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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】監視支援装置および監視支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20231027BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231027BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231027BHJP
   G01S 13/42 20060101ALI20231027BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20231027BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G06Q50/22
A61B5/11 110
A61B5/00 102B
G01S13/42
G01S13/88
G08B25/04 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019061402
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2019211467
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2018104066
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 研治
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/151966(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/029339(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01S 13/88
A61B 5/11
A61B 5/00
G01S 13/42
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者を順に見回ることにより前記複数の対象者を監視する監視者の作業を支援するための監視支援装置であって、
前記複数の対象者および前記監視者に向けて探知波を照射することで、前記複数の対象者および前記監視者を計測する計測器と、
前記計測器にて得られた情報に基づいて、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置を特定する位置特定回路と、
前記位置特定回路にて特定された前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置に基づいて、前記複数の対象者のうち前記監視者が次に見回るのに適した対象者である次回対象者、および、前記監視者の位置から前記次回対象者までの前記監視者の移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する決定回路と、
を備える監視支援装置。
【請求項2】
さらに、
前記監視者が前記複数の対象者を監視した際の監視結果および監視時刻に関する監視情報を入力する入力部を備え、
前記決定回路は、前記監視情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する、
請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項3】
前記決定回路は、
前記監視情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記監視者が前記複数の対象者を監視できていない未監視時間を取得し、
前記複数の対象者の各々の前記未監視時間が規定の未監視時間以内となるように、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する、
請求項2に記載の監視支援装置。
【請求項4】
前記決定回路は、
前記情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記計測器が前記複数の対象者を計測する場合に、前記監視者の陰となって前記複数の対象者を計測できていない未計測時間を取得し、
前記複数の対象者の各々の前記未計測時間が規定の未計測時間以内となるように、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の監視支援装置。
【請求項5】
前記計測器は、前記複数の対象者の生体情報をさらに計測し、
前記決定回路は、前記生体情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の監視支援装置。
【請求項6】
前記決定回路は、
前記監視情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記監視者が前記複数の対象者を監視できていない未監視時間を取得し、
前記複数の対象者のうち、前記未監視時間が最も長い対象者を、前記次回対象者として決定する、
請求項2に記載の監視支援装置。
【請求項7】
前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動するときの移動距離が最も短くなるように、前記移動経路を決定する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の監視支援装置。
【請求項8】
前記探知波は電磁波である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の監視支援装置。
