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  • 特許-ディスプレイ用接着フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ディスプレイ用接着フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20231026BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231026BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20231026BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231026BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G02B5/22
C09J7/38
C09J7/29
C09J201/00
C09J11/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022098748
(22)【出願日】2022-06-20
(65)【公開番号】P2023003401
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0081585
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519204054
【氏名又は名称】イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX Advanced Materials Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】171,Asanvalley-ro,Dunpo-myeon,Asan-si,Chungcheongnam-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジョン ジョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミョン スプ
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-163877(JP,A)
【文献】特開2014-199925(JP,A)
【文献】特開2000-227603(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158604(WO,A1)
【文献】特開2017-057394(JP,A)
【文献】特開2012-077230(JP,A)
【文献】特開2011-063741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
C09J 7/38
C09J 7/29
C09J 201/00
C09J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着樹脂を含む第1接着層と、
前記第1接着層上に配置された水分バリア層(water vapor barrier layer)と、
前記水分バリア層上に配置されて接着樹脂を含む第2接着層と、
前記第2接着層上に配置される光学用フィルムと、を含み、
前記第1接着層及び水分バリア層のうち少なくとも一つの層には、セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)からなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸化物を含み、
前記第2接着層は、インジウムスズ酸化物を含むことを特徴とする、
ディスプレイ用接着フィルム。
【請求項2】
前記水分バリア層、第2接着層、及び光学用フィルムのうち少なくとも一つの層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項3】
前記水分バリア層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であることを特徴とする、
請求項2記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項4】
前記水分バリア層は、近赤外線吸収染料をさらに含むことを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項5】
前記近赤外線吸収染料は、ジイモニウム染料、ジチオール金属錯化合物染料、シアニン染料、フタロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、ポルフィリン染料、ベンゾポルフィリン染料、スクアリリウム染料、アントラキノン染料、及びクロコニウム染料からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、
請求項4記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項6】
前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一層には、UV吸収剤をさらに含むことを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項7】
前記タングステン酸化物は、ナノパウダー(nano powder)形態であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項8】
前記接着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコン樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項9】
前記光学用フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、及びアクリル(acryl)フィルムからなる群より選ばれる1種であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項10】
700nm超1500nm以下の波長範囲の近赤外線透過率が5~50%であり、
400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線透過率が80%以上であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項11】
400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線でのヘイズ(haze)が2.0%以下であることを特徴とする、
請求項1記載のディスプレイ用接着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ用接着フィルムに関する。より具体的に本発明は、可視光透過率及び近赤外線吸光度に優れつつ、高温及び高湿環境における信頼性も向上したディスプレイ用接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業において、近赤外線は吸収して遮蔽させ、可視光線の透過率には優れつつ、かつ、高温及び高湿環境における信頼性も向上させようとする技術的課題がある。
