(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】物流管理サーバ、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20231026BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231026BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G06Q10/08
G08G1/00 X
B65G61/00 540
(21)【出願番号】P 2022074628
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159881(JP,A)
【文献】特開平11-014388(JP,A)
【文献】特開2020-095475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部と、
前記走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部と、
前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部と、を備える、物流管理サーバ。
【請求項2】
前記音声設定部は、前記第1無人機の走行開始前に前記第1無人機の音声識別情報を設定する、請求項1に記載の物流管理サーバ。
【請求項3】
前記音声設定部によって設定された音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う配送通知部を備える、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項4】
前記音声設定部は、予め定められた優先順位に従って音声識別情報を設定する、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項5】
前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合において、前記第2無人機に標準音声識別情報が設定されていないときに、前記第1無人機に前記標準音声識別情報を設定する、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項6】
前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合において、前記第2無人機に標準音声識別情報が設定されているときに、前記第1無人機に前記標準音声識別情報とは異なる音声識別情報を設定する、請求項5に記載の物流管理サーバ。
【請求項7】
前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報があるときに、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報を前記第1無人機に設定する、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項8】
前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の複数の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の複数の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記他の複数の無人機のうち前記第1無人機と接近する時間が短い無人機に設定された音声識別情報を前記第1無人機に設定する、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項9】
前記音声設定部は、前記他の複数の無人機のうち何れかと同じ音声識別情報を前記第1無人機に設定した場合に、走行の注意を喚起する音声を、荷物の受取り操作を支援する音声よりも優先して出力させるように前記第1無人機に設定する、請求項8に記載の物流管理サーバ。
【請求項10】
前記走行計画取得部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記第1無人機の走行計画を再度取得する、請求項1又は請求項2に記載の物流管理サーバ。
【請求項11】
1又は複数のコンピュータが、
荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得することと、
取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定することと、
前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能であることと、を
実行する、情報処理方法。
【請求項12】
1又は複数のコンピュータに、
荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得することと、
取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定することと、
前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能であることと、を実行させる、プログラム。
【請求項13】
荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部と、
前記走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部と、
前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部と、を備える、情報処理システム。
【請求項14】
前記音声設定部によって設定された音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う配送通知部を備える、請求項13に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理サーバ、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人機がユーザに荷物を配送する情報処理システムの実用化が進められている。例えば特許文献1に記載されたシステムは、荷物の受け渡しを行うポイントを巡る無人走行機(カート)を備える。無人走行機は状況に応じてスピーカから適宜アラートやビープ音を出力する。アラートは、危険度が高い場面、曲がる時、停止時、発進時、緊急事態が発生した時等に出力される。ビープ音は、無人走行機のボックス内に物品が残されている場合等に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ配送エリア内で複数の無人走行機が配送を行う場合、それらの無人走行機が、交差点や、受け渡し場所等に一時的に集中する可能性がある。このような状況において各無人走行機がアラートやビープ音を出力する場合、アラート等を出力するタイミングが重なるおそれがある。このような場合、それらの無人走行機の周囲に存在する人物は、音源である無人走行機が判別しにくくなることにより、無人走走行機に対する対処に戸惑うことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、物流管理サーバを提供する。前記物流管理サーバは、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部と、前記走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部と、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部と、を備える。
【0006】
別の態様では、情報処理方法を提供する。前記情報処理方法は、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得することと、取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定することと、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能であることと、を含む。
【0007】
別の態様では、プログラムを提供する。前記プログラムは、1又は複数のコンピュータに、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得することと、取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定することと、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能であることと、を実行させる。
