(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】袋体の閉鎖具
(51)【国際特許分類】
B65D 33/17 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
B65D33/17
(21)【出願番号】P 2023060101
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514181613
【氏名又は名称】株式会社スガイワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100146134
【氏名又は名称】清水 聡子
(72)【発明者】
【氏名】須貝 悠
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0001715(KR,U)
【文献】登録実用新案第3216039(JP,U)
【文献】特開平10-245048(JP,A)
【文献】実開昭59-196437(JP,U)
【文献】特開2008-056353(JP,A)
【文献】国際公開第2011/035529(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047799(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と、筒体中空に挿入可能な芯体を備え、
筒体は、長手方向に沿って設けられる細隙と、筒体の長手方向における一の端部及び他の端部の少なくとも一方に細隙と連続して設けられる切欠部とを有し、
芯体の外表面には、第一の領域と第二の領域とが、芯体の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成され、第二の領域の表面高さが第一の領域の表面高さより高く
、
芯体の外表面には、第二の領域が、芯体の長手方向における一の端部から他の端部に向かって螺旋状に形成される袋体の閉鎖具。
【請求項2】
筒体及び/又は芯体が生分解性を有する、請求項1に記載の袋体の閉鎖具。
【請求項3】
筒体及び/又は芯体が、複数層を有する紙管、セルロース成形品、生分解性プラスチック成形品のいずれかから1つ以上が選択される、請求項1に記載の袋体の閉鎖具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体の開口部を閉鎖する閉鎖具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子、ドライフルーツ、粉類等の食品、家庭用品や事務用品の小物には、袋体に収納されるものがある。これらは必ずしも開封時に全て消費されるとは限らない。しかし、収納物が残存する袋体を開封状態で放置すれば、袋体内の収納物が劣化したり散乱したりするおそれがある。袋体によっては、その開口部に合成樹脂製のファスナーを用いることにより開封した袋体を再び閉鎖できるようにして、収納物の劣化や散乱を防止する。一方で、ファスナーが付いていない袋体が使用される場合も少なくない。
【0003】
そこでファスナーが付いていない袋体の開口部を閉鎖するための閉鎖具が検討される。特許文献1には、棒体外部に位置する管体と、パックが結合されるように棒体と管体との間に沿って形成される押止空間と、管体の長手方向に形成される切欠部と、棒体の先端部に形成される傾斜誘導部と、から構成されたパック密閉装置において、棒体の断面形状は三角形であってその一側の角部が切欠部に接しており、管体の断面形状は円形であり、棒体先端部に切欠部の側へと折り曲げられた折り曲げ部が形成され、折り曲げ部の先端に水平部が延設され、水平部の先端に湾曲型または断面が半円形の突部が形成されたパック密閉装置が開示される。特許文献2には、袋の開口部近傍に装着される封止具であって、該封止具は、第一筒状体と、第一筒状体の周囲に配設される、長手方向に切込部が形成された第二筒状体とで構成されていることを特徴とする袋開口部の封止具が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3990425号公報
【文献】実用新案登録第3216039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に例示した閉鎖具は、いずれも使用者が筒体に芯体としての棒体又は筒体を挿入することで筒体と芯体との間に袋体の開口部近傍を挟み、袋体を閉鎖する。かかる構造の袋体の閉鎖具は、家庭や職場をはじめ、食品や小物が扱われる様々な場所で使用される。従って袋体の閉鎖具の使用者には、高齢者や子供も含まれる。しかし、高齢者や子供など指先の力が弱い使用者にとり、細長い筒体や芯体を扱って袋体を閉鎖する動作は容易でない。一方で閉鎖動作が滑らかすぎると、閉鎖が不十分であっても使用者が気づかなかったり、十分に閉鎖できたか心配で閉鎖動作をやり直したりする場合がある。
