を識別するための識別情報を保持している。
【0027】
中子76は、本体部71内に設置されている。中子76には、採血管Tを収容する収容空間76aとして機能する複数(例えば11個)の孔が設けられている。収容空間76aは、軸方向に沿って本体部71のほぼ全長に亘って延びている。本体部71の軸方向の両端部に形成された開口71aは、収容空間76aに連通している。収容空間76aは、採血管Tの径よりも若干大きな径を有する円柱状である。収容空間76aは、その軸方向が本体部71の軸方向と一致する姿勢で採血管Tを収容可能である。各収容空間76aには、複数(例えば3個)の採血管Tを収容することができる。
【0028】
筒体72及び中子76は、透明な材質で形成されている。したがって、気送子7の外側から収容空間76aに収容されている採血管Tの様子を見ることができる。
【0029】
蓋77は、本体部71の軸方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、蓋77は、端部材73に取り付けられている。
図4に示すように、蓋77は、軸方向から見て円形である。蓋77は、軸方向と直交する直交面(以降、単に「直交面」と称する)内において軸方向に延びる軸77aを中心に回動可能である。軸77aは、軸方向から見て蓋77の縁近傍に設けられている。蓋77は、軸77aを中心に回動することで、開口71aを閉じる閉鎖位置(
図6参照)と開口71aを開放する開放位置(
図7参照)とを取り得る。
【0030】
図4に示すように、蓋77は、円形の穴77bを有している。穴77bは、軸方向から見て蓋77の縁近傍に設けられている。ここで、
図4に示すように、円形の蓋77の中心78とする。そして、中心78と軸77aの中心とを結ぶ線分を線分L1とし、中心78と穴77bの中心とを結ぶ線分を線分L2とする。本実施形態においては、線分L1と線分L2とがなす角度θは90°である。穴77bは、線分L1と線分L2とがなす角度θが90°~160°となる位置に設けられていることが好ましい。
【0031】
穴77bは、後で詳述する取出装置10の蓋開閉機構11が有するピン13(
図6及び
図7参照)を挿入するためのものである。ピン13により、軸方向と直交し、且つ、線分L1の伸延方向と直交する方向(
図4中矢印で示す方向)の力が蓋77に加えられることで、蓋77は閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動する。また、蓋77は、人が手で蓋77を開ける際に指を掛けるための切欠き77cを有している。切欠き77cは、穴77bの近傍に設けられている。
【0032】
(取出装置の構成)
次に、
図5~
図7を参照しつつ、取出装置10の構成について説明する。
図5に示すように、取出装置10は、気送管設備8のステーション81内に配置されており、ステーション81で受信した気送子7から採血管Tを取り出すためのものである。取出装置10は、蓋開閉機構11及び光学センサ18を主に備えている。
【0033】
蓋開閉機構11は、
図6及び
図7に示すように、気送子7を支持する台12を有している。ステーション81で受信された気送子7は、軸方向が鉛直方向と平行となる姿勢で第12に支持される。すなわち、台12に支持された気送子7は、本体部71の一端(下端)に形成された開口71aが下方を向き、他端(上端)に形成された開口71aが上方を向く姿勢となる。また、気送子7は、蓋77に形成された穴77bと、後述する初期位置に位置するピン13とが、鉛直方向に沿う一直線上に並ぶように位置合わせされた状態で、台12に支持される。台12には、気送子7の外径Rが最も大きい環状部材75の部分が嵌り込む孔12aが形成されている。
【0034】
蓋開閉機構11は、気送子7の蓋77に形成された穴77bに挿入可能なピン13と、ピン13を支持する支持部14と、をさらに有している。
図6及び
図7に示すように、ピン13は、支持部14によって、台12の下方において鉛直方向に延びる姿勢で支持されている。
【0035】
蓋開閉機構11は、ピン13を移動させるためのモータ15、16をさらに有している。モータ15は、ピン13を直交面と平行な面内で移動させるためのものである。より詳細には、モータ15は、鉛直方向と平行な方向に延びており、且つ、鉛直方向から見てピン13とは異なる位置に配置された回転軸15aを中心に、ピン13を180°回転させる。ピン13は、モータ15の駆動により移動されることで、初期位置(
図6参照)と回転位置(
