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<図1>
  • 特許-掘削機用アンカーキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】掘削機用アンカーキット
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/14 20060101AFI20231026BHJP
   E02F 5/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E02F5/14 Z
E02F5/02 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500950
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2019051734
(87)【国際公開番号】W WO2020012124
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】1856478
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509167338
【氏名又は名称】ソレタンシュ フレシネ
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアルグ,ダニエル
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-171983(JP,U)
【文献】国際公開第2017/042500(WO,A1)
【文献】特表2018-526552(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00592329(EP,A1)
【文献】特開平07-003838(JP,A)
【文献】実開昭64-042343(JP,U)
【文献】国際公開第2017/021664(WO,A1)
【文献】特表2018-522153(JP,A)
【文献】特開平05-132943(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109370(WO,A1)
【文献】特表2020-502399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/14
E02F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削モジュール(16)を担持するフレーム(12)を備えた掘削機(10)に着脱可能なアンカーキット(100、200、300)であって、
土壌で第1パーツ(112、212、312)を固定化するためのアンカー装置(114、214、314)を含む前記第1パーツ(112、212、312)と、
第2パーツ(116、216、316)を前記フレーム(12)に固定するための固定装置(118、218)を含む前記第2パーツ(116、216、316)であって、前記第1パーツ(112、212、312)と協働する前記第2パーツ(116、216、316)と、
第1方向(A)に沿って前記第1パーツ(112、212、312)に対して相対的に前記第2パーツ(116、216、316)を移動させるための変位装置(122、222、322)と、を有する第1アンカーモジュール(110、210、310)を少なくとも備える、アンカーキット。
【請求項2】
前記第1アンカーモジュールの前記変位装置(122、222、322)が、前記第1アンカーモジュールの前記第1パーツ(112、212)と前記第2パーツ(116、216、316)とに接続されたアクチュエータ(124)を備える、請求項1に記載のアンカーキット。
【請求項3】
前記アクチュエータ(124)が油圧シリンダ(126)を備え、前記アンカーキット(100、200、300)が、前記油圧シリンダに接続された油圧継手(130)を更に備え、前記油圧継手が、前記フレーム(12)の油圧ホース(13)に接続されるように構成されている、請求項2に記載のアンカーキット。
【請求項4】
前記アンカー装置(114)が、前記第1方向(A)に対して横方向である第2方向(B)に沿って展開可能な第1アンカーパッド(140)と第2アンカーパッド(142)とを備え、前記第1アンカーパッド(140)の展開方向が、第2アンカーパッド(142)の展開方向と反対である、請求項1から3のいずれか1項に記載のアンカーキット。
【請求項5】
前記第1パーツ(112)が、ボティ(144)を更に備え、前記アンカー装置(114)が、前記第1アンカーパッドと前記第2アンカーパッドとに接続された少なくとも1つのアクチュエータ(146、148)を備え、前記アクチュエータが、前記第1方向(A)に対して横方向である第3方向(C)に沿って前記ボティに対して摺動可能に取り付けられている、請求項4に記載のアンカーキット。
