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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】建設現場用の帳票作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231026BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020066684
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021163367
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】上野 純
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】羽田 匡彦
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004363(WO,A1)
【文献】特開2006-338561(JP,A)
【文献】特開2014-157609(JP,A)
【文献】特開2017-182546(JP,A)
【文献】特開2017-084050(JP,A)
【文献】特開2011-128699(JP,A)
【文献】特開2002-358343(JP,A)
【文献】特開2014-031277(JP,A)
【文献】特開2017-102935(JP,A)
【文献】特開2011-180634(JP,A)
【文献】特開2021-089497(JP,A)
【文献】[徹底解説]導入企業2.7万社の「LINE WORKS(ラインワークス)」とは(事例・評判など),[online],2018年08月17日,[検索日 2023年8月4日], インターネット<URL: https://www.trans-plus.jp/blog/service/line-works>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末を用いたメッセージのやりとりをサーバを介して繰り返すことで帳票を作成する建設現場用の帳票作成システムであって、
前記帳票は、前記建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票を含み、
前記サーバは、
複数人の前記情報端末間で送受される音声情報と、テキスト情報の少なくとも1つ以上から前記帳票の作成に関連するキーワードを抽出するキーワード抽出部と、
前記キーワード、または複数人の前記情報端末間で送受される画像情報を前記帳票に入力し、更新する帳票入力部と、
更新された前記帳票を前記情報端末へ送信して表示させる帳票出力部と、
前記帳票に、前記工事記録または前記指摘事項が入力された場合、または前記指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、前記複数人の前記情報端末に前記指摘事項、または確認済み情報を送信する指示連絡部と、
を備え、
前記情報端末は、前記サーバから前記帳票を受信して表示させ、この状態で前記メッセージを入力可能であり、
前記指示連絡部は、前記メッセージとして前指摘事項が入力された場合であり、かつ当該メッセージのなかに、当該指摘事項に対する対応作業を担当する改善担当者が記載されていない場合に、当該メッセージに前記改善担当者の名前を追記した前記メッセージを、前記指摘事項として、前記複数人の前記情報端末に送信す
ことを特徴とする建設現場用の帳票作成システム。
【請求項2】
前記帳票出力部は、前記帳票入力部において前記帳票が更新される度に、前記情報端末に前記帳票を送信し、
前記指示連絡部は、更に、前記帳票に前記指摘事項への対応がなされたことが入力された場合に、前記複数人の前記情報端末に対応済み情報を送信し、
前記指示連絡部は、前記メッセージとして前記指摘事項への対応がなされたことが入力された場合であり、かつ当該メッセージのなかに、当該指摘事項に対応する前記改善担当者と指摘場所が記載されていない場合に、当該メッセージに前記改善担当者の名前と前記指摘場所を追記した前記メッセージを、前記対応済み情報として、前記複数人の前記情報端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の建設現場用の帳票作成システム。
【請求項3】
前記キーワード抽出部は、前記建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票のデータを学習データとして深層学習させた学習モデルを備え、当該学習モデルに対して前記テキスト情報を入力して、前記キーワードを抽出し、
前記キーワード抽出部は、前記帳票に含まれる項目の各々に対応して、複数の前記学習モデルを備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の建設現場用の帳票作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場用の帳票作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等においては、現場監督や現場の安全管理者(以下、これを現場責任者と称する)から現場の作業担当者に対し、各種の作業指示、確認や対応が必要な事項の指摘等、各種のリクエストがなされている。作業担当者は、リクエストの内容に基づいた作業や業務を実施した後、現場責任者に、リクエストに対応した作業や業務を実施したことを報告している。これらのリクエスト、及びリクエストに対する対応内容は、現場責任者側と作業者担当者側の双方により、日報等の帳票に記録されている。つまり、日報等の帳票には、現場責任者側と作業者担当者側とのやりとりが記録されている。
【0003】
ところで、近年、音声認識技術を用い、様々な業務を支援することが行われつつある。
例えば、特許文献1には、オペレータがユーザへした質問の音声情報から、電子書類における入力項目を特定し、ユーザがオペレータの質問へ回答した際の音声情報を文字情報へ変換することによって、電子書類を作成する際の音声認識精度を高める構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたような構成は、オペレータによる電子書類の作成を支援するものである。また、このような構成は、オペレータとユーザとが、その場で質問と回答とを行う場合に用いられる。したがって、適用範囲が制限、限定される。更に、特許文献1に開示されたような構成は、建設現場等における、現場責任者側と作業者担当者側とのやりとりに応じて日報等の帳票を作成することを想定したものではなく、建築現場に関する帳票の作成を支援するのは困難である。
【0004】
また、特許文献2には、対話形式でユーザから受け付けた問い合わせに係る文章について構文解析および意味解析を行うことで、問い合わせに対する回答候補の抽出や、回答候補を特定するための聞き返しの内容を抽出し、ユーザに提示する対話文章を生成する構成が開示されている。
特許文献2に開示されたような構成では、ユーザから受けた問い合わせに対し、オペレータによる問い合わせに対する対話文章の生成を支援するものである。このような構成も、オペレータとユーザとが、その場で質問と回答とを行う場合に用いられる。したがって、適用範囲が制限、限定される。更に、特許文献2に開示されたような構成は、建設現場等における、現場責任者側と作業者担当者側とのやりとりに応じて日報等の帳票を作成することを想定したものではなく、建築現場に関する帳票の作成を支援するのは困難である。