【0003】
特に、近赤外線を遮蔽するために、接着フィルムの接着層に含有される金属酸化物は、水分吸収率が高い特性を示すため、高温及び高湿環境における信頼性が低下し、これによって、ヘイズが増加して、視認性が低下するなどの問題点があった。
【0004】
よって、高温及び高湿環境においても、近赤外線の遮蔽及び可視光線の透過率が維持し、可視光線でのヘイズも増加しない、優れた信頼性を有する接着フィルムを開発することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い近赤外線吸光度及び可視光線透過率を有しつつ、高温及び高湿環境における優れた信頼性を維持し、ヘイズの変化も最小化するディスプレイ用接着フィルムを提供することである。
【0006】
本発明の目的は、以上に言及した目的に制限されず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施例によってより明らかに理解される。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を解決するために、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、接着樹脂を含む第1接着層と、前記第1接着層上に配置された水分バリア層と、前記水分バリア層上に配置されて接着樹脂を含む第2接着層と、前記第2接着層上に配置される光学用フィルムと、を含み、前記第1接着層及び水分バリア層のうち少なくとも一つの層には、セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)からなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸化物を含む。
【0008】
前記水分バリア層、第2接着層、及び光学用フィルムのうち少なくとも一つの層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であってもよい。前記水分バリア層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であってもよい。
【0009】
また、前記水分バリア層は、近赤外線吸収染料をさらに含むことができる。
【0010】
また、前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一つの層は、インジウムスズ酸化物をさらに含むことができる。
【0011】
また、前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一層には、UV吸収剤をさらに含むことができる。
【0012】
また、本発明によるディスプレイ用接着シートは、700nm超1500nm以下の波長範囲の近赤外線透過率が5~50%であり、400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線透過率が80%以上であってもよく、400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線でのヘイズ(haze)が2.0%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、高い近赤外線吸光度及び可視光線透過率を有しつつ、高温及び高湿環境における優れた信頼性を維持し、ヘイズも顕著に低くする効果がある。
【0014】
本発明の効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、下記の記載から当業者にとって明確に理解される。
【0015】
上述した効果並びに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための具体的な事項を説明すると共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一態様によるディスプレイ用接着フィルムが、カバーウィンドウ上に形成された断面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明を説明することにおいて、本発明に系る公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施例を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0018】
本明細書における構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成の間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0019】
本明細書で使われる単数の表現は、文脈上明白に他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した様々な構成要素を必ずしも全て含むと解釈してはならず、そのうち一部の構成要素は、含まれなくてもよく、又はさらなる構成要素をさらに含んでいてもよいと解釈すべきである。
【0020】
本発明は、ディスプレイ用接着フィルムにおける近赤外線を吸収して遮蔽させ、可視光線は透過し得る機能を付与するために含まれ得るタングステン酸化物が、一般に、高温及び高湿環境では、水分にとても弱くて、接着フィルムの信頼性が相当低下するという問題点を解決するために想到された。
【0021】
本発明の一態様によるディスプレイ用接着フィルムは、接着樹脂を含む第1接着層と、前記第1接着層上に配置された水分バリア層と、前記水分バリア層上に配置されて接着樹脂を含む第2接着層と、前記第2接着層上に配置された光学用フィルムと、を含むことができる。
【0022】
前記第1接着層及び水分バリア層のうち少なくとも一つの層には、セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)からなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸化物を含むことができる。
【0023】
セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)は、800nm超~1,500nmの波長を吸収することができる。
【0024】
本発明者が鋭意研究した結果、従来の接着フィルムとは違って、図1に示されたように、ディスプレイ用接着フィルムに含まれる接着層を複数の層で形成しつつ、接着樹脂を含む第1接着層120をカバーウィンドウ110上に配置し、前記第1接着層上に透湿防止可能な水分バリア層130を形成し、前記第1接着層及び水分バリア層のうち少なくとも一つの層には、セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)からなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸化物を含み、前記水分バリア層上に、接着樹脂を含む第2接着層140及び光学用フィルム150を配置させることで、タングステン酸化物への透湿率が顕著に減少する点を発見しており、これに基づいて本発明を完成した。
【0025】
前記水分バリア層、第2接着層、及び光学用フィルムのうち少なくとも一つの層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であるのが、タングステン酸化物への透湿率を減少する効果の側面で好ましい。
