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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】シート集合包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20231026BHJP
   B65B 25/14 20060101ALI20231026BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20231026BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65B25/14 A
B65D85/07
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020007598
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021113085
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夘野 絢子
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-028401(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141671(WO,A1)
【文献】特開2010-195443(JP,A)
【文献】特開2018-058600(JP,A)
【文献】特開2018-102858(JP,A)
【文献】特開平08-175503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08-12
B65B 25/14
B65B 9/06
B65D 85/07-14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を供給するステップと、
前記シート積層体を積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮するステップと、
前記シート積層体を前記圧縮した状態で包装袋に収容してシート包装体を得るステップと、
複数の前記シート包装体を、積層方向が一致する状態で並置するステップと、
前記複数のシート包装体を並置方向に圧縮率70%以上85%以下で圧縮するステップと、
前記複数のシート包装体を前記圧縮した状態で集合包装袋に収容するステップとを実行する、シート集合包装体の製造方法。
【請求項2】
前記シート積層体がキャラメル包装されている、請求項1に記載のシート集合包装体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体、シート集合包装体、シート包装体の製造方法、及びシート集合包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシューペーパー等の衛生薄葉紙は、厚紙の箱に収容されたカートンタイプのシート包装体が普及しているが、運搬、保管、廃棄、環境負荷、コスト等の観点から、近年、フィルム状の包装袋に収容されたソフトパックタイプのシート包装体の需要が高まっている。また、衛生薄葉紙の中でも肌触りのよい保湿タイプの衛生薄葉紙の需要が高い。さらに、このようなシート包装体は、フィルム状の包装袋に複数収容された集合包装体として流通する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6240734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、保湿性シートを収容する場合でも安定した包装状態が得られるシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1の態様は、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体と、前記シート積層体を包装する包装袋とを有し、前記シート積層体が積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で前記包装袋に収容されている、シート包装体を提供する。
【0006】
本明細書において、保湿性シートとは、保湿成分が塗布または含浸されたシートを示す。積層方向とは、シート積層体を構成するシートが積層される方向を示す。圧縮率とは、シート積層体を積層方向に圧縮する場合に、圧縮される前のシート積層体の積層高さに対する圧縮された後のシート積層体の積層高さの比率を示す。シート包装体とは、複数枚のシートが包装袋に包装されたものを示す。
【0007】
なお、保湿性シートは、保湿成分が含まれているため、空気中の水分を吸収する性質がある。そのため、複数枚の保湿性シートで構成されたシート積層体は、経時変化により吸湿して積層方向に潰れやすくなり、嵩高さが低下する傾向がある。包装袋内でシート積層体の嵩高さが低下すると、シート積層体の包装状態が不安定になり、シート包装体の見栄えが悪くなったり、包装袋内でシート積層体の積層状態が乱れたりするおそれがある。
【0008】
第1の態様では、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮した状態で包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化により吸湿した場合でも、包装袋内でシート積層体の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、シート積層体の安定した包装状態が得られるシート包装体を提供することができる。
【0009】
本発明に係る第2の態様は、前記シート積層体がキャラメル包装されている、シート包装体を提供する。本明細書において、キャラメル包装とは、筒状のフィルムの両端部またはいずれか一方の端部が折り畳まれて接着または封止された包装袋に包装されることを示す。
【0010】
第2の態様では、シート積層体をキャラメル包装することにより、積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体の包装袋への収容が容易である。また、積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体を収容した後の包装袋のシール(封止)が容易である。
【0011】