【0008】
別の態様では、情報処理システムを提供する。前記情報処理システムは、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部と、前記走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部と、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、音声の出力元を識別しやすい音声を出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の物流管理システムの概略を示す図である。
【
図2】同実施形態の無人走行機の構成を説明するブロック図である。
【
図3】同実施形態における配送計画情報を示す模式図である。
【
図4】同実施形態における音声属性情報を示す模式図である。
【
図5】同実施形態における音声設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】同実施形態における通知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態における複数の無人機の走行態様の一例を示す図である。
【
図8】同実施形態における複数の無人機の走行態様の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】第3実施形態における音声設定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、物流管理サーバ、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムの一実施形態について説明する。この実施形態では、物流管理サーバを、サーバ10として説明する。また、情報処理システムとして、無人走行機を用いて荷物を配送する物流管理システムについて説明する。
【0012】
<物流管理システム>
図1に示すように、物流管理システム1は、サーバ10及び無人走行機30を備える。物流管理システム1は、ネットワーク14を介してユーザ装置20に接続されている。
【0013】
<サーバ>
サーバ10は、物流管理者又は物流管理サービスを提供する管理者によって管理されるものである。サーバ10は、制御部11、記憶部12及び通信部13を備えている。制御部11は、演算装置及びメモリ(記憶媒体)を含む。演算装置は、記憶部12又はそれ以外のストレージからオペレーティングシステム、及び物流管理用のプログラム等の各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。演算装置は、以下で構成し得る。
【0014】
(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、
(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、
(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)。
【0015】
演算装置は、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。又は、演算装置は、CPUに代えて若しくは加えて自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0016】
記憶部12は、補助記憶装置(記憶媒体)であって、物流を管理するための各種情報を記憶する。通信部13は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク14を介して、ユーザ装置20及び無人走行機30との間でデータを送受信する。なお、サーバ10は、物流管理者等が入力操作を行うための操作部、表示部を備えていてもよい。
【0017】
特に、制御部11は、走行計画取得部11Aを備える。走行計画取得部11Aは、荷物を配送地点に配送する無人走行機30の走行計画を決定する。これにより、走行計画取得部11Aは、無人走行機30の走行計画を取得する。
【0018】
制御部11は、接近判定部11Bを備える。接近判定部11Bは、複数の無人走行機30の走行計画に基づいて、無人走行機30が相互に接近するか否かを判定する。つまり、接近判定部11Bは、第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、第1無人機と第2無人機とが接近するか否かを判定する。
【0019】
制御部11は、音声設定部11Cを備える。音声設定部11Cは、無人走行機30に音声識別情報を設定する。音声識別情報は、固有の特徴を有する音声に割り振られたものである。言い換えると、音声識別情報は、音声の音色を示す情報である。
【0020】
制御部11は、配送通知部11Dを備える。配送通知部11Dは、音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う。音声通知は、例えば「間もなく配送地点に到着します。」など、荷物の配送地点への配送されることを示す通知であってもよい。音声通知は、例えば「指定時間に配送地点に到着します。」など、荷物の配送地点への配送される配送時間を示す通知であってもよい。
【0021】
<ユーザ装置>
ユーザ装置20は、物流管理システム1を利用するユーザが用いる情報処理装置である。ユーザ装置20は、スマートフォン等の多機能電話端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ又はこれらの装置以外の情報処理装置である。
【0022】
ユーザ装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25、及び通話部26を備える。制御部21は、演算装置及びメモリ(記憶媒体)を含む。演算装置及びメモリのハードウェア構成は、サーバ10と同様の構成であり、上記の(1)~(3)を備える。演算装置は、記憶部22又はそれ以外のストレージからオペレーティングシステムや配送に関する処理を実行するプログラム等の各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。
【0023】
記憶部12のハードウェア構成は、サーバ10と同様の構成である。記憶部12は、配送に関する処理を実行するためのプログラムを記憶していてもよい。このプログラムは、配送サービスの提供を受けることに用いられるアプリケーションプログラムであってもよく、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを通じて配送サービスの提供を受けるプログラムであってもよい。又は、配送に関する通知メールを受信可能なアプリケーションプログラムであってもよい。又は、記憶部12には、HTML(Hyper Text Markup Language)等のマークアップ言語及びJavaScript(登録商標)を解釈するウェブブラウザプログラムが記憶されていてもよい。ウェブブラウザプログラムは、物流管理システム1を構成するウェブサーバから取得した配送に関するウェブページを表示する。通信部23は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装され、ネットワーク14を介して、サーバ10との間でデータを送受信する。操作部24は、ディスプレイ等の表示部25と一体化されたタッチパネルや、ユーザ装置20のケース等に設けられた操作ボタン、キーボード、マウス、コントローラ等である。表示部25は、制御部21の出力指示に応じて、各種画像を出力する。通話部26は、他の装置と通話を行うように構成される。通話部26は、スピーカとマイクとを含んでもよい。
【0024】
<無人走行機>
無人走行機30は、人が搭乗しない移動体であって、UGV(Unmanned Ground Vehicle)とも呼称される。無人走行機30は、物流管理者又はその他の所有者によって管理される。無人走行機30は、周囲に存在する他の無人走行機30との間で車車間通信を行ってもよい。無人走行機30は、配送対象である荷物を収容するボックス31を有している。
図1に例示する無人走行機30は複数のボックス31を有している。無人走行機30は、各ボックス31、荷物、及び荷物を受け取るユーザを関連付けて記憶している。そして、ユーザが荷物を受け取る場面では、「1番ボックスが開きます」等の荷物の受け取りを支援する音声を出力する。
【0025】
図2を参照して無人走行機30の構成について説明する。無人走行機30は、制御装置32、駆動システム33、電池34、制動システム35を備える。
