(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】スクリュープレス
(51)【国際特許分類】
B30B 9/16 20060101AFI20231026BHJP
B01D 29/17 20060101ALI20231026BHJP
B01D 29/25 20060101ALI20231026BHJP
B01D 29/37 20060101ALI20231026BHJP
C02F 11/125 20190101ALI20231026BHJP
【FI】
B30B9/16
B01D29/30 501
C02F11/125 ZAB
(21)【出願番号】P 2020009974
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】板山 倫也
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-099300(JP,A)
【文献】特開2004-314130(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1187322(KR,B1)
【文献】米国特許第05110461(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/16
B30B 9/14
B30B 9/12
B01D 29/17
C02F 11/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、
前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、を備え、
前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、
前記第2回転機構は、
前記第2スクリューのスラスト荷重とラジアル荷重の両方の荷重を内輪および外輪で受けながら、前記第2スクリューを回転可能に支持する旋回軸受と、
前記旋回軸受を介して前記第2スクリューを回転させる駆動機構と、を備えているスクリュープレス。
【請求項2】
前記駆動機構は、回転ギアを備えており、
前記旋回軸受は、前記回転ギアと噛み合う複数の歯を備えている、請求項1に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
前記複数の歯は、前記旋回軸受の
前記外輪に固定されており、
前記第2スクリューは前記旋回軸受の
前記外輪に連結されている、請求項2に記載のスクリュープレス。
【請求項4】
前記複数の歯は、前記旋回軸受の
前記内輪に固定されており、
前記第2スクリューは前記旋回軸受の
前記内輪に連結されている、請求項2に記載のスクリュープレス。
【請求項5】
前記旋回軸受は、前記内輪と前記外輪とに挟まれた複数のボールを備えている、請求項1に記載のスクリュープレス。
【請求項6】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、
前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、を備え、
前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、
前記第1回転機構は、
前記第1スクリューのスラスト荷重とラジアル荷重の両方の荷重を内輪および外輪で受けながら、前記第1スクリューを回転可能に支持する旋回軸受と、
前記旋回軸受を介して前記第1スクリューを回転させる駆動機構と、を備えているスクリュープレス。
【請求項7】
前記旋回軸受は、前記内輪と前記外輪とに挟まれた複数のボールを備えている、請求項6に記載のスクリュープレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥などの液体含有物を圧搾して該液体含有物から液体を分離するスクリュープレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、該汚泥から水を分離する(すなわち、脱水する)装置として、スクリュープレスが知られている。このスクリュープレスは、スクリーン(多孔板)から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューとを備える。スクリューは、ろ過筒と同心状に配置されたスクリュー軸と、スクリュー軸の外面に固定されたスクリュー羽根と、を有している。スクリュー軸に連結された回転機構によって、スクリュー羽根を回転させることにより、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。ろ過筒の下流側開口端には、汚泥を堰き止める背圧板が配置され、この背圧板により、回転するスクリュー羽根により送られてくるケーキ(脱水された汚泥)を滞留させ、ケーキからなるプラグ(栓)を形成する。このプラグが後から送り込まれるケーキに背圧を加えて、ケーキをさらに圧搾することにより、ろ過筒内の汚泥の含水率を低下させる。
【0003】