【請求項9】
前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動する場合に、前記複数の対象者のうち所定の対象者に対して前記電磁波が未照射とならないように、前記移動経路を決定する、
請求項8に記載の監視支援装置。
【請求項10】
前記決定回路は、
前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置と、前記計測器の位置との関係から、前記複数の対象者のうち前記計測器が計測できない対象者を抽出する抽出回路を含み、
前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動する場合に、前記計測器が計測できない前記対象者に前記電磁波が照射されるように、前記移動経路を決定する、
請求項8に記載の監視支援装置。
【請求項11】
さらに、
前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を前記監視者に通知する通知器を備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の監視支援装置。
【請求項12】
前記通知器は、前記移動経路を可視光で照射することにより、前記移動経路を前記監視者に通知する、
請求項11に記載の監視支援装置。
【請求項13】
複数の対象者を順に見回ることにより前記複数の対象者を監視する監視者の作業を支援するため、コンピュータが行う監視支援方法であって、
前記複数の対象者および前記監視者に向けて探知波を照射することで、前記複数の対象者および前記監視者を計測することと、
前記計測することにて得られた情報に基づいて、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置を特定することと、
前記対象者の各々の位置および前記監視者の位置に基づいて、前記複数の対象者のうち前記監視者が次に見回るのに適した対象者である次回対象者、および、前記監視者の位置から前記次回対象者までの前記監視者の移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定することと、
を含む監視支援方法。
【請求項14】
さらに、
前記複数の対象者の監視結果および監視時刻に関する監視情報を取得することを含み、
前記決定することにおいて、前記監視情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する、
請求項13に記載の監視支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の対象者に対する監視者の見回り監視作業を支援する監視支援装置、および、監視支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幼児などの対象者を監視するための監視装置が知られている。この種の監視装置の一例として、特許文献1には、就寝している乳幼児をカメラで撮像し、乳幼児が乳幼児突然死症候群になる兆候があるか否かを判定し、その兆候がある場合に外部に通知を行う監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/151966号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、対象者に対する監視者の見回り監視作業の負担を軽減する監視支援装置、および、監視支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る監視支援装置は、複数の対象者を順に見回ることにより前記複数の対象者を監視する監視者の作業を支援するための監視支援装置であって、前記複数の対象者および前記監視者に向けて探知波を照射することで、前記複数の対象者および前記監視者を計測する計測器と、前記計測器にて得られた情報に基づいて、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置を特定する位置特定回路と、前記位置特定回路にて特定された前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置に基づいて、前記複数の対象者のうち前記監視者が次に見回るのに適した対象者である次回対象者、および、前記監視者の位置から前記次回対象者までの前記監視者の移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する決定回路と、を備える。
【0006】
なお、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
対象者に対する監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る監視支援装置を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る監視支援装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る監視支援装置の計測器、ならびに、看護者および被看護者を上から見た模式図である。
図4図4は、実施の形態に係る監視支援装置の入力部を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る監視支援装置のメモリに格納される計測情報および監視情報を時系列で示した概念図である。
図6図6は、実施の形態に係る監視支援装置のメモリに格納されている記憶テーブルを示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る監視支援装置の通知器の動作例を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る監視支援方法を示すフローチャートである。