制御装置32のハードウェア構成は、サーバ10と同様の構成であり、上記の(1)~(3)を備える。
【0026】
駆動システム33は、電池34から供給される電力で駆動する駆動源、駆動源から得られる動力によって動作する動力伝達機構、駆動源等を制御する制御回路等を備える。駆動源は、本実施形態では電動モータである。なお、駆動源は、燃料を消費して駆動するエンジンであってもよい。この場合には、電池34に代えて駆動源に燃料を供給する燃料供給部が設けられる。また、無人走行機30は、複数の種類の駆動源を搭載したハイブリッド式のシステムを備えていてもよい。動力伝達機構は、駆動源の動力を車輪に伝達する。また、無人走行機30は、前後方向の移動だけでなく、前後方向と交差する所定方向への移動が可能であってもよい。例えば、車輪が第1方向とその逆方向だけでなく、第1方向と直交する方向を含む複数の方向に回転可能なものであってもよい。制動システム35は、制御装置32が出力した信号に基づいて、車輪の回転を停止する。制御装置32は、走行計画に基づいて、駆動システム33に対し発進、左折又は右折等の動作について指令を出力するとともに、制動システム35に停止指令又は減速指令を出力する。
【0027】
また、無人走行機30は、HMI(Human Machine Interface)36を備える。HMI36は、スピーカ37を備える。また、HMI36は、表示部38、及び入力操作部39を備えていてもよい。
【0028】
スピーカ37は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実装され、警告音、注意喚起や荷物を受け取るための操作案内等の音声を出力する。
表示部38は、荷物を受け取るための操作に関する情報等を表示する。入力操作部39は、PIN(Personal Identification Number)等の認証コードを入力するためのタッチパネル、ボタンを備える入力装置、又は提示されたバーコードや二次元コードを認識するスキャナ等である。
【0029】
また、無人走行機30は、物体検知センサ40、慣性計測センサ41、位置検出センサ42及び車速センサ43を備える。これらのセンサは、検出結果を制御装置32に出力する。物体検知センサ40は、自車両周囲の物体を検知するセンサである。例えば、物体検知センサ40は、撮像装置である。撮像装置は、無人走行機30を中心とする全方位(全天球)を撮像する全方位カメラ、又は複数の可視光カメラから構成されることが好ましい。又は、物体検知センサ40として、ミリ波レーダや超音波センサ等の測距センサを用いることができる。又は物体検知センサ40は、赤外線センサを用いることができる。一例として、画像センサと、LiDAR(Light Detection and Ranging、又はLaser Imaging Detection and Ranging)を適用した赤外線センサを組み合わせて用いることができる。また、物体検知センサ40は、上記以外のセンサであってもよい。無人走行機30は、目的に応じて、これらのセンサのうち複数を備える。
【0030】
慣性計測センサ41は、加速度センサ、ジャイロセンサ等である。位置検出センサ42は、GPSセンサ、地磁気センサ、高度センサ及び変位センサ等である。車速センサ43は、車輪等に設けられ、無人走行機30の速度を検出する。
【0031】
次に制御装置32について説明する。制御装置32は、制御部45、記憶部46、通信部47を備える。制御部45は、サーバ10の制御部11とほぼ同じ構成である。
記憶部46は、サーバ10の記憶部12とほぼ同じ構成である。記憶部46には、自律走行のためのプログラム、地図情報等の自律走行に必要な各種情報が記憶されている。また、記憶部46には、倉庫や店舗等の始点から、荷物の配送地点を経由して、終点に至る走行計画を示す走行計画情報と、荷物とユーザとを関連付けた配送計画情報とが記憶されている。走行計画情報は、交差点や道路の識別情報等を含んでいる。走行計画情報は、1又は複数の配送地点を含んでもよい。配送計画情報は、荷物の識別情報、荷物の配送地点、荷物が収容されたボックス番号等を含んでいる。
【0032】
通信部47は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装されている。通信部47は、ネットワーク14を介して、ユーザ装置20及びサーバ10との間でデータを送受信する。また、通信部47は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成されてもよい。
【0033】
通信部47は、ネットワーク14を介して各種の通知をユーザ装置20に送信する。このとき、無人走行機30は、サーバ10を介して通知をユーザ装置20に送信してもよい。又は、無人走行機30は、サーバ10を介さずに通知をユーザ装置20に送信してもよい。また、無人走行機30は、ネットワーク14を介して、配送管理者が用いる管理者端末(図示略)に接続していてもよい。配送管理者は、管理者端末を用いて、無人走行機30に設けられた画像センサが撮影した画像を視認することで、無人走行機30の状態を監視してもよい。
【0034】
また、制御装置32は、音声出力制御部48及び音声記憶部49を備える。音声出力制御部48は、制御部45によって選択された音声識別情報に基づき、状況に応じた音声をスピーカ37から出力する。例えば、音声識別情報は、「1」~「3」といった3つの番号である。本実施形態においては、システム上で設定された仮想的な話者に対して音声識別情報が付与されている。例えば、「1」の音声識別情報には、性別が男性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。また、「2」の音声識別情報には、性別が女性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。また、「3」の音声識別情報には、性別が女性である特定の人物の発話による音声が関連付けられている。つまり、「1」~「3」の音声識別情報が関連付けられたデータに基づく音声は、ユーザが日常生活で個人が発話した肉声をその人物特有の声として識別しているように、各人物が発話しているものと認識することが可能である。例えば、音声の特徴は、例えば周波数の分布(例えばフォルマント)、基本周波数(例えばピッチ)、強度が最も大きい周波数等の音響的な特徴である。また、音声の特徴は、話すスピード、イントネーション等の特徴であってもよい。
【0035】
音声出力制御部48は、走行中に周囲に存在する人物に対し注意喚起を行う音声、荷物受け渡し時の操作案内や注意喚起を行う音声等を出力する。音声出力制御部48は、音声を出力する契機となるイベント(以下、音声出力イベントという)が発生した場合、音声記憶部49に記憶された音声データの中から音声出力イベントに適したものを選択する。そして、選択した音声データに含まれる波形データを用いて、音声をスピーカ37から出力する。波形データは、音声をスピーカ37から出力するための出力制御データに対応する。
【0036】
音声記憶部49には、音声データが記憶されている。音声データは、複数の音声識別情報毎に異なる波形データを記憶している。本実施形態では、音声データは、音声出力イベントに応じて異なる内容の音声を出力するための波形データを含む。なお、制御部45及び音声出力制御部48は一つの装置であってもよい。また、音声記憶部49及び記憶部46は一つの装置であってもよい。
【0037】
<データ構成>
図3及び
図4を参照して、サーバ10の記憶部12及び無人走行機30の記憶部46に記憶されるデータについて説明する。
【0038】
図3は、配送計画情報51のデータ構成の一例を示す。配送計画情報51は、配送を行う無人走行機30毎に作成されている。サーバ10は、配送を行う複数の無人走行機30に対応する配送計画情報51を記憶部12に記憶している。無人走行機30は、自車両に対応する配送計画情報51を記憶部46に記憶している。
【0039】