本発明に係る第3の態様は、複数の上述のシート包装体と、前記複数のシート包装体を包装する集合包装袋とを有し、前記複数のシート包装体が前記集合包装袋に収容されている、シート集合包装体を提供する。本明細書において、集合包装袋とは、複数のシート包装体を一纏めに包装する包装袋を示す。シート集合包装体とは、複数のシート包装体が集合包装袋に包装されたものを示す。
【0012】
なお、複数枚の保湿性シートで構成されたシート積層体は、上述のように経時変化により嵩高さが低下する傾向がある。集合包装袋内で各シート包装体を構成するシート積層体の嵩高さが低下すると、シート集合包装体において各シート包装体の包装状態が不安定になり、シート集合包装体の見栄えが悪くなったり、複数のシート集合包装体が陳列時等に積み上げられたときに、複数のシート集合包装体が大きく傾いたり、崩れるおそれがある。
【0013】
第3の態様では、積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体を収容した複数のシート包装体を集合包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化により吸湿した場合でも、集合包装袋内で各シート包装体の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、各シート包装体の安定した包装状態が得られるシート集合包装体を提供することができる。また、複数のシート集合包装体を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る第4の態様は、前記複数のシート包装体が、積層方向が一致する状態で並置され、かつ並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で前記集合包装袋に収容されている、シート集合包装体を提供する。
【0015】
本明細書において、積層方向が一致する状態で並置するとは、各シート包装体を積層方向が重なる方向に並べて配置することを示す。並置方向とは、シート集合包装体を構成する複数のシート包装体が並ぶ方向を示す。圧縮率とは、シート包装体を並置方向に圧縮する場合に、圧縮される前の複数のシート包装体の並置長さに対する圧縮された後の複数のシート包装体の並置長さの比率を示す。
【0016】
第4の態様では、シート積層体が積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で包装袋に収容された複数のシート包装体を、積層方向が一致する状態で並置し、並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化しても集合包装袋内で各シート包装体の嵩高さが低下するのを高い精度で抑制することができる。これにより、複数のシート包装体の非常に安定した包装状態が得られるシート集合包装体を提供することができる。
【0017】
また、第4の態様では、複数のシート包装体を並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮した状態で集合包装袋に収容することにより、複数のシート集合包装体を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体が大きく傾いたり、崩れたりすることを高い精度で抑制することができる。
【0018】
本発明に係る第5の態様は、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体が包装袋に収容されてなる複数のシート包装体と、前記複数のシート包装体を包装する集合包装袋とを有し、前記複数のシート包装体が、積層方向が一致する状態で並置され、かつ並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で前記集合包装袋に収容されている、シート集合包装体。
【0019】
第5の態様では、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を収容する複数のシート包装体を、積層方向が一致する状態で並置し、並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化しても集合包装袋内で各シート包装体の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、各シート包装体の安定した包装状態が得られるシート集合包装体を提供することができる。
【0020】
また、第5の態様では、複数のシート包装体を並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮した状態で集合包装袋に収容することにより、複数のシート集合包装体を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【0021】
本発明に係る第6の態様は、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を供給するステップと、前記シート積層体を積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮するステップと、前記シート積層体を前記圧縮した状態で包装袋に収容するステップとを有する、シート包装体の製造方法を提供する。
【0022】
第6の態様では、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮した状態で包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化により吸湿した場合でも、包装袋内でシート積層体の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、シート積層体の安定した包装状態が得られるシート包装体を提供することができる。
【0023】
本発明に係る第7の態様は、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体が包装袋に収容されてなる複数のシート包装体を、積層方向が一致する状態で並置するステップと、前記複数のシート包装体を並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮するステップと、前記複数のシート包装体を前記圧縮した状態で集合包装袋に収容するステップとを有する、シート集合包装体の製造方法を提供する。
【0024】
第7の態様では、複数枚の保湿性シートが積層されたシート積層体を収容する複数のシート包装体を、積層方向が一致する状態で並置し、並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋に収容することにより、保湿性シートが経時変化しても集合包装袋内で各シート包装体の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、並置された複数のシート包装体の安定した包装状態が得られるシート集合包装体を提供することができる。
