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  • 特許-MEMS素子及び電気音響変換装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】MEMS素子及び電気音響変換装置
(51)【国際特許分類】
   B81B 3/00 20060101AFI20231026BHJP
   H04R 19/04 20060101ALI20231026BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B81B3/00
H04R19/04
H04R1/40 320A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022204656
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】17/826,179
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ユアン
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第114222213(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0091906(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0001647(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0176570(US,A1)
【文献】特開2017-121028(JP,A)
【文献】特開2016-192628(JP,A)
【文献】特開2017-168945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00
H04R 19/04
H04R 1/40
H04R 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMS素子であって、
バックチャンバが貫通するベースと、
前記ベースに接続され、かつ前記バックチャンバを覆い、対向して設置される第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを含み、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの間に収容空間が形成される振動膜と、
前記収容空間内に設けられる対電極と、
前記収容空間内に同心に設けられ、振動方向に沿って対向する両端がそれぞれ前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムに接続され、前記振動膜の円心を中心として前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設置される複数の支持リングとを含み、
各前記支持リングは、いずれも同心に設置される複数の第1部分で構成され、複数の前記第1部分は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの前記第1部分の間に第1切り欠きが形成され、
少なくとも1つの前記支持リングにおいて、前記第1部分は、同心に設置される複数の第2部分で構成され、複数の前記第2部分は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの前記第2部分の間に第2切り欠きが形成されていることを特徴とするMEMS素子。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分はいずれも弧状構造であることを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項3】
前記振動膜のエッジに近接する4つの前記支持リングにおいて、前記第1部分は、同心に設置される複数の第2部分で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項4】
前記第1部分は、同心に設置される2つの第2部分で構成されていることを特徴とする請求項3に記載のMEMS素子。
【請求項5】
隣接する2つの前記支持リング内の複数の前記第1切り欠きの位置は、いずれも一対一に対応し、かつ前記振動膜の径方向に沿って、複数の前記支持リング内の前記第1切り欠きの弧長は、徐々に増大することを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項6】
前記第1ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第1突起を含み、前記第2ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第2突起を含み、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設置され、複数の前記支持リング、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも一対一に対応し、前記支持リングの対向する両端は、それぞれ前記第1突起及び前記第2突起に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項7】
前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも平面構造であることを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項8】
前記収容空間は、気密に密封され、前記収容空間の内部圧力は、外部大気圧よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項9】
前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも導電材料で製造されるか又はその上に導電素子が設置された絶縁膜を含むことを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項10】
前記対電極は、単一の導体を含むことにより、前記第1ダイアフラムと前記単一の導体との間に第1容量が形成され、前記第2ダイアフラムと前記単一の導体との間に第2容量が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項11】