図3に例示する配送計画情報51は、一台の無人走行機30の配送計画を示す情報である。配送計画情報51は、配送番号、ユーザID、配送先住所、配送日時、音声識別情報、ボックス番号、通知先、及び配送状況を含んでいる。配送番号は、配送対象の荷物に対して割り振られた識別情報である。ユーザID及び配送先住所は、荷物を受け取るユーザ及びユーザの住所を示す。配送先住所は、荷物の配送地点として複数のユーザが利用する共通のエリアの位置情報であってもよい。配送日時は、荷物が配送される予定の日にち及び時間帯を示す。音声識別情報は、無人走行機30において出力される音声特徴に対して割り振られた識別情報である。音声識別情報は、荷物の配送に伴って用いられる識別情報であり、例えば配送地点に到着したときに通知される音声特徴に対して割り振られた識別情報であってもよい。ボックス番号は、無人走行機30に設けられたボックス31の識別情報を示す。つまり配送番号に対応する荷物とボックス31とは関連付けられて記憶されている。通知先は、ユーザに通知を送信するときの宛先である。通知は、例えばサーバ10が配送依頼を受け付けたとき、無人走行機30が拠点等を出発するとき、無人走行機30が出発後において配送地点に到着するまでの期間内、無人走行機30が配送地点に到着したときのうち、少なくとも1つのタイミングで送信される。通知は、無人走行機30又はサーバ10がユーザ装置20に送信する。通知先は、ユーザの電子メールアドレス、ユーザの電話番号、ユーザ装置20のデバイストークン等が含まれる。また、通知先は、インターホン等の報知装置への送信先を含んでいてもよい。配送状況は、荷物の配送状況を示す。例えば、配送状況は、「配送完了」、「配送中」、「配送前」等の複数の状況のうち一つである。また、配送計画情報51は、配送順序、配送経路を含んでいてもよい。
【0040】
図4は、音声属性情報52を示す。無人走行機30は、音声属性情報52と、これに関連付けられた波形データ(図示略)とを音声データとして記憶部46に記憶している。
音声属性情報52は、音声識別情報52A及び内容識別情報52Bを含む。本実施形態では、異なる特徴を有する音声は3種類であり、音声識別情報52Aは、例えば「1」~「3」のいずれかである。内容識別情報52Bは、音声の内容を識別する情報である。音声の具体的な内容は、走行時の案内、ユーザが荷物を受け取る際の操作案内等であり、例えば、「左へ曲がります」、「右へ曲がります」、「停車します」、「発進します」、「受け取りボックスは1番です」等の内容である。音声識別情報52Aには、複数の内容識別情報52Bが関連付けられている。また、内容識別情報52Bには、音声識別情報52Aに応じた波形データが関連付けられている。同一の音声識別情報52Aに関連付けられる複数の波形データは、同じ音声特徴を有する。音声出力制御部48は、発生した音声出力イベントに関連付けられた波形データを用いて音声を出力する。なお、サーバ10の記憶部46にも音声データが記憶されていてもよい。
【0041】
<各処理>
次に、サーバ10において、制御部11が主に実行する各処理について説明する。制御部11は、少なくとも走行計画取得処理、接近判定処理及び音声設定処理を実行する。
【0042】
制御部11は、走行計画取得処理を実行する。走行計画取得処理は、荷物を配送地点に配送する無人走行機30の走行計画を取得する処理である。特に、走行計画取得処理は、複数の無人走行機30の走行計画を取得する処理である。詳しくは、走行計画取得処理は、走行中の無人走行機30の走行計画と、走行開始前の無人走行機30の走行計画とを取得する処理である。このように、走行計画取得処理を実行する制御部11は、走行計画取得部11Aとして機能する。
【0043】
制御部11は、接近判定処理を実行する。接近判定処理は、複数の無人走行機30の走行計画に基づいて、複数の無人走行機30が互いに接近するか否かを判定する処理である。特に、接近判定処理は、走行の開始前の無人走行機30が、走行中の無人走行機30と接近するか否かを判定する処理である。このように、接近判定処理を実行する制御部11は、接近判定部11Bとして機能する。
【0044】
制御部11は、音声設定処理を実行する。音声設定処理は、走行を開始する前の無人走行機30に音声識別情報を設定する処理である。特に、音声設定処理は、走行の開始前の無人走行機30が走行中の無人走行機30と接近すると判定された場合に、接近する走行中の無人走行機30と異なる音声識別情報を、走行の開始前の無人走行機30に設定可能である。このように、音声設定処理を実行する制御部11は、音声設定部11Cとして機能する。
【0045】
<音声設定処理>
ここで、
図5を参照して音声設定処理について説明する。音声設定処理は、配送要求があったときに、サーバ10において制御部11によって実行される処理である。配送要求は、無人走行機30の走行開始前に生成されることから、音声設定処理は、配送要求の対象となる無人走行機30の走行開始前に実行される処理である。
【0046】
図5に示すように、ステップS11において、制御部11は、走行計画決定処理を実行する。この処理において、制御部11は、配送要求に基づいて、配送要求の対象となる無人走行機30の走行計画を決定する。
【0047】
配送要求の対象となる無人走行機30は、走行開始前の無人走行機である。走行計画は、走行を開始する始点から、荷物の配送地点を経由して、走行を終了する終点に至るまでの道順及び時間を示す。道順は、道路や交差点の識別情報等を含む。始点及び終点は、倉庫や店舗等の拠点である。始点及び終点は、同一の地点又は異なる地点であってもよい。
【0048】
特に、制御部11は、配送要求に対応する配送番号を取得する。制御部11は、取得した配送番号に対応する配送先住所及び配送時間を読み出し、走行計画を決定する。そして、制御部11は、決定した走行計画を、走行開始前の無人走行機30の配送計画情報51を記憶する。以降、配送要求の対象となる無人走行機30を、配送対象の無人走行機30と示す場合がある。
【0049】
ステップS12において、制御部11は、第1走行計画取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、ステップS11において決定した配送対象の無人走行機30の走行計画を取得する。つまり、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画を取得する。
【0050】
ステップS13において、制御部11は、第2走行計画取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、走行中の他の無人走行機30の配送計画情報51を参照し、走行中の他の無人走行機30の走行計画を取得する。このように、ステップS12及びステップS13を実行する制御部11は、走行計画取得部11Aとして機能する。
【0051】
また、走行中の他の無人走行機30は、配送対象の無人走行機30よりも前に走行を開始している。また、走行中の他の無人走行機30の走行計画は、配送対象の無人走行機30の走行計画よりも前に決定されている。
【0052】
ステップS14において、制御部11は、接近判定処理を実行する。この処理において、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画と、走行中の無人走行機30の走行計画とに基づいて、配送対象の無人走行機30が、走行中の他の無人走行機30と接近するか否かを判定する。このように、ステップS14を実行する制御部11は、接近判定部11Bとして機能する。
【0053】
詳しくは、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画に基づいて、配送対象の無人走行機30の道順及び時間を取得する。制御部11は、走行中の他の無人走行機30の走行計画に基づいて、走行中の他の無人走行機30の道順及び時間を取得する。制御部11は、配送対象の無人走行機30の道順及び時間と、走行中の他の無人走行機30の道順及び時間とに基づいて、配送対象の無人走行機30が、走行中の他の無人走行機30と接近するか否かを判定する。
【0054】
また、制御部11は、複数の無人走行機30が所定距離範囲内に位置するときに、複数の無人走行機30が接近すると判定する。所定距離範囲は、無人走行機30が出力する音声を人が聞き取ることのできる範囲である。例えば、人が無人走行機30から100m以内の距離に位置するとき無人走行機30が出力する音声を聞き取ることができ、100mを超えると無人走行機30が出力する音声を聞き取ることができない場合、所定距離範囲は100m以内の範囲である。
【0055】
ステップS15において、制御部11は、接近する無人走行機30があるか否かを判定する。制御部11は、接近する無人走行機30がないと判定したとき(ステップS15:NO)、ステップS16に進む。制御部11は、接近する無人走行機30があると判定したとき(ステップS15:YES)、ステップS17に進む。以降、配送対象の無人走行機30と接近する走行中の他の無人走行機30を接近無人走行機30と示す場合がある。
【0056】
ステップS16において、制御部11は、標準音声選択処理を実行する。この処理において、制御部11は、標準音声識別情報を選択する。標準音声識別情報は、「1」の音声識別情報であってもよい。標準音声識別情報に関連付けられた音声は、無人走行機30から出力される音声としてユーザが聴く頻度が最も高い音声である。或いは、標準音声識別情報に関連付けられた音声は、無人走行機30の周囲に存在する人物が最も聞き取りやすい音声である。なお、ステップS16で選択される音声識別情報52Aは、各音声識別情報52Aに割り振られた優先順位のうち最も優先順位が高い音声識別情報52Aであってもよい。