【0025】
また、第7の態様では、複数のシート包装体を並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮した状態で集合包装袋に収容することにより、複数のシート集合包装体を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、保湿性シートを収容する場合でも安定した包装状態が得られるシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係るシート包装体を示す図である。
図2】包装袋に収容される前(圧縮前)のシート積層体を示す図である。
図3図1の左側面図(図1をX方向に見た図)である。
図4】実施形態に係るシート包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係るシート集合包装体を示す図である。
図6】集合包装袋に収容される前(圧縮前)の複数のシート包装体である。
図7図5の正面図(図5をY方向に見た図)である。
図8】シート集合包装体の積み付けパターン(積み付け直後)を示す図である。
図9】シート包装体(圧縮率74%)が収容されたシート集合包装体(圧縮率90%未満)の積み付けパターン(1週間経過後)を示す図である。
図10】シート包装体(圧縮率74%)が収容されたシート集合包装体(圧縮率90%)、及びシート包装体(圧縮率90%)が収容されたシート集合包装体(圧縮率90%未満)の積み付けパターン(1週間経過後)を示す図である。
図11】シート包装体(圧縮率90%)が収容されたシート集合包装体(圧縮率95%)の積み付けパターン(1週間経過後)を示す図である。
図12】シート包装体(圧縮率90%)が収容されたシート集合包装体(圧縮率100%)の積み付けパターン(1週間経過後)を示す図である。
図13】実施形態に係るシート集合包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図面における各部材の縮尺は、実際とは異なる場合がある。さらに、各図において、左右方向(シート包装体の長手方向)、前後方向(シート包装体の奥行方向)、上下方向(シート包装体の高さ方向)をそれぞれX方向、Y方向、Z方向とする。
【0029】
<シート包装体>
図1は、実施形態に係るシート包装体を示す図である。図2は、包装袋に収容される前(圧縮前)のシート積層体を示す図である。図3は、図1の左側面図(図1をX方向に見た図)である。本実施形態に係るシート包装体100は、シート積層体10と包装袋20を有する。本明細書において、シート包装体とは、複数枚のシートが包装袋に包装されたものを示す。なお、シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例である。
【0030】
シート積層体10は、複数枚(または複数組)の保湿性シートSが積層されたシート積層体SLを構成する(図1図2参照)。本明細書において、保湿性シートとは保湿成分が塗布または含浸されたシートを示す。このような保湿性シートは、ローションティシューとも呼ばれている。
【0031】
保湿成分は、特に限定されないが、例えば、ポリオールが使用される。ポリオールとしては、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びベンジルグリコール等が挙げられ、これらの中でも、グリセリンが好ましい。これらのポリオールは、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、保湿成分の添加量は、任意である。
【0032】
なお、保湿性シートは、このような保湿成分が含まれているため、空気中の水分を吸収する性質がある。そのため、複数枚の保湿性シートで構成されたシート積層体は、経時変化により吸湿して積層方向に潰れやすくなり、嵩高さが低下する傾向がある。包装袋内でシート積層体の嵩高さが低下すると、シート積層体の包装状態が不安定になり、シート包装体の見栄えが悪くなったり、包装袋内でシート積層体の積層状態が乱れたりするおそれがある。
【0033】
また、本明細書において、積層方向とは、シート積層体10を構成する保湿性シートSが積層される方向SDを示す(図1参照)。本実施形態では、保湿性シートSの積層方向(SD方向)が高さ方向(Z方向)となるようにシート積層体10が包装袋20に収容される。このシート積層体10は、包装袋20の天面21に形成される取出口21Aを通して保湿性シートSが1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるようになっている(図1参照)。
【0034】
なお、シート積層体10は、保湿性シートSを1枚または1組ずつ引き出す観点から、各保湿性シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体10)であることが好ましい。また、シート積層体10の形態は、ポップアップ式に引き出せるものに限定されず、複数枚(または複数組)の保湿性シートSが単に積層されたもの、各保湿性シートSが折り畳まれた状態で積層されたものでもよい。
【0035】
また、シート積層体10の寸法は、シート包装体100の長手方向(X方向)の長さを155mm以上230mm以下、シート包装体100の長手方向(X方向)に直交する奥行方向(Y方向)の長さを90mm以上120mm以下、厚み方向(Z方向)の厚みを30mm以上100mm以下とすることができる。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0036】
シート積層体10を構成する保湿性シートSの態様は、特に限定されず、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。また、保湿性シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用でき、これらの中でも、家庭用のティシューペーパーに好適に用いられる。なお、保湿性シートSの仕様(材質、プライ数は、坪量、厚み等)は、任意である。
【0037】
包装袋20は、シート積層体10を包装する。包装袋20は、シート積層体10が収容された状態で、天面21、底面22、正面23、背面24、側面25、側面26を有する。包装袋20では、天面21と底面22が上下方向(Z方向)に対向し、正面23と背面24が前後方向(Y方向)に対向し、側面25と側面26が左右方向(X方向)に対向する。側面25および側面26は、天面21、底面22、正面23、および背面24のいずれにも連続する(図1参照)。