特許文献1には、二軸型のスクリュープレスが開示されている。このタイプのスクリュープレスは、ろ過筒内に直列に配列された第1スクリューと第2スクリューを備えている。これら第1スクリューと第2スクリューはそれぞれ別々の駆動装置によって異なる速度で回転することが可能に構成されている。したがって、第1スクリューと第2スクリューの回転速度を制御することで、背圧板を設けることなく、ろ過筒内にプラグを形成し、ろ過筒内の汚泥を圧搾することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した二軸型のスクリュープレスは、2つのスクリューを回転させるための2つの駆動装置を必然的に備えるため、これら駆動装置の設置スペースが必要となり、結果として、スクリュープレスの全体が大型化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、設置スペースを小さくすることができるスクリュープレスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、液体含有物が投入されるろ過筒と、前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、を備え、前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、前記第2回転機構は、前記第2スクリューを回転可能に支持する旋回軸受と、前記旋回軸受を介して前記第2スクリューを回転させる駆動機構と、を備えているスクリュープレスが提供される。
【0008】
一態様では、前記駆動機構は、回転ギアを備えており、前記旋回軸受は、前記回転ギアと噛み合う複数の歯を備えている。
一態様では、前記複数の歯は、前記旋回軸受の外輪に固定されており、前記第2スクリューは前記旋回軸受の外輪に連結されている。
一態様では、前記複数の歯は、前記旋回軸受の内輪に固定されており、前記第2スクリューは前記旋回軸受の内輪に連結されている。
【0009】
一態様では、液体含有物が投入されるろ過筒と、前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、前記第1スクリューを回転させる第1回転機構と、前記第1スクリューとは独立に前記第2スクリューを回転させる第2回転機構と、を備え、前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、前記第1回転機構は、前記第1スクリューを回転可能に支持する旋回軸受と、前記旋回軸受を介して前記第1スクリューを回転させる駆動機構と、を備えているスクリュープレスが提供される。
【0010】
一態様では、前記駆動機構は、回転ギアを備えており、前記旋回軸受は、前記回転ギアと噛み合う複数の歯を備えている。
一態様では、前記複数の歯は、前記旋回軸受の外輪に固定されており、前記第1スクリューは前記旋回軸受の外輪に連結されている。
一態様では、前記複数の歯は、前記旋回軸受の内輪に固定されており、前記第1スクリューは前記旋回軸受の内輪に連結されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1スクリューおよび第2スクリューの少なくとも一方は、旋回軸受によって支持される。旋回軸受は、歯車と軸受が一体となった構造を有しているので、従来のスクリュープレスでは別々に設けられていた軸受およびトルク伝達機構(例えばチェーンとスプロケットとの組み合わせ)に比べて、シンプルかつコンパクトな構造を提供できる。結果として、旋回軸受を備えたスクリュープレスは、省コストおよび省設置スペースを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】スクリュープレスの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示される第2スクリュー、旋回軸受、および回転ギアの概略断面図である。
【
図3】
図2に示す旋回軸受をその軸方向から見た図である。
【
図4】第2回転機構の他の実施形態を示す図である。
【
図5】
図4に示す旋回軸受をその軸方向から見た図である。
【
図6】スクリュープレスの他の実施形態を示す図である。
【
図7】
図6に示される第1スクリュー、旋回軸受、および回転ギアの概略断面図である。
【
図8】
図7に示す旋回軸受をその軸方向から見た図である。
【
図9】スクリュープレスのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図10】
図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
【
図11】
図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
【
図12】
図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、スクリュープレスの一実施形態を示す模式図である。
図1に示されるスクリュープレスは、円筒状のスクリーンケーシング(ろ過筒)1と、スクリーンケーシング1内で、該スクリーンケーシング1と同心状に配置され、汚泥(液体含有物)を所定の移送方向Dに移送する第1スクリュー3および第2スクリュー4と、第1スクリュー3を回転させる第1回転機構7と、第1スクリュー3とは独立に第2スクリュー4を回転させる第2回転機構20と、を備えている。
【0014】
スクリーンケーシング1は、パンチングメタルなどのスクリーン(多孔板)から形成されている。スクリーンケーシング1は、その上流側端部に、汚泥の投入口2を有している。投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥は、回転する第1スクリュー3および第2スクリュー4によりスクリーンケーシング1内で所定の移送方向Dに移送される。スクリュープレスは、第1回転機構7と第2回転機構20の動作を制御する制御部6を有する。
【0015】
第2スクリュー4は、第1スクリュー3とは独立に回転可能なように、第1スクリュー3に連結されている。第1スクリュー3および第2スクリュー4は、スクリーンケーシング1および排出チャンバー33をそれぞれ貫通して延びている。排出チャンバー33は、スクリーンケーシング1に接続されている。この排出チャンバー33に、後述するプラグケーキがスクリーンケーシング1から排出される。
【0016】
