(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電池及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231026BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20231026BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20231026BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/121
H01M50/119
H01M50/129
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/533
H01M50/536
H01M50/54
(21)【出願番号】P 2021201720
(22)【出願日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
(72)【発明者】
【氏名】森下 大樹
(72)【発明者】
【氏名】城山 祐樹
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-234466(JP,A)
【文献】特開2013-171618(JP,A)
【文献】特開2012-054029(JP,A)
【文献】特開2012-164470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/121
H01M 50/119
H01M 50/129
H01M 50/105
H01M 50/178
H01M 50/533
H01M 50/536
H01M 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、前記集電箔のうち前記電極合材層が積層されることなく前記合材積層部から延出する集電タブと、を有する複数枚の電極板を備え、複数の前記合材積層部がセパレータを介して積層方向に積層された電極積層部を有する積層電極体と、
金属フィルムの両面が樹脂フィルムで被覆された構造のラミネートフィルムからなり、前記積層電極体を収容する電池ケースと、
前記積層電極体のうち複数の前記集電タブに接合して、前記電池ケースの内部から外部に延出する集電端子と、を備える
電池において、
前記集電端子は、側面視L字形状をなし、前記積層方向に延びる形態をなして前記電池ケース内に収容される第1部位と、前記積層方向に直交する方向に延びる形態をなして前記電池ケースの内部から外部に延出する第2部位と、が連結された形態を有し、
複数の前記集電タブは、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わされたタブ重なり部であって、その長さ方向について前記電極積層部側から先端側へ延びるタブ重なり部を形成しており、
前記集電端子の前記第1部位は、当該第1部位が延びる前記積層方向にかかる端部であって前記第2部位から最も離れて位置する第1端部を有し、
前記タブ重なり部は、前記第1部位のうち前記電極積層部側を向く第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延び、前記第1端部を覆う態様で前記第2部位側へ折り返されて、前記第1部位のうち前記第1面と反対側を向く第2面に沿って前記第2部位に向かって延びる形態をなしており、
前記タブ重なり部のうち、前記第1部位の前記第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延びる部位に含まれる溶接部が、前記第1部位の前記第1面に溶接されている
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池の製造方法であって、
複数枚の前記電極板のうち複数の前記合材積層部を前記セパレータを介して積層して、前記電極積層部を有する前記積層電極体を形成する積層電極体形成工程と、
前記積層電極体のうち複数の前記集電タブについて、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、前記電極積層部側から前記積層方向に直交する方向に延びる前記タブ重なり部を形成するタブ重なり部形成工程と、
前記集電端子の前記第1部位が延びる方向を前記タブ重なり部が延びる方向に一致させると共に、前記タブ重なり部の先端部が前記第1部位の前記第1端部よりも前記第2部位から遠い側に配置されるようにした状態で、前記タブ重なり部のうち前記第1部位の前記第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延びる部位に含まれる前記溶接部を、前記第1部位の前記第1面に溶接する溶接工程と、
前記タブ重なり部のうち前記第1部位の前記第1端部よりも前記第2部位から遠い側に配置されている部分を、前記第1端部を覆うようにして前記第2部位側へ折り返して、前記第1部位のうち前記第1面と反対側を向く第2面に沿って前記第2部位に向かって延びる部位を形成する折り返し工程と、
