(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】配線器具システム及びユニット装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/02 20060101AFI20231027BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20231027BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H02G3/02
H02G3/12
H01R31/06 B
(21)【出願番号】P 2019065103
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹田 基弘
(72)【発明者】
【氏名】東江 麻祐
(72)【発明者】
【氏名】吉村 庸
(72)【発明者】
【氏名】津吉 勝己
(72)【発明者】
【氏名】向井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一祐
(72)【発明者】
【氏名】女川 崇
(72)【発明者】
【氏名】奥浦 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 慧
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-174845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273203(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00786835(EP,A2)
【文献】特表2017-513448(JP,A)
【文献】特開2006-019188(JP,A)
【文献】特開2012-089477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/02
H02G 3/12
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象物に固定される第1ユニットと、
前記第1ユニットに対して取り外し可能に装着される第2ユニットと、を備え、
前記第1ユニットは、電力供給を受ける受電部と、交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、前記第2ユニットを装着するための装着スペースと、を有し、
前記第2ユニットは、負荷への電力供給と前記負荷の制御との少なくとも一方を行う機能部を有する配線器具であって、
前記第1ユニットは、前記電力変換部で変換された電力を前記第2ユニットに供給
し、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方は、前記第2ユニットが前記装着スペースに装着された状態で、前記第1ユニットからの前記第2ユニットの取り外しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態と、を切替可能なロック部を有し、
前記ロック部は、前記第1ユニットから前記第2ユニットへ給電されている状態では、前記規制状態から前記解除状態への切り替えが制限される、
配線器具システム。
【請求項2】
前記第2ユニットは、正面視で円形状の円形部を含む、
請求項1に記載の配線器具システム。
【請求項3】
前記第1ユニットは、前記装着スペースを複数有する、
請求項1又は2に記載の配線器具システム。
【請求項4】
前記第1ユニットは、前記装着スペースに、前記第2ユニットの少なくとも一部を収容する凹部を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項5】
前記装着スペースは、前記第2ユニットに代えて、前記第1ユニットからの電力供給を受けて動作する機器を装着可能である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項6】
前記第1ユニットは、前記施工対象物に固定され、配線を引き込む引込部を有するスイッチボックスを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項7】
前記第2ユニットは、前記装着スペースに装着される際に、前記第1ユニットに対する直線的な移動を伴う、
請求項1~6のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項8】
前記第2ユニットは、前記装着スペースに装着される際に、前記第1ユニットに対する相対的な回転を伴う、
請求項1~7のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項9】
前記第1ユニットは、正面視において前記第2ユニットの周囲に配置される化粧プレートを含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項10】
前記装着スペースに装着された状態での前記第2ユニットの姿勢は可変である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項11】
前記第1ユニットは、前記第2ユニットを電気的に接続するための接続部を複数有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項12】
前記複数の接続部は、1つの前記装着スペースに配置されている、
請求項11に記載の配線器具システム。
【請求項13】
前記複数の接続部は、種類が異なる第1の接続部と第2の接続部とを含む、
請求項11又は12に記載の配線器具システム。
【請求項14】
前記複数の接続部のうちの一部の給電用の接続部は、前記装着スペースに装着された前記第2ユニットへ給電し、
前記複数の接続部のうちの前記給電用の接続部以外の1以上の接続部は、前記装着スペースに装着された前記第2ユニットを機械的に保持する、
請求項11~13のいずれか1項に記載の配線器具システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の配線器具システムに前記第1ユニット又は前記第2ユニットとして用いられる、
ユニット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に配線器具システム及びユニット装置に関し、より詳細には、施工対象物に固定され、負荷への電力供給と負荷の制御との少なくとも一方を行う配線器具システム及びユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部電源からの電線が電気的に接続される第1接続部と、電気機器からの電線に設けられた差込プラグが着脱自在に接続される第2接続部と、を備える配線器具(配線装置)が記載されている。この配線器具は、例えば、第1接続部及び第2接続部の1箇所以上に取り付けられた温度測定部と、第1接続部と第2接続部との間を電気的に遮断する遮断部と、を備えている。特許文献1に記載の配線器具は、温度測定部で検出された温度をもとに異常と判断すると、遮断部に接点をオフさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、一度でも、温度測定部で検出された温度から異常と判断されると、遮断部が作動し、その後、配線器具を使用するためには、配線器具の交換が必要になる。また、遮断部が作動しなくても、例えば、遮断部の機能が無いコンセントに、特許文献1に記載の機能を付与するためにも、配線器具の交換が必要になる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図ることが可能な配線器具システム及びユニット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る配線器具システムは、第1ユニットと、第2ユニットと、を備える。前記第1ユニットは、施工対象物に固定される。前記第2ユニットは、前記第1ユニットに対して取り外し可能に装着される。前記第1ユニットは、受電部と、電力変換部と、装着スペースと、を有する。前記受電部は、電力供給を受ける。前記電力変換部は、交流電力を直流電力に変換する。前記装着スペースは、前記第2ユニットを装着するためのスペースである。前記第2ユニットは、機能部を有する配線器具である。前記機能部は、負荷への電力供給と前記負荷の制御との少なくとも一方を行う。前記第1ユニットは、前記電力変換部で変換された電力を前記第2ユニットに供給する。前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方は、前記第2ユニットが前記装着スペースに装着された状態で、前記第1ユニットからの前記第2ユニットの取り外しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態と、を切替可能なロック部を有する。前記ロック部は、前記第1ユニットから前記第2ユニットへ給電されている状態では、前記規制状態から前記解除状態への切り替えが制限される。
