(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】標高差検知方法、標高差検知システム及び標高差検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 7/02 20060101AFI20231027BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20231027BHJP
E01C 23/00 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G01C7/02
G01S17/89
E01C23/00 A
(21)【出願番号】P 2019208282
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018217721
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019112107
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和1年8月24日、8月31日、9月4日、9月24日、9月25日、9月27日、10月5日、10月31日、11月4日、11月5日、11月6日、西日本高速道路エンジニアリング関西株式会社に公開 (2)令和1年9月25日、株式会社七番組に公開 (3)令和1年11月8日、日本道路会議にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】516225913
【氏名又は名称】株式会社エムアールサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】草木 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】森 誉光
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138238(JP,A)
【文献】特開2014-163707(JP,A)
【文献】特開2013-113702(JP,A)
【文献】特開2015-031018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/02
G01S 17/89
G06T 7/521
E01C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により、補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして取得する基準面データ取得ステップと、
前記点群データ取得ステップで取得された点群データと前記基準面データ取得ステップで取得された基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出ステップとを備えることを特徴とする路面の標高差検知方法。
【請求項2】
前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、
前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じた色を、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに決定する第1色決定ステップと、
前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第1色決定ステップで決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示する第1標高差色表示ステップとを備えることを特徴とする請求項1に記載の標高差検知方法。
【請求項3】
前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、
前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じて前記所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示する標高差線表示ステップとを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の標高差検知方法。
【請求項4】
前記第1標高差色表示ステップ
により前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにより所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す
数値を前記表示部に表示する数値表示ステップとを備えることを特徴とする請求項
2に記載の標高差検知方法。
【請求項5】
前記標高差線表示ステップにより前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにより所定位置が指定された場合に、
その所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す
数値を前記表示部に表示する数値表示ステップとを備えることを特徴とする請求項
3に記載の標高差検知方法。
【請求項6】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置の比率及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第1比率算出ステップと、
前記第1比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第1判定ステップとを備えることを特徴とする請求項1~
5の何れかに記載の標高差検知方法。
【請求項7】
前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、
前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第2色決定ステップと、
前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第2色決定ステップで決定された色を追加して前記標高差を表示する第2標高差色表示ステップとを備えること
を特徴とする請求項
6に記載の標高差検知方法。
【請求項8】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置について前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置の比率、及び、前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置について前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第2比率算出ステップと、
前記第2比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第2判定ステップとを備えることを特徴とする請求項1~
7の何れかに記載の標高差検知方法。
【請求項9】
前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、
前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置または前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第3色決定ステップと、
前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第3色決定ステップで決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示する第3標高差色表示ステップとを備えることを特徴とする請求項
8に記載の標高差検知方法。
【請求項10】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記所定領域における標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と標高差の大きさが所定値以下の平面位置との境界部分の比率を算出する第3比率算出ステップと、
前記第3比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第3判定ステップとを備えることを特徴とする請求項1~
9の何れかに記載の標高差検知方法。
【請求項11】
既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶手段と、
前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして記憶する基準面データ記憶手段と、
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データと前記基準面データ記憶手段に記憶された基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出手段とを備えることを特徴とする標高差検知システム。
【請求項12】
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、
前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさに応じた色を、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに決定する第1色決定手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記第1色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする請求項
11に記載の標高差検知システム。
【請求項13】
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさに応じて前記所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示することを特徴とする請求項
11または12に記載の標高差検知システム。
【請求項14】
前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記指定手段により所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す
数値を前記表示部に表示することを特徴とする請求項
12に記載の標高差検知システム。
【請求項15】
前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記指定手段により所定位置が指定された場合に、
その所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す
数値を前記表示部に表示することを特徴とする請求項
13に記載の標高差検知システム。
【請求項16】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置の比率及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第1比率算出手段と、
