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  • 特許-ガラスパネル支持構造 図1
  • 特許-ガラスパネル支持構造 図2
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  • 特許-ガラスパネル支持構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ガラスパネル支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
E04B2/96
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022141648
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2018069356の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2022172309
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 久史
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特許第5160420(JP,B2)
【文献】特表2003-509324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88-2/96
E06B 3/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方を枠組みした枠体に対して複層ガラスの周縁部が接着された状態で支持するガラスパネル支持構造であって、
前記複層ガラスの屋内側のガラスと前記枠体とを接着する構造シーラントと、
前記複層ガラスの各ガラス同士の間に設けられたスペーサーと、
を備え、
前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントの内周面よりも前記複層ガラスの外周側の位置であり、
前記複層ガラスの上側の外周端と前記枠体との間に屋内側から屋外側に向けて開放された空間が形成されることを特徴とするガラスパネル支持構造。
【請求項2】
四方を枠組みした枠体に対して複層ガラスの周縁部が接着された状態で支持するガラスパネル支持構造であって、
前記複層ガラスの屋内側のガラスと前記枠体とを接着する構造シーラントと、
前記複層ガラスの各ガラス同士の間に設けられたスペーサーと、
を備え、
前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントの内周面よりも前記複層ガラスの外周側の位置であり、
前記複層ガラスの上側の外周端と前記枠体との間に、当該外周端と当該枠体との間の距離が屋内側から屋外側に向けて大きくなるように広がった空間が形成されることを特徴とするガラスパネル支持構造。
【請求項3】
前記複層ガラスの下側の外周端は、セッティングブロックを介して前記枠体のガラス支持面によって支持される請求項1又は2に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項4】
前記セッティングブロックの屋内外方向の長さは、前記複層ガラスの屋内外方向の長さと略等しい請求項3に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項5】
前記ガラス支持面に前記セッティングブロックが載置される前記枠体は、前記複層ガラスの屋外側のガラスより屋外側に突出している請求項3又は4に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項6】
前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントの内周面よりも前記複層ガラスの外周側に位置している請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項7】
前記構造シーラントの内周側には、バックアップ材が設けられ、
前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントと前記バックアップ材との境界面よりも前記複層ガラスの外周側に位置している請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項8】
前記構造シーラントは、前記複層ガラスの外周端から前記バックアップ材の外周端まで充填されている請求項7に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項9】
前記構造シーラントと前記バックアップ材とは、前記複層ガラスの周縁部の四周に設けられている請求項7又は8に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項10】
前記複層ガラスにおける屋外側の側面には、該複層ガラスを支持する支持部が設けられていない請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガラスパネル支持構造。
【請求項11】
前記複層ガラスの前記スペーサーは、スペーサー部材と、止水機能を有する第2構造シーラントと、からなり、
