(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】高周波コイル部品、無線給電用コイル部品、無線給電装置および周波コイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/12 20060101AFI20231027BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20231027BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20231027BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20231027BHJP
H01F 27/36 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01F41/12 F
H02J50/12
H01F38/14
H01F27/28 K
H01F27/36 120
H01F27/36 150
H01F27/28 185
(21)【出願番号】P 2019164941
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-07-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】519327951
【氏名又は名称】Spiral Tech株式会社
(72)【発明者】
【氏名】卜 穎剛
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055698(WO,A1)
【文献】特開2013-214613(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105167(WO,A1)
【文献】特開2011-146188(JP,A)
【文献】特開2013-214614(JP,A)
【文献】特開2018-147655(JP,A)
【文献】特開2015-012068(JP,A)
【文献】特開2015-159214(JP,A)
【文献】特開2019-110252(JP,A)
【文献】特開2000-302970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/12
H02J 50/12
H01F 38/14
H01F 27/28
H01F 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項記載の高周波コイル部品を、無線給電用送電コイルおよび受電コイルとして用いることを特徴とする無線給電用コイル部品およびそれを用いた無線給電装置。
【請求項4】
コイル導線を曲げ加工することで、スパイラル状に巻回されたコイル導線を製造する工程と、前記コイル導線を収納するための前記コイル導線の形状に沿う形状に形成された溝
を有する非磁性絶縁材料製の収納ケースを製造する工程と、前記溝に、液状、又はゲル状の溶剤に磁性粉末を分散させた磁性材料を入れる工程と、前記磁性材料の入れられた前記溝に前記コイル導線を入れる工程とを含み、前記溶剤は、柔らかい材料であるシリコン樹脂又はエラストマーであることを特徴とする高周波コイル部品
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波コイル部品およびその製造方法に関する。さらにはそれを用いた無線給電装置(非接触給電装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド型自動車などの車両のバッテリーの充電に対して、電磁誘導方式や磁気共鳴式の無線給電装置の使用が検討されている。ワイヤレス給電装置では、送電コイルに高周波の交流電流(概ね数10kHz~200kHz)を通電し、送電コイルから発生する高周波磁界を受電コイルが受け取ることで、無線で電力伝送する。
【0003】
このような無線給電装置では、装置の薄型化に対応してスパイラル状(渦巻状)の平面コイルが用いられる。また高周波磁界によって周囲の磁界漏れを回避するため、フェライト等磁気シールドをコイル近傍に配置している(例えば、特許文献1)。高周波コイル部品(非接触給電用コイル部品)は、平面コイルと磁気シールドの組合せで構成される。
【0004】