前記第1比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする請求項
11~
15の何れかに記載の標高差検知システム。
【請求項17】
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、
前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第2色決定手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記表示制御手段により表示された3次元画像に対し、前記第2色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする請求項
16に記載の標高差検知システム。
【請求項18】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置について前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置の比率、及び、前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置について前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第2比率算出手段と、
前記第2比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第2判定手段とを備えることを特徴とする請求項
11~
17の何れかに記載の標高差検知
システム。
【請求項19】
前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、
前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置または前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第3色決定手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記画像表示手段により表示された3次元画像に対し、前記第3色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする請求項
18に記載の標高差検知
システム。
【請求項20】
前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置との境界部分の比率を算出する第3比率算出手段と、
前記第3比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第3判定手段とを備えることを特徴とする請求項
11~
19の何れかに記載の標高差検知システム。
【請求項21】
コンピュータに読み込まれることにより、当該コンピュータを、
既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを受け付ける点群データ受付手段、
前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして受け付ける基準面データ受付手段、
前記点群データ受付手段で受け付けた点群データと前記基準面データ受付手段で受け付けた基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出手段として機能させることを特徴とする標高差検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路の路面を補修計画に基づいて補修する際に、補修起工時の路面表面における轍などの掘れを検知する標高差検知方法、標高差検知システム及び標高差検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等の表層を構成するアスファルト舗装の表面に掘れなどの損傷が発生した場合、例えば切削オーバーレイ工法により補修が行われていた。この補修工法は、既設アスファルト舗装の表層部を路面切削機で切削して除去し、その後に新規アスファルトを敷いて表層を新たに構築するものである。
【0003】
道路の補修を行うためには、路面の凹凸状態を点検する必要があり、従来、路面の点検は、点検員の目視により行われていたが、各点検員により路面を点検し、掘れ量を計測する作業は非常に煩雑である。したがって、点検員が掘れ量を計測する代わりに、掘れ量を自動計測する路面計測装置がある(特許文献1参照)。この路面計測装置では、計測した結果に基づいて基準面を設定して、その基準面に対して路面の掘れ量を計算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際に補修が行われる際の補修計画面は、例えば路面の傾斜が所定傾斜度になるように計画されるのが一般的であり、従来のように補修起工時において路面を計測した結果に基づいた基準面と全く異なるものである。したがって、補修起工時の路面状態に基づいた基準面からの路面表面の掘れ量を計算したとしても、基準面が妥当なものか否か不明であり、補修起工時において補修が必要である補修箇所を正確に特定するのは困難である。また、路面表面の掘れ量を正確に検知できず、補修起工時において路面表面の掘れを無くす補修に必要となる材料費(例えばアスファルト量)を正確に予測するのは不可能である。また、切削オーバーレイ工法により補修が行われる際に、切削ボリュームを正確に予測するのは困難である。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、例えば路面表面の掘れを無くす補修を実施する際、補修起工時において路面表面の状態を正確に把握することが可能な標高差検知方法、標高差検知システム及び標高差検知プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る標高差検知方法は、既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により、補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして取得する基準面データ取得ステップと、前記点群データ取得ステップで取得された点群データと前記基準面データ取得ステップで取得された基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る標高差検知システムは、既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶手段と、前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして記憶する基準面データ記憶手段と、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データと前記基準面データ記憶手段に記憶された基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る標高差検知プログラムは、コンピュータに読み込まれることにより、当該コンピュータを、既知点に設置された3次元走査装置から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを受け付ける点群データ受付手段、前記所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、前記所定領域が新設されたときの路面データ、及び、前記所定領域が補修されたときの路面データの何れかを基準面データとして受け付ける基準面データ受付手段、前記点群データ受付手段で受け付けた点群データと前記基準面データ受付手段で受け付けた基準面データとに基づいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
これにより、本発明に係る標高差検知方法、標高差検知システム及び標高差検知プログラムでは、路面の所定領域を補修する際に、補修起工時における路面の各点についての点群データと基準面データとに基づいて所定領域内の各平面位置での標高差が算出されるが、基準面データとして、所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データ、所定領域が新設されたときの路面データ、及び、所定領域が補修されたときの路面データの何れかが使用されるため、路面表面において掘れが形成された補修箇所を正確に特定可能である。また、路面表面の掘れ量を正確に検知することが可能であり、補修起工時において路面表面の掘れを無くす補修に必要となる材料費を正確に予測することが可能となる。また、切削オーバーレイ工法により補修が行われる際に、切削ボリュームを正確に予測することが可能となる
【0012】
本発明に係る標高差検知方法において、前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じた色を、前記所定領域内にある同一の平面位置ごとに決定する第1色決定ステップと、前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第1色決定ステップで決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示する第1標高差色表示ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさに応じた色を、前記所定領域内にある同一の平面位置ごとに決定する第1色決定手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記第1色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の各平面位置での標高差をその大きさに応じた色により表示することにより、路面表面において掘れが形成された箇所及び路面表面の掘れ量を容易に把握可能である。
【0015】
本発明に係る標高差検知方法において、前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じて前記所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示する標高差線表示ステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさに応じて前記所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示することを特徴とする。
【0017】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の標高差が同一である領域を線により表示することにより、路面表面において掘れが形成された箇所及び路面表面の掘れ量を容易に把握可能である。
【0018】
本発明に係る標高差検知方法において、前記第1標高差色表示ステップにより前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、前記指定ステップにより所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す数値を前記表示部に表示する数値表示ステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定手段を備え、前記表示制御手段は、前記指定手段により所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す数値を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0020】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の所定位置における標高差を示す数値で検知可能である。