【0005】
特許文献3には、テキスト情報を端末に入力すると、入力されたテキスト情報に対応するキーワードを抽出し、情報が入力される複数の入力項目の中から一つの入力項目を特定し、特定された入力項目に、抽出されたキーワードを入力する構成が開示されている。このような構成によれば、ユーザに情報を容易に入力させることが可能となっている。
特許文献3に開示されたような構成は、基本的には、一人のユーザからの情報の入力を基にしたものである。すなわち、上記の構成は、建設現場における現場責任者と、作業者担当者との間でなされたやりとりに応じ、日報等の帳票を作成することを想定したものではなく、建築現場に関する帳票の作成を支援するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-237386号公報
【文献】特開2019-3319号公報
【文献】国際公開第2019/004363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、建築現場に関する帳票を比較的容易に作成することができ、作業員の作業時間を低減可能な、建設現場用の帳票作成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、建設現場での工事の進捗状況や工事管理記録のための帳票を、帳票作成者が情報端末で作成操作を行い、全て入力し、作成するのではなく、情報端末を用いた複数人との会話、またはサーバとの情報の送受信を繰り返すことで、帳票に工事情報が自動的に記録され、帳票が自動生成される点に着目して、本発明の建設現場用の帳票作成システムを開発した。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、情報端末を用いたメッセージのやりとりをサーバを介して繰り返すことで帳票を作成する建設現場用の帳票作成システムであって、前記帳票は、前記建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票を含み、前記サーバは、複数人の前記情報端末間で送受される音声情報と、テキスト情報の少なくとも1つ以上から前記帳票の作成に関連するキーワードを抽出するキーワード抽出部と、前記キーワード、または複数人の前記情報端末間で送受される画像情報を前記帳票に入力し、更新する帳票入力部と、更新された前記帳票を前記情報端末へ送信して表示させる帳票出力部と、前記帳票に、前記工事記録または前記指摘事項が入力された場合、または前記指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、前記複数人の前記情報端末に前記指摘事項、または確認済み情報を送信する指示連絡部と、を備え、前記情報端末は、前記サーバから前記帳票を受信して表示させ、この状態で前記メッセージを入力可能であることを特徴とする。ここでいうサーバとは、コンピュータネットワーク環境、またはクラウド環境を含む。
このような構成によれば、情報端末を用い、複数の人間が、テキスト情報や音声情報、画像情報を含むメッセージのやりとりを繰り返すと、メッセージを形成する音声情報やテキスト情報から抽出されたキーワード、画像情報が帳票に順次入力され、帳票が更新されていく。つまり、情報端末で帳票に文章等を直接入力しなくても、メッセージから帳票にキーワードや画像情報が自動で入力される。更新された帳票は、複数人の情報端末に送信されるので、帳票を受信した情報端末で帳票を表示させることで、複数人の間で、帳票に入力されている情報を共有することができる。帳票に、建設現場での工事記録、改善されるべき指摘事項や、指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合、工事記録、指摘事項や、確認済み情報が、複数人の情報端末に送信されるので、複数人の間で、工事記録や改善されるべき指摘事項があったこと、及び指摘事項に対する対応がなされたことを、共通して認識することができる。このようにして、建築現場に関する帳票を比較的容易に作成することができ、作業員の作業時間を低減可能となる。ここでいう作業者とは、現場責任者または改善担当者である。
【0009】
本発明の一態様においては、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、前記帳票出力部は、前記帳票入力部において前記帳票が更新される度に、前記情報端末に前記帳票を送信する。
このような構成によれば、メッセージを形成するテキスト情報、または音声情報から抽出されたキーワードや、画像情報が帳票に順次入力され、帳票が更新される度に、複数人の情報端末に帳票を送信することによって、複数人の間で、更新された帳票に入力されているキーワードや画像情報を逐次共有することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、前記キーワード抽出部は、前記建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票のデータを学習データとして深層学習させた学習モデルを備え、当該学習モデルに対して前記テキスト情報を入力して、前記キーワードを抽出する。
このような構成によれば、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票のデータの学習モデルに対し、メッセージを形成するテキスト情報を入力することで、テキスト情報に含まれるキーワードを適切に抽出することができる。これにより、帳票を、より効率良く作成することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、建築現場に関する帳票を比較的容易に作成することができ、作業員の作業時間を低減可能な、建設現場用の帳票作成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムの全体構成を示す模式図である。
図2図1の建設現場用の帳票作成システムの情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図1の建設現場用の帳票作成システムのサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムを用いた帳票の作成方法の流れを示すフローチャートである。
図5】上記帳票の作成方法におけるリクエスト入力ステップで情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図6】上記帳票の作成方法における帳票作成ステップで、サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
図7】上記帳票の作成方法におけるリクエスト出力ステップで情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図8】上記帳票の作成方法におけるリクエスト対応情報入力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図9】上記帳票の作成方法における帳票更新ステップで、サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
