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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】物品管理システム及び物品管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231027BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G06K7/10 136
G06K7/10 240
G06K7/10 264
B65G1/137 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019029081
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020135502
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 優
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-317862(JP,A)
【文献】特開2003-026337(JP,A)
【文献】特開2012-027766(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001408(WO,A1)
【文献】特開2007-137636(JP,A)
【文献】特開2002-334361(JP,A)
【文献】特表2012-533118(JP,A)
【文献】特開2006-350861(JP,A)
【文献】特開2008-030929(JP,A)
【文献】特開2006-064293(JP,A)
【文献】実開昭52-165367(JP,U)
【文献】特開昭56-119482(JP,A)
【文献】実開平03-083996(JP,U)
【文献】特開2000-215278(JP,A)
【文献】特開2011-210206(JP,A)
【文献】特開2007-137553(JP,A)
【文献】特開2001-317859(JP,A)
【文献】特開2007-096821(JP,A)
【文献】特開2009-038601(JP,A)
【文献】特開2001-041628(JP,A)
【文献】特開2009-079884(JP,A)
【文献】特開2009-010865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理システムであって、
RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫と、
前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナ、及び、前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナを有し、前記第1及び第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報を読み取るリーダライタと、
前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの前記物品情報を管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、
前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定することを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記第1及び第2のアンテナが前記各RFタグから受信した信号の受信信号強度について、
前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値よりも大きい状態から、前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値よりも小さい状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記第1及び第2のアンテナが前記各RFタグから受信した信号の受信信号強度について、
前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値よりも大きい状態から、前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値よりも小さい状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする請求項1または4に記載の物品管理システム。
【請求項6】
前記リーダライタは、前記第1の位置と前記第2の位置との間にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品の前記RFタグを読み取り可能な、かつ前記第1及び第2のアンテナとは読取領域が重複しない第3の位置に配置された少なくとも1つの第3のアンテナをさらに有し、前記第3のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をさらに読み取り、
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、
前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に加えて、前記第3のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の物品管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第1及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする請求項6に記載の物品管理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第2及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする請求項6または7に記載の物品管理システム。
【請求項9】
前記第1の位置は、前記ドアの内側面にあり、
前記第2の位置は、前記ドアの外側面にあることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の物品管理システム。
【請求項10】
前記保管庫は、前記ドアを閉じたときには前記保管庫内に収容され、前記ドアを開いたときには該ドアと一体的に引き出されるように構成された引き出し部をさらに有し、
前記引き出し部に少なくとも1つの前記第1のアンテナがさらに配置されることを特徴とする請求項1ないし9に記載の物品管理システム。
【請求項11】
前記保管庫は、前記ドアの上方に位置する延出部をさらに有し、
前記第3の位置は、前記延出部の下側面にあることを特徴とする請求項に記載の物品管理システム。
【請求項12】
前記ドアにおける、少なくとも前記第1及び第2のアンテナが配置される部分は電磁シールド材または電波吸収体から構成されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の物品管理システム。
【請求項13】
前記ドアにおける、少なくとも前記第1及び第2のアンテナが配置される部分は透明に構成され、かつ
前記第1及び第2のアンテナは透明導電体から構成されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の物品管理システム。
【請求項14】
保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理方法であって、
RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第1の読取ステップと、
前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第2の読取ステップと、
前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする物品管理方法。
【請求項15】
前記判定ステップでは、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする請求項14に記載の物品管理方法。
【請求項16】
前記判定ステップでは、
前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、
前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする請求項14または15に記載の物品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理システム及び物品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identifier)技術を用いて物品を管理することが広く実用化されており、最近では、冷蔵庫型のセルフ販売サービスにも適用されている。このような冷蔵庫型のセルフ販売サービスでは、RFタグが添付された商品が冷蔵庫型の保管庫内に保管されており、リーダライタのアンテナで商品に添付されたRFタグを読み取ることによって、その商品が保管庫から取り出されたか否かを判定する。そして、保管庫から取り出されたと判定された商品について、保管庫のドア等に設置された精算端末を使用して、買物客が自分でその商品の代金を精算するように構成されている。