本発明に係る標高差検知方法において、前記標高差線表示ステップにより前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、前記指定ステップにより所定位置が指定された場合に、その所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値を前記表示部に表示する数値表示ステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記所定領域における標高差が前記表示部に表示された状態で、前記所定領域内にある所定位置を指定する指定手段を備え、前記表示制御手段は、前記指定手段により所定位置が指定された場合に、その所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値を前記表示部に表示することを特徴とする。
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値で検知可能である。
【0021】
本発明に係る標高差検知方法において、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置の比率及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第1比率算出ステップと、前記第1比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第1判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置の比率及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第1比率算出手段と、前記第1比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差の大きさと所定値とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが所定値より大きい平面位置の比率、または、標高差の大きさが所定値以下の平面位置の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【0024】
本発明に係る標高差検知方法において、前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第2色決定ステップと、前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第2色決定ステップで決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示する第2標高差色表示ステップとを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置及び前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第2色決定手段とを備え、前記表示制御手段は、前記表示部に表示された3次元画像に対し、前記表示制御手段により表示された3次元画像に対し、前記第2色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする。
【0026】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と、標高差の大きさが所定値以下の平面位置とが異なる色で表示されるため、所定領域の状態を容易に検知することができる。
【0027】
本発明に係る標高差検知方法において、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置について前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置の比率、及び、前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置について前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第2比率算出ステップと、前記第2比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第2判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置について前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置の比率、及び、前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置について前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の比率の少なくとも一方を算出する第2比率算出手段と、前記第2比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第2判定手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差の大きさと所定値とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置の比率、または、標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【0030】
本発明に係る標高差検知方法において、前記点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置または前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第3色決定ステップと、前記画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、前記第3色決定ステップで決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示する第3標高差色表示ステップとを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御手段と、前記標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置または前記標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置の何れかに応じた色を、前記平面位置ごとに決定する第3色決定手段とを備え、前記表示制御手段は、前記画像表示手段により表示された3次元画像に対し、前記第3色決定手段で決定された色を追加して前記所定領域における標高差を表示することを特徴とする。
【0032】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、標高差の大きさが第1所定範囲にある平面位置または標高差の大きさが第2所定範囲にある平面位置が、それに応じた色で表示されるため、所定領域の状態を容易に検知することができる。
【0033】
本発明に係る標高差検知方法において、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置との境界部分の比率を算出する第3比率算出ステップと、前記第3比率算出ステップで算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第3判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る標高差検知システムにおいて、前記所定領域内の同一の平面位置ごとに、前記標高差算出手段で算出された標高差の大きさと所定値とを比較する比較手段と、前記比較手段での比較結果に基づいて、前記標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と前記標高差の大きさが所定値以下の平面位置との境界部分の比率を算出する第3比率算出手段と、前記第3比率算出手段で算出された比率に基づいて、前記所定領域の状態を判定する第3判定手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
これにより、本発明に係る標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差の大きさと所定値とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが所定値より大きい平面位置と、標高差の大きさが所定値以下の平面位置との境界部分の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0036】
以上、本発明によれば、路面表面において掘れが形成された補修箇所を正確に特定可能である。また、路面表面の掘れ量を正確に検知することが可能であり、補修起工時において路面表面の掘れを無くす補修に必要となる材料費を正確に予測することが可能となる。また、切削オーバーレイ工法により補修が行われる際に、切削ボリュームを正確に予測することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る標高差検知システムの概略構成を示した図である。
【
図2】補修起工時における道路の所定領域の点群データに基づいた3D画像である。
【
図5】道路の所定領域を補修する際の補修計画を示す補修計画面の平面図であり、
【
図6】道路の所定領域を補修する際の補修計画を示す補修計画面の側面図である。
【
図7】道路の所定領域内の各平面位置における標高差を色で表示した図である。
【
図9】指定された所定位置における標高差を数値で表示した図である。
【
図10】道路の所定領域内の各平面位置における標高差を色で表示した図である。
【
図12】道路の所定領域内の各平面位置における標高差を標高差が同一である部分を示す線で表示した図である。
【
図13】指定された所定位置における標高差が同一である部分を示す線で囲まれた領域の面積を数値で表示した図である。
【
図14】
図1の標高差検知システムの標高差検知方法を説明する図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る標高差検知システムの概略構成を示した図である。
【
図16】所定領域aに対して色を追加した画像の例である。
【
図17】所定領域bに対して色を追加した画像の例である。
【
図18】所定領域cに対して色を追加した画像の例である。
【
図19】濃色領域の比率の算出方法を説明する図である。
【
図20】色相境界の比率の算出方法を説明する図である。
【
図21】
図15の標高差検知システムの標高差検知方法を説明する図である。
【
図22】
図22(a)は、補修起工時の所定領域における標高差を色で示した図であり、
