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  • 特許-背負いバッグ 図1
  • 特許-背負いバッグ 図2
  • 特許-背負いバッグ 図3
  • 特許-背負いバッグ 図4
  • 特許-背負いバッグ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】背負いバッグ
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A45F3/04 300
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023512851
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2022006620
(87)【国際公開番号】W WO2022215368
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2021065207
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506413694
【氏名又は名称】株式会社クロンティップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 和実
(72)【発明者】
【氏名】安江 岳人
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-154722(JP,A)
【文献】実開昭51-145168(JP,U)
【文献】特開昭52-066248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を有するバッグ本体と、
前記バッグ本体に取り付けられた一対の肩掛けベルトと、
使用者の肩甲骨の間の背骨を支持する支持部と、
を備え、
前記肩掛けベルトは、前記バッグ本体に対する下端側の位置を変更可能なものであ
前記肩掛けベルトは、前記下端側の位置で折り返して前記支持部に接続されたものである、
ことを特徴とする背負いバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載の背負いバッグであって、
前記支持部は、上下の位置を調節可能なものである、
ことを特徴とする背負いバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の姿勢を改善する背負いバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、使用者が正しい姿勢を維持しやすい背負いバッグが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-18822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の背負いバッグでは、腰部に隆起部を押し当てる構成となっている。しかし、姿勢を良くするためには、例えば背骨に沿って力を加える、といったように、その対象が腰部に限られるものではない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、正しい姿勢を促す背負いバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の背負いバッグは、
収納空間を有するバッグ本体と、
前記バッグ本体に取り付けられた二本の肩掛けベルトと、
使用者の肩甲骨の間の背骨を支持する支持部と、
を備え、
前記肩掛けベルトは、前記バッグ本体に対する下端側の位置を変更可能なものである、
ことを特徴とする。
【0007】
この背負いバッグでは、肩掛けベルトを締める力によって支持部から背骨への圧力が生じ、より良い姿勢を促すことができる。この際、使用者の体型等に合わせて肩掛けベルトの下端側の位置を調整することで、肩掛けベルトを締める力によって支持部から背骨への圧力を効率よく生じさせることができる。
【0008】
ここで、上記記載の背負いバッグは、
前記肩掛けベルトが、前記下端側の位置で折り返して前記支持部に接続されたものであってもよい。
【0009】
この背負いバッグによれば、支持部から背骨への圧力を効率よく生じさせることができる。
【0010】
また、上記記載の背負いバッグは、
前記支持部が、上下の位置を調節可能なものであってもよい。
【0011】
この背負いバッグによれば、使用者の体型等に合わせて支持部を適切な位置に調節し、より良い姿勢を促すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正しい姿勢を促す背負いバッグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】背負いバッグ1を示す図である。
図2】(A)は、背負いバッグ1を背中に背負った使用状態の一例を示す側面図であり、(B)は、肩掛けベルトの下端側の位置を変更した背負いバッグ1の使用状態の一例を示す側面図である。
図3図1の背負いバッグ1の変形例を示す図である。
図4】突出部材52の一例を示す図である。
図5図4の突出部材52から第一部材521を外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1を用いて、本発明の背負いバッグの実施形態の一例について説明する。図1は、本発明の背負いバッグの実施形態を示す図である。
【0015】