【0038】
包装袋20の天面21には、取出口21Aが設けられている。取出口21Aは、保湿性シートSが取り出せるようになっている。取出口21Aの形態は、特に限定されず、例えば、連続する切込み、細長い開口等で構成することができる。本実施形態では、ミシン目(断続的な切込み)を破ることで連続する切込みが構成される(図1参照)。
【0039】
包装袋20の形態は、特に限定されず、例えば、可撓性フィルムで形成することができる。可撓性フィルムの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の樹脂を用いることができる。
【0040】
なお、これらの可撓性フィルムの中でも、柔軟で取扱い性に優れ、ヒートシールした場合のシール性も高いこと、安価であること等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。また、無臭であり、耐水性・耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能である観点から、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができる。また、堅牢であり、成形しやすく、印刷時の発色がよく、また光沢を付与できること等の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。
【0041】
包装袋20を形成する可撓性フィルムの形態は、特に限定されず、上述の樹脂が単層で形成された単層フィルム、上述の樹脂を積層したラミネートフィルム、または上述の2種類以上の樹脂の混合物で形成された混合フィルムであってもよい。
【0042】
包装袋20を形成する可撓性フィルムの厚みは、特に限定されず、好ましくは20μm以上100μm以下、より好ましくは25μm以上70μm以下である。可撓性フィルムの厚みを20μm以上とすることで、保湿性シートSが収容される包装袋20としての十分な強度を確保することができる。また、可撓性フィルムの厚みを100μm以下とすることで、包装袋20の柔軟性及び軽量性を確保できるとともに、コストが抑えられる。
【0043】
なお、包装袋20を形成する材質は、上述した可撓性フィルム等の樹脂材料に限定されず、紙材料を用いてもよい。また、包装袋20を形成する材質には、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いることができる。
【0044】
また、包装袋20の包装態様は、特に限定されない。本実施形態では、例えば、筒状の可撓性フィルムの両端部を折り畳んでシール(封止)する包装(キャラメル包装)、ガセット状に折り込まれた筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ピロー包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
【0045】
本実施形態では、シート積層体10がキャラメル包装されている(図1参照)。具体的には、シート積層体10を可撓性フィルムで長手方向(X方向)の両端が開口するように筒型に巻き込むようにして包み、その巻き込み方向に重畳する部分を融着処理や接着剤によって接着する。そして、筒型の可撓性フィルムの長手方向(X方向)の両端を、シート積層体10の端面側に折り込み、その際に形成される略三角形又は略台形の片の少なくとも各先端縁部同士を重ねて融着処理や接着剤によって接着して、筒開口を封止する。本実施形態では、筒状の可撓性フィルムの両端部(包装袋20の側面25、26)が折り畳まれてシールされている(図1参照)。
【0046】
本実施形態のシート包装体100では、シート積層体10が、積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で包装袋20に収容されている。なお、ここでの圧縮率は、シート積層体10を積層方向SDに圧縮する場合に、圧縮される前のシート積層体10(SL)の積層高さH1に対する圧縮された後のシート積層体10(SL)の積層高さH2の比率を示す(図2図3参照)。
【0047】
本実施形態では、シート積層体10を積層方向SDに圧縮した後の積層高さH2が、圧縮する前の積層高さH1よりも低くなっている(図2図3参照)。そして、積層高さH1を100%としたときに、積層高さH2が50%以上80%以下であり、好ましくは55%以上75%以下、より好ましくは60%以上70%以下である。なお、圧縮率が80%を超える場合は、圧縮が十分となり、圧縮率が50%未満の場合は、包装袋20が破損したり、シール(封止)ができないおそれがある。
【0048】
本実施形態では、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10を積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮した状態で包装袋20に収容することにより、保湿性シートSが経時変化により吸湿した場合でも、包装袋20内でシート積層体10の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、シート積層体10の安定した包装状態が得られるシート包装体100を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態では、シート積層体10をキャラメル包装することにより、積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体10の包装袋20への収容が容易になる。また、積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体10を収容した後の包装袋20のシール(封止)が容易になる。
【0050】
<シート包装体の製造方法>
図4は、実施形態に係るシート包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。実施形態のシート包装体の製造方法では、ステップS1、ステップS2、及びステップS3を実行する。このシート包装体の製造方法を実行することにより、上述のシート包装体100が得られる。
【0051】
ステップS1では、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10を供給する(図4参照)。本実施形態では、上述のシート包装体100を構成するシート積層体10として、複数枚(または複数組)の保湿性シートSが積層されたシート積層体SLを用意する(図2参照)。
