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特許7373564蛍光ナノ材料-ポリマー複合体、波長変換素子の製造方法及び発光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】蛍光ナノ材料-ポリマー複合体、波長変換素子の製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231026BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20231026BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20231026BHJP
【FI】
G02B5/20
C08L101/00
C08K3/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021525703
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2019073002
(87)【国際公開番号】W WO2020103333
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】201811381450.4
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521201344
【氏名又は名称】スージョウ シンシュオ ナノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユンジュン
(72)【発明者】
【氏名】マー ボー
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0264371(US,A1)
【文献】特表2014-513865(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129067(WO,A1)
【文献】特開2005-008651(JP,A)
【文献】国際公開第2017/201465(WO,A1)
【文献】特開平09-249775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C08L 101/00
C08K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ナノ材料及びポリマーを含む前駆体を提供するステップと、
前記ポリマーの融点に等しいか、又はそれよりも高い第1温度で、前記前駆体を混合してから、冷却するステップと、
を含蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法であって、
前記ポリマーは、ビニルポリマー、プロペニルポリマー、チオール-エンポリマー、(メタ)アクリレートポリマー、カルバマートポリマー、カーボネートポリマー、エポキシポリマー、及び有機ケイ素ポリマーのうちの少なくとも1つを含み、
前記前駆体は、炭化水素類添加剤をさらに含み、常圧で、前記炭化水素類添加剤のうち少なくとも1つの成分の沸点は、前記第1温度よりも高く、
前記炭化水素類添加剤のうち少なくとも1つの成分は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に残前記炭化水素類添加剤は、ホワイトオイルを含み、前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体での前記ホワイトオイルの含有量は、重量パーセントで0.1%~5%である、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項2】
前記蛍光ナノ材料は、ナノクラスター、量子ドット、ナノロッド及びナノディスクのうちの少なくとも1つから選択される請求項1に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリマーは、少なくとも1つの成分を含み、前記第1温度は、前記ポリマーのうち融点の最も高い成分の融点よりも高いか、又はそれに等しい請求項1に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリマーの結晶化度は、5%よりも大きい請求項1に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項5】
前記第1温度は、90~310℃の間の値を取る請求項1に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項6】
前記前駆体は、溶媒をさらに含み、前記溶媒は、C-C22アミン化合物、窒素含有ヘテロ環化合物、C-C40脂肪族炭化水素、C-C30芳香族炭化水素、C-C22ホスフィンオキシド化合物及びC12-C22芳香族エーテルのうちの少なくとも1つから選択される請求項1に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に成形処理を行うことで、所定の形の波長変換素子を得ることを含む波長変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記所定の形は、顆粒状、フィルム状、繊維状、管状、泡状又はボウル状を含む請求項7に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記成形処理は、塗布成形、ラミネート成形、キャスティング成形、コールドプレス成形、トランスファ成形、低圧成形、押出成形、押引成形、射出成形又はブロー成形を含む請求項7に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を、請求項1に記載のポリマーである第1ポリマーと同じであるか、又は異なる第2ポリマーに分散させ、
前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の任意の方向をX軸として定義し、前記X軸に垂直な任意の方向をY軸として定義し、前記X軸及び前記Y軸で構成された平面に垂直な任意の方向をZ軸として定義する場合、前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である波長変換素子の製造方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と光硬化性の第2ポリマーの樹脂溶液とを混合した後、光を照射し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得る請求項10に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と熱硬化性の第2ポリマーの樹脂とを混合した後、加熱し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得る請求項10に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と溶融した第2ポリマーとを混合した後、冷却成形して、所定の形の波長変換素子を得る請求項10に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項14】
前記所定の形は、顆粒状、フィルム状、繊維状、管状、泡状又はボウル状を含む請求項11~13のいずれか1項に記載の波長変換素子の製造方法。
【請求項15】
光源及び請求項7~14のいずれか1項に記載の方法で製造された波長変換素子を含む発光装置であって、前記波長変換素子は、前記光源からの光を受光し、かつ、別の波長の光に変換する発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、蛍光ナノ材料の分野に関し、特に、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体、波長変換素子の製造及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ナノ材料は、入射した光を変換して、所定の波長を有する変換後の光を生成することができる材料であり、ディスプレイ、照明分野に広く用いられている。
【0003】
ナノ材料は、三次元空間で少なくとも1つの次元がナノ寸法(0.1~100nm)であるか、又はそれらを基本単位として構成した材料であり、蛍光ナノ材料は、一部の希土類蛍光材料にないメリットを有する。蛍光ナノ材料は、一般的にポリマーに分散し、所定の形の波長変換素子に製造されて使用されるが、蛍光ナノ材料は、外部環境における酸素、水蒸気、及び他の要因により破壊された場合、その安定性が低くなり、ディスプレイ、照明分野において波長変換素子の安定性に対する要求を満たすことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、蛍光ナノ材料の安定性が低いという問題を解決するために、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の1つの側面によれば、蛍光ナノ材料及びポリマーを含む前駆体を提供するステップと、前記ポリマーの融点に等しいか、又はそれよりも高い第1温度で、前記前駆体を混合してから、冷却するステップと、を含む蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法を提供する。
【0006】
非強制的に、前記蛍光ナノ材料は、ナノクラスター、量子ドット、ナノロッド及びナノディスクのうちの少なくとも1つから選択される。
【0007】
非強制的に、前記ポリマーは、少なくとも1つの成分を含み、前記第1温度は、前記ポリマーのうち融点の最も高い成分の融点よりも高いか、又はそれに等しい。
【0008】
非強制的に、前記ポリマーの結晶化度は、5%よりも大きい。
【0009】
非強制的に、前記第1温度は、90~310℃の間の値を取る。
【0010】