図10】上記帳票の作成方法におけるリクエスト対応情報出力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図11】上記帳票の作成方法における確認情報入力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図12】上記帳票の作成方法における帳票再更新ステップで、サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
図13】上記帳票の作成方法におけるリクエスト完了情報出力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図14】本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムで生成される帳票のリストの一例を示す図である。
図15】本発明の建設現場用の帳票作成システムの関連実施例として、帳票作成システムを構成するサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図16】建設現場用の帳票作成システムの関連実施例として、帳票作成システムを構成する情報端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、情報端末を用いた複数人とのメッセージのやりとりを繰り返す際に、サーバを介して帳票の作成に関連するキーワードおよび画像情報を抽出しながら、当該サーバがキーワードまたは画像情報を帳票に入力を行い、帳票を作成する建設現場用の帳票作成システムである。
本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムの全体構成を示す模式図を図1に示す。
図1に示されるように、建設現場用の帳票作成システム1は、複数の情報端末2と、サーバ5と、を備えている。建設現場用の帳票作成システム1は、情報端末2を用いたメッセージ(を含むデータ)のやりとり(送受信)を、あたかも複数の人間が会話を行うように、サーバ5を介して繰り返すことで帳票100を作成する。帳票100は、建設現場で工事記録および改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票である。ここでいう建設現場での工事記録は、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データに関する記録情報である。
【0014】
情報端末2は、建設現場に関わる現場監督や現場管理者、各種の作業を請け負う改善担当者(改善作業責任者)や改善担当者の管理下で実際に作業を担当する作業者等の利用者がそれぞれ利用する。情報端末2は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型情報端末や、パーソナルコンピュータ等である。情報端末2は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置等を備えたハードウェアと、予め設定されたOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションソフトウェア等のコンピュータプログラムとが協働することで、建設現場用の帳票作成システム1の情報端末2として所要の機能を発揮する。情報端末2は、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、公衆電話通信網等の無線、あるいは有線のネットワーク9を介し、サーバ5との間でデータ通信が可能となっている。
図2は、図1の建設現場用の帳票作成システムの情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、各情報端末2は、テキスト情報入力部21と、音声情報入力部27と、画像情報入力部22と、情報処理部23と、データ記憶部24と、データ送受信部25と、情報表示部26と、を機能的に備えている。上記のように、建設現場用の帳票作成システム1は、複数の人間が会話を行うようなインターフェースにより帳票100を作成する。このため、各情報端末2は、会話に相当する、利用者による、他の利用者に伝達すべきメッセージ(文章)を形成するテキスト情報や、音声情報、メッセージに関連する内容を示す写真を含む画像情報の入力を受け付ける。また、各情報端末2は、後述するサーバ5から受信する帳票100のデータに基づいて、帳票100を表示する。
【0015】
テキスト情報入力部21は、情報端末2の利用者による外部からのテキスト情報(テキストデータ)の入力を受け付ける。テキスト情報入力部21は、例えば、情報端末2に設けられたタッチパネル、操作キー、キーボード等による文字入力操作により、外部からのテキスト情報の入力を受け付ける。
音声情報入力部27は、情報端末2の利用者による外部からの、例えば情報端末2に設けられたマイクを介した音声情報の入力を受け付ける。
画像情報入力部22は、利用者が撮影した写真(動画でもよい)等の画像情報(画像データ)を入力する。画像情報入力部22は、例えば、情報端末2に設けられたカメラであり、カメラで撮像した写真の画像情報を入力する。画像情報入力部22は、情報端末2以外のデジタルカメラ等によって撮像された写真の画像情報を、メモリーカード等の記憶媒体や、インターネット、LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線通信手段を介して、外部からの入力を受け付けるものであってもよい。また、画像情報入力部22は、利用者がタッチパネル等で手書き操作を行うことで、例えば矢印や丸印等のマークを写真の画像中に入力することもできる。
【0016】
情報処理部23は、後に説明するデータ送受信部25、情報表示部26等を制御して、コンピュータプログラムに基づいて、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報のサーバ5への送信処理、サーバ5から受信した帳票100のデータ(帳票データ)に基づく帳票100の表示処理等をはじめとする各種の処理を実行する。情報処理部23は、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報のみをサーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することができる。情報処理部23は、テキスト情報と、音声情報入力部27で入力された音声情報、画像情報入力部22で入力された画像情報とをサーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することもできる。この場合には、情報処理部23は、テキスト情報と音声情報、画像情報とを互いに関連付けてサーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御する。例えば、画像情報に基づいて表示される写真の画像に、テキスト情報で示されるメッセージを重ねて表示するように、テキスト情報と画像情報とを互いに関連付けて送信するよう、データ送受信部25を制御することができる。