【0006】
また、従来の閉鎖具は、一般的にポリプロピレン等の合成樹脂製である。しかし、環境保全の観点から、近年、袋体の閉鎖具においても合成樹脂に代替する材料の使用が強く求められる。
【0007】
本発明の課題は、容易に、かつ袋体が閉鎖されることを手の感触で実感しながら操作でき、加えて環境保全に配慮した袋体の閉鎖具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筒体と、筒体中空に挿入可能な芯体を備え、筒体は、長手方向に沿って設けられる細隙と、筒体の長手方向における一の端部及び他の端部の少なくとも一方に細隙と連続して設けられる切欠部とを有し、芯体の外表面には、第一の領域と第二の領域とが、芯体の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成され、第二の領域の表面高さが第一の領域の表面高さより高い、袋体の閉鎖具である。芯体の外表面の第二の領域は、芯体の長手方向における一の端部から他の端部に向かって螺旋状に形成されることが好ましい。
【0009】
本発明は、筒体及び/又は芯体が生分解性を有することが好ましい。本発明は、筒体及び/又は芯体が、複数層を有する紙管、セルロース成形品、生分解性プラスチック成形品のいずれかから1つ以上が選択されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、使用者の指先の力の強弱や利き手を問わず容易に、かつ袋体の閉鎖状態を手の感触で実感しながら袋体を閉鎖できる。加えて、本発明は資源を有効利用し、廃棄後も、プラスチックごみの量の削減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の筒体の一の実施態様を表す斜視図である。
【
図3】本発明の芯体の一の実施態様を表す斜視図である。
【
図4】本発明の筒体の別の実施態様を表す平面図である。
【
図5】本発明の筒体の別の実施態様を表す正面図である。
【
図6】本発明の筒体の一の実施態様を表す側面図である。
【
図7】本発明の芯体の一の実施態様を表す側面図である。
【
図9】本発明の一の実施態様を使用して袋体の開口部を閉鎖した状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、
図1ないし
図9を用いて説明する。
図1において10は閉鎖具、20は筒体、30は芯体である。
図2、
図4、
図5、
図6に示されるように、筒体20は、その長手方向に沿って細隙22が設けられる。また筒体20の長手方向の一の端部と他の端部には細隙22と連続する切欠部23、24が設けられる。21は筒体20の平滑な内表面で形成される筒体20の中空である。
【0013】
図9は、本発明を使用して袋体の開口部を閉鎖した状態を表す図である。本発明を使用して袋体を閉鎖するには、まず、袋体の開口部P1を含む開口領域P2と収納領域P3との中間領域に芯体30を配置する。次に芯体30が内側になるように、袋体の開口領域P2を収納領域P3側に倒す。これにより袋体の中間領域が芯体30の外表面を取り巻き、袋体の開口領域P2と収納領域P3とは重ねられた状態になる。この状態で、袋体の中間領域と芯体30を、筒体20の中空21に挿入する。これにより本発明は、袋体の開口部を閉鎖できる。なお本発明において芯体30又は筒体20の外表面とは、特に言及しない限り、芯体30又は筒体20の長手方向に表れる外側の面をいう。
【0014】
本発明は、未使用時、筒体20の細隙22の間隔や筒体20の内表面と芯体30の外表面との隙間が極めて少ないか全くない。しかし本発明の筒体20は、わずかな変形を許容する程度の剛性を備える。そのため本発明においては、袋体を装着させた芯体30を筒体20の切欠部23、24から中空21に挿入させることで、芯体30を筒体20に挿入するために必要な分だけ、筒体20の細隙22の間隔を押し広げることができる。これにより本発明は、少し広くなった筒体20の中空21に芯体30を挿入し、袋体を閉鎖できる。
【0015】
図2、
図4、
図6に示される筒体20の細隙22の間隔は、袋体の開口領域P2と収納領域P3とが、これらが重ねられた状態で挿入されうる限りにおいて限定されないが、0.30mm以上1.00mm以下が好ましく、0.50mm以上0.80mm以下がより好ましい。細隙22の間隔が、袋体の開口領域P2と収納領域P3とが重なる部分の厚みに対し大きすぎると、袋体の開口領域P2と収納領域P3との重なりが広がりやすくなる。