前記構造シーラントと、前記第2構造シーラントと、は屋内外方向で重なるように配置される請求項1乃至10のいずれか1項に記載のガラスパネル支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネル支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁面を構成するガラスパネルを支持するための構法として、例えば特許文献1に示されるようなSSG構法が知られている。SSG構法は、ガラスパネルとアルミフレームからなる支持部材を第1構造シーラントにて接着することでガラスパネルを支持する構法である。SSG構法は、ガラスパネルをアルミフレームに嵌め込むことで、荷重を伝達する、又はガラスパネルを支持する従来のカーテンウォールと比較して、屋外側が平滑になるという特徴を有している。このようなSSG構法において、複層ガラスパネルを採用した場合には、ガラスとガラスとの間に第2構造シーラントを配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の複層ガラスパネルを採用したSSG構法では、負圧時における構造シーラント部分での荷重負担割合は、複層ガラスと支持部材とを繋ぐ第1構造シーラントの第1幅寸法と、複層ガラスパネルのガラス同士の間に設けられる第2幅寸法との比率で設定され、一般的に第1幅寸法と第2幅寸法を同じ寸法にしている。そのため、複層ガラス間に設けられる第2構造シーラントとデシカントを含めた全体の第3幅寸法が第1幅寸法よりも大きくなっている。
【0005】
ここで、第1構造シーラントは、ガラスの中央側にバックアップ材が配置され、ガラスが受ける負圧、正圧の荷重を負担している。このバックアップ材との境界面が劣化により剥離したり、水分が侵入することにより劣化が促進されるおそれがあった。また、複層ガラスのガラスとその屋内側の第1構造シーラントとの間の接着面に気泡が入ることにより、接着面が減少し、耐力が低下するおそれがあることから、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ガラスパネルと枠体との間に設けられる構造シーラントの接着状態を目視により確認できるガラスパネル支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るガラスパネル支持構造は、四方を枠組みした枠体に対して複層ガラスの周縁部が接着された状態で支持するガラスパネル支持構造であって、前記複層ガラスの屋内側のガラスと前記枠体とを接着する構造シーラントと、前記複層ガラスの各ガラス同士の間に設けられたスペーサーと、を備え、前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントの内周面よりも前記複層ガラスの外周側の位置であることを特徴としている。
【0008】
本発明のガラスパネル支持構造によれば、複層ガラスに設けられるスペーサーの内周面の位置が、複層ガラスと枠体との間に設けられる構造シーラントの内周面よりも外周側の位置となるので、複層ガラスを介して屋外側から構造シーラントの接着状態を目視により確認することができる。例えば、複層ガラスの屋内側のガラスと構造シーラントとの間に気泡が侵入していることを確認することができる。そのため、構造シーラントの空隙や剥離を発見しやすくなり、構造シーラントを交換したり、修復する対応がとれるので、複層ガラスが枠体から脱落することを防止できる。
【0009】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントの内周面よりも前記複層ガラスの外周側に位置している構成としてもよい。
【0010】
この場合には、複層ガラスに設けられるスペーサーの内周面の位置が、複層ガラスと枠体との間に設けられる構造シーラントにおける内周面よりも外周側の位置となるので、複層ガラスを介して屋外側から構造シーラントの接着状態をさらに目視により確認しやすくなる。
【0011】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記構造シーラントの内周側には、バックアップ材が設けられ、前記スペーサーの内周面の位置は、前記構造シーラントと前記バックアップ材との境界面よりも前記複層ガラスの外周側に位置している構成としてもよい。
【0012】
この場合には、複層ガラスを介して屋外側から構造シーラントにおける複層ガラスとの接着面の剥離や変色状態等を目視により確認することができる。
【0013】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記構造シーラントは、前記複層ガラスの外周端から前記バックアップ材の外周端まで充填されていることが好ましい。
【0014】
このように構成することで、構造シーラントの外周端がスペーサーの内周面よりも内周側の位置になることがないので、枠体を小さくすることが可能となり、複層ガラスのガラス開口を大きくとることができる。また、構造シーラントがバックアップ材の外周端まで充填されているので、モーメントが生じる状態ではなく、複層ガラスから受ける荷重が構造シーラントに対してバランスよく、かつ均一にかかる。
【0015】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記構造シーラントと前記バックアップ材とは、前記複層ガラスの周縁部の四周に設けられている構成としてもよい。