【0007】
本開示の一態様に係るユニット装置は、前記配線器具システムに前記第1ユニット又は前記第2ユニットとして用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図ることが可能である、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、実施形態1に係る配線器具システムにおいて第1ユニットから第2ユニットを外した状態を示す概略斜視図である。
図1Bは、同上の配線器具システムにおいて第1ユニットに第2ユニットを装着した状態を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2Aは、同上の配線器具システムの概略正面図である。
図2Bは、同上の配線器具システムの概略右側面図である。
【
図3】
図3は、同上の配線器具システムの第1ユニットの概略分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の配線器具システムの第2ユニットの概略分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の配線器具システムにおいて、第2ユニットの交換例を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、実施形態1の第1変形例に係る配線器具システムを示す概略正面図である。
【
図7】
図7A~
図7Cは、実施形態1の第2変形例に係る配線器具システムを示す概略正面図である。
【
図8】
図8Aは、実施形態1の第3変形例に係る配線器具システムを示す概略斜視図である。
図8Bは、実施形態1の第4変形例に係る配線器具システムを示す概略斜視図である。
図8Cは、実施形態1の第5変形例に係る配線器具システムを示す概略斜視図である。
図8Dは、実施形態1の第6変形例に係る配線器具システムを示す概略斜視図である。
【
図9】
図9Aは、実施形態2に係る配線器具システムにおいて第1ユニットから第2ユニットを外した状態を示す概略正面図である。
図9Bは、同上の配線器具システムにおいて第1ユニットに第2ユニットを装着した状態を示す概略正面図である。
【
図10】
図10Aは、実施形態3に係る配線器具システムの概略正面図である。
図10Bは、同上の配線器具システムの一部を破断した概略右側面図である。
【
図11】
図11Aは、実施形態4に係る配線器具システムの概略正面図である。
図11Bは、同上の配線器具システムにおいてロック部が解除状態にあるときの、
図11AのX-X線断面図である。
図11Cは、同上の配線器具システムにおいてロック部が規制状態にあるときの、
図11AのX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
(1)概要
ここではまず、本実施形態に係る配線器具システム10の概要について、
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る配線器具システム10は、施工対象物3に固定され、負荷4への電力供給と負荷4の制御との少なくとも一方を行う。本開示でいう「施工対象物」は、配線器具システム10が固定される物体であって、例えば、壁、天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。また、本開示でいう「負荷」は、配線器具システム10から電力供給されるか、又は配線器具システム10にて制御される機器(設備、装置及びシステムを含む)であって、例えば、照明器具、空調機器、冷蔵庫、換気扇、情報処理装置又は携帯端末等を含む。
【0012】
すなわち、配線器具システム10は、例えば、コンセント(Outlet)、スイッチ装置、調光装置、人感センサ装置又はタイマ装置等の「配線器具」として用いられるシステムである。例えば、コンセントとしての機能を有する配線器具システム10は、建物の壁等の施工対象物3に固定された状態で使用され、空調機器等の負荷4に対して電力供給を行う。また、例えば、スイッチ装置としての機能を有する配線器具システム10は、建物の壁等の施工対象物3に固定された状態で使用され、照明器具等の負荷4に対する通電をオン/オフすることで、負荷4を制御する。
【0013】
このような配線器具システム10は、例えば、施設に用いられる。本実施形態では、配線器具システム10が、例えば、集合住宅又は戸建住宅等の住宅施設に用いられる場合を例示する。この例に限らず、配線器具システム10は、例えば、オフィスビル、店舗、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院、ホテル又は工場等の非住宅施設に用いられてもよい。要するに、住宅施設、非住宅施設を問わず、様々な施設において、負荷4となる機器が数多く用いられているところ、これらの機器の電力供給又は制御に、配線器具システム10を利用可能である。さらに、配線器具システム10は、屋内での使用に限らず、例えば、公園又はグランド等の屋外施設における特定の空間で使用されてもよい。屋外用途においては、配線器具システム10は、防水性(防雨性及び防滴性を含む)、及び対候性等について所定の性能を満たすことが好ましい。
【0014】
一般的な配線器具は、この種の施設において、例えば、スイッチボックス等の取付部材を用いて壁等の施工対象物3に固定されている。そして、一般的な配線器具は、配線(電線)を接続するための端子を有しており、壁(施工対象物3)内に引き回された配線が端子に接続されることで、配線を介して電源又は負荷4に電気的に接続される。例えば、このような配線器具の交換等に際しては、配線器具に対する配線のつなぎ替えを伴うために、一定以上のスキルが必要であり、さらに国又は地域等によっては特定の資格が必要となる。そのため、一般的な配線器具においては、その交換等に手間が掛かる可能性がある。本実施形態に係る配線器具システム10は、以下の構成を採用することにより、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図っている。
【0015】
本実施形態に係る配線器具システム10は、第1ユニット1と、第2ユニット2と、を備えている。第1ユニット1は、施工対象物3に固定される。第2ユニット2は、第1ユニット1に対して取り外し可能に装着される。第1ユニット1は、受電部11(
図3参照)と、装着スペース12(
図1A参照)と、を有する。受電部11は、電力供給を受ける。装着スペース12は、第2ユニット2を1つ装着するためのスペースである。第2ユニット2は、機能部21(
図4参照)を有する配線器具である。機能部21は、負荷4への電力供給と負荷4の制御との少なくとも一方を行う。第1ユニット1は第2ユニット2に給電する。
【0016】
すなわち、配線器具システム10は、上記構成を採用することにより、配線器具の交換に係る手間の軽減を図ることができる。要するに、配線器具としての第2ユニット2は、施工対象物3に固定される第1ユニット1に対して取り外し可能に装着されるので、第2ユニット2を第1ユニット1から取り外すことで、第2ユニット2のみを施工対象物3から取り外すことが可能である。このとき、電力供給を受けるための受電部11を備えた第1ユニット1は、施工対象物3側に残るので、受電部11に対する配線51(
図2B参照)のつなぎ替えを行わずとも、配線器具としての第2ユニット2の交換等が可能となる。したがって、配線器具システム10によれば、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図ることが可能である。
【0017】
また、本実施形態に係るユニット装置は、配線器具システム10に第1ユニット1又は第2ユニット2として用いられる装置である。言い換えれば、第1ユニット1及び第2ユニット2は、それぞれユニット装置にて構成されている。そのため、配線器具システム10全体でみれば、第1ユニット1としてのユニット装置に対して、第2ユニット2としてのユニット装置が取り外し可能に装着されることになる。
【0018】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る配線器具システム10の構成について、
図1A~
図4を参照して、詳しく説明する。
【0019】
(2.1)前提