第2スクリュー4の軸方向の長さは、第1スクリューの軸方向の長さよりも短い。第1スクリュー3は、汚泥の移送方向Dにおける下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状(テーパ形状)の第1スクリュー軸3Aと、第1スクリュー軸3Aの外面に固定された第1スクリュー羽根3Bとを有している。第2スクリュー4は、円筒形状の第2スクリュー軸4Aと、第2スクリュー軸4Aの外面に固定された第2スクリュー羽根4Bと、第2スクリュー軸4Aの端部に固定されたフランジ5を有している。フランジ5と第2スクリュー軸4Aは一体に形成されていてもよい。
【0017】
第2スクリュー4の第2スクリュー軸4Aは、第1スクリュー軸3Aと同心状に配置される。第2スクリュー軸4Aの外径は第1スクリュー軸3Aの最大径と同一である。第2スクリュー軸4Aは、排出チャンバー33を貫通して延びている。
【0018】
スクリーンケーシング1の上流側の端部は閉塞壁8によって密封されている。第1スクリュー軸3Aの一方の端部(移送方向Dにおける上流側端部)はこの閉塞壁8を貫通して延びている。この閉塞壁8には、該閉塞壁8と第1スクリュー軸3Aとの間の隙間をシールする水封装置10が設置されている。閉塞壁8を貫通して延びる第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受11,12により軸方向の移動を拘束されながら回転可能に支持されている。なお、軸受11,12の一方を省略することができる。
【0019】
第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、第1スクリュー3を回転させるための第1回転機構7に連結されている。本実施形態では、第1回転機構7は、第1駆動機(例えば、電動機)14と、第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15と、第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16と、これらスプロケット15,16に巻きかけられたチェーン17とを備える。スプロケット16は、上記軸受11,12の間に位置している。
【0020】
第1回転機構7の第1駆動機14を駆動すると、この第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15が回転し、チェーン17を介して第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16を回転させる。その結果、第1スクリュー3が第1回転機構7により回転させられる。第1駆動機14は、制御部6に接続され、制御部6は、第1駆動機14の動作を制御することができるように構成されている。
【0021】
第2回転機構20は、第2スクリュー4を回転可能に支持する旋回軸受21と、旋回軸受21を介して第2スクリュー4を回転させる駆動機構22を備えている。第2スクリュー4は、旋回軸受21に連結されている。具体的には、第2スクリュー4のフランジ5が旋回軸受21に固定されている。旋回軸受21は、スラスト荷重とラジアル荷重の両方の荷重を受けることができる。一例では、旋回軸受21は、アンギュラ玉軸受の構成を有している。
【0022】
駆動機構22は、第2駆動機(例えば、電動機)25と、第2駆動機25の回転軸に固定された回転ギア23を備えている。旋回軸受21および第2駆動機25は支持台28に保持されている。旋回軸受21は、複数の歯21Aを有しており、回転ギア23は、複数の歯23Aを有している。旋回軸受21の歯21Aは回転ギア23の歯23Aと噛み合っている。第2駆動機25を駆動すると、この第2駆動機25の回転軸に固定された回転ギア23が回転し、回転ギア23に噛み合う旋回軸受21が回転する。その結果、旋回軸受21に連結された第2スクリュー4が第2回転機構20により回転させられる。
【0023】
第2駆動機25は、上記制御部6に接続されている。第2駆動機25には、インバータ(図示せず)が内蔵されており、制御部6は、インバータを介して第2駆動機25の動作を制御することができるように構成されている。すなわち、制御部6は、インバータを介して第2駆動機25の回転速度および回転方向を制御することができる。第2駆動機25は、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは独立して回転させることが可能である。なお、上記第1駆動機14も、該第1駆動機14の回転速度および回転方向を変更可能なインバータを内蔵していることが好ましい。
【0024】
第1スクリュー羽根3Bは、第1スクリュー軸3Aの軸方向に沿って螺旋状に延びており、第2スクリュー羽根4Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向に沿って螺旋状に延びている。第1スクリュー羽根3Bが固定されている第1スクリュー3の部分と、第2スクリュー羽根4Bが固定されている第2スクリュー4の部分を合計した長さは、スクリーンケーシング1の軸方向の長さと同一か、または長い。
【0025】
スクリーンケーシング1の内面と第1スクリュー羽根3Bとの間には微小な隙間が形成されており、第1スクリュー羽根3Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。同様に、スクリーンケーシング1の内面と第2スクリュー羽根4Bとの間には微小な隙間が形成されており、第2スクリュー羽根4Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。スクリーンケーシング1の上流側端部に形成された投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥を、回転する第1スクリュー羽根3Bおよび第2スクリュー羽根4Bによって排出チャンバー33に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送することができる。