図22(b)は、補修後の所定領域における標高差を色で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
(第1実施形態)
本発明の実施形態に係る標高差検知システム1は、3Dスキャナ2(3次元走査装置)と、3Dスキャナ2が無線接続された標高差検知装置10とを有している。
【0040】
3Dスキャナ2は、既知点に設置された状態でレーザ光を照射することにより道路の路面及びその周辺における各点を3次元座標化された点群データ(平面位置座標を有する標高の集合)として取得し、その点群データを標高差検知装置10に供給する。3Dスキャナ2は、測定対象物(道路の路面)に対して、例えば垂直方向及び水平方向にラインレーザ光を出射し、測定対象物の測定点とセンサの間をレーザパルスが往復する時間を計測することで、測定点までの距離を求めることができる。3Dスキャナ2により取得される点群データは、例えば25cm以下の間隔おきの位置におけるデータであり、本実施形態において、3Dスキャナ2は、例えば5ミリメートルの間隔おきの位置における点群データを取得する。そのため、補修起工時において、路面表面の小さい間隔おきの標高が検知可能であり、道路の路面表面の掘れを適正に検知可能となる。
【0041】
本実施形態では、道路の路面における所定領域(調査範囲)の凹凸状態を調査し、その凹凸状態に基づいて、補修する補修箇所を特定する場合について説明する。
【0042】
標高差検知装置10は、
図1に示すように、制御部10aを有しており、制御部10aは、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、標高差検知装置10の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。即ち、制御部10aは、CPU、メモリ及びインターフェースを含む通常のマイクロコンピュータを主体として構成されるもので、メモリに記憶されている標高差検知プログラムに従い所定の演算、処理を行って、周辺ハードウェアとの協働の下に、3Dスキャナ2から取り込んだ点群データと、別途取り込んだ計画面データとに基づいて、道路の路面における標高差を検知する。
【0043】
標高差検知装置10の制御部10aは、点群データ記憶部11aを含む点群データ受付部11と、3D画像作成部12と、計画面データ記憶部13aを含む計画面データ受付部13と、標高差算出部14と、第1色決定部15と、表示制御部16とを有している。また、標高差検知装置10の制御部10aは、表示画面などの表示部5を有している。
【0044】
点群データ受付部11は、3Dスキャナ2から供給された道路の路面の所定領域における各点についての点群データを受け付ける。点群データ記憶部11aは、3Dスキャナ2から供給された道路の路面の所定領域における各点についての点群データを記憶する。点群データとして、道路の路面における各点についての平面位置(緯度、経度)及び高さに対応したデータを含んでいる。
【0045】
本実施形態では、道路の補修起工時において、3Dスキャナ2により道路の路面の所定領域における各点についての点群データが取得され、その点群データが点群データ記憶部11aに記憶されている。
【0046】
3D画像作成部12は、点群データ記憶部11aに記憶された点群データに基づいて、道路の補修起工時における路面の3D画像を作成する。
図2は、道路の補修起工時における路面の所定領域の3D画像である。
【0047】
計画面データ受付部13は、路面の所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データを受け付ける。計画面データ記憶部13aは、路面の所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データを記憶する。計画面データは、別途、実施される補修計画により取得された補修計画面を示し、各平面位置の標高差を算出する際に基準面データとして使用される。補修計画は、路面の所定領域全体について行われるが、路面表面の掘れが多いことから補修が必要である補修箇所と、路面表面の掘れが少ないことから補修が必要でない箇所とを含んでいる。
【0048】
計画面データ記憶部13aは、路面の所定領域を補修する際の補修計画面データとして、所定領域の各平面位置の標高を記憶しており、道路の補修は、道路の補修起工時における所定領域の各平面位置の標高が、補修計画面として計画された各平面位置の標高とそれぞれ一致するように行われる。
【0049】
補修計画は、縦横断計画を含んでおり、道路の縦断方向に沿った縦断計画が行われた後、道路の複数個所における横断方向に沿った横断計画が行われることにより、所定領域を補修する際の補修計画面が取得される。したがって、補修計画面には、縦断計画面を示す計画面データと、複数の横断計画面を示す計画面データとが含まれる。
【0050】
縦断計画は、道路の中央部において、道路の縦断方向に沿った線上の各点の標高についての計画を含んでいる。例えば、
図3は、道路の中央部に沿った線上の各点の標高についての縦断計画面を示している。
図3では、補修計画が必要である補修箇所が、左側の補修がされない箇所と右側の補修されない箇所との間にある。
図3の補修箇所には、点群データに基づいた標高の変化が図示されると共に、縦断計画面が図示されている。
【0051】
図3の縦断計画面は、道路の中央部に沿った線上の各位置における標高が、道路の平坦性などを考慮して計画された後、それらの標高を接続することにより得られる。道路の中央部に沿った線上の位置は、例えば10mおきの位置や20mおきの位置である。
【0052】
縦断計画において、道路の中央部に沿った線上の各位置での標高について計画された後で横断計画が行われる。横断計画は、道路の中央部に沿った線上の各位置での道路の横断方向に沿った線上にある各点の標高についての計画である。例えば、
図4は、
図3のa点での道路の横断方向に沿った線上にある各点の標高についての横断計画面を示している。
図4では、補修計画が必要である補修箇所が、道路の左側端部と道路の右側端部との間にある。補修箇所には、点群データに基づいた標高の変化が図示されると共に、横断計画面が図示されている。
図4では、道路の傾斜を分かりやすいように図示している。
【0053】
横断計画面は、
図3に示した道路の中央部に沿った線上の各位置について、道路中央の標高から道路の両端に向かって下方に傾斜する傾斜面の傾斜度などを考慮して計画されることにより得られる。例えば道路の横断計画を行う場合、通常、道路中部から道路の端に向かって所定の傾斜度で下方に傾斜するように設計されるのが一般的である。例えば、
図4の横断計画面では、
図3の縦断計画面におけるa点の道路中央の標高から、道路の両端に向かって所定の傾斜度で下方に傾斜する傾斜面に沿って、a
1点まで標高が低下し、その後、a
1点と道路の左側端部及び道路の右側端部とを接続する接続面に沿って、道路の左側端部及び道路の右側端部まで標高が低下する。したがって、横断計画面に基づいて補修されると、補修箇所に形成されるアスファルト舗装の表層部と、道路の左側端部及び道路の右側端部のコンクリート部とは、段差がない状態で接続される。なお、
図4の横断計画面は、横断計画面の例であり、横断計画の方法は、それに限られない。したがって、横断計画面は、例えば、道路中央から道路の端に向かって異なる複数の傾斜度で下方に傾斜する傾斜面が接続されるように設計されてよい。
【0054】
上述のようにして得られた道路の中央部に沿った線上の各位置における横断計画面を縦断方向に接続することにより、路面の所定領域を補修する際の補修計画面が取得される。
図5は、補修計画面の平面図であり、
図6は、補修計画面の側面図である。
【0055】
標高差算出部14は、点群データ記憶部11aに記憶された点群データと計画面データ記憶部13aに記憶された計画面データとに基づいて、路面の所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する。したがって、標高差算出部14は、
図2に示した路面の所定領域について、道路の所定領域内の同一の平面位置ごとに、道路の補修起工時と補修計画面との標高差を算出する。具体的には、標高差算出部14では、点群データ記憶部11aに記憶された点群データに基づいて、3Dスキャナ2により取得された点群データを頂点として連結された3角形平面の集合体である三次元TINモデル(不定形三角網)に変換して、道路の補修起工時における道路の所定領域内の同一の平面位置ごとに、各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出する。そのため、標高差算出部14は、道路の所定領域内における各点の点群データが、点群データ記憶部11aに記憶されてない場合でも、道路の所定領域内における各点の緯度、経度及び高さに対応したデータを導出することが可能である。
【0056】
第1色決定部15は、標高差算出部14で算出された標高差の大きさに応じた色を決定する。例えば、標高差の大きさに応じて、互いに異なる複数の色が対応するように設定されている。複数の色は、互いに異なる複数のカラーの色であってよいし、互いに異なる濃度の色であってよい。
【0057】
表示制御部16は、表示部5に表示される内容を制御する。表示制御部16は、例えば3D画像作成部12により作成された3D画像を表示部5に表示する。また、表示制御部16は、道路の所定領域の3D画像に対して、第1色決定部15で決定された色を追加して、路面の所定領域内の各位置における標高差を表示部5に表示する。したがって、表示制御部16は、
図7及び
図8に示すように、道路の所定領域内において同一の平面位置ごとに、補修起工時の標高と補修計画面の標高との標高差を、互いに異なる複数の色により表示する。
図8は、
図7の一部を拡大した図である。
【0058】
例えば、標高差が白色と黒色との間の色の濃度で表示される場合、
図7及び
図8に示すように、補修起工時と補修計画面との標高差が小さい部分が白色に近い色で表示され、補修起工時と補修計画面との標高差が大きい部分が黒色に近い色で表示される。したがって、路面表面において、黒色に近い色で表示された部分が、道路の補修起工時において路面表面の掘れ量が多い部分であり、補修が必要である補修箇所であると特定可能である。
【0059】
使用者は、表示部5の表示面5aを押すことにより操作を行うことが可能である。例えば、
図7に示すように、路面の所定領域における標高差が表示部5に表示された状態において、使用者が、表示部5の表示面5aに表示された所定領域内にある所定位置を押すことにより所定位置を指定する操作を行うことが可能である。表示制御部16は、所定領域内にある所定位置を指定する操作が行われた場合、
図9に示すように、指定された所定位置における標高差を示す数値を表示部5に表示する。本実施形態では、表示部5の表示面5aが、所定位置を指定する指定手段である。
【0060】
図10は、上述と同様にして、道路の路面における異なる所定領域(調査範囲)の凹凸状態を調査し、道路の所定領域内において同一の平面位置ごとに、補修起工時の標高と補修計画面の標高との標高差を表示した図である。
図11は、
図10に示した調査領域内にある部分Aを拡大した図である。
【0061】
表示制御部16は、
図10及び
図11に示すように、道路の所定領域内において同一の平面位置ごとに、補修起工時の標高と補修計画面の標高との標高差を、互いに異なる複数の色により表示する。
【0062】
表示制御部16は、
図12に示すように、道路の所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示する。