図7参照)とを取り得る。モータ16は、ピン13を鉛直方向に沿って移動させるためのものである。ピン13は、モータ16の駆動により移動されることで、台12に支持された気送子7の穴77bに挿入される進出位置と、穴77bの外に位置する退避位置と、を取り得る。
【0036】
蓋開閉機構11は、台12に気送子7が支持されたとき、モータ16を駆動してピン13を退避位置から進出位置に移動させて、ピン13を気送子7の穴77bに挿入する。さらに、モータ15を駆動してピン13を初期位置から回転位置まで回転させ、蓋77を閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動させる。このとき、収容空間76aに収容された採血管Tが自重により落下する。
【0037】
ピン13を回転させた際、気送子7の蓋77に直交面と平行な方向の力が加わる。より詳細には、蓋77には、軸方向と直交し、且つ、線分L1(
図4参照)の伸延方向と直交する方向の力が加わる。また、上述のように、穴77bは、線分L1と線分L2とがなす角度θが90°となる位置に設けられている。したがって、ピン13により蓋77に力が加えられたとき、本体部71の環状部材75が台12の孔12aを画定する周面に対して垂直に押し当てられる。よって、気送子7がスリップして回転することなく、小さな力で確実に蓋77を移動させることができる。
【0038】
光学センサ18は、
図5に示すように、ステーション81の受信部83に設けられている。光学センサ18は、ステーション81の受信部83で受信されたた気送子7の筒体72におけるマーカー79が巻き付けられる領域A(
図3参照)と対向する位置に設けられている。光学センサ18は、受信部83で受信されたた気送子7が採血管Tを収容する気送子7である場合、マーカー79を検出することができる。光学センサ18は、例えば発光素子と受光素子とを有する反射型の光センサである。反射型の光センサにおいては、発光素子から照射され対象物上で反射された光を受光素子で受光する。すなわち、光学センサ18は、受光した光の受光量に応じて、マーカー79の有無を検出することができる。
【0039】
(搬送機構の構成)
続いて、搬送機構2の構成について説明する。上述のように、搬送機構2は、送出コンベア20、水平コンベア30及び下降装置40を有している。
【0040】
送出コンベア20は、
図5に示すように、取出装置10によって気送子7から取り出された採血管Tを、天井壁面Cに沿って配置されている水平コンベア30に送り出すためのものである。送出コンベア20は、複数のローラ25に架け渡された無端状の桟付きベルト26を備えている。ローラ25及び桟付きベルト26は、筐体29により覆われている。筐体29は、透明な材質で形成されており、筐体29の外側から送出コンベア20による搬送路を見ることができる。
【0041】
送出コンベア20は、第1部分21、第2部分22及び第3部分からなる。第1部分21は、蓋開閉機構11の下方に位置する。第2部分22は、第1部分21から鉛直方向上方に沿って天井壁面C近傍まで延びている。第3部分23は、第2部分22の上端部から水平方向に沿って延びている。
【0042】
蓋開閉機構11により気送子7の蓋77が閉鎖位置から開放位置に移動されたときに落下した採血管Tは、送出コンベア20の第1部分21において桟付きベルト26の搬送面(上方を向いた面)上に乗る。そして、採血管Tは、送出コンベア20の第2部分22によって搬送されて、鉛直方向に沿って上方に移動する。さらに、採血管Tは、送出コンベア20の第3部分23によって搬送されて、水平方向に沿って移動する。送出コンベア20の第3部分23によって搬送された採血管Tは、第3部分23における第2部分22側とは反対側の端部において、送出コンベア20の下方に位置する水平コンベア30に向かって落下する。
【0043】
水平コンベア30は、
図8に示すように、天井壁面Cに沿って配置されている。水平コンベア30は、採血管Tを水平方向に沿って移動させて、下降装置40まで運ぶためのものである。水平コンベア30は、複数のローラ35に架け渡された無端状のベルト36を備えている。ローラ35及びベルト36は、筐体39により覆われている。筐体39は、透明な材質で形成されている。
【0044】
水平コンベア30は、
図1に示すように、第1部分31及び第2部分32からなる。第1部分31は、水平面に平行な第1方向(
図1中左右方向)に沿って延びている。第2部分32は、水平面に平行であり、且つ、第1方向と直交する第2方向(