【0016】
この場合には、複層ガラスから受ける荷重が構造シーラントに対して、複層ガラスの全周にわたってバランスよく、かつ均一にかかるので、構造シーラントの接着状態や耐久性の低下を抑えることができる。
【0017】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記構造シーラントは、前記枠体における前記複層ガラスの周縁部を支持するガラス支持面と離間している構成としてもよい。
【0018】
この場合には、枠体のガラス支持面と構造シーラントの外周面との間に空間が形成されるので、構造シーラントが枠体のガラス支持面と接着されることを防止できる。そのため、構造シーラントと枠体のガラス支持面とが接着されることによって構造シーラントに作用する応力が複雑になること防ぐことができる。
【0019】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記複層ガラスにおける屋外側の側面には、該複層ガラスを支持する支持部が設けられていない構成としてもよい。
【0020】
この場合には、複層ガラスの屋外側の側面に支持部が設けられていないので、屋外側から見て複層ガラスを介して構造シーラントが見やすくなり、前述のような構造シーラントの接着状態を目視により確認を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明に係るガラスパネル支持構造は、前記複層ガラスの前記スペーサーは、スペーサー部材と、止水機能を有する第2構造シーラントと、からなり、前記第1構造シーラントと、前記第2構造シーラントと、は屋内外方向で重なるように配置される構成としてもよい。
【0022】
この場合には、第1構造シーラントと第2構造シーラントが受ける荷重が均一になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のガラスパネル支持構造によれば、ガラスパネルと枠体との間に設けられる構造シーラントの接着状態を目視により確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態によるカーテンウォールの複層ガラスの支持構造の構成を示す縦断面図である。
図2図1に示す複層ガラスの支持構造の構成を示す水平断面図である。
図3】変形例によるカーテンウォールの複層ガラスの支持構造の構成を示す縦断面図である。
図4図1に示す複層ガラスの支持構造の構成を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態によるガラスパネル支持構造の一例について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1及び図2に示す本実施形態によるガラスパネル支持構造は、建物のカーテンウォール1におけるSSG構法に適用したものであり、四方を枠組みした枠体2に対して複層ガラス3の周縁部3aが接着された状態で支持するものである。
【0027】
カーテンウォール1は、四方を複数の縦枠2A及横枠2Bによって格子状に枠組みして構成された枠体2と、枠体2の開口部に収められた複層ガラス3と、を備えている。SSG構法は、複層ガラス3と枠体2を構造シーラント(後述する第1構造シーラント4)により接着することで荷重を支持する構法であって、複層ガラス3における屋外側の側面には複層ガラス3を支持する支持部が設けられていない構造である。
【0028】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向X1とし、建築物の開口部が躯体を貫通する方向から見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向X2とする。また、カーテンウォール1を構成する各部材や部品などは、前記開口部に設けられている姿勢であるものとして、その姿勢における屋内外方向X1および左右方向X2を用いて説明する。
【0029】
縦枠2Aは、建物の上下方向X3に沿って設けられ、建物の柱、梁、床等の躯体に対して、図示しないアングル部材等を用いて固定される。横枠2Bは、隣り合う縦枠2A、2A間で左右方向X2に架け渡され、縦枠2Aに対して固定される。
【0030】
枠体2は、枠本体21と、枠本体21の屋外側に配置されるガラス取付部22と、を有している。枠本体21とガラス取付部22は、例えば、アルミニウム等の金属材料から構成され、金属材料を押出成形等により形成することで得られる。枠本体21は、建物の躯体に対して取り付け可能となっている。
【0031】
ガラス取付部22には、上述したように複層ガラス3が取り付けられる。ガラス取付部22は、屋外側を向く外側支持面22aと、複層ガラス3の外周端3c側を向くガラス支持面22bと、を有している。外側支持面22aには、第1構造シーラント4を介して複層ガラス3の周縁部3aの屋内側部分が接着により保持されている。
【0032】
複層ガラス3の外周端3cと枠体2のガラス支持面22bとの間には、空間が設けられている。ここで、複層ガラス3の外周端3cは、ガラス板3A、3Bの端面と、第2構造シーラント31との端面により形成されている。 複層ガラス3の下側に位置するガラス支持面22bは、セッティングブロック33を介して複層ガラス3の外周端3cを載置させて支持する。セッティングブロック33は、複層ガラス3の左右方向X2に沿って間隔をあけて複数配置される。なお、ガラス支持面22bは、セッティングブロック33が配置される部分にのみに成されていてもよい。本実施形態では、図1に示すように、セッティングブロック33が配置されないガラス支持面22bでは、複層ガラス3の外周端3cからの距離が屋内側から屋外側に向けて大きくなるように広がった空間が形成されている。