【0003】
このような、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定する従来技術として、保管キャビネット装置であって、少なくとも、当該保管キャビネットコンパートメントにアクセスするための開口部を有する保管キャビネットコンパートメントと、前記保管キャビネットコンパートメント内に配置され、第1の検出区域を有する第1のセンサと、前記保管キャビネットコンパートメント内に配置され、第2の検出区域を有する第2のセンサと、を備え、前記第2の検出区域よりも前記第1の検出区域のほうが前記保管キャビネットコンパートメントの前記開口部に近く、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記第1の検出区域および前記第2の検出区域において、それぞれ在庫品目の検出を行う、保管装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2012-533118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の従来技術では、物品が第1の検出区域及び第2の検出区域を順番に通過することを検出することによって保管庫(保管キャビネットコンパートメント)からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定しているため、第1の検出区域及び第2の検出区域が物品の保管に利用できないデッドスペースとなるという問題があった。このため、上記の特許文献1の従来技術は、保管庫内に多数の商品を陳列することが望まれる冷蔵庫型のセルフ販売サービスへの適用には適していない。
【0006】
そこで、冷蔵庫型のセルフ販売サービスでは、保管庫内に陳列されている各商品に添付されたRFタグを、保管庫内の適所に配置されたリーダライタのアンテナによって一括して読み取り、アンテナで読み取れなくなったRFタグが発生した場合に、そのRFタグが添付された商品が保管庫から取り出されたと判定する判定方式を用いている。
【0007】
しかしながら、この判定方式では、保管庫内に陳列されている各商品のRFタグをアンテナで確実に読み取る必要があるため、各商品(特に、水分または金属を有する商品)は互いに所定の間隔を隔てて陳列する必要があった。また、RFタグの背面側に金属が存在する場合においても、アンテナと通信できなくなったり、アンテナとの通信距離が短くなったりするため、各商品は、保管庫の内側面等の金属製部分から所定の間隔を隔てて陳列する必要があった。したがって、この判定方式では、RFID技術を用いて保管庫からの商品の取り出しを確実に判定するためには、保管庫内での商品の配置間隔や配置位置などの配置状態が制約されるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、保管庫内での物品の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を確実に判定することを可能にする物品管理システム及び物品管理方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の物品管理システムは、保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理システムであって、RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫と、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナ、及び、前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナを有し、前記第1及び第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報を読み取るリーダライタと、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの前記物品情報を管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定することを特徴とする。
【0010】
本発明の物品管理方法は、保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理方法であって、RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第1の読取ステップと、前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第2の読取ステップと、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保管庫内での物品の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を確実に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る物品管理システムの概略構成図
図2】物品管理システムの保管庫を示す斜視図であり、(a)は保管庫のドアを開いた状態を示す図、(b)は保管庫のドアを閉じた状態を示す図
図3】物品管理システムの管理装置の概略構成を示すブロック図
図4】保管庫から商品を取り出すときのドアの開閉状態を示す上面図であり、(a)はドアを開いた状態を示す図、(b)はドアを閉じた状態を示す図
図5】本発明の第1実施形態における判定処理を説明するためのフロー図
図6図5で説明した判定処理の変形例を説明するためのフロー図
図7】本発明の第2実施形態を示す図であり、図2に対応する図
図8】本発明の第3実施形態を示す図であり、図2に対応する図
図9】本発明の第4実施形態に係る物品管理システムの概略構成図
図10】本発明の第4実施形態における判定処理を説明するためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理システムであって、RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫と、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナ、及び、前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナを有し、前記第1及び第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報を読み取るリーダライタと、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの前記物品情報を管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定することを特徴とする。
【0014】
これによると、リーダライタで読み取られたRFタグの各々について、第1のアンテナと第2のアンテナとでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の保管庫からの取り出しまたは保管庫への収納を判定することができる。これにより、保管庫内での物品の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を確実に判定することが可能となる。
【0015】
また、第2の発明は、上記の第1の発明において、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする。
【0016】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫からの物品の取り出しを容易に判定することができる。
【0017】
また、第3の発明は、上記の第1の発明または第2の発明において、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする。
【0018】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫への物品の収納を容易に判定することができる。
【0019】
また、第4の発明は、上記の第1の発明において、前記管理装置は、前記第1及び第2のアンテナが前記各RFタグから受信した信号の受信信号強度について、前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値よりも大きい状態から、前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値よりも小さい状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする。
【0020】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナが各RFタグから受信した信号の受信信号強度に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナが各RFタグから受信した信号の受信信号強度に基づき、保管庫からの物品の取り出しを容易に判定することができる。
【0021】