前記集電端子の前記第1部位が前記電池ケース内に収容されると共に前記第2部位が前記電池ケースの内部から外部に延出する態様で、前記積層電極体を、前記ラミネートフィルムからなる前記電池ケース内に収容する収容工程と、を備える
電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、前記集電箔のうち前記電極合材層が積層されることなく前記合材積層部から延出する集電タブと、を有する複数枚の電極板を備え、複数の前記合材積層部がセパレータを介して積層方向に積層された電極積層部を有する積層電極体と、金属フィルムの両面が樹脂フィルムで被覆された構造のラミネートフィルムからなり、前記積層電極体を収容する電池ケースと、前記積層電極体のうち複数の前記集電タブに接合して、前記電池ケースの内部から外部に延出する集電端子と、を備える電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-54029号公報
【文献】特開2012-164470号公報
【0004】
前記集電端子は、側面視L字形状をなし、前記積層方向に延びる形態をなして前記電池ケース内に収容される第1部位と、前記積層方向に直交する方向に延びる形態をなして前記電池ケースの内部から外部に延出する第2部位と、が連結された形態を有する。複数の前記集電タブは、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わされたタブ重なり部であって、その長さ方向について前記電極積層部側から先端側へ延びるタブ重なり部を形成している。前記集電端子の前記第1部位は、当該第1部位が延びる前記積層方向にかかる端部であって前記第2部位から最も離れて位置する第1端部を有する。
【0005】
前記タブ重なり部は、前記集電端子の前記第1部位のうち前記電極積層部側を向く第1面に沿って、前記第1端部側から前記第2部位に向かって延びる形態をなしている。そして、前記タブ重なり部のうち前記第1部位の前記第1面に沿って前記第1端部側から前記第2部位に向かって延びる部位が、前記第1部位の前記第1面に溶接されている。なお、前記電極板は、正極板または負極板であり、前記集電タブは、正極集電タブまたは負極集電タブであり、前記集電端子は、正極集電端子または負極集電端子である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、側面視L字形状をなす集電端子の第1端部の角部が、ラミネートフィルムからなる電池ケースに対して直接に接触すると、電池ケースを構成するラミネートフィルムが損傷する虞がある。さらには、ラミネートフィルムの樹脂フィルムのうち第1端部の角部が接触した部分が破断し、第1部位の第1端部が、ラミネートフィルム内部の金属フィルムに対して直接に接触して、金属フィルムと集電端子とが導通する不具合が生じる虞もある。このような不具合を防止するため、前述の特許文献1,2の電池では、絶縁性の被覆部材(絶縁シートや絶縁テープ)によって、集電端子の第1部位の第1端部を覆うようにしていた。しかしながら、絶縁性の被覆部材を別途用意し、この被覆部材によって集電端子の第1端部を覆う作業を行うことは、製造時間が増加すると共に、製造コストが増加する。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、絶縁性の被覆部材を用いることなく、集電端子の第1端部の角部が、ラミネートフィルムからなる電池ケースに対して直接に接触することを防ぐことができる電池、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、集電箔の表面に電極合材層が積層された合材積層部と、前記集電箔のうち前記電極合材層が積層されることなく前記合材積層部から延出する集電タブと、を有する複数枚の電極板を備え、複数の前記合材積層部がセパレータを介して積層方向に積層された電極積層部を有する積層電極体と、金属フィルムの両面が樹脂フィルムで被覆された構造のラミネートフィルムからなり、前記積層電極体を収容する電池ケースと、前記積層電極体のうち複数の前記集電タブに接合して、前記電池ケースの内部から外部に延出する集電端子と、を備える電池において、前記集電端子は、側面視L字形状をなし、前記積層方向に延びる形態をなして前記電池ケース内に収容される第1部位と、前記積層方向に直交する方向に延びる形態をなして前記電池ケースの内部から外部に延出する第2部位と、が連結された形態を有し、複数の前記集電タブは、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わされたタブ重なり部であって、その長さ方向について前記電極積層部側から先端側へ延びるタブ重なり部を形成しており、前記集電端子の前記第1部位は、当該第1部位が延びる前記積層方向にかかる端部であって前記第2部位から最も離れて位置する第1端部を有し、前記タブ重なり部は、前記第1部位のうち前記電極積層部側を向く第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延び、前記第1端部を覆う態様で前記第2部位側へ折り返されて、前記第1部位のうち前記第1面と反対側を向く第2面に沿って前記第2部位に向かって延びる形態をなしており、前記タブ重なり部のうち、前記第1部位の前記第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延びる部位に含まれる溶接部が、前記第1部位の前記第1面に溶接されている電池である。