電気音響変換装置であって、請求項1に記載のMEMS素子と、前記MEMS素子と電気的に接続される回路装置とを含むことを特徴とする電気音響変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システムの技術分野に関し、特にMEMS素子及び電気音響変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、二重膜構造のマイクロフォンが開発及び生産されており、該マイクロフォンは、2つ薄膜が対電極の対向する両側にある。これは2つ薄膜の間に密封可能な収容空間を形成し、外部環境に対して異なる圧力を有することができる。収容空間内の圧力を低下させると、該構造は、対電極に関連する自己ノイズ(MEMSマイクロフォンにおける主なノイズ源)を顕著に低減する。
【0003】
従来技術の2つ薄膜は、複数の小円柱体により支持されて接続されることにより、構造の倒壊を防止し、薄膜が大気の負荷で過度に変形することを防止するために、隣接する小円柱体の間に緊密な間隔を必要とし、5~20um程度離れる。
【0004】
小円柱体は、対電極により接触せず、各小円柱体は、対電極において関連する貫通溝を有しなければならず、近すぎる小円柱体は、対電極の信頼性を低下させ、また、マイクロフォンの音響ダンピング及び容量の設計に対して重要な制限が提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における技術課題を解決し、MEMS素子及び電気音響変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、MEMS素子を提供し、
バックチャンバが貫通するベースと、
前記ベースに接続され、かつ前記バックチャンバを覆い、対向して設置される第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを含み、前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムとの間に収容空間が形成される振動膜と、
前記収容空間内に設けられる対電極と、
前記収容空間内に同心に設けられ、振動方向に沿って対向する両端がそれぞれ前記第1ダイアフラムと前記第2ダイアフラムに接続され、前記振動膜の円心を中心として前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設置される複数の支持リングとを含み、
各前記支持リングは、いずれも同心に設置される複数の第1部分で構成され、複数の前記第1部分は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの前記第1部分の間に第1切り欠きが形成され、
少なくとも1つの前記支持リングにおいて、前記第1部分は、同心に設置される複数の第2部分で構成され、複数の前記第2部分は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの前記第2部分の間に第2切り欠きが形成されている。
【0007】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記第1部分と前記第2部分はいずれも弧状構造である。
【0008】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記振動膜のエッジに近接する4つの前記支持リングにおいて、前記第1部分は、同心に設置される複数の第2部分で構成されている。
【0009】
上記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記第1部分は、同心に設置される2つの第2部分で構成されている。
【0010】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、隣接する2つの前記支持リング内の複数の前記第1切り欠きの位置は、いずれも一対一に対応し、かつ前記振動膜の径方向に沿って、複数の前記支持リング内の前記第1切り欠きの弧長は、徐々に増大する。
【0011】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記第1ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第1突起を含み、前記第2ダイアフラムは、前記収容空間に向かって突出する複数の第2突起を含み、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも前記振動膜の径方向に沿って間隔を隔てて設置され、複数の前記支持リング、複数の前記第1突起及び複数の前記第2突起は、いずれも一対一に対応し、前記支持リングの対向する両端は、それぞれ前記第1突起及び前記第2突起に接続されている。
【0012】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも平面構造である。
【0013】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記収容空間は、気密に密封され、前記収容空間の内部圧力は外部大気圧より小さい。
【0014】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記第1ダイアフラム及び前記第2ダイアフラムは、いずれも導電材料で製造されるか又はその上に導電素子が設置された絶縁膜を含む。
【0015】
前記のようなMEMS素子であって、好ましくは、前記対電極は、単一の導体を含むことにより、前記第1ダイアフラムと前記単一の導体との間に第1容量が形成され、前記第2ダイアフラムと前記単一の導体との間に第2容量が形成されている。
【0016】
本願はさらに電気音響変換装置を提供し、前述のMEMS素子と、前記MEMS素子と電気的に接続される回路装置とを含む。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べて、本発明は、複数の支持リングを利用して第1ダイアフラムと第2ダイアフラムを接続し、支持リングは、第1部分と第1切り欠きとが交互に間隔を隔てて構成され、大きい第1部分を使用することにより、隣接する第1部分間の間隔が大きくなり、対電極には、大量の貫通溝を設置する必要がある技術課題を解決し、一方で少なくとも1つの支持リングにおいて、第1部分は、第2切り欠きにより隣接する複数の第2部分に仕切られ、それにより対電極の剛性を補強する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の提供するMEMS素子の軸測定図である。
図2】本発明の提供するMEMS素子の平面図である。
図3】本発明の提供する支持リングの構成を示す模式図である。
図4】本発明の提供する第1種の振動膜構造の断面図である。
図5】本発明の提供する第2種の振動膜構造の断面図である。