【請求項6】
前記第1アンカーモジュール(110)が、前記第1パーツ(112)に対する前記フレーム(12)の変位を案内するための案内システム(150)を更に含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のアンカーキット。
【請求項7】
前記案内システムが、第1部分(152)と、前記第1部分に対して摺動可能に取り付けられた第2部分(154)とを備え、前記第2部分(154)が、前記フレームに固定するための部材を備え、前記第1部分が、前記アンカー装置(156)に固定される、請求項6に記載のアンカーキット。
【請求項8】
第2アンカーモジュール(110’)を更に備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーキット。
【請求項9】
前記第1アンカーモジュール(110)と前記第2アンカーモジュール(110’)とを一緒に固定するための接続装置(170、370)を更に備えることを特徴とする、請求項8に記載のアンカーキット。
【請求項10】
前記接続装置(370)が、前記フレーム(12)の変位を案内するための通路(372)を備え、ここで、前記変位装置(322)が、前記接続装置と前記第1アンカーモジュール(310)の前記第2パーツ(316)との間に配置された第1アクチュエータ(323)と、前記接続装置(370)と前記第2アンカーモジュール(310’)の前記第2パーツ(316’)との間に配置された第2アクチュエータ(325)と、を備える、請求項9に記載のアンカーキット。
【請求項11】
長手方向(X)に沿って延在し、掘削モジュール(16)を担持する下部(12b)を有するフレーム(12)を備える掘削機(10)であって、前記掘削機が、請求項1から10のいずれか1項に記載のアンカーキット(100、200、300)を更に含み、前記第1アンカーモジュール(112、212、312)の前記第2パーツ(116、216、316)が、前記フレーム(12)に固定されている、掘削機。
【請求項12】
前記フレームの下部が、ポンプ(15)を備え、前記掘削モジュールが、前記長手方向に垂直な軸心(Y、Z)を中心に回転する切削ドラム(18)を備え、フライスカッターの長さが、7メートル未満である、請求項11に記載の掘削機。
【請求項13】
前記アンカーキット(100、200、300)の長さが、前記フレームの長さと実質的に等しい、請求項11または12に記載の掘削機。
【請求項14】
前記第2パーツ(116、316)が、前記第1パーツ(112、312)と前記掘削モジュールとの間に配置されている、請求項11から13のいずれか1項に記載の掘削機。
【請求項15】
掘削機を改造するための方法であって、ここで長手方向に沿って延伸するフレーム(12)を備えた掘削機(10)が提供され、前記フレームが、掘削モジュールを担持する下部を有し、ここで、
請求項1から10のいずれか1項に記載のアンカーキット(100、200、300)が提供され、
前記第1方向が前記長手方向と平行になるように、前記アンカーキットの第1アンカーモジュールの第2パーツ(116、216、316)が、前記フレームに固定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、例えば並置されたコンクリート壁要素からなる連続スクリーンなどの基礎を製造することを目的とする、土壌での掘削の分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、実質的に垂直な掘削方向に沿って土壌で掘削を行うための掘削機の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
このような掘削を行うために、掘削モジュールを担持するフレームを備えた掘削機を使用することが知られている。前記フレームは通常、無限軌道キャリアのマストの端部から延びるケーブルから吊り下げられる。前記掘削モジュールは、切断部材、ほとんどの場合、掘削経路に垂直な回転軸心を中心に回転可能に取り付けられた切削ドラムを備える。このような機械は一般に、フライスカッターと呼ばれている。
【0004】
市場で入手可能なほとんどの掘削機のモデルは、硬いまたは非常に硬い土壌の掘削には適していない。このタイプの標準的な機械では、粘土、砂、軟岩などの土壌での形成が可能であるが、一般に、硬岩や石灰岩などの不均一な土壌では形成できない。
【0005】