図9図9は、実施の形態に係る監視支援装置の通知器の他の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る監視支援装置において、次に見回るべき被看護者を決定する具体例を示す図である。
図11図11は、図10に示す監視支援装置のメモリに格納されている記憶テーブルを示す図である。
図12図12は、実施の形態に係る監視支援装置において、看護者の移動経路を決定する具体例を示す図である。
図13図13は、図12に示す監視支援装置のメモリに格納されている記憶テーブルを示す図である。
図14A図14Aは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路の一例を示す図である。
図14B図14Bは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路の一例を示す図である。
図15A図15Aは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路の他の一例を示す図である。
図15B図15Bは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路の他の一例を示す図である。
図16A図16Aは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路のさらに他の一例を示す図である。
図16B図16Bは、図12に示す監視支援装置にて決定される移動経路のさらに他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
例えば対象者として午睡中の幼児などの被看護者を監視する場合、監視装置のみを用いて監視を行うのではなく、監視者として保育士などの看護者が定期的に被看護者を見回ることが必要とされている。従来のように、カメラなどの非接触センサで看護者を監視する監視装置では、看護者が非接触センサの検知範囲を遮り、非接触センサから見て看護者の陰、すなわち死角となった被看護者を検知できなくなるという問題がある。また、検知できない時間が長く続くと、監視装置は、被看護者が異状でないにもかかわらず看護者に異状を通知することとなり、看護者の見回り作業に負担をかけるという問題がある。
【0010】
本発明者はこの課題に対して検討を行い、監視者の見回り監視作業の負担を軽減する監視支援装置、および、監視支援方法に想到した。
【0011】
本開示の一態様に係る監視支援装置は、複数の対象者を順に見回ることにより前記複数の対象者を監視する監視者の作業を支援するための監視支援装置であって、前記複数の対象者および前記監視者に向けて探知波を照射することで、前記複数の対象者および前記監視者を計測する計測器と、前記計測器にて得られた情報に基づいて、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置を特定する位置特定回路と、前記位置特定回路にて特定された前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置に基づいて、前記複数の対象者のうち前記監視者が次に見回るのに適した対象者である次回対象者、および、前記監視者の位置から前記次回対象者までの前記監視者の移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定する決定回路と、を備える。
【0012】
このような構成によれば、監視者にとって負担となる、次に見回るべき対象者を決める手間、または、次に見回るべき対象者への移動経路を決める手間を省くことができる。これにより、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0013】
また、監視支援装置は、さらに、前記監視者が前記複数の対象者を監視した際の監視結果および監視時刻に関する監視情報を入力する入力部を備え、前記決定回路は、前記監視情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定してもよい。
【0014】
このような構成によれば、対象者の監視情報を参照して、次に見回るべき対象者、および、移動経路のうち少なくとも一方を決定することができる。これにより、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0015】
また、前記決定回路は、前記監視情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記監視者が前記複数の対象者を監視できていない未監視時間を取得し、前記複数の対象者の各々の前記未監視時間が規定の未監視時間以内となるように、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定してもよい。
【0016】
このような構成によれば、未監視時間が規定の未監視時間を超える心配がないので、監視者に見回り監視作業を安心させて行わせることができる。
【0017】
また、前記決定回路は、前記情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記計測器が前記複数の対象者を計測する場合に、前記監視者の陰となって前記複数の対象者を計測できていない未計測時間を取得し、前記複数の対象者の各々の前記未計測時間が規定の未計測時間以内となるように、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定してもよい。
【0018】
このような構成によれば、未計測時間が規定の未計測時間を超える心配がないので、監視者に見回り監視作業を安心させて行わせることができる。
【0019】