【0033】
第1構造シーラント4は、複層ガラス3の屋内側のガラス板3Aと枠体2の外側支持面22aとを接着する。第1構造シーラント4は、複層ガラス3の外周端3cの位置から後述するバックアップ材5の外周端5aまで充填されている。第1構造シーラント4は、枠体2のガラス支持面22bと離間している。
【0034】
第1構造シーラント4の内周側には、バックアップ材5が設けられている。バックアップ材5は、複層ガラス3の屋内側のガラス板3Aと枠体2の外側支持面22aとの間で挟まれて密着した状態で保持されている。バックアップ材5は、例えば発泡性ポリエチレンフォーム等の弾性体からなる。第1構造シーラント4とバックアップ材5とは、複層ガラス3の周縁部3aの四周で同一構造となっている。
【0035】
複層ガラス3は、周縁部3aがガラス取付部22の外側支持面22aに対向する位置に配置される。複層ガラス3は、互いに離間した状態で対向配置された2枚のガラス板3A、3Bの間に空間3bを設け、この空間3bに乾燥空気を封入した構成となっている。複層ガラス3は、ガラス板3A、3B間の距離を規定するためのスペーサー30が設けられている。スペーサー30は、外周側に設けられ2枚のガラス板3A、3Bを接着するとともに止水機能を有する第2構造シーラント31と、第2構造シーラント31の内周側に設けられるスペーサー部材32と、を備える。スペーサー部材32は、複層ガラス3の空間3b内での結露を防止するためのデシカントや、金属材や樹脂材のみで構成されているものでもかまわない。
【0036】
スペーサー30の内周面30a(スペーサー部材32の内周面32a)の位置は、第1構造シーラント4の内周面4a(第1構造シーラント4とバックアップ材5との境界面4A)よりも外周側に位置している。すなわち、スペーサー30の高さ寸法h1は、第1構造シーラント4の高さ寸法h2より小さくなっている(h1<h2)。
【0037】
ここで、スペーサー30(第1構造シーラント4、及びバックアップ材5も同様)において、複層ガラス3のガラスの中央側を内周側とし、ガラスの端部側(外周端3c側)を外周側とする。
【0038】
上述した第1構造シーラント4の高さ寸法h2と、第2構造シーラント31の高さ寸法h1は、以下のように決定される。屋内の圧力が屋外よりも高くなった場合、または、外部風速により、当該外壁面と直交する外壁面に剥離が生じた場合には、複層ガラス3には、負圧の風荷重がかかる。この負圧の風荷重などにより、第1構造シーラント4が引張荷重を受けるため、製造時に接着界面にエア(空隙)等が生じないように確認する必要がある。また、施工後には、長期間にわたって運用されるため、様々な影響要因により剥離することがある。そこで、本実施形態のように、複層ガラス3の各ガラス板3A、3Bの負担荷重割合に応じて、第2構造シーラント31(スペーサー30)の高さ寸法を小さくすることが効果的である。
【0039】
具体的には、複層ガラス3の板厚は、内外の各ガラス板3A、3Bの板厚が同じ寸法の場合に、風荷重などに対してそれぞれ略1/2(例えば、53:47)ずつ負担する。そして、複層ガラス3の荷重を屋内側より支持する第1構造シーラント4は、風荷重によりガラスの板厚に関係なく決定される。一方、ガラス板3A、3B同士の間の第2構造シーラント31の高さを小さくしても、ガラスパネルの支持構造としての耐風圧をもたせることができる。そのため、第2構造シーラント31の高さは、内外のガラス板3A、3Bのそれぞれの板厚の割合に応じて決定される。
【0040】
次に、本実施形態によるガラスパネル支持構造の作用について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1及び図2に示すように、複層ガラス3に設けられるスペーサー30の内周面30aの位置が、複層ガラス3と枠体2との間に設けられる第1構造シーラント4の内周面4aよりも外周側の位置となるので、複層ガラス3を介して屋外側から第1構造シーラント4の接着状態を目視により確認することができる。例えば、複層ガラス3の屋内側のガラス板3Aと第1構造シーラント4との間に気泡が侵入していることを確認することができる。そのため、第1構造シーラント4の空隙や剥離を発見しやすくなり、第1構造シーラント4を交換したり、修復する対応がとれるので、複層ガラス3が枠体2から脱落することを防止できる。
【0041】
また、本実施形態では、スペーサー30の内周面30aの位置を第1構造シーラント4とバックアップ材5との境界面4Aよりも外周側に位置する構成とすることで、複層ガラス3を介して屋外側から第1構造シーラント4における複層ガラス3との接着面の剥離や変色状態等を目視により確認することができる。例えば、バックアップ材5から可塑剤等が第1シーラント4側に流れ出た場合に、第1構造シーラント4における複層ガラス3との接着面を確認できる。
【0042】