本実施形態では一例として、配線器具システム10が、コンセント(Outlet)、スイッチ装置、調光装置、人感センサ装置又はタイマ装置といった様々な配線器具のうち、コンセントとしての機能を有する場合について説明する。つまり、本実施形態では、配線器具システム10は、負荷4としての電気機器のプラグが接続されて負荷4への電力供給を行うアウトレット(Outlet)として機能する。
【0020】
また、本実施形態では一例として、配線器具システム10が住宅施設の壁に固定される場合について説明する。つまり、施工対象物3は、住宅施設の壁である。
【0021】
以下、施工対象物3である住宅施設の壁に配線器具システム10が固定された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、配線器具システム10を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する場合がある。また、上下方向と直交し、かつ施工対象物3の表面に平行な方向を「左右方向」とし、配線器具システム10を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり施工対象物3の表面に直交する方向を「前後方向」とし、施工対象物3の裏面側(壁裏側)を「後方」として説明する場合がある。ただし、これらの方向は配線器具システム10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0022】
また、本開示でいう「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。つまり、施工対象物3の表面と前後方向との間の角度は、90度に対してある程度の誤差(一例として10度以下)の範囲内に収まる。本実施形態では、一例として、施工対象物3の表面と前後方向との間の角度は90度である。本開示でいう「平行」についても同様に、厳密に二者間の角度が0度である状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略平行する状態も含む意味である。
【0023】
(2.2)全体構成
配線器具システム10は、
図1A~
図2Bに示すように、第1ユニット1と、第2ユニット2と、を備えている。第1ユニット1は、施工対象物3(本実施形態では住宅施設の壁)に固定される。第2ユニット2は、第1ユニット1に対して取り外し可能に装着される。
【0024】
図1Aは、第2ユニット2が第1ユニット1から取り外された状態の概略斜視図であって、
図1Bは、第2ユニット2が第1ユニット1に装着された状態の概略斜視図である。また、
図2A及び
図2Bでは、第1ユニット1に装着された状態の第2ユニット2を想像線(2点鎖線)で示している。
【0025】
施工対象物3は、壁パネル31と、壁パネル31の背面(後面)側に位置する柱32と、を有している。壁パネル31は、柱32に対して固定されている。施工対象物3は、第1ユニット1に対応する位置に施工孔33を有している。施工孔33は、壁パネル31を厚み方向(前後方向)に貫通している。本実施形態では一例として、施工孔33は、正面視において円形(真円)状に形成されている。
【0026】
第1ユニット1は、壁パネル31の背面側に配置されている。第1ユニット1は、例えば、木ねじ等の固定具34(
図1A参照)によって柱32に取り付けられることにより、施工対象物3に対して固定される。壁パネル31の背面側に配置された第1ユニット1は、施工孔33を通して壁パネル31の前方に露出する。つまり、施工孔33を通すことで、壁パネル31の前面側から第1ユニット1にアクセス可能である。
【0027】
第1ユニット1は、受電部11と、装着スペース12と、を有する。受電部11は、電力供給を受ける。装着スペース12は、第2ユニット2を1つ装着するためのスペースである。受電部11には、配線51(
図2B参照)が電気的に接続される。配線51は、例えば、分電盤53(
図8D参照)等の電気設備を介して、系統電源又は分散電源等の電源に電気的に接続されている。これにより、受電部11は、電源から配線51を介して電力供給を受けることになる。
【0028】
また、第1ユニット1の装着スペース12は、第2ユニット2の少なくとも一部を収容する凹部121(
図1A参照)を有している。ここでは、凹部121は、第1ユニット1の前面の一部が後方に凹んだ形に形成されることで、前方に開放されている。凹部121は、第2ユニット2を装着するための装着スペース12に含まれている。本実施形態では一例として、
図2Aに示すように、凹部121は、正面視において施工孔33よりも一回り小さい円形状に形成されている。これにより、第1ユニット1の装着スペース12に第2ユニット2が装着された状態では、装着スペース12の凹部121に、第2ユニット2の少なくとも一部が収容されることになる。本実施形態では、凹部121が前方に開放されているので、少なくとも第2ユニット2の後部が凹部121に収容されることになる。
【0029】
また、第1ユニット1は、スイッチボックス13を含んでいる。スイッチボックス13は、施工対象物3に固定される。さらに、スイッチボックス13は、配線51を引き込む引込部131(
図3参照)を有している。本実施形態では、第1ユニット1は、その外郭として箱状のスイッチボックス13を有し、かつ受電部11等をスイッチボックス13内に有している。第1ユニット1は、スイッチボックス13が木ねじ等の固定具34にて柱32に取り付けられることにより、施工対象物3に対して固定されている。そして、引込部131からスイッチボックス13に配線51が引き込まれることで、スイッチボックス13内において、受電部11に配線51を電気的に接続可能となる。本実施形態では、第1ユニット1は、壁パネル31の背面側に配置されるので、スイッチボックス13は、埋込型のスイッチボックスである。
【0030】
第2ユニット2は、第1ユニット1に対して取り外し可能に装着される。言い換えれば、第2ユニット2は、第1ユニット1に対して着脱可能である。本実施形態では、第2ユニット2は、壁パネル31の前面側から施工孔33を通して第1ユニット1に装着される。そして、第2ユニット2は、第1ユニット1に装着された状態で、第1ユニット1から電力供給されるように構成されている。つまり、第1ユニット1は第2ユニット2に給電する。
【0031】
本実施形態では、第2ユニット2は、正面視で円形状の円形部22を含んでいる。円形部22は、円柱状に形成されている。また、第2ユニット2は、円形部22の前端部と一体化されており、正面視で正方形状の前板部23を含んでいる。前板部23は、円形部22の全周から前板部23が側方(上方、下方、左方及び右方)に張り出すように、円形部22の前面よりも一回り大きく形成されている。言い換えれば、円形部22は、前板部23の投影面内に収まっているのであって、板状の前板部23における背面の中央部から円柱状の円形部22が後方に突出する形となる。
【0032】
第2ユニット2は、機能部21(
図4参照)を有する配線器具である。機能部21は、負荷4への電力供給と負荷4の制御との少なくとも一方を行う。本実施形態では、第2ユニット2は、負荷4のプラグを接続可能なコンセント(Outlet)としての機能を有する。したがって、機能部21は、負荷4への電力供給を行うコンセントブロックである。負荷4は、そのプラグに一対の差込片41を有している。本開示でいう「差込片」は、プラグのうちのコンセント(第2ユニット2)に差し込まれる導電性部材を意味し、例えば、栓刃又はピンである。本実施形態では、一対の差込片41の各々は、金属の平板からなる栓刃である。一対の差込片41は、各差込片41の厚み方向において互いに対向するように配置されている。
【0033】
本実施形態では、第2ユニット2は、接地極無しの交流100V用であって、1個のプラグを接続可能な1個口タイプのコンセントとしての機能を有する。具体的には、第2ユニット2は、前板部23に一対の差込孔231を有している。一対の差込孔231は、第2ユニット2の前面に開口するように設けられている。一対の差込孔231は、プラグの一対の差込片41を差込可能に構成されている。機能部21は、一対の差込孔231に一対の差込片41が差し込まれた状態で、負荷4に対して電力供給を行い、かつプラグを機械的に保持する。
【0034】
ここで、第2ユニット2は、装着スペース12に装着される際に、第1ユニット1に対する直線的な移動を伴う。すなわち、第2ユニット2を第1ユニット1に装着するに際しては、
図1Aに示すように、少なくとも第1ユニット1に対する第2ユニット2の直線的な移動を伴う。さらに、第2ユニット2は、装着スペース12に装着される際に、第1ユニット1に対する相対的な回転を伴う。すなわち、第2ユニット2を第1ユニット1に装着するに際しては、