また、前記計測器は、前記複数の対象者の生体情報をさらに計測し、前記決定回路は、前記生体情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定してもよい。
【0020】
このような構成によれば、対象者の生体情報を参照して、次に見回るべき対象者、および、移動経路のうち少なくとも一方を決定することができる。これにより、監視者に見回り監視作業を安心させて行わせることができる。
【0021】
また、前記決定回路は、前記監視情報を用いて、前記複数の対象者の各々について、前記監視者が前記複数の対象者を監視できていない未監視時間を取得し、前記複数の対象者のうち、前記未監視時間が最も長い対象者を、前記次回対象者として決定してもよい。
【0022】
このような構成によれば、未監視時間が最も長い対象者を参照して、次に見回るべき対象者、および、移動経路のうち少なくとも一方を決定することができる。これにより、監視者に見回り監視作業を安心させて行わせることができる。
【0023】
また、前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動するときの移動距離が最も短くなるように、前記移動経路を決定してもよい。
【0024】
このような構成によれば、監視者の移動距離が短くなるので、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0025】
また、前記探知波は電磁波であってもよい。
【0026】
このような構成によれば、対象体までの距離、方位および仰角ならびに対象体の動きを非接触で計測できるので、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0027】
また、前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動する場合に、前記複数の対象者のうち所定の対象者に対して前記電磁波が未照射とならないように、前記移動経路を決定してもよい。
【0028】
このような構成によれば、所定の対象者の未計測時間を短くすることができる。これにより、監視者が未計測時間について確認する作業を減らすことができ、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0029】
また、前記決定回路は、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置と、前記計測器の位置との関係から、前記複数の対象者のうち前記計測器が計測できない対象者を抽出する抽出回路を含み、前記決定回路は、前記監視者が前記次回対象者へ移動する場合に、前記計測器が計測できない前記対象者に前記電磁波が照射されるように、前記移動経路を決定してもよい。
【0030】
このような構成によれば、計測器で計測できなかった対象者の未計測時間を0秒に戻すことができる。これにより、監視者が未計測時間について確認する作業を減らすことができ、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0031】
また、監視支援装置は、さらに、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を前記監視者に通知する通知器を備えてもよい。
【0032】
このような構成によれば、次に見回るべき対象者、および移動経路のうち少なくとも一方を監視者に示すことができ、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0033】
また、前記通知器は、前記移動経路を可視光で照射することにより、前記移動経路を前記監視者に通知してもよい。
【0034】
このような構成によれば、可視光で示す移動経路に沿って監視者を移動させることができ、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0035】
本開示の一態様に係る監視支援方法は、複数の対象者を順に見回ることにより前記複数の対象者を監視する監視者の作業を支援するための監視支援方法であって、前記複数の対象者および前記監視者に向けて探知波を照射することで、前記複数の対象者および前記監視者を計測することと、前記計測することにて得られた情報に基づいて、前記複数の対象者の各々の位置および前記監視者の位置を特定することと、前記対象者の各々の位置および前記監視者の位置に基づいて、前記複数の対象者のうち前記監視者が次に見回るのに適した対象者である次回対象者、および、前記監視者の位置から前記次回対象者までの前記監視者の移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定することと、を含む。
【0036】
このような方法によれば、監視者にとって負担となる、次に見回るべき対象者を決める手間、または、次に見回るべき対象者への移動経路を決める手間を省くことができる。これにより、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0037】
また、監視支援方法は、さらに、前記複数の対象者の監視結果および監視時刻に関する監視情報を取得することを含み、前記決定することにおいて、前記監視情報に基づいて、前記次回対象者、および、前記移動経路からなる群から選択される少なくとも一方を決定してもよい。
【0038】
このような方法によれば、対象者の監視情報を参照して、次に見回るべき対象者、および、移動経路のうち少なくとも一方を決定することができる。これにより、監視者の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0039】
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
【0040】