また、情報処理部23は、データ送受信部25を介してサーバ5から帳票100のデータを受信した場合、受信したデータに基づいて、情報表示部26に帳票100を表示させる。さらに、情報処理部23は、情報表示部26に帳票100が表示された状態で、テキスト情報入力部21によるテキスト情報の入力、音声情報入力部27による音声情報の入力、または画像情報入力部22による画像情報の入力を可能とする。
【0017】
データ記憶部24は、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、画像情報入力部22で入力された画像情報、サーバ5から受信した帳票100のデータ等を記憶する。
データ送受信部25は、情報処理部23における制御に基づき、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報のサーバ5への送信、サーバ5からの帳票100のデータの受信等を行う。
情報表示部26は、情報端末2に設けられたモニター画面等であり、情報処理部23における制御に基づき、各種の情報を表示する。情報表示部26は、例えば、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報、サーバ5から受信した帳票100等を表示する。
【0018】
サーバ5は、サーバ用のコンピュータ装置からなる。サーバ5は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置等を備えたハードウェアと、予め設定されたOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションソフトウェア等のコンピュータプログラムとが協働することで、建設現場用の帳票作成システム1のサーバ5として所要の機能を発揮する。サーバ5は、ネットワーク9を介し、各情報端末2との間でデータ通信が可能となっている。サーバ5は、ネットワーク9を介して複数の情報端末2から送信される、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報に基づき、帳票100を自動的に作成する。サーバ5は、作成した帳票100のデータを、ネットワーク9を介して各情報端末2に送信する。
サーバ5は、上記のようなサーバ用のコンピュータ装置であってもよいし、複数のコンピュータ装置を含んでこれらを接続して設けたコンピュータネットワーク環境、またはクラウド環境であってもよい。
【0019】
図3の建設現場用の帳票作成システムのサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ5は、情報取得部51と、データ蓄積部52と、情報処理部53と、指示連絡部54と、を機能的に備えている。
情報取得部51は、ネットワーク9を介し、複数人の情報端末2から送信される音声情報と、テキスト情報および画像情報から少なくとも1つ以上のメッセージのやりとり情報を取得する。情報取得部51は、複数人の情報端末2間でメッセージのやりとりが行われるに際し、複数人の情報端末2から音声情報、メッセージを形成するテキスト情報、またはこのテキスト情報及び画像情報を取得する。
【0020】
データ蓄積部52は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置からなる。データ蓄積部52は、情報取得部51で取得したテキスト情報や音声情報、画像情報、後述する情報処理部53で処理を行うために必要な各種の情報、情報処理部53で逐次作成する帳票100のデータ等を記憶(蓄積)している。具体的には、データ蓄積部52は、帳票100として作成される、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票100のデータを記憶している。
【0021】
情報処理部53は、情報取得部51で取得したテキスト情報、音声情報、画像情報に基づいて帳票100を作成する処理を実行する。情報処理部53は、キーワード抽出部55と、帳票入力部56と、帳票出力部57と、を備えている。
キーワード抽出部55は、情報取得部51により音声情報が取得された場合に、既知の音声認識技術により、音声情報をテキスト情報に変換する。
キーワード抽出部55は、情報取得部51で取得されたテキスト情報、または情報取得部51で取得された音声情報を音声認識技術により変換したテキスト情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。キーワード抽出部55は、帳票100として作成される建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票100のデータ(帳票データ)に含まれる、様々なテキスト情報を、機械学習器に学習データとして入力し、機械学習器を深層学習させた、学習モデルを備えている。
当該学習モデルは、テキスト情報が入力されると、それが、例えば建設現場において改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票100に関連する建設工事に伴う記録情報を対象として、関連度を評価して推論するように、深層学習されている。
より詳細には、キーワード抽出部55は、後に図6等を用いて説明される、指摘場所、指摘内容等の、帳票100の各項目に対応して、複数の学習モデルを備えている。例えば、指摘場所に対応する学習モデルにテキスト情報が入力されると、当該学習モデルは、当該テキスト情報の指摘場所との関連度を推論する。また、指摘内容に対応する学習モデルにテキスト情報が入力されると、当該学習モデルは、当該テキスト情報の指摘内容との関連度を推論する。
このようにして、キーワード抽出部55は、テキスト情報が帳票100の各項目のいずれに対応する度合いが高いかを推論し、テキスト情報内の文言が帳票100のキーワードとして適切か否かを判定することにより、キーワードを抽出する。
なおここで、キーワード抽出部55でテキスト情報からキーワードを抽出するためのアルゴリズムについては、具体的に限定する意図はなく、適宜のアルゴリズムを用いることができる。例えば、キーワード抽出部55で抽出するキーワードは、データ蓄積部52に辞書情報として蓄積されていてもよい。この場合においては、キーワード抽出部55は、情報取得部51で取得されたテキスト情報に、データ蓄積部52に蓄積された辞書情報に含まれているキーワードが含まれている場合、そのキーワード、またはそのキーワードを含む文章をテキスト情報から抽出する。
【0022】
帳票入力部56は、キーワード抽出部55で抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたテキスト情報に関連付けられた画像情報とを、帳票100の、当該キーワードや画像情報に対応する項目に入力し、帳票100を更新する。
帳票出力部57は、帳票入力部56によって更新された帳票100のデータを、ネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。帳票出力部57は、帳票入力部56において帳票100が更新される度に、各情報端末2に作成、更新された帳票100を送信する。
【0023】
指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に工事記録や指摘事項が入力された場合に、複数人の情報端末2に工事記録や指摘事項を送信する。
また、指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に指摘事項への対応がなされたことが入力された場合に、複数人の情報端末2に対応済み情報を送信する。