【0026】
特に、前記水分バリア層は、37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が100g/m・day以下であるのが好ましく、70g/m・day以下であるのがさらに好ましい。水分バリア層の37℃及び90%RH条件での水分透湿率が100g/m・day以下になると、水分バリア層及び第1接着層に透湿することを防止することができ、その結果、タングステン酸化物が水分によって分解されて、信頼性が減少する問題を解決することができる。特に、水分バリア層の37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)が70g/m・day以下であるのがさらに好ましい。
【0027】
前記水分バリア層は、前記水分透湿率の条件を満たす接着樹脂を含むことができる。
【0028】
前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層において用いられる接着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコン樹脂からなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0029】
前記ウレタン樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、1,4-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、これら各々の親水性基置換物、これら各々の水素添加物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0030】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール、及び(メタ)アクリル酸を反応させて製造されたものであってもよい。
【0031】
前記ポリイソシアネートは、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
前記ポリオールは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
前記アクリル樹脂は、単官能性(メタ)アクリレート樹脂、多官能性(メタ)アクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
前記単官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート、フェノール(エチレンオキシド2モル変性)アクリレート、フェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド8モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキシド2.5モル変性)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β-(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンスクシネート、n-(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群より選ばれる1種以上の単量体の重合体を含むことができる。
【0035】
前記多官能性(メタ)アクリレート樹脂は、二官能性(メタ)アクリレート樹脂、三官能性(メタ)アクリレート樹脂、四官能性、又はそれ以上の(メタ)アクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
前記二官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-プロパンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリトリトールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群より選ばれる1種以上の単量体の重合体を含むことができる。
【0037】
前記三官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリルオキシエチル]イソシアヌレート、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群より選ばれる1種以上の単量体の重合体を含むことができる。
【0038】
前記四官能性又はそれ以上の(メタ)アクリレート樹脂としては、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群より選ばれる1種以上の単量体の重合体を含むことができる。
【0039】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0040】
このとき、前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等がある。エポキシ樹脂として、現在市販されている製品としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、kukdo化学のYD-020、YD-020L、YD-019K、YD-019、YD-017H、YD-017R、YD-017、YD-014、YD-014ER、YD-013K、YD-012、YD-011H、YD-011S、YD-011等がある。
【0041】
そして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、kukdo化学のYDCN-500-80PCA60、YDCN-500-80PBC60、YDCN-500-90PA75、YDCN-500-90P、YDCN-500-80P、YDCN-500-10P、YDCN-500-8P、YDCN-500-7P、YDCN-500-5P、YDCN-500-4P、YDCN-500-1Pがあり、日本化薬株式会社のEOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1012、EOCN-1025、EOCN-1027、dongdo化成のYDCN-701、YDCN-702、YDCN-703、YDCN-704、YDCN-701P、YDCN-702P、YDCN-703P、YDCN-704P、YDCN-701S、YDCN-702S、YDCN-703S等がある。
【0042】
また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、YDPN-638A80、YDPN-644、YDPN-637、YDPN-636、YDPN-638、YDPN-631等がある。
【0043】
前記シリコン樹脂は、溶媒付加型樹脂、溶媒縮合型樹脂、溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒付加型樹脂、無溶媒縮合型樹脂、無溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒電子線硬化型樹脂、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0044】