非強制的に、前記ポリマーは、ビニルポリマー、プロペニルポリマー、チオール-エンポリマー、(メタ)アクリレートポリマー、カルバマートポリマー、カーボネートポリマー、エポキシポリマー、パラフィンワックス及び有機ケイ素ポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
非強制的に、前記前駆体は、溶媒をさらに含み、前記溶媒は、C-C22アミン化合物、窒素含有ヘテロ環化合物、C-C40脂肪族炭化水素、C-C30芳香族炭化水素、C-C22ホスフィンオキシド化合物及びC12-C22芳香族エーテルのうちの少なくとも1つから選択される。
【0012】
非強制的に、前記前駆体は、炭化水素類添加剤をさらに含み、常圧で、前記炭化水素類添加剤のうち少なくとも1つの成分の沸点は、前記第1温度よりも高い。
【0013】
本願の他の側面によれば、以上に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に成形処理を行うことで、所定の形の波長変換素子を得ることを含む波長変換素子の製造方法を提供する。
【0014】
非強制的に、前記所定の形は、顆粒状、フィルム状、繊維状、管状、泡状又はボウル状を含む。
【0015】
非強制的に、前記成形処理は、塗布成形、ラミネート成形、キャスティング成形、コールドプレス成形、トランスファ成形、低圧成形、押出成形、押引成形、射出成形又はブロー成形を含む。
【0016】
非強制的に、上記した蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を第2ポリマーに分散させ、前記第2ポリマーは、前記第1ポリマーと同じであるか、又は異なり、
前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の任意の方向をX軸として定義し、前記X軸に垂直な任意の方向をY軸として定義し、前記X軸及び前記Y軸で構成された平面に垂直な任意の方向をZ軸として定義した場合、前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である。
【0017】
非強制的に、上記した蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と光硬化性の第2ポリマーの樹脂溶液とを混合した後、光を照射し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得る。
【0018】
非強制的に、上記した蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と熱硬化性の第2ポリマーの樹脂とを混合した後、加熱し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得る。
【0019】
非強制的に、上記した蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と溶融した第2ポリマーとを混合した後、冷却成形して、所定の形の波長変換素子を得る。
【0020】
非強制的に、前記所定の形は、顆粒状、フィルム状、繊維状、管状、泡状又はボウル状を含む。
【0021】
本願の他の側面によれば、光源及び以上に記載の方法で製造された波長変換素子を含む発光装置であって、前記波長変換素子は、前記光源からの光を受光して、別の波長の光に変換する発光装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本願は、以下の有益な効果を有する。
【0023】
(1)蛍光ナノ材料と溶融状態のポリマーを混合して、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造し、当該製造方法は、簡単であり、大規模製造に適する。
【0024】
(2)蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの光安定性が高い。
【0025】
(3)蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に成形処理を行うか、又は蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を第2ポリマーに分散させてから成形処理を行うことで、所定の形の波長変換素子を得ることができ、当該方法による成形が簡単であり、様々な適用シーンの要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願の1つの例示的な実施例における発光装置の電球の構造模式図である。
図2】本願の1つの例示的な実施例における波長変換フィルムの構造模式図である。
図3】本願の1つの例示的な実施例における波長変換素子の製造方法の流れ図である。
図4】本願の1つの例示的な実施例における波長変換素子の製造方法の流れ図である。
図5】本願の1つの例示的な実施例における波長変換素子の製造方法の流れ図である。
図6】本願の1つの例示的な実施例における波長変換フィルムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願の実施形態を参照しながら、本願の実施例における技術案を詳しく説明する。なお、説明される実施形態は、本願の一部の実施形態だけであり、全ての実施形態ではない。
【0028】
本願のいくつかの例示的な実施形態によれば、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造方法は、蛍光ナノ材料及びポリマーを含む前駆体を提供するステップと、ポリマーの融点に等しいか、又はそれよりも高い第1温度で、前駆体を混合してから、冷却するステップと、を含む。
【0029】
蛍光ナノ材料は、ある波長の光を受光した後、別の波長の光を発することができる材料を指す。本願の例示的な実施形態では、蛍光ナノ材料とし得る物質は、ナノクラスター、量子ドット、ナノロッド、ナノディスクのうちの少なくとも1つから選択されるが、これらに限定されない。本願において、蛍光ナノ材料の発光ピークの半値幅は、60nmより小さいことが好ましく、励起光は、紫色光、青紫色光又は青色光などであってもよい。
【0030】
本願において、ナノクラスターは、何個乃至千個以上の原子、分子又はイオンが物理的又は化学的結合力によって形成した比較的安定している微視的な又は超顕微鏡的な集合体を指す。ナノクラスターの三次元寸法は、一般的に0.1nm~10nm程度である。本願の例示的な実施例において、ナノクラスターは、Agクラスター、Auクラスター、IIB-VIA族クラスター、IIIA-VA族クラスター、IVA-VIA族クラスター、IVA族クラスター、IB-IIIA-VIA族クラスター、VIII-VIA族クラスターを含むが、これらに限定されない。
【0031】
本願において、ナノロッドは、何十乃至数百ナノの直径を有し、かつ、大きいアスペクト比を有するナノサイズの構造物である。本願の例示的な実施例において、ナノロッドは、Agナノロッド、Auナノロッド、Cuナノロッド、IIB-VIA族ナノロッド、IIIA-VA族ナノロッド、IVA-VIA族ナノロッド、IVA族ナノロッド、IB-IIIA-VIA族ナノロッド、VIII-VIA族ナノロッド又はペロブスカイトナノロッドを含むが、これらに限定されない。例えば、具体的には、ナノロッドは、CdSe/ZnSナノロッド、CdZnS/ZnSナノロッド、InP/ZnSナノロッド、PbSeナノロッド、PbSナノロッド、PbSe/CdSナノロッド、PbSe/ZnSナノロッド、MAPbBrナノロッド、CsPbBrナノロッド、CuInSナノロッド、Agナノロッド、Auナノロッド、Cuナノロッドなどを含むが、これらに限定されない。
【0032】
本願において、ナノディスクは、「ナノ薄板」、「ナノシート」、「二次元ナノ粒子」又は「ナノプレート」などと呼ばれてもよく、他の2つの次元よりも小さい次元1つを有するナノ粒子を互換に指すことができ、最小寸法次元(以下、厚さと呼ぶ)は、0.1~100ナノメートルである。本願の意味では、他の2つの次元(以下、長さ及び幅と呼ぶ)は、厚さの1~100倍であり得る。ナノディスクは、IIB-VIA族ナノディスク、IIIA-VA族ナノディスク、IVA-VIA族ナノディスク、IVA族ナノディスク、IB-IIIA-VIA族ナノディスク、VIII-VIA族ナノディスク、ペロブスカイトナノディスク又は遷移金属ジカルコゲナイドナノディスクを含むが、これらに限定されない。例えば、具体的には、ナノディスクは、CdSe/ZnSナノディスク、CdZnS/ZnSナノディスク、InP/ZnSナノディスク、CdSe/CdZnSナノディスク、PbSeナノディスク、PbSナノディスク、MAPbBrナノディスク、CsPbBrナノディスク、CuInSナノディスク、MoOナノディスク、MoSナノディスク、MoSeナノディスク、MoTeナノディスク、WSナノディスクなどを含むが、これらに限定されない。
【0033】
有機燐光分子又は蛍光分子と異なって、蛍光ナノ材料は大きい比表面積を有するため、その光、熱などの他の環境因子に対する安定性が低い。従来技術において、蛍光ナノ材料の光学特性及び安定性が悪くならないように、一般的に蛍光ナノ材料に高温処理を行わない。蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造する場合、最も多く用いられる方式として、蛍光ナノ材料をポリマー樹脂溶液に直接分散させ、光硬化又は熱硬化することで得られる。しかしながら、発明者は、実験を経て、ポリアクリル酸樹脂、ポリエポキシ樹脂などの最もよく用いられるポリマーにとって、当該方式で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の光学的安定性が相変わらず悪く、ポリマーの蛍光ナノ材料に対する水・酸素保護能力が弱いことを発見した。
【0034】
蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造する場合、最もよく用いられる別の方式として、膨潤法を採用し、蛍光ナノ材料をポリマーに被覆し、例えば、まずポリマーを溶媒で溶解し、蛍光ナノ材料と混合した後、溶媒を全て吸い出せばよい。本願において、発明者は、膨潤法と大きく異なって、蛍光ナノ材料と溶融後のポリマーを混合してから、冷却処理を行い、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体において蛍光ナノ材料の使用寿命が明らかに長くなることを不意に発見した。また、本願において、蛍光ナノ材料と溶融したポリマーを直接混合し、当該製造方法は簡単であり、特に大規模製造に適する。
【0035】
本願の1つの例示的な実施形態では、蛍光ナノ材料の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体での重量含有量は、0.01wt%~50wt%であり、0.1wt%~10wt%であることが好ましく、0.5wt%~5wt%であることがより好ましい。
【0036】
本明細書で使用されているように、用語の「融点」は、ポリマーの溶融区間の最高温度を指す。ポリマーが全く同じ結晶、全く同じ重合度、及び全く同じ重合鎖セグメントからなるわけではなく、かつ、ポリマーの加熱溶融プロセスにおいて、ポリマーの非結晶ドメインが先に溶融し、結晶ドメインにはさらに高い溶融温度が必要であるため、「融点」は、一般的に、ポリマーの結晶ドメインの結晶構造を破壊する温度を代表する。本願において、第1温度がポリマーの融点よりも高いことは、ポリマーの溶融区間の最高温度よりも高いことを指す。
【0037】
本願において、量子ドットは、三次元寸法がいずれも100nm以内のナノ粒子を指す。ナノ粒子の形は、球状、楕円体状、多面体状などを含むが、これらに限定されない。
【0038】
本願において、量子ドットの寸法は、1~15nmであることが好ましい。量子ドットは、IIB-VIA族量子ドット、IIIA-VA族量子ドット、IVA-VIA族量子ドット、IVA族量子ドット、IB-IIIA-VIA族量子ドット、VIII-VIA族量子ドット又はペロブスカイト量子ドットであり得るが、これらに限定されない。
【0039】
本願において、IIB-VIA族量子ドットは、1種のIIB族元素及びVIA族元素からなる二元素構造のみに限定されず、三元素構造であってもよく、例えば、2種のIIB族元素及び1種のVIA族元素からなるか、又は1種のIIB族元素及び2種のVIA族元素からなり、四元素構造であってもよく、例えば、2種のIIB族元素及び2種のVIA族元素からなる。IIB-VIA族量子ドットは、シングルシェル層又はマルチシェル層構造であってもよく、例えば、シングルシェル層がZnSである場合、IIB-VIA族量子ドットは、CdSe/ZnS、CdSeS/ZnSなどであってもよく、例えば、マルチシェル層がZnSe/ZnSである場合、IIB-VIA族量子ドットは、CdSe/ZnSe/ZnS、CdSeS/ZnSe/ZnSなどであってもよい。IIB-VIA族量子ドットと同じように、IIIA-VA族量子ドット、IVA-VIA族量子ドット、IVA族量子ドット、IB-IIIA-VIA族量子ドット、VIII-VIA族量子ドットも、1種の元素又は2種の元素又は3種の元素からなることに限定されない。
【0040】
1つの例示的な実施形態では、量子ドットは、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、PbS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS、PbS、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnS、HgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、CuInS、C、Si、SiCを含むが、これらに限定されない。
【0041】
「ペロブスカイト」は、ペロブスカイト結晶構造を有する化合物を指す。ペロブスカイト結晶構造は、CaTiO3の結晶構造に対応する三次元(3D)結晶構造を指す。1つの例示的な実施形態では、量子ドットは、化学式1に示される化合物であるペロブスカイト量子ドットを含むが、これに限定されない。
【0042】
化学式1:ABX。ただし、化学式1では、Aは、少なくとも1つの1価有機カチオン、少なくとも1つの1価無機カチオン又はその任意の組み合わせであり、Bは、少なくとも1つの2価無機カチオンであり、Xは、少なくとも1つの1価アニオンである。
【0043】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、化学式1において、Aは、(RC)、(RN)、(RP)、(RAs)、(RSb)、(RN=C(R)-NR、置換又は未置換のトロピリデン、置換又は未置換の窒素含有五員環の1価カチオン、置換又は未置換の窒素含有六員環の1価カチオン、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr又はその任意の組み合わせである。
【0044】
~Rは、それぞれ独立して水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシ、置換又は未置換のC-C60アルキル、置換又は未置換のC-C60アルケニル、置換又は未置換のC-C60アルキニル、置換又は未置換のC-C60アルコキシ、置換又は未置換のC-C60アリール又は-N(Q)(Q)から選択される。
【0045】
前記置換のトロピリデン、前記置換の窒素含有五員環の1価カチオン及び前記置換の窒素含有六員環の1価カチオンの少なくとも1つの置換基は、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシ、置換又は未置換のC-C60アルキル、置換又は未置換のC-C60アルケニル、置換又は未置換のC-C60アルキニル、置換又は未置換のC-C60アルコキシ、置換又は未置換のC-C60アリール又は-N(Q)(Q)から選択され、Q~Qは、それぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシ、C-C60アルキル、C-C60アルケニル、C-C60アルキニル、C-C60アルコキシ又はC-C60アリールから選択される。
【0046】
本明細書で使用されているように、フレーズの「窒素含有五員環」及び「窒素含有六員環」は、少なくとも1つの窒素(N)及び少なくとも1つの炭素(C)原子を環形成原子として含む有機環状グループを指す。
【0047】
例えば、「窒素含有五員環」グループは、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピロリジン、ピロリン、ピロール又はトリアゾールであってもよく、「窒素含有六員環」グループは、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はピペリジンであってもよい。しかしながら、本願の例示的な実施形態は、これらに限定されない。
【0048】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、化学式1において、Aは、(NH、(PH、(AsH、(SbH、(NF、(PF、(NCl、(PCl、(CHNH、(CHPH、(CHAsH、(CHSbH、((CHNH、((CHPH、((CHAsH、((CHSbH、((CHNH)、((CHPH)、((CHAsH)、((CHSbH)、((CHCH)NH、((CHCH)PH、((CHCH)AsH、((CHCH)SbH、(CH、(C、(NHOH)、(NHNH、((CHNH、(CH(NH、(C、(NC、((NHC)、K、Rb、Cs又はその任意の組み合わせである。しかしながら、本願の例示的な実施形態は、これらに限定されない。
【0049】
化学式1において、Bは、少なくとも1つの2価無機カチオンであってもよい。例えば、化学式1におけるBは、1つの2価無機カチオン又は少なくとも2つの異なる2価無機カチオンの組み合わせであってもよい。
【0050】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、Bは、希土金属の2価カチオン、アルカリ土金属の2価カチオン、遷移金属の2価カチオン、後周期遷移金属の2価カチオン、又はその任意の組み合わせであってもよい。例えば、Bは、La2+、Ce2+、Pr2+、Nd2+、Pm2+、Eu2+、Gd2+、Tb2+、Ho2+、Er2+、Tm2+、Yb2+、Lu2+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Pb2+、Sn2+又はその任意の組み合わせであってもよい。
【0051】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、Bは、Tm2+、及びLa2+、Ce2+、Pr2+、Nd2+、Pm2+、Eu2+、Gd2+、Tb2+、Ho2+、Er2+、Yb2+、Lu2+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Pb2+、Sn2+又はその任意の組み合わせであってもよい。しかしながら、本願の例示的な実施形態は、これらに限定されない。
【0052】
化学式1において、Xは、少なくとも1つの1価アニオンであってもよい。例えば、Xは、1価アニオン又は少なくとも2つの異なる1価アニオンの組み合わせであってもよい。
【0053】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、化学式1において、Xは、少なくとも1つのハロゲンアニオンであってもよく、例えば、F-、Cl-、Br-又はI-が挙げられる。例えば、式1におけるXは、少なくとも1つのハロゲンアニオン又は少なくとも2つの異なるハロゲンアニオンの組み合わせであってもよい。
