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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/52 20210101AFI20231026BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231026BHJP
【FI】
G03B17/52 A
G02B7/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020051564
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149054
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】桐原 武久
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-56009(JP,A)
【文献】特開2018-128626(JP,A)
【文献】特開2002-318418(JP,A)
【文献】特開2006-78842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/48 - 17/55
G02B 7/02
G03D 9/00
H04N 23/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル部と、
前記バレル部の内部に収容された沈胴状態から光軸方向に沿った繰出方向に移動可能なレンズ鏡筒と、
前記バレル部が取り付けられ、現像液を内包した写真フィルムが収容されるベースフレームと、
前記ベースフレームに収容された前記写真フィルムを押圧しながら第1の方向に沿って送り出す1対のローラを収容した現像液展開ユニットと、
を備え、
前記ベースフレームは、
矩形枠状のフレーム本体と、
前記フレーム本体から前記第1の方向に直交する第2の方向に突出する複数の突出片と
を有し、
前記現像液展開ユニットは、前記ベースフレームの前記複数の突出片に対応する複数の取付片を有し、
前記現像液展開ユニットの前記複数の取付片のそれぞれを前記ベースフレームの前記複数の突出片のうち対応する突出片に取り付けることにより、前記第1の方向において前記現像液展開ユニットが前記ベースフレームに取り付けられる、
カメラ装置。
【請求項2】
前記ベースフレームの前記複数の突出片のそれぞれは、前記第1の方向において前記現像液展開ユニットの前記取付片に対向する対向面を有し、
前記ベースフレームの前記複数の突出片のそれぞれの前記対向面には、取付ネジが螺合されるネジ孔が形成され、
前記現像液展開ユニットの前記複数の取付片のそれぞれには、前記取付ネジを挿通するための挿通孔が形成される、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記ベースフレームの前記複数の突出片は、前記対向面から前記第1の方向に沿って延びる第1の位置決めピンを有する第1の突出片を含み、
前記現像液展開ユニットの前記複数の取付片は、前記ベースフレームの前記第1の突出片に対応する第1の取付片を含み、
前記現像液展開ユニットの前記第1の取付片には、前記ベースフレームの前記第1の突出片の前記第1の位置決めピンが嵌合する嵌合孔が形成される、
請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記ベースフレームの前記複数の突出片は、前記対向面から前記第1の方向に沿って延びる第2の位置決めピンを有する第2の突出片を含み、
前記現像液展開ユニットの前記複数の取付片は、前記ベースフレームの前記第2の突出片に対応する第2の取付片を含み、
前記現像液展開ユニットの前記第2の取付片には、前記第2の方向に延び、前記ベースフレームの前記第2の突出片の前記第2の位置決めピンを収容する長孔が形成される、
請求項3に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記現像液展開ユニットの前記複数の取付片のそれぞれは、前記ベースフレームの前記複数の突出片に係合可能な係合フックを有する、請求項1に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に係り、特に写真フィルム内に現像液を展開させるためのローラを備えたカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から撮影後に自動的に現像を行うことができる写真フィルムを用いたカメラ、いわゆるインスタントカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカメラにおいては、写真フィルムを収容するフレームに1対以上のローラを取り付け、撮影後の写真フィルムをローラ間で押圧しながら写真フィルムを送り出すことで写真フィルムに内包される現像液を写真フィルム内に展開させ、自動的に現像処理を行っている。このとき、ローラ間の隙間が許容範囲内に収まっているか否かが現像液の展開の良否、すなわち現像の良否を大きく左右する。