また、本実施形態では、複層ガラス3の第2構造シーラント31と第1構造シーラント4とのそれぞれの外周端が同じ位置にあるので、より少ない面積で円滑に荷重を伝達することができる。つまり、本実施形態の場合には、第2構造シーラント31と第1構造シーラント4との外周端の位置がずれている場合のようなモーメントが作用しにくい構造となる。また、本実施形態では、バックアップ材5よりも第1構造シーラント4が屋外側に配置されている。なお、ガラス内周端と枠体2側の第1構造シーラント4との間に段差が形成される場合、第1構造シーラント4側に雨水が侵入し溜まってしまうと、太陽光で温度が上昇し、温水となる可能性があり、第1構造シーラント4の周縁部3aとの接着界面や外側支持面22a側に剥離が生じるおそれがある。そのため、本実施形態のようにバックアップ材5よりも第1構造シーラント4が屋外側に配置することで、第1構造シーラント4の接着界面や外側が劣化を起こすという不具合を防止することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1構造シーラント4が複層ガラス3の外周端3cからバックアップ材5の外周端5aまで充填されていて、第1構造シーラント4の外周面4bがスペーサー30の内周面30aよりも内周側の位置になることがないので、枠体2を小さくすることが可能となり、複層ガラス3のガラス開口を大きくとることができる。また、第1構造シーラント4がバックアップ材5の外周端5aまで充填されているので、モーメントが生じる状態ではなく、複層ガラス3から受ける荷重が第1構造シーラント4に対してバランスよく、かつ均一にかかる。
【0044】
また、本実施形態では、第1構造シーラント4とバックアップ材5とが複層ガラス3の周縁部3aの四周で同一構造となっている。そのため、複層ガラス3から受ける荷重が第1構造シーラント4に対して、複層ガラス3の全周にわたってバランスよく、かつ均一にかかるので、第1構造シーラント4の接着状態や耐久性の低下を抑えることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、枠体2のガラス支持面22bと第1構造シーラント4の外周面4bとの間に空間が形成されるので、第1構造シーラント4がガラス支持面22bと接着されることを防止できる。そのため、第1構造シーラント4とガラス支持面22bとが接着されることによって第1構造シーラント4に作用する応力が複雑になること防ぐことができる。すなわち、第1構造シーラント4がガラス支持面22bに対して接着された場合には、第1構造シーラント4は枠体側面(枠体2の外側支持面22a)との間の応力に加えて、ガラス支持面22bとの間でも応力を受けることになる。このように様々な方向から応力を受けることは第1構造シーラント4にとって断裂、損傷等の原因になり不利になることから、上述のように第1構造シーラント4とガラス支持面22bとの間に空間を形成することで、枠体2と第1構造シーラント4の接触を最小限に留めることができる。
【0046】
さらにまた、本実施形態では、複層ガラス3の屋外側の側面に支持部が設けられていないので、屋外側から見て複層ガラス3を介して第1構造シーラント4が見やすくなり、前述のような第1構造シーラント4の接着状態を目視により確認を容易に行うことができる。
【0047】
このように本実施形態のガラスパネル支持構造によれば、複層ガラス3と枠体との間に設けられる第1構造シーラント4の接着状態を目視により確認できる。
【0048】
以上、本発明によるガラスパネル支持構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
例えば、本実施形態では、複層ガラス3が2枚のガラス板3A、3Bから構成されているが、ガラス板の枚数は2枚のものに限定されず、3枚以上のガラス板を対向させて配列したガラスであってもかまわない。
【0050】
また、スペーサー30における高さ方向の内周面30a(スペーサー部材32の内周面32a)の位置は、上述した実施形態では第1構造シーラント4における内周面4aより下方の位置としているが、図3及び図4に示す変形例のような位置関係であってもよい。すなわち、図3及び図4に示すように、スペーサー30の内周面30aの位置が第1構造シーラント4における内周面4aと同じ高さ(h1=h2)であってもかまわない。要は、スペーサー30における高さ方向の内周面30aの位置は、第1構造シーラント4における内周面4a以下の位置であればよいのである。
【0051】
また、ガラスパネル支持構造として、複層ガラス3のスペーサー30は、スペーサー部材と、止水機能を有する第2構造シーラント31と、からなり、第1構造シーラント4と、第2構造シーラント31と、は屋内外方向X1で重なるように配置される構成としてもよい。この場合には、第1構造シーラント4と第2構造シーラント31が受ける荷重が均一になる。
【0052】
また、枠体2において、例えば枠本体21とガラス取付部22を別部材で構成し、双方の間に免震機構を設けるような構成であってもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 カーテンウォール
2 枠体
2A 縦枠
2B 横枠
3 複層ガラス
3A、3B ガラス板
3a 周縁部
4 第1構造シーラント
4a 内周面
4A 境界面
5 バックアップ材
21 枠本体
22 ガラス取付部
22a 外側支持面
22b ガラス支持面
30 スペーサー
30a 内周面
31 第2構造シーラント
32 スペーサー部材
32a 内周面
X1 屋内外方向
X2 左右方向
X3 上下方向
図1
図2
図3
図4