図6】本発明の提供する電気音響変換装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の例示は図面に示され、終始同じ又は類似の符号は、同じ又は類似の素子又は同じ又は類似の機能を有する素子を示す。以下に図面を参照して説明した実施例は例示的なものであり、本発明のみを説明するために用いられ、本発明の制限と解釈することができない。
【0020】
図1及び図2に示すように、図1は、本発明の提供するMEMS素子の軸測定図であり、図2は、本発明の提供するMEMS素子の平面図であり、本発明の実施例は、MEMS素子200を提供し、ベース10と、振動膜20と、対電極40と、複数の支持リング30とを含み、
バックチャンバ11は、ベース10を貫通し、好ましくは、バックチャンバ11の内輪郭面は、円形溝構造である。
【0021】
振動膜20は、ベース10に接続され、かつバックチャンバ11を覆う。振動膜20は、対向して設置される第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22を含み、本実施例において、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22は、いずれも同心に設置される円形構造であり、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22との間に予め設定されるの隙間を維持して収容空間23を形成する。第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22は、導電材料で製造されてもよく、又はその上に導電素子が設置された絶縁膜を含んでもよい。
【0022】
対電極40は、懸架状態で収容空間23内に設置され、通常の状態で、対電極40は、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22とに接触せず、かつ支持リング30に機械的に結合されていない。
【0023】
いくつかの実施例において、対電極40は、単一の導体を含み、それにより第1ダイアフラム21と単一の導体との間に第1容量が形成され、第2ダイアフラム22と単一の導体との間に第2容量が形成される。第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22に加えられた圧力に応じて、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22は、対応する対電極40に対して移動可能であり、それにより第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22と対応する対電極40との間の距離を変更する。これにより、容量が変化し、かつそれに応じて電気信号を出力する。
【0024】
図3に示すように、図3は本発明の提供する支持リングの構成を示す模式図であり、複数の支持リング30は、いずれも環状構造であることが好ましく、複数の支持リング30は、収容空間23内に同心に設置され、複数の支持リング30の振動膜20に垂直な方向に対向する両端には、それぞれ第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22が接続され、複数の支持リング30は、振動膜20の円心を中心として振動膜20の径方向に沿って間隔を隔てて設置され、振動膜20の円心から離れるほど、支持リング30の内径が大きくなる。
【0025】
支持リング30の作用は、第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22が平坦であるように保ち、又は各支持リング30の間の第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22の湾曲/変形を少なくとも制限/制御することにより、収容空間23の密封体積が低下した大気圧下にあり、外部が環境大気圧下にある時に、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22が互いに折り畳まれることを回避することである。
【0026】
支持リング30は、全体壁状構造であってもよく、内部にチャンバが設けられてもよく、チャンバ内には、充填材料が充填されてもよく、充填材料は、例えば酸化ケイ素などの酸化物であってもよい。又は、チャンバ内は空であってもよい。チャンバには、溝穴が開設されてもよく、それにより外部環境の空気又はエッチング溶液がチャンバ内に入ることを可能にして、充填材料を放出する。これにより、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22の柔順性を増加させ、また、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22との間のプレート間容量を減少させる。
【0027】
いくつかの実施例において、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22には、同時に連通溝24が設置され、対向して設置された連通溝24は、支持リング30のチャンバ内に充填された充填材料を完全に放出し、これは第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22との間に上下に貫通する通風口を作ることに相当し、それにより連通溝24が位置する領域の膜の湾曲に対する柔順性を顕著に増加させることができる。第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22とにおける連通溝24は、寸法及び形状が同じであってもよく、異なってもよく、ここで限定しない。
【0028】
支持リング30は、第1ダイアフラム21および第2ダイアフラム22の一方と一体に形成されてもよい。又は、第1ダイアフラム21と第2ダイアフラム22を一体に組み立てた後、両者の間に支持リング30を形成する。
【0029】
各支持リング30は、いずれも同心に設置された複数の第1部分31で構成され、対電極40における第1部分31に対応する箇所には、いずれも貫通溝が設置され、それにより支持リング30が通過することを可能にし、第1部分31の横断面が弧状を有することができる。又は、横断面は、直線形状、鋸歯形状又はそれに類似する形状を有してもよい。同一の支持リング30内の複数の第1部分31の内径は、いずれも同じであり、複数の第1部分31は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの第1部分31の間には、第1切り欠き32が形成される。従来技術における小円柱体に比べて、本発明は、大きな第1部分31を使用することにより、第1ダイアフラム31及び第2ダイアフラム22を支持することで、隣接する第1部分31間の間隔が大きくなり、対電極40に貫通溝を大量に開設する必要がある技術課題を解決し、対電極40の設計と支持リング30の設計を分け、また、第1部分31は、従来技術における小円柱体より遥かに大きく、それにより同じアスペクト比の柱構造が遥かに高くなる。これにより、より厚い対電極40を使用することができ、より硬い構造を可能にし、これはデバイスの安定性及び信頼性を顕著に向上させることができる。