【0052】
ステップS2では、シート積層体10を積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮する(図4参照)。本実施形態では、上述のシート包装体100を構成するシート積層体10を、圧縮前の積層高さH1を100%としたときに、圧縮後の積層高さH2が50%以上80%以下となるように、積層方向SDに圧縮する(図2図3参照)。
【0053】
ステップS3では、シート積層体10を圧縮した状態で包装袋20に収容する(図4参照)。本実施形態では、上述のシート積層体10を、圧縮率50%以上80%以下で積層方向SDに圧縮したまま包装袋20に収容し、収容後の包装袋20内における圧縮率が50%以上80%以下に維持されるように包装袋20の側面25、26をシール(封止)する(図1図3参照)。
【0054】
本実施形態に係るシート包装体の製造方法では、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10が積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で包装袋20に収容される(図4参照)。そのため、保湿性シートSが経時変化により吸湿した場合でも、包装袋20内でシート積層体10の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、シート積層体10の安定した包装状態が得られるシート包装体100を提供することができる。
【0055】
<シート集合包装体>
図5は、実施形態に係るシート集合包装体を示す図である。図6は、集合包装袋に収容される前(圧縮前)の複数のシート包装体であり、図7は、図5の正面図(図5をY方向に見た図)である。図8図12は、シート集合包装体の積み付けパターンを示す図である。
【0056】
本実施形態に係るシート集合包装体200は、複数のシート包装体100と集合包装袋30とを有する。シート集合包装体200は、本実施形態に係るシート集合包装体の一例である。また、複数のシート包装体100は、本実施形態に係るシート集合包装体を構成する複数のシート包装体の一例であり、集合包装袋30は、本実施形態に係るシート集合包装体を構成する集合包装袋の一例である。
【0057】
複数のシート包装体100には、上述のシート包装体100を用いることができる。具体的には、シート包装体100は、複数枚(または複数組)の保湿性シートSが積層されたシート積層体10を包装袋20に収容したものであり、好ましくは、積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮した状態で包装袋20に収容したものである(図1~、図3参照)。
【0058】
集合包装袋30は、複数のシート包装体100を収容する。ここで、集合包装袋とは、複数のシート包装体一纏めに包装する包装袋を示す。本実施形態では、複数のシート包装体100として5個のシート包装体100(シート包装体101、102、103、104、105)が収容されている(図5参照)。なお、集合包装袋30に収容される複数のシート包装体100の個数は、限定されず、2個以上であればよい。
【0059】
集合包装袋30は、複数のシート包装体100が収容された状態で、上面31、下面32、正面33、背面34、側面35、側面36を有する。集合包装袋30では、上面31と下面32が上下方向(Z方向)に対向し、正面33と背面34が前後方向(Y方向)に対向し、側面35と側面36が左右方向(X方向)に対向する。側面35および側面36は、上面31、下面32、正面33、および背面34のいずれにも連続する(図5参照)。
【0060】
集合包装袋30の形態は、限定されない。例えば、ガセット状に折り込まれた筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部をシール(封止)する包装(ピロー包装)、筒状の可撓性フィルムの両端部またはいずれか一方の端部が折り畳まれて接着または封止された包装(キャラメル包装)、熱収縮性の樹脂フィルムを加熱して被包装体に密着させる包装(シュリンク包装)、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
【0061】
なお、集合包装袋30を形成する材質は、樹脂に限定されず、紙を用いてもよい。また、集合包装袋30を形成する材質には、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いることができる。
【0062】
集合包装袋30を樹脂フィルムで形成する場合、該樹脂フィルムの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、PE-エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)-PEの積層体(PE/EVOH/PE)等の樹脂フィルムを用いることができる。また、樹脂フィルムの厚みは、特に限定されないが、10~70μmとすることができ、好ましくは15~60μm、より好ましくは20~50μmである。
【0063】
集合包装袋30には、図5に示すように、持手37を設けてもよい。持手37は、集合包装袋30の上部(上面31)に設けられ、シート集合包装体200を手指または掌(以下、手指等という)で掴む部分を構成する。具体的には、持手37の下端37Aが、集合包装袋30の上面31の奥行方向(Y方向)の中央31Aに接続されている(図5参照)。
【0064】
持手37の形状は、限定されず、例えば、持手37の厚み方向(Y方向)に見たときの輪郭形状が長方形等の四角形にすることができる(図5参照)。なお、図5では、理解を容易にするため、持手37を高さ方向(Z方向)に立ち上げた状態で示しているが、通常は集合包装袋30の上面31上に倒れた状態で製造、販売される。
【0065】
また、持手37の寸法は、限定されず、集合包装袋30の寸法や後述する指掛の寸法等によって定めることができる。なお、持手37の形状が長方形の場合、例えば、持手37の長手方向(X方向)の寸法を150~500mmにすることができ、好ましくは160~400mm、より好ましくは170~300mmである。また、持手37の高さ方向(方向)の寸法を、35~150mmにすることができ、好ましくは40~130mm、より好ましくは45~100mmである。
【0066】
