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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20231027BHJP
   B65G 47/28 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
B65G47/14 101C
B65G47/28 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019219422
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021088441
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】前田 峰尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲行
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝信
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-023110(JP,A)
【文献】実開昭53-055169(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B65G 27/00 - 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によりワークを搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の終端部が、該終端部からワークを受け取って搬送する他の第2の搬送路の搬送面に対して上下方向に隙間を有して位置しているパーツフィーダであって、
前記第1の搬送路は、前記ワークの下方で当接支持し、前記ワークの搬送方向に沿って延びる第1部分と第2部分とを、備え、
少なくとも前記終端部における前記第1部分と前記第2部分との間に、前記ワークの搬送方向に沿って延び、下方に開口する空間部を備え、
前記ワークの角部が前記空間部から下方に突出した状態で、かつ、前記第2部分の底面と前記第2の搬送路の搬送面との距離よりも前記空間部から下方に突出した前記ワークの角部と前記第2の搬送路の搬送面との距離の方が短くなっている状態で搬送されることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれに、前記ワークに当接する平面状のワーク当接面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分とが、互いに接近及び離反可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動によりワークを搬送するパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
上記パーツフィーダは、例えば、電子部品(ワーク)の外観を検査する外観検査装置と呼ばれる電子部品の検査装置等で使用されている。この外観検査装置では、パーツフィーダで整列されたワークがガラス製のターンテーブル(次工程設備である他の搬送装置)上に移載され、その移載されたワークをカメラで検査することが一般的である。この検査のためには、ワークが所定の一様な姿勢でかつ一様のピッチでテーブル上に並んでいることが望ましい。しかし、鉛直成分を含む所定の方向の振動を利用してワークを搬送するパーツフィーダから、他の搬送装置へワークを移載するためには、両者が振動により干渉または衝突することがないように、パーツフィーダと他の搬送装置との間に、振動振幅を考慮した隙間を設ける必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、パーツフィーダの終端部を、他の搬送装置の始端部の上に隙間を空けた状態で重ね合わせ(オーバーハングさせ)て、ワークの受け渡し部分を構成している。
【0004】
図7に、パーツフィーダを構成するリニアフィーダ10の搬送終端部101から排出されるワーク3を、次工程設備である他の搬送装置を構成するターンテーブル2に次々と受け渡している状態を示している。この場合、リニアフィーダ10の搬送終端部101の下面101Aとターンテーブル2の搬送面(上面)21Aとの間に隙間Sを空けている。しかも、リニアフィーダ10の搬送終端部101の底部が、上下方向に厚みDを有していることから、前記隙間Sに底部の厚みDを加えた大きな隙間(段差)が受け渡し部分に発生することになる。この大きな隙間があると、ワーク3がリニアフィーダ10の搬送終端部101からターンテーブル2の始端部21に落下した時に、ワーク3の姿勢が乱れてしまい、例えば外観検査装置では、検査に支障をきたすことがあり、早期改善が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-171826号公報(図1図4図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、パーツフィーダから他の搬送装置の搬送面へワークを受け渡すときのワークの姿勢乱れを低減することができるパーツフィーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、振動によりワークを搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の終端部が、該終端部からワークを受け取って搬送する他の第2の搬送路の搬送面に対して上下方向に隙間を有して位置しているパーツフィーダであって、前記第1の搬送路は、前記ワークの下方で当接支持し、前記ワークの搬送方向に沿って延びる第1部分と第2部分とを、備え、少なくとも前記終端部における前記第1部分と前記第2部分との間に、前記ワークの搬送方向に沿って延び、下方に開口する空間部を備えていることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0008】