更に、指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、複数人の情報端末2に確認済み情報を送信する。
【0024】
次に、上記したような建設現場用の帳票作成システム1における帳票の作成方法について説明する。ここでの説明は、帳票が、改善されるべき指摘事項の管理に関するものである場合におけるものであるが、工事記録が入力される帳票の場合でも、基本的には同様である。
図4は、本実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムを用いた帳票の作成方法の流れを示すフローチャートである。
図4に示されるように、上記建設現場用の帳票作成システム1を用いた帳票100の作成方法は、リクエスト入力ステップS1と、帳票作成ステップS2と、リクエスト出力ステップS3と、リクエスト対応情報入力ステップS4と、帳票更新ステップS5と、リクエスト対応情報出力ステップS6と、確認情報入力ステップS7と、帳票再更新ステップS8と、リクエスト完了情報出力ステップS9と、を含む。
【0025】
図5は、上記帳票の作成方法におけるリクエスト入力ステップで情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
リクエスト入力ステップS1では、利用者の情報端末2Aにより、建設現場において改善されるべき指摘事項等のリクエストの入力がなされる。指摘事項の入力を行う利用者は、例えば、建設現場内の各所のチェック等を行う現場責任者である。現場責任者は、建設現場において改善されるべき指摘事項の入力を、情報端末2Aのテキスト情報入力部21における文字入力操作や音声情報入力部27における音声入力により行う。また、リクエスト入力ステップS1では、現場責任者の情報端末2Aの画像情報入力部22により、建設現場において改善されるべき指摘事項を示すための写真P1の画像情報が入力される。情報端末2Aの情報表示部26には、現場責任者が入力したテキスト情報に基づくメッセージM1と、現場責任者が入力した画像情報(写真)P1とが表示される。また、リクエスト入力ステップS1では、入力されたメッセージM1を形成するテキスト情報、音声情報、及び写真P1の画像情報を、データ送受信部25によりネットワーク9を介してサーバ5に送信する。
例えば、図5の例では、建設現場に設けられた足場201と、足場201の上方に支柱202を介して設けられた手すり203とが設けられた箇所において、足場201上に安全確保のために必要な「巾木が設けられていない」ことを指摘するメッセージM1が、情報端末2Aの利用者である現場責任者によって、指摘事項として入力されている。ここで、メッセージM1としては、例えば、「C工区東側外周X1Y7で足場に巾木がありません。至急巾木の取付をお願いします。」といったものになる。また、メッセージM1とともに、現場責任者によって入力(撮影)された、巾木が設けられていない箇所を示す写真P1が、現場責任者の情報端末2Aの情報表示部26に表示される。写真P1中には、巾木が設けられていない場所を示す丸印等のマークK1が現場責任者により入力されていてもよい。
【0026】
帳票作成ステップS2は、利用者(現場責任者)の情報端末2Aで入力されたメッセージM1を形成するテキスト情報と音声情報、写真P1の画像情報とを受信したサーバ5で実施される。サーバ5の情報取得部51は、情報端末2Aから送信されたメッセージM1を形成するテキスト情報と音声情報、写真P1の画像情報とのデータを受信(取得)する。サーバ5のデータ蓄積部52は、受信したテキスト情報、音声情報、及び画像情報を記憶する。帳票作成ステップS2では、続いて、キーワード抽出部55が、取得されたテキスト情報によって形成されるメッセージM1を形成するテキスト情報や音声情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。キーワード抽出部55は、メッセージM1に含まれる、建設現場において改善されるべき指摘事項を示すキーワードとして、例えば、「指摘場所」、「指摘内容」、「改善指示内容」等を示す文言を抽出する。
例えば、図5の例では、キーワード抽出部55は、メッセージM1に含まれるキーワードとして、「指摘場所」=「C工区東側外周X1Y7」、「指摘内容」=「足場に巾木が無い」、「改善指示内容」=「足場に巾木を設置」といった文言を抽出する。
【0027】
帳票作成ステップS2では、さらに、サーバ5の帳票入力部56が、帳票100を起票し、キーワード抽出部55で抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたメッセージM1のテキスト情報に関連付けられた写真P1の画像情報とを、帳票100の、当該キーワード等に関連する項目に対応付けて入力する。
さらに、帳票入力部56は、サーバ5にメッセージM1のテキスト情報及び写真P1の画像情報を送信した情報端末2Aを特定することで、情報端末2Aで指摘事項を入力した利用者(指摘者=現場責任者)を特定する。これには、例えば、予め、データ蓄積部52に、情報端末2Aの利用者を識別するログイン情報等の識別情報を蓄積しておく。また、帳票入力部56は、キーワード抽出部55で抽出されたキーワードに基づき、指摘事項に対する対応作業を担当する改善担当者を特定する。これには、例えば、予め、データ蓄積部52に、指摘対象の分野(図5の例では、足場、巾木)と、指摘対象を改善する作業を担当する会社や担当者(改善担当者)名とを関連付けて蓄積しておく。これにより、帳票入力部56は、抽出されたキーワードに基づいて、指摘事項に対する対応作業を担当する改善担当者名、及び会社名を自動的に特定する。
図6は、上記帳票の作成方法における帳票作成ステップで、サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
帳票入力部56は、図6に示すような所定の書式の帳票100を起票し、抽出されたキーワード及び当該キーワードに基づいて生成される情報を、帳票100の、指摘者名、指摘日、指摘場所、指摘内容、改善指示内容、指摘事項に対する改善作業を担当する改善担当者等の各項目に対応付けて入力する。また、帳票入力部56は、情報端末2Aから送信された、写真P1の画像情報を帳票100に、改善前の画像として入力する。帳票入力部56は、帳票100への情報を入力した後に、帳票100を記憶させる。
【0028】
図7は、上記帳票の作成方法におけるリクエスト出力ステップで情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
リクエスト出力ステップS3では、サーバ5の帳票出力部57が、帳票入力部56によって起票され更新された帳票100のデータをネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。また、サーバ5の指示連絡部54は、情報端末2Aから送信されたメッセージM1のデータを、必要に応じて加工し、ネットワーク9を介して、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2へ送信する。本実施形態においては、情報端末2Aから送信されたメッセージM1に改善担当者が記載されていない場合に、改善担当者を明確にするために、帳票作成ステップS2において取得された改善担当者名が、メッセージM1に追記される。指示連絡部54はまた、情報端末2Aから送信された写真P1の画像情報を、ネットワーク9を介して、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2へ送信する。