このようなタイプの土壌を掘削するために、欧州特許出願公開第0811724号明細書または国際公開第2017/042499号に記載されているように、アンカー(anchoring)モジュールを備えた機械を使用することが知られている。ただし、これらの機械は非常に特殊で、標準の機械よりも高価である。更に、オペレータが、同じ建設現場に、標準的な機械と、硬い土壌用の特殊な機械とを設置することが、コストと物流上の理由との両方から困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第0811724号明細書
【文献】国際公開第2017/042499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、既存の標準的な掘削機に取り付けることができるアンカーキットを提案することによって、前述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明は、掘削モジュールを担持するフレームを備えた掘削機に着脱可能なアンカーキットに関し、前記アンカーキットは、
土壌で第1パーツ(部分)を固定化するためのアンカー装置を含む前記第1パーツ、
第2パーツ(部分)を前記フレームに固定するための固定装置を含む前記第2パーツであって、前記第1パーツと協働する前記第2パーツ、
第1方向に沿って前記第1パーツに対して相対的に前記第2パーツを移動させるための変位装置、を有する第1アンカーモジュールを少なくとも備える。
【0009】
本発明によるアンカーキットは、好ましくは、土壌で垂直な溝を作るための標準的な掘削機を対象としている。
【0010】
前記掘削機のフレームは、一般的に垂直である長手方向に沿って延在する。
【0011】
本発明によるアンカーキットは、アンカーモジュール無しで既存の標準的な機械に取り付けられるように提供されることが理解される。「アンカーモジュール」とは、溝の壁で支承させることにより、前記掘削機の一部を土壌で固定化するためのモジュールを意味する。
【0012】
したがって、前記アンカーキットは、既存の操作可能な掘削機に追加される掘削機とは異なる構造ユニットを構成する。前記アンカーキットは、前記第2パーツを前記フレームに固定する締結装置を介して、前記掘削機に取り付けられる。
【0013】
前記アンカー装置は、土壌で前記第1パーツを固定化するように有利に構成される。
【0014】
前記固定装置が、前記第2パーツを標準的な掘削機のフレームに固定することを可能にすることも、理解される。前記固定装置は、前記アンカーキットが不用になったときにこのアンカーキットを取り外すことができるようにするために、有利に取り外し可能である。
【0015】
前記アンカー装置が作動すると、前記第1パーツが土壌で固定化される。それは特に、垂直方向に沿ってブロックされる。次いで、前記変位装置が作動すると、固定状態にとどまる前記第1パーツに対して第2パーツが相対的に移動する。したがって、前記変位装置は、前記第2パーツに力を加え、その力は、前記フレームおよび前記掘削モジュールに伝達される。前記第1パーツが土壌で固定化されていることにより、前記掘削モジュールに大きな力を加えることができ、これにより硬い地面の掘削が容易になる。
【0016】
好ましくは、前記第1パーツに対して相対的な前記第2パーツの変位は、並進運動である。
【0017】
前記第2パーツは、好ましくは、溝の壁に沿った前記第2パーツの垂直方向の摺動を容易にするための案内パッドを含む。
【0018】
前記第2パーツに対する前記第1パーツの相対的な変位を可能にするために、前記変位装置は、有利には、前記第1アンカーモジュールの前記第1パーツと前記第2パーツとに接続されたアクチュエータを備える。前記アクチュエータは、第1アンカーモジュールの第1パーツと第2パーツとの間に、有利に配置される。
【0019】
想定される実施形態によれば、このアクチュエータは、前記第2パーツを押すまたは引っ張ることができる。
【0020】
本発明の範囲から逸脱することなく、前記第1パーツと前記第2パーツとの間にいくつかのアクチュエータを設けることが可能である。
【0021】
好ましくは、前記アンカーキットは、前記掘削機によりエネルギーが供給される。
【0022】
好ましくは、前記アクチュエータは油圧シリンダを備え、前記アンカーキットは、前記油圧シリンダに接続された油圧継手を更に備え、前記油圧継手は、前記フレームの油圧ホースに接続されるように構成される。
【0023】
前記油圧継手の存在により、前記アンカーキットを標準的な掘削機に容易に取り付けることができ、前記アンカーキットを前記掘削機に迅速に実装できる。
【0024】
有利には、前記アンカー装置は、前記第1方向に対して横方向である第2方向に沿って展開可能な第1アンカーパッドと第2アンカーパッドとを備え、第1パッドの展開方向は、第2パッドの展開方向と反対である。
【0025】