前記第1接着層上に配置された水分バリア層は、近赤外線吸収染料をさらに含むことができる。
【0045】
前記近赤外線吸収染料は、800nm超1,200nm以下の波長帯で最大吸収波長を有し得る。
【0046】
近赤外線吸収染料としては、ジイモニウム染料、ジチオール金属錯化合物染料、シアニン染料、フタロシアニン染料、ナフタロシアニン染料、ポルフィリン染料、ベンゾポルフィリン染料、スクアリリウム染料、アントラキノン染料、クロコニウム染料等を用いることができる。
【0047】
ジイモニウム染料の例としては、FND100(wooksung化学)、EPOLIGHT1178(Epolin)、CIR-1085(カリト)、PDC-220(日本化学)等が挙げられる。
【0048】
シアニン染料の例としては、Panax Y-2046(wooksung化学)等が挙げられる。
【0049】
ジチオール金属錯化合物染料の例としては、American Dye SourceのADS845MC、ADS920MC等が挙げられる。
【0050】
また、本発明のディスプレイ用接着フィルムの前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一つの層は、インジウムスズ酸化物をさらに含むことができる。
【0051】
前記インジウムスズ酸化物は、1,200nm~1,500nmの長波長を吸収することができる。
【0052】
また、本発明のディスプレイ用接着フィルムの前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一つの層は、UV吸収剤をさらに含むことができる。
【0053】
UV吸収剤は、紫外線によって温度が上昇して、接着フィルムの物性が変化するか、長期間紫外線によって透過率が低下する光着色現象の発生を抑制する役割を持つ。これによって、好ましくは、前記UV吸収剤は、カバーウィンドウ上に配置されうる第1接着層に含まれてもよい。
【0054】
UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾリル化合物、ベンゾイン化合物などの有機紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、又はこれらの組み合わせを含むことで、可視光線の透過率を高く維持できるとともに、紫外線に対する耐久性が向上し得る。
【0055】
本発明によるディスプレイ用接着樹脂組成物は、接着樹脂100重量部に対し、前記UV吸収剤を15重量部以下で含まれるのが好ましく、10重量部以下で含まれるのがより好ましく、5重量部以下で含まれるのが最も好ましい。UV吸収剤の含量が増加するほど、紫外線遮断効果が増加するものの、接着樹脂100重量部に対し15重量部を超えて添加されると、UV吸収剤の析出によるフィルムの透明性及び意匠性に問題を引き起こし得る。
【0056】
前記CWO(セシウムがドープされたWO)、WO(酸化タングステン)のタングステン酸化物は、ナノパウダー形態を有するのが好ましく、インジウムスズ酸化物を含む場合、インジウムスズ酸化物もナノパウダー形態を有するのが好ましい。
【0057】
好ましくは、可視光線領域における接着フィルムの透明性を高効率に維持して、視認性を確保するために、前記インジウムスズ酸化物の粒子、CWO(セシウムがドープされたWO)又はWO(酸化タングステン)の粒子直径は、10nm~100nmであるナノパウダー形態であってもよい。
【0058】
前記セシウムドープされた酸化タングステン(CWO;セシウムがドープされたWO)及び酸化タングステン(WO)からなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸化物、インジウムスズ酸化物、及び近赤外線吸収染料は、広義の近赤外線遮断剤に含むものであり、接着樹脂100重量部に対し、前記近赤外線遮断剤を0.01~20重量部で含むことができる。近赤外線遮断剤の含量が0.01重量部未満と少なすぎると、近赤外線を遮断する効果を十分発揮しにくいことがある。近赤外線遮断剤の含量が20重量部を超える場合、フィルムの透明性の低下、フィルムの物性の低下などが発生し得る。
【0059】
前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一つの層形成用組成物には、熱硬化剤がさらに含まれてもよい。
【0060】
熱硬化剤は、接着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む本発明のディスプレイ用接着フィルム形成用の組成物の熱硬化を促進する役割が可能である。
【0061】
前記熱硬化剤は、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メトキシジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスファート等のヨードニウム塩;トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩;トリフェニルピレニルメチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩;(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート;o-ニトロベンジルシリルエーテルとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;シルセスキオキサンとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;メラミン系樹脂;有機過酸化物(例えば、ケトンペルオキシド、ペルオキシケタール、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート等)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ等)、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等)、酸(有機酸又は低温加熱によって酸を発生するスルホニウム塩系酸発生剤等)、塩基(脂肪族ポリアミン等のポリアミン、イミダゾール、ヒドラジッド、及びケチミン等のアミン化合物、低温加熱によってアミン化合物を発生する化合物等)、ポリアミド樹脂、ポリメルカプタン、白金族系金属化合物、又はその錯物(塩化白金(塩化白金酸六水和物、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯物等)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。これら熱硬化剤は、市販品として、45S(ブリムケミカル)、DS-HF 10929TKI CATALYST(帝国インキ製造株式会社製、メラミン樹脂)が挙げられる。
【0062】
接着樹脂100重量部に対し、前記熱硬化剤は、10重量部以下で含まれるのが好ましい。熱硬化剤含量が10重量部を超える場合、フィルムの透明性の低下及びフィルムの機械的物性の低下を引き起こし得る。
【0063】
前記第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層のうち少なくとも一つの層形成用組成物には、光重合開始剤、光安定化剤、及び酸化防止剤のうち少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0064】