図7に示されるように、サーバ5から送信されたデータをネットワーク9を介して受信した、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2では、受信したデータに基づき、情報表示部26に、帳票100、メッセージM1、及び写真P1が表示される。このとき、帳票100は、メッセージM1の背景、または新たな画面情報として情報表示部26に表示する。
このように、指示連絡部54は、帳票100に指摘事項が入力された場合に、複数人の情報端末2に指摘事項としてメッセージM1や写真P1を送信する。
【0029】
このようにして建設現場において改善されるべき指摘事項を示すメッセージM1を受信した改善担当者は、メッセージM1や帳票100に含まれる情報を確認し、指摘事項に対応した作業を作業者に実施させる。
図8は、上記帳票の作成方法におけるリクエスト対応情報入力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
リクエスト対応情報入力ステップS4では、指摘事項に対応する所定の改善作業を完了した後、改善担当者(利用者)が、自身の情報端末2Bに、建設現場において改善されるべき指摘事項に対し、所定の改善作業を実施したことを示すメッセージM2を入力する。メッセージM2の入力は、情報端末2Bのテキスト情報入力部21における文字入力操作や音声情報入力部27における音声入力により行う。また、リクエスト対応情報入力ステップS4では、改善担当者の情報端末2Bの画像情報入力部22により、実施した改善作業結果を示すために撮影した写真P2の画像情報が入力される。改善担当者の情報端末2Bでは、改善担当者が入力したテキスト情報に基づくメッセージM2と、画像情報としての写真P2とが表示される。また、リクエスト対応情報入力ステップS4では、入力されたメッセージM2のテキスト情報、音声情報、及び写真P2の画像情報を、データ送受信部25によりネットワーク9を介してサーバ5に送信する。
【0030】
例えば、図8の例では、指摘事項に対する改善作業として、足場201上に安全確保のために必要な巾木204が追加設置されたことを指摘するメッセージM2が、改善担当者の情報端末2Bの情報表示部26に表示されている。ここで、指摘事項に対する改善作業を行った改善担当者が入力するメッセージM2としては、例えば、「足場に巾木を設置しました。」といったものになる。また、メッセージM2とともに、改善担当者により画像情報入力部22で入力(撮影)された、巾木204が設置された箇所の写真P2が表示される。写真P1の画像情報中には、巾木204が設置された箇所を示す丸印等のマークK2が利用者により入力されていてもよい。また、情報端末2Bの情報表示部26は、リクエスト出力ステップS3でサーバ5から送信されて情報端末2Bが受信した帳票100を、メッセージM2や写真P2の背景、または新たな画面情報として表示する。
【0031】
帳票更新ステップS5では、サーバ5の情報取得部51が、情報端末2Bから送信されたメッセージM2のテキスト情報と音声情報、写真P2の画像情報とを受信(取得)する。サーバ5のデータ蓄積部52は、受信したメッセージM2のテキスト情報、音声情報、及び写真P2の画像情報を記憶する。帳票更新ステップS5では、続いて、サーバ5のキーワード抽出部55が、取得されたメッセージM2を形成するテキスト情報や音声情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。キーワード抽出部55は、メッセージM2に含まれる、建設現場における指摘事項に対する改善作業が実施されたことを示すキーワードとして、例えば、「指摘事項に対する改善内容」等を抽出する。
例えば、図8の例では、キーワード抽出部55は、メッセージM2に含まれるキーワードとして、「指摘事項に対する改善内容」=「足場に巾木を設置」を抽出する。
【0032】
帳票更新ステップS5では、さらに、サーバ5の帳票入力部56が、キーワード抽出部55で抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたメッセージM2のテキスト情報に関連付けられた写真P2の画像情報とを、帳票100の、当該キーワード等に関連する項目に対応付けて入力し、帳票100を更新する。
さらに、帳票入力部56は、サーバ5にメッセージM2及び写真P2の画像情報を送信した情報端末2Bを特定することで、情報端末2Bで指摘事項を入力した利用者(改善担当者)を特定する。
【0033】
図9は、上記帳票の作成方法における帳票作成ステップで、サーバによって作成、更新される帳票の一例を示すものである。
帳票入力部56は、図9に示すように、抽出されたキーワード及び当該キーワードに基づいて生成される情報を、帳票100の、指摘事項に対してなされた改善作業の内容(改善内容)や、改善作業を実施した改善実施者、改善実施日等の各項目に対応付けて入力する。また、帳票入力部56は、情報端末2Bから送信された、写真P2の画像情報を帳票100に、改善後の画像として入力する。帳票入力部56は、帳票100への情報を入力した後に、帳票100を更新して記憶させる。
【0034】
図10は、上記帳票の作成方法におけるリクエスト対応情報出力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
リクエスト対応情報出力ステップS6では、サーバ5の帳票出力部57が、帳票入力部56によって更新された帳票100のデータをネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。また、サーバ5の指示連絡部54は、情報端末2Bから送信されたメッセージM2のテキスト情報を、必要に応じて加工し、指摘事項を示すメッセージM1を送信した利用者(現場責任者)を含む関係者全員の情報端末2にネットワーク9を介して送信する。本実施形態においては、メッセージを読むだけで対応内容の全概要が明確なものとなるように、情報端末2Bから送信されたメッセージM2に加え、指摘場所と改善担当者名が追記されたメッセージM3が生成されて、送信される。指示連絡部54はまた、情報端末2Bから送信された写真P2の画像情報を、ネットワーク9を介して、現場責任者を含む関係者全員の各情報端末2へ送信する。
図10に示されるように、サーバ5からデータを受信した利用者(現場責任者)の情報端末2Aでは、受信したデータに基づき、情報表示部26に、帳票100と、改善作業を実施したことを報告するメッセージM3と、改善担当者が撮影した写真P2とが表示される。このとき、帳票100は、メッセージM3や写真P2の画像情報の背景、または新たな画面情報として情報表示部26に表示する。
このように、指示連絡部54は、帳票100に指摘事項への対応がなされたことが入力された場合に、複数人の情報端末2に対応済み情報としてメッセージM3や写真P2を送信する。
【0035】
このようにして建設現場において指摘事項に対する改善作業がなされたことを示すメッセージM3を受信した現場責任者は、メッセージM3や帳票100に含まれる情報を確認した後、改善作業がなされた箇所を、実際に目視で確認する。