図1に示すように本実施形態の背負いバッグ1は、荷物を収納可能な収納空間を有し、使用者の背中に相対する背当て面BSを有するバッグ本体2と、このバッグ本体2の背当て面BS側に取り付けられた二本の肩掛けベルト3、4(以下、第一肩掛けベルト3、第二肩掛けベルト4、と称する)を有する。さらに、この背当て面BSにおいては、使用者の肩甲骨の間の背骨を支持できるように突出した形状の支持部5と、背当て面BSの左右及び下側の周縁部分を覆う覆い部7、が設けられている。
【0016】
支持部5は、ベース部材51と、このベース部材51に取り付けられた突出部材52によって構成されている。このベース部材51の上部には上部孔53が形成されている。バッグ本体2の上部に取り付けられたベルト部材6は、この上部孔53を通って折り返された状態でアジャスタ61を用いて固定されており、この構成によりバッグ本体2と支持部5が接続されている。なお、このアジャスタ61は、バッグ本体2と支持部5の間の長さを調節可能なもの(支持部5の上下の位置を調節可能な構成)の一例である。突出部材52の素材は、ABS樹脂であるが、例えば柔軟性や弾力性を得るためにEVA樹脂を用いてもよく、素材が限定されるものではない。
【0017】
ベース部材51の下部には左右二箇所に下部孔54、55(以下、第一下部孔54、第二下部孔55、と称する)がそれぞれ形成されている。第一肩掛けベルト3は覆い部7に形成された複数の通し孔8の一つを通って折り返され、さらに第一下部孔54を通って折り返された状態でアジャスタ31を用いて固定されている。第二肩掛けベルト4は覆い部7に形成された複数の通し孔8の一つを通って折り返され、さらに第二下部孔55を通って折り返された状態でアジャスタ41を用いて固定されている。
【0018】
図2(A)は、使用者Uが第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4を肩に掛けて背負いバッグ1を背中に背負った使用状態の一例を示す側面図である。なお、この図2(A)および後述する図2(B)については、使用者Uの肩甲骨の間に支持部5が配置されるようにベルト部材6の長さが調節されているものとする。また、第二肩掛けベルト4については第一肩掛けベルト3と同じ状態になっているものとし、図示を省略する。図2(A)に示す状態では、使用者Uの肩甲骨の間の背骨に支持部5からの圧力がかかることにより、使用者Uの姿勢がより良い姿勢となるように促すことができる。
【0019】
支持部5から使用者Uにかかる圧力は、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれにかかる張力に応じて変化する。例えば、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4の長さを短くした場合には、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれにかかる張力が強くなるとともに支持部5からの圧力が高くなり、姿勢矯正の効果をより向上させることができる。
【0020】
背負いバッグ1では、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4が、覆い部7に形成された複数の通し孔8の一つを通って折り返された構成となっている。ここで、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4を通す通し孔8を変更することで、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4の下端側の位置を変更することができる。図2(B)には、第一肩掛けベルト3の下端側の位置が、図2(A)と比較して支持部5に近い位置に変更された状態が示されている。この図2(B)の状態では、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれの下端側においてバッグ本体2を引っ張る力を、図2(A)の状態と比較して支持部5により近い位置にかけることができ、支持部5からの圧力をより確実に生じさせることができる。
【0021】
上記説明したように第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれにかかる張力に応じてより良い姿勢となることを促すことができるが、使用者の体の大きさや体型、姿勢などによってはこの張力が強すぎると血流やリンパ液の流れを阻害してしまう虞がある。しかし上記説明した背負いバッグ1では、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれの下端側の位置を調整することで、これらのベルト3、4の張力を強めすぎることなく支持部5から適切な圧力が得られるようにすることができる。また、仮に多少張力が強めであっても、背負いバッグ1は所謂姿勢矯正具とは異なり容易に外すことができるため、通勤通学時などに毎日使用する、というように血流等の阻害による影響が大きくならない短時間での使用を繰り返すことで、手軽に姿勢を直す機会を得ることができる。
【0022】
なお、本実施形態の背負いバッグ1では、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4の下端側の位置を変更するにあたって通し孔8を変更する構成について説明したが、例えばバックルのような接続部材を第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれの端部に設け、さらにこれらの端部と接続可能な接続部材を通し孔8に代えて複数箇所に設けた構成としてもよい。すなわち、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4の下端側の位置を変更可能な構成であればよい。