光重合開始剤は、紫外線照射による硬化を促進する役割を果たす。
【0065】
前記光重合開始剤は、ベンゾフェノン又はその誘導体、ベンジル又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体、2-ジメチルアミノエチルベンゾエート、p-ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-ブロモエチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-メチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸クロライド等のカンファーキノン誘導体;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1等のα-アミノアルキルフェノン誘導体;ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド誘導体;又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0066】
接着樹脂100重量部に対し、前記光重合開始剤は、10重量部以下で含まれるのが好ましい。光重合開始剤の含量が10重量部を超えると、未反応物質によって可視光透過率の特性が低下し得る。
【0067】
光安定化剤は、光着色現象の発生を抑制することができ、UV吸収剤と共に使用される場合、UV吸収剤の劣化を防止して、UV吸収剤の性能維持に寄与し得る。
【0068】
光安定化剤は、HALs(hindered amine light stabilizer)であってもよく、一例として、前記HALsの種類としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロナート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート)、(Mixed1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノール]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアミン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、Bis-(1-octyloxy-2,2,6,6,tetramethyl-4-piperidinyl)sebacate等がある。
【0069】
接着樹脂100重量部に対し、前記光安定化剤は、15重量部以下で含まれるのが好ましく、5重量部以下で含まれるのがより好ましい。光安定化剤の含量が15重量部を超えると、フィルムの透明性の低下などの問題を引き起こし得る。
【0070】
酸化防止剤は、接着フィルムの酸化及び劣化を抑制して、接着フィルムの耐候性を向上させる役割を果たす。
【0071】
前記酸化防止剤の種類としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、及びリン(phosphorus)系酸化防止剤などを必要に応じて、適宜使用することができる。酸化防止剤としては、具体的に例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチル酸グリコールエステル、及びイソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等がある。
【0072】
接着樹脂100重量部に対し、前記酸化防止剤は、10重量部以下で含まれるのが好ましく、5重量部以下で含まれるのがより好ましい。酸化防止剤の含量が10重量部を超えると、フィルムの可視光線透過率が低下するなどの問題を引き起こし得る。
【0073】
また、本発明によるディスプレイ用接着フィルム形成用の組成物は、本発明の効果を具現できる範囲で、必要に応じて、メチルヒドロキノン、ヒドロキノン、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール)、カテコール、ヒドロ-8-キノンモノメチルエーテル、モノ-tertブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tertブチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジ-tertブチル-p-ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、tertブチルカテコール、2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、及び2,6-ジ-tertブチル-p-クレゾール等の重合禁止剤;アクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム等の各種エラストマ;無機フィラー;溶剤;増量剤;報強材;可塑剤;増粘剤;追加染料;顔料;難燃剤;シランカップリング剤;界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0074】
本発明のディスプレイ用接着フィルムの第2接着剤層上に配置される前記光学用フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、及びアクリル(acryl)フィルムからなる群より選ばれる1種であってもよい。
【0075】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、700nm超1500nm以下の波長範囲の近赤外線透過率が5~50%であってもよい。
【0076】
また、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線透過率が80%以上であってもよい。
【0077】
太陽光のスペクトラム波長は、物質固有の特性であり、一般に、紫外線波長帯は、280nm~400nm未満、可視光線波長帯は、400nm~700nm、近赤外線波長帯は、700nm超1,500nmまでに分類することができる。特に、視認性に影響を及ぼす領域は、400nm~700nmであり、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)に認識され得る。
【0078】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、近赤外線遮断剤に含まれた金属酸化物ナノパウダー又は近赤外線吸収染料によって、700nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線を遮断することができる。これによって、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、太陽光のスペクトラム波長のうち、400nm~700nm波長帯の可視光線のみを選択的に透過することができる。すなわち、本発明のよるディスプレイ用接着フィルムは、太陽光の近赤外線波長を効率良く遮断することができ、400nm~700nm波長帯の可視光線透過率は、80%以上を示し、視認性を効果的に向上させることができる。
【0079】