また、第5の発明は、上記の第1の発明または第4の発明において、前記管理装置は、前記第1及び第2のアンテナが前記各RFタグから受信した信号の受信信号強度について、前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値よりも大きい状態から、前記第2のアンテナの前記受信信号強度の値が前記第1のアンテナの前記受信信号強度の値よりも小さい状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする。
【0022】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナが各RFタグから受信した信号の受信信号強度に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナが各RFタグから受信した信号の受信信号強度に基づき、保管庫への物品の収納を容易に判定することができる。
【0023】
また、第6の発明は、上記の第1の発明ないし第5の発明のいずれかにおいて、前記リーダライタは、前記第1の位置と前記第2の位置との間にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品の前記RFタグを読み取り可能な、かつ前記第1及び第2のアンテナとは読取領域が重複しない第3の位置に配置された少なくとも1つの第3のアンテナをさらに有し、前記第3のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をさらに読み取り、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に加えて、前記第3のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定することを特徴とする。
【0024】
これによると、リーダライタで読み取られたRFタグの各々について、第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に加えて、第1の位置と第2の位置との間にある第3の位置に配置された第3のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の保管庫からの取り出しまたは保管庫への収納を判定することができる。これにより、保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納をより確実に判定することが可能となる。
【0025】
また、第7の発明は、上記の第6の発明において、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第1及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする。
【0026】
これによると、第1、第2及び第3のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1、第2の第3のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1、第2及び第3のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫からの物品の取り出しを容易に判定することができる。
【0027】
また、第8の発明は、上記の第6の発明または第7の発明において、前記管理装置は、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第2及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1及び第3のアンテナの少なくとも一方では読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする。
【0028】
これによると、第1、第2及び第3のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1、第2の第3のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1、第2及び第3のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫への物品の収納を容易に判定することができる。
【0029】
また、第9の発明は、上記の第1の発明ないし第8の発明のいずれかにおいて、前記第1の位置は、前記ドアの内側面にあり、前記第2の位置は、前記ドアの外側面にあることを特徴とする。
【0030】
これによると、保管庫から物品を取り出すときまたは保管庫に前記物品を収納するときに、ドアの近傍を通過することとなる物品のRFタグを、ドアの内側面及び外側面に配置された第1及び第2のアンテナで確実に読み取ることができる。これにより、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化に基づく判定をより正確に行うことが可能となる。
【0031】
また、第10の発明は、上記の第1の発明ないし第9の発明のいずれかにおいて、前記保管庫は、前記ドアを閉じたときには前記保管庫内に収容され、前記ドアを開いたときには該ドアと一体的に引き出されるように構成された引き出し部をさらに有し、前記引き出し部に少なくとも1つの前記第1のアンテナがさらに配置されることを特徴とする。
【0032】
これによると、保管庫から取り出されるまたは保管庫に収納される物品のRFタグを、少なくとも2つの第1のアンテナによって互いに異なる角度で読み取ることができる。これにより、マルチパスやアンテナの向き等に起因するヌル点の発生を抑制し、RFタグの読取精度の向上を図ることが可能となる。なお、ヌル点は、リーダライタのアンテナがRFタグと無線通信可能な状態にあるにもかかわらず、例えばリーダライタから放射された電波と、その電波が周囲環境の壁・床・天井や周囲に存在する他の物体などから反射して生成された反射波とが互いに打ち消し合うことなどが原因で、そのRFタグを読み取ることができない位置のことを指す。
【0033】
また、第11の発明は、上記の第の発明において、前記保管庫は、前記ドアの上方に位置する延出部をさらに有し、前記第3の位置は、前記延出部の下側面にあることを特徴とする。
【0034】
これによると、第3の位置が、第1の位置と第2の位置との間に位置し、保管庫から物品を取り出すときまたは保管庫に物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取ることができ、かつ第1のアンテナ及び第2のアンテナとは読取領域が重複しないようにすることが可能となる。
【0035】
また、第12の発明は、上記の第の発明ないし第11の発明のいずれかにおいて、前記ドアにおける、少なくとも前記第1及び第2のアンテナが配置される部分は電磁シールド材または電波吸収体から構成されることを特徴とする。
【0036】
これによると、第1のアンテナと第2のアンテナとの間のアイソレーションを確保することができるので、RFタグの読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0037】
また、第13の発明は、上記の第の発明ないし第12の発明のいずれかにおいて、前記ドアにおける、少なくとも前記第1及び第2のアンテナが配置される部分は透明に構成され、かつ前記第1及び第2のアンテナは透明導電体から構成されることを特徴とする。
【0038】
これによると、保管庫内に保管されている物品を、ユーザが、ドアにおける第1及び第2のアンテナが配置される部分を通して外部から視認することが可能となる。
【0039】
また、第14の発明は、保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を判定するための物品管理方法であって、RFタグが添付された物品を保管する保管庫であって、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは該保管庫に前記物品を収納するときに使用される開き戸式のドアを有する、該保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な第1の位置に配置された少なくとも1つの第1のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第1の読取ステップと、前記第1の位置よりも前記保管庫から離れた側にあり、前記保管庫から前記物品を取り出すときまたは前記保管庫に前記物品を収納するときに該物品のRFタグを読み取り可能な、かつ前記開き戸式のドアにより前記第1のアンテナとは読取領域が重複しない第2の位置に配置された少なくとも1つの第2のアンテナによって、前記保管庫から取り出されるまたは前記保管庫に収納される前記物品の前記RFタグから該タグに記憶されている物品情報をリーダライタが読み取る第2の読取ステップと、前記リーダライタで読み取られた前記RFタグの各々について、前記第1及び第2のアンテナでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の前記保管庫からの取り出しまたは前記保管庫への収納を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0040】
これによると、リーダライタで読み取られたRFタグの各々について、読取領域が互いに重複しない位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとでの読取状態の変化に基づき、そのRFタグが添付された物品の保管庫からの取り出しまたは保管庫への収納を判定することができる。これにより、保管庫内での物品の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を確実に判定することが可能となる。