【0009】
上述の電池では、タブ重なり部が、集電端子の第1部位のうち積層電極体の電極積層部側を向く第1面に沿って第2部位側から第1端部に向かって延び、第1端部を覆う態様で第2部位側へ折り返されて、第1部位のうち第1面と反対側を向く第2面に沿って第2部位に向かって延びる形態をなしている。従って、集電端子の第1部位の第1端部は、タブ重なり部によって覆われている。これにより、絶縁性の被覆部材を用いることなく、集電端子の第1端部の角部が、ラミネートフィルムからなる電池ケースに対して直接に接触することを防止できる。これにより、「集電端子の第1端部の角部の接触によって電池ケースを構成するラミネートフィルムが損傷すること」を防止することができる。さらには、「ラミネートフィルムの樹脂フィルムのうち第1端部の角部が接触した部分が破断し、第1部位の第1端部が、ラミネートフィルム内部の金属フィルムに対して直接に接触して、金属フィルムと集電端子とが導通する不具合」が発生することを防止できる。
【0010】
なお、電極板は、正極板または負極板であり、集電タブは、正極集電タブまたは負極集電タブであり、集電端子は、正極集電端子または負極集電端子である。また、タブ重なり部は、複数の集電タブ(正極集電タブまたは負極集電タブ)が厚み方向に隙間なく重ね合わされた部位であり、積層電極体に含まれる同一極(正極または負極)の全ての集電タブ(全ての正極集電タブまたは全ての負極集電タブ)が重なっている部分のみならず、少なくとも2以上の集電タブ(正極集電タブまたは負極集電タブ)が重なっている部分も含む。
【0011】
本発明の他の態様は、前記の電池の製造方法であって、複数枚の前記電極板のうち複数の前記合材積層部を前記セパレータを介して積層して、前記電極積層部を有する前記積層電極体を形成する積層電極体形成工程と、前記積層電極体のうち複数の前記集電タブについて、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、前記電極積層部側から前記積層方向に直交する方向に延びる前記タブ重なり部を形成するタブ重なり部形成工程と、前記集電端子の前記第1部位が延びる方向を前記タブ重なり部が延びる方向に一致させると共に、前記タブ重なり部の先端部が前記第1部位の前記第1端部よりも前記第2部位から遠い側に配置されるようにした状態で、前記タブ重なり部のうち前記第1部位の前記第1面に沿って前記第2部位側から前記第1端部に向かって延びる部位に含まれる前記溶接部を、前記第1部位の前記第1面に溶接する溶接工程と、前記タブ重なり部のうち前記第1部位の前記第1端部よりも前記第2部位から遠い側に配置されている部分を、前記第1端部を覆うようにして前記第2部位側へ折り返して、前記第1部位のうち前記第1面と反対側を向く第2面に沿って前記第2部位に向かって延びる部位を形成する折り返し工程と、前記集電端子の前記第1部位が前記電池ケース内に収容されると共に前記第2部位が前記電池ケースの内部から外部に延出する態様で、前記積層電極体を、前記ラミネートフィルムからなる前記電池ケース内に収容する収容工程と、を備える電池の製造方法である。
【0012】
上述の製造方法では、折り返し工程において、タブ重なり部のうち集電端子の第1部位の第1端部よりも第2部位から遠い側に配置されている部分を、集電端子の第1部位の第1端部を覆うようにして第2部位側へ折り返す。これにより、集電端子の第1部位の第1端部は、タブ重なり部によって覆われる。従って、上述の製造方法によって製造された電池では、絶縁性の被覆部材を用いることなく、集電端子の第1端部の角部が、ラミネートフィルムからなる電池ケースに対して直接に接触することを防止できる。これにより、「集電端子の第1端部の角部の接触によって電池ケースを構成するラミネートフィルムが損傷すること」を防止することができる。さらには、「ラミネートフィルムの樹脂フィルムのうち第1端部の角部が接触した部分が破断し、第1部位の第1端部が、ラミネートフィルム内部の金属フィルムに対して直接に接触して、金属フィルムと集電端子とが導通する不具合」が発生することを防止できる。
【0013】
