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  • 特許-組付体 図1
  • 特許-組付体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】組付体
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/07 20060101AFI20231026BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20231026BHJP
   F16J 15/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F16B21/07 Z
F16J15/10 Y
F16J15/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020006348
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113583
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 智
(72)【発明者】
【氏名】川口 健一
(72)【発明者】
【氏名】高田 康生
(72)【発明者】
【氏名】中山 達也
(72)【発明者】
【氏名】木下 清隆
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-079214(JP,U)
【文献】特開2005-251624(JP,A)
【文献】特開2001-091995(JP,A)
【文献】特開2001-090868(JP,A)
【文献】実開昭53-099481(JP,U)
【文献】実開昭63-139310(JP,U)
【文献】実開平02-140011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/06-21/07
F16J 15/10
F16J 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付部が設けられると共に、前記組付部の周囲に貫通孔が設けられ、前記組付部が変位されて前記組付部が組付相手の係合部と係合されることで前記組付相手が組付けられる組付部材と、
前記組付部材の前記係合部とは反対側を被覆して前記貫通孔を塞ぐと共に、前記組付部材に比し剛性を低くされ、弾性により前記組付部の変位を許容する被覆部材と、
を備える組付体。
【請求項2】
前記組付部が傾動可能にされると共に、前記貫通孔が前記組付部の傾動先端側から前記組付部の前記係合部との係合部分より傾動基端側まで配置される請求項1記載の組付体。
【請求項3】
前記組付部材に設けられ、前記係合部が通過して前記組付部に到達する通過部を備える請求項1又は請求項2記載の組付体。
【請求項4】
前記組付部材の筒状部分に前記組付部が設けられる請求項1~請求項3の何れか1項記載の組付体。
【請求項5】
前記被覆部材が前記組付部材側への液体の浸入を制限する請求項1~請求項4の何れか1項記載の組付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付部材に組付相手が組付けられる組付体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の防水ケースでは、前ケースにおいてプラスチック材の外側をエラストマー材が被覆しており、後ケースの被係止片が弾性変形されて、前ケース内(プラスチック材内)の係止爪が被係止片の係止溝と係合されることで、前ケース(プラスチック材及びエラストマー材)に後ケースが組付けられる。
【0003】
ここで、このような防水ケースでは、仮に被係止片が弾性変形困難な場合でも、前ケース(プラスチック材及びエラストマー材)に後ケースを容易に組付けることができるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-91995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、組付部材に組付相手を容易に組付けることができる組付体を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の組付体は、組付部が設けられると共に、前記組付部の周囲に貫通孔が設けられ、前記組付部が変位されて前記組付部が組付相手の係合部と係合されることで前記組付相手が組付けられる組付部材と、前記組付部材の前記係合部とは反対側を被覆すると共に、前記組付部材に比し剛性を低くされ、弾性により前記組付部の変位を許容する被覆部材と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の組付体は、本発明の第1態様の組付体において、前記組付部が傾動可能にされると共に、前記貫通孔が前記組付部の傾動先端側から前記組付部の前記係合部との係合部分より傾動基端側まで配置される。
【0008】
本発明の第3態様の組付体は、本発明の第1態様又は第2態様の組付体において、前記組付部材に設けられ、前記係合部が通過して前記組付部に到達する通過部を備える。