図1Bに示すように、少なくとも第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転を伴う。より詳細には、第2ユニット2は、第1ユニット1に対して矢印A1(
図1A参照)の方向に真っ直ぐ差し込まれた後、第1ユニット1に対して矢印A2(
図1B参照)の方向に回転させられることにより、第1ユニット1に装着される。ここで、第2ユニット2の装着時と取外し時とでは、第2ユニット2は反対方向に回転させられる。本実施形態では一例として、第1ユニット1への第2ユニット2の装着時には第2ユニット2は正面視で時計回りに回転し、第1ユニット1から第2ユニット2を取外し時には第2ユニット2は正面視で反時計回りに回転する。
【0035】
本実施形態では、第1ユニット1は、第2ユニット2を電気的かつ機械的に接続するための構成として、引掛シーリングローゼットを採用している。具体的には、第1ユニット1は、角型の引掛シーリングローゼット(
図3参照)を受電部11として用いている。これにより、第2ユニット2における一対の接続端子24(
図4参照)が、受電部11に対して前方から差し込まれ、更に正面視で時計回りに回転させられることにより、第2ユニット2が第1ユニット1の受電部11に対して電気的かつ機械的に接続される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る配線器具システム10は、第1ユニット1と、第2ユニット2と、の2つのユニットに分割されている。そのため、第1ユニット1が施工対象物3に固定され、かつ第2ユニット2が第1ユニット1に装着されることをもって、配線器具システム10全体が施工対象物3に取り付けられることになる。そして、配線器具システム10全体が施工対象物3に取り付けられた状態では、
図2A及び
図2Bに示すように、第1ユニット1は勿論のこと、第2ユニット2の円形部22についても、施工孔33を通して施工対象物3に埋め込まれる。このとき、第2ユニット2の前板部23が施工孔33を前方から覆うことで、施工孔33は塞がることになる。
【0037】
また、配線器具システム10全体が施工対象物3に取り付けられた状態で、第1ユニット1の前面は、壁パネル31における施工孔33の周辺に後方から接触する。さらに、第2ユニット2の前板部23の背面(後面)は、壁パネル31における施工孔33の周辺に前方から接触する。そのため、第1ユニット1の一部と第2ユニット2の一部(前板部23)との間に、壁パネル31を挟んだ状態で、配線器具システム10が施工対象物3に取り付けられることになる。さらに、配線器具システム10の壁パネル31の表面からの突出量は、前板部23の厚み寸法と略等しくなる。
【0038】
(2.3)第1ユニットの構成
次に、第1ユニット1の構成について、
図3を参照してより詳しく説明する。
【0039】
第1ユニット1は、
図3に示すように、受電部11と、スイッチボックス13と、内カバー14と、挿入ガイド15と、を有している。すなわち、本実施形態においては、第1ユニット1は、上述した受電部11、装着スペース12及びスイッチボックス13に加えて、内カバー14及び挿入ガイド15を更に有している。
【0040】
受電部11は、上述したように、角型の引掛シーリングローゼットである。本実施形態では一例として、受電部11は、正面視において上下方向よりも左右方向に長い直方体状に形成されている。受電部11は、配線51(
図2B参照)を接続するための端子を、背面側に有している。
【0041】
さらに、受電部11は、一対の接続口111を有している。一対の接続口111は、受電部11の前面における左右方向の両端部に位置する。一対の接続口111の各々は、受電部11の前面の中心点を中心とする仮想円に沿った弧状に形成されている。ここで、一対の接続口111の各々は、受電部11の前面の中心点周りの周方向の一端部に、他の部位よりも幅広な幅広部を有している。よって、一対の接続口111に対し、第2ユニット2における一対の接続端子24が幅広部から差し込まれ、第2ユニット2が正面視で時計回りに回転させられることで、第2ユニット2が受電部11に対して電気的かつ機械的に接続される。これにより、第2ユニット2は、受電部11を介して配線51に電気的に接続されることとなり、第1ユニット1は、第2ユニット2へ給電可能となる。
【0042】
本実施形態では、受電部11は、一対のボルト161及び一対のカラー162を用いて、スイッチボックス13に固定される。一対のボルト161及び一対のカラー162は、受電部11の一対の透孔112及びスイッチボックス13の一対の透孔132を通して、受電部11及びスイッチボックス13を挟み込んだ状態で、互いに締結する。厳密には、一対のカラー162は、一対の透孔112に挿入された状態で受電部11に固定されている。一対の透孔112は、受電部11を前後方向に貫通しており、一対の透孔132はスイッチボックス13の底板を前後方向に貫通している。これにより、受電部11は、スイッチボックス13の底板に固定されることになる。
【0043】
スイッチボックス13は、前面が開口した箱状に形成されている。本実施形態では一例として、スイッチボックス13は、金属製であって、正面視において略正方形状に形成されている。スイッチボックス13は、引込部131としての孔を、スイッチボックス13の底板(後壁)の中央部に有している。したがって、スイッチボックス13は、背面(後面)側からスイッチボックス13内に、引込部131を通して配線51を引き込むことが可能である。スイッチボックス13内に引き込まれた配線51は、スイッチボックス13内において受電部11に電気的に接続される。スイッチボックス13の底板における引込部131の左右方向の両側には、一対の透孔132が形成されている。
【0044】
スイッチボックス13の左側壁には、スイッチボックス13を施工対象物3に固定するための一対の固定用孔133が形成されている。つまり、スイッチボックス13は、一対の固定用孔133を通して、木ねじ等の固定具34(
図1A参照)を施工対象物3の柱32に締め付けることにより、施工対象物3に対して固定される。スイッチボックス13の右側壁には、一対の固定用孔133と対向する位置に一対の操作用孔134が形成されている。これにより、木ねじ等の固定具34は、各操作用孔134を通してドライバ等の治具にて操作可能となる。
【0045】
内カバー14は、スイッチボックス13内に収容され、受電部11のカバーとして機能する。本実施形態では一例として、内カバー14は、樹脂製であって、正面視において略正方形状に形成されている。正面視において、内カバー14の外周縁は、スイッチボックス13の周壁の内周縁と略一致する。そのため、内カバー14がスイッチボックス13に収容された状態では、内カバー14がスイッチボックス13に嵌ることになり、少なくとも前後方向に直交する方向への、スイッチボックス13に対する内カバー14の移動が規制される。内カバー14は、受電部11を前方から覆うように、スイッチボックス13に対して組み合わされる。これにより、受電部11は、スイッチボックス13の底板と内カバー14との間に収容されることになる。
【0046】
本実施形態では、内カバー14の背面(後面)側には、凹所が形成されており、この凹所内に受電部11が収容される。すなわち、受電部11の少なくとも一部が内カバー14の背面から内カバー14内に入り込むように、内カバー14と受電部11とが組み合わされる。これにより、内カバー14をスイッチボックス13の底板付近に配置することが可能である。本実施形態では、内カバー14は、スイッチボックス13の内部空間において、前後方向における中心よりも底板側(つまり後ろ側)に配置されている。
【0047】
ここで、内カバー14には、窪み141が形成されている。窪み141は、内カバー14の前面の一部が後方に凹んだ形に形成されることで、前方に開放されている。本実施形態では一例として、窪み141は、正面視において施工孔33よりも一回り小さい円形状に形成されている(
図2A参照)。窪み141の内径は、第2ユニット2における円形部22の外径以上で、実際には円形部22の外径と略同じである。
【0048】
さらに、内カバー14は、受電部11の一対の接続口111に対応する位置及び形状に形成された、一対の挿通孔142を有している。一対の挿通孔142は、窪み141の底面に開口しており、内カバー14を厚み方向(前後方向)に貫通する。具体的には、一対の挿通孔142は、正面視において、受電部11の一対の接続口111と重なるように、一対の接続口111と同一の位置及び形状に形成されている。そのため、装着スペース12へ第2ユニット2を装着する際には、一対の接続口111に対し、第2ユニット2における一対の接続端子24が一対の挿通孔142を通して差し込まれる。そして、一対の接続端子24が一対の挿通孔142を通して一対の接続口111に差し込まれた状態で、第2ユニット2が正面視で時計回りに回転させられることで、第2ユニット2が受電部11に対して電気的かつ機械的に接続されることになる。