図2中上下方向)に沿って延びている。
【0045】
第1部分31は、下降装置40まで延びている。第2部分32は、第1部分31の下降装置40側とは反対側の端部に繋がっている。
図1及び
図5に示すように、第2部分32は、送出コンベア20における第3部分23の第2部分22側とは反対側の端部の下方を通っている。気送子7から取り出された採血管Tは、送出コンベア20によって水平コンベア30に送り込まれ、水平コンベア30によって下降装置40まで運ばれる。
【0046】
なお、水平コンベア30によって下降装置40まで運ばれる採血管Tは、気送子7から取り出され送出コンベア20によって送り込まれた採血管Tのみではない。例えば、水平コンベア30は外来の採血室まで延びており、採血室で患者から採取した血液を収容した採血管Tが水平コンベア30に送り込まれるようになっていてもよい。
【0047】
図8に示すように、天井壁面Cにおける水平コンベア30と対向する部分には、鏡3が取り付けられている。上述のように、筐体39は透明な材質で形成されているので、水平コンベア30の搬送路の様子が鏡3に映し出されるようになっている。
【0048】
下降装置40は、水平コンベア30によって運ばれた採血管Tを下降させて、検査装置9に投入するためのものである。
図8に示すように、下降装置40は、ケース部材41、スクリュー42及びモータ43を有している。
【0049】
ケース部材41は、筒状であり、その軸方向が鉛直方向と平行となるように配置されている。ケース部材41は、上端近傍(本発明の「一端近傍」に相当)に採血管Tの投入口41aが形成されており、下端近傍(本発明の「他端近傍」に相当)に採血管Tの排出口41bが形成されている。ケース部材41は、透明な材質で形成されている。
【0050】
スクリュー42は、螺旋状の溝42aを有している。スクリュー42は、その軸方向がケース部材41の軸方向と平行となる姿勢でケース部材41内に配置されている。すなわち、スクリュー42の軸方向は、鉛直方向と平行である。スクリュー42の上端42b及び下端42cは、ケース部材41内に位置している。
【0051】
ケース部材41の投入口41aは、ケース部材41の上端とスクリュー42の上端42bとの間に位置している。ケース部材41の排出口41bは、ケース部材41の下端とスクリュー42の下端42cとの間に位置している。
【0052】
モータ43は、スクリュー42を回転させるためのものである。モータ43は、ケース部材41の上方に配置されている。
【0053】
投入口41aには、スライダ45が配置されている。スライダ45は、水平コンベア30の下降装置40側の端部近傍からケース部材41内まで延びている。スライダ45は、ケース部材41の外側に位置する部分がケース部材41の内側に位置する部分よりも高くなるように傾斜している。
【0054】
スクリュー42の下方には、スライダ46が配置されている。スライダ46は、排出口41bを介してケース部材41の外まで延びている。スライダ46は、ケース部材41の内側に位置する部分がケース部材41の外側に位置する部分よりも高くなるように傾斜している。スライダ46の傾斜方向に関してケース部材41の外側の端部の下方には、検査装置9の投入口9aが位置している。
【0055】
水平コンベア30の下降装置40側の端部まで運ばれた採血管Tは、スライダ45上を滑って、投入口41aを介してケース部材41内に投入される。ケース部材41内に投入された採血管Tは、モータ43により回転されているスクリュー42の螺旋状の溝42aを滑り降りる。スクリュー42の下端まで滑り降りた採血管Tは、スライダ46上を滑って、排出口41bを介してケース部材41の外に排出され、検査装置9の投入口9aに投入される。なお、検査装置9の投入口9aには、人手により直接採血管Tを投入することもできる。
【0056】
上述のように、ケース部材41は、透明な材質で形成されている。したがって、ケース部材41の外側から下降装置40による搬送路(スクリュー42の螺旋状の溝42a)を見ることができる。
【0057】
(カメラ)
カメラ5a~5cは、搬送機構2による搬送路を写すためのものである。カメラ5aは、
図5に示すように、送出コンベア20の第1部分21の上方に設けられている。カメラ5aは、第1部分21における桟付きベルト26の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。カメラ5b、5cは、