高周波コイル部品において、コイルに高周波交流電流を通電した際、コイル導体を囲むように磁束線が発生する。この磁束線は、導体自身に作用し、電流が導体の表面に集中する表皮効果が表れ、それと近接するコイル導体に生じる渦電流による近接効果の両方が存在する。この表皮効果と近接効果が起因した交流抵抗が増加し、導線損失も増加した。このため交流抵抗が増大して、電力伝送効率の低下が問題となっている。
【0005】
この問題に対して、コイルの巻線として多数の細い絶縁素線をより合わせたリッツ線を使用することが知られている(例えば、特許文献2)。リッツ線は、細い素線(例えば線径0.1mm以下のエナメル線)を数多く(例えば1000本以上)より合わせた線である。表皮効果や近接効果による高周波損失を抑制することができる。
【0006】
単線の表面に磁性めっきした磁性めっき線が提案されている(例えば、特許文献3)。 磁性めっき線は銅線の外周にめっきにより磁性層(鉄薄膜)を形成したものである。また、磁性粉と溶剤との混合物(磁性コンポジット材)を導線の外表面に被覆した磁性塗布線が提案されている(特許文献4)。または、磁性スプレーによる塗布方法もある(特許文献5)。上記、導線に磁性材料を塗布することにより、隣接する導線を流れる電流によって生じる磁界が導体内に侵入することを抑え、導体内で渦電流が発生することを抑制して交流抵抗を低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-201296号公報
【文献】特開2016-219252号公報
【文献】特開平4-214896号公報
【文献】特開2014-71969号公報
【文献】特開2018-137120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した導線に磁性材料を付着させる方法は、いずれも、付着工程が複雑し、製造時間やコストがかかる。また、磁性材料を付着させた後の曲げ加工などの工程により、磁性層の損傷が起こる。そこで、本発明は、上記事情に鑑み、平板状スパイラルコイル特有の表皮効果や近接効果による高周波損失(銅損)を低減することで交流抵抗の増大を抑制した、低コストで製造可能で高効率な、高周波コイル部品を提供することを目的とする。さらにこの伝送コイル部品を用いた高伝送効率の無線給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の高周波コイル部品は、スパイラル状に巻回されたコイル導線と、前記コイル導線を収納するための前記コイル導線の形状に沿う形状に形成された溝を有する非磁性絶縁材料製の収納ケースと、前記溝に収納されている前記コイル導線と前記溝の内壁との間に柔らかい材料であるシリコン樹脂又はエラストマーに磁性粉を分散させた磁性材料が設けられて構成されている磁性層とを、有し、前記磁性層は、前記コイル導線の周囲の全周に渡って設けられていて、前記コイル導線は、複数の導線で撚り合わせたより線またはリッツ線であり、前記スパイラル状に巻回されたコイル導線は、前記コイル導線同士が一定の間隔を有して巻回されていて、その間隔の間に少なくとも一部の前記収納ケースの壁が存在することを特徴とする。
【0010】
第2の発明の高周波コイル部品は、前記コイル導線のコイル面に対向するように配置された磁性体で構成する磁気シールドと、導電体で構成する電気シールドとを備えることを特徴とする。
【0011】
第3の発明の高周波コイル部品は、前記1~2のいずれか1項記載の高周波コイル部品を、無線給電用送電コイルおよび受電コイルとして用いることを特徴とする無線給電用コ
イル部品およびそれを用いた無線給電装置。
【0012】
第4の発明の高周波コイル部品の製造方法は、コイル導線を曲げ加工することで、スパイラル状に巻回されたコイル導線を製造する工程と、前記コイル導線を収納するための前記コイル導線の形状に沿う形状に形成された溝を有する非磁性絶縁材料製の収納ケースを製造する工程と、前記溝に、液状、又はゲル状の溶剤に磁性粉末を分散させた磁性材料を入れる工程と、前記磁性材料の入れられた前記溝に前記コイル導線を入れる工程とを含み、前記溶剤は、柔らかい材料であるシリコン樹脂又はエラストマーであることを特徴とする高周波コイル部品の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高周波コイル部品によれば、磁性めっき線や磁性塗布線を使用することなく、コイル導体の表面および側面に集中していた磁束線をその各巻のコイル導体と収納ケースとの間に設けられた磁性層に誘導して、コイル導体を貫通する磁束線の数を減らすことができる。これによりコイル導体内の渦電流を抑えてコイルの交流抵抗(銅損)を低減することが可能となり、伝送効率の向上することができる。