【0026】
本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向(すなわち、螺旋方向)は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、
図1に示されるように、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは逆方向に回転させることになる。
【0027】
第2スクリュー羽根4Bの巻き方向を、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一にしてもよい。この場合、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同方向に回転させることになる。
【0028】
図1に示されるように、スクリーンケーシング1は、第1スクリュー3が配置された脱水領域1Aと、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bとに分割される。脱水領域1Aで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第1スクリュー羽根3Bと、第1スクリュー軸3Aとによって形成される。この移送空間の断面積は、
図1に示されるように、汚泥の移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、投入口2から投入された汚泥がこの移送空間を第1スクリュー羽根3Bによって移送されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。スクリーンケーシング1のスクリーン(多孔板)を通過したろ液は、スクリーンケーシング1の下方に配置されたろ液受け38によって集められる。ろ液受け38には、ドレイン39が接続されており、ろ液受け38によって集められたろ液は、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0029】
プラグ形成領域1Bで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第2スクリュー羽根4Bと、第2スクリュー軸4Aとによって形成される。
図1に示されるように、この移送空間の断面積は一定である。プラグ形成領域1Bでは、脱水領域1Aで脱水された汚泥(すなわち、ケーキ)によって、プラグケーキが形成される。プラグケーキを形成する方法については後述する。
【0030】
図2は、
図1に示される第2スクリュー4、旋回軸受21、および回転ギア23の概略断面図であり、
図3は、
図2に示す旋回軸受21をその軸方向から見た図である。第2スクリュー軸4Aは、中空構造を有している。旋回軸受21は、外輪21Bと、内輪21Cと、複数のボール21Dを備えている。複数のボール21Dは、内輪21Cと外輪21Bに挟まれて旋回軸受21の内部に保持されており、内輪21Cおよび外輪21Bの周方向に沿って一列に配列されている。複数のボール21Dは、内輪21Cの外面および外輪21Bの内面に転がり接触する。旋回軸受21は、複数の歯21Aを有している。第2駆動機25の回転軸に固定された回転ギア23は、歯21Aに噛み合う複数の歯23Aを有している。複数の歯21Aは外輪21Bに固定されており、外輪21Bと一体に回転可能である。回転ギア23は外輪21Bの外側に配置されている。
【0031】
内輪21Cと、外輪21Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向においてずれて配置されている。具体的には、外輪21Bは、内輪21Cよりも汚泥の移送方向において上流側(以下、単に上流側と呼ぶことがある。)に配置されている。旋回軸受21の内輪21Cは、支持台28に固定されており、その一方で外輪21Bは支持台28に非接触である。したがって、内輪21Cは回転しないが、外輪21Bは内輪21Cに対して相対的に回転することができる。
【0032】
第2スクリュー4のフランジ5は、旋回軸受21の外輪21Bに連結されている。したがって、第2スクリュー4は旋回軸受21の外輪21Bと一体に回転可能となっている。本実施形態では、第2スクリュー4のフランジ5は、旋回軸受21の外輪21Bに固定されている。一実施形態では、第2スクリュー4は軸継手を介して外輪21Bに連結されてもよい。第2駆動機25が作動すると、この第2駆動機25の回転軸に固定された回転ギア23が回転する。回転ギア23に噛み合う外輪21Bは、ボール21Dに接触しながら第2スクリュー4の軸心の周りを回転する。その結果、外輪21Bに連結された第2スクリュー4が回転させられる。
【0033】
このように、駆動機構22は、旋回軸受21を介して第2スクリュー4を回転させる。この駆動機構22と旋回軸受21との組み合わせは、スプロケットやスプロケットに巻き掛けられるチェーンを介さずに、第2スクリュー4を回転させることができる。その結果、スクリュープレスの小型化を図ることができる。さらに部品点数を減らすことができ、コストダウンを達成することができる。
【0034】
図2に示されるように、第1スクリュー軸3Aの他方の端部(移送方向Dにおける下流側端部)には、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入される縮径部3Cが形成されている。縮径部3Cを第1スクリュー軸3Aに形成することによって、第1スクリュー軸3Aには、その軸方向と垂直な壁面3Dが形成される。縮径部3Cは、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入され、第2スクリュー軸4Aの内壁4Cに固定されたすべり軸受30,31に回転可能に支持されている。このような構成で、第1スクリュー3は、第2スクリュー4と回転可能に連結される。第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、上記すべり軸受30,31を介して第1スクリュー軸3Aに回転可能に支持されている。