【0054】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、化学式1のペロブスカイト化合物は、[CHNH][Pb][I]、[CHNH][PbSr(1-n)][I]、[Cs][Pb][I]、[Rb][Pb][I]、[K][Pb][I]、[K][PbSr(1-n)][I]、[CHNH][Pb][Br]、[CHNH][PbSr(1-n)][Br]、[CHNH][PbMg(1-n)][Br]、[CHNH][Pb][Cl]、[CHNH][PbSr(1-n)][Cl]、[CHNH][PbMg(1-n)][Cl]から選択可能であり、nは、条件0<n<1を満たす実数とされ得る。例えば、nは、条件0<n≦0.6を満たす実数であってもよい。本願のいくつかの例示的な実施形態では、nは、条件0.001≦n≦0.6を満たす実数であってもよい。本願のいくつかの例示的な実施形態では、nは、条件0.05≦n≦0.4を満たす実数であってもよい。しかしながら、本願の例示的な実施形態は、これらに限定されない。
【0055】
一般的に、ポリマーは、ポリマー鎖が規則的に配列される結晶ドメイン及びポリマー鎖が不規則的に配列される非結晶ドメインを含み、ポリマーは、完全に結晶ドメイン又は非結晶ドメインで形成される場合が少なく、通常、結晶ドメインと非結晶ドメインが共に存在するため、ポリマーの冷却プロセスにおいて、一般的に結晶ドメインが生じる。この場合、全てのポリマーに対する結晶ドメインの割合(パーセント)は、ポリマーの結晶化度で表すことができる。本願のいくつかの例示的な実施形態では、使用されるポリマーの結晶化度は、5%よりも大きく、発明者は、ポリマーの結晶化度が大きい場合、製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の光安定性がより高いことを発見した。好ましくは、ポリマーの結晶化度は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%であってもよい。例えば、パームワックスの結晶化度がポリプロピレン又はポリエチレンの結晶化度より低いため、後者を蛍光ナノ材料分散用のポリマーとして採用する場合、蛍光ナノ材料の安定性の向上により寄与する。
【0056】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、ポリマーは、少なくとも1つの成分を含むことができる。ポリマーが複数の成分を含有する場合、第1温度は、前記ポリマーのうち融点の最も高い成分の融点よりも高いか、又はそれに等しく、こうすれば、第1温度である場合、全てのポリマーを溶融状態にすることができる。
【0057】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、第1温度は、90~310℃であることが好ましい。具体的には、第1温度は、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃であってもよい。第1温度は、90~220℃であることが好ましく、こうすれば、第1温度が余りにも高い場合、蛍光ナノ材料に与える可能性のある悪影響をさらに回避することができる。
【0058】
例えば、ポリマーは、ビニルポリマー、プロペニルポリマー、チオール-エンポリマー、(メタ)アクリレートポリマー、カルバマートポリマー、カーボネートポリマー、エポキシポリマー、パラフィンワックス及び有機ケイ素ポリマーのうちの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、ポリマーは、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(有機ガラス)、ポリデカメチレンホルムアミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、酢酸酪酸セルロース、パームワックス、ポリメチルフェニルシリコーン、ポリジメチルシロキサンなどであってもよい。結晶化度の高い高分子を選択するために、対称性が高く、分岐鎖がなく、又は分岐鎖が非常に少なく、又はペンダント基の体積が小さいポリマーが好ましい。
【0059】
蛍光ナノ材料とポリマーの混合均一性を増やし、分散性能のより良い蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造するため、本願のいくつかの例示的な実施形態では、前駆体には、溶媒をさらに含み、溶媒は、C-C22アミン化合物、窒素含有ヘテロ環化合物、C-C40脂肪族炭化水素、C-C30芳香族炭化水素、C-C22ホスフィンオキシド化合物及びC12-C22芳香族エーテルのうちの少なくとも1つから選択される。具体的には、ヘキサデシルアミンのようなC-C22アルキル第一級アミン、ジオクチルアミンのようなC-C22アルキル第二級アミン、トリオクチルアミンのようなC-C40アルキル第三級アミン、ピリジンのような窒素含有ヘテロ環化合物、オクタデセンのようなC-C40アルケン、ヘキサデカン、オクタデカン、又はスクワランのようなC-C40脂肪族炭化水素、トルエン、フェニルドデカン、フェニルテトラデカン、又はフェニルヘキサデカンのようなC-C30アルキル置換の芳香族炭化水素、トリオクチルホスフィンのようなC-C22アルキル置換のホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシドのようなC-C22アルキル置換のホスフィンオキシド、フェニルエーテル、又はベンジルエーテルのようなC12-C22芳香族エーテル、又はその組み合わせである。溶媒は、第1温度処理プロセスで常圧又は減圧の方式で除去される。
【0060】
溶融したポリマーを冷却する際に、様々な方式を採用することができ、1つの例示的な実施形態では、冷却プロセスは、水冷又は空気で直接冷却する方式を採用する。
【0061】
1つの例示的な実施形態では、前駆体には、炭化水素類添加剤をさらに含む。常圧で、炭化水素類添加剤のうち少なくとも1つの成分の沸点は、前記第1温度よりも高い。このように、炭化水素類添加剤のうち少なくとも1つの成分は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に残る。炭化水素類添加剤は、飽和又は不飽和の炭化水素類であることが好ましく、例えばホワイトオイルが挙げられる。なお、ホワイトオイルは、パラフィンオイル又は白油又は鉱油とも呼ばれ、石油に由来する製錬された液体炭化水素の混合物であり、主に、飽和のシクロアルカンとパラフィン系炭化水素の混合物であり、原油に常圧及び減圧分留、溶媒抽出及び脱蝋を行い、水素化精製して得られる。本願において、炭化水素類添加剤の役割は極めて重要であり、表面に一般的にアルキルアミン、アルキル酸、メルカプタンなどのリガンドが修飾されたことにとって、蛍光ナノ材料は、強い疎水性を有し、蛍光ナノ材料とポリマーの相溶性が極めて悪く、即ち、蛍光ナノ材料がポリマーにおいて効果的に分散できない恐れがある。炭化水素類添加剤の添加によって、ちょうど蛍光ナノ材料とポリマーがうまく相溶できるようにすることができ、蛍光ナノ材料にさらなる表面被覆などを行わなくても済むことができる。また、溶融プロセスにおいて超音などの特別な分散手段を採用することも避けることができる。本願において、発明者は、適切な含有量の炭化水素類添加剤を添加することによって、蛍光ナノ材料のポリマーでの分散性を効果的に増やし、蛍光ナノ材料が大量に凝集しないように維持し、安定した発光性能を保証することができることを発見した。
【0062】
蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造した後、重量パーセントで、ホワイトオイルの蛍光ナノ材料-ポリマー複合体での含有量は、0.1%~5%であることが好ましく、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%であることがより好ましい。1%~3%であることが好ましい。
【0063】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、450nmの光による励起によって、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の発光ピーク波長は、515~535nmに達し、即ち、緑色光の範囲にあることができ、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の発光ピーク波長は、620~760nmに達し、即ち、赤色光の範囲にあることができ、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の発光ピーク波長は、850nmよりも大きくなり、即ち、近赤外の範囲にあることができ、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の発光ピークは、複数有し、例えば、2つであり、515~535nmの箇所及び620~680nmの箇所においてそれぞれ1つの発光ピークを有し、即ち、黄色光の範囲にあることができる。
【0064】
本願のいくつかの例示的な実施形態では、波長変換素子の製造方法を提供し、以上に記載の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体に成形処理を行うことで、所定の形の波長変換素子を得ることを含み、所定の形は、顆粒状、フィルム状、繊維状、管状、泡状又はボウル状を含む。
【0065】
成形処理に用いられる方式は、塗布成形、圧縮成形、ラミネート成形、キャスティング成形、コールドプレス成形、トランスファ成形、低圧成形、押出成形、押引成形、射出成形、ブロー成形などを含むが、これらに限定されない。
【0066】
例えば、ブロー又は真空成形の方法でポリマー材料の変形を実現することで、三次元の形の波長変換素子を製造し、三次元の形は、例えば所望の用途に合わせる電球状に適合でき、所望の他の形に適用してもよい。また、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の安定性が高く、水蒸気・酸素による破壊に耐える能力が強いため、波長変換素子の表面に水蒸気・酸素遮断材料をさらに設けなくてもよい。
【0067】