図12は、
図11の表示に対して、標高差が同一である部分を示す線を追加するように表示した図である。
図12では、路面表面の掘れ量を示す色に対応するように標高差を示す線が表示されており、標高差を示す線として、複数種類の標高差である部分を示す線が図示されているが、表示部5において線で表示される標高差は、任意に設定可能である。
図13は、表示部5に表示された標高差を示す線の模式図であるが、例えば、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、所定領域内にある所定位置を指定する操作が行われた場合、表示制御部16は、指定された所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値を表示部5に表示する。
図13(a)では、所定領域内にある所定位置を指定する操作が行われた場合、線A
a1で囲まれた1つの領域の面積を示す数値が表示部5に表示され、
図13(b)では、所定領域内にある所定位置を指定する操作が行われた場合、線A
a2で囲まれた2つの領域の面積の合計を示す数値が表示部5に表示される。
図13(b)では、所定領域内にある所定位置を指定する操作が行われた場合、線A
a2で囲まれた2つの領域のなかで所定位置を含む1つの領域の面積を示す数値が表示部5に表示されてよい。
【0063】
本実施形態の標高差検知システム1の標高差検知方法について、
図14に基づいて説明する。
【0064】
ステップS1(点群データ取得ステップ)において、道路の補修起工時において、道路の周辺に設置された3Dスキャナ2で路面の所定領域のスキャニングが行われることにより点群データが取得される。その後、標高差検知装置10において、点群データ受付部11は、3Dスキャナ2から供給された点群データを受け付けて、3Dスキャナ2から標高差検知装置10に供給された点群データが点群データ記憶部11aに記憶される。
【0065】
ステップS2(基準面データ取得ステップ)において、縦横断計画が行われることにより、道路の所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データが取得される。その後、標高差検知装置10において、計画面データ受付部13は、供給された計画面データを受け付けて、その計画面データが計画面データ記憶部13aに記憶される。
【0066】
ステップS3(標高差算出ステップ)において、ステップS1で取得された点群データと、ステップS2で取得された計画面データとに基づいて、路面の所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差が算出される。
【0067】
ステップS4(画像表示ステップ)において、ステップS1で取得された点群データに基づいて、補修起工時における路面の所定領域の3D画像が表示部5に表示される。
【0068】
ステップS5(第1色決定ステップ)において、第1色決定部15により、ステップS3により算出された所定領域内の同一の平面位置ごとの標高差の大きさに応じた色が決定される。
【0069】
ステップS6(第1標高差色表示ステップ、標高差線表示ステップ)において、表示部5に表示された路面の所定領域の3D画像に対して、ステップS5で決定された色が追加されて、所定領域における標高差が複数の色により表示部5に表示されると共に、表示部5に表示された路面の所定領域の3D画像に対して、同一の標高差を示す線が表示部5に表示される。
【0070】
ステップS7(指定ステップ)において、所定領域における所定位置が指定された場合、ステップS8(数値表示ステップ)において、指定された所定位置における標高差を示す数値と、指定された所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値が表示部5に表示される。
【0071】
本実施形態の標高差検知方法は、既知点に設置された3Dスキャナ2から照射されるレーザ光により、補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを取得する点群データ取得ステップと、所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データを取得する計画面データ取得ステップと、点群データ取得ステップで取得された点群データと計画面取得ステップで取得された計画面データとに基づいて、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出ステップとを備える。
【0072】
本実施形態の標高差検知システム1は、既知点に設置された3Dスキャナ2から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを記憶する点群データ記憶部11aと、所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データを記憶する計画面データ記憶部13aと、点群データ記憶部11aに記憶された点群データと計画面データ記憶部13aに記憶された計画面データとに基づいて、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出部14とを備える。
【0073】
本実施形態に係る標高差検知プログラムは、コンピュータに読み込まれることにより、当該コンピュータを、既知点に設置された3Dスキャナ2から照射されるレーザ光により取得された補修起工時における路面の所定領域内の各点について3次元座標化された点群データを受け付ける点群データ受付部11、所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データを受け付ける計画面データ受付部13、点群データ受付部11で受け付けた点群データと計画面データ受付部13で受け付けた計画面データとに基づいて、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出する標高差算出部14として機能させることを特徴とする。
【0074】
これにより、本実施形態の標高差検知方法、標高差検知システム1及び標高差検知プログラムでは、路面の所定領域を補修する際に、補修起工時における路面の各点についての点群データと補修計画面を示す計画面データとに基づいて、所定領域内の各平面位置での標高差が算出されることから、路面表面において掘れが形成された補修箇所を正確に特定可能である。また、路面表面の掘れ量を正確に検知することが可能であり、補修起工時において路面表面の掘れ量に基づいて、路面の掘れを無くす補修に必要となる材料費を正確に予測することが可能となる。また、切削オーバーレイ工法により補修が行われる際に、切削ボリュームを正確に予測することが可能となる。
【0075】
本実施形態の標高差検知方法において、点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じた色を、所定領域内の同一の平面位置ごとに決定する第1色決定ステップと、画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、第1色決定ステップで決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する標高差色表示ステップとを備える。
【0076】
本実施形態の標高差検知システム1において、点群データ記憶部11aに記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部5に表示する表示制御部16と、標高差算出部14で算出された標高差の大きさに応じた色を、所定領域内の同一の平面位置ごとに決定する第1色決定部15とを備え、表示制御部16は、表示部5により表示された3次元画像に対し、第1色決定部15で決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する。
【0077】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システム1では、所定領域内の各平面位置での標高差をその大きさに応じた色により表示することにより、路面表面において掘れが形成された箇所及び路面表面の掘れ量を容易に把握可能である。
【0078】
本実施形態の標高差検知方法において、点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、標高差算出ステップで算出された標高差の大きさに応じて所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示する標高差線表示ステップとを備える。
【0079】
本実施形態の標高差検知システムにおいて、点群データ記憶部11aに記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御部16とを備え、表示制御部16は、表示部に表示された3次元画像に対し、標高差算出部14で算出された標高差の大きさに応じて所定領域内の標高差が同一である部分を示す線を表示する。
【0080】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の標高差が同一である領域を線により表示することにより、路面表面において掘れが形成された箇所及び路面表面の掘れ量を容易に把握可能である。
【0081】
本実施形態の標高差検知方法において、第1標高差表示ステップにより所定領域における標高差が表示部5に表示された状態で、所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、指定ステップにより所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す数値を表示部に表示する数値表示ステップとを備える。
【0082】
本実施形態の標高差検知方法において、第1標高差線表示ステップにより所定領域における標高差が表示部5に表示された状態で、所定領域内にある所定位置を指定する指定ステップと、指定ステップにより所定位置が指定された場合に、所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値を表示部5に表示する数値表示ステップとを備える。
【0083】
本実施形態の標高差検知システム1において、所定領域における標高差が表示部5に表示された状態で、所定領域内にある所定位置を指定する表示部5の表示面5aを備え、表示制御部16は、表示部5の表示面5aにより所定位置が指定された場合に、その所定位置における標高差を示す数値を表示部5に表示する。
【0084】
本実施形態の標高差検知システム1において、所定領域における標高差が表示部5に表示された状態で、所定領域内にある所定位置を指定する表示部5の表示面5aを備え、表示制御部16は、表示部5の表示面5aにより所定位置が指定された場合に、所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値を表示部5に表示する。
【0085】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システム1では、所定領域内の所定位置における標高差や所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を数値で検知可能である。
