(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】透過及び反射光を組み合わせた半導体素子の内部クラックの撮像
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2022504086
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020042700
(87)【国際公開番号】W WO2021016145
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-06-23
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロッセン クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウテルス クリストフ
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-86563(JP,A)
【文献】特開2011-33449(JP,A)
【文献】特開2015-72241(JP,A)
【文献】特開2017-166903(JP,A)
【文献】特開2019-109081(JP,A)
【文献】特開2008-267851(JP,A)
【文献】特開2009-192249(JP,A)
【文献】特開2011-38947(JP,A)
【文献】特開2007-294604(JP,A)
【文献】特開2013-53973(JP,A)
【文献】特開平11-295242(JP,A)
【文献】国際公開第2009/139189(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/088423(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 23/00-G01N 23/2276
G01B 11/00-G01B 11/30
H01L 21/64-H01L 21/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプと、
前記真空ポンプと流体連通するノズルであってワークピースを保持すべく構成されたノズルと、
前記ノズルを移動すべく構成されたノズルアクチュエータと、
検査モジュールであって、
第1の光源と、
第2の光源と、
前記第1の光源から光を受光すべく配置された第1の鏡であって前記第1の光源からの光をワークピースの外表面へ向ける第1の鏡と、
前記第2の光源からの光を受光すべく配置された第2の鏡であって前記第2の光源からの光をワークピースの外表面へ向ける第2の鏡と、
前記第1の光源と前記第1の鏡の間に配置された第1の
ハーフミラーであって前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光、及び前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光を受光する第1の
ハーフミラーと、
前記第2の光源と前記第2の鏡の間に配置された第2の
ハーフミラーであって前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光、及び前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光を受光する第2の
ハーフミラーと、
前記第1の光源及び前記第2の光源からの光を受光するカメラと
、
前記第1の
ハーフミラーからの光を前記カメラへ向けるべく配置された第3の鏡と、
前記第2の
ハーフミラーからの光を前記カメラへ向けるべく配置された第4の鏡を含む検査モジュールを含むシステム。
【請求項2】
前記第1の光源及び前記第2の光源がLEDである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カメラと前記第3の鏡と前記第4の鏡の間に配置された少なくとも1個の光学レンズから更に含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記カメラを前記第3の鏡及び前記第4の鏡に相対的に移動させるべく構成されたカメラアクチュエータを更に含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の鏡及び前記第2の鏡が前記ワークピースの外表面の両側面に対向して配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
2つの鏡を有する第2の検査モジュールを更に含み、前記第2の検査モジュール
内の前記2つの鏡が、
それぞれ前記検査モジュールの前記第1の鏡及び前記第2の鏡に対して90°の角度に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ノズルアクチュエータが、前記ワークピースを前記検査モジュールと前記第2の検査モジュールの間で移動させるべく構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第1の光源からの光を第1の検査モジュール内のワークピースの外表面へ向けるステップと、
前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光をカメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光が第1の鏡及び第1の
ハーフミラーを介して前記カメラへ向けられるステップと、
前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光をカメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光が第2の鏡及び第2の
ハーフミラーを介して前記カメラへ向けられるステップを含
み、
第2の光源からの光を前記第1の検査モジュール内の前記第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップと、
前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光を前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光が前記第2の鏡及び前記第2のハーフミラーを介して前記カメラへ向けられるステップと、
前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光を前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光が前記第1の鏡及び前記第1のハーフミラーを介してカメラへ向けられるステップを更に含む方法。