1つの例示的な実施例では、図1に示すように、発光装置を提供し、発光装置である電球100は、電球シェル11(波長変換素子)、伝熱柱12及びLED光源板13を含み、電球シェル11は、泡状体である。電球シェル11は、LED光源板13からの励起光を受光した後、例えば、励起光は青色光又は紫色光であり、電球シェル11における蛍光ナノ材料は、励起光を受光した後、青色光又は赤色光又は赤外光などに変換することにより、所定の発射光の電球100を獲得して、異なる適用シーンを満たす。異なる形及びタイプの電球について、電球シェル11の形は、泡状に制限されず、例えば、ボウル状、螺旋状、シート状などであってもよく、伝熱柱12は、電球に必須のモジュールでもなく、他の熱伝導部材に代替されてもよい。
【0068】
1つの例示的な実施例では、図2に示すように、波長変換素子は、波長変換フィルム200であり、波長変換フィルム200は、蛍光ナノ材料22及びポリマー21を含む。蛍光ナノ材料22は、緑色光又は赤色光又は黄色光を発することができる。
【0069】
1つの例示的な実施例では、波長変換素子の製造は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を第2ポリマーに分散させることにより得られ、第2ポリマーは、第1ポリマーと同じであるか、又は異なる。前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の任意の方向をX軸として定義し、前記X軸に垂直な任意の方向をY軸として定義し、前記X軸及び前記Y軸で構成された平面に垂直な任意の方向をZ軸として定義した場合、前記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である。好ましくは、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸、Y軸及びZ軸において0.1μm以上かつ50μm以下であり、1μm以上かつ50μm以下であることがより好ましく、1μm以上かつ30μm以下であることがより好ましい。当該方法は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の光学的安定性が高いという利点を十分に利用することができ、同時に、必要に応じて、第2ポリマーを選択し、第2ポリマーの利点をも兼ね備えることができる。
【0070】
第2ポリマーは、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(有機ガラス)、ポリデカメチレンホルムアミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、酢酸酪酸セルロース、ポリメチルフェニルシリコーン、ポリジメチルシロキサンなどから選択可能であるが、これらに限定されない。
【0071】
蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子は、物理方法により塊状の蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を粉末化することで製造されることができ、例えば、ボールミル又は研磨盤反応器による研磨などである。当業者であれば、ポリマーが、氷点下の温度のような低温にある場合、ポリマーの脆性が増加し、ポリマーの粉末化により寄与し、即ち、ボールミルなどの方式は、低温で行えることを理解できる。
【0072】
本願の1つの例示的な実施例では、図3に示すように、波長変換素子の製造方法は、以下のステップを含む。
【0073】
ステップ301は、蛍光ナノ材料を提供し、溶融した第1ポリマーと混合し、冷却成形して、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得ることを含む。蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である。
【0074】
ステップ302は、ステップ301で得られた蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と光硬化性の第2ポリマーの樹脂溶液とを混合することを含む。ステップ303は、ステップ302における混合液に光を照射し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得ることを含む。
【0075】
光硬化性の第2ポリマーの樹脂におけるマトリックス樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びメルカプタン/アルケン類モノマー光重合体系などの透明樹脂のうちの少なくとも1つから選択されることができる。
【0076】
ただし、エポキシアクリレート樹脂は、具体的に、ビスフェノールAエポキシアクリレート樹脂であってもよい。当業者であれば、マトリックス樹脂を透明樹脂とすべきであることを理解できる。
【0077】
光開始剤は、ベンゾイン類光開始剤、ベンジル類光開始剤、ベンゾフェノン類光開始剤、チオキサントン類光開始剤及びアントラキノン類光開始剤などの紫外線開始剤のうちの少なくとも1つであってもよく、シクロペンタジエニル-鉄などの光開始剤であってもよい。ベンゾイン類光開始剤は、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテルなどであってもよく、ベンジル類光開始剤は、具体的には、2-フェニルアセトフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(TPO-L)などであってもよく、ベンゾフェノン類光開始剤は、具体的には、ベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンなどであってもよく、チオキサントン類光開始剤は、具体的には、2-イソプロピルチオキサントン(ITX)などであってもよく、アントラキノン類光開始剤は、具体的には、アントラキノンなどであってもよい。
【0078】
本願の1つの例示的な実施例では、図4に示すように、波長変換素子の製造方法は、以下のステップを含む。
【0079】
ステップ401は、蛍光ナノ材料を提供し、溶融した第1ポリマーと混合し、冷却成形して、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得ることを含む。蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である。
【0080】
ステップ402は、ステップ401で得られた蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と熱硬化性の第2ポリマーの樹脂溶液とを混合することを含む。ステップ403は、ステップ402における混合液を加熱し硬化成形して、所定の形の波長変換素子を得ることを含む。
【0081】
熱硬化性の第2ポリマーの樹脂は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどを含むが、これらに限定されない。
【0082】
本願の1つの例示的な実施例では、図5に示すように、波長変換素子の製造方法は、以下のステップを含む。
【0083】
ステップ501は、蛍光ナノ材料を提供し、溶融した第1ポリマーと混合し、冷却成形して、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得ることを含む。蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子の寸法は、前記X軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Y軸において0.1μm以上かつ100μm以下であり、前記Z軸において0.1μm以上かつ100μm以下である。
【0084】
ステップ502は、ステップ501で得られた蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と溶融した第2ポリマーとを混合することを含む。ステップ503は、ステップ502における混合液を冷却成形して、所定の形の波長変換素子を得ることを含む。
【0085】
1つの例示的な実施例では、図6に示すように、波長変換素子は、波長変換フィルム600であり、波長変換フィルム600は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子61及びそれを分散させる第2ポリマー62を含み、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子61は、蛍光ナノ材料611及び第1ポリマー612を含む。蛍光ナノ材料611は、緑色光又は赤色光又は黄色光を発することができる。波長変換フィルム600の適用範囲は、バックライトモジュール、オンチップ(on-chip)照明などを含むが、これらに限定されない。
【0086】
以下、下記実施例を参照しながら、本願のいくつかの例示的な実施形態によるペロブスカイト蛍光ナノ材料-ポリマー複合体をさらに詳しく説明するが、本願の例示的な実施形態は、これらに限定されない。
【0087】
一部の材料の由来は表1に挙げられたとおりである。特に断りがない限り、全ての材料は市販のものを購入して、直接使用する。
【0088】
【表1】
【0089】
製造実施例1:InP/ZnS量子ドットの製造
0.4mmolの酢酸インジウム、1.2mmolのパルミチン酸、及び10mLのトリオクチルアミンを反応器に入れ、120℃で真空加熱する。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に変える。反応器を280℃に加熱した後、0.2mmolのトリス(トリメチルシリル)ホスフィンをその中に迅速に注ぎ、混合物を反応させる。反応溶液を室温(24℃)まで迅速に冷却した後、その中にアセトンを添加し、かつ、混合物を遠心分離することで、得られたInPコア沈殿物をトルエンに分散させる。
【0090】