【0057】
そして、ステップS23において、制御部11は、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報を設定する。これにより、制御部11は、配送対象の無人走行機30に接近する走行中の他の無人走行機30がないと判定したときに、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報を設定する。このように、ステップS23を実行する制御部11は、音声設定部11Cとして機能する。
【0058】
ステップS17において、制御部11は、接近音声取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、配送計画情報51を参照し、接近無人走行機30の音声識別情報を取得する。
【0059】
ステップS18において、制御部11は、未設定音声取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、接近無人走行機30に設定されていない音声識別情報を取得する。以降、接近無人走行機30に設定されていない音声識別情報を未設定音声識別情報と示す場合がある。
【0060】
ステップS19において、制御部11は、未設定音声識別情報があるか否かを判定する。制御部11は、未設定音声識別情報があると判定したとき(ステップS19:YES)、ステップS20に進む。制御部11は、未設定音声識別情報がないと判定したとき(ステップS19:NO)、ステップS21に進む。
【0061】
ステップS20において、制御部11は、未設定音声選択処理を実行する。この処理において、制御部11は、未設定音声識別情報から何れかを選択する。特に、制御部11は、複数の未設定音声識別情報がある場合、音声識別情報に対応するように予め定められた優先順位に従って、複数の未設定音声識別情報のうち何れかを選択する。優先順位は、「1」の音声識別情報が最も高く、「2」の音声識別情報、「3」の音声識別情報の順位であってもよい。
【0062】
そして、ステップS23において、制御部11は、配送対象の無人走行機30に未設定音声識別情報を設定する。これにより、制御部11は、配送対象の無人走行機30に接近する走行中の他の無人走行機30があると判定したときに、配送対象の無人走行機30に未設定音声識別情報を設定する。
【0063】
特に、制御部11は、接近無人走行機30に標準音声識別情報が設定されていないときに、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報を設定する。一方、制御部11は、接近無人走行機30に標準音声識別情報が設定されているときに、配送対象の無人走行機30に、標準音声識別情報とは異なる未設定音声識別情報を設定する。これにより、制御部11は、配送対象の無人走行機30から出力される音声の特徴と、接近無人走行機30から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である。
【0064】
ステップS21において、制御部11は、接近時間取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画と、接近無人走行機30の走行計画とに基づいて、接近無人走行機30が配送対象の無人走行機30と接近する接近時間を取得する。
【0065】
ステップS22において、制御部11は、接近無人走行機30のうち、配送対象の無人走行機30との接近時間が短い接近無人走行機30の音声識別情報を選択する。つまり、制御部11は、配送対象の無人走行機30との接近時間が短い接近無人走行機30と同じ音声識別情報を選択する。
【0066】
そして、ステップS24において、制御部11は、配送対象の無人走行機30との接近時間が短い接近無人走行機30に設定されている音声識別情報を設定する。これにより、制御部11は、未設定音声識別情報がないときに、複数の接近無人走行機30のうち、配送対象の無人走行機30と接近する接近時間が短い接近無人走行機30と同じ音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定する。
【0067】
このように、配送対象の無人走行機30は、サーバ10によって走行計画及び音声識別情報を設定する。そして、無人走行機30において、制御部45は、決定された走行計画に従って駆動システム33を駆動して走行を行う。
【0068】
制御部45は、音声出力イベントが発生したと判定した場合に、設定された音声識別情報に基づいて音声を出力させる。具体的には、制御部45は、音声出力イベントに応じた内容識別情報52Bを選択するとともに、音声出力制御部48に音声の出力要求を送信する。音声出力制御部48は、制御部45が選択した音声識別情報52Aと内容識別情報52Bとに基づいて、音声を出力する。
【0069】
音声出力イベントは、無人走行機30が周囲に対して音声を出力する契機となるイベント(条件)である。音声出力イベントは複数設定されている。音声出力イベントの一例は、自車両周囲の危険な状況である。また、音声出力イベントの他の例は、無人走行機30の曲がる、止まる、発進するといった走行状態に関するイベントである。また、音声出力イベントの他の例は、荷物の受け取りに関してユーザを支援する状況である。荷物の受け取りに関する支援が必要な場面は、ユーザによる無人走行機30の操作の開始や、荷物の取り忘れ等の非常事態の発生等である。
【0070】
<通知処理>
次に、
図6を参照して通知処理について説明する。通知処理は、サーバ10において制御部11によって実行される処理である。
【0071】
図6に示すように、ステップS31において、制御部11は、無人走行機30との通信に基づいて、無人走行機30が荷物の配送地点に到着したか否かを判定する。制御部11は、無人走行機30が荷物の配送地点に到着したと判定した場合、ステップS32に進む。制御部11は、無人走行機30が荷物の配送地点に到着していないと判定した場合、通知処理を終了する。
【0072】
ステップS32において、制御部11は、音声取得処理を実行する。この処理において、制御部11は、配送計画情報51を参照し、荷物の配送地点に到着した無人走行機30に対応する音声識別情報を取得する。
【0073】
ステップS33において、制御部11は、配送通知処理を実行する。この処理において、制御部11は、荷物の配送地点に到着した無人走行機30に対応する通知先を取得する。そして、制御部11は、通知先となるユーザ装置20に対して、取得した音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う。これにより、制御部11は、荷物の配送地点に到着した無人走行機30に設定された音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う。このように、ステップS33を実行する制御部11は、配送通知部11Dとして機能する。本実施形態において、配送対象の無人走行機30が第1無人機の一例に相当する。本実施形態において、走行中の他の無人走行機30が第2無人機の一例に相当する。
【0074】
<第1実施形態の作用>
第1実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、複数の無人走行機30として、第1無人走行機30Aと、第2無人走行機30Bと、第3無人走行機30Cとを用いて具体的な一例をあげる。
【0075】
第1無人走行機30Aは、配送対象の無人走行機30である。第1無人走行機30Aは、走行計画DPAに沿って走行する。第2無人走行機30Bは、走行中の無人走行機30である。第2無人走行機30Bは、走行計画DPBに沿って走行する。第3無人走行機30Cは、走行中の無人走行機30である。第3無人走行機30Cは、走行計画DPCに沿って走行する。
【0076】
第1無人走行機30Aの走行計画DPAは、道路Rにおいて、第2無人走行機30Bの走行計画DPBの一部と重複する。このため、第1無人走行機30Aは、時間によっては第2無人走行機30Bと接近する。つまり、第2無人走行機30Bは、接近無人走行機30である。
【0077】
第1無人走行機30Aの走行計画DPAは、道路Rにおいて、第3無人走行機30Cの走行計画DPCの一部と重複する。このため、第1無人走行機30Aは、時間によっては第3無人走行機30Cと接近する。つまり、第3無人走行機30Cは、接近無人走行機30である。
【0078】