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または操作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
【0041】
以下、本開示の一態様に係る監視支援装置および監視支援方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0042】
なお、以下の実施の形態は、対象者および監視者として、それぞれ代表的に、午睡中の幼児などの被看護者、および、保育士などの看護者を一例として用いて説明する。
【0043】
また、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0044】
(実施の形態)
[1.監視支援装置の構成]
図1は、実施の形態に係る監視支援装置100を示す概略図である。図2は、監視支援装置100の機能的な構成を示すブロック図である。
【0045】
図1には、建物内において、被看護者1から12に対する監視の支援を行う監視支援装置100が示されている。監視支援装置100は、例えば、各被看護者1から12の呼吸または心拍などを計測することで、被看護者1から12の異状の有無を検知する。なお、被看護者は12名に限られず、3名以上であればよい。
【0046】
また、図1には、建物内を移動する看護者50が示されている。看護者50は、午睡中の被看護者1から12に対して見回り監視作業を行うことで、被看護者1から12の異状の有無を確認する。
【0047】
図1および図2に示すように、監視支援装置100は、計測器110と、入力部120と、位置特定回路140および決定回路150を有する制御部130と、通知器180とを備えている。図1に示すように、計測器110および通知器180は建物の天井に設置され、制御部130は建物内の片隅に設置されている。入力部120は、看護者50に携帯される。
【0048】
計測器110は、探知波の一例として電磁波を照射することで建物内の被看護者1から12または看護者50を計測する装置である。具体的に計測器110は、被看護者1から12または看護者50のそれぞれについて、計測器110を基準とする距離、方位および仰角等を計測する。また、計測器110は、電磁波を照射することで被看護者1から12の動き(例えば呼吸または心拍)を計測し、被看護者1から12の生体情報を検知する。生体情報の検知は、公知のレーダ信号処理方式(例えば、特開2016-214876号公報)を用いて実現する。
【0049】
計測器110は、例えばドップラーレーダであり、建物内に探知波である電磁波を発信し、計測対象体からの反射波を受信することによって、計測対象体までの距離、方位および仰角ならびに計測対象体の動きを非接触で計測する。計測対象体の検出は、公知のレーダ信号処理方式(例えば、特許第4977806号公報)を用いて実現する。電磁波の周波数としては、例えば30GHz以上300GHz以下の範囲のミリ波帯が使用される。計測器110は、探知波の送信指向性および反射波の受信指向性のいずれも制御しない無指向性モードで計測対象体を計測してもよいし、送信指向性および受信指向性の少なくとも一方を制御する指向性モードで計測対象体を計測してもよい。計測器110によって得られた計測情報は、制御部130に出力される。
【0050】
上記構成を有する計測器110では、看護者50が見回り作業を行う際に、看護者50が計測器110と被看護者1から12との間に入ることがある。そのため、計測器110から見て看護者50の陰となった被看護者を計測器110にて計測できなくなる状態(オクルージョン)が起きる。
【0051】
図3は、監視支援装置100の計測器110、ならびに、看護者50およびに被看護者1から12を上から見た模式図である。
【0052】
図3には、計測器110を用いて被看護者を計測できる計測可能領域A1と、被看護者を計測できない計測不能領域(ハッチングドットの領域)A2とが示されている。具体的には、図3に示す被看護者1から3、5、6、9から12が計測可能領域A1に含まれ、被看護者4、7、8が計測不能領域A2に含まれている。なお図3では、例えば被看護者4の存在する領域の一部が陰となった場合であっても、被看護者4に関する計測情報が十分に得られないとして、陰となった被看護者4は計測不能領域A2に含まれるとしている。
【0053】
本実施の形態の監視支援装置100は、計測器110にて被看護者1から12を計測できなくなる状態が起きにくいように、看護者50の見回り監視作業を支援する。以下、見回り監視作業を支援するための構成および方法について説明する。
【0054】
入力部120は、看護者50が被看護者1から12を監視した際の監視情報を入力する装置である。入力部120は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末である。看護者50は、入力部120を携帯しながら見回り監視作業を行い、被看護者1から12の監視情報を個別に入力する。
【0055】
図4は、監視支援装置100の入力部120を示す図である。
【0056】
図4に示す入力部120の画面には、監視情報の一例として、監視対象である被看護者7、監視が行われた時刻である監視時刻、および、監視結果の良否が表示されている。看護者50は、入力部120の画面を操作することで監視情報を入力する。入力部120に入力された監視情報は、例えば無線通信を用いて制御部130に出力される。
【0057】
制御部130は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信回路などを有するコンピュータで構成される。後述する制御部130の個々の構成要素は、例えば、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することによって果たされるソフトウェア機能であってもよい。
【0058】