【0023】
なお、本実施形態の背負いバッグ1のように、下端側で折り返された第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれが支持部5に接続された構成を採用した場合には、第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4のそれぞれの張力が支持部5に直接伝わり、支持部5からの圧力を効率よく生じさせることができる。また、本実施形態の背負いバッグ1のように支持部5の上下方向の位置を調節可能な構成とした場合には、使用者の体型等に合わせて支持部5を適切な位置に調節し、より良い姿勢となることを促すことができる。
【0024】
なお、図1の背負いバッグ1では、バッグ本体2の背当て面BSの左右及び下側の周縁部分を覆う覆い部7に複数の通し孔8が形成されているが、この覆い部7を設けない構成としてもよい。図3は、図1に示す背負いバッグ1の変形例を示す図である。この図3には、バッグ本体2の背当て面BSに複数の通し孔8が形成されており、バッグ本体2の内側に支持部5が配置された背負いバッグ1aが示されている。なお、図3では、バッグ本体2の内側に配置されている構成を点線で示している。この他の構成は、図1に示す背負いバッグ1と同様である。この背負いバッグ1aにおいても、使用者が第一肩掛けベルト3および第二肩掛けベルト4を肩に掛けることで、使用者の肩甲骨の間の背骨に支持部5からの圧力がかかり、使用者の姿勢がより良い姿勢となるように促すことができる。
【0025】
また、図1の背負いバッグ1では、第一肩掛けベルト3、第二肩掛けベルト4、ベルト部材6のそれぞれの長さを調節可能なアジャスタ31、41、61を用いた例について説明したが、こうした構成としては長さを調節可能なものであればよく、例えばコキやカンといった部材を用いてもよい。さらに他の例としては、ベルト3、4、6の先端等に第一部材を設け、この第一部材と係止可能な第二部材を複数箇所に設けることで、その係止箇所に応じて長さを調節可能なものであってもよい。こうした第一部材と第二部材の例としては、ボタンや面ファスナーが挙げられる。さらに、長さ調節可能な構成を使用者の胸付近に設けたり、長さ調節可能な構成を複数設ける、といったように、設置位置や個数であったり、その組み合わせについても図1の例に限られるものではない。特に、長さ調節可能な構成を、背負いバッグ1を使用した状態で使用者が調節可能な位置に設けた場合には、使用者の好みに合わせて支持部5からの力を適宜調節することができる。
【0026】
また、背負いバッグ1については、支持部5の突出部材52を形状、大きさ、厚さ、素材のいずれかが異なる他の部材と交換可能な構成としてもよい。また、厚さを異ならせるにあたって複数の部材を組み合わせる構成としてもよい。また、突出部材52を空気で膨らませることで、柔軟性と弾力性を得る構成としてもよい。これらの構成により、使用者の体型や好みに合わせた突出部材を用いることができ、より良い姿勢となることを促すことができる。
【0027】
図4には、第一部材521、第二部材522、第三部材523の3つの部材を重ね合わせて構成された突出部材52の一例が示されている。図4の突出部材52は、第一部材521が第二部材522と着脱可能な構成であり、さらに第二部材522が第三部材523と着脱可能な構成となっている。図5には、図4の突出部材52の第一部材521が第二部材522から外された状態が示されている。なお、これらの図4図5においては、図2(A)(B)に示すような背負いバッグ1の使用状態では、その奥側が上側になり、手前側が下側になる。以下、突出部材52の着脱の構成について、第一部材521と第二部材522を例に説明する。なお、第二部材522と第三部材523の着脱の構成については第一部部材521と第二部材522の着脱の構成と同様であるため説明を省略する。
【0028】
第一部材521の上側および下側には、係合凸部521a、521bが形成されており、第二部材522の上側および下側には、これらの係合凸部521a、521bと係合する係合溝522a、522cが形成されている。また、第二部材522の下側の係合溝522cの上側に隣接して、係合凸部521bを挿入するための挿入穴522bが形成されている。なお、図5では第一部材521の上側の係合凸部521aは視認できない位置にあるが、説明のために大まかな形状を点線で示している。
【0029】
第一部材521を第二部材522に取り付ける際には、まず下側の係合凸部521bを挿入穴522bに挿入する。これにより、第一部材521の上側の係合凸部521aが第二部材522の上側の係合溝522aに隣接し、第一部材521の下側の係合凸部521bが第二部材522の下側の係合溝522cに隣接した状態となる。そしてこの状態から第一部材521を下側にスライドさせることで、二つの係合凸部521a、521bが二つの係合溝522a、522cに係合し、第一部材521を第二部材522に取り付けることができる。また、上記の操作と逆の操作をすることで、第一部材521を第二部材522から外すことができる。
【0030】
この突出部材52では、第一部材521や第二部材522を適宜外すことで、使用者の体型や好みに合わせて突出する厚さを調整することができる。なお、図4の突出部材52では3つの部材を重ね合わせているが、例えば2つの部材を重ね合わせる構成であってもよく、部材の数が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 背負いバッグ
2 バッグ本体
3、4 肩掛けベルト
5 支持部
6 ベルト部材
7 覆い部
8 通し孔
図1
図2
図3
図4
図5