【0041】
また、第15の発明は、上記の第14の発明において、前記判定ステップでは、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態から、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫から取り出されたと判定することを特徴とする。
【0042】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫からの物品の取り出しを容易に判定することができる。
【0043】
また、第16の発明は、上記の第14の発明または第15の発明において、前記判定ステップでは、前記リーダライタで読み取られた前記各RFタグについて、前記第2のアンテナでは読み取れるが前記第1のアンテナでは読み取れない状態から、前記第1のアンテナでは読み取れるが前記第2のアンテナでは読み取れない状態に変化した場合に、そのRFタグが貼付された物品が前記保管庫に入れられたと判定することを特徴とする。
【0044】
これによると、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読取状態の変化は、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき判定することができる。そして、第1及び第2のアンテナでのRFタグの読み取りの有無に基づき、保管庫への物品の収納を容易に判定することができる。
【0045】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0046】
(第1実施形態)
この第1実施形態では、本発明の物品管理システムを、冷蔵庫型のセルフ販売サービスにおける、冷蔵庫型の保管庫からの商品(物品)の取り出しの管理に適用した場合について説明する。なお、本実施形態では、保管庫は冷蔵庫型のものを想定しているが、保管庫は冷蔵庫型以外のものであってもよい。本実施形態で想定される冷蔵庫型のセルフ販売サービスでは、RFタグが添付された食品や日用品等の様々な商品が冷蔵庫型の保管庫内に保管されており、買物客は保管庫から所望の商品を取り出して購入する。買物客により保管庫から取り出された商品は、その商品に添付されたRFタグをリーダライタのアンテナで読み取ることによって判定される。そして、買物客は、保管庫のドア等に設置された精算端末を使用して、保管庫から取り出した商品の代金を自分で精算する。
【0047】
図1は、本発明の第1実施形態に係る物品管理システム1の概略構成図である。図1に示すように、本発明の物品管理システム1は、リーダライタ2と、管理装置3と、精算端末4とを備えている。物品管理システム1の各構成要素2-4は、ネットワーク5を介して相互に接続されている。
【0048】
リーダライタ2は、商品6(物品)に貼付されたRFタグ7(以降、単に「タグ7」と称する)と無線通信してタグ7に記憶されている商品情報を読み取る第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12を有している。タグ7には、固有のタグ識別コードが付与されており、そのタグ識別コードに紐付けて、商品名、価格、賞味期限等の商品情報(物品情報)が記憶されている。リーダライタ2がタグ7から読み取った情報は、ネットワーク5を介して、リーダライタ2から管理装置3へ送信される。
【0049】
本実施形態では、タグ7は、920MHz帯の周波数(UHF帯)を使用するパッシブ型のRFタグであり、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、920MHz帯の周波数を使用して、タグ7から情報を読み取る。第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、指向性及び偏波特性の観点から円偏波パッチアンテナを使用することが望ましい。ただし、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、円偏波パッチアンテナに限定されるものではなく、直線偏波アンテナまたは他方式アンテナを使用してもよい。
【0050】
なお、リーダライタ2は、タグ7から情報を読み取る機能を有していればよく、タグ7に情報を書き込む機能は必須ではない。また、本実施形態では、1台のリーダライタ2が、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12を有する構成としているが、第1のアンテナ11を有する第1のリーダライタ2と、第2のアンテナ12を有する第2のリーダライタ2との2台のリーダライタ2を用いる構成としてもよい。このようにすると、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12との切り替えが不要になり、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でタグ7の情報を継続して読み取ることが可能となる。
【0051】
また、本発明の物品管理システム1は、タグ7が貼付された商品6を保管するための冷蔵庫型の保管庫20を備えている。図2は、物品管理システム1の保管庫20を示す斜視図であり、(a)は、保管庫20のドア21を開いた状態を示し、(b)は保管庫20のドア21を閉じた状態を示す。
【0052】
図2に示すように、保管庫20は、保管庫20から商品6を取り出すときに使用される開き戸式のドア21を有している。そして、ドア21の内側面には、リーダライタ2の第1のアンテナ11(ANT1)が配置されており、ドア21の外側面には、リーダライタ2の第2のアンテナ12(ANT2)が配置されている。ドア21の内側面は、ドア21における、ドア21を閉めたときに保管庫20の内側を向く面を指し、ドア21の外側面は、ドア21における、ドア21を閉めたときに保管庫20の外側を向く面を指す。したがって、第1のアンテナ11は、第2のアンテナ12よりも保管庫側に配置されている。
【0053】
なお、図2では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12はドア21の高さ方向において互いに位置をずらして配置されているが、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12の配置位置はこれに限定されるものではなく、ドア21の高さ方向及び幅方向において、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12の少なくとも一部が互いに重なるように配置してもよい。
【0054】
保管庫20のドア21は、透明な電磁シールド材または電波吸収体から構成されてもよい。ドア21を電磁シールド材または電波吸収体から構成すると、第1のアンテナ11と第2のアンテナ12との間のアイソレーションを確保することができる。すなわち、ドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11は、保管庫20の外側に存在するタグ7の情報を読み取りづらくなり、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12は、保管庫20の内側に存在するタグ7の情報を読み取りづらくなる。これにより、タグ7の読取精度の向上を図ることが可能となる。また、ドア21を透明に構成すると、保管庫20内に保管されている物品6を、買物客がドア21を通して外部から視認することが可能となる。
【0055】
また、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、例えば透明導電性フィルムなどの透明導電体から構成されてもよい。このようにすると、保管庫20内に保管されている物品6を、ドア21を通して外部からより見やすくすることができる。
【0056】
また、保管庫20の筐体のドア21以外の部分は、金属体から構成されてもよい。金属体は電波を通さないので、このようにすると、ドア21を閉じたときの第1のアンテナ11と第2のアンテナ12との間のアイソレーションをより確実に確保することができる。これにより、タグ7の読取精度をさらに高めることが可能となる。
【0057】
保管庫20のドア21は、図示しないロック機構を備えており、閉じたときに自動的にロックされるように構成されている。ドア21のロック機構は、ネットワーク5を介して精算端末4に接続されており、買物客は、保管庫20内に保管されている商品6を購入するときには、後述する精算端末4のロック解除機能を操作してドア21のロックを解除してドア21を開く。そして、買物客が購入(買物)を終了してドア21を閉じると、ドア21は自動的に再びロックされる。また、ドア21のロック機構は、ネットワーク5を介して管理装置3にも接続されており、ドア21のロックが解除されたときにはロック解除信号を管理装置3に送信し、ドア21が再びロックされたときにはドアロック信号を管理装置3に送信するように構成されている。
【0058】
管理装置3は、公知の構成を有するサーバ(コンピュータ)から構成され、リーダライタ2から受信した商品情報を管理するとともに、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の商品情報の読取状態(以降、単に「タグ7の読取状態」と称する)の変化に基づき、その商品6の保管庫20からの取り出しを判定する。
【0059】