【請求項9】
前記カメラを用いて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光の画像と、前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光の画像を前記カメラのセンサの1回の露光で取得するステップを更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の検査モジュール内で第2の光源からの光を前記第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップを更に含み、前記第2の光源から光を向けるステップが、前記第1の光源から光を向けるステップと同時であり、前記第2の光源からの光の強度は前記第1の光源の光よりも低い、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カメラを用いて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光の画像と、前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光の画像を前記カメラのセンサの1回の露光で取得するステップを更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の光源からの光を前記第1の検査モジュール内の前記第2の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップにおいて、前記第1の光源から光を向けるステップが前記第2の光源から光を向けるステップと同時であり、前記第1の光源からの光の強度が第2の光源からの光よりも低い、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記カメラ及び/又は前記第1の鏡、前記第1の
ハーフミラー、及び前記第1の光源の位置を調整することにより前記ワークピース内に焦点面を配置するステップを更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の光源からの光の波長を調整することにより前記ワークピース内の前記第1の光源からの光の進入深さを調整するステップを更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記ワークピースを真空ポンプと流体連通するノズルに配置するステップと、ノズルアクチュエータを用いて前記ノズル上で前記ワークピースを前記第1の鏡に相対的に移動させるステップを更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記ワークピースを前記第1の検査モジュールから第2の検査モジュールへ移動させるステップを更に含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の光源からの光を第2の検査モジュール内の前記ワークピースの外表面へ向けるステップと、
前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光を前記第2の検査モジュール内の前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第1の光源からの光が前記第2の検査モジュール内の第1の鏡及び第1の
ハーフミラーを介して前記第2の検査モジュール内の前記カメラへ向けられるステップと、
前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光を前記第2の検査モジュール内の前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースを貫通して透過された前記第1の光源からの光が前記第2の検査モジュール内の第2の鏡及び第2の
ハーフミラーを介して前記第2の検査モジュール内の前記カメラへ向けられるステップを更に含み、
前記第2の検査モジュールの前記第1の鏡及び前記第2の鏡が各々、前記第1の検査モジュールの前記第1の鏡及び前記第2の鏡に対して90°の角度に配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の光源からの光を前記第2の検査モジュール内の前記第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップと、
前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光を前記第2の検査モジュール内の前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースの外表面から反射された前記第2の光源からの光が前記第2の検査モジュール内の前記第2の鏡及び前記第2の
ハーフミラーを介して第2の検査モジュール内の前記カメラへ向けられるステップと、
前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光を前記第2の検査モジュール内の前記カメラで受光するステップにおいて、前記ワークピースを貫通して透過された前記第2の光源からの光が前記第2の検査モジュール内の前記第1の鏡及び前記第1の
ハーフミラーを介して前記第2の検査モジュール内の前記カメラへ向けられるステップを更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ワークピースがシリコン、窒化ガリウム、又はヒ化ガリウムのいずれかで作られている、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はワークピースの欠陥検出に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月23日出願の米国仮特許出願第62/877,675号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容を本明細書に引用している。
【0003】
半導体製造産業の発展により、歩留まり管理、及び特に計測及び検査システムに対する要求が高まっている。臨界寸法は縮小し続けているが、産業界では高い歩留まり及び大量生産に達するまでの時間を短縮する必要がある。歩留まりの問題を検出してから解決に至るまでの合計時間を最小限に抑えることが半導体メーカーの投資利益率を決定する。
【0004】
半導体素子が更に高度化するにつれて、半導体ウェハ又は半導体ウェハの一部等のワークピースの側面欠陥検出の重要性が増している。