【0003】
ローラが取り付けられるフレームは樹脂成型などで作製されるが、このフレームは写真フィルムを収容できるほど大きな部材であるため、成型時の寸法精度を高めることが難しい。このため、従来のカメラにおいては、フレームに取り付けられるローラにも寸法誤差が生じ、ローラ間の隙間を所望の範囲内に制御することが難しい。このため、写真フィルム内にムラなく現像液を展開させることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-225698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、写真フィルム内に現像液を効果的に展開することができるとともに、組立も容易なカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、写真フィルム内に現像液を効果的に展開することができるとともに、組立も容易なカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、バレル部と、上記バレル部の内部に収容された沈胴状態から光軸方向に沿った繰出方向に移動可能なレンズ鏡筒と、上記バレル部が取り付けられ、現像液を内包した写真フィルムが収容されるベースフレームと、上記ベースフレームに収容された上記写真フィルムを押圧しながら第1の方向に沿って送り出す1対のローラを収容した現像液展開ユニットとを備える。上記ベースフレームは、矩形枠状のフレーム本体と、上記フレーム本体から上記第1の方向に直交する第2の方向に突出する複数の突出片とを有する。上記現像液展開ユニットは、上記ベースフレームの上記複数の突出片に対応する複数の取付片を有する。上記現像液展開ユニットの上記複数の取付片のそれぞれを上記ベースフレームの上記複数の突出片のうち対応する突出片に取り付けることにより、上記第1の方向において上記現像液展開ユニットが上記ベースフレームに取り付けられる。
【0007】
本発明によれば、ローラが収容される現像液展開ユニットは、ベースフレームとは別個に設けられる現像液展開用のユニットであるため、ベースフレームよりも小型にすることができる。したがって、従来ローラが装着されていたフレームの成型時の寸法精度に比べて現像液展開ユニットの寸法精度を高く維持することができるので、現像液展開ユニットに収容されるローラの寸法誤差も低減することができる。この結果、ローラ間の隙間を最適な範囲にすることが容易になり、写真フィルム内に現像液を効果的に展開することができる。また、このような現像液展開ユニットは、その取付片をベースフレームの突出片に取り付けるだけでベースフレームに簡単に取り付けることができる。
【0008】
上記ベースフレームの上記複数の突出片のそれぞれは、上記第1の方向において上記現像液展開ユニットの上記取付片に対向する対向面を有していてもよい。上記ベースフレームの上記複数の突出片のそれぞれの上記対向面には、取付ネジが螺合されるネジ孔が形成されていてもよい。上記現像液展開ユニットの上記複数の取付片のそれぞれには、上記取付ネジを挿通するための挿通孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、取付ネジを現像液展開ユニットの取付片の挿通孔に挿通させ、ベースフレームの突出片のネジ孔に螺合することで現像液展開ユニットをベースフレームに簡単に取り付けることができる。
【0009】
上記ベースフレームの上記複数の突出片は、上記対向面から上記第1の方向に沿って延びる第1の位置決めピンを有する第1の突出片を含んでいてもよい。上記現像液展開ユニットの上記複数の取付片は、上記ベースフレームの上記第1の突出片に対応する第1の取付片を含んでいてもよい。上記現像液展開ユニットの上記第1の取付片には、上記ベースフレームの上記第1の突出片の上記第1の位置決めピンが嵌合する嵌合孔が形成されていてもよい。このような場合には、ベースフレームの第1の突出片の第1の位置決めピンを現像液展開ユニットの取付片の嵌合孔に嵌合させることで、現像液展開ユニットをベースフレームに対して第1の位置決めピンを中心に位置決めすることができる。
【0010】