図3は、管理装置3の概略構成を示すブロック図である。管理装置3は、公知のハードウェア構成を備えており、所定の制御プログラム(例えば物品管理プログラム)に基づき物品管理システム1における各処理を統括的に実行するプロセッサ31、このプロセッサ31のワークエリア等として機能する揮発性メモリであるRAM32、プロセッサ31が実行する制御プログラムやデータを格納する不揮発性メモリであるROM33、管理装置3の動作に必要なプログラムやデータを記憶するストレージを有する記憶部34、ユーザに必要な情報を表示するモニタを有する表示部35、ユーザの入力操作を可能とするキーボードやマウス等の入力デバイスを有する入力部36、ネットワーク5を介した通信を実行する通信モジュールを有する通信部37等を備えている。
【0060】
管理装置3の各機能は、図3に示したハードウェア構成において、プロセッサ31が所定の制御プログラムを実行することによって実現可能である。なお、管理装置3の機能の少なくとも一部は他の公知のハードウェアによる処理によって代替されてもよい。
【0061】
精算端末4は、公知の精算機能を有する端末装置であり、これに限定されないが、例えば保管庫20のドア21等に設置されている。買物客は、保管庫20から商品6を取り出した後、精算端末4の精算機能を使用してその商品6の代金を自分で精算する。商品6の代金の精算処理は、その商品6の商品情報に基づき、これに限定されないが、例えば、ICカード、クレジットカード、スマートフォンの電子マネー機能等を使用して行われる。
【0062】
また、精算端末4は、上記の精算機能に加えて、買物客がICカード等を使用して操作して保管庫20のドア21のロックを解除するためのロック解除機能と、保管庫20から取り出された商品6の商品情報(商品名、価格、賞味期限等)を表示するための表示機能と、その商品6の購入を買物客に確認するための確認機能とを備えている。表示機能及び確認機能は、例えば、タッチパネル型ディスプレイから構成するとよい。また、精算端末4の精算機能での精算処理は、確認機能によってその商品6の購入が確認されたときに自動的に行われるようにするとよい。
【0063】
図4は、買物客が保管庫20から商品6を取り出すときのドア21の開閉状態を示す上面図であり、(a)は、保管庫20から商品6を取り出すためにドア21を開いた状態を示し、(b)は、保管庫20から商品6を取り出した後にドア21を閉じた状態を示す。
【0064】
図4(a)に示すように、買物客による保管庫20からの商品6の取り出しが開始されたときには、保管庫20のドア21は開かれ、保管庫20から取り出された商品6は、開かれたドア21の内側面の正面を通過することとなる。このとき、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11(ANT1)によって読み取られる(ANT1=OK)。ドア21は電磁シールド材または電波吸収体から構成されており電波を通さないので、このとき、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12(ANT2)では読み取られない(ANT2=NG)。
【0065】
そして、図4(b)に示すように、買物客による保管庫20からの商品6の取り出しが完了したときには、保管庫20のドア21は閉じられ、保管庫20から取り出された商品6は、閉じられたドア21の外側面の正面に位置することとなる。このとき、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12(ANT2)によって読み取られる(ANT2=OK)。ドア21は電磁シールド材または電波吸収体から構成されており電波を通さないので、このとき、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11(ANT1)では読み取られない(ANT1=NG)。
【0066】
このように、買物客が保管庫20から商品6を取り出したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその商品6のタグ7の読取状態は、図4(a)に示す、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(ANT1=OK、ANT2=NG)から、図4(b)に示す、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(ANT1=NG、ANT2=OK)に変化する。
【0067】
なお、説明を簡略化するために、図4では、保管庫20から1つの商品6を取り出す場合について示しているが、保管庫20から複数の商品6を取り出す場合についても同様であり、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12での各商品6のタグ7の読取状態は、図4(a)に示す状態から、図4(b)に示す状態に変化する。
【0068】
図5は、管理装置3で実施される保管庫20からの商品6の取り出しの判定処理を説明するためのフロー図である。以下、図5及び図4を参照して、保管庫20からの商品6の取り出しの判定処理について説明する。この処理は、買物客が精算端末4のロック解除機能を操作して、保管庫20のドア21のロックを解除したときに開始される。上述したように、保管庫20のドア21のロックが解除されると、ドア21のロック機構から管理装置3にロック解除信号が送信される。
【0069】
管理装置3は、ドア21のロック機構からロック解除信号を受信すると、リーダライタ2を起動して、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12による商品6のタグ7の読み取りを開始する(ステップST101)。
【0070】
次に、管理装置3は、タグ7の読取状態について、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(ANT1=OK、ANT2=NG)から、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(ANT1=NG、ANT2=OK)に変化したか否かを判定する(ステップST102)。そのように変化したと判定された場合(ステップST102:Yes)にはステップST103に進み、そうではないと判定された場合(ステップST102:No)にはステップST104に進む。
【0071】
ステップST103では、管理装置3は、そのタグ7が貼付された商品6が、保管庫20から取り出されたと判定する。
【0072】
図4を参照して説明したように、買物客が保管庫20から商品6を取り出したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその商品6のタグ7の読取状態は、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(図4(a)に示す状態)から、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(図4(b)に示す状態)に変化する。したがって、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態が、図4(a)に示す状態(ANT1=OK、ANT2=NG)から、図4(b)に示す状態(ANT1=NG、ANT2=OK)に変化した場合には、そのタグ7が添付された商品6が保管庫20から取り出されたと判定することができる。
【0073】
続くステップST104では、管理装置3は、ドア21のロック機構からドアロック信号を受信したか否かを判定する。ドアロック信号を受信したと判定された場合(ステップST104:Yes)には、ステップST105に進み、ドアロック信号を受信していないと判定された場合(ステップST104:No)には、先のステップST102に戻り、ステップST102以降の処理を繰り返す。
【0074】
ステップST105では、管理装置3は、リーダライタ2をオフにして(動作を終了させ)、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12による商品6のタグ7の読み取りを終了する。これにより、買物客が購入した商品6が確定する。その後、精算端末4は、確認機能によってその商品6の購入を買物客に確認し、購入が確認された商品6の代金を精算機能によって精算する。そして、その後、処理を終了する。
【0075】
このように、本発明の第1実施形態によれば、保管庫20のドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11と、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12とでのタグ7の読取状態の変化に基づき、そのタグ7が貼付された商品6の保管庫20からの取り出しを判定することができる。第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読み取りの有無(ステップST102参照)に基づき容易に判定することができる。これにより、保管庫20内での商品6の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫20からの商品6の取り出しを確実に判定することが可能となる。
【0076】