0.9mmolの酢酸亜鉛、1.8mmolのオレイン酸、及び10mLのトリオクチルアミンを反応器に入れてから、120℃で10分間真空処理する。当該反応フラスコ内の雰囲気を窒素で置換してから、280℃まで加熱する。上記InPコアのトルエン溶液を10秒内にその中に添加し、その中に2.0mmolのS-TOPを添加し、得られた混合物を120分間反応させる。反応が完了すると、得られた反応溶液を室温(24℃)まで迅速に冷却し、その中にエタノールを添加し、続いて、混合物を遠心分離することで得られた沈殿物をトルエンに分散させ、InP/ZnS量子ドットを製造する。
【0091】
Hitachi F-7000分光器により、その蛍光発光スペクトル(励起光の波長が460nmである)を測定し、発光ピークは624nmであり、半値幅は約55nmである。
【0092】
実施例1:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例1におけるInP/ZnS量子ドットのトルエン溶液(InP/ZnS量子ドットが約0.5gである)、1gのホワイトオイル、500gのポリプロピレン(融点が約230℃である)を取って、ガラス容器に入れ、240℃で撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、InP/ZnS量子ドットが溶融したポリプロピレンに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0093】
比較例1-1 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例1におけるInP/ZnS量子ドットのトルエン溶液(InP/ZnS量子ドットが約5mgである)、20mlのトルエン溶媒、及び0.5gのポリプロピレンを取って、ガラス容器に入れ、80℃で撹拌して混合し、InP/ZnS量子ドットを膨潤したポリプロピレンに分散させ、トルエンを除去した後、モールドで圧縮して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0094】
比較例1-2 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例1におけるInP/ZnS量子ドットのトルエン溶液(InP/ZnS量子ドットが約0.5gである)を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0095】
比較例1-3 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例1におけるInP/ZnS量子ドットのトルエン溶液(InP/ZnS量子ドットが約0.5gである)を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0096】
実施例1、比較例1-1、比較例1-2、比較例1-3における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度(0h)を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表2に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0097】
【表2】
【0098】
表2から分かるように、InP/ZnS量子ドットを溶融したポリプロピレンに分散させる方法(実施例1)で波長変換フィルムを製造する場合、従来よく採用される膨潤法(比較例1-1)、紫外線硬化アクリル類樹脂(比較例1-2)、及び熱硬化エポキシ樹脂(比較例1-3)と比べて、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、それぞれ0.85、0.53、0.34及び0.57であり、即ち、実施例1における波長変換フィルムの輝度は、初期輝度の85%に維持することができる。上記結果から、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの安定性が優れていることが分かる。
【0099】
製造実施例2:CuInS/ZnS量子ドットの製造
それぞれ0.4mmolの酢酸インジウム、0.2mmolの酢酸銅(I)、2.4mmolのオレイン酸及び8mmolの1-ドデカンチオール及び200mmolのオクタデセンを取って、混合し、50℃まで加熱し完全に溶解させる。100℃に昇温した後、4mLの硫黄粉末が溶解されたオクタデセン溶液(0.1mol/L)を注ぎ、60分間反応させ、CuInSコア溶液を生成する。
【0100】
上記CuInSコア溶液に4mLのステアリン酸亜鉛のオクタデセン溶液(0.1mol/L)及び4mLの硫黄粉末が溶解されたオクタデセン溶液(0.1mol/L)を添加し、180℃まで加熱し30分間反応させ、CuInS/ZnS量子ドットを獲得し、反応液をメタノール及びヘキサンで浄化し、アセトンで沈殿させてから、沈殿をトルエンに溶解する。
【0101】
Hitachi F-7000分光器により、その蛍光発光スペクトル(励起光波長が460nmである)を測定し、発光ピークは580nmであり、半値幅は約90nmである。
【0102】
実施例2:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例2におけるCuInS/ZnS量子ドットのトルエン溶液(CuInS/ZnS量子ドットが約0.5gである)、0.3gのホワイトオイル及び500gのポリエチレン(融点が約109~111℃である)を取って、ガラス容器に入れ、120℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、真空引きし、トルエンが除去され、かつ、CuInS/ZnS量子ドットが溶融したポリエチレンに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約100ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0103】
比較例2-1 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例2におけるCuInS/ZnS量子ドットのトルエン溶液(CuInS/ZnS量子ドットが約5mgである)、20mlのトルエン溶媒、及び0.5gのポリエチレンを取って、ガラス容器に入れ、80℃で撹拌して混合し、CuInS/ZnS量子ドットを膨潤したポリエチレンに分散させ、トルエンを除去した後、モールドで圧縮して、厚さが約100ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0104】
比較例2-2 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例2におけるCuInS/ZnS量子ドットのトルエン溶液(CuInS/ZnS量子ドットが約0.5gである)を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約100ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0105】
比較例2-3 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例2におけるCuInS/ZnS量子ドットのトルエン溶液(CuInS/ZnS量子ドットが約0.5gである)を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約100ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0106】
実施例2、比較例2-1、比較例2-2、比較例2-3における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表3に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0107】
【表3】
【0108】
表3から分かるように、CuInS/ZnS量子ドットを溶融したポリエチレンに分散させる方法(実施例2)で波長変換フィルムを製造する場合、従来よく採用される膨潤法(比較例2-1)、紫外線硬化アクリル類樹脂(比較例2-2)、及び熱硬化エポキシ樹脂(比較例2-3)と比べて、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、それぞれ0.73、0.15、0.35及び0.48であり、実施例2における波長変換フィルムの安定性は、比較例2-1、比較例2-2、比較例2-3における波長変換フィルムの安定性よりも遥かに高い。上記から、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの安定性が優れていることが分かる。
【0109】
製造実施例3:CdZnSe/ZnSe量子ドットの製造
塩基性炭酸亜鉛(0.33g、0.6mmol)、オレイン酸(2.1g、0.75mmol)、10mLのODEを秤量し、100mLの三つ口フラスコに入れ、不活性ガスで10分間排気した後、温度を280℃まで上昇させ、清澄溶液を得る。清澄溶液を180℃に降温し、その中に1mLの0.5mmol/mLのSe-ODE懸濁液を注ぎ、10分間反応させる。続いて、その中に2mLの0.2mmol/mLのオレイン酸カドミウム溶液を注ぎ、10min反応させた後、さらに1mLの0.5mmol/mLのSe-ODE懸濁液を注ぎ、10分間反応させてから、さらに0.5mLの2mmol/mLのSe-TBPを添加し、温度を310℃まで上昇させ、60min反応させ続け、CdZnSe/ZnSe量子ドットを得る。反応液をメタノール及びヘキサンで浄化し、アセトンで沈殿させてから、沈殿をトルエンに溶解する。
【0110】
Hitachi F-7000分光器により、その蛍光発光スペクトル(励起光波長が460nmである)を測定し、発光ピークは525nmであり、半値幅は約23nmである。
【0111】