上記ベースフレームの上記複数の突出片は、上記対向面から上記第1の方向に沿って延びる第2の位置決めピンを有する第2の突出片を含んでいてもよい。上記現像液展開ユニットの上記複数の取付片は、上記ベースフレームの上記第2の突出片に対応する第2の取付片を含んでいてもよい。上記現像液展開ユニットの上記第2の取付片には、上記第2の方向に延び、上記ベースフレームの上記第2の突出片の上記第2の位置決めピンを収容する長孔が形成されていてもよい。このような場合には、ベースフレームの第2の突出片の第2の位置決めピンを現像液展開ユニットの第2の取付片の長孔に収容することで、第1の位置決めピンを中心に位置決めされた現像液展開ユニットをベースフレームに対して固定することができる。また、現像液展開ユニットの第2の取付片の長孔が第2の方向に延びているため、ベースフレームと現像液展開ユニットとの間に製造上の寸法誤差が生じていても、第2の方向に沿った寸法誤差をこの長孔によって吸収することができる。
【0011】
上記現像液展開ユニットの上記複数の取付片のそれぞれは、上記ベースフレームの上記複数の突出片に係合可能な係合フックを有していてもよい。このような構成によれば、現像液展開ユニットの取付片の係合フックをベースフレームの突出片に係合させるだけで、現像液展開ユニットを簡単にベースフレームに簡単に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、写真フィルム内に現像液を効果的に展開することができるとともに、組立も容易なカメラ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すカメラ装置のフロントカバー、リアカバー、及びトップカバーにより形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すレンズ鏡筒が+X方向に最大限伸びた状態を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示すカメラ装置の通常撮影状態を示す斜視図である。
図5図5は、図1に示すカメラ装置のマクロ撮影状態を示す斜視図である。
図6図6は、図1に示すカメラ装置におけるフレームアセンブリの分解斜視図である。
図7A図7Aは、図6に示すフレームアセンブリの現像液展開ユニットを示す正面図である。
図7B図7Bは、図7Aの現像液展開ユニットの平面図である。
図7C図7Cは、図7Aの現像液展開ユニットの背面図である。
図7D図7Dは、図7Aの現像液展開ユニットの左側面図である。
図7E図7Eは、図7AのA-A線断面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態におけるカメラ装置のフレームアセンブリを示す斜視図である。
図9図9は、図8に示すフレームアセンブリの分解斜視図である。
図10図10は、図8に示すフレームユニットにおける現像液展開ユニットの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るカメラ装置の実施形態について図1から図10を参照して詳細に説明する。図1から図10において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図10においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置1を示す斜視図である。本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が可能な写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなインスタントカメラ以外にも適用できることは言うまでもない。なお、本実施形態では、便宜的に、図1における+X方向を「前」又は「前方」といい、-X方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0016】
図1に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、フロントカバー2とリアカバー3とに挟まれるトップカバー4とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓5が形成されており、このファインダ窓5に隣接してフラッシュ窓6が配置されている。また、ファインダ窓5の-Z方向側にはレリーズボタン7が配置されている。トップカバー4には、Y方向に延びる排出スリット4Aが形成されており、この排出スリット4Aから撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。
【0017】
図2は、フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される内部空間に収容される構成要素の一部を示す分解斜視図である。図2に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2の筒状部2A(図1参照)の内側に収容されるレンズ鏡筒10と、レンズ鏡筒10を保持する筒状のバレル部20と、バレル部20の後方に配置される略直方体状のフレームアセンブリ30とを有している。バレル部20は、フレームアセンブリ30の前方に取り付けられている。