さらに、上述の製造方法では、積層電極体のうち複数の集電タブについて、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせてタブ重なり部を形成する。従って、上述の製造方法では、従来の製造方法に比べて、複数の集電タブの先端を切り揃える切断工程を省略することができるので、製造コストを低減することができる。さらには、前記切断工程を省略することによって、前記切断工程によって発生した金属粉等の異物が電池内に混入する虞もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】実施形態にかかる積層電極体の平面図である。
【
図14】実施形態にかかる電池の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の電池1は、リチウムイオン二次電池であり、積層電極体50と、積層電極体50を収容する電池ケース10と、集電端子(正極集電端子20と負極集電端子30)とを備える(
図1~
図3参照)。このうち、積層電極体50は、複数枚の正極板60(電極板)と、複数枚の負極板70(電極板)と、複数枚のセパレータ80とを備える。
【0016】
正極板60は、正極集電箔66の表面(本実施形態では両面)に正極合材層62(電極合材層)が積層された矩形平板状の正極合材積層部61と、正極集電箔66のうち正極合材層62が積層されることなく正極合材積層部61から延出する正極集電タブ65とを有する(
図7及び
図8参照)。負極板70は、負極集電箔76の表面(本実施形態では両面)に負極合材層72(電極合材層)が積層された矩形平板状の負極合材積層部71と、負極集電箔76のうち負極合材層72が積層されることなく負極合材積層部71から延出する負極集電タブ75とを有する(
図9及び
図10参照)。
【0017】
積層電極体50は、複数の正極合材積層部61と複数の負極合材積層部71とが、矩形平板状のセパレータ80を介して積層方向DLに積層された電極積層部51を有する(
図2、
図3、
図5、
図6参照)。なお、
図5及び
図6は、正極集電タブ65及び負極集電タブ75を正極集電端子20及び負極集電端子30に取り付ける前の積層電極体50を示している。
【0018】
電池ケース10は、金属フィルム12の両面が樹脂フィルム(内側樹脂フィルム11と外側樹脂フィルム13)で被覆された構造のラミネートフィルム15からなる。すなわち、電池ケース10は、電池ケース10の最も内側に位置する内側樹脂フィルム11、この内側樹脂フィルム11の外側に隣り合って位置する金属フィルム12、及びこの金属フィルム12の外側に隣り合って位置する外側樹脂フィルム13が積層されたラミネートフィルム15によって形成されている(
図4参照)。
【0019】
正極集電端子20は、積層電極体50のうち複数の(全ての)正極集電タブ65に接合して、電池ケース10の内部から外部に延出している(
図3参照)。この正極集電端子20は、矩形平板状の金属板を折り曲げることによって形成されており、側面視L字形状をなしている。この正極集電端子20は、積層方向DLに延びる形態をなして電池ケース10内に収容される第1部位21と、積層方向DLに直交する直交方向DCに延びる形態をなして電池ケース10の内部から外部に延出する第2部位22とが連結された形態を有する(
図3及び
図13参照)。正極集電端子20の第1部位21は、当該第1部位21が延びる積層方向DLにかかる端部であって第2部位22から最も離れて位置する第1端部21bを有する(
図3、
図12、
図13参照)。
【0020】
負極集電端子30は、積層電極体50のうち複数の(全ての)負極集電タブ75に接合して、電池ケース10の内部から外部に延出している(
図2参照)。この負極集電端子30は、矩形平板状の金属板を折り曲げることによって形成されており、側面視L字形状をなしている。この負極集電端子30は、積層方向DLに延びる形態をなして電池ケース10内に収容される第1部位31と、積層方向DLに直交する直交方向DCに延びる形態をなして電池ケース10の内部から外部に延出する第2部位32とが連結された形態を有する(
図2及び
図13参照)。負極集電端子30の第1部位31は、当該第1部位31が延びる積層方向DLにかかる端部であって第2部位32から最も離れて位置する第1端部31bを有する(
図3、
図12、
図13参照)。
【0021】
複数の正極集電タブ65は、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わされた正極タブ重なり部67を形成している(
図3及び
図12参照)。この正極タブ重なり部67は、その長さ方向について電極積層部51側から先端側へ延びている。なお、正極タブ重なり部67は、複数の正極集電タブ65が厚み方向に隙間なく重ね合わされた部位であり、積層電極体50に含まれる全ての正極集電タブ65が重なっている部分のみならず、少なくとも2以上の正極集電タブ65が重なっている部分も含む。
【0022】
正極タブ重なり部67は、正極集電端子20の第1部位21のうち電極積層部51側を向く第1面21cに沿って第2部位22側(
図3及び