制御部130は、図2に示すように、位置特定回路140および決定回路150を有している。また、決定回路150は、抽出回路160とメモリ170とを有している。以下、制御部130の構成について詳しく説明する。
【0059】
位置特定回路140は、計測器110にて得られた情報に基づいて、建物内における被看護者1から12の位置および看護者50の現在位置を特定する。位置特定回路140は、例えば、計測対象体の散乱点の重心を求めることで、建物内における被看護者1から12および看護者50の位置を特定する。位置特定回路140にて特定された被看護者1から12の位置および看護者50の現在位置は、抽出回路160に出力される。
【0060】
抽出回路160は、位置特定回路140にて特定した被看護者1から12の位置と、看護者50の現在位置と、計測器110との位置から、被看護者1から12のうち計測器110が計測できない被看護者および計測できる被看護者を区別して抽出する。
【0061】
抽出回路160は、例えば看護者50を円柱形近似モデルとし、計測器110から見て看護者50の陰となる計測不能領域A2を導出する。そして抽出回路160は、被看護者1から12が計測不能領域A2に含まれるか否かによって、計測できない被看護者および計測できる被看護者を抽出する。図3に示す例では、計測器110によって計測できない被看護者として被看護者4、7、8が抽出され、計測できる被看護者として被看護者1から3、5、6、9から12が抽出される。抽出回路160にて抽出された被看護者1から12の計測可否に関する情報は、メモリ170に出力される。なお、上記で示した計測不能領域A2は、位置特定回路140にて導出されてもよい。
【0062】
メモリ170には、計測器110にて得られた情報、抽出回路160にて得られた情報、および、入力部120にて得られた情報が記憶される。また、メモリ170には、建物内における、被看護者1から12、計測器110および通知器180のレイアウト情報が予め記憶されている。
【0063】
図5は、監視支援装置100のメモリ170に格納される計測情報および監視情報を時系列で示した概念図である。
【0064】
図5には、計測情報の一つである被看護者1から12の生体情報が示されている。具体的には生体情報として、被看護者1から12の呼吸状態が波状に表されている。
【0065】
また図5には、計測情報の一つである未計測時間が示されている。未計測時間とは、計測器110が所定の被看護者を計測する場合に、看護者50の陰となって所定の被看護者を計測できていない時間をいう。未計測時間は、被看護者に計測器110の電磁波ewが照射されてない状態が続くことで蓄積され、電磁波ewが照射されることで0秒に戻される。監視支援装置100は、各被看護者1から12の未計測時間が、規定の未計測時間以内となるように、または、被看護者1から12にとって陰となる時間が短くなるように見回り監視作業の支援を行う。本実施の形態における規定の未計測時間は、例えば30秒である。
【0066】
また図5には、監視情報の一つである監視入力の有無が示されている。この監視入力の有無は、看護者50が所定の被看護者への監視を終え、入力部120に監視結果および監視時刻を入力することで記憶される。
【0067】
また図5には、監視情報の一つである未監視時間が示されている。未監視時間とは、看護者50が被看護者を監視できていない時間をいう。未監視時間は、監視入力がされてから次の監視入力を受け付けるまでの時間であり、次の監視入力が受け付けられることで0秒に戻される。監視支援装置100は、各被看護者1から12の未監視時間が規定の未監視時間以内となるように、見回り監視作業の支援を行う。本実施の形態における未監視時間は、例えば300秒以内である。
【0068】
図6は、監視支援装置100のメモリ170に格納されている記憶テーブルを示す図である。なお、図6は、図5とは異なる場面を示した一例である。
【0069】
図6の記憶テーブルには、被看護者1から12ごとの未監視時間および未計測時間が示されている。図6では、被看護者5の未監視時間が225秒であり、被看護者1から12のうち被看護者5の未監視時間が最も長くなっている。また、被看護者4、7、8の未計測時間が、それぞれ10秒、18秒、12秒であり、他の被看護者1から3、5、6、9から12に比べて未計測時間が長くなっている。なお、被看護者2、11にて未計測時間が発生しているのは、被看護者2、11が寝返りを打つなどして動いた場合に、一時的に計測できなくなっているからである。この場合の未計測時間は、比較的早く0秒に戻るので特に問題として取り上げない。
【0070】
決定回路150は、メモリ170に記憶されたこれらの情報を用いて、複数の被看護者1から12のうち次に見回るべき被看護者、および、看護者50と次に見回るべき被看護者とを繋ぐ移動経路R1を決定する。具体的に決定回路150は、位置特定回路140にて特定した被看護者1から12の位置および看護者50の現在位置に基づき、被看護者1から12の未監視時間が、規定の未監視時間以内となるように、次に見回るべき被看護者および移動経路R1を決定する。また、決定回路150は、被看護者1から12の未計測時間が、規定の未計測時間以内となるように、次に見回るべき被看護者および移動経路R1を決定する。その際、決定回路150は、未監視時間が規定の未監視時間以内となり、かつ、未計測時間が規定の未計測時間以内となる両方の条件を満たす制約充足問題を解くため、数理計画法または人工知能などを用いて、次に見回るべき被看護者および移動経路R1を決定してもよい。
【0071】
なお決定回路150は、上記の各種情報の他に、計測器110にて計測した被看護者1から12の生体情報に基づいて、次に見回るべき被看護者を決定してもよい。例えば被看護者1から12が不安定な状態にある場合、決定回路150は、不安定な状態にある被看護者を最優先の見回り先として決定してもよい。
【0072】