【0016】
図2、
図4、
図5に示されるように、筒体20は、長手方向における一の端部及び他の端部に、細隙22と連続する切欠部23、24を有する。これにより、袋体を装着させた芯体30を筒体20の中空21に挿入しやすくなる。筒体20の切欠部は筒体20の一の端部又は他の端部のいずれか一方に設けられていればよいが、両方に設けられることが好ましい。これにより本発明は、芯体30を筒体20のどちらの端部からでも容易に挿入できる。従って使用者が右利きでも左利きでも本発明を使用しやすい。
【0017】
切欠部23、24は細隙22と連続し、それぞれ筒体20の細隙側から端部側に向かって切欠けた部分が大きくなるように勾配が形成される。切欠部23、24の勾配が大きいほど、袋体を装着させた芯体30を筒体20の中空21に挿入しやすくなる。一方で切欠部23、24の勾配が大きくなりすぎると、袋体を装着させた芯体30を筒体20への挿入した後の切欠部近傍の袋体の開口領域P2と収納領域P3の重なりが広がりやすくなる。そのようにかさばった状態の袋体は、棚等の保管場所における袋体の収納性や美感を阻害する。従って、
図5に示す、細隙22が真上になるように配置された筒体20の正面図において、筒体20の上端線を基準線とする切欠部の勾配αは、7°以上12°以下が好ましく、7°以上9°以下がより好ましい。
【0018】
図3、
図7、
図8に示されるように、芯体30の外表面には、第一の領域31と第二の領域32とが、芯体30の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成され、第二の領域32の表面高さは第一の領域31の表面高さより高い。第一の領域31と第二の領域32はいずれも、芯体30の長手方向にそって2つ以上形成されることが好ましく、4つ以上形成されることがより好ましい。
【0019】
本発明において芯体30の第一の領域31の表面高さH1とは、芯体30の第一の領域31において任意に選択される点から芯体30の軸心X1までの最短距離をいう。芯体30が円柱形、又は
図3に示されるような円筒形である場合の芯体30の第一の領域31の表面高さH1を、
図7を用いて例示すると、芯体30の第一の領域31の選択点S1の法線上の、芯体30の第一の領域31の選択点S1から軸心X1までの距離と説明できる。
【0020】
本発明において芯体30の第二の領域32の表面高さH2とは、芯体30の第一の領域31において表面高さH1を求めた選択点を含む第一の領域31に隣接する第二の領域32内の任意の選択点から芯体30の軸心X1までの最短距離をいう。芯体30が円柱形、又は
図3に示されるような円筒形である場合の芯体30の第二の領域32の表面高さH2を、
図7を用いて例示すると、芯体30の第二の領域32の選択点S2の法線上の、芯体30の第二の領域32の選択点S2から軸心X1までの距離と説明できる。
【0021】
第一の領域31の表面高さH1は任意の選択点に基づき測られる。本発明は、どの選択点から測っても第一の領域31の表面高さH1が同じである芯体と、選択点ごとに第一の領域31の表面高さH1が異なる芯体とのいずれを用いてもよい。第二の領域32の表面高さH2についても同様である。本発明において、芯体30の第二の領域32の表面高さが第一の領域31の表面高さよりが高い、とは、芯体30の任意の第二の領域の表面高さH2の最小値が、当該第二の領域と隣接する第一の領域の表面高さH1の最大値より大きいことをいう。別言すると、本発明の芯体30は、第二の領域32に対し第一の領域31がへこんだ外表面を有する。
【0022】
なお第一の領域と第二の領域がそれぞれ2つ以上形成される本発明において、表面高さH2の最小値を得た任意の第二の領域と、当該第二の領域と隣接しない第一の領域との、互いの表面高さは比較されない。ただし当該第二の領域と隣接しない第一の領域も、当該第一の領域と隣接する別の第二の領域とは比較され、当該別の第二の領域の表面高さは当該第一の領域の表面高さより高い。
【0023】
図8に示されるように、第二の領域32の表面高さH2は、第一の領域31の表面高さH1よりごく僅かに高いため、芯体30の外表面は平坦ではない。ただし本発明の芯体30の外表面は、使用者の指先の力が弱くても筒体20の中空21に芯体30を容易に挿入できる程度の平滑性を維持する。
【0024】