【0035】
図2に示されるように、第1スクリュー軸3Aの縮径部3Cが第2スクリュー軸4の内部に挿入された状態で、第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、第1スクリュー軸3Aの壁面3Dと接触している。一実施形態では、第2スクリュー軸4Aの上流側端部と第1スクリュー軸3Aの壁面3Dとの間に、わずかな隙間が形成されてもよい。この場合、スクリーンケーシング1内の汚泥がすべり軸受30と縮径部3Cとの間の隙間を通過することを阻止するシール構造(例えば、ラビリンス構造)を、すべり軸受30および/または縮径部3Cに設けてもよい。
【0036】
図2に示されるように、第2スクリュー羽根4BのピッチP1は、第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さい(すなわち、P1<P2)。さらに、第2スクリュー羽根4Bは、その巻数が3巻き未満である。
図1に示される第2スクリュー羽根4Bの巻数は、2巻きである。
【0037】
図4は、第2回転機構20の他の実施形態を示す図であり、
図5は、
図4に示す旋回軸受21をその軸方向から見た図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0038】
旋回軸受21は、内輪21Cに固定された複数の歯21Aを有している。回転ギア23は内輪21Cの内側に配置されており、旋回軸受21の歯21Aは回転ギア23の歯23Aと噛み合っている。内輪21Cと、外輪21Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向においてずれて配置されている。具体的には、内輪21Cは、外輪21Bよりも汚泥の移送方向において上流側に配置されている。旋回軸受21の外輪21Bは、支持台28に固定されており、その一方で内輪21Cは支持台28に非接触である。したがって、外輪21Bは回転しないが、内輪21Cは外輪21Bに対して相対的に回転することができる。
【0039】
第2スクリュー4のフランジ5は、旋回軸受21の内輪21Cに連結されている。したがって、第2スクリュー4は旋回軸受21の内輪21Cと一体に回転可能となっている。本実施形態では、第2スクリュー4のフランジ5は、旋回軸受21の内輪21Cに固定されている。一実施形態では、第2スクリュー4は軸継手を介して内輪21Cに連結されてもよい。第2駆動機25が作動すると、この第2駆動機25の回転軸に固定された回転ギア23が回転する。回転ギア23に噛み合う内輪21Cは、ボール21Dに接触しながら第2スクリュー4の軸心の周りを回転する。その結果、内輪21Cに連結された第2スクリュー4が回転させられる。
【0040】
本実施形態でも、
図1乃至
図3に示す実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態によれば、回転ギア23は旋回軸受21の内側に配置されるので、第2回転機構20の幅を小さくすることができる。
【0041】
図6は、スクリュープレスの他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第2回転機構20ではなく、第1回転機構7に旋回軸受41が採用されている。
【0042】
第1回転機構7は、第1スクリュー3を回転可能に支持する旋回軸受41と、旋回軸受41を介して第1スクリュー3を回転させる駆動機構42を備えている。第1スクリュー3は、旋回軸受41に連結されている。具体的には、第1スクリュー3のフランジ9が旋回軸受41に固定されている。旋回軸受41は、スラスト荷重とラジアル荷重の両方の荷重を受けることができる。一例では、旋回軸受41は、アンギュラ玉軸受の構成を有している。
【0043】
駆動機構42は、第1駆動機(例えば、電動機)45と、第1駆動機45の回転軸に固定された回転ギア43を備えている。旋回軸受41および第1駆動機45は支持台48に保持されている。旋回軸受41は、複数の歯41Aを有しており、回転ギア43は、複数の歯43Aを有している。旋回軸受41の歯41Aは回転ギア43の歯43Aと噛み合っている。第1駆動機45を駆動すると、この第1駆動機45の回転軸に固定された回転ギア43が回転し、回転ギア43に噛み合う旋回軸受41が回転する。その結果、旋回軸受41に連結された第1スクリュー3が第1回転機構7により回転させられる。
【0044】
第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受52,53により軸方向の移動を拘束されながら回転可能に支持されている。なお、軸受53を省略することができる。第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、第2スクリュー4を回転させるための第2回転機構20に連結されている。本実施形態では、第2回転機構20は、第2駆動機(例えば、電動機)54と、第2駆動機54の回転軸に固定されたスプロケット55と、第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット56と、これらスプロケット55,56に巻きかけられたチェーン57とを備える。スプロケット56は、上記軸受52,53の間に位置している。第2回転機構20の第2駆動機54を駆動すると、この第駆動機54の回転軸に固定されたスプロケット55が回転し、チェーン57を介して第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット56を回転させる。その結果、第2スクリュー4が第2回転機構20により回転させられる。