図12において左側)から第1端部21bに向かって延び、第1端部21bの全体を覆う態様で第2部位22側へ折り返されて、第1部位21のうち第1面21cと反対側を向く第2面21dに沿って第2部位22に向かって延びる形態をなしている。なお、正極タブ重なり部67の幅寸法(
図12において紙面に直交する方向の寸法)は、正極集電端子20の第1部位21の幅寸法(
図12において紙面に直交する方向の寸法)よりも大きく、正極タブ重なり部67の幅方向中心の位置を第1部位21の幅方向中心の位置に合わせている。
【0023】
従って、正極集電端子20の第1部位21の第1端部21bは、正極タブ重なり部67によって覆われている。これにより、絶縁性の被覆部材を用いることなく、正極集電端子20の第1端部21bの角部が、ラミネートフィルム15からなる電池ケース10に対して直接に接触することを防止できる。これにより、「正極集電端子20の第1端部21bの角部の接触によって電池ケース10を構成するラミネートフィルム15が損傷すること」を防止することができる。さらには、「ラミネートフィルム15の内側樹脂フィルム11のうち第1端部21bの角部が接触した部分が破断し、第1部位21の第1端部21bがラミネートフィルム15の内部の金属フィルム12に対して直接に接触して、金属フィルム12と正極集電端子20とが導通する不具合」が発生することを防止できる。
【0024】
また、複数の負極集電タブ75は、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わされた負極タブ重なり部77を形成している(
図2及び
図11参照)。この負極タブ重なり部77は、その長さ方向について電極積層部51側から先端側へ延びている。なお、負極タブ重なり部77は、複数の負極集電タブ75が厚み方向に隙間なく重ね合わされた部位であり、積層電極体50に含まれる全ての負極集電タブ75が重なっている部分のみならず、少なくとも2以上の負極集電タブ75が重なっている部分も含む。
【0025】
負極タブ重なり部77は、負極集電端子30の第1部位31のうち電極積層部51側を向く第1面31cに沿って第2部位32側(
図2及び
図11において左側)から第1端部31bに向かって延び、第1端部31bの全体を覆う態様で第2部位32側へ折り返されて、第1部位31のうち第1面31cと反対側を向く第2面31dに沿って第2部位32に向かって延びる形態をなしている。なお、負極タブ重なり部77の幅寸法(
図11において紙面に直交する方向の寸法)は、負極集電端子30の第1部位31の幅寸法(
図12において紙面に直交する方向の寸法)よりも大きく、負極タブ重なり部77の幅方向中心の位置を第1部位21の幅方向中心の位置に合わせている。
【0026】
従って、負極集電端子30の第1部位31の第1端部31bは、負極タブ重なり部77によって覆われている。これにより、絶縁性の被覆部材を用いることなく、負極集電端子30の第1端部31bの角部が、ラミネートフィルム15からなる電池ケース10に対して直接に接触することを防止できる。これにより、「負極集電端子30の第1端部31bの角部の接触によって電池ケース10を構成するラミネートフィルム15が損傷すること」を防止することができる。さらには、「ラミネートフィルム15の内側樹脂フィルム11のうち第1端部31bの角部が接触した部分が破断し、第1部位31の第1端部31bがラミネートフィルム15の内部の金属フィルム12に対して直接に接触して、金属フィルム12と負極集電端子30とが導通する不具合」が発生することを防止できる。
【0027】
なお、正極タブ重なり部67のうち、正極集電端子20の第1部位21の第1面21cに沿って第2部位22側から第1端部21bに向かって延びる部位67cに含まれる溶接部67bが、第1部位21の第1面21cに溶接されている(
図12参照)。また、負極タブ重なり部77のうち、負極集電端子30の第1部位31の第1面31cに沿って第2部位32側から第1端部31bに向かって延びる部位77cに含まれる溶接部77bが、第1部位31の第1面31cに溶接されている(
図11参照)。
【0028】
ラミネートフィルム15からなる電池ケース10は、正極集電端子20及び負極集電端子30が接合された積層電極体50を内部に収容しつつ、正極集電端子20の第2部位22の一部及び負極集電端子30の第2部位32の一部を電池ケース10の外部に突出させた状態で、略コの字状の溶着封止部15b(電池ケース10の3つの縁)が熱溶着によって封止されることによって形成されている(
図1~
図3参照)。なお、正極集電端子20の第2部位22の一部は樹脂膜25によって被覆されており、この樹脂膜25と電池ケース10の溶着封止部15bとが熱溶着することで、正極集電端子20が電池ケース10に接合されている。また、負極集電端子30の第2部位32の一部も樹脂膜35によって被覆されており、この樹脂膜35と電池ケース10の溶着封止部15bとが熱溶着することで、負極集電端子30が電池ケース10に接合されている。
【0029】
次に、実施形態にかかる電池1の製造方法について説明する。本実施形態では、電池1として、リチウムイオン二次電池を製造する。