ワークを第1部分と第2部分とで当接しながら搬送する際に、第1部分と第2部分との間に備えた空間部から下方へワークの一部を突出させることによって、他の第2の搬送路の搬送面に搬送されるワークを近付けることができる。よって、搬送路の終端部から他の第2の搬送路の搬送面へのワークの受け渡しが、ワークの姿勢乱れを抑制しつつスムーズに行える。
【0009】
また、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれに、前記ワークに当接する平面状のワーク当接面を備えていてもよい。
【0010】
上記のように、平面状の2つのワーク当接面にワークを当接させながらスムーズに誘導することができる。
【0011】
また、前記第1部分と前記第2部分とが、互いに接近及び離反可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記のように、第1部分と前記第2部分とを接近及び離反させて両者の間隔を調整することで、断面形状が多角形や円形等の種々の形状のワークに対応することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも搬送路の終端部における第1部分と第2部分との間に、下方に開口する空間部を備えることによって、パーツフィーダから他の搬送装置の搬送面へワークを受け渡すときのワークの姿勢乱れを低減することができるパーツフィーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のパーツフィーダを構成するリニアフィーダの終端部を示す斜視図である。
図2】同リニアフィーダの終端部を終端側から見た図である。
図3】同リニアフィーダの終端部からワークを次工程設備に受け渡している状態を示す側面図である。
図4】同リニアフィーダの終端部からワークを次工程設備に受け渡している状態を示し、ワークの先端が次工程設備の搬送面に当接してから徐々に搬送面に移載される状態を示している。
図5】他の形状のリニアフィーダを示す図である。
図6】他の形状のリニアフィーダを示す図である。
図7】従来のリニアフィーダの終端部からワークを次工程設備に受け渡している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本実施形態に係るパーツフィーダを構成するリニアフィーダ1の終端部11を示している。このパーツフィーダは、汎用のものであり、ワークを整列させながら螺旋状に搬送する搬送路を備えるボウルフィーダ(図示せず)と、ボウルフィーダからのワークを直線状に搬送する搬送路を備えるリニアフィーダ1と、ワークを搬送すべく、ボウルフィーダを振動させるためのボウル側振動発生部(図示せず)と、リニアフィーダ1を振動させるためのリニア側振動発生部(図示せず)と、を備えている。そして、図3に示すように、リニアフィーダ1の終端部11から次工程設備である他の搬送装置(ここでは、ターンテーブル)2の始端部21へワーク3が受け渡される。ボウル側振動発生部は、ボウル本体(図示せず)を振動させる振動源(図示せず)と、ボウル本体を支持する板バネ(図示せず)と、を備えている。リニア側振動発生部は、シュート(図示せず)を支持する板バネ(図示せず)と、シュートを振動させる振動源(図示せず)と、を備えている。これら振動源としては、電磁石を用いてもよいし、超音波振動を発生させる圧電素子であってもよい。
【0016】
ワーク3は、ダイオード、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、センサ等の電子部品であり、この実施形態では、図2に示すように、4つの平面31,32,33,34を有する四角形状のワーク3を例に挙げて説明する。
【0017】
パーツフィーダは、例えば、ワークの外観を検査する外観検査装置と呼ばれる電子部品の検査装置等で使用されている。この外観検査装置は、図1図3に示すように、パーツフィーダで整列されたワーク3がガラス製のターンテーブル2上に移載され、その移載されたワーク3をカメラ(図示せず)で検査する。
【0018】
図1及び図2に示すように、リニアフィーダ1の終端部11は、搬送されるワークに当接する第1部分111と第2部分112とを、備えている。第1部分111と第2部分112とは、搬送方向と直交する搬送幅方向において対向配置され、第1部分111と第2部分112との間に、下方に開口する空間部(隙間)Kを備えている。一方の第1部分111は、図2において略台形状に構成され、他方の第2部分112は、第1部分111とは異なる略台形状に構成されている。また、第1部分111及び第2部分112に、平面状のワーク当接面111A,112Aを備えている。また、第1部分111及び第2部分112は、リニアフィーダ1の搬送方向終端部のみに設けてもよいし、搬送方向略全長に亘って設けてもよい。また、図1及び図3に示すように、リニアフィーダ1の終端部11を、他の搬送装置であるターンテーブル2の始端部21の上に隙間を空けた状態で重ね合わせ(オーバーハングさせ)た状態で配置している。
【0019】
空間部(隙間)Kは、第1部分111と第2部分112とで搬送されるワーク3が下方へ落下することがない大きさに設定され、また、第1部分111のワーク当接面111Aと第2部分112のワーク当接面112Aとの離間距離は、2つのワーク当接面111A,112Aに沿って安定的に載置され得るような距離に設定されている。また、2つのワーク当接面111A,112Aと2つの部分111,112の底面111B,112Bとの関係は、一方のワーク当接面111Aを下方に延長した時の仮想線と他方のワーク当接面112Aを下方に延長した時の仮想線とが交差する交点が、2つの部分111,112の底面111B,112Bよりも下部に位置するような関係である。
【0020】