実施例3:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.5gである)、0.5gのホワイトオイル及び500gのポリスチレン(融点が約93℃である)を取って、ガラス容器に入れ、100℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したポリスチレンに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0112】
比較例3-1 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約5mgである)、20mlのトルエン溶媒、及び0.5gのポリスチレンを取って、ガラス容器に入れ、80℃で撹拌して混合し、CdZnSe/ZnSe量子ドットを膨潤したポリスチレンに分散させ、トルエンを除去した後、モールドで圧縮して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0113】
比較例3-2 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.5gである)を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0114】
比較例3-3 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.5gである)を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0115】
実施例3、比較例3-1、比較例3-2、比較例3-3における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表4に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0116】
【表4】
【0117】
表4から分かるように、CdZnSe/ZnSe量子ドットを溶融したポリスチレンに分散させる方法(実施例3)で波長変換フィルムを製造する場合、従来よく採用される膨潤法(比較例3-1)、紫外線硬化アクリル類樹脂(比較例3-2)、及び熱硬化エポキシ樹脂(比較例3-3)と比べて、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、それぞれ0.95、0.53、0.35及び0.61であり、即ち、実施例3における波長変換フィルムの輝度は、殆ど変わらないように維持される。上記から、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの安定性が優れていることが分かる。
【0118】
製造実施例4:CsPbBr量子ドットの製造
0.407gのCsCOを秤量し、15mLのオクタデセン及び1.25mLのオレイン酸を量り、窒素を導入してガスを除去して保護し、120℃まで加熱し、1h維持した後、透明なCs前駆体溶液を獲得して、冷却して使用に備える。
【0119】
50mLのガラス容器に、5mLの1-オクタデセン及び0.069gのPbBrを入れ、120℃で窒素を導入してガスを除去し、1h撹拌し、さらに0.5mLのオレイルアミン及び0.5mLのオレイン酸を添加し、続いて150℃まで昇温し、1h撹拌する。続いて、0.6mLのCs前駆体溶液を取って、その中に迅速に注ぎ、5s反応させた後、加熱を停止し、10s後に氷水に入れて冷却し、黄緑色の凝集状コロイド物質を獲得して、取り出した後に室温まで自然に昇温する。
【0120】
得られた黄緑色液体を1000r/minの回転数で5min遠心分離し、上澄み液を収集し、12000r/minの回転数で10min遠心分離した後、底部の沈殿を取り、沈殿に1.5mLのトルエンを添加し、超音波で分散させ、CsPbBr量子ドットのトルエン溶液を獲得して、ガラス瓶に入れて、室温で密封保存する。
【0121】
Hitachi F-7000分光器により、その蛍光発光スペクトル(励起光波長が460nmである)を測定し、発光ピークは519nmであり、半値幅は約18nmである。
【0122】
実施例4:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例4におけるCsPbBr量子ドットのトルエン溶液(CsPbBr量子ドットが約0.5gである)、1gのホワイトオイル及び500gのポリビニルブチラール(融点が約165~185℃)を取って、ガラス容器に入れ、200℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CsPbBr量子ドットが溶融したポリビニルブチラールに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約300ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0123】
比較例4-1 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例4におけるCsPbBr量子ドットのトルエン溶液(CsPbBr量子ドットが約5mgである)、20mlのトルエン溶媒、及び0.5gのポリビニルブチラールを取って、80℃で撹拌して混合し、CsPbBr量子ドットを膨潤したポリビニルブチラールに分散させ、トルエンを除去した後、モールドで圧縮して、厚さが約300ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0124】
比較例4-2 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例4におけるCsPbBr量子ドットのトルエン溶液(CsPbBr量子ドットが約0.5gである)を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約300ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0125】
比較例4-3 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例4におけるCsPbBr量子ドットのトルエン溶液(CsPbBr量子ドットが約0.5gである)を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約300ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0126】
実施例4、比較例4-1、比較例4-2、比較例4-3における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表5に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0127】
【表5】
【0128】
表5から分かるように、CsPbBr量子ドットを溶融したポリビニルブチラールに分散させる方法(実施例4)で波長変換フィルムを製造する場合、従来よく採用される膨潤法(比較例4-1)、紫外線硬化アクリル類樹脂(比較例4-2)、及び熱硬化エポキシ樹脂(比較例4-3)と比べて、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、それぞれ0.98、0.34、0.33及び0.56であり、即ち、実施例4における波長変換フィルムの輝度は、殆ど変わらないように維持される。上記から、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの安定性が優れていることが分かる。
【0129】
製造実施例5:CdSe/CdZnSナノディスクの製造
340mgのCd(myr)(0.6ミリモル)及び30mLのODEを三つ口フラスコに導入し、真空で脱気する。混合物をアルゴン気流下で250℃で加熱し、ODE(0.1M)で超音波処理された100メッシュのSeの分散体を2mL迅速に注ぐ。30秒後、160mgのCd(OAc)(0.6ミリモル)を導入する。混合物を250℃で10分間加熱する。CdSeコアナノディスクを得る。
【0130】
三つ口フラスコに、30mLのトリオクチルアミンを導入し、100℃で真空で脱気する。続いて、反応混合物をアルゴンガス下で300℃で加熱し、10mLの上記したCdSeコアナノディスクへ迅速に注いでから、90分の間にシリンジポンプにより一定のレートで14mLのオクタデセンに基づく0.2Mのオクチルメルカプタン溶液、7mLのオクタデセンに基づく0.1MのCd(OA)及び7mLのオクタデセンに基づく0.1MのZn(OA)を注ぐ。添加後、300℃で90分間加熱し反応させることにより、CdZnSシェル層を製造する。CdSe/CdZnSナノディスクを獲得し、反応液をメタノール及びヘキサンで精製し、アセトンで沈殿させてから、沈殿をトルエンに溶解する。
【0131】
Hitachi F-7000分光器により、その蛍光発光スペクトル(励起光波長が460nmである)を測定し、発光ピークは550nmであり、半値幅は約10nmである。
【0132】
実施例5:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例5におけるCdSe/CdZnSナノディスクのトルエン溶液(CdSe/CdZnSナノディスクが約0.5gである)、2gのホワイトオイル及び500gのポリ(ビスフェノールAカーボネート)(融点が約300℃である)を取って、ガラス容器に入れ、310℃で撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdSe/CdZnSナノディスクが溶融したポリ(ビスフェノールAカーボネート)に均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0133】
比較例5-1 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例5におけるCdSe/CdZnSナノディスクのトルエン溶液(CdSe/CdZnSナノディスクが約5mgである)、20mlのトルエン溶媒、及び0.5gのポリ(ビスフェノールAカーボネート)を取って、80℃で撹拌して混合し、CdSe/CdZnSナノディスクを膨潤したポリ(ビスフェノールAカーボネート)に分散させ、トルエンを除去した後、モールドで圧縮して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0134】