持手37は、集合包装袋30と同様に、樹脂フィルム等で形成することができる。持手37は、シール(図示せず)により、集合包装袋30の上部(上面31)に形成される。具体的には、集合包装袋30の上面31の中央31Aが、シールで封止されている(図5参照)。なお、シールとして、熱融着(ヒートシール)が用いられる。この熱融着(ヒートシール)には、上述のガセット状に折り込まれた樹脂フィルムを、持手成形用の熱版で型押しする手法(スタンプ方式)を用いることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、ガセット状に折り込まれた樹脂フィルムの一部として集合包装袋30と一体に持手37が構成されているが、持手の形態は、この構成に限定されない。例えば、キャラメル包装やシュリンク包装等の集合包装袋に、集合包装体とは別部材として(または後付けで)持手を構成してもよい。
【0068】
また、持手37は、集合包装袋30の上面31の中央31Aに形成される。なお、持手37が設けられる位置は、集合包装袋30の上面31に限定されず、上面31以外の面(下面32、正面33、背面34、側面35、側面36)でもよい。この場合、集合包装袋30の上面31以外の面が、集合包装袋30の上部となる。
【0069】
持手37は、この折り込まれた樹脂フィルムが、持手37の長手方向(X方向)の両端部(端部37B、37C)では4枚重ねで、持手37の中央部37D付近では2枚重ねで、シールされている。なお、このシールの態様は、熱融着(ヒートシール)に限定されず、接着剤、粘着剤等を塗布することによってシールを形成してもよい。
【0070】
なお、持手37には、持手37が接続する集合包装袋30がシート集合包装体200の製造時または流通時に破裂しないように、集合包装袋30内部と外部とを連通する空気穴(図示せず)を設けてもよい。
【0071】
持手37には、さらに指掛(図示せず)が形成されていてもよい。指掛の形態は、特に限定されないが、例えば、スリット等の切込みで構成することができる。また、この切込みは、ミシン目等の断続的なスリットで形成することができ、該ミシン目を破ることで指掛を形成してもよい。また、切込みの形状は、限定されず、直線、曲線、波線、円形、楕円形、四角形等の形状、またはこれらに類似する形状等のいずれであってもよい。
【0072】
また、指掛の個数は、限定されず、1または2個以上の切込みを形成することができる。また、2個以上の切込みを形成する場合は、持手37の長手方向(X方向)に所定の間隔をあけて配置すればよい。

【0073】
また、持手37には、補強フィルム(図示せず)を設けてもよい。この補強フィルムは、樹脂フィルムで形成することができる。なお、補強フィルムの材質は特に限定されず、持手37を構成する樹脂フィルムの材質と同じでもよく、また異なっていてもよい。このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびPE-エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)-PEの積層体(PE/EVOH/PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の樹脂フィルムを用いることができる。このような補強フィルムを設けることにより、指掛が形成された持手37(例えば、持手37の中央部37D)を補強することができる。
【0074】
また、補強フィルムの厚み寸法は、任意である。例えば、補強フィルムの厚みは、20μm以上にすることができ、好ましくは30μm~150μm、より好ましくは50μm~130μmである。補強フィルムの厚み寸法をこのような範囲にすることにより、持手37が伸びたり、破断するのを防ぐことができる。また、補強フィルムは、上述の熱溶着等により、シールの形成時に、持手37に接着することができる。
【0075】
本実施形態のシート集合包装体200では、複数のシート包装体100として5個のシート包装体100(シート包装体101、102、103、104、105)が並置された状態で集合包装袋30に収容されている(図5参照)。複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を並置する態様は任意であるが、各シート包装体101~105の積層方向SDが一致する状態で複数のシート包装体100を並置するのが好ましい(図1図5参照)。
【0076】
ここで、積層方向SDが一致する状態で並置するとは、各シート包装体100(シート包装体101~105)を積層方向SDが重なる方向に並べて配置することを示す(図5、参照)。本実施形態では、各シート包装体100(シート包装体101~105)の積層方向SDが、各シート包装体100(シート包装体101~105)の並置方向と一致している。なお、並置方向とは、シート集合包装体200を構成する複数のシート包装体100(シート包装体101~105)が並ぶ方向JDを示す(図5参照)。
【0077】
本実施形態では、図5に示すように、集合包装袋30の持手37が上方となるようにシート集合包装体200を配置する場合は、複数のシート包装体100(シート包装体101~105)が並ぶ方向が並置方向JDとなる。また、図5において、側面35が底面で側面36が上面になるようにシート集合包装体200を配置した場合は、底面側となった側面35から高さ方向(Z方向)に見ると、各シート包装体100がシート包装体101からシート包装体105まで積層された方向が並置方向JDとなる。すなわち、並置とは、見方によっては積層を含む概念である。
【0078】
本実施形態のシート集合包装体200では、複数のシート包装体100(シート包装体101~105)が並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋30に収容されている。なお、ここでの圧縮率は、複数のシート包装体を並置方向JDに圧縮する場合に、圧縮される前の複数のシート包装体の並置長さL1に対する圧縮された後の複数のシート包装体の並置長さL2の比率を示す(図6図7参照)。
【0079】
本実施形態では、複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を並置方向JDに圧縮した後の並置長さL2が、圧縮する前の並置長さL1よりも短くなっている(図6図7参照)。そして、並置長さL1を100%としたときに、並置長さL2が60%以上90%未満であり、好ましくは65%以上85%未満、より好ましくは70%以上80%未満になっている。なお、圧縮率が90%以上の場合は、圧縮が不十分となり、圧縮率が60%未満の場合は、集合包装袋30が破損したり、シール(封止)ができなくなるおそれがある。
【0080】