図1、2に、ワークピースの側面欠陥を発見する従来のシステムを示す。
図1のシステム100は、ワークピースの側面を調べることにより、ワークピース表面まで拡大する表面欠陥又は内部欠陥を検出する。
図2は、
図1のシステム100を用いて得られた画像の模式的表現である。システム100は4個の鏡、例えば正方形に配置されて互いに対向する複数の鏡101を有している。ワークピース102(又は検査対象である他の物体)は、複数の鏡101同士の間隙に配置されている。ワークピース102は側面欠陥103を有している。
【0005】
レンズ105付きカメラ104はワークピース102の底面を向いている。複数の鏡101は、4側面(そのうち2面を
図1の断面図に示す)の各々と45°の角度に配置されている。非テレセントリック光学部品により±2°の偏差角が可能である。
図1のシステム100を用いて
図2に示すように、ワークピース102の底面の画像106、及びワークピース102の4側面の各画像107a~107dを取得する(
図2参照)。カメラ104とレンズ105とワークピース102の間に同軸照明が配置されていてよい。ワークピース102の4側面の反射光画像だけが4個の鏡101を用いて撮像される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
システム100の設計には短所がある。システム100は反射光しか用いることができない。従って、反射及び透過光の両方に対応するにはシステムを大型化しなければならない。半導体製造施設では設置面積が小さい設備が好まれる。透過光画像に対するシステムの検査速度が低い。反射光画像に対して、ワークピース上の粗い、表面ダイシングマークに起因してシステム100に検査オーバーキルが頻繁に生じる傾向がある。これらのダイシングマークは撮像設備により解像、視覚化、及び/又は強調されるが、検査対象のワークピース102を不合格にする理由に通常はならない。
【0008】
アンダーキル及びオーバーキルは共に高価であり、可能ならば最小化すべきである。オーバーキルは良品ワークピースを誤って不合格にするリスクである。アンダーキルは実際には不良品であるワークピースを不合格に仕損なうリスクである。
【0009】
システム100の更なる短所は、同一ワークピースの反射及び透過光画像取得が複数の検査装置にわたり分散しており、且つ時間経過に伴い散逸することである。これにより処理及び後処理目的で画像を組み合わせることが更に困難になる。
【0010】
従って、改良されたシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1実施形態においてシステムを提供する。本システムは真空ポンプ、真空ポンプと流体連通するノズル、ノズルを移動すべく構成されたノズルアクチュエータ、及び検査モジュールを含んでいる。ノズルは、ワークピースを保持すべく構成されている。検査ノズルは、第1の光源、第2の光源、第1の鏡、第2の鏡、第1のハーフミラー(以下、これを適宜、「半鏡」と称する)、第2のハーフミラー(半鏡)、カメラ、第3の鏡、及び第4の鏡を含んでいる。第1の鏡は、第1の光源から光を受光すべく配置されている。第1の鏡は第1の光源からの光をワークピースの外表面へ向ける。第2の鏡は、第2の光源からの光を受光すべく配置されている。第2の鏡は、第2の光源からの光をワークピースの外表面へ向ける。第1の半鏡は、第1の光源と第1の鏡の間に配置されている。第1の半鏡は、ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光、及びワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光を受光する。第2の半鏡は、第2の光源と第2の鏡の間に配置されている。第2の半鏡は、ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光、及びワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光を受光する。カメラは第1の光源及び第2の光源からの光を受光する。第3の鏡は、第1の半鏡からの光をカメラへ向けるべく配置されている。第4の鏡は、第2の半鏡からの光をカメラへ向けるべく配置されている。
【0012】
第1の光源及び第2の光源はLEDであってよい。
【0013】
システムは更に、カメラと第3の鏡と第4の鏡の間に配置された少なくとも1個の光学レンズを含んでいてよい。
【0014】
システムは更に、カメラを第3の鏡及び第4の鏡に相対的に移動させるべく構成されたカメラアクチュエータを含んでいてよい。
【0015】
第1の鏡及び第2の鏡はワークピースの外表面の両側面に対向して配置されていてよい。
【0016】
システムは更に、第2の検査モジュールを含んでいてよい。第2の検査モジュールの第1の鏡及び第2の鏡は各々、検査モジュール内の第1の鏡及び第2の鏡に対して90°の角度に配置されている。ノズルアクチュエータが、ワークピースを検査モジュールと第2の検査モジュールとの間で移動させるべく構成されていてよい。
【0017】
第2の実施形態において方法を提供する。本方法は、第1の光源からの光を第1の検査モジュール内のワークピースの外表面へ向けるステップを含んでいる。ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光はカメラで受光される。ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光は第1の鏡及び第1の半鏡を介してカメラへ向けられる。ワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光はカメラで受光される。ワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光は第2の鏡及び第2の半鏡を介してカメラへ向けられる。
【0018】
本方法は更に、カメラを用いて、ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光の画像と、ワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光の画像をカメラのセンサの1回の露光で取得するステップを含んでいてよい。
【0019】
本方法は更に、第1の検査モジュール内で第2の光源からの光を第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップを含んでいてよい。第2の光源から光を向けるステップは、第1の光源から光を向けるステップと同時である。第2の光源からの光の強度は第1の光源の光よりも低い。
【0020】