前記アンカーキットを備えた前記掘削機が溝内に配置され、前記アンカー装置が作動すると、前記第1アンカーパッドおよび前記第2アンカーパッドが展開され、溝の対向する壁、好ましくは2つの最大の壁に対して支承され、これにより溝で前記第1パーツが固定化される。
【0026】
本発明の範囲から逸脱することなく、前記第1アンカーパッドおよび第2アンカーパッドは、溝の2つの最小の壁に対して支承されるように交互に展開され得る。
【0027】
好ましくは、前記第1パーツはボティを更に備え、前記アンカー装置は、前記第1パッドと前記第2パッドとに接続されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記第1方向に対して横方向である第3方向に沿って前記ボティに対して摺動可能に取り付けられている。
【0028】
「フローティング」取り付けと呼ばれるこの取り付けにより、前記アンカー装置を溝で係止しても、前記ボティが第3方向に沿って変位することはない。1つの利点は、溝での係止中にフレームを移動させないようにすることで、掘削経路を偏向しないようにできることである。
【0029】
有利には、前記第1アンカーモジュールは、前記第1パーツに対する前記フレームの変位を案内するための案内システムを更に含む。この案内は、前記第1方向に沿って有利に実行される。好ましくは、前記案内システムは、前記第1パーツに対して垂直並進でのフレームの変位を案内する機能を有する。1つの利点は、前記変位装置が前記掘削モジュールに下向きの垂直力を及ぼすときに、前記掘削モジュールの偏向を回避することである。
【0030】
好ましくは、前記案内システムは、第1部分と、前記第1方向に沿って前記第1部分に対して摺動可能に取り付けられた第2部分とを備え、前記第2部分は、前記フレームに固定するための部材を備え、前記第1部分は、前記アンカー装置に固定される。
【0031】
1つの有利な実施形態によれば、前記アンカーキットは、第2アンカーモジュールと、好ましくは、前記第1アンカーモジュールと前記第2アンカーモジュールとを一緒に固定するための接続装置と、を更に含む。
【0032】
好ましくは、前記接続装置は、前記第1アンカーモジュールと前記第2アンカーモジュールの第1パーツ(複数)に固定される。
【0033】
好ましくは、前記第1アンカーモジュールおよび前記第2アンカーモジュールは、前記掘削機のフレームの小面のそれぞれに固定され、前記接続装置は、前記第1アンカーモジュールと前記第2アンカーモジュールとの間で延在する。更により好ましくは、前記接続装置は、前記フレームの大面の横にある第1接続部材および第2接続部材を備える。
【0034】
別の実施形態によれば、前記接続装置は、前記フレームの変位を案内するための通路を備え、ここで、前記変位装置は、前記接続装置と前記第1アンカーモジュールの前記第2パーツとの間に配置された第1アクチュエータと、前記接続装置と前記第2アンカーモジュールの前記第2パーツとの間に配置された第2アクチュエータと、を備える。
【0035】
この実施形態では、前記接続装置は、前記第1アンカーモジュールと前記第2アンカーモジュールの第1パーツ(複数)からなる。
【0036】
したがって、前記通路は前記第1パーツ(複数)に配置される。この構成では、前記接続装置は、前記フレームの断面よりも大きい、前記フレームの長手(垂直)方向を基準とする断面を有する。
【0037】
本発明は更に、長手方向に沿って延在し、掘削モジュールを担持する下部を有するフレーム、を備える掘削機に関し、前記掘削機は、本発明によるアンカーキットを更に含み、前記第1アンカーモジュールの前記第2パーツは、前記フレームに固定されている。
【0038】
好ましくは、前記アンカーキットは、前記フレームに固定された第2パーツを備える第2アンカーモジュールを更に含む。
【0039】
有利には、前記フレームの下部はポンプを備え、前記掘削モジュールは、長手方向に垂直な軸心を中心に回転する切削ドラムを備え、前記掘削機の長さは7メートル未満である。
【0040】
このような機械は、一般に「フライスカッター」と呼ばれている。より詳細には、この掘削機は、その長さが7メートル未満であるので、コンパクトなフライスカッターである。
【0041】
好ましくは、前記キットの長さは、前記フレームの長さと実質的に等しい。
【0042】
好ましいが排他的ではない実施形態によれば、前記第2パーツは、前記第1パーツと前記掘削モジュールとの間に配置されている。したがって、前記変位装置が、前記第1パーツを、ひいては前記フレームを、下方に向けて垂直方向に押すことが理解される。
【0043】
本発明の範囲から逸脱することなく、前記第1パーツが前記第2パーツと前記掘削モジュールとの間に配置されることが提供され得る。この場合、前記変位装置は、前記フレームを下向きに引っ張る。
【0044】