また、リーダライタ2は、ドア21のロックが解除されたときにのみ起動し、ドア21がロックされているときには読み取り動作を行わないので、保管庫内に陳列されている各商品のタグをリーダライタのアンテナで一括して読み取るように構成した場合と比べて、大幅な省電力化を実現することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、第1のアンテナ11は、保管庫20のドア21の内側面に配置したが、第1のアンテナ11の配置位置は、第2のアンテナ12よりも保管庫20に近い側にあり、保管庫20から商品6を取り出すときにその商品6のタグ7を読み取り可能な、かつ第2のアンテナ12とは読取領域が重複しない位置である限りは、これに限定されるものではない。例えば、第1のアンテナ11は、保管庫20の内側の側面、底面、上面などにおけるドア21に近い部分に配置してもよい。同様に、本実施形態では、第2のアンテナ12は保管庫20のドア21の外側面に配置したが、第2のアンテナ12の配置位置は、第1のアンテナ11よりも保管庫20から離れた側にあり、保管庫20から商品6を取り出すときにその商品6のタグ7を読み取り可能な、かつ第1のアンテナ11とは読取領域が重複しない位置である限りは、これに限定されるものではない。例えば、第2のアンテナ12は、保管庫20の近傍の天井や床等に配置してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12はそれぞれ1台ずつ設けたが、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12はそれぞれ複数台設けてもよい。第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12をそれぞれ複数台設けると、ヌル点の発生を抑制することができるため、保管庫20から取り出される商品6のタグ7をより確実に読み取ることが可能となる。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
上記の第1実施形態では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読み取りの有無に基づき判定したが、その代わりに、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12がタグ7から受信した信号の強度を示す受信信号強度(RSSI:Receive Signal Strength Indication)に基づき判定してもよい。この場合は、図6に示すように、図5のステップST102の代わりに、ステップST201を設ける。
【0080】
ステップST201では、管理装置3は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12がタグ7から受信した信号の受信信号強度(RSSI)について、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値が第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも大きい状態(RSSI:ANT1>ANT2)から、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値が第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも小さい状態(RSSI:ANT1<ANT2)に変化したか否かを判定する。そのように変化したと判定された場合(ステップST201:Yes)にはステップST103に進み、そうではないと判定された場合(ステップST201:No)にはステップST102に戻る。
【0081】
ステップST103では、管理装置3は、そのタグ7が貼付された商品6が、保管庫20から取り出されたと判定する。
【0082】
図4(a)に示したように、保管庫20からの商品6の取り出しが開始されたときには、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11の正面を通過することとなるので、このとき、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値は、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも大きくなる。
【0083】
そして、図4(b)に示したように、保管庫20からの商品6の取り出しが完了したときには、商品6に貼付されたタグ7は、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12の正面に位置することとなるので、このとき、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値は、第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも小さくなる。
【0084】
したがって、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12がタグ7から受信した信号の受信信号強度(RSSI)について、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値が第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも大きい状態(RSSI:ANT1>ANT2)から、第1のアンテナ11(ANT1)のRSSIの値が第2のアンテナ12(ANT2)のRSSIの値よりも小さい状態(RSSI:ANT1<ANT2)に変化した場合には、そのタグ7が添付された商品6が保管庫20から取り出されたと判定することができる。
【0085】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態を示す図であり、図2に対応する図である。なお、この第2実施形態では、以下で特に言及しない事項については、上記の第1実施形態の場合と同様として詳細な説明を省略する。また、図7において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0086】
この第2実施形態では、保管庫20は、ドア21を閉じたときには保管庫20内に収容され、ドア21を開いたときにはドア21と一体的に引き出されるように構成された引き出し部22をさらに有している。引き出し部22は、扇形の板状に形成されており、その一側部がドア21の下側部分に一体的に連結されるように構成されている。
【0087】
また、この第2実施形態では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、それぞれ2台ずつ設けられている。
【0088】
第1のアンテナ11は、第1のアンテナ11A(ANT1-1)と、第1のアンテナ11B(ANT1-2)との2台が設けられている。第1のアンテナ11A(ANT1-1)は、上記の第1実施形態と同様に、保管庫20のドア21の内側面に配置されており、第1のアンテナ11B(ANT1-2)は、保管庫20の引き出し部22の上面に配置されている。したがって、引き出し部22の上面に配置された第1のアンテナ11B(ANT1-2)は、保管庫20から取り出される商品6のタグ7を、ドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11A(ANT1-1)とは異なる角度で読み取ることができる。
【0089】
なお、引き出し部22に配置された第1のアンテナ11B(ANT1-2)は、保管庫20に収容されているときには、遮蔽板等によって保管庫20内の商品6とは隔てられ、保管庫20内の商品6のタグ7を読み取れないようにすることが好ましい。このようにすると、引き出し部22の第1のアンテナ11B(ANT1-2)は、ドア21が開かれて引き出し部22が保管庫20から引き出されたときにのみ、商品6のタグ7を読み取ることが可能となる。すなわち、引き出し部22の第1のアンテナ11B(ANT1-2)を、保管庫20からの商品6の取り出しの判定にのみ使用することが可能となる。
【0090】
第2のアンテナ12は、第2のアンテナ12A(ANT2-1)と、第2のアンテナ12B(ANT2-2)との2台が設けられている。第2のアンテナ12A(ANT2-1)及び第2のアンテナ12B(ANT2-2)は、上記の第1実施形態と同様に、保管庫20のドア21の外側面に配置されている。この2台の第2のアンテナ12A、12Bは、互いに電波が干渉しないような所定の距離を隔てて配置されている。
【0091】
この第2実施形態では、保管庫20から取り出される商品6のタグ7を、2台の第1のアンテナ11A、11Bによって互いに異なる角度で読み取ることができる。これにより、マルチパスやアンテナの向き等に起因するヌル点の発生を抑制し、タグ7の読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0092】
また、この第2実施形態では、第2のアンテナ12も2台設けられるので、この2台の第2のアンテナ12A、12Bによって、保管庫20から取り出される商品6のタグ7をより確実に読み取ることができる。これにより、タグ7の読取精度をさらに高めることが可能となる。
【0093】
なお、この第2実施形態では、保管庫20の引き出し部22は、ドア21の下側部分に一体的に連結されるように構成したが、ドア21の上側部分に一体的に連結されるように構成してもよい。この場合は、第1のアンテナ11Bは、引き出し部22の下面に配置される。また、引き出し部22の形状や配置位置はこれらに限定されるものではなく、他の形状や配置位置であってもよい。