図8に示すように、第1無人走行機30Aは、走行計画に従って、符号T10に示すタイミングで走行を開始する。そして、第1無人走行機30Aは、符号T11に示すタイミングから符号T12に示すタイミングまでの時間t1において第2無人走行機30Bと接近する。また、第1無人走行機30Aは、符号T13に示すタイミングから符号T14に示すタイミングまでの時間t2において第3無人走行機30Cと接近する。時間t1は、時間t2よりも短い時間である。
【0079】
例えば、音声識別情報として、第2無人走行機30Bに「2」が、第3無人走行機30Cに「3」がそれぞれ設定されている場合において、未設定音声識別情報が「1」である場合、音声識別情報として「1」が第1無人走行機30Aに設定される。
【0080】
また、例えば、音声識別情報として、第2無人走行機30Bに「1」が、第3無人走行機30Cに「2」がそれぞれ設定されており、音声識別情報が「1」と「2」としかない場合、未設定音声識別情報がない。このような場合、第2無人走行機30Bと第3無人走行機30Cとのうち、第1無人走行機30Aに接近する時間が短い第2無人走行機30Bと同じ音声識別情報が第1無人走行機30Aに設定される。
【0081】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1)制御部11は、配送対象の無人走行機30と走行中の他の無人走行機30とが接近すると判定した場合に、配送対象の無人走行機30から出力される音声の特徴と、接近無人走行機30から出力される音声の特徴とを異ならせることができる。これによれば、接近する複数の無人走行機30が同じ期間内に音声を出力したとしても、それらの音声は特徴が異なる。したがって、無人走行機30の周囲に存在するユーザに対して、音声の出力先である無人走行機30を識別し易い状況を提供することができる。
【0082】
(2)制御部11は、走行開始前の無人走行機30の音声識別情報を設定することより、配送対象の無人走行機30から出力される音声の特徴と、接近無人走行機30から出力される音声の特徴とを異ならせることができる。これによれば、走行中の接近無人走行機30に設定されている音声識別情報を変更しなくても、接近無人走行機30と異なる音声識別情報を走行開始前の無人走行機30に設定することにより、それらの音声の特徴を異ならせることができる。したがって、制御内容の複雑化を抑制しつつも、無人走行機30の周囲に存在するユーザに対して、音声の出力先である無人走行機30を識別し易い状況を提供することができる。
【0083】
(3)制御部11は、配送対象の無人走行機30が走行中の他の無人走行機30と接近しないと判定された場合に、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報を設定する。これによれば、標準音声識別情報の設定頻度を高めることができる。また、音声の聞き取りやすさ、ユーザが聞き慣れていること等を優先して音声識別情報52Aを選択することができる。
【0084】
(4)制御部11は、接近無人走行機30に標準音声識別情報が設定されていないときに、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報を設定する。これによれば、標準音声識別情報の設定頻度を高めることができる。また、音声の聞き取りやすさ、ユーザが聞き慣れていること等を優先して音声識別情報52Aを選択することができる。
【0085】
(5)制御部11は、接近無人走行機30に標準音声識別情報が設定されているときに、配送対象の無人走行機30に標準音声識別情報とは異なる音声識別情報を設定する。これによれば、標準音声識別情報の設定頻度を高めつつ、無人走行機30の周囲に存在するユーザに対して、音声の出力先である無人走行機30を識別し易い状況を提供することができる。
【0086】
(6)制御部11は、未設定音声識別情報がないときに、接近無人走行機30のうち配送対象の無人走行機30と接近する接近時間が短い接近無人走行機30に設定された音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定する。これによれば、未設定音声識別情報がないときであっても、同じ音声識別情報が設定された配送対象の無人走行機30と接近無人走行機30との接近時間を短くすることができる。したがって、無人走行機30の周囲に存在するユーザに対して、音声の出力先である無人走行機30を識別し難い状況を抑制することができる。
【0087】
(7)制御部11は、設定された音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う。これによれば、無人走行機30から出力される音声と、音声通知において出力される音声とが同じ特徴を有する。したがって、配送先のユーザに対して、音声の出力先である無人走行機30を識別し易い状況を提供することができるとともに、無人走行機30から出力される音声と音声通知において出力される音声との親和性を高めることができる。
【0088】
(8)一つの音声識別情報52Aには内容が異なる複数の波形データが関連付けられており、制御部45は音声出力イベントに応じて波形データを選択する。このため、他の無人走行機30と重複しないような特徴を有する音声であって、自車両周囲の状況に応じた音声を出力することができる。
【0089】
(9)上記実施形態では、音声識別情報52Aは、音声を発話する仮想的な話者に割り振られた情報である。このため、無人走行機30の周囲に存在する人物は、日常生活で各人物の肉声を聞き分けるように、音源である無人走行機30を識別することができる。
【0090】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0091】
第2実施形態では、音声設定処理のステップS24において、制御部11は、配送対象の無人走行機30との接近時間が短い接近無人走行機30の音声識別情報を設定した場合に、重複情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。重複情報は、接近無人走行機30と音声識別情報が重複することを示す情報である。重複情報は、音声識別情報が重複する期間を含んでもよい。
【0092】
無人走行機30において、制御部45は、重複情報が設定されている場合、音声識別情報が重複する期間では、音声識別情報に基づいて、走行の注意を喚起する音声を出力するが、荷物の受取り操作を支援する音声を出力しないように制御する。
【0093】
このように、制御部11は、接近無人走行機30と同じ音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定した場合に、走行の注意を喚起する音声を、荷物の受取り操作を支援する音声よりも優先して出力させるように配送対象の無人走行機30に設定する。
【0094】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(10)制御部11は、接近無人走行機30と同じ音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定した場合に、走行の注意を喚起する音声を、荷物の受取り操作を支援する音声よりも優先して出力させるように配送対象の無人走行機30に設定する。これによれば、配送対象の無人走行機30と接近無人走行機30とに同じ音声識別情報が設定された場合であっても、無人走行機30の周囲に存在するユーザに対して、走行の注意を喚起する音声を聞き取りやすい状況を創出することができる。
【0095】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
<音声設定処理>
図9に示すように、第3実施形態では、音声設定処理のステップS19において、制御部11は、未設定音声識別情報がないと判定したとき(ステップS19:NO)、ステップS25に進む。
【0096】
ステップS25において、制御部11は、走行計画再決定処理を実行する。この処理において、制御部11は、未設定音声識別情報があるように配送対象の無人走行機30の走行計画を再度決定する。特に、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画において配送順序を変更させることにより、配送対象の無人走行機30の走行計画を再度決定してもよい。この処理が終了した場合、制御部11は、ステップS12に進む。これにより、ステップS12において、制御部11は、配送対象の無人走行機30の走行計画を再度取得する。
【0097】
このように、制御部11は、配送対象の無人走行機30と、走行中の他の無人走行機30とが接近すると判定された場合に、走行中の他の無人走行機30に設定されていない音声識別情報がないときに、配送対象の無人走行機30の走行計画を再度取得する。
【0098】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の効果について説明する。