本発明の芯体30に形成される第一の領域31と第二の領域32とは、芯体30の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成される。第二の領域32の表面高さH2は第一の領域31の表面高さH1より高いため、芯体30が筒体20の中空21に挿入されると、筒体20の内表面と芯体30の外表面との間隔が長手方向に沿って変化する。すなわち当該間隔は、筒体20の内表面と芯体30の第一の領域31との対向領域では広く、筒体20の内表面と芯体30の第二の領域32との対向領域では相対的に狭い。これにより本発明は、筒体20の中空21へ筒体30を挿入していくときに微小な抵抗を生じさせる。従ってかかる微小な抵抗が使用者の手に伝わることで、使用者は、袋体が芯体30と筒体20との間で挟持されたことを直感できる。すなわち本発明は、袋体が閉鎖されることを手の感触で実感しながら容易に閉鎖動作を行える閉鎖具である。
【0025】
芯体30の第一の領域31の表面高さH1と第二の領域32の表面高さH2の差は、好ましくは0.10mm以上0.30mm以下であり、より好ましくは0.10mm以上0.20mm以下である。本発明は、筒体20の内表面と芯体30の第一の領域31の外表面とが対向する領域と、筒体20の内表面と芯体30の第二の領域32の外表面とが対向する領域とで、芯体30に装着させた袋体の挟持状態がごく僅かに異なる。互いの領域の表面高さH1とH2の差が小さすぎると、袋体の挟持状態の変化が小さいため、芯体30の挿入を進める間、使用者の手に袋体が閉鎖された感覚が伝わりにくい。一方、第二の領域32の表面高さH2との差が大きくなりすぎる場合として、第一の領域31の表面高さH1が低すぎることが挙げられる。その場合、筒体20の内表面と芯体30の第一の領域31との間隔が大きいため、当該対向領域における袋体の挟持状態が弱くなる。その結果、袋体の閉鎖性が弱くなる。
【0026】
本発明の第一の領域31と第二の領域32とが交互に形成される態様の例としては、それぞれ芯体30の短手方向を取り巻く第一の領域31と第二の領域32とが長手方向に沿って交互に形成されているもの、帯状の第一の領域31と第二の領域32とが芯体30の長手方向における一の端部から他の端部に向かって螺旋状に形成されているもの、さらに第一の領域31と第二の領域32が格子状に形成されているものが挙げられる。好ましい例として、第二の領域32は芯体30の長手方向における第一の端部から第二の端部に向かって、らせん状に設けられるものが挙げられる。なお第一の領域31と第二の領域32との間に介在する面は第一の領域32に対し略鉛直に設けられてもよく第一の領域31から第二の領域32に向かって傾斜していてもよい。また当該介在面と第一の領域31又は第二の領域32とが形成する角部は丸みを帯びていてもよい。
【0027】
芯体30の第二の領域32は、芯体30の外表面に均等に分散して形成されることが好ましい。芯体30の外表面に占める第二の領域32の総面積の割合は8.00%以上25.00%以下が好ましく、9.00%以上20.00%以下が好ましく、10.00%以上15.00%以下がより好ましい。芯体30の第二の領域32の総面積の割合が小さすぎても大きすぎても、袋体の挟持状態の変化が起こる機会が少なくなるため、使用者の手に袋体が閉鎖された感覚が伝わりにくい。
【0028】
なお本発明においては、
図1、
図2、
図6、
図8に示されるように、筒体20の外表面にも、芯体30と同様に、第一の領域25と第二の領域26とが、筒体20の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成され、筒体20の第二の領域26の表面高さが第一の領域25の表面高さより高いことも好ましい。これにより本発明は、筒体20の外表面における使用者の手の滑り止め効果を奏する。
【0029】
筒体20の第一の領域25の表面高さH3とは、筒体20の第一の領域25の任意の選択点から筒体20の軸心X2までの最短距離である。筒体20の第二の領域26の表面高さH4とは、筒体20の表面高さH3を求めた選択点を含む第一の領域25に隣接する第二の領域26において選択される任意の点から筒体20の軸心X2までの最短距離をいう。
【0030】
図2に示されるような円筒形である場合の筒体20の第一の領域25の表面高さH3、第二の領域26の表面高さH4を、
図6を用いて例示すると、第一の領域25の表面高さH3は、筒体20の第一の領域25の選択点S3の法線上の、筒体20の第一の領域25の選択点S3から軸心X2までの距離と説明できる。第二の領域26の表面高さH4は、筒体20の第二の領域26の選択点S4の法線上の、筒体20の第二の領域26の選択点S4から軸心X2までの距離と説明できる。筒体20の第一の領域25と第二の領域26との詳細な説明は、芯体30の第一の領域31と第二の領域32との説明と同様であるから省略する。
【0031】