【0094】
また、この第2実施形態では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12はそれぞれ2台ずつ設けたが、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12の台数は2台に限定されるものではなく、それぞれ3台以上であってもよい。なお、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12の台数は、互いに別々の台数であってもよい。
【0095】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態を示す図であり、図2に対応する図である。なお、この第3実施形態では、以下で特に言及しない事項については、上記の第1実施形態の場合と同様として詳細な説明を省略する。また、図8において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0096】
この第3実施形態では、保管庫20は、ドア21の上方に位置する延出部23をさらに有している。延出部23は、薄板状に形成されており、保管庫20の筐体の上面からドア21の上方に延出するように構成されている。
【0097】
また、この第3実施形態では、リーダライタ2は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12に加えて、第3のアンテナ13を有している。この第3のアンテナ13は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12と同様のアンテナであり、タグ7に記憶されている商品情報を読み取ることができる。この第3のアンテナ13は、延出部23の下面に配置されている。したがって、第3のアンテナ13は、ドア21を開いたときでも閉じたときでも、保管庫20から取り出される商品6のタグ7を第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12とは異なる角度で読み取ることができる。
【0098】
この第3実施形態では、保管庫20から取り出される商品6のタグ7は、図8(a)に示すように保管庫20のドア21を開いたときには、第1のアンテナ11及び第3のアンテナ13の一方または両方によって読み取られ、図8(b)に示すように保管庫20のドア21を閉じたときには、第2のアンテナ12及び第3のアンテナ13の一方または両方によってよって読み取られることとなる。このように、保管庫20から取り出される商品6のタグ7を、第1のアンテナ11及び第3のアンテナ13によって、または、第2のアンテナ12及び第3のアンテナ13によって、互いに異なる角度で読み取ることにより、マルチパスやアンテナの向き等に起因するヌル点の発生を抑制し、タグ7の読取精度の向上を図ることができる。
【0099】
そして、この第3実施形態では、保管庫20のドア21のロックの解除後、保管庫20から取り出される商品6のタグ7について、ドア21を開いた状態において、第1のアンテナ11及び第3のアンテナ13の少なくとも一方では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態から、ドア21を閉じた状態において、第2のアンテナ12及び第3のアンテナ13の少なくとも一方では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態に変化した場合に、そのタグ7が貼付された商品6が保管庫20から取り出されたと判定する。
【0100】
このように、この第3実施形態では、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化に加えて、ドア21を開いた状態またはドア21を閉じた状態における第3のアンテナ13でのタグ7の読取状態の変化に基づき、そのタグ7が添付された商品6の保管庫20からの取り出しを判定することができる。具体的には、第3のアンテナ13を、ドア21の開いたときのタグ7の読み取りの判定処理と、ドア21を閉じたときのタグ7の読み取りの判定処理との両方に兼用することによって、保管庫20からの商品6の取り出しをより確実に判定することが可能となる。
【0101】
なお、この第3実施形態では、ドア21を閉じた後にも、第1、第2及び第3のアンテナ11、12、13でタグ7の読み取りを行う。このため、図5及び図6を参照して説明した商品6の取り出しの判定処理において、ステップST104でドアロック信号を受信したと判定された場合(ステップST104:Yes)の後に、ステップST102(またはステップST201)及びステップST103のようなタグ7の読み取りの判定処理が行われる。
【0102】
第1、第2及び第3のアンテナ11、12、13でのタグ7の読取状態の変化は、第1、第2及び第3のアンテナ11、12、13でのタグ7の読み取りの有無に基づき容易に判定することができる。また、上記の第1実施形態の変形例と同様に、第1、第2及び第3のアンテナ11、12、13でのタグ7の読取状態の変化は、第1、第2及び第3のアンテナ11、12、13がタグ7から受信した信号の受信信号強度(RSSI)に基づき判定してもよい。
【0103】
なお、この第3実施形態では、第3のアンテナ13は保管庫20の延出部23に配置したが、第3のアンテナ13の配置位置は、第1のアンテナ11の配置位置と第2のアンテナ12の配置位置との間にあり、保管庫20から商品6を取り出すときにその商品6のタグ7を読み取り可能な、かつ第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12とは読取領域が互いに重複しない位置である限りは、これに限定されるものではない。例えば、第3のアンテナ13は、保管庫20の近傍の天井や床等に配置してもよい。また、第3のアンテナ13を複数台設けると、第3のアンテナ13によって、保管庫20から取り出される商品6のタグ7をより確実に読み取ることが可能となる。また、この第3実施形態では、延出部23は薄板状に形成したが、延出部23の形状はこれに限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0104】
(第4実施形態)
この第4実施形態では、本発明の物品管理システム1を、例えばキャビネットや収納棚などの保管庫における、保管庫からの物品の持ち出しまたは保管庫への物品の返却の管理に適用した場合について説明する。この第4実施形態では、物品にタグが添付されており、物品に添付されたタグをリーダライタのアンテナで読み取ることによって、その物品の保管庫からの持ち出しまたは保管庫への返却を判定する。
【0105】
図9は、本発明の第4実施形態に係る物品管理システム1の概略構成図であり、図1に対応する図である。なお、この第4実施形態では、以下で特に言及しない事項については、上記の第1実施形態の場合と同様として詳細な説明を省略する。また、図9において、上記の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0106】
図9に示すように、この第4実施形態では、第1実施形態の場合の精算端末4(図1参照)の代わりに、公知の認証機能を有する認証端末8を備えている。認証端末8は、これに限定されないが、例えば保管庫20のドア21等に設置されている。
【0107】
この認証端末8は、ユーザがICカード等の使用や暗証番号の入力などによって操作してドア21のロックを解除するためのロック解除機能を有している。ユーザは、保管庫20から物品6を持ち出すときまたは保管庫20に物品6を返却するときは、このロック解除機能を操作して保管庫20のドア21のロックを解除して、ドア21を開く。なお、上記の第1実施形態の場合と同様に、ドア21のロックが解除されたときには、ドア21のロック機構から管理装置3にロック解除信号が送信され、ドア21を閉じてドア21が再びロックされたときには、ドア21のロック機構から管理装置3にドアロック信号が送信される。
【0108】
この第4実施形態では、物品6には、その物品の物品情報を記憶したタグ7が添付されており、リーダライタ2の第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12は、物品6に貼付されたタグ7と無線通信してタグ7に記憶されている物品情報を読み取る。リーダライタ2がタグ7から読み取った情報は、ネットワーク5を介して、リーダライタ2から管理装置3へ送信される。
【0109】
そして、管理装置3は、リーダライタ2から受信した物品情報を管理するとともに、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の物品情報の読取状態(以降、単に「タグ7の読取状態」と称する)の変化に基づき、その物品6の保管庫20からの持ち出しまたは保管庫20への返却を判定する。第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化は、保管庫20から物品6を持ち出すときと、保管庫20に物品6を返却するときとでは互いに異なる。
【0110】
ユーザが保管庫20から物品6を持ち出したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその商品6のタグ7の読取状態は、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(図4(a)に示す状態)から、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(図4(b)に示す状態)に変化する。