一例において、本方法は更に、第2の光源からの光を第1の検査モジュール内の第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップを含んでいてよい。ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光をカメラで受光することができる。ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光は第2の鏡及び第2の半鏡を介してカメラへ向けられる。ワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光をカメラで受光することができる。ワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光は第1の鏡及び第1の半鏡を介してカメラへ向けられる。
【0021】
本例において、本方法は更に、カメラを用いて、ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光の画像と、ワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光の画像をカメラのセンサの1回の露光で取得するステップを含んでいてよい。
【0022】
本例において、本方法は更に、第1の光源からの光を第1の検査モジュール内の第2の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップを含んでいてよい。第1の光源から光を向けるステップは第2の光源から光を向けるステップと同時である。第1の光源からの光の強度は第2の光源からの光よりも低い。
【0023】
本方法は更に、カメラ及び/又は第1の鏡、第1の半鏡、及び第1の光源の位置を調整することによりワークピース内に焦点面を配置するステップを含んでいてよい。
【0024】
本方法は更に、第1の光源からの光の波長を調整することによりワークピース内の第1の光源からの光の進入深さを調整するステップを含んでいてよい。
【0025】
一例において、本方法は更に、ワークピースを真空ポンプと流体連通するノズルに配置して、ノズルアクチュエータを用いて当該ノズル上でワークピースを第1の鏡に相対的に移動させるステップを含んでいる。
【0026】
本例において、本方法は更に、ワークピースを第1の検査モジュールから第2の検査モジュールへ移動させるステップを含んでいてよい。
【0027】
本例において、本方法は更に、第1の光源からの光を第2の検査モジュール内のワークピースの外表面へ向けるステップを含んでいてよい。ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光は第2の検査モジュール内のカメラで受光される。ワークピースの外表面から反射された第1の光源からの光は、第2の検査モジュール内の第1の鏡及び第1の半鏡を介して第2の検査モジュール内のカメラへ向けられる。ワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光は第2の検査モジュール内のカメラで受光される。ワークピースを貫通して透過された第1の光源からの光は、第2の検査モジュール内の第2の鏡及び第2の半鏡を介して第2の検査モジュール内のカメラへ向けられる。第2の検査モジュールの第1の鏡及び第2の鏡は各々、第1の検査モジュールの第1の鏡及び第2の鏡に対して90°の角度に配置されている。
【0028】
本例において、本方法は更に、第2の光源からの光を第2の検査モジュール内の第1の光源から180°に位置するワークピースの外表面上の点へ向けるステップを含んでいてよい。ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光は第2の検査モジュール内のカメラで受光される。ワークピースの外表面から反射された第2の光源からの光は、第2の検査モジュール内の第2の鏡及び第2の半鏡を介して第2の検査モジュール内のカメラへ向けられる。ワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光は第2の検査モジュール内のカメラで受光される。ワークピースを貫通して透過された第2の光源からの光は、第2の検査モジュール内の第1の鏡及び第1の半鏡を介して第2の検査モジュール内のカメラへ向けられる。
【0029】
ワークピースは、シリコン、窒化ガリウム、又はヒ化ガリウムのいずれかで作られていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示の性質及び目的に対する理解を深めるべく、添付の図面と合わせて以下の詳細な記述を参照されたい。
【0031】
【
図1】ワークピース内の側面欠陥を発見する従来システムの模式図である。
【
図2】ワークピース内の側面欠陥を発見する従来システムの模式図である。
【
図3】本開示によるシステムの一実施形態の断面図である。
【
図4】
図3のシステムの動作の第1の例を示す構成図である。
【
図5】
図3のシステムの動作の第2の例を示す構成図である。
【
図6】
図3のシステムの動作の第3の例を示す構成図である。
【
図7】
図3のシステムの動作の第4の例を示す構成図である。
【
図8】
図3のシステムの別の実施形態の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
請求項に記載の主題を特定の実施形態に関して記述しているが、本明細書に開示する全ての利点及び特徴を提供しない実施形態を含む他の実施形態もまた本開示の範囲内にある。本開示から逸脱することなく各種の構造、論理、処理ステップ、及び電子的変更を施すことができる。従って、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ定義される。
【0033】
本明細書に開示する検査装置の複数の実施形態は、一方の側面の反射光画像と、ワークピースの当該一方の側面を照射する光源の光波長を少なくとも部分的に透過させるワークピースの反対側面の透過光画像を同時に(すなわち1回のカメラセンサ露光で)取得可能にすることができる。ワークピースは半導体ウェハ、半導体ウェハの一部、又は他の物体であってよい。例えば、ワークピースは、0.5mm×0.5mm~15mm×15mmのシリコンダイ等の単体ダイであってよい。サイズが35mm×35mmのダイ等、より大型のダイも可能である。ダイは、一つ前のステップでブレード及び/又はレーザーにより1又は複数ステップで個々のダイを単体化すべくダイシングされた300mmのウェハから形成することができる。
【0034】