【0019】
よって、磁束線が渦電流損失の低い磁性層に集中することで、渦電流損失大きい導体に流れる磁束が減少する。したがって、結果的にコイルの交流抵抗を低減できる。
【0020】
本発明の高周波コイル部品の製造方法によれば、磁性材料が直接収納ケースの溝に設ける(充填される)ため、従来技術よりは、工程の簡素化および磁性材料の利用率の向上につながり、低コストと高い生産性の両立を図ることができる。
【0021】
磁性材料で形成された磁性層が収納ケースの内部にあるため、外力による損傷が防ぐことができる。収納ケースは樹脂など非磁性絶縁材料で構成されているため、簡便に低コストで伝送コイル部品を製造できる。
【0022】
従来用いられていた磁性めっき線や磁性塗布線は曲げ加工できなかったのであるが、本発明の高周波コイル部品の製造方法によれば、金属線材を使用しているため、曲げ加工によってスパイラル状のコイル導線に加工できるので、低コストで高周波コイル部品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1~第5の実施の形態に係る伝送コイル部品の平面概略図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図4】第3の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図5】第4の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図6】第5の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図7】第6の実施の形態に係る伝送コイル部品の断面概略図である。
【
図8】本開示の実施の形態の無線給電用コイルの形状である。
【
図9】本開示の実施の形態の無線給電用コイルの交流抵抗の実測値。
【
図10】高周波コイル部品の製造方法を説明するブロック図である。
【
図11】高周波コイル部品の製造方法を説明する組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る高周波コイル部品およびその製造方法ならびに高周波コイル部品を用いた無線給電装置について、図面に基づいて説明する。
【0025】
<1.高周波コイル部品>
図1は、第1~第5の実施の形態に係る高周波コイル部品の平面概略図である。
図2はそれの断面図である。高周波コイル部品は、スパイラル状に巻回されたコイル導線10と、コイル導線10を収納するためのコイル導線10の形状に概ね沿う形状に形成された溝15を有する非磁性絶縁材料製の収納ケース12と、溝12に収納されているコイル導線10と溝15の内壁との間に磁性材料が設けられて(入れられて)構成されている磁性層11とを有する構造である。コイル導体10と磁気シールド13の間に絶縁層を入れでもよい。
【0026】
コイル導線10と溝15の内壁(収納ケース12)との間に磁性層11が形成されているため、コイル導線10に通電した際に発生する磁束が磁性層11に流れ、渦電流損失の低い磁性層11に集中することで、渦電流損失の大きいコイル導線10に流れる磁束が減少する。このため、コイル導線10の交流抵抗を低減できる。
【0027】
コイル導線10は、金属線材で形成されており、具体的には、銅またはアルミまたはそれらの合金で形成されている。コイル導線10の断面形状は、円形状、楕円形状、四角形状または多角形状である。
図2に、コイル導線10の断面形状が円形状の例を示している。コイル導線10は、1本の単線、或いは複数の導線で撚り合わせたより線またはリッツ線である。同図には、コイル導線10が1本の単線で構成されている例を示している。
【0028】
収納ケース12は、非磁性絶縁材料製である。100℃以上の耐熱性を有する材質が望ましい。収納ケース12の材料は、樹脂、繊維、高分子化合物等非磁性、非絶縁材料である。収納ケース12は、板状に形成されており、その一方の面(
図2の下面)に、溝15が形成されている。
【0029】
同図に示すように、コイル導線10と溝15の内壁との間に磁性層11が形成されるため、溝15のサイズはコイル導体10のサイズより大きく、収納ケース12とコイル導体10の間に空隙ができるようなサイズとする。具体的には、磁性層11の層厚さとコイル導線10の断面形状とを考慮して、溝15の大きさが決定される。