【0049】
挿入ガイド15は、スイッチボックス13の前端部に取り付けられ、第1ユニット1に対して第2ユニット2を装着(又は取外し)する際に、第2ユニット2の移動方向を規制するガイドとして機能する。本実施形態では一例として、挿入ガイド15は、樹脂製であって、正面視において略正方形状に形成されている。挿入ガイド15の前端部を除いて、正面視において、挿入ガイド15の外周縁は、スイッチボックス13の周壁の内周縁と略一致する。さらに、挿入ガイド15の前端部は、正面視において、スイッチボックス13の開口面よりも僅かに大きく形成されている。そのため、挿入ガイド15は、スイッチボックス13の前端部に前方から嵌め込むように取り付けられ、少なくとも前後方向に直交する方向への、スイッチボックス13に対する挿入ガイド15の移動が規制される。
【0050】
ここで、挿入ガイド15には、挿入ガイド15を厚み方向(前後方向)に貫通するガイド孔151が形成されている。ここでは、挿入ガイド15が枠体を成すように、ガイド孔151は、正面視において、挿入ガイド15の外周部のみを残して挿入ガイド15の大部分に形成されている。
【0051】
本実施形態では一例として、ガイド孔151は、正面視において、窪み141と重なるように、窪み141と同一の位置に形成されている。さらに、ガイド孔151は、正面視において、窪み141と同一の円形状を基準としつつ、周方向の一部のみが、窪み141に比べて拡大された形状に形成されている(
図2A参照)。ガイド孔151の内径(最小内径)は、窪み141の内径と同一である。つまり、ガイド孔151の内径(最小内径)は、第2ユニット2における円形部22の外径以上で、実際には円形部22の外径と略同じである。そのため、ガイド孔151の内周面は、正面視において、複数箇所(
図2Aの例では8箇所)で窪み141の内周面と重なることになる。
【0052】
以上説明したような構成の受電部11、スイッチボックス13、内カバー14及び挿入ガイド15が組み合わされることにより、第1ユニット1が構成される。そして、第1ユニット1に第2ユニット2が装着された状態では、挿入ガイド15のガイド孔151を通して、内カバー14の窪み141内に、第2ユニット2の円形部22が挿入されることになる。そのため、挿入ガイド15のガイド孔151、及び内カバー14の窪み141は、それぞれ第2ユニット2が収容される凹部121(
図1A参照)の一部を構成することになる。よって、挿入ガイド15のガイド孔151、及び内カバー14の窪み141は、装着スペース12に含まれる。窪み141の底面は、装着スペース12に形成された凹部121の底面を構成する。
【0053】
そして、挿入ガイド15におけるガイド孔151の内周面、及び内カバー14における窪み141の内周面が、第2ユニット2の円形部22の外周面に接触することで、挿入ガイド15及び内カバー14は、第2ユニット2の移動方向を規制する。つまり、挿入ガイド15及び内カバー14によって、第1ユニット1に対する第2ユニット2の、前後方向に直交する方向への移動が制限されることになる。
【0054】
したがって、装着スペース12(凹部121)に対して第2ユニット2を挿抜する際に、挿入ガイド15及び内カバー14がガイドとして機能し、前後方向以外への第2ユニット2の移動が制限される。その結果、前後方向への第2ユニット2の移動を伴う、第2ユニット2の装着(又は取外し)が、比較的容易になる。また、第1ユニット1に対して第2ユニット2を相対的に回転させる際にも、挿入ガイド15及び内カバー14がガイドとして機能し、第2ユニット2の回転以外の第2ユニット2の移動が制限される。その結果、第2ユニット2の回転を伴う、第2ユニット2の装着(又は取外し)が、比較的容易になる。
【0055】
(2.4)第2ユニットの構成
次に、第2ユニット2の構成について、
図4を参照してより詳しく説明する。
【0056】
第2ユニット2は、
図4に示すように、機能部21と、円形部22と、前板部23と、一対の接続端子24と、取付カバー27と、を有している。すなわち、本実施形態においては、第2ユニット2は、上述した機能部21、円形部22、前板部23及び一対の接続端子24に加えて、取付カバー27を更に有している。
【0057】
機能部21は、上述したように、負荷4への電力供給を行うコンセント(Outlet)ブロックである。本実施形態では一例として、機能部21は、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠に固定される埋込形配線器具である。具体的には、機能部21は、正面視において上下方向よりも左右方向に長い直方体状に形成されている。機能部21は、電線を接続するための端子を、背面側に有している。機能部21の端子に対しては、一対の接続端子24につながる電線が接続される。
【0058】
さらに、機能部21は、一対の差込口211を有している。一対の差込口211は、機能部21の前面において左右方向に互いに対向するように配置されている。一対の差込口211は、負荷4のプラグの一対の差込片41を差込可能に構成されている。機能部21は、一対の差込口211に一対の差込片41が差し込まれた状態で、負荷4に対して電力供給を行い、かつプラグを機械的に保持する。
【0059】
より詳細には、機能部21は、例えば、ユリア樹脂又はASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)樹等の樹脂製のケース212を有し、このケース212の前面に一対の差込口211が形成されている。機能部21は、ケース212内における一対の差込口211に対応する位置に、一対の導電部材を有している。各導電部材は、導電性及び弾性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。導電部材は、差込口211に差し込まれた差込片41を機械的に保持し、かつ差込片41と電気的に接続される。本実施形態では、差込片41が栓刃であるので、導電部材は、差込片41を挟んで保持する刃受部材である。
【0060】
また、機能部21は、左右方向におけるケース212の両端面から突出する複数の取付片213を更に有している。これら複数の取付片213は、機能部21を、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠に固定する際に用いられる。本実施形態では、これら複数の取付片213を利用することで、円形部22への機能部21の固定を実現する。
【0061】
円形部22は、中空部25と、蓋体26と、を含んでいる。中空部25は、正面視において円形状となる、円筒状に形成されている。蓋体26は、正面視において円形状となる、円盤状に形成されている。蓋体26は、中空部25の背面(後面)を塞ぐように、中空部25に対して結合される。このように中空部25に蓋体26が組み合わされることにより、円形部22が構成される。本実施形態では一例として、円形部22を構成する中空部25及び蓋体26は、いずれも樹脂製である。
【0062】
中空部25は、蓋体26及び取付カバー27を中空部25に固定するための一対のねじ孔251を有している。具体的には、蓋体26は、一対のねじ孔251に対して後方から挿入される一対のねじ281により、中空部25に対して結合される。取付カバー27は、一対のねじ孔251に対して前方から挿入される一対のねじ282により、中空部25に対して結合される。
【0063】
また、中空部25は、その内部空間に機能部21の少なくとも一部を収容する。中空部25は、機能部21を固定するための一対の固定部252を更に有している。一対の固定部252は、中空部25の内周面のうち、左右方向において互いに対向する位置から、互いに近づく向きに突出する。各固定部252は、上下方向に並ぶ一対の固定凹部253を有している。各固定凹部253は、前方に開放されている。
【0064】
また、中空部25は、前板部23を固定するための一対の透孔254を更に有している。各透孔254は、中空部25を、その厚み方向(径方向)に貫通する。具体的には、前板部23は、一対の透孔254に対して側方から挿入される一対のねじ284により、中空部25に対して結合される。このとき、一対のねじ284は、前板部23の背面(後面)から後方に突出する一対の突片に対して、締め付けられる。
【0065】
蓋体26は、中空部25の後端部に取り付けられ、中空部25の背面(後面)を塞ぐ。蓋体26の後端部を除いて、正面視において、蓋体26の外周縁は中空部25の内周縁と略一致する。さらに、蓋体26の後端部は、正面視において、中空部25の開口面よりも僅かに大きく形成されている。そのため、蓋体26は、中空部25の後端部に後方から嵌め込むように取り付けられ、少なくとも前後方向に直交する方向への、中空部25に対する蓋体26の移動が規制される。