透過光画像はワークピース内の欠陥を視覚化できるのに対し、反射光画像は検査対象のワークピースの表面だけで生じている表面欠陥を発見することができる。両画像の検査結果を組み合わせることにより、ワークピースの検査全体を通じてオーバーキル及びアンダーキル率が改善される。依然として半導体メーカーからの良品ワークピースの一部と考えられる反射光画像においてのみ視認可能なワークピースの表面欠陥と、半導体メーカーからの不良ワークピースの一部と考えられる透過画像においてのみ視認可能なワークピースの内部欠陥を識別することができる。不良ワークピースはスクラップにするか又は更に検査すべきである。従って、アルゴリズムが透過画像ではなく反射画像に欠陥を検出したならば良品ワークピースと考えられ、これによりオーバーキルが減る。同様に、反射光画像に潜在的欠陥が検出されない場合に、透過光画像のレシピを、最小/最低コントラストの潜在的欠陥を検出し、次いで不良ワークピースとして分類するのに充分な感度を有するように設定することができ、これによりアンダーキルが減る。
【0035】
本明細書に開示する実施形態を用いて、第1の画像取得用に一方の側面を照射し、次いで第2の画像取得用に両側面を照射することにより、ワークピースの側面の透過及び反射光画像を1個ずつ(すなわち2回の連続的なカメラセンサ露光で)取得することができる。検査対象のワークピースの性質に基づいて、本明細書に開示する実施形態を用いてワークピースの両側面の透過及び反射光画像を1個ずつ取得することができる。これは、ワークピースの全側面用に4回の連続的なカメラセンサ露光を用いてよい。
【0036】
本明細書に開示する実施形態が、光路の二つの向きで実装及び使用することができる。一実装方式はワークピースの両側面を撮像するものである。別の実装方式はワークピースの隣接する二組の反対側面を撮像するものである。後者は、光路を第1の光路に対して90°回転させることにより得られる。システムの一実施形態において、両方の向きを合わせてワークピースの4側面全てを検査することができる。別の実施形態において、ワークピースの4側面全てを1個のカメラセンサで撮像できるように、1個のシステムに0°及び90°回転させた光路を含めることができる。
【0037】
本明細書に開示する複数の実施形態は、カメラ位置及び/又は鏡の位置を変えることにより異なるサイズのワークピースの画像を取得可能にすることができる。例えば、アクチュエータを用いて異なるサイズのワークピースを受容すべくそれらの位置を変えることができる。
【0038】
本検査装置の複数の実施形態は、ラインセンサカメラ又はエリアセンサカメラにより実装することができ、LED、超発光ダイオード(SLD)、レーザー、又はハロゲン光源により実装することができる。帯域通過、カットオン、又はカットオフフィルタの有無に依らず、異なる波長範囲の広帯域又は小帯域波長照射を用いて特定の波長を選択することができる。
【0039】
検査対象のワークピースの同一又は反対側面の透過及び反射光画像を、画像処理又は後処理アルゴリズムを用いて組み合わせて、表面的ワークピース欠陥を検査対象のワークピース内部で突出している欠陥から区別することができる。
【0040】
図3はシステム200の一実施形態の構成図である。システム200は、真空ポンプ202と流体連通しているノズル203を含んでいる。ノズル203はワークピース201を保持すべく構成されている。半導体ダイを具体的にワークピース201として開示しているが、他のワークピースもワークピース201として用いることができる。真空を用いてワークピース201を保持するノズル203を示しているが、磁気又は機械的クランピングも用いてもよい。
【0041】
ノズルアクチュエータ204は、ノズル203、及び結果的にワークピース201を矢印で示すZ方向に移動させることができる。従って、ワークピース201はノズルアクチュエータ204を用いて第1の鏡207と第2の鏡211の間に配置されていてよい。ノズルアクチュエータ204はまた、ノズル203及びワークピース201をX方向又はY方向に移動させることができる。ノズルアクチュエータ204はまた、ノズル203及びワークピース201を垂直な3方向(すなわちX、Y及びZ方向)に移動させることができる。
【0042】
ワークピース201は、シリコン、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、又は他の材料で作られていてよい。ワークピース201はまた、ガラスで作られていてもよい。本明細書に開示する実施形態を用いて先端半導体素子を検査することができる。従って、システム200を用いて透明、半透明、又は非透明な材料からなるワークピースを検査することができる。しかし、システム200の設計を用いるために、ワークピースは少なくともある光の波長を透過させることができる。ひび割れ、欠け、汚染(例:内部汚染)、異物(例:塵又は埃)、又は他の欠陥を検出することができる。
【0043】
ワークピース201は検査モジュール216内に配置されていてよい。検査モジュール216は第1の光源205及び第2の光源209を含んでいる。第1の光源205及び/又は第2の光源209はLED、SLD、レーザー、又はハロゲン光源であってよい。
【0044】
一例において、第1の光源205及び第2の光源209は、約1550nmの狭帯域幅を有するLEDである。この値は一例に過ぎず、他の波長も可能である。
【0045】
別の例において、第1の光源205及び第2の光源209はフィルタを有するハロゲン光源である。
【0046】
第1の光源205からの光を受光すべく第1の鏡207が配置されていてよい。第1の鏡207は第1の光源から光をワークピース201の外表面へ向けることができる。ワークピース201は、正方形、長方形、多角形、円形、又は他の形状であってよい。第1の鏡207は光を屈折させることができる。
【0047】
第2の光源209からの光を受光すべく第2の鏡211が配置されていてよい。第2の鏡は第2の光源209からの光をワークピース201の外表面へ向けることができる。第2の鏡211は光を屈折させることができる。
【0048】
第1の鏡207及び第2の鏡211はワークピース201の外表面の両側面に対向して配置されていてよい。従って、第1の鏡207と第2の鏡211はワークピース201の中心に対して互いに180°反対側にあってよい。
【0049】
第1の光源205と第1の鏡207の間の光路に第1の半鏡206が配置されていてよい。一例において、第1の半鏡206は、ワークピース201の外表面から反射された第1の光源205からの光、及び/又はワークピース201を貫通して透過された第2の光源209からの光を受光する。第1の半鏡206は第3の鏡208に光を向ける。
【0050】
第2の半鏡210が第2の光源209と第2の鏡211の間の光路に配置されていてよい。一例において、第2の半鏡210は、ワークピース201の外表面から反射された第2の光源209からの光、及び/又はワークピース201を貫通して透過された第1の光源206からの光を受光する。第2の半鏡210は第4の鏡212に光を向ける。