本発明はまた、掘削機を改造するための方法に関し、ここで長手方向に沿って延伸するフレームを備えた掘削機が提供され、前記フレームは掘削モジュールを担持する下部を有し、ここで
本発明によるアンカーキットが提供され、
前記第1方向が前記長手方向と平行になるように、前記アンカーキットの第1アンカーモジュールの第2パーツが、前記フレームに固定される。
【0045】
前記アンカーキットが第2アンカーモジュールを有する場合、本発明による改造方法は、前記第1アンカーモジュールの第2パーツを受ける面とは反対の面で、前記第2アンカーモジュールの第2パーツを前記フレームに固定することを含む。
【0046】
好ましくは、前記第1アンカーモジュールおよび第2アンカーモジュールを取り付けた後、前記第1アンカーモジュールおよび第2アンカーモジュールを一緒に接続するために、前述の接続装置が、定位置に配置される。
【0047】
前記掘削機が、前記フレームの小面に沿って配置された1つ以上の案内モジュールを備える場合、前記改造方法は、前記第2パーツを前記フレームの小面に固定する前に、前記案内モジュールを事前に取り外すステップを含む。
【0048】
添付の図面を参照して、非限定的な例示として以下の本発明の実施形態の記載を読むことで、本発明をよりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】他で知られているコンパクトなフライスカッタータイプの掘削機である。
図2】本発明の第1実施形態によるアンカーキットを備えた図1の掘削機を示しており、変位装置は格納されている。
図3図2の機械を示しており、前記変位装置は、掘削モジュールに下向きの力を及ぼすために展開されている。
図4】第1実施形態による前記アンカーキットの詳細図である。
図5図3の機械を側面から見た概略図である。
図6】本発明の第2実施形態によるアンカーキットを備えた図1の掘削機を示しており、変位装置は展開されている。
図7図6の機械を示しており、前記変位装置は、前記掘削モジュールに下向きの力を及ぼすために格納されている。
図8】本発明の第3実施形態によるアンカーキットを備えた図1の掘削機を示しており、変位装置は格納位置にある。
図9】前記変位装置が展開されている図8の機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、土壌Sでの掘削を実行するために使用される掘削機10を模式的に示しており、この掘削機10は、他で知られているように、高さHが5m程度であるコンパクトなフライスカッターである。
【0051】
前記掘削機10は、リフトケーブル14に固定されている上端部12aを有するフレーム12を備える。知られているように、前記リフトケーブル14は、キャリア、例えば、無限軌道キャリア(ここでは図示せず)のマストの上端部に接続されている。
【0052】
前記フレーム12は、掘削モジュール16を担持する下端部12bを有する。知られているように、前記掘削モジュール16は、前記フレーム12の長手方向軸Xに垂直な回転軸心Y、Zを中心に回転可能な切削ドラム18を備える。この例では、前記フレームの長手方向軸心Xは垂直であり、回転ドラムの回転軸心Y、Zは水平である。
【0053】
前記掘削機10は、掘削泥に混入した切削物を吸引して除去するためのダクト17に接続されている吸引部材15を更に有する。
【0054】
溝の壁に沿う前記掘削機10の摺動を容易にするために、前記フレーム12は、前記フレーム12の最小面12c、12dに固定されている第1案内要素20および第2案内要素22を備える。知られているように、前記案内要素20、22は、前記フレームが壁に沿って摺動することを可能にする案内プレートを備える。
【0055】
そのような掘削機10は、知られているように、硬い地面を掘削するのには、または歪んだ(re-bitten)パネルを掘削するのには、工具にかける負荷が低すぎるという欠点を有する。
【0056】
この欠点を克服するために、図1の掘削機10は、本発明による改造方法に従って改造され、本発明に従ってアンカーキットがその中に取り付けられる。
【0057】
したがって、アンカーキット100が、前記掘削機10とは異なる追加の構造ユニットを構成することが理解される。
【0058】
本発明による改造方法だけでなく、本発明によるアンカーキットの3つの実施形態も、以下に説明する。
【0059】
図4には、本発明の第1実施形態によるアンカーキット100が、示されている。
【0060】
前記アンカーキット100は、第1パーツを土壌で固定化するためのアンカー装置114を含む第1パーツ112を有する、第1アンカーモジュール110を備える。
【0061】
前記アンカー装置114は、以下でより詳細に説明される。
【0062】