図11は、上記帳票の作成方法における確認情報入力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
確認情報入力ステップS7では、改善作業がなされた箇所を実際に確認した現場責任者(利用者)が、情報端末2Aに対し、改善作業を確認したことを示すメッセージM4を入力する。メッセージM4の入力は、情報端末2Bのテキスト情報入力部21における文字入力操作や音声情報入力部27における音声入力により行う。利用者の情報端末2Aでは、利用者が入力したテキスト情報に基づくメッセージM4が表示される。また、確認情報入力ステップS7では、入力されたメッセージM4を形成するテキスト情報や音声情報を、データ送受信部25によりネットワーク9を介してサーバ5に送信する。
例えば、図11に示されるように、情報端末2Aに表示される、現場責任者が入力したメッセージM4としては、例えば、「巾木の設置を確認しました。」といったものになる。
なお、確認情報入力ステップS7で、現場責任者が改善作業がなされた箇所を確認した結果、指摘事項が十分に改善されていない場合や、再度改善が必要な指摘事項が見つかった場合には、リクエスト入力ステップS1に戻り、再度、同様の過程を繰り返す。
【0036】
帳票再更新ステップS8では、サーバ5の情報取得部51が、情報端末2Aから送信されたメッセージM4のテキスト情報、音声情報を受信(取得)する。サーバ5のデータ蓄積部52は、受信したメッセージM4のテキスト情報、音声情報を記憶する。帳票再更新ステップS8では、続いて、サーバ5のキーワード抽出部55が、取得されたメッセージM4を形成するテキスト情報や音声情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。キーワード抽出部55は、メッセージM4に含まれる、建設現場における指摘事項に対する改善作業が確認されたことを示すキーワードとして、例えば、「改善内容」、「改善内容の確認の可否(有無)」等を抽出する。
例えば、図11の例では、キーワード抽出部55は、メッセージM4に含まれるキーワードとして、「改善内容」=「巾木の設置」、「改善内容の確認の可否(有無)」=「確認」を抽出する。
さらに、帳票入力部56は、サーバ5にメッセージM4を送信した情報端末2Aを特定することで、情報端末2Aで改善作業内容を確認した利用者(現場責任者)を特定する。
図12は、上記帳票の作成方法における帳票再更新ステップで、サーバによって作成、更新される帳票の一例を示すものである。
帳票再更新ステップS8では、さらに、図12に示されるように、サーバ5の帳票入力部56が、キーワード抽出部55で抽出されたキーワード及び当該キーワードに基づいて生成される情報を、帳票100の、改善内容の確認者や改善確認日等の各項目に対応付けて入力し、帳票100を更新する。
【0037】
リクエスト完了情報出力ステップS9では、上記のように、指摘事項への対応(改善作業)が確認済みであることが入力された場合、サーバ5の帳票出力部57が、帳票入力部56によって更新された帳票100のデータをネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。また、サーバ5の指示連絡部54は、指摘事項への対応(改善作業)が確認済みであることを示すメッセージを生成し、そのテキスト情報をすべての利用者の情報端末2に送信する。
図13は、上記帳票の作成方法におけるリクエスト完了情報出力ステップで利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図13に示されるように、ネットワーク9を介してサーバ5からデータを受信した利用者の情報端末2では、受信したデータに基づき、情報表示部26に、帳票100と、指摘事項への対応(改善作業)が確認済みであることを示すメッセージM5とを表示させる。また、メッセージM5とともに、改善作業が完了した箇所を示す写真P2を情報表示部26に表示する。
このように、指示連絡部54は、帳票100に指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、複数人の情報端末2に確認済み情報としてメッセージM5や写真P2を送信する。
【0038】
このようにして、上記した建設現場用の帳票作成システム1では、複数の利用者間で、会話形式のメッセージのやりとりが行われる過程で、帳票100に情報が逐次自動的に入力され、帳票100が更新されていく。
図14は、本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムで生成される帳票のリストの一例を示す図である。
また、建設現場用の帳票作成システム1では、サーバ5の情報処理部53で、図14に示すように、上記のようにして作成される複数の帳票100のリスト100Lを生成することもできる。このリスト100Lには、各帳票100に記載されている指摘事項、指摘事項に対する改善内容、改善済みであるか否か、等の概要情報が記載されている。
【0039】
上述したような建設現場用の帳票作成システム1によれば、情報端末2を用いたメッセージのやりとりをサーバ5を介して繰り返すことで帳票100を作成する建設現場用の帳票作成システム1であって、帳票100は、建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票100を含み、サーバ5は、複数人の情報端末2間で送受される音声情報と、テキスト情報の少なくとも1つ以上から帳票100の作成に関連するキーワードを抽出するキーワード抽出部55と、キーワード、または複数人の情報端末2間で送受される画像情報を帳票100に入力し、更新する帳票入力部56と、更新された帳票100を情報端末2へ送信して表示させる帳票出力部57と、帳票100に、工事記録または指摘事項が入力された場合、または指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、複数人の情報端末2に指摘事項、または確認済み情報を送信する指示連絡部54と、を備え、情報端末2は、サーバ5から帳票100を受信して表示させ、この状態でメッセージを入力可能である。
このような構成によれば、情報端末2を用い、複数の人間が、テキスト情報や音声情報、画像情報を含むメッセージのやりとりを繰り返すと、メッセージを形成する音声情報やテキスト情報から抽出されたキーワード、画像情報が帳票100に順次入力され、帳票100が更新されていく。更新された帳票100は、複数人の情報端末2に送信されるので、帳票100を受信した情報端末2で帳票100を表示させることで、複数人の間で、帳票100に入力されている情報を共有することができる。帳票100に、建設現場での工事記録、改善されるべき指摘事項や、指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合、工事記録、指摘事項や、確認済み情報が、複数人の情報端末2に送信されるので、複数人の間で、工事記録や改善されるべき指摘事項があったこと、及び指摘事項に対する対応がなされたことを、共通して認識することができる。このようにして、建築現場に関する帳票100を比較的容易に作成することができ、作業員の作業時間を低減可能となる。
【0040】
また、帳票出力部57は、帳票入力部56において帳票100が更新される度に、情報端末2に帳票100を送信する。