【0030】
なお、少なくとも1つの支持リング30において、第1部分31は、同心に設置された複数の第2部分33で構成され、第2部分33の横断面は、同様に弧状を有することができる。又は、横断面は、直線形状、鋸歯形状又はそれに類似する形状を有してもよい。同一の第1部分31内の複数の第2部分33の内径は、いずれも同じであり、複数の第2部分33は、リング状で間隔を隔てて設置され、隣接する2つの第2部分33の間には、第2切り欠き34が形成される。対電極40は、第2切り欠き34において貫通溝を開設する必要がなく、それにより対電極40の剛性を向上させる。
【0031】
いくつかの実施例において、振動膜20のエッジに近接する4つの支持リング30において、第1部分31は、同心に設置された2つの第2部分33で構成され、2つの第2部分33の間には、第2切り欠き34が形成される。第2切り欠き34が第1部分31の中部に位置し、当業者であれば分かるように、1つの第1部分31内に含まれる第2部分33の数及び位置は、実際の状況に応じて適宜変更することができ、ここで限定しない。
【0032】
続いて図1及び図2に示すように、隣接する2つの支持リング30内の複数の第1切り欠き32の位置は、いずれも一対一に対応し、かつ振動膜20の径方向に沿って、複数の支持リング30内の第1切り欠き32の弧長が徐々に増大し、それにより隣接する第1部分31間の隙間がより大きくなる。対電極40は、第1切り欠き32において、貫通溝を開設する必要がないため、対電極40の剛性をさらに向上させる。
【0033】
複数の支持リング30内の第1切り欠き32の弧長は、線形漸増を呈してもよく、又は非線形漸増を呈してもよく、すなわち第1切り欠き32の弧長は、振動膜20の円心からエッジまで徐々に変化し、第1部分31間の隙間がより大きくなり、対電極40の剛性を向上させることに役立つ。
【0034】
図4及び図5に示すように、図4は、本発明の提供する第1種の振動膜構造の断面図であり、図5は、本発明の提供する第2種の振動膜構造の断面図である。
【0035】
図4に示すように、いくつかの実施例において、第1種の振動膜構造内の第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22は、いずれも平面構造である。
【0036】
図5に示すように、いくつかの実施例において、第2種振動膜20構造内の第1ダイアフラム21及び第2ダイアフラム22は、いずれも波紋構造である。第1ダイアフラム21は、収容空間23に向かって突出する複数の第1突起211を含み、第2ダイアフラム22は、収容空間23に向かって突出する複数の第2突起221を含み、複数の第1突起211と複数の第2突起221は、いずれも振動膜20の径方向に沿って間隔を隔てて設置され、複数の支持リング30、複数の第1突起211及び複数の第2突起221は、いずれも一対一に対応し、支持リング30の対向する両端には、それぞれ第1突起211と第2突起221が接続される。
【0037】
好ましくは、第1突起211及び第2突起221の形状及び寸法はいずれも同じであり、それにより規則的な波紋を形成する。これにより、振動膜20全体が受けた応力分布を均一にし、同時に成形加工に役立つ。また、第1突起211及び第2突起221の振動膜20に垂直な方向における断面形状は、矩形状、台形又は三角形などであってもよい。第1突起211及び第2突起221の傾斜面の角度は0°より大きく、90°以下である。当業者であれば分かるように、第1突起211及び第2突起221の振動膜20に垂直な方向における断面形状は、規則的な図形であっても、不規則な図形であってもよく、ここで限定されない。
【0038】
第1突起211と第2突起221は、共に振動膜20の波紋を構成し、それにより振動膜20は、大きな張力を有し、大きな音圧を受けることができ、同時に構成された振動膜20は、小さい内部応力を有し、振動膜20の剛性が減少し、MEMS素子200の機械感度を効果的に向上させる。
【0039】
好ましくは、収容空間23は、気密に密封され、収容空間23の内部圧力は、外部大気圧より小さい。また、収容空間23の内部圧力は0.2atmよりも小さく、好ましくは、収容空間23内の圧力は、0.1atmに等しい。いくつかの実施例において、収容空間23は、真空である。
【0040】
以上の実施例に基づいて、本発明は電気音響変換装置100を提供し、図6に示すように、図6は、本発明の提供する電気音響変換装置の構成を示す模式図であり、電気音響変換装置100は、前述のMEMS素子200及びMEMS素子200に電気的に接続された回路装置300(ASIC)を含み、電気音響変換装置100は、マイクロフォン又はスピーカなどであってもよい。
【0041】
以上は図面に示す実施例に基づいて本発明の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明し、以上の記載は本発明の好ましい実施例だけであるが、本発明が図面で示された実施範囲を限定しなく、本発明の構想に応じて行われた変更、又は同等変化の等価実施例に修正することができ、依然として明細書及び図面に含まれる精神を超えない場合、いずれも本発明の保護範囲内にあるべきである。
【符号の説明】
【0042】
10-ベース
11-バックチャンバ
20-振動膜
21-第1ダイアフラム
211-第1突起
22-第2ダイアフラム
221-第2突起
23-収容空間
24-連通溝
30-支持リング
31-第1部分
32-第1切り欠き
33-第2部分
34-第2切り欠き
40-対電極
100-電気音響変換装置
200-MEMS素子
300-回路装置


【要約】      (修正有)
【課題】MEMS素子及び電気音響変換装置を開示する。
【解決手段】MEMS素子は、バックチャンバが貫通するベースと、対向して設置される第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを含み、第1ダイアフラムと第2ダイアフラムとの間に収容空間が形成される振動膜と、対電極と、複数の支持リングとを含み、各支持リングがいずれも同心に設置される複数の第1部分で構成され、隣接する2つの第1部分の間に第1切り欠きが形成され、少なくとも1つの支持リングにおいて、第1部分が同心に設置される複数の第2部分で構成され、隣接する2つの第2部分の間に第2切り欠きが形成される。支持リングは、第1部分と第1切り欠きとが交互に間隔を隔てて構成され、大きな第1部分を使用することにより、隣接する第1部分間の間隔が大きく、対電極に大量の貫通溝を必要とする技術課題を解決する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6