【0086】
(第2実施形態)
第2実施形態の標高差検知システム101が、第1実施形態の標高差検知システム1と異なる点は、第1実施形態では、標高差の大きさに応じた複数の色が追加された画像に基づいて点検員が路面の状態を判定するのに対して、第2実施形態では、標高差検知システム101が路面の状態を自動的に判定する点である。なお、第2実施形態の標高差検知システム101において、第1実施形態の標高差検知システム1と同様の構成については、その詳細説明を省略する。
【0087】
本実施形態に係る標高差検知システム101は、
図15に示すように、3Dスキャナ2(3次元走査装置)と、3Dスキャナ2が無線接続された標高差検知装置110とを有している。
【0088】
標高差検知装置110は、制御部110aを有しており、制御部110aは、点群データ記憶部11aを含む点群データ受付部11と、3D画像作成部12と、計画面データ記憶部13aを含む計画面データ受付部13と、標高差算出部14と、比較部115と、第2色決定部116と、表示制御部117と、第1比率算出部118と、第1判定部118aと、第2比率算出部119と、第2判定部119aと、第3比率算出部120と、第3判定部120aとを有している。
【0089】
点群データ受付部11、3D画像作成部12、計画面データ受付部13及び標高差算出部14については、第1実施形態と同様である。
【0090】
比較部115は、所定領域内の同一の平面位置ごとに、標高差の大きさと所定値とを比較する。本実施形態において、比較部115は、所定領域を0.25メートル×0.25メートルの矩形状の領域(以下、検知領域と称する場合がある)に区分して、その検知領域ごとに、標高差の大きさと所定値とを比較する。すなわち、所定領域を複数の検知領域に区分して、その検知領域を1つの平面位置と仮定して、その検知領域ごとに、標高差の大きさと所定値とを比較する。本実施形態において、検知領域ごとの標高差は、例えば5ミリメートルの間隔おきの位置における点群データごとの標高差を使用して、その検知領域の内部にある複数の点群データの標高差の平均値とする。
【0091】
具体的には、比較部115は、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差の大きさと所定値0とを比較する。本実施形態では、比較部115において、標高差の大きさと比較する所定値を0として説明する。すなわち、標高差の大きさは、補修起工時の標高から補修計画面の標高を差し引いた値であり、補修起工時の標高が補修計画面の標高と同一である場合に標高差の大きさが所定値0となり、補修起工時の標高が補修計画面の標高より高い場合に標高差の大きさが正の値となり、補修起工時の標高が補修計画面の標高より低い場合に標高差の大きさが負の値となる。
【0092】
そのため、比較部115は、補修起工時の標高と補修計画面の標高との差が0より大きいか(補修起工時の標高が補修計画面の標高より高い凸部の領域か)、または、補修起工時の標高と補修計画面の標高との差が0以下か(補修起工時の標高が補修計画面の標高以下の凹部の領域か)を判定する。
【0093】
第2色決定部116は、標高差の大きさが0より大きい検知領域及び標高差の大きさが0以下の検知領域の何れかに応じた色を、検知領域ごとに決定する。具体的には、第2色決定部116は、標高差の大きさが0より大きい場合、その検知領域の色を寒色に決定し、標高差の大きさが0以下の場合、その検知領域の色を暖色に決定する。
【0094】
より詳細には、第2色決定部116は、標高差の大きさが0より大きい検知領域について、標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい場合、濃寒色に決定し、標高差の大きさが0より大きく且つa1以下の場合、薄寒色に決定する。すなわち、第2色決定部116は、標高差が大きいほど、濃い寒色に決定する。本実施形態において、a1は、例えば50ミリメートルである。
【0095】
また、色決定部116は、標高差の大きさが0以下の検知領域について、標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)より小さい場合、濃暖色に決定し、標高差の大きさが0より小さく且つa2より大きい場合、薄暖色に決定する。すなわち、色決定部116は、標高差が大きいほど、濃い暖色に決定する。本実施形態において、a2は、例えば50ミリメートルである。
【0096】
表示制御部117は、表示部5に表示される内容を制御する。表示制御部117は、例えば3D画像作成部12により作成された3D画像を表示部5に表示する。また、表示制御部117は、道路の所定領域の3D画像に対して、色決定部116で決定された色を追加して、路面の所定領域内の各検知領域における標高差を表示部5に表示する。したがって、表示制御部117は、道路の所定領域内において同一の検知領域ごとに、補修起工時の標高と補修計画面の標高との差の大きさを、互いに異なる色により表示する。
【0097】
図16~
図18は、路面を例えば10メートル長さを有する所定領域に区分して、その所定領域に対して第2色決定部116で決定された色を追加した画像の例である。
図16は、所定領域aの状態を示し、
図17は、所定領域bの状態を示し、
図18は、所定領域cの状態を示す。
図16(a)~
図18(a)は、第2色決定部116で決定された色を追加したカラー画像であり、
図16(b)~
図18(b)は、
図16(a)~
図18(a)について色の配置を示す概略図である。
【0098】
上述したように、各所定領域において、補修起工時の標高が補修計画面の標高より低い検知領域は、凹部の領域として暖色(濃暖色または薄暖色)で表示され、補修起工時の標高が補修計画面の標高より高い検知領域は、凸部の領域として寒色(濃寒色または薄寒色)で表示される。
【0099】
所定領域aは、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、左側領域の大部分は、濃暖色で表示され、右側領域の大部分は、薄寒色で表示され、薄寒色の領域の内部に濃寒色の領域が表示される。そのため、所定領域aの左側領域の大部分は、補修計画面に対して凹部であり、右側領域の大部分は、補修計画面に対して凸部であることが分かる。
【0100】
所定領域bは、
図17(a)及び
図17(b)に示すように、その大部分は、薄暖色で表示され、薄暖色の領域の内部に濃暖色の領域が表示され、左右両端部の一部の領域は、薄寒色で表示される。そのため、所定領域bの大部分は、補修計画面に対して凹部であり、左右両端部の一部の領域は、補修計画面に対して凸部であることが分かる。
【0101】
所定領域cは、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、その大部分は、薄寒色で表示され、車両の車輪が接触する部分は、薄暖色で表示される。そのため、所定領域cの大部分は、補修計画面に対して凸部であり、車両の車輪が接触する部分は、補修計画面に対して凹部であることが分かる。
【0102】
図16~
図18から分かるように、所定領域の色相に基づいて、所定領域a、所定領域b、所定領域cの凹凸状態はそれぞれ異なっていることが分かる。
【0103】
第1比率算出部118は、比較部115での比較結果に基づいて、標高差の大きさが0より大きい検知領域の比率及び標高差の大きさが0以下の検知領域の比率を算出する。すなわち、第1比率算出部118は、補修計画面に対して凹部の領域(暖色の領域)と、補修計画面に対して凸部の領域(寒色の領域)との比率を算出する。本実施形態では、検知領域ごとに色が追加されているため、所定領域の全体を複数の検知領域に区分したときに、第1比率算出部118は、所定領域の全体における検知領域の数に対する暖色の検知領域の数(面積)の比率と、所定領域の全体における検知領域の数に対する寒色の検知領域の数(面積)の比率とを算出する。
【0104】
第2比率算出部119は、比較部115での比較結果に基づいて、標高差の大きさが0より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域と、標高差の大きさが0以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域との合計の比率を算出する。すなわち、第2比率算出部119は、所定領域全体に対して、補修計画面に対して標高差が大きい凹部の領域(濃暖色の領域)と、補修計画面に対して標高差が大きい凸部の領域(濃寒色の領域)との合計の比率とを算出する。本実施形態では、第1所定領域にある検知領域の比率として、標高差の大きさが0より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域の比率が使用され、第2所定領域にある検知領域の比率として、標高差の大きさが0以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域の比率が使用される。
【0105】
標高差が大きい凹部の領域と標高差が大きい凸部の領域との合計の比率の算出方法について、
図19に基づいて説明する。
図19は、所定領域の一部の模式図の例であり、60個の検知領域が図示されている。
【0106】
標高差が大きい凹部の領域と標高差が大きい凸部の領域との合計の比率として、所定領域にある全ての検知領域に対する標高差が大きい凹部の領域と標高差が大きい凸部の領域との合計の比率を算出する。すなわち、
図19の模式図では、全ての検知領域の数は、60個であり、標高差が大きい凹部の領域(濃暖色の領域)である検知領域は、10個であり、標高差が大きい凸部の領域(濃寒色の領域)である検知領域は、10個である。よって、標高差が大きい凹部の領域と標高差が大きい凸部の領域との合計の比率は、(10+10)/60=0.33と算出される。
【0107】
第3比率算出部120は、比較部115での比較結果に基づいて、所定領域における標高差の大きさが0より大きい検知領域と標高差の大きさが0以下の検知領域との境界部分(色相境界)の比率を算出する。すなわち、第3比率算出部120は、所定領域全体に対して、補修計画面に対して凹部の領域(暖色の領域)と補修計画面に対して凸部の領域(寒色の領域)との色相境界の比率を算出する。
【0108】
色相境界の比率の算出方法について、
図20に基づいて説明する。
図20(a)は、所定領域bについて境界領域を表示した図であり、
図20(b)は、所定領域の一部の模式図の例であり、25個の検知領域が図示されている。説明上、5行5列の検知領域において、例えば、1行1列にある検知領域をa
11、1行2列にある検知領域をa
12として説明する。
【0109】
図20(b)は、検知領域ごとの色をRGBで分解し、R成分及びB成分の割合に基づいて、暖色・寒色のいずれかを判定し、単純化したグリッドにしたものである。すなわち、
図20(b)において、斜線ありの検知領域は、暖色の領域を示し、斜線なしの検知領域は、寒色の領域を示す。
【0110】
図20(b)において、左上から順に全ての検知領域について、左または上に異なる色の検知領域が隣にある場合、その検知領域は、境界領域と判定する。
【0111】
具体的には、検知領域a
11について、左または上に検知領域がないため、異なる色の検知領域は隣にないと判定する。
検知領域a
12について、左に同一の色の検知領域があり、上に検知領域がないため、異なる色の検知領域は隣にないと判定する。
検知領域a
14について、左に異なる色の検知領域があるため、異なる色の検知領域は隣にあると判定し、検知領域a