図14は、実施形態にかかる電池1の製造方法の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS1(積層電極体形成工程)において、積層電極体50(
図5及び
図6参照)を形成する。具体的には、複数枚の正極板60と複数枚の負極板70と複数枚のセパレータ80とを用意し、正極板60の正極合材積層部61と負極板70の負極合材積層部71との間にセパレータ80が介在するようにして、これらを積層して、電極積層部51を有する積層電極体50を作製する。
【0030】
次に、ステップS2(タブ重なり部形成工程)において、積層電極体50に含まれる複数の(全ての)負極集電タブ75について、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、電極積層部51側(
図15において下方)から積層方向DLに直交する直交方向DC(
図15において上方)に延びる負極タブ重なり部77を形成する(
図15参照)。これと同様に、積層電極体50に含まれる複数の(全ての)正極集電タブ65について、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、電極積層部51側から積層方向DLに直交する直交方向DCに延びる正極タブ重なり部67を形成する。
【0031】
次に、ステップS3(溶接工程)において、負極タブ重なり部77と負極集電端子30を超音波溶接する。具体的には、
図15に示すように、負極集電端子30の第1部位31が延びる方向を負極タブ重なり部77が延びる方向(直交方向DC、
図15において上下方向)に一致させると共に、負極タブ重なり部77の先端部77fが第1部位31の第1端部31bよりも第2部位32から遠い側(
図15において上側)に配置されるようにして、負極集電端子30の第1部位31の第1面31cに、負極タブ重なり部77を接触させる。
【0032】
この状態で、超音波ホーン91と超音波アンビル92とにより、負極タブ重なり部77のうち負極集電端子30の第1面31cに沿って第2部位32側から第1端部31bに向かって延びる部位77cに含まれる溶接部77bと負極集電端子30の第1部位31とを挟んで圧接する。この状態で、超音波ホーン91を超音波振動させて、負極タブ重なり部77の溶接部77bを負極集電端子30の第1部位31の第1面31cに溶接する。これと同様にして、正極タブ重なり部67の溶接部67bを、正極集電端子20の第1部位21の第1面21cに超音波溶接する。
【0033】
次に、ステップS4(折り返し工程)において、負極タブ重なり部77のうち、負極集電端子30の第1部位31の第1端部31bよりも第2部位32から遠い側(
図15において上側)に配置されている部分77dを、第1端部31bを覆うようにして第2部位32側へ折り返して(
図15において反時計回りに折り返して)、第1部位31のうち第1面31cと反対側を向く第2面31dに沿って第2部位32に向かって延びる部位77gを形成する(
図15及び
図16参照)。
【0034】
さらに、ステップS4(折り返し工程)では、負極タブ重なり部77と共に負極集電端子30を、
図15に示す位置から時計回りに90°回転移動させて、負極タブ重なり部77のうち負極集電端子30の第1面31cに沿って第2部位32側から第1端部31bに向かって延びる部位77cを、第2部位32側で折り曲げると共に、負極集電端子30の第1部位31が延びる方向が積層方向DLに一致して、第1部位31の第1面31cが電極積層部51の端面(
図16において上端面)に対向した状態にする。
【0035】
さらに、ステップS4(折り返し工程)では、負極タブ重なり部77と同様に、正極タブ重なり部67のうち、正極集電端子20の第1部位21の第1端部21bよりも第2部位22から遠い側に配置されている部分を、第1端部21bを覆うようにして第2部位22側へ折り返して、第1部位21のうち第1面21cと反対側を向く第2面21dに沿って第2部位22に向かって延びる部位67gを形成する。その後、正極タブ重なり部67と共に正極集電端子20を90°回転移動させて、正極タブ重なり部67のう正極集電端子20の第1面21cに沿って第2部位22側から第1端部21bに向かって延びる部位67cを、第2部位22側で折り曲げると共に、正極集電端子20の第1部位21が延びる方向が積層方向DLに一致した状態にする(
図12参照)。
【0036】
次に、ステップS5(収容工程)において、積層電極体50を、ラミネートフィルム15からなる電池ケース10内に収容する。具体的には、正極集電端子20の第1部位21と負極集電端子30の第1部位31が電池ケース10内に収容されると共に、正極集電端子20の第2部位22と負極集電端子30の第2部位32が電池ケース10の内部から外部に延出する態様で、積層電極体50を、ラミネートフィルム15からなる電池ケース10内に収容する(
図17、
図1~
図3参照)。
【0037】