前記第1アンカーモジュール114は、第2パーツ116を前記フレーム12に固定するための固定装置118を有する第2パーツ116を、更に備える。この例では、前記固定装置118は、例えば、ボルト119を備える。
【0063】
また、前記第2パーツ116が前記第1パーツ112と協働することが、観察され得る。より具体的には、前記第1アンカーモジュール110は、前記第2パーツ116を、第1方向Aに沿って前記第1パーツ112に対して相対的に移動させるための変位装置122を備える。前記第1アンカーモジュールが前記フレームに取り付けられるとき、第1方向Aは、前記フレームの長手方向Xと平行であり、これら2つの方向が実質的に垂直であることが、観察され得る。
【0064】
この例では、前記変位装置122は、前記第1パーツ112と前記第2パーツ116とに接続されているアクチュエータ124を備える。前記アクチュエータ124の作動は、前記第1パーツ112に対して相対的に、前記第2パーツ116を第1方向Aに沿って並進移動させる効果を有する。この例では、前記アクチュエータ124は、油圧シリンダ126を備える。前記油圧シリンダ126への作動液の供給を可能にするために、前記油圧シリンダ126に接続されるが前記フレーム12の油圧ホース13に接続されるようにも構成される、油圧継手130を、前記アンカーキット100は更に備える。
【0065】
図1図2図3および図4を参照すると、前記固定装置118は、前記第2パーツ116を前記フレーム12の第1小面12cに、取り外し可能な方法で固定することを可能にすることが理解される。
【0066】
前記固定装置により、アンカーキットが不要になったときに前記アンカーキットを取り外すことが、可能になる。図4および図5を参照すると、第1方向Aに対して横方向である第2方向Bに沿って展開可能な第1アンカーパッド140および第2アンカーパッド142を、前記アンカー装置114が備えることが、観察され得る。前記第1アンカーパッド140の展開方向が前記第2アンカーパッド142の展開方向とは反対であることも、理解される。図5は、アンカー位置にあるアンカー装置を示しており、前記第1パーツ112を固定化するために、第1アンカーパッド140および第2アンカーパッド142は、土壌Sで掘削された溝Tの対向する壁P1、P2により支承されている。
【0067】
図5を参照すると、前記第1パーツ112がボティ144を更に備え、前記アンカー装置114が第1アクチュエータ146および第2アクチュエータ148を備えることが、観察され得る。この例では、油圧シリンダ(複数)が、それぞれ第1アンカーパッド140および第2アンカーパッド142に接続されている。前記アクチュエータ146、148は、第1方向Aに対して横方向である第3方向Cに沿って、ボティ144に対して摺動可能に取り付けられており、この例では、第2方向Bと第3方向Cは、平行である。このようなフローティング取り付けは、前記ボティ144の位置を変更することなく、第1パーツ112を土壌で係止する効果を有し、これにより、係止中に前記掘削モジュールの位置が変わらないままにすることができる。一つの利点は、係止中に掘削経路を偏向させないことである。
【0068】
図2、3および4を再び参照すると、前記第1アンカーモジュール110が、第1方向Aに沿う前記第1パーツ112に対する並進運動としての前記フレーム12の変位を案内するための案内システム150を更に含むことが、観察され得る。
【0069】
図4でよりよく観察される前記案内システム150は、第1部分152と、前記第1部分に対して摺動可能に取り付けられる第2部分154とを含む。前記第2部分154は、前記第2部分154を前記フレーム12に固定するための固定部材156を、含む。更に、前記第1アンカーモジュール110の第1パーツ112は、前記案内システム150の第1部分152を含む。この例では、前記第2部分154は、レール158を含み、前記第1部分152は、レール158が係合する溝160を含み、これにより、前記フレーム12と、前記第1アンカーモジュール110の第1パーツ112との間の摺動接続を形成することができる。
【0070】
前記レール158が、例えばボルトなどの前記固定部材156により、前記フレームにしっかりと固定されていることも理解される。
【0071】
図2および図3から理解されるように、前記アンカーキット100は、ここでは前記第1アンカーモジュール110と同一である第2アンカーモジュール110’を更に備える。
【0072】
前記第2アンカーモジュール110’はまた、アンカー装置114’を備える第1パーツ112’と、前記フレーム12に固定されることが意図される第2パーツ116’とを含む。第2アンカーモジュール110’は、前記フレームへの固定装置118’と、変位装置122’とを更に備える。
【0073】