【0066】
ここで、蓋体26には、窪み261が形成されている。窪み261は、蓋体26の前面の一部が後方に凹んだ形に形成されることで、前方に開放されている。本実施形態では一例として、窪み261は、機能部21の後端部を収容できるよう、機能部21の後端部よりも一回り大きく形成されている。
【0067】
また、蓋体26は、上述した一対のねじ281を通すための一対の透孔262を更に有している。つまり、一対のねじ281が、一対の透孔262を通して一対のねじ孔251に締め付けられることにより、蓋体26が中空部25に結合される。
【0068】
また、蓋体26の背面(後面)には、一対の接続端子24が固定される。一対の接続端子24は、蓋体26の背面における左右方向の両端部に配置され、一対のねじ283にて蓋体26に固定される。各接続端子24は、導電性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。一対の接続端子24は、それぞれの後端部が内側、つまり互いに近づく向きに曲がった形状に形成されている。これにより、第2ユニット2は、一対の接続端子24が一対の接続口111(
図3参照)に差し込まれた状態で、正面視で時計回りに回転させられることで、一対の接続端子24が受電部11に引っ掛かり、受電部11に対して電気的かつ機械的に接続される。
【0069】
前板部23は、機能部21の一対の差込口211に対応する位置及び形状に形成された、一対の差込孔231を有している。一対の差込孔231は、前板部23の前面における中央部に開口しており、前板部23を厚み方向(前後方向)に貫通する。具体的には、一対の差込孔231は、正面視において、機能部21の一対の差込口211と重なるように、一対の差込口211と同一の位置及び形状に形成されている。そのため、負荷4のプラグを機能部21に接続する際には、差込口211に対し、プラグにおける一対の差込片41が一対の差込孔231を通して差し込まれる。そして、一対の差込片41が一対の差込孔231を通して一対の差込口211に差し込まれた状態で、負荷4が機能部21に対して電気的にかつ機械的に接続されることになる。
【0070】
取付カバー27は、中空部25の前端部に取り付けられ、中空部25(円形部22)に対して機能部21を固定する機能を有している。本実施形態では一例として、取付カバー27は、金属製であって、正面視において略円形状に形成されている。正面視において、取付カバー27の外周縁は、中空部25の内周縁と略一致する。そのため、取付カバー27は、中空部25の前端部に前方から嵌め込むように取り付けられ、少なくとも前後方向に直交する方向への、中空部25に対する取付カバー27の移動が規制される。
【0071】
ここで、取付カバー27には、取付カバー27を厚み方向(前後方向)に貫通する取付孔271が形成されている。ここでは、取付カバー27が枠体を成すように、取付孔271は、正面視において、取付カバー27の外周部のみを残して取付カバー27の大部分に形成されている。
【0072】
本実施形態では一例として、取付孔271の内周縁は、正面視において、機能部21の前端部の外周縁と略一致する。そのため、取付カバー27と機能部21とを組み合わせた状態では、機能部21の前端部は、取付カバー27の取付孔271を通して取付カバー27の前面から前方に突出することになる。
【0073】
また、取付カバー27は、上述した一対のねじ282を通すための一対の透孔272を更に有している。つまり、一対のねじ282が、一対の透孔272を通して一対のねじ孔251に締め付けられることにより、取付カバー27が中空部25に結合される。
【0074】
そして、取付カバー27が中空部25に結合された状態では、取付カバー27は、中空部25(円形部22)に対して機能部21を固定する。本実施形態では一例として、取付カバー27は、少なくとも機能部21の一部(ここでは取付片213)を、中空部25における一対の固定部252との間で挟むことによって、中空部25(円形部22)に対して機能部21を固定する。具体的には、機能部21の各取付片213が、固定部252の各固定凹部253に嵌った状態で、取付カバー27が前方から機能部21の各取付片213を押さえつけることにより、取付カバー27は、各固定凹部253内に各取付片213を保持する。これにより、機能部21は、中空部25(円形部22)に対して固定されることになる。
【0075】
以上説明したような構成の機能部21、円形部22(中空部25及び蓋体26)、前板部23、一対の接続端子24及び取付カバー27が組み合わされることにより、第2ユニット2が構成される。
【0076】
(3)第2ユニットの交換例
次に、本実施形態に係る配線器具システム10における第2ユニット2の交換例について、
図5を参照して説明する。
図5は、第2ユニット2の交換例を模式的に示す説明図であって、例えば、施工孔33から露出する第1ユニット1の形状等について、適宜簡略化して図示している。
【0077】
本実施形態では、第1ユニット1に対して、複数種類の第2ユニット201~207が装着可能である。複数種類の第2ユニット201~207を特に区別しない場合、複数種類の第2ユニット201~207の各々を単に「第2ユニット2」という。すなわち、本実施形態に係る配線器具システム10では、第2ユニット2が第1ユニット1に装着されることをもって、配線器具システム10全体が施工対象物3に取り付けられることになる。そのため、本実施形態に係る配線器具システム10では、施工対象物3に固定された第1ユニット1を残したまま、第2ユニット2のみを別の第2ユニット2に交換することが可能である。これにより、配線器具システム10では、例えば、上述したようにコンセント(Outlet)としての機能を有する第2ユニット201に代えて、第2ユニット202~207を第1ユニット1に装着することで、自在に機能を取り替えることができる。結果として、配線器具システム10では、様々な機能を有する配線器具を実現可能となる。
【0078】
すなわち、
図5に示すように、複数種類の第2ユニット2がラインナップされることにより、配線器具システム10によって様々な配線器具の機能を実現可能である。これら複数種類の第2ユニット202~207は、第1ユニット1に対する電気的及び機械的な接続に係る構成としては、第2ユニット201と共通の構成を採用している。そして、これら複数種類の第2ユニット201~207は、正面視における形状及び寸法が同一となるように形成されている。そのため、各第2ユニット2は、第1ユニット1に対して差し込まれた後、第1ユニット1に対して正面視で時計回りに回転させられることにより、第1ユニット1に装着される。
【0079】
図5の例において、第2ユニット202は、ボリューム、ロータリエンコーダ又はロータリスイッチ等の回転操作型のユーザインタフェースを含み、負荷制御装置としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット202は、ユーザインタフェースが受け付けたユーザの操作に応じて、照明器具等の負荷4に対する通電状態を制御することにより、負荷4を制御する。第2ユニット203は、USB(Universal Serial Bus)のコンセント(Outlet)としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット203は、負荷4のUSBプラグを差込接続可能なUSBのレセプタクルを有し、USBプラグを通じて負荷4に5Vの直流電圧を出力するように構成されている。
【0080】
また、第2ユニット204は、磁力によってプラグを吸着する、マグネットコンセント(Outlet)としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット204は、負荷4のプラグをマグネットの磁力で吸引することにより、プラグを通じて負荷4に交流又は直流の電力を供給するように構成されている。第2ユニット205は、人感センサ又は明るさ等のセンサを含み、負荷制御装置としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット205は、センサの検知結果に応じて、照明器具等の負荷4に対する通電状態を制御することにより、負荷4を制御する。
【0081】