比較例5-2 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例5におけるCdSe/CdZnSナノディスクのトルエン溶液(CdSe/CdZnSナノディスクが約0.5gである)を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0135】
比較例5-3 波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例5におけるCdSe/CdZnSナノディスクのトルエン溶液(CdSe/CdZnSナノディスクが約0.5gである)を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0136】
実施例5、比較例5-1、比較例5-2、比較例5-3における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表6に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0137】
【表6】
【0138】
表6から分かるように、CdSe/CdZnSナノディスクを溶融したポリ(ビスフェノールAカーボネート)に分散させる方法(実施例5)で波長変換フィルムを製造する場合、従来よく採用される膨潤法(比較例5-1)、紫外線硬化アクリル類樹脂(比較例5-2)、及び熱硬化エポキシ樹脂(比較例5-3)と比べて、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、それぞれ0.60、0.23、0.25及び0.28である。上記から、当該方法で製造された蛍光ナノ材料-ポリマー複合体及び波長変換フィルムの安定性が優れていることが分かる。
【0139】
実施例6:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.5gである)、1gのホワイトオイル及び500gのパームワックス(融点が約81~86℃である)を取って、ガラス容器に入れ、90℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したパームワックスに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0140】
実施例7:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.5gである)、2.5gのホワイトオイル及び500gのポリエチレンテレフタレート(融点が約250~255℃である)を取って、ガラス容器に入れ、270℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したポリエチレンテレフタレートに均一に分散し、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0141】
実施例6、実施例7における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表7に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0142】
【表7】
【0143】
表7から分かるように、CdZnSe/ZnSe量子ドットを溶融したパームワックスに分散させる方法(実施例6)で波長変換フィルムを製造する場合、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、約0.86に安定化することができる。CdZnSe/ZnSe量子ドットを溶融したポリエチレンテレフタレートに分散させる方法(実施例7)で波長変換フィルムを製造する場合、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、初期輝度とほぼ一致するように安定化することができる。
【0144】
実施例8:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.05gである)、0.1gのホワイトオイル及び50gのポリプロピレンを取って、ガラス容器に入れ、240℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したポリプロピレンに均一に分散し、空気中で冷却した後、-20℃で、ボールミルの方式を採用して、X軸、Y軸及びZ軸のいずれにおいても約10μmである蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得る。
【0145】
25gの上記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子と500gのポリスチレンを取って、ガラス容器に入れ、100℃で高速撹拌して混合し、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を溶融したポリスチレンに均一に分散させ、空気中で、キャスティング成形を採用して、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0146】
実施例9:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.05gである)、0.1gのホワイトオイル及び50gのポリプロピレンを取って、ガラス容器に入れ、240℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したポリプロピレンに均一に分散し、空気中で冷却した後、-20℃で、ボールミルの方式を採用して、X軸、Y軸及びZ軸のいずれにおいても約40μmである蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得る。
【0147】
25gの上記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を取って、500gのUV紫外線硬化アクリル樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、紫外線硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0148】
実施例10:波長変換フィルムの製造
適量の製造実施例3におけるCdZnSe/ZnSe量子ドットのトルエン溶液(CdZnSe/ZnSe量子ドットが約0.05gである)、0.1gのホワイトオイル及び50gのポリプロピレンを取って、ガラス容器に入れ、240℃で高速撹拌して混合し、撹拌プロセスにおいて、トルエンが除去され、かつ、CdZnSe/ZnSe量子ドットが溶融したポリプロピレンに均一に分散し、空気中で冷却した後、-20℃で、ボールミルの方式を採用して、X軸、Y軸及びZ軸のいずれにおいても約10μmである蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を得る。
【0149】
25gの上記蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を取って、500gの熱硬化エポキシ樹脂と混合し、有機溶媒を真空除去し、ブレードコーターにより塗布し、加熱硬化し、厚さが約200ミクロンの波長変換フィルムを製造する。
【0150】
実施例8、実施例9、実施例10における波長変換フィルムを、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンに置き、強度が50ミリワット/平方センチメートルである447nmの青色光バックライトで照射し、それぞれ0h、24h、48h、96h、168h、336h、672h、1000hの時に波長変換フィルムの輝度をテストし、波長変換フィルムの初期輝度を1とし、異なる時間の輝度と初期輝度との比を記録し、テスト結果を表8に示し、輝度をテストするために採用された計器は、PR-670スペクトル光度色度放射照度計である。
【0151】
【表8】
【0152】
表8から分かるように、CdZnSe/ZnSe量子ドットを溶融したポリプロピレンに分散させることで蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の粒子を製造した後、分散に際して、従来よく用いられる方法を採用し、溶融した第2ポリマー(実施例8)、紫外線硬化アクリル類樹脂の第2ポリマー(実施例9)、及び熱硬化エポキシ樹脂の第2ポリマー(実施例10)に分散させて波長変換フィルムを製造し、湿度が95%で、温度が60℃であるオーブンで1000h老化した後、輝度と初期輝度の比は、初期輝度とほぼ一致するように安定化することができる。
【0153】
発明者は、本願の技術案について詳しい説明や例示を行ったが、当業者にとって、本願の精神の実質から逸脱することなく、上記実施例に修正及び/又は変形を行うか、又は同等の代替案を採用できることは明らかである。本願で言及した用語は、本願の技術案に対する説明や理解に用いられ、本願を制限するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の実施例により提供される技術案は、蛍光ナノ材料-ポリマー複合体の製造プロセスに適用可能であり、当該製造方法は、蛍光ナノ材料及びポリマーを含む前駆体を提供するステップと、前記ポリマーの融点に等しいか、又はそれよりも高い第1温度で、前記前駆体を混合してから、冷却するステップとを含み、蛍光ナノ材料と溶融状態のポリマーを混合して蛍光ナノ材料-ポリマー複合体を製造することで、蛍光ナノ材料の安定性が低いという問題が解決される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6