【0045】
図7は、
図6に示される第1スクリュー3、旋回軸受41、および回転ギア43の概略断面図であり、
図8は、
図7に示す旋回軸受41をその軸方向から見た図である。第1スクリュー軸3Aは、中空構造を有している。旋回軸受41は、外輪41Bと、内輪41Cと、複数のボール41Dを備えている。複数のボール41Dは、内輪41Cと外輪41Bに挟まれて旋回軸受41の内部に保持されており、内輪41Cおよび外輪41Bの周方向に沿って一列に配列されている。複数のボール41Dは、内輪41Cの外面および外輪41Bの内面に転がり接触する。旋回軸受41は、複数の歯41Aを有している。第1駆動機45の回転軸に固定された回転ギア43は、歯41Aに噛み合う複数の歯43Aを有している。複数の歯41Aは外輪41Bに固定されており、外輪41Bと一体に回転可能である。回転ギア43は外輪41Bの外側に配置されている。
【0046】
内輪41Cと、外輪41Bは、第1スクリュー軸3Aの軸方向においてずれて配置されている。具体的には、外輪41Bは、内輪41Cよりも汚泥の移送方向において下流側(以下、単に下流側と呼ぶことがある。)に配置されている。旋回軸受41の内輪41Cは、支持台48に固定されており、その一方で外輪41Bは支持台48に非接触である。したがって、内輪41Cは回転しないが、外輪41Bは内輪41Cに対して相対的に回転することができる。
【0047】
第1スクリュー3のフランジ9は、旋回軸受41の外輪41Bに連結されている。したがって、第1スクリュー3は旋回軸受41の外輪41Bと一体に回転可能となっている。本実施形態では、第1スクリュー3のフランジ9は、旋回軸受41の外輪41Bに固定されている。一実施形態では、第1スクリュー3は軸継手を介して外輪41Bに連結されてもよい。第1駆動機45が作動すると、この第1駆動機45の回転軸に固定された回転ギア43が回転する。回転ギア43に噛み合う外輪41Bは、ボール41Dに接触しながら第1スクリュー3の軸心の周りを回転する。その結果、外輪41Bに連結された第1スクリュー3が回転させられる。
【0048】
このように、駆動機構42は、旋回軸受41を介して第1スクリュー3を回転させる。この駆動機構42と旋回軸受41との組み合わせは、スプロケットやスプロケットに巻き掛けられるチェーンを介さずに、第1スクリュー3を回転させることができる。その結果、スクリュープレスの小型化を図ることができる。さらに部品点数を減らすことができ、コストダウンを達成することができる。
【0049】
図9は、スクリュープレスのさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3、および
図6乃至
図8を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第1回転機構7および第2回転機構20に旋回軸受41,21がそれぞれ採用されている。本実施形態によれば、スクリュープレスの全体の設置スペースを最小とすることができる。
【0050】
図4および
図5を参照して説明した旋回軸受21の実施形態は、
図6乃至
図8を参照して説明した旋回軸受41の実施形態、および
図9に示す旋回軸受21,41の実施形態にも適用することができる。
【0051】
次に、
図1に示されるスクリュープレスの運転方法について、
図10乃至
図12を参照して説明する。
図10乃至
図12は、
図1に示されるスクリュープレスの動作を説明するための図である。以下の説明は、
図1に示す実施形態に係るスクリュープレスの運転方法であるが、上述した他の実施形態に係るスクリュープレスの運転方法にも同様に適用することができる。
【0052】
図10に示されるように、制御部6は、第2スクリュー4を停止させた状態で、第1回転機構7を駆動させて第1スクリュー3を回転させる。次いで、投入口2から汚泥(液体含有物)をスクリーンケーシング1内に投入する。投入口2から投入された汚泥は、回転する第1スクリュー羽根3Bによって第2スクリュー4に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送される。
【0053】
第1スクリュー3が配置される脱水領域1Aでは、汚泥が移送される空間の断面積は、移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、脱水領域1Aを移送されるに従って汚泥は圧搾され、汚泥に含まれる水はスクリーンケーシング1によってろ過される。スクリーンケーシング1の内面に堆積した汚泥の層は、回転する第1スクリュー羽根3Bによって掻き取られるので、脱水領域1Aにおけるスクリーンケーシング1の内面(ろ過面)は常に良好な状態に維持される。
【0054】
汚泥がスクリーンケーシング1の脱水領域1Aを移送される間に、汚泥は脱水されてケーキとなり、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bに送り込まれる。
図10に示されるように、運転当初は、第2スクリュー4は回転していない(すなわち、停止している)ので、プラグ形成領域1B内のケーキは排出チャンバー33に排出されず、該プラグ形成領域1Bに滞留する。ケーキは第2スクリュー4上に徐々に蓄積され、脱水領域1Aからプラグ形成領域1Bに移送される汚泥(以下、「後続のケーキ」と称する)によって第2スクリュー羽根4Bに押し付けられる。プラグ形成領域1B内のケーキは、第2スクリュー羽根4Bによって移動を妨げられることで圧搾され、低含水率のケーキとなる。この低含水率のケーキが、後続のケーキの移動を妨げるプラグケーキを形成する。第2スクリュー軸4Aの周りに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキには背圧が加えられ、該後続のケーキはさらに圧搾される。プラグ形成領域1Bでプラグケーキから分離された水は、上記ろ液受け38によって受けられ、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0055】