【0030】
コイル導線10の断面形状が円形状の場合、コイル導線10の形状に対応させて、溝15の底部が円弧形状に形成されていることが好ましい。同図に示すように、コイル導線10の全周に渡って磁性層11が設けられておらず、コイル導線10の周囲の一部に磁性層11が設けられていてもよい。
【0031】
上記コイル導体10と溝15(収納ケース12)との間に設けられる磁性層11(磁性材料)は、鉄系合金の粉、アモルファス磁性粉、鉄の酸化物、フェライト材料などの磁性材の粉またはそれと高分子化合物、樹脂、鉱物などの流体バインダーの混合物などである。磁性層11の厚さは概ね0.01-1mmの範囲内が望ましい。
【0032】
コイル導体10を交流電流で駆動する際、周囲に発生した漏れ磁界および電界を防ぐために、コイル導体10面に対向するように配置された磁性体で構成する磁気シールド13と、金属等の導電体で構成する電気シールド14とを備えることが好ましい。磁気シールド13及び電気シールド14は従来用いられているものと同様のものであり、各々板状(シート状)に形成されている。収納ケース12に磁気シールド13が絶縁材を介して接合され、その磁気シールド13に中間材を介して電気シールド14が接合される。
【0033】
図3に示すように、磁性層11は、コイル導線10の全周に渡って設けられていてもよい。コイル導線10の周囲の一部に磁性層11が設けられている場合よりも全周に渡って設けられている方が好ましい。そのコイル導線10に作用する磁束が低減され、コイルの交流抵抗が低減できる。
一部に磁性層11が設けられている場合は、製造工程が簡易となり、磁性材料の使用量が低減できる。
【0034】
この場合、収納ケース12の下に接合される絶縁材に干渉しないように、磁性層11は、収納ケース12の一方の面(
図3の下面)よりも突出しないことが好ましい。磁性層11を厚くするために、磁性層11を収納ケース12の一方の面と面一になるように形成することが好ましい。
【0035】
図4に、コイル導線10の断面形状が四角形状の例を示す。この場合、コイル導線10の形状に対応させて、溝15の断面形状が四角形状に形成されていることが好ましい。15溝のサイズはコイル導体10のサイズより大きく、収納ケースと導体の間に空隙ができる。その空隙に磁性材料を充填して磁性層11が形成されている。磁性層11は、四角形状のコイル導線10の周囲の3辺(一部)に設けられていてもよいし、4辺(全周)に設けられていてもよい。
【0036】
図5に、コイル導線10が複数の導線で撚り合わせたより線またはリッツ線である例を示す。後述する本発明の高周波コイル部品の製造方法を適用することで、より線導線であっても、コイル導線10の周囲に密着するように磁性層11を形成することができる。同図に示すように、コイル導線10の周囲全体に渡って磁性層11を密着させて設けることが好ましい。なお、
図6に示すように、コイル導線10の周囲の一部に渡って磁性層11を設けてもよい。
図5、
図6の場合はリッツ線に繊維や樹脂フィルムなど絶縁被覆がある場合を示している。リッツ線に被覆がない場合でもよい。
【0037】
図1から
図6に示すように、スパイラル状に巻回されたコイル導線10は、コイル導線10同士が一定の間隔を有して巻回されていて、その間隔の間に少なくとも一部の収納ケース12の壁が存在することが好ましい。収納ケース12の壁が存在すると磁性層11をコイル導体10の周囲にたもつことができる。
【0038】
図7に、磁気シールド13および電気シールド14が収納ケース12の溝15が開口面の反面に配置した例を示す。この場合は、磁性材料11が磁気シールド13に付着することを防ぐ。また、加工工程も簡易になる。磁性材料11が設けない場合と比べ、コイル部品の結合係数を向上させる役割もできる。コイル導体10は四角単線、リッツ線などの場合でもこの配置例の適用が可能である。
【0039】
<3.高周波コイル部品の製造方法>
図10に、本発明の高周波コイル部品の製造方法を示す。高周波コイル部品の製造方法は、金属線材を曲げ加工することで、スパイラル状に巻回されたコイル導体を製造する工程21と、前記コイル導線を収納するための前記コイル導線の形状に沿う形状に形成された溝を有する非磁性絶縁材料製の収納ケースを製造する工程22と、前記溝に磁性材料を入れる工程23と、前記磁性材料の入れられた前記溝に前記コイル導体を入れる工程24とを、含むことを特徴とする。