(11)制御部11は、配送対象の無人走行機30と走行中の他の無人走行機30とが接近すると判定された場合において、未設定音声識別情報がないときに、配送対象の無人走行機30の走行計画を再度取得する。これによれば、未設定音声識別情報がないときであっても、走行計画の再度取得により、未設定音声識別情報がある状況を創出する可能性を高めることができる。
【0099】
[変更例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0100】
(配送通知処理)
・上記実施形態では、制御部11は、荷物の配送地点に無人走行機30が到着したことを契機として、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行った。これに代えて、制御部11は、荷物の配送地点に無人走行機30が到着するまでの時間が規定時間となったことを契機として、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行ってもよい。規定時間は、例えば10分など、荷物の受け取りまでの準備に必要な時間であってもよい。
【0101】
・上記実施形態では、サーバ10において、制御部11は、ユーザ装置20との通信により荷物の配送地点への配送に関する音声通知を受け取った。これに代えて、無人走行機30において、制御部45は、ユーザ装置20との通信により荷物の配送地点への配送に関する音声通知を受け取ってもよい。この場合、無人走行機30は、走行開始前にユーザ装置20の通知先をサーバ10から取得してもよく、走行開始後にユーザ装置20の通知先をサーバ10から取得してもよい。
【0102】
(音声選択処理)
・上記実施形態では、制御部11は、走行開始前に配送要求を契機として音声識別情報52Aを選択するようにした。これに代えて、制御部11は、走行開始後に音声識別情報52Aを選択してもよい。この場合、サーバ10において、制御部11は、走行中の無人走行機30との通信により音声識別情報52Aを設定してもよい。
【0103】
・第1実施形態及び第2実施形態では、制御部11は、未設定音声識別情報がない場合に、接近時間が短い接近無人走行機30の音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定した。これに代えて、制御部11は、接近距離に基づいて、配送対象の無人走行機30に音声識別情報を設定してもよい。
【0104】
具体的な一例をあげると、制御部11は、接近判定処理において、第1接近範囲で接近するか、第1接近範囲よりも通り第2接近範囲で接近するかを判定する。第1接近範囲は、例えば10m未満などの近距離の範囲であり、第2接近範囲は、例えば10m以上100m以下などの中距離の範囲であってもよい。制御部11は、第1接近範囲で接近する第1接近時間と、第2接近範囲で接近する第2接近時間とに基づいて、接近無人走行機30の音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。この場合、制御部11は、第1接近時間に1よりも大きい係数を乗算することにより、第2接近時間よりも第1接近時間に重み付けをした値に基づいて、音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。これにより、制御部11は、第1接近範囲で接近する接近無人走行機30と、第2接近範囲で接近する接近無人走行機30とであれば、中距離で接近する接近無人走行機30と同じ音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。また、例えば、制御部11は、接触時間に関係なく、接近距離に基づいて、配送対象の無人走行機30に音声識別情報を設定してもよい。このように、制御部11は、未設定音声識別情報がない場合に、他の複数の接近無人走行機30のうち、接近距離が遠い接近無人走行機30の音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。
【0105】
・また、これに代えて、制御部11は、接近無人走行機30との接近位置に予め定めた位置が含まれるか否かに基づいて、配送対象の無人走行機30に音声識別情報を設定してもよい。予め定めた位置としては、音声出力イベントが発生し易い位置であってもよい。詳しくは、予め定めた位置としては、例えば交差点などの進行方向が変わる位置であってもよい。また、予め定めた位置としては、例えば配送地点など、滞在時間が長くなる位置であってもよい。
【0106】
具体的な一例をあげると、制御部11は、交差点で接近する接近無人走行機30と、交差点ではない位置で接近する接近無人走行機30とであれば、交差点ではない位置で接近する接近無人走行機30と同じ音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定する。また、例えば、制御部11は、接触時間に関係なく、接近位置に基づいて、配送対象の無人走行機30に音声識別情報を設定してもよい。このように、制御部11は、未設定音声識別情報がない場合に、他の複数の接近無人走行機30のうち、接近位置が音声出力イベントの発生する位置を含まない接近無人走行機30の音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定してもよい。
【0107】
・第1実施形態及び第2実施形態では、制御部11は、未設定音声識別情報がない場合に、接近時間が短い接近無人走行機30の音声識別情報を配送対象の無人走行機30に設定した。これに代えて、制御部11は、未設定音声識別情報がない場合に、未設定音声識別情報があるようになるまで、配送対象の無人走行機30を待機させてもよい。
【0108】
・第3実施形態では、制御部11は、走行開始前において、未設定音声識別情報がない場合に、無人走行機30の走行計画を再度取得した。これに代えて、制御部11は、走行開始後において、同じ音声識別情報が設定された複数の無人走行機30が接近した場合に、無人走行機30の走行計画を再度取得してもよい。
【0109】
具体的な一例としては、制御部11は、走行中の複数の無人走行機30が接近する場合に、複数の接近無人走行機30の音声識別情報を取得する。制御部11は、複数の接近無人走行機30の音声識別情報が同じである場合に、複数の接近無人走行機30のうち少なくとも何れか一つの接近無人走行機30の走行計画を再度取得する。制御部11は、再度取得した走行計画を接近無人走行機30に送信する。
【0110】
・上記実施形態では、制御部11は、1回の走行計画に対して同じ音声識別情報を無人走行機30に設定した。これに代えて、制御部11は、1回の走行計画に対して複数種類の音声識別情報を無人走行機30に設定してもよい。
【0111】
詳しくは、制御部11は、1回の走行計画に複数の配送地点を含んでいる場合に、複数の配送地点のそれぞれに音声識別情報を設定してもよい。具体的な一例をあげると、制御部11は、1回の走行計画に第1配送地点と第2配送地点とを含んでいる場合に、第1配送地点に音声識別情報として「1」を設定し、第2配送地点に音声識別情報として「2」を設定してもよい。これにより、無人走行機30において、制御部45は、第1配送地点への走行中においては、「1」の音声識別情報に基づいて音声を出力し、第2配送地点への走行中においては、「2」の音声識別情報に基づいて、音声を出力する。この場合、制御部11は、配送地点のそれぞれに対応する音声識別情報に基づいて音声通知を行ってもよい。
【0112】
(出力制御処理)
・上記実施形態では、音声識別情報52Aは、音声を発話する仮想的な話者毎に割り振られた情報である。無人走行機30は、選択した音声識別情報52Aに基づいて「左へ曲がります」等の内容の音声を出力した。これに代えて若しくは加えて、音声識別情報52Aに関連付けられた音声は、周波数やテンポ等の音声特徴が互いに異なるビープ音や警告音等の言語的な内容が伴わない音であってもよい。
【0113】
(無人機)
・上記実施形態について、無人走行機30は、荷物の配送を行うようにした。これに代えて若しくは加えて、無人走行機30は、荷物の集荷を行うようにしてもよい。
【0114】
・無人機は、無人航空機であってもよい。無人航空機は、人が搭乗しない航空機である。無人航空機は、無人走行機30と同様に、制御装置、駆動部、電池、及びHMIを備える。駆動部は、電池から供給される電力で駆動する駆動源、駆動源から得られる動力によって動作する回転翼等を含む。制御装置の記憶部には、自律飛行のためのプログラムの他、地図情報、運搬計画情報等の各種情報が記憶されている。同じ配送エリア内で複数の無人航空機が配送を行う場合、複数の無人航空機が互いに近づいた場合には注意喚起の音声や操作案内の音声が重複する可能性がある。このため、上記実施形態と同様な手順で音声を出力する処理を行うことで、周囲に存在する人物が、音声の出力元である無人航空機を識別しやすくなる。