【0018】
本実施形態におけるレンズ鏡筒10は、+X方向に伸長可能な構造となっている。図3は、+X方向に最大限伸長した状態のレンズ鏡筒10を示す斜視図である。図3に示すように、レンズ鏡筒10は、第1の筒部11と第2の筒部12と第3の筒部13とを含んでいる。第1の筒部11は、バレル部20に対してX方向に移動可能であり、第2の筒部12は第1の筒部11に対してX方向に移動可能となっている。また、第3の筒部13は第2の筒部12に対してX方向に移動可能となっている。第3の筒部13の内部にはレンズ(図示せず)が収容されている。
【0019】
図3に示すように、レンズ鏡筒10の第1の筒部11の後端部には半径方向外側に突出する2つの係合突起14が形成されている。それぞれの係合突起14に対応して、バレル部20には、図2に示すように、光軸Pの方向(X方向)に沿って延びる2つのガイド溝24が形成されている。レンズ鏡筒10のそれぞれの係合突起14は、バレル部20のガイド溝24の内部に収容され、ガイド溝24に係合するようになっている。ガイド溝24のZ方向の幅は、係合突起14のZ方向の幅よりわずかに大きい程度となっている。したがって、係合突起14はガイド溝24にガイドされつつ、ガイド溝24の内部で光軸Pの方向(X方向)に移動するようになっている。
【0020】
図2に示すように、バレル部20の近傍には、操作ボタン8がコイルバネ8Aにより+X方向に付勢された状態で設けられている。この操作ボタン8は、図1に示すように、フロントカバー2の筒状部2Aの近傍でフロントカバー2から+X方向に突出しており、ユーザが操作ボタン8を-X方向に押し込めるようになっている。ユーザが操作ボタン8を-X方向に押し込むと、バレル部20に取り付けられた鏡筒繰出機構9によってレンズ鏡筒10の係合突起14が+X方向に押し出され、図4に示すように、レンズ鏡筒10が+X方向(繰出方向)に繰り出されるようになっている。このようにレンズ鏡筒10がバレル部20から+X方向に飛び出すと、図示しないスイッチ機構によりカメラ装置1の電源が入る。
【0021】
鏡筒繰出機構9は、操作ボタン8に連動して係合突起14を+X方向に押し出すレバー9Aと、係合突起14の位置によって係合突起14を付勢する方向が反転するねじりコイルバネ(図示せず)とを含んでいる。このねじりコイルバネは、係合突起14が所定の位置を越えて+X方向に移動すると、係合突起14を+X方向に付勢し、反対に、係合突起14が所定の位置を越えて-X方向に移動すると、係合突起14を-X方向に付勢するように構成されている。なお、鏡筒繰出機構9は特定のものに限られるものではなく、レンズ鏡筒10を+X方向に繰り出すことができるのであればどのような構造のものであってもよい。
【0022】
本実施形態では、第1の筒部11がバレル部20に対して+X方向に移動する際に、図示しない移動機構により第2の筒部12が第1の筒部11に対して+X方向に移動するようになっている。このため、第1の筒部11がバレル部20に対して+X方向に移動すると、図4に示すように、第2の筒部12が第1の筒部11から+X方向に繰り出した状態となる。この状態でユーザは通常の撮影を行うことができる(通常撮影状態)。この通常撮影状態においては、第3の筒部13は、第2の筒部12の半径方向内側に収容されている。
【0023】
また、本実施形態では、図4に示す状態においてユーザが手で第3の筒部13を第2の筒部12からさらに+X方向に引き出すことができるようになっている。第3の筒部13を第2の筒部12からさらに+X方向に引き出すと、図5に示すように、第2の筒部が第1の筒部11から+X方向に繰り出し、さらに第3の筒部13が第2の筒部12から+X方向に繰り出した状態となる。この状態でユーザは例えば近距離のマクロ撮影を行うことができる(マクロ撮影状態)。
【0024】
図1は、レンズ鏡筒10がバレル部20に収容された状態を示しており、この状態ではレンズ鏡筒10がX方向に最も短くなっている。以下、この状態を「沈胴状態」ということとする。この沈胴状態においては、図1に示すように、第1の筒部11はバレル部20の半径方向内側に収容されており、第2の筒部12は第1の筒部11の半径方向内側に収容されており、第3の筒部13は第2の筒部12の半径方向内側に収容されている。
【0025】
上述したように、第1の筒部11は、図4及び図5に示すように、上記鏡筒繰出機構9によってバレル部20の半径方向内側に収容された位置からバレル部20に対して+X方向に移動することができる。また、第2の筒部12は、第1の筒部11がバレル部20に対して+X方向に移動する際に、図4及び図5に示すように、第1の筒部11の半径方向内側に収容された位置から図示しない移動機構により第1の筒部11に対して+X方向に移動するようになっている。また、第3の筒部13は、ユーザが手で例えばフランジ部13Aを+X方向に引き出すことにより、図5に示すように、第2の筒部12の半径方向内側に収容された位置から第2の筒部12に対して+X方向に移動できるようになっている。