【0009】
本発明の第4態様の組付体は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの組付体において、前記組付部材の筒状部分に前記組付部が設けられる。
【0010】
本発明の第5態様の組付体は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの組付体において、前記被覆部材が前記組付部材側への液体の浸入を制限する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の組付体では、組付部材の組付部が変位されて、組付部が組付相手の係合部と係合されることで、組付部材に組付相手が組付けられる。また、被覆部材が、組付部材の係合部とは反対側を被覆すると共に、組付部材に比し剛性を低くされており、被覆部材が弾性により組付部の変位を許容する。
【0012】
ここで、組付部材の組付部周囲に貫通孔が設けられる。このため、組付部が容易に変位できて、組付部が係合部と容易に係合でき、組付部材に組付相手を容易に組付けることができる。
【0013】
本発明の第2態様の組付体では、組付部が傾動可能にされる。
【0014】
ここで、貫通孔が組付部の傾動先端側から組付部の係合部との係合部分より傾動基端側まで配置される。このため、組付部が効果的に傾動できる。
【0015】
本発明の第3態様の組付体では、係合部が、組付部材の通過部を通過して、組付部に到達する。このため、係合部を組付部に容易に到達させることができる。
【0016】
本発明の第4態様の組付体では、組付部材の筒状部分に組付部が設けられる。このため、組付部材の筒状部分が変位困難な場合でも、組付部材の組付部周囲に貫通孔が設けられることで、組付部が容易に変位できる。
【0017】
本発明の第5態様の組付体では、被覆部材が組付部材側への液体の浸入を制限する。このため、組付部材側への液体の浸入を制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る組付構造を示す左斜め前側から見た分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る組付構造における組付体の主要部を示す左斜め前側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る組付構造の主要部を示す左側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係る組付構造10が左斜め前側から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、組付構造10の前側を矢印FRで示し、組付構造10の右側を矢印RHで示し、組付構造10の上側を矢印UPで示している。
【0020】
図1に示す如く、本実施形態に係る組付構造10には、有底矩形筒状の組付体12が設けられており、組付体12内は、前側に開放されている。
【0021】
組付体12の内側部分には、組付部材(1次部材)としての有底矩形筒状の剛性部材14(図2及び図3参照)が設けられており、剛性部材14は、剛性を有する樹脂製にされると共に、組付体12の内面を構成している。剛性部材14の上壁及び下壁には、左部及び右部において、組付部としての略矩形板状の組付爪16が形成されており、組付爪16は、剛性部材14の前端近傍に配置されている。剛性部材14には、組付爪16の周囲において、貫通孔としての正面視U字状のスリット18が貫通形成されており、スリット18は、組付爪16の前側、左側及び右側に配置されている。
【0022】
組付爪16の中央部には、組付部位としての直方体状の挿入孔16Aが形成されており、スリット18の左部及び右部は、挿入孔16Aより後側(組付爪16の基端側)まで延出されている。挿入孔16Aは、組付体12内(剛性部材14内)に開放されており、挿入孔16Aの前面は、前後方向に垂直に配置されている。組付爪16には、挿入孔16Aの前側(組付爪16の先端側)において、断面台形状の当接部16Bが形成されており、当接部16Bの前面は、組付爪16の前面から後方へ向かうに従い組付体12の内側へ向かう方向に傾斜されると共に、当接部16Bの頂面は、上下方向に垂直に配置されている。当接部16Bの後面は、挿入孔16Aの前面が構成しており、当接部16Bは、左右方向中央位置が挿入孔16Aの左右方向中央位置と一致されると共に、左右方向寸法が挿入孔16Aの左右方向寸法に比し大きくされている。
【0023】
剛性部材14には、スリット18の前側において、通過部としての直方体状の通過溝20が形成されており、通過溝20は、剛性部材14内に開放されている。通過溝20は、スリット18と剛性部材14の前側とを連通しており、通過溝20は、スリット18の左右方向全体を剛性部材14の前側に開放している。
【0024】
組付体12の外側部分には、被覆部材(2次部材)としての有底矩形筒状の弾性部材22(図2及び図3参照)が設けられており、弾性部材22は、組付体12の外面を構成している。弾性部材22は、剛性部材14に対する2色成形により形成されて、剛性部材14に固着されており、弾性部材22は、剛性部材14(組付爪16及びスリット18を含む)の外側を被覆して、スリット18の全体を閉鎖している。弾性部材22は、TPE(Thermo plastic Elastomer)製にされており、弾性部材22は、剛性部材14に比し弾性が高くされる(剛性が低くされる)と共に、組付体12内(剛性部材14側)への水(液体)の浸入を制限している。