なお、シート集合包装体200において、複数枚の保湿性シートSで構成されたシート積層体10は、上述のように経時変化により嵩高さが低下する傾向がある。集合包装袋30内で各シート包装体100(シート包装体101~105)を構成するシート積層体10の嵩高さが低下すると、シート集合包装体200において各シート包装体100(シート包装体101~105)の包装状態が不安定になり、シート集合包装体200の見栄えが悪くなったり、複数のシート集合包装体200が陳列時等に積み上げられたときに、複数のシート集合包装体200が大きく傾いたり、崩れるおそれがある(図11図12参照)。
【0081】
これに対して、本実施形態では、上述のように、積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮したシート積層体10を収容した複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を集合包装袋30に収容することにより、保湿性シートSが経時変化により吸湿した場合でも、集合包装袋30内で各シート包装体100(シート包装体101~105)の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、各シート包装体100(シート包装体101~105)の安定した包装状態が得られるシート集合包装体200を提供することができる。
【0082】
また、本実施形態では、複数のシート集合包装体200を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体200が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。例えば、図8に示すように、複数のシート集合包装体200(シート集合包装体201~212)を積み付けた(積み上げた)場合、1週間後もほぼ積み付けた状態のまま維持されるか、またはわずかに傾く程度である(図9図10参照)。
【0083】
本実施形態では、上述のように、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10を収容する複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を、積層方向SDが一致する状態で並置し、並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋30に収容することにより、保湿性シートSが経時変化しても集合包装袋30内で各シート包装体100(シート包装体101~105)の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、各シート包装体100(シート包装体101~105)の安定した包装状態が得られるシート集合包装体200を提供することができる。
【0084】
本実施形態では、さらに複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮した状態で集合包装袋30に収容することにより、複数のシート集合包装体200を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体200が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる(図9図10参照)。
【0085】
本実施形態では、上述のように、シート積層体10が積層方向SDに圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で包装袋20に収容された複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を、さらに積層方向SDが一致する状態で並置し、並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋30に収容することにより、保湿性シートSが経時変化しても集合包装袋30内で各シート包装体100(シート包装体101~105)の嵩高さが低下するのを高い精度で抑制することができる。これにより、複数のシート包装体100(シート包装体101~105)の非常に安定した包装状態が得られるシート集合包装体200を提供することができる。
【0086】
本実施形態では、さらに複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮した状態で集合包装袋30に収容することにより、複数のシート集合包装体200を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体200が大きく傾いたり、崩れたりすることを高い精度で抑制することができる(図9図10参照)。
【0087】
<シート集合包装体の製造方法>
図13は、実施形態に係るシート集合包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。実施形態のシート集合包装体の製造方法では、ステップS11、ステップS12、及びステップS13を実行する。このシート包装体の製造方法を実行することにより、上述のシート集合包装体200が得られる。
【0088】
ステップS11では、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10が包装袋20に収容されてなる複数のシート包装体100を、積層方向SDが一致する状態で並置する(図13参照)。本実施形態では、複数のシート包装体100として5個のシート包装体100(シート包装体101~105)を、各積層方向SDが並置方向JDと一致する方向に並べ、隣り合うシート包装体100の天面21と底面22と対面するように配置する(図6参照)。
【0089】
ステップS12では、複数のシート包装体100を並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮する(図13参照)。本実施形態では、各シート包装体100(シート包装体101~105)を、圧縮前の並置長さL1を100%としたときに、圧縮後の並置長さL2が60%以上90%未満となるように、並置方向JDに圧縮する(図6図7参照)。
【0090】
ステップS13では、複数のシート包装体100を圧縮した状態で集合包装袋30に収容する。本実施形態では、各シート包装体100(シート包装体101~105)を、圧縮率60%以上90%未満で並置方向JDに圧縮したまま集合包装袋30に収容し、収容後の集合包装袋30内における圧縮率が60%以上90%未満に維持されるように集合包装袋30をシール(封止)する(図5図7参照)。
【0091】