図2および図3に示されるように、前記アンカーキット100は、前記第1アンカーモジュール110と前記第2アンカーモジュール110’とを一緒に固定するための接続装置170を更に備える。この例では、前記接続装置170は、前記第1アンカーモジュール110の前記第1パーツ112と、前記第2アンカーモジュール110’の前記第1パーツ112’とを一緒に固定するように配置されている。ここでの接続装置は、前記第1パーツ同士を互いに接続する剛性要素を形成するバー172、174から構成されている。
【0074】
図2および図3により、第1および第2アンカーモジュール110、110’の第1パーツのアンカー装置が作動すると、前記第1パーツが土壌で固定化されることが、理解される。図2では、前記変位装置は、格納位置にある。その後の前記変位装置122、122’の作動は、前記油圧シリンダを展開する効果を有し、これら油圧シリンダにより、次いで、前記第1および第2アンカーモジュールの第2パーツが下方に引っ張られ、ひいては前記フレームが、次いで前記掘削モジュールが下方に引っ張られる。以上説明したように、1つの利点は、硬い地面での掘削を容易にすることである。
【0075】
図2から図4の例では、前記第1アンカーモジュールの第2パーツ116は、前記第1パーツ112と前記掘削モジュール16との間に配置されている。図6および図7により、本発明によるアンカーキット200の第2実施形態が、ここで説明される。
【0076】
前記アンカーキット200は、図1に図示された掘削機10に取り付けられる。第1実施形態と同様に、前記アンカーキット200は、土壌で第1パーツ212を固定化するためのアンカー装置214を含む前記第1パーツ212と、第2パーツを前記フレーム12に固定するための固定装置218を含む前記第2パーツ216と、を有する第1アンカーモジュール210を備え、前記第2パーツ216は、前記第1パーツ212と協働する。
【0077】
前記アンカーキット200はまた、第1方向Aに沿って前記第2パーツ216を前記第1パーツ212に対して相対的に移動させるための変位装置222を備える。
【0078】
図6および7から理解されるように、第2実施形態によるアンカーキット200は、上述した第1実施形態によるアンカーキット100と非常に類似している。前記アンカーキット200は、アンカー装置214、214’と、油圧シリンダ(複数)を有する変位装置222、222’と、を備える。前記アンカーキット200の第2実施形態は、前記第1パーツが前記第2パーツと掘削モジュールとの間に配置されている点で、第1実施形態とは異なる。図6では、前記変位装置222,222’は展開位置にある。前記アンカー装置214,214’が作動されるとき、すなわち前記第1パーツが土壌で固定化されているとき、前記変位装置222,222’の作動は、前記変位装置222,222’のシリンダを格納位置にもっていく効果を有し、これにより、前記第2パーツ216が下方に引っ張られ、よって前記フレーム12が、ひいては前記掘削モジュール16が引っ張られる。
【0079】
図8および図9により、本発明によるアンカーキット300の第3実施形態が、ここで説明される。ここでも、前記アンカーキット300は、図1に示される掘削機10に取り付けられている。
【0080】
前記アンカーキット300の第3実施形態は、第1および第2アンカーモジュール310、310’の第1パーツ312、312’を接続する接続装置370が、長手方向Xに沿って前記フレーム12の変位を案内するための通路372を備えるという点で第1実施形態とは異なるが、別の見方をすれば、第1および第2アンカーモジュール310,310’の第1パーツ312,312’は、単一の部品を形成している。この例では、この単一部分は、前記掘削機の幅に沿って延びる一対の大きなアンカーパッド315を備えたアンカー装置314を含む。また、この例では、前記第1アンカーモジュール310の第2パーツ316もまた、前記第1アンカーモジュール310の第1パーツ312と、前記掘削モジュール16との間に配置されている。
【0081】
このアンカーキット300は、前記接続装置370と前記第1アンカーモジュール310の第2パーツ316との間に配置された第1アクチュエータ323と、前記接続装置370と前記第2アンカーモジュール310’の第2パーツ316’との間に配置された第2アクチュエータ325と、を含む。
【0082】
前記アンカー装置314が作動すると、前記第1パーツは土壌で固定化される。第1実施形態と同様に、前記第1および第2アクチュエータ323、325は、図8に示されるように、格納位置にあり、前記変位装置322の作動は、前記第1および第2アクチュエータ323、325を展開する効果を有し、それにより前記フレーム12および前記掘削モジュール16が下向きに押される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9