【0051】
半鏡は、光のビームを部分的に透過させ、且つ部分的に反射することができる。例えば、光の一部だけを反射する半鏡の反射部分だけが光のビーム内に部分的に配置されていてよい。半鏡はまた、光の一部を反射し、残りを透過させる半鏡であってよい。他の半鏡構成も可能である。第1の半鏡206及び第2の半鏡210は、代替的にビームスプリッタその他の光学部品であってよい。
【0052】
1個以上のレンズ213に結合可能なカメラ214が第1の光源205及び/又は第2の光源209からの光を受光する。カメラ214はラインセンサカメラ又はエリアセンサカメラであってよい。第1の光源205及び/又は第2の光源209からの光をカメラ214のセンサの同一点又はカメラ214のセンサの複数の異なる点で撮像することができる。
【0053】
1個以上のレンズ213は、カメラ214と第3の鏡208と第4の鏡212の間の光路に配置されていてよい。第3の鏡208は、第1の半鏡206から屈折を用いるカメラ214へ光を向けるべく配置されていてよい。第4の鏡は、第2の半鏡210から屈折を用いるカメラ214へ光を向けるべく配置されていてよい。
【0054】
カメラアクチュエータ215は、(1個以上のレンズ213有するか又は有していない)カメラ214をカメラ平面及び/又はカメラセンサ平面に垂直な方向(例:X、Y、又はZ方向)に第3の鏡208及び第4の鏡212に相対的に移動させるべく構成されていてよい。カメラアクチュエータ215はまた、一実施形態においてカメラ214とレンズ213を互いに相対的に移動させることができる。
【0055】
カメラ214は、フレームグラバ(図示せず)に接続されていてよい。フレームグラバは、取得した画像に画像処理を適用してワークピース201等、検査対象のワークピースの欠陥を捕捉することができる。
【0056】
カメラと電子通信しているプロセッサ(図示せず)が、更なる画像処理のため、両側面の透過及び反射画像を単一の画像インスタンスに連結することができる。プロセッサは、当該プロセッサが出力を受信可能なように任意の適当な仕方(例:有線及び/又は無線送信媒体を含んでいて1個以上の送信媒体を介して)でシステム200の要素に結合されていてよい。プロセッサは、当該出力を用いる多くの機能を実行すべく構成されていてよい。システム200はプロセッサから命令又は他の情報を受信することができる。
【0057】
プロセッサ、他のシステム(群)、又は本明細書に記述する他のサブシステム(群)はパーソナルコンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器、又は他の機器を含む各種のシステムの一部であってよい。サブシステム(群)又はシステム(群)はまた、並列プロセッサ等、当分野で公知の任意の適当なプロセッサを含んでいてよい。また、サブシステム(群)又はシステム(群)は、スタンドアローン又はネットワーク化ツールのいずれかとして、高速処理を行うプラットフォーム及びソフトウェアを含んでいてよい。
【0058】
プロセッサは、実際にはハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせにより実装されていてよい。また、本明細書に記述するその機能は1個のユニットにより実行されても、又は異なる要素間で分散されて各々がハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせにより実装されていてもよい。プロセッサが各種の方法及び機能を実行するためのプログラムコード又は命令は、読み込み可能な記憶媒体、例えば電子データ記憶装置内のメモリに保存されていてよい。
【0059】
第1の光源205、第1の鏡207、及び第1の半鏡206は、第1の水平アクチュエータ217を用いて水平方向(例:X方向又はY方向)に移動させることができる。第2の光源209、第2の鏡211及び第2の半鏡210は、第2の水平アクチュエータ218を用いて水平方向(例:X方向又はY方向)に移動させることができる。第1の水平アクチュエータ217及び第2の水平アクチュエータ218を用いて焦点を調整又はより広いワークピース201を受容することができる。第1の水平アクチュエータ217及び第2の水平アクチュエータ218を開示しているが、これらの要素を再配置するトランスミッションを有する単一のアクチュエータ用いてもよい。
【0060】
例えば、第1の光源205、第1の鏡207、及び第1の半鏡206は、Z方向におけるこれら3要素間の間隔が変化しないことを保証する第1のブラケット224の上に配置されていてよい。第2の光源209、第2の鏡211、及び第2の半鏡210は、Z方向におけるこれら3要素間の間隔が変化しないことを保証する第2のブラケット225に固定されていてよい。第1のブラケット224は、第1のアクチュエータ217を用いて移動させることができる。第2のブラケット225は、第2のアクチュエータ218を用いて移動させることができる。第1のブラケット224及び第2のブラケット225は、内側及び外側へ同時に、且つカメラ214の光軸に関して対称に、水平(例:X方向又はY方向)に移動させることができる。従って、システム200は、異なるサイズを有するワークピースの画像を取得することができる。第1のブラケット224及び第2のブラケット225の非対称な移動も可能である。代替的又は追加的に、カメラ214、及びオプション的にレンズ213をZ方向に移動させることができる。
【0061】
第1の鏡207、第2の鏡211、第3の鏡208、及び第4の鏡212は45°の鏡として描かれているが、他の設計も可能である。
【0062】
システム200を用いて、ワークピースの側面の透過光画像及び反射光画像を1個のシステムで取得すべく機能を組み合わせる。システム200は、異なるワークピースサイズを受容することができる。光路は、検査対象のワークピース201又は他の物体の両側面に焦点面を有している。これは透過及び反射光の撮像の両方のためである。ワークピースの両側面の画像がカメラ214で横並びに撮像される。これにより、設置面積がより小さい小型の装置での速度検査の高速化が可能になり、ワークピース201の反射及び透過光画像が結合されるため、追加的に処理又は後処理を行う可能性が得られる。
【0063】