筒体20の基本形状は楕円筒を含む円筒、三角筒、四角筒等の多角筒、及び上面と底面が雫型の筒体のいずれでもよい。芯体30の基本形状は楕円筒を含む円筒、多角筒、及び上面と底面が雫型の筒体、楕円柱を含む円柱、三角柱、四角柱等の多角柱、及び上面と底面が雫型の柱体のいずれでもよい。筒体20と芯体30との基本形状は、自由に組み合わせることができるが、挿入容易性を保ちつつわずかな抵抗を発生させる観点から、概ね相似することが好ましい。例えば筒体が円筒の場合、芯体に円筒又は円柱を選択する。
【0032】
本発明の筒体20と芯体30とに用いられる材料は、いずれも生分解性を有するものが好ましいが、どちらか一方が生分解性を有しているものも包含する。本発明において、生分解性を有する、とは、物質が微生物等の働きによって分解される性質を有することをいう。生分解性を有する環境は、水、土壌、コンポストのいずれでもよい。本発明は、最終的に完全に水と二酸化炭素に分解される材料のみで製造されることが好ましいが、生分解性を有する材料を主材料とするものも包含する。
【0033】
本発明の筒体20と芯体30とは、どちらも複数層を有する紙管、セルロース成形品、生分解性プラスチック成形品のいずれかから選択されることが好ましい。とりわけ、これらから未漂白の材料を選択することにより、漂白工程を含む方法で製造される製品と比較してエネルギー使用量や二酸化炭素排出量を削減できるため、環境負荷軽減の観点から好ましい。
【0034】
本発明の筒体20に用いられる紙管、セルロース成形品、生分解性プラスチック成型品及びその他の生分解性を有する材料は、わずかな変形を許容する程度の剛性を備えることが好ましい。筒体20と芯体30とは同じ材料の組合せであっても異なる材料の組合せであってもよい。例えば筒体20に紙管を選択する場合、芯体30は紙管でもよくセルロース成形品、生分解性プラスチック成形品でもよい。筒体20と芯体30とを異なる材料の組合せとする場合は、袋体を装着させた芯体30を筒体20の切欠部23、24から中空21に挿入させることで、袋体を装着した芯体30の挿入に必要なだけ筒体20の細隙22の間隔を広げられるように、芯体30は、剛性が筒体20と同等または筒体20より高いものを選択することが好ましい。本明細書における筒体及び芯体の剛性は、公知の曲げ強度試験で筒体または芯体に用いられる材料の試験片に生じるたわみ量に基づき評価する。
【0035】
紙管としては原紙を巻回して複数積層させた紙管が好ましく、軽量ながら強度を確保する観点からは、原紙をらせん状に巻回させてなる、いわゆるスパイラル紙管がより好ましい。資源有効利用の観点からは、原紙における古紙パルプの使用量が90%以上であるとさらに好ましい。
【0036】
セルロース成形品としては、セルロースナノファイバーを樹脂中に分散させた複合材を成形したものが例示される。生分解性プラスチックとしては、バイオマス由来と化石由来
とのいずれのものでもよく、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオポリブチレンサクシネート(バイオPBS)、バイオポリブチレンアジペートテレフタレート(バイオPBAT)、PBS、PBAT等が例示される。
【0037】
上記のとおり、本発明は、手に伝わってくる感覚で袋体をしっかり閉鎖できていることを直感しながら、容易に袋体を閉鎖できる。また本発明の筒体と芯体とは耐久性を備えるが、仮にどちらか一方が劣化しても、筒体と芯体が分離しているため、劣化した方だけを取り換えて他方は使い続けることができ、廃棄する方もいわゆるプラスチックごみになりにくい。すなわち本発明は、環境保全に配慮した閉鎖具である。
【符号の説明】
【0038】
10 閉鎖具
20 筒体
21 中空
22 細隙
23 切欠部
24 切欠部
25 筒体の第一の領域
26 筒体の第二の領域
30 芯体
31 芯体の第一の領域
32 芯体の第二の領域
H1 芯体の第一の領域の表面高さ
H2 芯体の第二の領域の表面高さ
H3 筒体の第一の領域の表面高さ
H4 筒体の第二の領域の表面高さ
P1 袋体の開口部
P2 袋体の開口領域
P3 袋体の収納領域
S1 芯体の第一の領域の選択点
S2 芯体の第二の領域の選択点
S3 筒体の第一の領域の選択点
S4 筒体の第二の領域の選択点
X1 芯体の軸心
X2 筒体の軸心
【要約】
【課題】容易に、かつ袋体が閉鎖されることを手の感触で実感しながら操作でき、加えて環境保全に配慮した袋体の閉鎖具を提供する。
【解決手段】筒体と、筒体中空に挿入可能な芯体を備え、筒体は、長手方向に沿って設けられる細隙と、筒体の長手方向における一の端部及び他の端部の少なくとも一方に細隙と連続して設けられる切欠部とを有し、芯体の外表面には、第一の領域と第二の領域とが、芯体の長手方向における一の端部から他の端部に向かって交互に形成され、第二の領域の表面高さが第一の領域の表面高さより高い。
【選択図】
図1