14を境界領域と判定する。
以下、全ての検知領域について同様にして、境界領域であるか否かを判定すると、
図20(c)に示すように、5個の検知領域が境界領域と判定される。
【0112】
色相境界の比率として、所定領域にある全ての検知領域に対する境界領域の比率を算出する。すなわち、
図20(c)では、全ての検知領域の数は、25個であり、境界領域の数は、5個であるため、色相境界の比率は、5/25=0.2と算出される。よって、同様にして、所定領域全体について色相境界の比率を算出すると、所定領域全体において、色相境界の比率が大きいほど、所定領域に凹部の領域と凸部の領域とが混在している。
【0113】
【0114】
表1は、所定領域a、所定領域b及び所定領域cについて、その所定領域全体に対して、濃暖色、薄暖色、薄寒色、濃寒色の領域の比率、暖色全体(凹部の領域)の比率、寒色全体(凸部の領域)の比率、濃色領域の比率、色相境界の比率を示している。
【0115】
(色彩偏向判定)
第1判定部118aは、第1比率算出部118で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。すなわち、第1判定部118aは、表1に示した暖色全体の比率と寒色全体の比率とに基づいて、表2に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0116】
【0117】
表1に示すように、色彩偏向判定として、所定領域aは不良と判定され、所定領域bは良好と判定され、所定領域cは不良と判定される。
【0118】
(濃色判定)
第2判定部119aは、第2比率算出部119で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。すなわち、第2判定部119aは、表1に示した濃色領域の比率に基づいて、表3に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0119】
【0120】
表1に示すように、濃色判定として、所定領域aは良好と判定され、所定領域bは良好と判定され、所定領域cは良好と判定される。
【0121】
(境界領域判定)
第3判定部120aは、第3比率算出部120で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。すなわち、第3判定部120aは、表1に示した色相境界の比率に基づいて、表4に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0122】
【0123】
表1に示すように、境界領域判定として、所定領域aは不良と判定され、所定領域bは、可と判定され、所定領域cは、不良と判定される。
【0124】
よって、色彩偏向判定、濃色判定及び境界領域判定に基づいて、所定領域bは、凹凸の比較的少ない領域であるのに対して、所定領域a及び所定領域cは、凹凸の多い領域であることが分かる。
【0125】
本実施形態の標高差検知システム101の標高差検知方法について、
図21に基づいて説明する。
【0126】
ステップS1(点群データ取得ステップ)、ステップS2(基準面データ取得ステップ)、ステップS3(標高差算出ステップ)及びステップS4(画像表示ステップ)については、第1実施形態と同様であるため、詳細説明は省略する。
【0127】
ステップS105(比較ステップ)において、所定領域内の同一の平面位置ごとに、標高差の大きさと所定値とを比較する。本実施形態では、所定値が0であるため、補修計画面に対して凹部または凸部の何れであるかを判定する。
【0128】
ステップS106(第2色決定ステップ)において、第2色決定部116により、ステップS3により算出された所定領域内の同一の平面位置ごとの標高差の大きさに応じた色が決定される。本実施形態では、凹部の領域について暖色(濃暖色または薄暖色)が決定され、凸部の領域について寒色(濃寒色または薄寒色)が決定される。
【0129】
ステップS107(第2標高差色表示ステップ)において、表示部5に表示された路面の所定領域の3D画像に対して、ステップS106で決定された色が追加されて、所定領域における標高差が表示部5に表示される。すなわち、所定領域について凹部の領域と凸部の領域とが表示される。
【0130】
ステップS108(第1比率算出ステップ)において、所定領域における標高差の大きさが0より大きい検知領域の比率及び所定領域における標高差の大きさが0以下の検知領域の比率を算出する。具体的には、補修計画面に対して凹部の領域(暖色の領域)と、補修計画面に対して凸部の領域(寒色の領域)との比率を算出する。
【0131】
ステップS109(第2比率算出ステップ)において、所定領域における濃色領域の合計の比率を算出する。具体的には、濃暖色の領域と濃寒色の領域との合計の比率を算出する。
【0132】
ステップS110(第3比率算出ステップ)において、所定領域における標高差の大きさが0より大きい検知領域と標高差の大きさが0以下の検知領域との境界部分(色相境界)の比率を算出する。具体的には、補修計画面に対して凹部の領域(暖色の領域)と補修計画面に対して凸部の領域(寒色の領域)との色相境界の比率を算出する。
【0133】
ステップS111(第1判定ステップ)において、ステップS108で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。具体的には、凹部全体の比率と凸部全体の比率とに基づいて、表2に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0134】
ステップS112(第2判定ステップ)において、ステップS109で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。具体的には、濃色領域の合計の比率に基づいて、表3に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0135】
ステップS113(第3判定ステップ)において、ステップS110で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する。具体的には、色相境界の比率に基づいて、表4に示すように、所定領域の状態を判定する。
【0136】
本実施形態の標高差検知方法において、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づいて、所定領域における標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域の比率及び所定領域における標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域の比率を算出する第1比率算出ステップと、第1比率算出ステップで算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第1判定ステップとを備える。
【0137】
本実施形態の標高差検知システム101において、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出部14で算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較部115と、比較部115での比較結果に基づいて、所定領域における標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域の比率及び所定領域における標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域の比率を算出する第1比率算出部118と、第1比率算出部118で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第1判定部118aとを備えることを特徴とする。
【0138】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システム101では、所定領域内の同一の検知領域ごとに標高差の大きさと0(所定値)とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域の比率、または、標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【0139】
本実施形態の標高差検知方法において、点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域及び標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域の何れかに応じた色を、検知領域ごとに決定する第2色決定ステップと、画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、第2色決定ステップで決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する第2標高差色表示ステップとを備える。
【0140】
本実施形態の標高差検知システム101において、点群データ記憶部11aに記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部5に表示する表示制御部117と、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域及び標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域の何れかに応じた色を、検知領域ごとに決定する色決定部116とを備え、表示制御部117は、表示部5に表示された3次元画像に対し、表示部5により表示された3次元画像に対し、色決定部116で決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する。
【0141】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システム101では、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域と、標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域とが異なる色で表示されるため、所定領域の状態を容易に検知することができる。
【0142】
本実施形態の標高差検知方法において、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づいて、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域について標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域(第1所定範囲にある検知領域)と、標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域(第2所定範囲にある検知領域)との合計の比率を算出する第2比率算出ステップと、第2比率算出ステップで算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第2判定ステップとを備える。
【0143】