システム200を用いる反射光画像は2個の光反応部分を含んでいる。第1の部分は、ワークピース201の照射側面からの直接反射であり、第2の部分は、ワークピース201を貫通して透過し、且つ照射側面の反対側で反射された後で、照射側面を貫通して逆向きに透過する光である。この第2の部分はまた、当該反対側面間で複数回内部反射された後で、照射側面を貫通して逆向きに透過した光も含んでいる。この第2の光反応部分は「二次反射」と称する場合がある。直接反射部分は支配的であるため「一次反射」と称する場合がある。二次反射は、全体的な反射光撮像におけるワークピースの照射側面での(粗い)表面ダイシングマークから(不要な)一次反射信号を抑制することができるため、これらのダイシングマークに紐付けられたオーバーキルを減らす。一次反射で表面ダイシングマークにより散乱された光は、二次反射光により補償される。画像取得において両者が相まって、表面ダイシングマークの信号が抑制される。このオーバーキルは、反射撮像だけを用いる従来技術の重大な短所である。
【0064】
カメラ214により集光された光をZ方向に示しているが、カメラ214により集光された光が当該ページを(すなわちY方向に)出入りするように、1個以上の追加的な鏡を追加することができる(図示せず)。カメラ214は、この向きを変えられた光で画像を取得すべく適当に配置されていてよい。
【0065】
本明細書に開示する実施形態で用いる波長は、光の透過及び統合を可能にすべきである。従って、ワークピースは光源の適用された波長に対して透明又は半透明であってよく、カメラはこれらの適用された波長にある程度感応的であってよい。カメラ214は、VIS(可視光)又はNIR(1200nm未満程度の近赤外光)感度向上したシリコンセンサに基づくカメラであってよく、赤外可視波長変換光学部品との組み合わせの有無に依らず動作可能である。特定の例において、カメラ214はコロイド量子ドットに基づくセンサを用いる。
【0066】
ワークピース201は動作中、第1の鏡207と第2の鏡211の間に配置されている。第1の鏡207及び第2の鏡211及び/又はカメラ214は、ワークピース201の両側面がカメラ214の焦点面にあるように配置されている。次いで第1の光源205が点灯されてワークピース201の左側の一次及び二次反射光画像、並びに右側の透過光画像を生成する。
【0067】
発光された光は、第1の半鏡206を貫通して進み、第1の鏡207により屈折され、ワークピース201の左側により逆向きに一次及び二次反射され、第1の鏡207、半鏡206、第3の鏡208により屈折され、次いでカメラ214のレンズ213により撮像される。同時に、発光された光は、第1の半鏡206を貫通して進み、第1の鏡207により屈折され、ワークピース201を貫通して透過され、第2の鏡211、第2の半鏡210、第4の鏡212により屈折され、次いでカメラ214のレンズ213により撮像される。
【0068】
次いで、第1の光源205が消灯され、第2の光源209が点灯されて、ワークピース201の右側の一次及び二次反射光画像、並びにワークピース201の左側の透過光画像を生成する。
【0069】
カメラ214のセンサは、透過光路の波長に対して感応的であってよい。例えば、シリコンワークピースは、透過性のために赤外線波長を必要とする場合があり、カメラ214のセンサは赤外線波長に感応的であってよい。
【0070】
ノズル203が接触可能なワークピース201の二つの逆向きの平坦面の一方又は両方もまたシステムを用いて撮像することができる。一例において、システムは、ワークピース201の外表面とワークピース201の素子側(例:平坦な側)の2個の逆向きの点を撮像することができる。
【0071】
図4に、
図3のシステム200の動作の第1の例を示す。
図4に示すように、第1の光源205からの光が検査モジュール216のワークピース201の外表面へ向けられる。第2の光源209は動作していない。ワークピース201の外表面から反射された光(実線で示す)はカメラ214により受光される。この反射光は二次及び一次反射からの光を含んでいる。ワークピース201から反射された第1の光源205からのこの光は、第1の鏡207及び第1の半鏡206を介してカメラ214へ向けられる。ワークピース201を貫通して透過した光(破線で示す)もまたカメラ214により受光される。ワークピース201を貫通して透過された第1の光源205からの光は、第2の鏡211及び第2の半鏡210を介してカメラ214へ向けられる。カメラ214は、ワークピース201の外表面から反射された第1の光源205から光の画像と、ワークピース201を貫通して透過された第1の光源205からの光の画像をカメラ214のセンサの1回の露光で撮影することができる。
【0072】
図5に、
図3のシステム200の動作の第2の例を示す。
図5に示すように、第2の光源209からの光が検査モジュール216のワークピース201の外表面へ向けられる。第2の光源209は、第1の光源205が光を向けるワークピース201の外表面上の点から180°に位置するワークピース201の外表面上の点へ光を向ける。第1の光源205は動作していない。ワークピース201の外表面から反射された光(実線で示す)はカメラ214により受光される。この反射光は二次及び一次反射からの光を含んでいる。ワークピース201から反射された第2の光源209からの光は、第2の鏡211及び第2の半鏡210を介してカメラ214へ向けられる。ワークピース201を貫通して透過した光(破線で示す)もまたカメラ214により受光される。ワークピース201を貫通して透過された第2の光源209からの光は、第1の鏡207及び第1の半鏡206を介してカメラ214へ向けられる。カメラ214は、ワークピース201の外表面から反射された第2の光源209からの光の画像と、ワークピース201を貫通して透過された第2の光源209からの光の画像をカメラ214のセンサの1回の露光で撮影することができる。
【0073】
図6に、
図3のシステム200の動作の第3の例を示す。
図6の動作は
図4の動作と同様であるが、第2の光源209からの光は、第1の光源205により向けられた光から180°に位置するワークピース201の外表面上の点へ向けられる。第2の光源209からの光は破線で示され、単に説明の便宜上、
図6のワークピース201を貫通して透過した光に隣接して配置されている。第2の光源209からの光路は、第1の光源205によりワークピース201を貫通して透過した光路と同一であってよい。第1の光源205と第2の光源209の動作は同時であってよい。第2の光源209からの光の強度は第1の光源205の光よりも低い。例えば、第2の光源209からの光は、第1の光源205の強度の0%超~約60%であってよい。透過光撮像は、デュアルダイシング加工(例:2枚の異なるダイシング刃を使用する)における異なる表面角度/傾斜に起因して、ワークピース側面の注目領域に暗い領域が生じる問題があり得る。第2の光源209も動作させることにより、この現象は消滅又は少なくとも大幅に減衰する。従って、実際の欠陥上の全体的な信号対雑音比が増大するため、オーバーキル及びアンダーキルの両方を減らすことが可能になる。
【0074】
図7に、
図3のシステムの動作の第4の例を示す。