【0026】
図6は、フレームアセンブリ30を示す分解斜視図である。図6に示すように、フレームアセンブリ30は、内部に現像液を内包した写真フィルム(図示せず)が収容されるベースフレーム40と、ベースフレーム40の+Z方向側に着脱自在に取り付けられる現像液展開ユニット50とを含んでいる。上述したバレル部20はベースフレーム40の前面にネジ95(図2参照)により取り付けられている。
【0027】
図7Aは現像液展開ユニット50を示す正面図、図7Bは平面図、図7Cは背面図、図7Dは左側面図、図7E図7AのA-A線断面図である。図7Aから図7Eに示すように、現像液展開ユニット50は、ユニット本体51と、ユニット本体51内に収容される1対のローラ52A,52Bと、ローラ52Aの後方に配置される押圧部材53と、押圧部材53を+X方向に押圧するねじりコイルバネ54と、ユニット本体51からY方向に突出する2つの取付片55A,55Bとを含んでいる。ユニット本体51の上面には略矩形状の開口56が形成されており、この開口56においてローラ52A,52Bの一部が外部に露出している。
【0028】
ローラ52Aは、軸57Aを中心として回転可能にユニット本体51内に収容されており、同様に、ローラ52Bは、軸57Bを中心として回転可能にユニット本体51内に収容されている。ローラ52Aは、ユニット本体51に対してX方向に僅かに移動可能に構成されている。それぞれのねじりコイルバネ54のコイル部には、ユニット本体51に取り付けられたピン部材58が挿通されており、それぞれのねじりコイルバネ54の一方の腕部54Aは押圧部材53に係合し、他方の腕部54Bはユニット本体51のフック部59に係合している。このねじりコイルバネ54は、腕部54A,54Bの間の開き角度がねじりコイルバネ54の自由角度よりも小さくなるように装着されており、ユニット本体51に対して押圧部材53を+X方向に押圧するように構成されている。
【0029】
この現像液展開ユニット50は、図6に示すように、ベースフレーム40に取り付けられており、ベースフレーム40から送り出される露光済みの写真フィルムを+X方向に押圧しつつ+Z方向に送り出すことで、写真フィルムに内包される現像液を写真フィルム内に展開させ、写真フィルムの現像処理を行うものである。ベースフレーム40内の露光済みの写真フィルムは、図示しないクロー部材により+Z方向に送り出され、現像液展開ユニット50のローラ52A,52Bの間に供給される。ローラ52Aはねじりコイルバネ54によって+Z方向に付勢されているため、ローラ52A,52Bの間に供給された写真フィルムはローラ52Aによって押圧される。このローラ52Aによる押圧で写真フィルムに内包されていた現像液が写真フィルム内に展開され、現像処理が行われる。現像された写真フィルムはトップカバー4の排出スリット4A(図1)からカメラ装置1の外部に排出される。
【0030】
現像液展開ユニット50のそれぞれの取付片55A,55Bには、取付ネジ90を挿通させる挿通孔60が形成されている。また、一方の取付片55A(第1の取付片)には円形の嵌合孔61Aが形成されており、他方の取付片55B(第2の取付片)にはY方向に長い長円形の長孔61Bが形成されている。
【0031】
図6に戻って、ベースフレーム40は、矩形枠状のフレーム本体41と、フレーム本体41の+Z方向の端部からY方向に突出する2つの突出片42A,42Bとを有している。これらの突出片42A,42Bは、上述した現像液展開ユニット50の取付片55A,55Bに対応して設けられており、それぞれの突出片42A,42Bは、現像液展開ユニット50の対応する取付片55A,55BにZ方向において対向する対向面43を有している。この対向面43には、取付ネジ90が螺合されるネジ孔44が形成されている。
【0032】
また、ベースフレーム40の突出片42A(第1の突出片)は、対向面43から+Z方向に延びる位置決めピン45A(第1の位置決めピン)を有している。この突出片42Aの位置決めピン45Aは、現像液展開ユニット50の取付片55Aの嵌合孔61Aに対応するものであり、図2に示すように現像液展開ユニット50をベースフレーム40に取り付けた際に、突出片42Aの位置決めピン45Aが現像液展開ユニット50の取付片55Aの嵌合孔61Aに嵌合するようになっている。
【0033】
ベースフレーム40の突出片42B(第2の突出片)は、対向面43から+Z方向に延びる位置決めピン45B(第2の位置決めピン)を有している。この突出片42Bの位置決めピン45Bは、現像液展開ユニット50の取付片55Bの長孔61Bに対応するものであり、図2に示すように現像液展開ユニット50をベースフレーム40に取り付けた際に、突出片42Bの位置決めピン45Bが現像液展開ユニット50の取付片55Bの長孔61Bの内部に収容されるようになっている。