スクリュープレスの運転が継続されるにしたがって、プラグケーキは、第2スクリュー軸4Aの全周に亘って均一に形成される。その結果、
図10に示されるように、後続のケーキを確実に堰き止めるプラグケーキが第2スクリュー軸4Aの周りに形成される。したがって、後続のケーキの含水率が高い場合でも、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキを確実に堰き止めることができるので、後続のケーキの片流れを防止することができる。この「片流れ」とは、プラグケーキよりも高い含水率を有する後続のケーキがプラグ形成領域1Bをそのまま通過して排出チャンバー33に排出されてしまうことを意味する。
【0056】
図11に示されるように、プラグケーキが形成された後、制御部6は、第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆方向に回転させ、第2スクリュー羽根4Bによってプラグケーキを少しずつ排出チャンバー33に送り出す(すなわち、排出する)。このように、プラグケーキの形成とプラグケーキの排出とが連続的に行なわれるので、常にプラグ形成領域1Bにプラグケーキが存在する状態で、スクリュープレスを運転することができる。
【0057】
第2スクリュー4上のプラグケーキは、後続のケーキに背圧を加えながら、第2回転機構20よって回転される第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bによって排出チャンバー33に排出される。制御部6は、第2スクリュー4の回転速度を変更することによって、排出チャンバー33に排出されるプラグケーキの量を調整することができる。より具体的には、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を低下させると、プラグケーキの排出量が減少し、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を増加させると、プラグケーキの排出量が増加する。プラグケーキの排出量が減少すると、後続のケーキが脱水領域1Aに滞留して、該後続のケーキに加えられる背圧が増加する。したがって、制御部6が第2スクリュー4の回転速度を低下させることにより、後続のケーキの含水率を低下させることができる。一実施形態では、第2スクリュー4の回転と停止とを交互に繰り返す間欠運転を行うことにより、後続のケーキに加えられる背圧を調整してもよい。
【0058】
このように、本実施形態では、第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆向きに回転させることにより、低含水率のプラグケーキをスクリーンケーシング1から除去することができる。さらに、本実施形態によれば、スクリーンケーシング1の排出側端部には、背圧板などの抵抗体を設ける必要がない。したがって、プラグケーキをスクリーンケーシング1から円滑に排出チャンバー33に排出することができる。さらに、背圧板や背圧板の作動機構が不要であるため、スクリュープレスを安価に製作することが可能になる。
【0059】
第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4BのピッチP1(
図2参照)は、第1スクリュー3の第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さい(すなわち、P1<P2)。このように、第2スクリュー羽根4BのピッチP1を第1スクリュー羽根3BのピッチP2よりも小さくすると、第2スクリュー4が1回転する間に排出チャンバー33に排出されるプラグケーキの移送距離が短くなるので、脱水領域1A内のケーキに加えられる背圧をより細やかに調整することが可能になる。
【0060】
一般的な一軸型スクリュープレスでは、円筒形状に圧搾されたプラグケーキが硬くなりすぎると、この硬化したプラグケーキがスクリーンケーシングを閉塞させ、スクリーンケーシングから排出できなくなる。さらに、この硬化したプラグケーキがスクリューと供回りしてしまう。その結果、スクリュープレスの運転が継続できなくなる。本実施形態の二軸型スクリュープレスでは、第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bの巻き方向は、第1スクリュー3の第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキを排出チャンバー33に排出するときは、
図11に示されるように、第2スクリュー4を、第1スクリュー3の回転方向と逆方向に回転させる。第2スクリュー4とは逆方向に回転する第1スクリュー3によってケーキがプラグケーキに押し付けられると、第2スクリュー4の回転方向とは逆方向の力がプラグケーキに加えられる。その結果、プラグ形成領域1B内のプラグケーキと第2スクリュー4との供回り、および/または脱水領域1A内のケーキと第1スクリュー3との供回りが防止されるので、汚泥に高い背圧を加えながら、スクリュープレスを運転することが可能になる。
【0061】