図1に示すように、水平コンベア30の第1部分31と第2部分32との接続部分に設けられている。カメラ5bは、水平コンベア30の第1部分31におけるベルト36の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。カメラ5cは、水平コンベア30の第2部分32におけるベルト36の搬送面(上方を向いた面)を撮影可能である。
【0058】
カメラ5a~5cは、いわゆるwebカメラである。
図9に示すように、カメラ5a~5cは、インターネットなどの通信ネットワークNを介して端末50と通信可能である。端末50は、スマートフォン、タブレット端末、汎用のパーソナルコンピュータなどである。カメラ5a~5cで撮影された画像(静止画や動画)は、通信ネットワークNを介して端末50に送られ、端末50のディスプレイ51に表示されるようになっている。
【0059】
(制御部)
制御部6は、
図10に示すように、搬送システム1の各部の動作を制御するためのものである。制御部6は、光学センサ18からの出力信号に基づいて取出装置10のモータ15、16の駆動制御を行う。また、制御部6は、下降装置40のモータ43の駆動制御を行う。さらに、制御部6は、送出コンベア20を駆動するためのモータ及び水平コンベア30を駆動するためのモータ(いずれも図示せず)の駆動制御を行う。
【0060】
ここで、
図11を参照しつつ、制御部6で行われるステーション81の動作制御の処理手順の一例について説明する。
【0061】
まず、制御部6は、受信部83(
図5参照)で気送子7を受信したか否かを判断する(ステップS1)。なお、受信部83で気送子7を受信したか否かの判断は、受信部83に設けられたセンサ(図示せず)からの出力信号に基づいて行う。ステップS1での判断は、気送子7を受信したと判断するまで繰り返し行われる。
【0062】
制御部6は、受信部83で気送子7を受信したと判断した場合には(ステップS1:YES)、光学センサ18からの出力信号に基づいて、取出装置10による取り出しの要否を判断する(ステップS2)。具体的には、制御部6は、光学センサ18により気送子7のマーカー79が検出されたか否かを判断する。
【0063】
このとき、受信部83で受信した気送子7が採血管Tを収容する場合には、光学センサ18によりマーカー79が検出される。受信部83で受信した気送子7が採血管T以外のものを収容する場合には、光学センサ18によりマーカー79は検出されない。検査室90に設置されたステーション81で受信した気送子7が、採血管T以外のものを収容する場合には、人手による取り出しが必要と考えられる。したがって、受信部83で受信した気送子7が採血管T以外のものを収容する場合には、取出装置10による採血管Tの取り出しは不要であると判断する。
【0064】
ステップS2において、取出装置10による取り出しは不要であると判断した場合には(ステップS2:NO)、制御部6は、気送子7をステーション81の手動取出口85(
図5参照)に送る(ステップS3)。すなわち、採血管T以外のものを収容する気送子7は、手動取出口85に送られる。手動取出口85に送られた気送子7は、人手によってステーション81から取り出され、さらに気送子7に収容された内容物(採血管T以外のもの)が人手によって気送子7から取り出される。
【0065】
一方、ステップS2において、取出装置10による取り出しが必要であると判断した場合には(ステップS2:YES)、制御部6は、気送子7を蓋開閉機構11の台12に送る(ステップS4)。続いて、制御部6は、蓋開閉機構11のモータ15、16の駆動を制御し、気送子7から採血管Tを取り出す(ステップS5)。すなわち、蓋開閉機構11のピン13により気送子7の蓋77に直交面と平行な方向の力を加え、気送子7の蓋77を閉鎖位置(
図6参照)から開放位置(
図7参照)に移動させる。これにより、気送子7の収容空間76aに収容された採血管Tが自重により落下する。
【0066】
続いて、制御部6は、採血管Tが取り出された空の気送子7を、当該ステーション(即ち、受信ステーション)81の送信部84(
図5参照)に送る(ステップS6)。最後に、制御部6は、送信部84に送られた空の気送子7を、気送管82を介して送信元のステーション81に送信する(ステップS7)。このように、気送子7からの採血管Tの取り出しだけでなく、空の気送子7の返却まで人手を介することなく行うことができる。
【0067】
(効果)