本実施形態に係るシート集合包装体の製造方法では、複数枚の保湿性シートSが積層されたシート積層体10を収容する複数のシート包装体100(シート包装体101~105)を、積層方向SDが一致する状態で並置し、並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋30に収容する(ステップS11~ステップS13を実行する)。そのため、保湿性シートSが経時変化しても集合包装袋30内で各シート包装体100(シート包装体101~105)の嵩高さが低下するのを抑制することができる。これにより、並置された複数のシート包装体100(シート包装体101~105)の安定した包装状態が得られるシート集合包装体200を提供することができる。
【0092】
また、本実施形態に係るシート集合包装体の製造方法では、複数のシート包装体100(シート包装体101~105)が並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋30に収容される(図13参照)。これにより、複数のシート集合包装体200を積み上げたときに、積み上げられた状態で複数のシート集合包装体200が大きく傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる(図9図10参照)。
【実施例
【0093】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の条件で行った。
【0094】
[シート包装体(個包装体)]
シート積層体10として保湿性シートSが交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー(寸法:高さ約58mm、横幅約180mm、縦幅約101mm、重さ約120g)を、厚み約62μmのポリエチレンのラミネートフィルムで形成された包装袋20に収容したシート包装体100を用意した(図1図3参照)。
【0095】
[シート集合包装体]
複数のシート包装体100として5個のシート包装体100(シート包装体101~105)を、厚み約35μmのポリエチレンフィルムで形成された集合包装袋30に、積層方向SDが一致する状態で並置し、かつ並置方向JDに圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で収容した(図5図7図13参照)。
【0096】
[積み付け試験]
複数のシート集合包装体200(シート集合包装体201~212)を6段で2列に積み付けたパターン(積み付けパターン)300を形成し(図8参照)、1週間後の積み付けパターンの変化を確認した(図9図12)。評価基準は、以下のとおりである。なお、◎及び〇は良好とし、△及び×は不良と評価した。
◎:積み付けパターンは殆ど変化しなかった
〇:積み付けパターンがわずかに傾いた
△:積み付けパターンが大きく傾いた
×:積み付けパターンが崩れた
【0097】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0098】
[実施例1]
シート積層体10を積層方向SDに圧縮率74%で圧縮した状態で包装袋20に収容したシート包装体100(シート包装体101~105)を、並置方向JDに圧縮率80%で圧縮した状態で集合包装袋30に収容したシート集合包装体200の、積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0099】
[実施例2]
シート集合包装体200の圧縮率を85%にした以外は、実施例1と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0100】
[実施例3]
シート集合包装体200の圧縮率を90%にした以外は、実施例1と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0101】
[実施例4]
シート包装体100の圧縮率を90%にした以外は、実施例1と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0102】
[実施例5]
シート包装体100の圧縮率を90%にした以外は、実施例2と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0103】
[比較例1]
シート集合包装体200の圧縮率を95%にした以外は、実施例4と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0104】
[比較例2]
シート集合包装体200の圧縮率を100%にした(圧縮しなかった)以外は、実施例4と同様に積み付け試験を行った。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表1より、シート包装体100の圧縮率が74%でシート集合包装体200の圧縮率が90%未満の場合、シート包装体100の圧縮率が74%でシート集合包装体200の圧縮率が90%の場合、およびシート包装体100の圧縮率が90%でシート集合包装体200の圧縮率が90%未満の場合は、いずれも良好であった(実施例1~5、図8図10参照)。
【0107】
これに対して、シート包装体100の圧縮率が90%でシート集合包装体200の圧縮率が95%以上の場合は、いずれも不良であった(比較例1、2、図11図12参照)。
【0108】
これらの結果から、シート積層体が積層方向に圧縮率50%以上80%以下で圧縮された状態で包装袋に収容されているシート包装体は、保湿性シートが積層されたシート積層体を収容する場合でも、シート集合包装体として安定した積み付けを行うことができることが分かった。また、複数のシート包装体が並置方向に圧縮率60%以上90%未満で圧縮された状態で集合包装袋に収容されているシート集合包装体は、シート包装体に保湿性シートが積層されたシート積層体が収容されている場合でも、安定した積み付けを行うことができることが分かった。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
100、101、102、103、104、105 シート包装体
10 シート積層体
S 保湿性シート
20 包装袋
21 天面
21A 取出口
22 底面
23 正面
24 背面
25、26 側面
SD 積層方向
H1 積層高さ(圧縮前)
H2 積層高さ(圧縮後)
200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212 シート集合包装体
30 集合包装袋
31 上面
31A 中央
32 下面
33 正面
34 背面
35、36 側面
37 持手
37A 下端
37B 端部
37C 端部
37D 中央部
JD 並置方向
L1 並置長さ(圧縮前)
L2 並置長さ(圧縮後)
300、301、302、303 積み付けパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13