通知器180は、決定回路150にて決定した上記次に見回るべき被看護者および移動経路R1を看護者50に通知する装置である。図7は、監視支援装置100の通知器180の動作例を示す図である。
【0073】
通知器180は、例えば、プロジェクションマッピング装置であり、看護者50の現在位置から次に見回るべき被看護者N1(例えば被看護者5)へ向かう移動経路R1を可視光L1でナビゲーションする。看護者50は、移動経路R1に沿って移動することで、被看護者1から12の見回り監視作業を効率よく行うことができる。すなわち上記構成を有する監視支援装置100によれば、被看護者1から12に対する看護者50の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0074】
[2.監視支援方法]
次に、監視支援装置100を用いた監視支援方法について説明する。図8は、実施の形態に係る監視支援方法を示すフローチャートである。
【0075】
まず、計測器110が、複数の被看護者1から12および看護者50に向けて電磁波を照射することで、被看護者1から12および看護者50を計測する(ステップS10)。
【0076】
次に、制御部130の位置特定回路140が、ステップS10にて得られた情報に基づいて、建物内における被看護者1から12の位置および看護者50の現在位置を特定する(ステップS20)。
【0077】
一方、看護者50は、被看護者1から12に対する見回り監視作業を行って、入力部120に被看護者1から12の監視結果および監視時の時刻に関する監視情報を入力する。これにより入力部120は、上記監視情報を取得する(ステップS11)。
【0078】
次に、制御部130の決定回路150は、ステップS20にて特定された被看護者1から12の位置および看護者50の現在位置、ならびに、ステップS11にて取得した監視情報に基づいて、複数の被看護者1から12のうち次に見回るべき被看護者N1、および、看護者50と次に見回るべき被看護者N1とを繋ぐ移動経路R1を決定する(ステップS30)。
【0079】
なお決定回路150は、このステップS30において、ステップS20にて特定した位置に関する情報のみに基づいて、次に見回るべき被看護者N1および移動経路R1を決定してもよい。また、決定回路150は、ステップS30において、次に見回るべき被看護者N1および移動経路R1のうち少なくとも一方を決定してもよい。
【0080】
次に、通知器180は、決定回路150にて決定した次に見回るべき被看護者N1および移動経路R1を看護者50に通知する(ステップS40)。以降、必要に応じて上記ステップS10からS40を繰り返し実行する。
【0081】
通知方法としては、図7に示すように可視光L1で通知してもよいし、図9に示すように、入力部120を通知器180として用い、入力部120の画面に被看護者N1および移動経路R1を表示させてもよい。
【0082】
このような監視支援方法によれば、看護者50は、次に見回るべき被看護者を誰にするか、また、どのような移動経路で移動するかを考える手間を省くことができる。これにより、被看護者1から12の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0083】
[3.監視支援装置および監視支援方法の具体例]
次に、監視支援装置100および監視支援方法の具体例1について説明する。
【0084】
図10は、監視支援装置100において、次に見回るべき被看護者N1を決定する具体例を示す図である。図11は、図10に示す監視支援装置100のメモリ170に格納されている記憶テーブルを示す図である。
【0085】
図10には、看護者50が被看護者7の監視を終えた時点の状態が示されている。この時点における被看護者1から12の未監視時間は、図11に示すとおりであり、被看護者5の未監視時間が最も長くなっている。そこで、監視支援装置100の決定回路150は、被看護者1から12のうち被看護者5を次に見回るべき被看護者N1として決定する。
【0086】
このように決定回路150が、複数の被看護者1から12のうち未監視時間が最も長い被看護者を、次に見回るべき被看護者N1として決定することで、看護者50が次に見回るべき被看護者N1を決める手間を省くことができる。これにより、看護者50の負担を軽減することができる。
【0087】
次に、監視支援装置100および監視支援方法の具体例2について説明する。
【0088】
図12は、監視支援装置100において、看護者50の移動経路R1を決定する具体例を示す図である。図13は、図12に示す監視支援装置100のメモリ170に格納されている記憶テーブルを示す図である。
【0089】
図12では、看護者50が被看護者7の監視を終えた時点の状態が示されている。この時点における被看護者1から12の未計測時間は、図13に示すように、被看護者4、7、8の未計測時間が、それぞれ10秒、18秒、12秒であり、他の被看護者1から3、5、6、9から12に比べて未計測時間が長くなっている。また、被看護者1から12のうち被看護者5の未監視時間が最も長くなっている。そこで、監視支援装置100の決定回路150は、看護者50が次に見回るべき被看護者N1にできるだけ早く到達するように、または、被看護者4、7あるいは8の未計測時間ができるだけ短くなるように移動経路R1を決定する。
【0090】
以下、3つの決定例について説明する。なお、次に見回るべき被看護者N1は、図10および図11に示した方法によって予め決定されていてもよいし、他の外部機器から指令を受け、決定されていてもよい。
【0091】
まず、図14A及び図14Bを参照しながら1つ目の決定例について説明する。図14A及び図14Bは、図12に示す監視支援装置100にて決定される移動経路R1の一例を示す図である。
【0092】