以上のように、本実施形態の下降装置40は、ケース部材41、スクリュー42及びモータ43を有している。ケース部材41は、筒状であり、その軸方向の一端が他端よりも上方に位置するように配置されている。ケース部材41は、一端近傍に採血管Tの投入口41aが形成され、他端近傍に採血管Tの排出口41bが形成されている。スクリュー42は、その軸方向がケース部材41の軸方向と平行となる姿勢でケース部材41内に配置されており、螺旋状の溝42aを有する。モータ43は、スクリュー42を回転させるためのものである。したがって、モータ43によりスクリュー42を回転させることで、採血管Tがスクリュー42の螺旋状の溝42aを滑り降りる。よって、少ない衝撃で採血管Tを下降させることができる。また、採血管Tを投入するタイミングを計る必要なく、且つ、複数本の採血管Tを同時に投入できるので、スピーディーに採血管Tを下降させることができる。さらに、採血管Tは、スクリュー42の螺旋状の溝42aを滑り降りることができる大きさであれば良いので、採血管Tのサイズの自由度が大きい。
【0068】
本実施形態の下降装置40では、ケース部材41は、軸方向が鉛直方向と平行となるように配置されている。したがって、ケース部材41の軸方向が鉛直方向と平行でない場合に比べて設置面積が小さいので、省スペース化を実現できる。
【0069】
本実施形態の下降装置40では、スクリュー42の上端42b及び下端42cは、ケース部材41内に位置しており、投入口41aは、ケース部材41の上端とスクリュー42の上端42bとの間に位置しており、排出口41bは、ケース部材41の下端とスクリュー42の下端42cとの間に位置している。したがって、採血管Tがスクリュー42の螺旋状の溝42a内で詰まるのを抑制し、採血管Tをスムーズに下降させることができる。
【0070】
本実施形態の下降装置40では、管状の検体容器である採血管Tを下降させる。検体容器が管状の場合に、桟付きのコンベアで検体容器を搬送する構成や、一対のエンドレスコンベアによって検体容器を挟んで搬送する構成では、事前に検体容器の向きを揃える必要があり、スピーディーな下降の実現が特に困難になり得る。これに対し、本実施形態では、採血管Tがスクリュー42の螺旋状の溝42aを滑り降りる構成を採用したことで、採血管Tの向きを揃える必要がなく、スピーディーな下降を実現できる。
【0071】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
上述の実施形態においては、ケース部材41は、軸方向が鉛直方向と平行となるように配置されている場合について説明したが、これには限定されない。ケース部材41は、その軸方向の一端が他端よりも上方に位置するように配置されていればよい。すなわち、ケース部材41は、その軸方向が鉛直方向と交わるように斜めに配置されていてもよい。
【0073】
上述の実施形態においては、ケース部材41の投入口41aは、ケース部材41の上端とスクリュー42の上端42bとの間に位置しており、ケース部材41の排出口41bは、ケース部材41の下端とスクリュー42の下端42cとの間に位置している場合について説明したが、これには限定されない。例えば、投入口41aは、スクリュー42の上端42bよりも下方に位置しており、排出口41bは、スクリュー42の下端42cよりも上方に位置していてもよい。
【0074】
上述の実施形態においては、管状の検体容器である採血管Tを下降させる場合について説明したが、これには限定されない。検体容器の形状は、管状に限定されるものではなく、箱状や袋状であってもよい。また、検体容器は血液を収容するものに限定されず、例えば尿を収容するものであってもよい。すなわち、検体容器は、尿試験管、輸血パック、尿パックなどであってもよい。
【0075】
上述の実施形態においては、ケース部材41が透明な材質で形成されている場合について説明したが、ケース部材41は不透明な材質で形成されていてもよい。
【0076】
上述の実施形態においては、投入口41aにスライダ45が配置されており、排出口41bにスライダ46が配置されている場合について説明したが、これらスライダ45、46はいずれか一方のみ配置されていてもよいし、両方配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0077】
40 下降装置(検体容器下降装置)
41 ケース部材
41a 投入口
41b 排出口
42 スクリュー
42a 溝
42b 上端
42c 下端
43 モータ(駆動源)
T 採血管(検体容器)