また、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、400nm以上700nm以下の波長範囲の可視光線でのヘイズ(haze)が2.0%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのがさらに好ましい。前記ヘイズは、NDH-7000(Hazemeter)測定装備を用いて、ASTM D 1003方法により測定する。
【0080】
以下では、本発明の好ましい実施例によって、本発明の構成及び作用をさらに詳説することとする。ただ、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであり、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈されてはならない。
【0081】
本明細書に記載されていない内容は、当業者であれば、技術的に十分類推することができるため、その説明を省略することとする。
【0082】
<製造例>
実施例1
下記の表1に記載の組成及び含量で第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層用の組成物溶液をそれぞれ製造した。第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層の組成物溶液を、表1に記載した各層の厚さでそれぞれ剥離ライナーの剥離面に塗布した後、120℃で5分間乾燥して、各層を設けた後、光学用低反射フィルムであるLR TACフィルム上に第2接着層、水分バリア層、及び第1接着層の順にそれぞれ張り合わせた後、剥離ライナーを除去して、接着フィルムを製造した。前記接着フィルムをカバーウィンドウである4850μm厚さのARガラスに張り合わせた。各層の37℃及び90%RH条件での水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)は、ASTM F1249方法により測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例2
実施例1と同様の方式により接着フィルムを製造するものの、ただ、下記の表2に示したように、水分バリア層の組成物溶液からPanax Y-2046を除いた。
【0085】
【表2】
【0086】
実施例3
実施例2と同様の方式により接着フィルムを製造するものの、ただ、下記の表3に示したように、水分バリア層の組成物溶液に接着樹脂として、Elvacite 2051の代わりにElvacite 2021Cを用いた。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例4
実施例1と同様の方式により接着フィルムを製造するものの、ただ、下記の表4に示したように、水分バリア層の組成物溶液からCTO-2-2を除いており、第1接着層にCTO-2-2を添加した。
【0089】
【表4】
【0090】
比較例1
実施例4と同様の方式により接着フィルムを製造するものの、ただ、下記の表5に示したように、接着フィルムの層構造を変更した。比較例1の第1接着層は、実施例4の第2接着層に対応し、比較例1の第2接着層は、実施例4の第1接着層に対応する。
【0091】
【表5】
【0092】
比較例2
実施例1と同様の方式により接着フィルムを製造するものの、下記の表6のように、第1接着層、水分バリア層、及び第2接着層に層を区分せず、単一層に接着フィルムを製造した。
【0093】
【表6】
【0094】
上記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1、及び比較例2で用いられた成分は、下記の表7のとおりである。
【0095】
【表7】
【0096】
<実験例>
実験例1-可視光線及び近赤外線透過率(Trassmittance)の測定
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1、及び比較例2に対して、UV-Vis-NIRスペクトロメーター(Perkin Elmer,Lambda 1050+)を利用して、400nm~700nm(可視光線)及び700nm超1,500nm(近赤外線)までの波長帯における各波長別の透過率又は吸光度を測定した後、これらの平均値を可視光線及び近赤外線に対する透過率又は吸光度と記録した。
【0097】
実験例2-ヘイズの測定
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1、及び比較例2に対して、前記ヘイズは、NDH-7000(Haze meter)測定装備を用いて、ASTM D 1003方法により400nm~700nm(可視光線)でのヘイズを測定した。
【0098】
実験例3-環境信頼性の評価
上記実験例1及び2で測定した可視光線、近赤外線透過率、及びヘイズを最初(Ohr)値と記録し、85℃/85%RHの高温かつ高湿条件で500時間後に、実験例1及び2と同様、可視光線、近赤外線透過率、及びヘイズをさらに測定して、これらの変化値を計算した。
【0099】
上記実験例1~3の結果を下記の表8及び表9に示した。
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
表8に示したように、実施例1~4の各ディスプレイ用接着フィルムにおける水分バリア層は、相対的に低い水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)を有することで、環境信頼性の評価におけるヘイズの変化値が、相対的に少なくて、耐熱性(湿熱後の耐熱性)を備えることを確認することができた。
【0103】
これに比べて、表9に示したように、比較例1及び2の場合、水分バリア層がないか、相対的に高い水分透湿率(water vapor transmission rate;WVTR)を有する、水分バリア層を有するディスプレイ用接着フィルムは、相対的に湿熱後の耐熱性を備えていない結果を示した。
【0104】
上記実施例4及び比較例1を比較すると、同じ接着層から構成しても、タングステン酸化物の含有された第1接着層がガラス基板上に配置され、その上に水分バリア層及び第2接着層が配置された構造を有する実施例4は、第1接着層及び第2接着層の位置が、逆の構造を有する比較例1に比べて、高温及び高湿条件における可視光線、近赤外線透過率、及びヘイズの変化率が相対的に顕著に小さかった。
【0105】
実施例1及び比較例2を比較すると、各層を区分しつつ、タングステン酸化物の透湿率を減少させた実施例1は、従来の技術のように、近赤外線遮断剤などの添加剤を単一層に混合して使用した比較例2に比べて、高温及び高湿条件における可視光線、近赤外線透過率、及びヘイズの変化率が相対的に顕著に小さかった。
【0106】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書に開示の実施例と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内における通常の技術者によって様々な変形が行われることは自明である。さらに、本発明の実施例を前述しつつ、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
【符号の説明】
【0107】
110 ガラス基板
120 第1接着層
130 水分バリア層
140 第2接着層
150 光学用フィルム
図1