詳細には、積層電極体50をラミネートフィルム15からなる封止前の電池ケース10の内部に配置して、正極集電端子20の第1部位21と負極集電端子30の第1部位31が封止前の電池ケース10の内部に配置されると共に、正極集電端子20の第2部位22と負極集電端子30の第2部位32が封止前の電池ケース10の内側から外側に延出する状態とする。この状態で、略コの字状の溶着封止部15b(電池ケース10の3つの縁)を、その厚み方向に加圧しつつ加熱して、内側樹脂フィルム11同士を熱溶着させる(
図17、
図1~
図3参照)。
【0038】
但し、このとき、溶着封止部15bの一部を熱溶着(封止)することなく、電解液を注入する注液口(図示省略)とする。また、正極集電端子20の第2部位22の一部は樹脂膜25によって被覆されており、この樹脂膜25と電池ケース10の溶着封止部15b(内側樹脂フィルム11)とが熱溶着されることで、正極集電端子20が電池ケース10に接合される。また、負極集電端子30の第2部位32の一部も樹脂膜35によって被覆されており、この樹脂膜35と電池ケース10の溶着封止部15b(内側樹脂フィルム11)とが熱溶着されることで、負極集電端子30が電池ケース10に接合される。
【0039】
次に、ステップS6(注液工程)において、注液口(図示省略)を通じて、非水電解液(図示省略)を電池ケース10内に注入する。その後、熱溶着により注液口を閉塞することで、電池ケース10が封止され、電池1が完成する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の製造方法では、折り返し工程(ステップS4)において、負極タブ重なり部77のうち、負極集電端子30の第1部位31の第1端部31bよりも第2部位32から遠い側(
図15において上側)に配置されている部分77dを、第1端部31bを覆うようにして第2部位32側へ折り返す(
図15及び
図16参照)。これにより、負極集電端子30の第1部位31の第1端部31bは、負極タブ重なり部77によって覆われる。さらに、正極タブ重なり部67のうち、正極集電端子20の第1部位21の第1端部21bよりも第2部位22から遠い側に配置されている部分を、第1端部21bを覆うようにして第2部位22側へ折り返す。これにより、正極集電端子20の第1部位21の第1端部21bも、正極タブ重なり部67によって覆われる(
図3参照)。
【0041】
従って、本実施形態の製造方法によれば、絶縁性の被覆部材を用いることなく、「負極集電端子30の第1端部31bの角部及び正極集電端子20の第1端部21bの角部が、ラミネートフィルム15からなる電池ケース10に対して直接に接触することを防止できる電池1」を製造することができる(
図2及び
図3参照)。これにより、「正極集電端子20及び負極集電端子30の第1端部21b,31bの角部の接触によって、電池ケース10を構成するラミネートフィルム15が損傷すること」を防止することができる。さらには、「ラミネートフィルム15の樹脂フィルム(内側樹脂フィルム11)のうち第1端部21b,31bの角部が接触した部分が破断し、第1部位21,31の第1端部21b,31bが、ラミネートフィルム15の内部の金属フィルム12に対して直接に接触して、金属フィルム12と集電端子(正極集電端子20及び負極集電端子30)とが導通する不具合」が発生することを防止できる。
【0042】
さらに、本実施形態の製造方法では、積層電極体50に含まれる複数の(全ての)負極集電タブ75について、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、負極タブ重なり部77を形成する(
図15参照)。これと同様に、積層電極体50に含まれる複数の(全ての)正極集電タブ65について、これらの先端を切り揃えることなく、これらの厚み方向に隙間なく重ね合わせて、正極タブ重なり部67を形成する。
【0043】
従って、本実施形態の製造方法では、従来の製造方法に比べて、複数の集電タブ(正極集電タブ及び負極集電タブ)の先端を切り揃える切断工程を省略することができるので、製造コストを低減することができる。さらには、前記切断工程を省略することによって、前記切断工程によって発生した金属粉等の異物が電池内に混入する不具合も無くなるので好ましい。
【0044】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 電池
10 電池ケース
11 内側樹脂フィルム
12 金属フィルム
13 外側樹脂フィルム
15 ラミネートフィルム
20 正極集電端子
21,31 第1部位
21b,31b 第1端部
21c,31c 第1面
21d,31d 第2面
22,32 第2部位
30 負極集電端子
50 積層電極体
51 電極積層部
60 正極板(電極板)
61 正極合材積層部
62 正極合材層(電極合材層)
65 正極集電タブ
66 正極集電箔
67 正極タブ重なり部
67b,77b 溶接部
70 負極板(電極板)
71 負極合材積層部
72 負極合材層(電極合材層)
75 負極集電タブ
76 負極集電箔
77 負極タブ重なり部
80 セパレータ