第1部分111の第1ワーク当接面111Aは、上端ほど第2部分112から離間する傾斜面に構成されている。また、第2部分112の第2ワーク当接面112Aは、上端ほど第1部分111から離間する傾斜面に構成されている。第1部分111の底面(水平面)111Bに対する第1ワーク当接面111Aの傾斜角度が、第2部分112の底面(水平面)112Bに対する第2ワーク当接面112Aの傾斜角度よりも大きく設定されている。そして、第1ワーク当接面111Aと第2ワーク当接面112Aとが互いに直交する関係になっている。したがって、四角形状のワーク3の周方向で隣り合う2つの面31,34が、第1ワーク当接面111Aと第2ワーク当接面112Aとにそれぞれ当接することで、ワーク3をスムーズに誘導することができる。
【0021】
上記のように、ワーク3を第1部分111の第1ワーク当接面111Aと第2部分112の第2ワーク当接面112Aとで当接しながら搬送する際に、第1部分111と第2部分112との間に備えた空間部Kから下方へワーク3の一部を突出させることによって、他の搬送装置であるターンテーブル2の搬送路の搬送面21Aに上下方向でワーク3を近付けることができる。よって、リニアフィーダ1の終端部11からターンテーブル2の搬送面21Aへのワーク3の受け渡しが、ワーク3の姿勢乱れを抑制しつつスムーズに行える。
【0022】
図2にワーク3の一部である角部3Dが第1部分111と第2部分112との間の空間部Kから下方に突出した状態を示している。このような姿勢でワーク3を搬送することによって、第1部分111の底面111B及び第2部分112の底面112Bよりも下方にワーク3の角部3Dを位置させることができる。つまり、第2部分112の底面112Bとターンテーブル2の搬送路の搬送面21Aとの距離L1よりもワーク3の角部3Dからターンテーブル2の搬送路の搬送面21Aとの距離L2の方が短くなっている。よって、図3及び図4に示すように、ワーク3の姿勢乱れを抑制しつつ他の搬送装置であるターンテーブル2の搬送面21Aへスムーズに受け渡すことができる。図4では、搬送方向前端部に位置している実線で示すワーク3の前端の下部3Lがターンテーブル2の搬送路の搬送面21Aに当接している状態を示している。このとき、ワーク3の後端部が第2部分112の第2ワーク当接面112Aに当接している状態である。続いて、ワーク3が搬送され、破線で示すワーク3Aの位置まで搬送される。このとき、ワーク3Aの下面3Nがターンテーブル2の搬送路の搬送面21Aに非常に接近した状態となり、この状態から更に破線で前側に示すワーク3Bの位置までワーク3がスムーズに搬送される。
【0023】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0024】
例えば、第1部分111と第2部分112とが、接近及び離反可能に構成されていてもよい。具体的には、例えば第1部分111をリニアフィーダ1の固定部(図示せず)に搬送方向と直交する搬送幅方向に移動自在に取り付け、第1部分111を搬送幅方向の任意の位置で固定するためのねじ止め機構を備えることになる。また、第2部分112も、第1部分111と同様に構成して、両者を接近及び離反可能に構成してもよい。また、アクチュエータ等の動力を用いて第1部分111及び第2部分112の少なくとも一方を、搬送幅方向に移動可能に構成してもよい。このように第1部分111と第2部分112とを手動又は動力を用いて接近及び離反させて両者の間隔を調整することで、断面形状が多角形や円形等の種々の形状のワークに対応することができる。また、リニアフィーダ1の終端部11に特開2006-242952号公報に示す無振動シュート(他のワークの移動力を利用してワークを移送するシュート)を用いて実施してもよい。
【0025】
前記実施形態では、第1部分111及び第2部分112の両方に平面状のワーク当接面111A,112Aを備えたが、図5に示すように、一方の第1部分111を曲面111Cを有する円柱状部材から構成してもよい。この曲面111Cは、曲線が連続して形成された球面としているが、途中で途切れる円弧状の面であってもよい。また、図6に示すように、第1部分111に第2部分112側に突出する突部111Tを形成し、その突部111Tの先端111tにワーク3の平面31を線接触させる構成であってもよい。この図5及び図6の場合には、図2で示した第1ワーク当接面111Aと第2ワーク当接面112Aとが互いに直交する関係にする必要がなく、設計や製作あるいは調整が容易になる可能性がある。
【0026】
また、前記実施形態で示したターンテーブル2等の次工程設備へのワーク乗継部で使用される種々の搬送部に対して本発明は適用可能である。
【0027】
また、前記実施形態では、リニアフィーダ1の終端部11を、他の搬送装置であるターンテーブル2の始端部21の上に隙間を空けた状態で重ね合わせ(オーバーハングさせ)た状態で配置したが、リニアフィーダ1の終端部11を、他の搬送装置であるターンテーブル2の始端部21の上に隙間を空けた状態で他の搬送装置であるターンテーブル2の始端部21の上に重ね合わせ(オーバーハングさせ)ない状態、つまり、リニアフィーダ1の終端部11の端面とターンテーブル2の始端部21の端面とが上下方向において略面一状になるようにリニアフィーダ1の終端部11を配置してもよい。
【0028】
また、他の搬送装置は、リニアフィーダ1の振動とは別の振動により駆動される搬送装置であってもよく、さらには、振動しない無振動装置であってもよい。この無振動装置を採用する場合は、例えば、所定方向へ搬送路を傾斜させて、搬送されるワークを搬送路に詰めた状態で、搬送方向下流側のワークで搬送方向上流側のワークを押して搬送するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1,10…リニアフィーダ、2…ターンテーブル、3,3A,3B…ワーク、3D…角部、3L…下部、3N…下面、11…終端部、21…始端部、21A…搬送面、31,32,33,34…平面、101…搬送終端部、111…第1部分、112…第2部分、111A…第1ワーク当接面、112A…第2ワーク当接面、111B,112B…底面、111C…曲面、111T…突部、111t…先端、D…厚み、K…空間部(隙間)、L1,L2…距離、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7