【0115】
・無人走行機30は、自車両が自律して走行を行う自律走行を行うものとした。これに代えて、無人走行機30は、先導する他の無人走行機30等に追従して走行するものとしてもよい。また配送以外の作業を行う無人走行機であってもよい。
【0116】
・無人走行機30は、管理者端末によって遠隔操作されるものであってもよい。管理者端末はネットワーク14に接続されている。
・無人走行機30は、車車間通信を行ってもよい。具体的な一例としては、制御部45は、他の無人走行機30と車車間通信を行い、接近無人走行機30があるか否かを判定してもよい。この場合、制御部45は、接近無人走行機30に設定されている音声識別情報を取得してもよい。そして、制御部45は、接近無人走行機30と同じ音声識別情報が設定されている場合に、走行計画の再取得要求をサーバ10に行ってもよい。制御部45は、接近無人走行機30と同じ音声識別情報が設定されている場合に、音声識別情報の再設定要求をサーバ10に行ってもよい。また、例えば、制御部45は、接近無人走行機30と同じ音声識別情報が設定されている場合に、サーバ10への問い合わせを行わずに、音声識別情報の設定変更を行ってもよい。そして、制御部45は、設定変更した音声識別情報をサーバ10に送信してもよい。この場合、制御部11は、例えば、設定変更された音声識別情報を無人走行機30から受信し、設定変更された音声識別情報を配送計画情報51に記憶してもよい。
【0117】
(物流管理システムの構成)
・上記実施形態では、無人走行機30が音声記憶部49を備えるようにした。これに代えてサーバ10が音声記憶部49を備えるようにしてもよい。無人走行機30は、音声識別情報52Aの選択が完了したとき等に、サーバ10に音声データの送信要求を送信する。サーバ10は、音声データの送信要求を受信すると、音声データを無人走行機30に送信する。
【0118】
・上記実施形態では、サーバ10において、制御部11は、走行計画取得処理、接近判定処理及び音声設定処理を実行するようにした。これに代えて、無人走行機30、管理者端末又はネットワーク14に接続されたその他の装置が、これらの処理の少なくとも一つを実行するようにしてもよい。例えばサーバ10が上記処理の一部を行い、残りの処理を無人走行機30が行う場合には、サーバ10及び無人走行機30は、処理の結果を共有する必要がある場合に、処理の結果を互いに送受信する。また、サーバ10は複数の装置から構成されていてもよい。例えば物流管理のプラットフォームを提供するPFサーバと、PFサーバから取得した情報に基づいて実際に配送計画を生成する管理サーバとから構成されていてもよい。
【0119】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0120】
(A)物流管理サーバは、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部と、前記走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、前記第1無人機と前記第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部と、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合に、前記第1無人機から出力される音声の特徴と前記第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部と、を備える。
【0121】
(B)(A)に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記第1無人機の走行開始前に前記第1無人機の音声識別情報を設定してもよい。
(C)(A)又は(B)に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部によって設定された音声識別情報に基づいて、荷物の配送地点への配送に関する音声通知を行う配送通知部を備えてもよい。
【0122】
(D)(A)~(C)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、予め定められた優先順位に従って音声識別情報を設定してもよい。
(E)(A)~(D)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合において、前記第2無人機に標準音声識別情報が設定されていないときに、前記第1無人機に前記標準音声識別情報を設定してもよい。
【0123】
(F)(A)~(E)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と前記第2無人機とが接近すると判定された場合において、前記第2無人機に標準音声識別情報が設定されているときに、前記第1無人機に前記標準音声識別情報とは異なる音声識別情報を設定してもよい。
【0124】
(G)(A)~(F)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報があるときに、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報を前記第1無人機に設定してもよい。
【0125】
(H)(A)~(G)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の複数の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の複数の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記他の複数の無人機のうち前記第1無人機と接近する時間が短い無人機に設定された音声識別情報を前記第1無人機に設定してもよい。
【0126】
(I)(H)に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記他の複数の無人機のうち何れかと同じ音声識別情報を前記第1無人機に設定した場合に、走行の注意を喚起する音声を、荷物の受取り操作を支援する音声よりも優先して出力させるように前記第1無人機に設定してもよい。
【0127】
(J)(A)~(I)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記走行計画取得部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記第1無人機の走行計画を再度取得してもよい。
【0128】
(K)(A)~(J)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の複数の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の複数の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記他の複数の無人機のうち前記第1無人機と接近する距離が遠い無人機に設定された音声識別情報を前記第1無人機に設定してもよい。
【0129】
(L)(A)~(K)のうち何れか一項に記載の物流管理サーバにおいて、前記音声設定部は、前記接近判定部によって前記第1無人機と他の複数の無人機とが接近すると判定された場合において、前記他の複数の無人機に設定されていない音声識別情報がないときに、前記他の複数の無人機のうち前記第1無人機と接近する位置が予め定めた位置を含まない無人機に設定された音声識別情報を前記第1無人機に設定してもよい。
【0130】
(M)(L)に記載の物流管理サーバにおいて、前記予め定めた位置は、音声出力イベントが発生する位置であってもよい。
【符号の説明】
【0131】
1…物流管理システム、10…サーバ、20…ユーザ装置、30…無人走行機。
【要約】
【課題】音声の出力元を識別しやすい音声を出力することが可能になる物流管理サーバ、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】サーバは、荷物を配送地点に配送する無人機の走行計画を取得する走行計画取得部を備える。サーバは、走行計画取得部によって取得された第1無人機の走行計画と第2無人機の走行計画とに基づいて、第1無人機と第2無人機とが接近するか否かを判定する接近判定部を備える。サーバは、接近判定部によって第1無人機と第2無人機とが接近すると判定された場合に、第1無人機から出力される音声の特徴と第2無人機から出力される音声の特徴とが異なるように音声識別情報を設定可能である音声設定部を備える。
【選択図】
図5