【0040】
金属線材を曲げ加工によってスパイラル状のコイル導体10を製造できるため、簡便にかつ低コストで製造することができる。コイル導線10は従来のコイル製造用の巻線機を使用して製造することができる。または、ベンディング機械などで曲げ加工することもできる。
【0041】
収納ケース12は、射出成型やプレス成型加工、または削り加工などの従来の方法で製造することができる。溝15は、収納ケース12を製造するときに同時に形成すればよい。または、収納ケース12を製造した後に、溝15を切削加工して形成してもよい。
【0042】
磁性層11を形成するために、固体状、液状、ゲル状、粉状または可塑性を有する性状の磁性材料を溝15に入れる。磁性材料として前述した磁性粉末を、例えば液状、ゲル状の溶剤に分散させたものを好ましく使用できる。溶剤として、例えば、シリコン樹脂、エラストマー、ゴム、高分子材料、鉱物材料などを使用できる。充填方法としては例えば、ディスペンサーなどで磁性材料を均一的に注入することができる。
【0043】
この溝15に、コイル導体10を入れると、コイル導体10によって適宜押しのけられるように磁性材料が溝15内を移動して、コイル導体10の表面に密着する磁性層11が形成される。シリコン樹脂やエラストマーなど柔らかい材料ではコイル導体10を保護する効果もある。
【0044】
磁性層11をコイル導体10の全周に成形するために、上記磁性材料の量を増やし、コイル導体10を溝15に入れると、磁性材料11がコイル導体10の全周に溺れるようになる。または、上記コイル導体10を溝15に入れる後、コイル導体10の露出部分に再塗布することによって、全周に成形することができる。
【0045】
磁性材料11が硬質材料の場合には、成形されたシートフィルム状の磁性材料11を溝15に入れる。磁性材11が可とう性があるため、導体10と収納ケース12の間に嵌め込ようになる。また、磁性材料11がコイル導体10の形状に沿う周囲に嵌め込まれる形状に成形されている硬質材料の場合は先に磁性材料11を溝15内に入れた後、コイル導体10を入れる。または、コイル導体10に磁性材料11を嵌めてから溝15に入れる。
【0046】
図11に本実施形状の製造方法を示す高周波コイル部品の組立図を示した。収納ケース12の溝15に磁性層11を形成するための磁性材料を入れ(充填し)一番下部に置く。その上から溝15にコイル導体10を嵌める。その上に磁気シールド13と電界シールド14を順次に組立する。
【0047】
溝15に磁性材料を入れる作業は簡便に行うことができるため、高周波コイル部品を簡便にかつ低コストで製造することができる。
図11に示した高周波コイル部品は無線給電用送電コイルおよび受電コイルとして用いることができる。
【実施例】
【0048】
図8に本実施例における無線給電コイルの具体的な構造図を示す。コイルの大きさは320mmとし、巻き数は9回とし、材質はアルミニウム、断面は長4.5mm、厚さ2mmの四角単線である。アルミ導線と収納ケースの間に粒子サイズ50μm以下のアモルファス鉄系材料の粉とシリコン樹脂を混合した磁性材料を充填した。そのコイルに対向して磁気シールド13をフェライト磁性材とアルミ板で構成する電気シールド14を設けた。
【0049】
図9に本実施例における無線給電コイルの交流抵抗データを示す。交流抵抗はインピーダンスアナライザーにて測定した。図中APは磁性層11が未充填する場合のデータ、MCPは磁性層11が充填した場合のデータである。コイルの交流抵抗は85kHzにおいてAPの交流抵抗188mΩから134mΩまでに低減した。本発明の効果を実証された。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る高周波コイル部品および無線給電装置は、自動車や携帯電話、タブレット等の電子機器に用いられてもよい。また、本発明に係る高周波コイルは、誘導式加熱装置などにも適用されてもよい。さらに、本発明に係る高周波コイルは、電磁誘導方式の非接触給電装置における使用に限定されない。磁界共鳴方式の非接触給電装置にも適用されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 高周波コイル部品
10 コイル導体
11 磁性層
12 収納ケース
13 磁気シールド
14 電界シールド
15 溝
21 コイル導体を製造する工程
22 収納ケースを製造する工程
23 磁性材料を入れる工程
24 コイル導体を入れる工程