【0034】
本実施形態においては、ローラ52A,52Bが収容される現像液展開ユニット50は、ベースフレーム40とは別個に設けられる現像液展開用のユニットであるため、ベースフレーム40よりも小型である。したがって、従来ローラが装着されていたフレームの成型時の寸法精度に比べて現像液展開ユニット50の寸法精度を高く維持することができるので、現像液展開ユニット50に収容されるローラ52A,52Bの寸法誤差も低減することができる。この結果、ローラ52A,52B間の隙間を最適な範囲にすることが容易になり、写真フィルム内に現像液を効果的に展開することができる。
【0035】
また、このような現像液展開ユニット50は、その取付片55A,55Bをベースフレーム40の突出片42A,42Bに取り付けるだけでベースフレームに簡単に取り付けることができる。より具体的には、取付ネジ90を現像液展開ユニット50の取付片55A,55Bの挿通孔60に挿通させ、ベースフレーム40の突出片42A,42Bのネジ孔44に螺合することで現像液展開ユニット50をベースフレーム40に簡単に取り付けることができる。
【0036】
この場合において、ベースフレーム40の突出片42Aの位置決めピン45Aと現像液展開ユニット50の取付片55Aの嵌合孔61Aとの嵌合とによって、現像液展開ユニット50をベースフレーム40に対して位置決めピン45Aを中心に位置決めすることができる。さらに、ベースフレーム40の突出片42Bの位置決めピン45Bと現像液展開ユニット50の取付片55Bの長孔61Bとの係合とによって、位置決めピン45Aを中心に位置決めされた現像液展開ユニット50をベースフレーム40に対して固定することができる。また、現像液展開ユニット50の取付片55Bの長孔61BがY方向に長い形状を有しているため、ベースフレーム40と現像液展開ユニット50との間に製造上の寸法誤差が生じていても、Y方向に沿った寸法誤差をこの長孔61Bによって吸収することができる。
【0037】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるカメラ装置のフレームアセンブリ130を示す斜視図、図9は分解斜視図である。図8及び図9に示すように、フレームアセンブリ130は、第1の実施形態におけるフレームアセンブリ30と同様に、内部に写真フィルムが収容されるベースフレーム140と、ベースフレーム140の+Z方向側に着脱自在に取り付けられる現像液展開ユニット150とを含んでいる。
【0038】
図9に示すように、ベースフレーム140は、フレーム本体41の+Z方向の端部からY方向に突出する2つの突出片142を有している。この突出片142は、-Z方向に向かって突出量が次第に増える爪形状を有している。
【0039】
図10は、現像液展開ユニット150の左側面図である。図9及び図10に示すように、現像液展開ユニット150は、ユニット本体51から-Z方向に延びる取付片155を有している。本実施形態においては、この取付片155は、ベースフレーム140の突出片142に係合可能なコ字状の係合フック160となっている。したがって、この現像液展開ユニット150の取付片155(係合フック160)をベースフレーム140の突出片142に係合させることで現像液展開ユニット150をベースフレーム140に簡単に取り付けることができる。
【0040】
なお、本明細書において使用した用語「前」、「後」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
【0041】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー
4 トップカバー
4A 排出スリット
5 ファインダ窓
6 フラッシュ窓
7 レリーズボタン
8 操作ボタン
9 鏡筒繰出機構
10 レンズ鏡筒
11 第1の筒部
12 第2の筒部
13 第3の筒部
14 係合突起
20 バレル部
24 ガイド溝
30 フレームアセンブリ
40 ベースフレーム
41 フレーム本体
42A (第1の)突出片
42B (第2の)突出片
43 対向面
44 ネジ孔
45A (第1の)位置決めピン
45B (第2の)位置決めピン
50 現像液展開ユニット
51 ユニット本体
52A,52B ローラ
53 押圧部材
54 ねじりコイルバネ
55A (第1の)取付片
55B (第2の)取付片
56 開口
58 ピン部材
59 フック部
60 挿通孔
61A 嵌合孔
61B 長孔
90 取付ネジ
130 フレームアセンブリ
140 ベースフレーム
142 突出片
150 現像液展開ユニット
155 取付片
160 係合フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10