このような構成によれば、メッセージを形成するテキスト情報、または音声情報から抽出されたキーワードや、画像情報が帳票100に順次入力され、帳票100が更新される度に、複数人の情報端末2に帳票100を送信することによって、複数人の間で、更新された帳票100に入力されているキーワードや画像情報を逐次共有することができる。
【0041】
また、キーワード抽出部55は、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票100データを学習データとして深層学習させた学習モデルを備え、当該学習モデルに対してテキスト情報を入力して、キーワードを抽出する。
このような構成によれば、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票のデータの学習モデルに対し、メッセージを形成するテキスト情報を入力することで、テキスト情報に含まれるキーワードを適切に抽出することができる。これにより、帳票100を、より効率良く作成することが可能となる。
【0042】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、建設現場用の帳票作成システムのサーバ2は、図3に示すように情報取得部51と、データ蓄積部52と、情報処理部53と、指示連絡部54とを備えているが、情報取得部51を設けることなく、情報処理部53を構成するキーワード抽出部55で、直接、複数人の情報端末間での音声情報と、テキスト情報、および画像情報の少なくとも1つ以上を取得し、これから帳票の作成に関連するキーワードを抽出する場合であっても良い。
例えば、上記実施形態では、建設現場において改善されるべき指摘事項の例として、足場への巾木の設置を挙げたが、もちろん、これ以外の指摘事項に対しても適用可能である。
例えば、建設現場における安全の確保、建設現場における注意事項、指示事項等の共有のため、現場責任者から各担当者(作業者)への各種の通知、および通知に対する各担当者からの確認等を、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージのやりとりで行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。具体例としては、玉掛け作業に使用するワイヤーの色、建設現場への車両の出入り予定、揚重作業の実施予定、打ち合わせの実施予定、悪天候等による作業中止通知など、様々なものがある。
また、現場責任者に限らず、各担当者(作業者)が気づいた改善事項や、担当者間における問い合わせ等を、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージのやりとりで行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。具体例としては、資材の残量減少に伴う資材補充のリクエスト、機材の使用の有無の問い合わせ、等である。
また、機材や足場等の定期点検の報告、機材等の使用届、各種作業の分担連絡、資材発注先との資材発注、産業廃棄物等の処理依頼等を行うに際し、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージのやりとりで行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。
また、作業現場の作業員による自主検査や、現場責任者による受入検査、施工スケジュール(計画)の提出及びそれに対する承認、作業人員の調整等を行うに際し、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージのやりとりで行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。
このように、帳票は、施工の品質や安全、予算管理、工程管理に関連するものを含んでいてもよい。
【0043】
(関連技術)
次に、本発明の関連技術について説明する。
上記実施形態のような建設現場用の帳票作成システムに関して、次のような特徴を備えた建設現場用の帳票作成システムが考えられる。
図15に、建設現場用の帳票作成システムの関連実施例として、帳票作成システムを構成するサーバの機能的な構成を示すブロック図を示す。図16に、建設現場用の帳票作成システムの関連実施例として、帳票作成システムを構成する情報端末を示す。
すなわち、図1に示されるように、建設現場用の帳票作成システム1は、情報端末2Xから送信される情報に基づいて帳票100を作成する建設現場用の帳票作成システム1であって、帳票100は、建設現場において改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票100を含む。図15に示されるように、サーバ5は、複数人の情報端末2Xからテキスト情報、または前記テキスト情報及び画像情報を取得する情報取得部51と、取得されたテキスト情報または画像情報を帳票100に入力し、更新する帳票入力部56と、更新された帳票100を情報端末2Xへ送信して表示させる帳票出力部57と、帳票100に、指摘事項が入力された場合、または指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、複数人の情報端末2Xに指摘事項、または確認済み情報を送信する指示連絡部54と、を備え、情報端末2Xは、サーバ5から帳票100を受信して表示させ、この状態でメッセージを入力可能であることを特徴とする。
【0044】
図16に示されるように、この関連技術の情報端末2Xでは、帳票100に入力すべき事項(例えば、指摘事項の場所、指摘事項を是正するための指示内容、指示相手、優先度等)を、キーワードの抽出に依らず、サーバからの問い合わせに応じて、利用者が直接的に入力する。情報端末2Xは、入力された内容のテキスト情報や画像情報をサーバ5に送信する。サーバ5では、情報端末2Xから受信したテキスト情報に基づき、キーワードの抽出等を行うことなく帳票100を作成する。
このような構成によれば、情報端末2Xを用い、テキスト情報や画像情報を送信すると、テキスト情報や画像情報が帳票100に順次入力され、帳票100が更新されていく。更新された帳票100は、複数人の情報端末2Xに送信されるので、帳票100を受信した情報端末2Xで帳票100を表示させることで、複数人の間で、帳票100に入力されている情報を共有することができる。帳票100に、建設現場において改善されるべき指摘事項や、指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合、指摘事項や、確認済み情報が、複数人の情報端末2Xに送信されるので、複数人の間で、改善されるべき指摘事項があったこと、及び指摘事項に対する対応がなされたことを、共通して認識することができる。このようにして、建築現場に関する帳票100を比較的容易に作成することができ、作業員の作業時間を低減可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 建設現場用の帳票作成システム 55 キーワード抽出部
2、2A、2B 情報端末 56 帳票入力部
5 サーバ 57 帳票出力部
51 情報取得部 100 帳票
54 指示連絡部 M1~M5 メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16