また、第2ユニット206は、押ボタン式、シーソ式又はタッチ式のユーザインタフェースを含み、スイッチ装置としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット206は、ユーザインタフェースが受け付けたユーザの操作に応じて、照明器具等の負荷4に対する通電状態を制御することにより、負荷4を制御する。特に、第2ユニット206は、ユーザインタフェースを複数(ここでは4つ)含んでおり、機能部21として複数(ここでは4つ)のスイッチを有している。そのため、1つの第2ユニット206にて、複数(ここでは4つ)の負荷4を制御することが可能である。また、第2ユニット207は、押ボタン式、シーソ式又はタッチ式のユーザインタフェースを含み、スイッチ装置としての機能を有する配線器具である。この第2ユニット207は、ユーザインタフェースが受け付けたユーザの操作に応じて、照明器具等の負荷4に対する通電状態を制御することにより、負荷4を制御する。
【0082】
要するに、本実施形態に係る配線器具システム10では、配線器具としての第2ユニット2は、施工対象物3に固定される第1ユニット1に対して取り外し可能に装着される。そのため、第2ユニット2を第1ユニット1から取り外すことで、第2ユニット2のみを施工対象物3から取り外すことが可能である。このとき、電力供給を受けるための受電部11を備えた第1ユニット1は、施工対象物3側に残るので、受電部11に対する配線のつなぎ替えを行わずとも、配線器具としての第2ユニット2の交換等が可能となる。したがって、上述したように複数種類の第2ユニット2がラインナップされている場合、第2ユニット2の交換により、配線器具システム10にて様々な配線器具の機能を実現可能である。
【0083】
さらに、第1ユニット1は、複数種類の第2ユニット2に共有されるので、配線器具システム10全体としての配線器具の種類を変更する場合でも、第1ユニット1については再利用することが可能である。また、既設の第2ユニット2から別の第2ユニット2に交換する場合だけでなく、第2ユニット2を新設する場合であっても、上述したような種々の第2ユニット2を採用可能である。
【0084】
ところで、本実施形態に係る配線器具システム10では、装着スペース12は、第2ユニット2に代えて、第1ユニット1からの電力供給を受けて動作する機器601,602を装着可能である。
図5においては、複数種類(ここでは2種類)の機器601,602を示しているが、複数種類の機器601,602を特に区別しない場合、複数種類の機器601,602の各々を単に「機器6」という。すなわち、本実施形態に係る配線器具システム10では、第2ユニット2が第1ユニット1に装着されることをもって、配線器具システム10全体が施工対象物3に取り付けられることになる。そのため、本実施形態に係る配線器具システム10では、施工対象物3に固定された第1ユニット1を残したまま、第2ユニット2を機器6に交換することが可能である。
【0085】
ここで、機器6についても、
図5に示すように複数種類の機器601,602がラインナップされることにより、配線器具システム10によって様々な機器6の機能を実現可能である。これら複数種類の機器601,602は、第1ユニット1に対する電気的及び機械的な接続に係る構成としては、第2ユニット201と共通の構成を採用している。そして、これら複数種類の機器601,602は、正面視における形状及び寸法が第2ユニット2と同一となるように形成されている。そのため、各機器6は、第1ユニット1に対して差し込まれた後、第1ユニット1に対して正面視で時計回りに回転させられることにより、第1ユニット1に装着される。
【0086】
図5の例において、機器601は、光を出力する照明機器(ダウンライト、非常灯及び足元灯等を含む)としての機能を有する。この機器601は、第1ユニット1からの電力供給を受けて光源を点灯させることにより、周囲を照明する。機器602は、音(音声、ビープ音及びメロディ等を含む)を出力する音出力機器(スピーカ及びAIスピーカを含む)としての機能を有する。この機器602は、第1ユニット1からの電力供給を受けて、電気信号を音に変換することで、音を出力する。
【0087】
ただし、
図5に示す機器6は一例に過ぎず、照明機器及び音出力機器の他にも、例えば、ディスプレイ、通信機器又は計測機器等を機器6として採用可能である。
【0088】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0089】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0090】
(4.1)第1変形例
第1変形例に係る配線器具システム10Aでは、
図6A~
図6Cに示すように、装着スペース12の形状が、実施形態1の配線器具システム10とは異なる。
図6A~
図6Cでは、第2ユニット2を想像線(2点鎖線)で示している。
図6A~
図6Cでは、例えば、施工孔33から露出する第1ユニット1の形状等について、適宜簡略化して図示している。
【0091】
本変形例では、第1ユニット1は、第2ユニット2を電気的かつ機械的に接続するための構成として、引掛シーリングローゼットに代えて、例えばIタイプのコンセント(Outlet)のような差込式接続器を採用している。具体的には、第1ユニット1は、その前面にIタイプのコンセント(Outlet)を構成する挿通孔142Aを有している。これにより、第2ユニット2の背面(後面)から後方に突出する複数の栓刃が、挿通孔142Aに対して前方から挿入されることで、第2ユニット2が第1ユニット1の受電部11に対して電気的かつ機械的に接続される。そのため、本変形例では、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際に、第2ユニット2は第1ユニット1に対する直線的な移動を伴うものの、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転は伴わない。
【0092】
このように、第2ユニット2の回転を伴わない場合、装着スペース12の形状は、円形状のような回転対称形に限らず、適当な形状を採用可能である。
図6Aの例においては、装着スペース12は、正面視において正方形状に形成されている。この場合、第2ユニット2においても、円形部22に代えて、正面視が正方形状となる構成が採用される。
図6Bの例においては、装着スペース12は、正面視において略三角形状に形成されている。この場合、第2ユニット2においても、円形部22に代えて、正面視が略三角形状となる構成が採用される。また、
図6Cの例においては、装着スペース12は、正面視において楕円形状に形成されている。この場合、第2ユニット2においても、円形部22に代えて、正面視が楕円形状となる構成が採用される。
【0093】
このように、第1変形例によれば、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際に、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転は伴わないので、第2ユニット2の向きが定まりやすい。
【0094】
(4.2)第2変形例
第2変形例に係る配線器具システム10Bでは、
図7A~
図7Cに示すように、装着スペース12に装着された状態での第2ユニット2の姿勢は可変である。本開示において「姿勢」とは、施工対象物3に固定された状態での、第2ユニット2の向き及び位置等を意味する。
図7Aでは、第2ユニット2を想像線(2点鎖線)で示している。
図7A~
図7Cでは、例えば、施工孔33から露出する第1ユニット1の形状等について、適宜簡略化して図示している。
【0095】
本変形例では、第1ユニット1は、第2ユニット2を電気的かつ機械的に接続するための構成として、引掛シーリングローゼットに代えて、例えば、フォーンジャック(phone jack)のような差込式接続器を採用している。具体的には、第1ユニット1は、その前面の中央部に2極のフォーンジャックを構成する挿通孔142Bを有している。これにより、第2ユニット2の背面(後面)から後方に突出するフォーンプラグが、挿通孔142Bに対して前方から挿入されることで、第2ユニット2が第1ユニット1の受電部11に対して電気的かつ機械的に接続される。そのため、本変形例では、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際に、第2ユニット2は第1ユニット1に対する直線的な移動を伴うものの、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転は伴わない。
【0096】
さらに、本変形例では、挿通孔142Bは、第1ユニット1の前面の中央部に配置されている。このような構成によれば、フォーンプラグを挿通孔142B(フォーンジャック)に挿入した状態で、
図7B及び
図7Cに示すように、第2ユニット2を第1ユニット1に対して相対的に回転させることが可能である。一例として、第1ユニット1に対して矢印A3(