本実施形態の標高差検知システムにおいて、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出部14で算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較部115と、比較部115での比較結果に基づいて、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域と、標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域との合計の比率を算出する第2比率算出部119と、第2比率算出部119で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第2判定部119aとを備える。
【0144】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システムでは、所定領域内の同一の検知領域ごとに標高差の大きさと0(所定値)とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが非常に大きい検知領域の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【0145】
本実施形態の標高差検知方法において、点群データ取得ステップで取得された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する画像表示ステップと、標高差の大きさが0より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域(第1所定範囲にある検知領域)、または、標高差の大きさが0以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域(第2所定範囲にある検知領域)の何れかに応じた色を、検知領域ごとに決定する第3色決定ステップと、画像表示ステップにより表示された3次元画像に対し、第3色決定ステップで決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する第3標高差色表示ステップとを備える。
【0146】
本実施形態の標高差検知方法において、点群データ記憶手段に記憶された点群データに基づいた3次元画像を表示部に表示する表示制御部117と、標高差の大きさが0より大きい検知領域であり且つ標高差の大きさがa1(但し、a1は0より大きい数)より大きい検知領域(第1所定範囲にある検知領域)、または、標高差の大きさが0以下の検知領域であり且つ標高差の大きさがa2(但し、a2は0より小さい数)以下の検知領域(第2所定範囲にある検知領域)の何れかに応じた色を、検知領域ごとに決定する色決定部116と、表示制御部117は、画像表示手段により表示された3次元画像に対し、色決定部116で決定された色を追加して所定領域における標高差を表示する。
【0147】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システムでは、標高差の大きさが非常に大きい検知領域が、それに応じた色で表示されるため、所定領域の状態を容易に検知することができる。
【0148】
本実施形態の標高差検知方法において、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出ステップで算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づいて、所定領域における標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域と標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域との境界部分の比率を算出する第3比率算出ステップと、第3比率算出ステップで算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第3判定ステップとを備える。
【0149】
本実施形態の標高差検知システム101において、所定領域内の同一の検知領域ごとに、標高差算出部14で算出された標高差の大きさと0(所定値)とを比較する比較部115と、比較部115での比較結果に基づいて、所定領域における標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域と標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域との境界部分の比率を算出する第3比率算出部120と、第3比率算出部120で算出された比率に基づいて、所定領域の状態を判定する第3判定部120aとを備える。
【0150】
これにより、本実施形態の標高差検知方法及び標高差検知システム101では、所定領域内の同一の検知領域ごとに標高差の大きさと0(所定値)とを比較した比較結果に基づいて、標高差の大きさが0(所定値)より大きい検知領域と、標高差の大きさが0(所定値)以下の検知領域との境界部分の比率を算出し、その比率に基づいて所定領域の状態を判定する。そのため、所定領域の状態が自動的に判定されるため、所定領域の状態を点検員が判定する必要がなくなる。
【0151】
以上、本発明の実施形態を説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0152】
上記第1実施形態では、所定位置が指定された場合に、その所定位置の標高差を示す数値、及び、所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値が表示されているが、本発明は、所定位置の標高差を示す数値、及び、所定位置近傍において同一の標高差である部分を示す線で囲まれた領域の面積を示す数値の少なくとも一方が表示されるものを含む。
【0153】
上記第1実施形態では、路面の所定領域内の各平面位置について、
図22(a)に示すように、道路の補修起工時と補修計画面との標高差を複数の色により表示部5に表示する場合を説明したが、
図22(b)に示すように、道路の補修後と補修計画面との標高差を複数の色により表示部5に表示することも可能である。その場合、道路の補修後において、3Dスキャナ2により道路の路面の所定領域における各点についての点群データが取得されて、その点群データが点群データ記憶部11に記憶され、道路の補修後と補修計画面との標高差が算出される。補修起工時は、
図22(a)に示すように、補修計画面との標高差が大きい箇所があるのに対し、補修後は、
図22(b)に示すように、補修計画面との標高差が大きい箇所がほとんどないことから、道路の補修が補修計画に基づいて行われたことを示している。
【0154】
上記第1実施形態では、使用者が表示部5の表示面5aを押すことにより所定位置が指定されるが、所定位置を指定する方法は、これに限られない。したがって、標高差検知装置10が操作部を有しており、使用者が操作部を操作することにより、所定領域内にある所定位置が指定されてよい。
【0155】
上記第2実施形態では、所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差の大きさと所定値である0とを比較し、補修起工時の標高が補修計画面の標高より低い領域を凹部とし、補修起工時の標高が補修計画面の標高より高い領域を凸部としたが、それに限られない。例えば、標高差の大きさを比較する所定値は、0以外の値でもよい。
【0156】
上記第2実施形態では、補修起工時の標高が補修計画面の標高より低い領域を、暖色(濃暖色または薄暖色)で表示し、補修起工時の標高が補修計画面の標高より高い領域を、寒色(濃寒色または薄寒色)で表示したが、それに限られない。例えば、各領域を表示する色は、任意である。
【0157】
上記第2実施形態では、第1比率算出部118、第2比率算出部119及び第3比率算出部120について、それぞれの比率の算出方法の例を説明したが、それらの比率の算出方法は、それに限られない。上記第2実施形態では、第1判定部118a、第2判定部119a及び第3判定部120aについて、それぞれの判定方法の例を説明したが、それらの判定方法は、それに限られない。
【0158】
上記第2実施形態では、所定領域の状態を色彩偏向判定、濃色判定及び色相境界判定により判定したが、所定領域の状態を色彩偏向判定、濃色判定及び色相境界判定の少なくとも1つにより判定してよい。
【0159】
上記第1及び第2実施形態では、標高差算出部14において、補修起工時における道路の路面の所定領域内の各点についての点群データと、路面の所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データである基準面データとに基づいて、路面の所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出しているが、基準面データとして、路面の所定領域を補修する際の補修計画面を示す計画面データの代わりに、路面の所定領域が新設されたときの路面データ、または、路面の所定領域が補修されたときの路面データを使用してよい。
【0160】
すなわち、本発明の標高差検知方法、標高差検知システム及び標高差検知プログラムでは、補修起工時における道路の路面の所定領域内の各点についての点群データと、所定領域が新設されたときの路面データまたは所定領域が補修されたときの路面データである基準面データとに基づいて、路面の所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出してよい。所定領域が新設または補修されたときの路面データとは、そのときの路面の表面状態を示すデータであり、所定領域が新設または補修されたときの所定領域内の各平面位置の標高を示すデータである。例えば3次元走査装置(3Dスキャナ)により、路面の所定領域が新設された後または補修された後において、路面の所定領域内の各点についての点群データを取得している場合、その点群データに基づいた路面データを基準面データとして路面の所定領域内の同一の平面位置ごとに標高差を算出してよい。その場合、所定領域が新設された後または補修された後の路面の表面状態は、掘れなどの損傷がほとんどない状態であるが、補修起工時の標高を、所定領域が新設された後または補修された後の路面データと比較することにより、所定領域が新設された後または補修された後において、掘れなどの損傷により形成された路面の凹凸を検知可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 標高差表示システム(標高差表示システム)
2 3Dスキャナ(3次元走査装置)
5 表示部
5a 表示面(操作検出手段)
10 標高差検知装置
11 点群データ受付部(点群データ受付手段)
11a 点群データ記憶部(点群データ記憶手段)
12 3D画像作成部
13 計画面データ受付部(基準面データ受付手段)
13a 計画面データ記憶部(基準面データ記憶手段)
14 標高差算出部(標高差算出手段)
15 第1色決定部(第1色決定手段)
16 表示制御部(表示制御手段)
101 標高差表示システム(標高差表示システム)
110 標高差検知装置
115 比較部(比較手段)
116 色決定部(第2色決定手段、第3色決定手段)
117 表示制御部(表示制御手段)
118 第1比率算出部(第1比率算出手段)
118a 第1判定部(第1判定手段)
119 第2比率算出部(第2比率算出手段)
119a 第2判定部(第2判定手段)
120 第3比率算出部(第3比率算出手段)
120a 第3判定部(第3判定手段)