1つ目の決定例では、看護者50が次に見回るべき被看護者N1へ移動する場合の移動距離が最も短くなるように、移動経路R1を決定する。例えば次に見回るべき被看護者N1が被看護者5である場合に、決定回路150は、看護者50の現在位置から次に見回るべき被看護者5までを直線で繋いだ経路を移動経路R1として決定する。看護者50は、図14Aに示す状態から、図14Bに示すように、この移動経路R1に沿って移動することで、短時間で被看護者5に到達することができる。
【0093】
このように決定回路150が、看護者50の移動距離が最も短くなるように移動経路R1を決定することで、看護者50の労力を軽減することができる。
【0094】
次に、図15A及び図15Bを参照しながら2つ目の決定例について説明する。図15A及び図15Bは、図12に示す監視支援装置100にて決定される移動経路の他の一例を示す図である。
【0095】
2つ目の決定例では、看護者50が次に見回るべき被看護者5へ移動する場合に、複数の被看護者1から12のうち所定の被看護者に対して電磁波ewが未照射とならないように、移動経路R1を決定する。例えば決定回路150は、監視を終えた被看護者7と次に見回るべき被看護者5との間に位置する被看護者6に対して電磁波ewが未照射とならないように、看護者50が計測器110から見て被看護者6の外側を回るように、移動経路R1を決定する。看護者50が、図15Aに示す状態から、図15Bに示すように、この移動経路R1に沿って移動することで、被看護者6の未計測時間を短くすることができる。
【0096】
このように決定回路150が、所定の被看護者に対して電磁波ewが未照射とならないように移動経路R1を決定することで、所定の被看護者の未計測時間を短くすることができる。これにより、看護者50が未計測時間について確認する作業を減らすことができ、看護者50の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0097】
次に、図16A及び図16Bを参照しながら3つ目の決定例について説明する。図16A及び図16Bは、図12に示す監視支援装置100にて決定される移動経路のさらに他の一例を示す図である。
【0098】
3つ目の決定例では、看護者50が次に見回るべき被看護者5へ移動する場合に、計測不能領域A2に含まれていた被看護者に電磁波ewが照射されるように、移動経路R1を決定する。例えば決定回路150は、看護者50に遮られることによって未計測時間が発生した被看護者4、7、8に改めて電磁波ewが照射されるように、すなわち計測器110と被看護者4、7、8との間から看護者50を一時的に抜くように移動経路R1を決定する。看護者50が、図16Aに示す状態から、図16Bに示すように、この移動経路R1に沿って移動することで、被看護者4、7、8の未計測時間を0秒に戻すことができる。
【0099】
このように決定回路150が、未計測時間が発生した被看護者に電磁波ewが照射されるように移動経路R1を決定することで、当該被看護者の未計測時間を0秒に戻すことができる。これにより、看護者50が未計測時間について確認する作業を減らすことができ、看護者50の見回り監視作業の負担を軽減することができる。
【0100】
(その他の形態)
以上、本開示の実施の形態に係る監視支援装置および監視支援方法について説明したが、本開示は、個々の実施の形態には限定されない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0101】
例えば実施の形態の図1では、制御部130が建物内の片隅に設置されている例を示したが、それに限られない。例えば制御部130は、計測器110、通知器180あるいは入力部120に含まれ、それぞれと一体化されていてもよい。また、例えば通知器180が、計測器110に含まれ、計測器110と一体化されていてもよい。
【0102】
また、決定回路150は、被看護者1から12の未計測時間が予め決められた閾値を超える場合に、入力部120の画面に注意を促すための表示を行わせてもよい。また、入力部120の画面には、時刻に対応して、各被看護者1から12の未監視時間および未計測時間が表示されてもよい。
【0103】
また、本開示の実施の形態においては、対象者および監視者として、午睡中の幼児などの被看護者、および、保育士などの看護者を一例として用いて説明したが、それに限らない。例えば、対象者および監視者は、それぞれ、レストランにおいて着席している来客、および、来客から注文を受ける店員であって、店員が来客からの注文を受けるための移動経路の決定などに適用してもよい。
【0104】
また、本開示の実施の形態においては、対象者および監視者に向けて照射する探知波として、電磁波を一例として用いて説明したが、それに限らない。探知波を伝搬させる媒体の種類、探知波の周波数または波長、および、その他の条件などを考慮して、例えば、超音波を適用してもよい。対象とする環境のもとで、計測対象体に向けて発信し、その計測対象体からの反射波を受信することで、その計測対象体までの距離、方位および仰角ならびに計測対象体の動きを非接触で計測することができる波動であれば、どのような波を探知波として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本開示の監視支援装置および監視支援方法は、例えば、保育所、介護施設、病院などにおける見守りシステム、レストランなどにおけるサービスシステムなど、生体情報を監視する装置等に広く利用できる。
【符号の説明】
【0106】
1から12 被看護者
50 看護者
100 監視支援装置
110 計測器
120 入力部
130 制御部
140 位置特定回路
150 決定回路
160 抽出回路
170 メモリ
180 通知器
A1 計測可能領域
A2 計測不能領域
ew 電磁波
L1 可視光
N1 次に見回るべき被看護者
R1 移動経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B