【0111】
一方、ユーザが保管庫20に物品6を返却したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその商品6のタグ7の読取状態は、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(図4(b)に示す状態)から、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(図4(a)に示す状態)に変化する。
【0112】
図10は、管理装置3で実施される保管庫20からの物品6の持ち出しまたは保管庫20への物品6の返却の判定処理を説明するためのフロー図である。以下、図10及び図4を参照して、物品6の持ち出しまたは返却の判定処理について説明する。この判定処理は、ユーザが認証端末8のロック解除機能を操作して、保管庫20のドア21のロックを解除したときに開始される。上述したように、保管庫20のドア21のロックが解除されると、ドア21のロック機構から管理装置3にロック解除信号が送信される。
【0113】
管理装置3は、ドア21のロック機構からロック解除信号を受信すると、リーダライタ2を起動して、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12による商品6のタグ7の読み取りを開始する(ステップST301)。
【0114】
次に、管理装置3は、タグ7の読取状態について、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(ANT1=OK、ANT2=NG)から、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(ANT1=NG、ANT2=OK)に変化したか否かを判定する(ステップST302)。そのように変化したと判定された場合(ステップST302:Yes)にはステップST303に進み、そうではないと判定された場合(ステップST302:No)にはステップST304に進む。
【0115】
ステップST303では、管理装置3は、そのタグ7が貼付された物品6が、保管庫20から持ち出されたと判定する。そして、その後、ステップST306に進む。
【0116】
上述したように、保管庫20から物品6を持ち出したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその物品6のタグ7の読取状態は、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(図4(a)に示す状態)から、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(図4(b)に示す状態)に変化する。したがって、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態が、図4(a)に示す状態(ANT1=OK、ANT2=NG)から図4(b)に示す状態(ANT1=NG、ANT2=OK)に変化した場合には、そのタグ7が添付された物品6が保管庫20から持ち出されたと判定することができる。
【0117】
ステップST304では、管理装置3は、タグ7の読取状態について、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(ANT1=NG、ANT2=OK)から、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(ANT1=OK、ANT2=NG)に変化したか否かを判定する。そのように変化したと判定された場合(ステップST304:Yes)にはステップST305に進み、そうではないと判定された場合(ステップST304:No)にはステップST306に進む。
【0118】
ステップST305では、管理装置3は、そのタグ7が貼付された物品6が、保管庫20に返却されたと判定する。そして、その後、ステップST306に進む。
【0119】
上述したように、保管庫20に物品6を返却したときには、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのその物品6のタグ7の読取状態は、第2のアンテナ12では読み取れるが第1のアンテナ11では読み取れない状態(図4(b)に示す状態)から、第1のアンテナ11では読み取れるが第2のアンテナ12では読み取れない状態(図4(a)に示す状態)に変化する。したがって、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態が、図4(b)に示す状態(ANT1=NG、ANT2=OK)から図4(a)に示す状態(ANT1=OK、ANT2=NG)に変化した場合には、そのタグ7が添付された物品6が保管庫20に返却されたと判定することができる。
【0120】
ステップST306では、管理装置3は、ドア21のロック機構からドアロック信号を受信したか否かを判定する。ドアロック信号を受信したと判定された場合(ステップST306:Yes)には、ステップST307に進み、ドアロック信号を受信していないと判定された場合(ステップST306:No)には、先のステップST302に戻り、ステップST302以降の処理を繰り返す。
【0121】
ステップST307では、管理装置3は、リーダライタ2をオフにして(動作を終了させ)、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12による物品6のタグ7の読み取りを終了する。そして、その後、処理を終了する。
【0122】
このように、本発明の第4実施形態によれば、保管庫20のドア21の内側面に配置された第1のアンテナ11と、ドア21の外側面に配置された第2のアンテナ12とでのタグ7の読取状態の変化に基づき、そのタグ7が貼付された物品6の保管庫20からの持ち出しまたは保管庫20への返却を判定することができる。これにより、保管庫20内での物品6の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫20からの物品6の持ち出しまたは保管庫20への物品6の返却を確実に判定することが可能となる。
【0123】
第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読み取りの有無に基づき容易に判定することができる。また、上記の第1実施形態の変形例と同様に、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12でのタグ7の読取状態の変化は、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12がタグ7から受信した信号の受信信号強度(RSSI)に基づき判定してもよい。
【0124】
また、リーダライタ2は、ドア21のロックが解除されたときにのみ起動し、ドア21がロックされているときには読み取り動作を行わないので、保管庫内に保管されている各物品のタグをリーダライタのアンテナで一括して読み取るように構成した場合と比べて、大幅な省電力化を実現することができる。
【0125】
なお、本実施形態では、第1のアンテナ11は保管庫20のドア21の内側面に配置し、第2のアンテナ12は保管庫20のドア21の外側面に配置したが、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12の配置位置は、保管庫20から物品6を取り出すときにその物品6のタグ7を読み取り可能であり、かつ読取領域が互いに重複しない位置である限りは、これに限定されるものではない。例えば、第1のアンテナ11はドア21の近傍に配置し、第2のアンテナ12は保管庫20の近傍の天井や床等に配置してもよい。
【0126】
また、上記の第2実施形態と同様に、第1のアンテナ11及び第2のアンテナ12を複数台設けたり、上記の第3実施形態と同様に第3のアンテナ13を設けたりすることにより、タグ7の読取精度の向上を図ることができる。
【0127】
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態に示した本発明に係る物品管理システム及び物品管理方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【0128】
例えば、本発明は、保管庫に陳列される商品の在庫を管理するシステムに適用してもよい。この場合は、保管庫からの商品の取り出しや保管庫への商品の収納を判定することによって保管庫の実在庫数を管理することができ、これにより、在庫の抱えすぎや在庫不足を未然に防ぐことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明に係る物品管理システム及び物品管理方法は、保管庫内での物品の配置状態が制約されることなく、RFID技術を用いて保管庫からの物品の取り出しまたは保管庫への物品の収納を確実に判定することを可能とする物品管理システム及び物品管理方法等として有用である。
【符号の説明】
【0130】
1 物品管理システム
2 リーダライタ
3 管理装置
4 精算端末
5 ネットワーク
6 商品(物品)
7 RFタグ
8 認証端末
11 第1のアンテナ
12 第2のアンテナ
13 第3のアンテナ
20 保管庫
21 ドア
22 引き出し部
23 延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10