第2スクリュー羽根4Bの巻数が3巻き以上であると、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキを排出チャンバー33に移送する時間が長くなる。プラグケーキの粘性が高い場合は、プラグケーキが第2スクリュー4と供回りするおそれがある。本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻数が3巻未満であるので、プラグケーキを短時間でスクリーンケーシング1から排出することができる。したがって、スクリュープレスで脱水される汚泥が高い粘性を有している場合でも、プラグケーキが第2スクリュー4とともに回転する前に、プラグケーキをスクリーンケーシング1から排出することができる。第2スクリュー羽根4Bの巻数が1巻きである場合は、プラグケーキが後続のケーキによって排出チャンバー33に押し出されて、後続のケーキに効果的に背圧を加えることができなくなるおそれがある。したがって、第2スクリュー羽根4Bの巻数は、2巻き以上で3巻き未満が好ましい。
【0062】
図12に示されるように、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に回転させてもよい。第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に回転させると、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキが脱水領域1Aに向かって押し出され、脱水領域1Aのケーキにより大きな背圧を加えることができる。その結果、汚泥の脱水効率を向上させることができる。
【0063】
第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向に長時間回転させると、脱水領域1A内のケーキが第1スクリュー3と供回りするおそれがある。したがって、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同一方向にある程度の時間だけ回転させた後で、第2スクリュー4の回転方向を、第1スクリュー3の回転方向とは逆向きに戻す(
図11参照)。本実施形態のスクリュープレスは、プラグケーキの排出を妨げる背圧板のような抵抗体を有していないので、第2スクリュー4は、スクリューコンベアのように、プラグケーキを円滑に排出チャンバー33に排出することができる。このように、制御部6が第2スクリュー4の回転方向を変更することにより、脱水領域1Aで第1スクリュー3により圧搾される汚泥に加えられる背圧を調整することができる。プラグケーキを排出チャンバー33に確実に排出するために、第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bの後端がスクリーンケーシング1の開口端部からやや突出するように構成してもよい。
【0064】
制御部6が第2スクリュー4の回転速度および回転方向を変更することにより、従来のスクリュープレスでは達成することができない低含水率にまで汚泥を脱水することができる。すなわち、第2スクリュー4を停止させた状態で、第1スクリュー3を回転させてプラグケーキを第2スクリュー軸4Aの周りに形成する。次いで、第2スクリュー4を正方向(第1スクリュー3の回転方向とは逆方向)に回転させてプラグケーキを排出チャンバー33に排出しながら、スクリーンケーシング1内の汚泥を圧搾して脱水処理を行う。汚泥の脱水処理中に、第2スクリュー4を逆方向(第1スクリュー3の回転方向と同一方向)に回転させて、脱水領域1A内のケーキをさらに低含水率にまで脱水させ、その後、第2スクリュー4を正方向に回転させて、低含水率のプラグケーキを排出チャンバー33に排出するようにしてもよい。このような第2スクリュー4の回転方向を変更する動作は、汚泥の性状に応じた間隔で定期的に行なうことが好ましい。
【0065】
一実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一であってもよい。この場合は、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは同一方向に回転させることになる。プラグケーキを短時間でスクリーンケーシング1から排出するために、第2スクリュー羽根4Bの巻数は3巻未満である。さらに、第2スクリュー羽根4Bの巻数は、後続のケーキに効果的に背圧を加えるために、2巻き以上であることが好ましい。
【0066】
上述した実施形態のスクリュープレスは、液体含有物の一例である汚泥から液体である水を分離するために用いられているが、このスクリュープレスを汚泥以外の液体含有物から液体を分離するために用いてもよい。例えば、果実、油等の食品の処理、および古紙の再生処理などの工業製品の処理にも、上述の実施形態に係るスクリュープレスを用いることができる。食品の処理では、果実、種子などの原料(液体含有物)を圧搾して、果汁、油などの液体を原料から分離するためにスクリュープレスが用いられる。古紙の再生処理では、古紙を水および薬品などの液体と混合して、古紙を繊維状物質にほぐす。スクリュープレスは、繊維状物質と液体の混合物(液体含有物)を圧搾して、繊維状物質を混合物から分離するために用いられる。
【0067】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 スクリーンケーシング(ろ過筒)
1A 脱水領域
1B プラグ形成領域
2 投入口
3 第1スクリュー
3A 第1スクリュー軸
3B 第1スクリュー羽根
3C 縮径部
3D 壁面
4 第2スクリュー
4A 第2スクリュー軸
4B 第2スクリュー羽根
6 制御部
7 第1回転機構
8 閉塞壁
10 水封装置
11,12 軸受
14 第1駆動機
15,16 スプロケット
17 チェーン
20 第2回転機構
21 旋回軸受
21A 歯
21B 外輪
21C 内輪
21D ボール
22 駆動機構
23 回転ギア
23A 歯
25 第2駆動機
28 支持台
33 排出チャンバー
38 ろ液受け
39 ドレイン
41 旋回軸受
41A 歯
41B 外輪
41C 内輪
41D ボール
42 駆動機構
43 回転ギア
43A 歯
45 第1駆動機
48 支持台