【0025】
組付構造10には、組付相手(係合体)としての略直方体状の挿入体24(図3参照)が設けられており、挿入体24は、組付体12の剛性部材14と同様に、剛性を有する樹脂製にされている。挿入体24の後部は、組付体12内に前側から挿入されており、挿入体24は、後部が組付体12内に嵌合されると共に、組付体12内(後側)への更なる移動を制限されている。
【0026】
挿入体24の上面及び下面には、左部及び右部において、係合部としての断面台形状の挿入爪26が一体形成されており、挿入爪26は、挿入体24の後部に配置されている。挿入爪26の後面は、前方へ向かうに従い挿入体24の外側へ向かう方向に傾斜されており、挿入爪26の頂面は、上下方向に垂直に配置されると共に、挿入爪26の前面は、前後方向に垂直に配置されている。挿入爪26は、剛性部材14(組付爪16)の挿入孔16Aに挿入(係合)されており、挿入爪26の前面は、挿入孔16Aの前面に当接されている。このため、挿入爪26の前側への移動が挿入孔16Aによって制限されており、挿入体24の組付体12に対する前側への移動が制限されて、組付体12と挿入体24とが組付けられている。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0028】
以上の構成の組付構造10において、組付体12(剛性部材14及び弾性部材22)と挿入体24とが組付けられる際には、組付体12内(剛性部材14内)に前側から挿入体24が挿入される。このため、挿入体24の挿入爪26が剛性部材14の通過溝20及びスリット18の前部を通過される。さらに、挿入爪26の特に後面が剛性部材14における組付爪16の当接部16Bの前面から頂面に当接されることで、組付爪16が後端部を中心として弾性部材22側に弾性傾動(変位)されると共に、弾性部材22が弾性変形されて組付爪16の弾性傾動を許容する。そして、挿入爪26が当接部16Bを通過して、組付爪16及び弾性部材22が弾性復元されることで、挿入爪26が組付爪16の挿入孔16Aに挿入されて、挿入爪26の前面が挿入孔16Aの前面に当接される。これにより、挿入体24の組付体12に対する前側への移動が制限されて、組付体12と挿入体24とが組付けられる。
【0029】
ここで、剛性部材14の組付爪16周囲にスリット18が貫通形成されている。このため、挿入体24の挿入爪26が弾性変位困難な場合でも、組付爪16が挿入爪26によって容易に弾性傾動できて、組付爪16の挿入孔16Aに挿入爪26を容易に挿入でき、組付体12(剛性部材14)と挿入体24との組付荷重を低減できて、組付体12と挿入体24とを容易に組付けることができる。
【0030】
さらに、スリット18が、正面視U字状にされて、組付爪16の前側(傾動先端側)から組付爪16の挿入孔16A(挿入爪26との係合部分)より後側(傾動基端側)まで配置されている。このため、組付爪16が挿入爪26によって効果的に弾性傾動でき、組付体12(剛性部材14)と挿入体24との組付荷重を効果的に低減できる。
【0031】
また、剛性部材14の筒状部分(側壁)に組付爪16が設けられている。このため、剛性部材14の筒状部分が板状部分とは異なり弾性変形困難な場合でも、上述の如く剛性部材14の組付爪16周囲にスリット18が貫通形成されることで、組付爪16が容易に弾性変形できる。
【0032】
さらに、挿入爪26が、剛性部材14の通過溝20及びスリット18前部を通過して、組付爪16(当接部16B)に到達する。このため、挿入爪26が剛性部材14を変形させなくても組付爪16に到達でき、挿入爪26を組付爪16に容易に到達させることができる。
【0033】
また、組付体12では、弾性部材22が剛性部材14内(剛性部材14側)への水の浸入を制限している。このため、剛性部材14内への水の浸入を制限できる。
【0034】
なお、本実施形態では、組付爪16の前側、左側及び右側にスリット18が設けられる。しかしながら、組付爪16の前側、左側及び右側の少なくとも1つにスリット18が設けられればよい。しかも、これと共に、又は、これに代えて、組付爪16の後側にスリット18が設けられてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、剛性部材14の組付爪16に挿入孔16A(組付部位)が設けられると共に、挿入体24に挿入爪26(係合部)が設けられる。しかしながら、剛性部材14の組付爪16に挿入爪26(組付部位)が設けられると共に、挿入体24に挿入孔16A(係合部)が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0036】
12・・・組付体、14・・・剛性部材(組付部材)、16・・・組付爪(組付部)、18・・・スリット(貫通孔)、20・・・通過溝(通過部)、22・・・弾性部材(被覆部材)、24・・・挿入体(組付相手)、26・・・挿入爪(係合部)
図1
図2
図3