図7の動作は
図5の動作と同様であるが、第1の光源205からの光は、第2の光源209により向けられた光から180°に位置するワークピース201の外表面上の点へ向けられる。第1の光源205からの光は破線で示され、単に説明の便宜上、
図7のワークピース201を貫通して透過した光に隣接して配置されている。第1の光源205からの光路は、第2の光源209によりワークピース201を貫通して透過した光路と同一であってよい。第1の光源205と第2の光源209の動作は同時であってよい。第1の光源205からの光の強度は第2の光源209よりも低い。例えば、第1の光源205からの光が、第2の光源209の強度の0%超~約60%であってよい。
【0075】
図4又は
図6の実施形態において、カメラ214、第1の鏡207、第1の半鏡206、及び/又は第1の光源205の位置を調整することによりワークピース201内に焦点面を配置することができる。第1の光源205からの光の波長も調整可能であるため、ワークピース201の光の進入深さを調整することができる。
【0076】
図5又は
図7の実施形態において、カメラ214、第2の鏡211、第2の半鏡210、及び/又は第2の光源209の位置を調整することによりワークピース201内に焦点面を配置することができる。第2の光源209からの光の波長も調整可能であるため、ワークピース201の光の進入深さを調整することができる。
【0077】
本明細書に開示する複数の実施形態のいずれにおいてもワークピース内に焦点面を配置することができる。鏡及び半鏡構成により、焦点面を各々ワークピースの左右の側面にある左及び右焦点面に分割する。カメラ214をワークピース201の近くへ移動させることにより、両方の焦点面を同時且つ対称的に(すなわち同じ距離だけ)内側へ(すなわちワークピース201内で)移動させることができる。第1の鏡207、第1の半鏡206、及び第1の光源205だけがワークピースの近くへ移動させられたならば、左焦点面だけが内側へ(すなわちワークピース201内部で)移動する。右焦点面位置は不変のままである。同様に、第2の鏡211、第2の半鏡210、及び第2の光源209だけをワークピース201の近くへ移動させることにより、右焦点面だけが内側に(すなわちワークピース201内で)移動する。
【0078】
焦点面はまた、ワークピース201の外表面上の点であってよい。
【0079】
一例において、画像は順次撮影される。例えば、
図4、5の撮像スキームは順次実行することができる。
図6、
図7の撮像スキームは順次実行することができる。
図4、7又は
図5、6の撮像スキームの組み合わせも実行することができる。
【0080】
図8に、
図3のシステム200の別の実施形態の構成図を示す。システム200は、第1の検査モジュールと称し得る検査モジュール216とほぼ同一の第2の検査モジュール219を含んでいてよい。システム200はまた、第2の検査モジュール219を含んでいる。第1の検査モジュール216及び第2の検査モジュール219の第1の鏡207及び第2の鏡211は各々、互いに90°の位置に配置されている。従って、第1の検査モジュール216の鏡、半鏡、及び光源は、第2の検査モジュール219の対応する要素に相対的に90°回転されている。第1の検査モジュール216は、ワークピース201の外表面220、及び222を撮像することができる。第2の検査モジュール219は、ワークピース201の外表面221、及び223を撮像することができる。外表面220~223は、撮像できる表面を示すべく破線直線で示している。
【0081】
図8の実施形態において、ノズルアクチュエータ204は、ワークピース201及びノズル203を第1の検査モジュール216と第2の検査モジュール219の間で移動させることができる。従って、ノズルアクチュエータ204は、ワークピース201及びノズル203を2又は3個の垂直方向(例:X、Y、及び/又はZ方向)に移動させることができる。当該移動の間、ワークピース201をノズル203により保持することができる。
【0082】
第2の検査モジュール219は、
図4~7の実施形態に示すように動作することができる。第2の検査モジュール219を用いるワークピース201の画像は、ワークピース201の外表面で第1の検査モジュール216とは異なる部分にある。
【0083】
二組の外表面220、222、及び外表面221、223の反射及び透過光画像を取得する別の実施形態において、システム200は第1の検査モジュール216だけを含むことができる。第1の検査モジュール216は、ノズル203上でワークピース201を90°回転させることができる。第1の検査モジュール216はまた、第1の検査モジュール216の各種の鏡、光源、半鏡、及びオプション的にカメラを例えば90°回転させることができる。アクチュエータを用いて、各種の鏡、光源、半鏡、カメラ、又は本実施形態における他の要素を回転させることができる。
【0084】
本明細書に開示する実施形態を用いて、ワークピースの一方のワークピース側面(及びオプション的に隣接する側面)の透過光画像と、反対側のワークピース側面(及びオプション的に隣接する側面)の反射光画像を1回の画像取得ステップ(例:1回のカメラセンサ露光)で同時に取得する能力を備えた1個のシステムで透過及び反射光画像を取得することができる。ワークピースの両側面の透過及び反射光画像は、第1の画像取得のため第1の側面を照射し、次いで第2の画像取得のため第2の側面を照射することにより、同一カメラセンサで1個ずつ(例:連続する2回のカメラセンサ露光で)取得することができる。これらの動作は、連続的画像取得の実行中に、又は取得の合間に部品の移動又はレンズの焦点調整の有無に依らず実行することができる。
【0085】
更に、反射光撮像方法における二次反射の生成及び利用により、粗い表面ダイシングマークを抑制することができるため、検査対象のワークピースに対するオーバーキルを減らすことができる。
【0086】
焦点面は検査対象のワークピース内の異なる位置に配置して、カメラ及び/又は光源並びに鏡位置を変更することにより内部欠陥位置を判定することができる。
【0087】
複数の画像を取得する間に波長を調整することにより、異なる波長の光を異なる深さまで進入させることができる。異なる画像を用いて、検査対象のワークピースの表面欠陥と、検査対象のワークピースのより内側の欠陥をより良好に識別することができる。これにより欠陥捕捉率及び検査性能を向上させることができる。
【0088】
本開示を1個以上の特定の実施形態に関して記述してきたが、本開示の範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態も可能であることを理解されたい。従って、本開示は、添付の請求項及びその合理的な解釈によってのみ限定されるものとする。