図7C参照)の方向に回転させられることで、第2ユニット2の姿勢が変化する。
図7Cの例では、
図7Bの例から第2ユニット2を正面視で時計回りに90度回転させており、これにより、一対の差込孔231が上下方向に並ぶことになる。
【0097】
このように、第2変形例によれば、第2ユニット2が第1ユニット1の装着スペース12に装着されたまま状態で、第2ユニット2の姿勢を変化させることが可能である。
【0098】
(4.3)第3変形例
第3変形例に係る配線器具システム10Cでは、
図8Aに示すように、第1ユニット1が取付枠74を含んでいる。取付枠74は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。すなわち、本変形例では、配線器具システム10Cは、取付枠74を用いて施工対象物3に固定される。
【0099】
図8Aの例では、第1ユニット1のスイッチボックス13が取付枠74に固定されている。さらに、取付枠74には、化粧枠75が直接的又は間接的に取付可能である。これにより、配線器具システム10Cが施工対象物3に固定された状態で、第2ユニット2の周囲を化粧枠75にて覆うことができ、見映えがよくなる。
【0100】
(4.4)第4変形例
第4変形例に係る配線器具システム10Dは、
図8Bに示すように、第1ユニット1と第2ユニット2とが、ケーブル71にて電気的に接続されている。ケーブル71の一端部にはコネクタ72が設けられている。ケーブル71におけるコネクタ72とは反対側の端部は、第2ユニット2につながっている。そのため、コネクタ72を第1ユニット1に接続することによって、ケーブル71を介して第1ユニット1と第2ユニット2とが電気的に接続される。本変形例では、第1ユニット1と第2ユニット2との間の電気的な接続と、機械的な接続(結合)とは別の手段で実現される。
【0101】
また、本変形例では、第1ユニット1と第2ユニット2との少なくとも一方は、電力変換部73を有している。電力変換部73は、電力の変換を行う。つまり、配線器具システム10Dは、第1ユニット1及び/又は第2ユニット2に設けられた電力変換部73にて、電力の変換を行う。本開示でいう「電力の変換」は、例えば、交流電力から直流電力への変換、直流電力から交流電力への変換、及び電圧の変換等を含む。電力変換部73は、これらの変換を行う回路にて実現される。本変形例では一例として、電力変換部73は、100Vの交流電力を、例えば、5V、12V、24V又は48Vの直流電力に変換するAC-DCコンバータである。
【0102】
特に、本変形例では、電力変換部73は、第1ユニット1に設けられている。つまり、電力変換部73は、第1ユニット1のスイッチボックス13内に収容されている。電力変換部73には、第1ユニット1に引き込まれる配線51が接続される。そして、コネクタ72が電力変換部73に接続されることで、第2ユニット2はケーブル71を介して、第1ユニット1の電力変換部73に接続される。
【0103】
(4.5)第5変形例
第5変形例に係る配線器具システム10Eでは、
図8Cに示すように、電力変換部73は、第1ユニット1とは別に設けられている。ここでは、電力変換部73は、配線51を介して第1ユニット1に電気的に接続されている。さらに、電力変換部73は、他の配線52により、分電盤53(
図8D参照)等の電気設備を介して、系統電源又は分散電源等の電源に電気的に接続される。
【0104】
すなわち、本変形例では、電力変換部73は、第1ユニット1から独立した筐体を有しており、第1ユニット1とは別置きされる。このような電力変換部73は、例えば、壁パネル31の背面側(壁裏)、天井パネルの背面側(天井裏)又は床下等の適宜の場所に配置される。このように、電力変換部73を第1ユニット1とは別体とすることで、第1ユニット1の小型化を図ることが可能である。
【0105】
また、
図8Cの例では、第1ユニット1は、第2ユニット2を電気的かつ機械的に接続するための構成として、引掛シーリングローゼットを採用している。ただし、これに限らず、例えば、第4変形例と同様に、第1ユニット1と第2ユニット2とは、ケーブル71にて電気的に接続されてもよい。
【0106】
(4.6)第6変形例
第6変形例に係る配線器具システム10Fでは、
図8Dに示すように、電力変換部73は、分電盤53内に配置されている。ここでは、電力変換部73は、配線51を介して第1ユニット1に電気的に接続されている。さらに、電力変換部73は、分電盤53のキャビネット内において、例えば、分岐ブレーカに電気的に接続される。
【0107】
すなわち、本変形例では、電力変換部73は、第1ユニット1から独立した筐体を有しており、第1ユニット1とは別置きされる。そのため、本変形例においても、第4変形例と同様に、電力変換部73を第1ユニット1とは別体とすることで、第1ユニット1の小型化を図ることが可能である。
【0108】
また、
図8Dの例では、第1ユニット1は、第2ユニット2を電気的かつ機械的に接続するための構成として、引掛シーリングローゼットを採用している。ただし、これに限らず、例えば、第4変形例と同様に、第1ユニット1と第2ユニット2とは、ケーブル71にて電気的に接続されてもよい。
【0109】
(4.7)その他の変形例
配線器具システム10において、第1ユニット1から第2ユニット2への給電方式は、上述したように有線での給電に限らず、例えば、非接触給電方式を採用してもよい。この場合、例えば、第1ユニット1が内蔵する給電コイルから、第2ユニット2が内蔵する受電コイルに対して、非接触で電力が伝送されることになる。
【0110】
また、第1ユニット1と第2ユニット2とは互いに通信する機能を有し、第1ユニット1と第2ユニット2との間で、情報の伝送が行われてもよい。この場合、第1ユニット1と第2ユニット2との間の通信方式は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を含む有線通信、又は無線通信のいずれであってもよい。ここでいう無線通信には、電波を媒体とする無線通信の他、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。
【0111】
また、配線器具システム10は、実施形態1では、第1ユニット1と、第2ユニット2と、の2つのユニットのみで構成されるが、これに限らず、例えば、3つ以上のユニットを備えていてもよい。例えば、配線器具システム10は、第1ユニット1及び第2ユニット2に加えて、第3ユニットを備えていてもよい。この場合、第3ユニットは、第1ユニット1又は第2ユニット2のいずれに取り付けられてもよい。さらに、第3ユニットは、第2ユニット2を第1ユニット1に装着するためのアタッチメントとして機能してもよく、この場合、第2ユニット2は第3ユニットを介して間接的に第1ユニット1に装着される。
【0112】
実施形態1では、配線器具システム10は、第1ユニット1が壁パネル31の背面側に配置されることで、埋込型の配線器具を構成しているが、これに限らず、露出型の配線器具を構成してもよい。すなわち、第1ユニット1が、壁パネル31の表面側に配置されることで、配線器具システム10全体として、壁パネル31の表面側に配置される露出型の配線器具を構成することが可能である。この場合、第1ユニット1のスイッチボックス13は、埋込型ではなく露出型のスイッチボックスとなる。
【0113】
また、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際における、第1ユニット1に対する第2ユニット2の直線的な移動の方向は、前後方向に限らない。例えば、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際における、第1ユニット1に対する第2ユニット2の直線的な移動の方向は、上下方向又は左右方向であってもよい。
【0114】
また、装着スペース12の形状は、第1変形例で示したような形状に限らず、例えば、正方形及び三角形以外の多角形状等、適宜の形状を採用可能である。
【0115】
また、電力変換部73は、第4変形例のように第1ユニット1に設けられる構成に限らず、例えば、第2ユニット2に設けられていてもよい。さらに、電力変換部73は、第1ユニット1と第2ユニット2とに分散して設けられていてもよい。
【0116】
また、コンセントとして機能する配線器具システム10は、接地極無しに限らず、接地極付きであってもよいし、例えば、交流200V用又は直流用のコンセント(Outlet)であってもよい。さらに、コンセントとして機能する配線器具システム10は、差込片41が栓刃であるAタイプのプラグに限らず、例えば、差込片41がピンであるBタイプ又はCタイプのプラグ用であってもよい。また、コンセントとして機能する配線器具システム10は、1個口タイプのコンセントに限らず、例えば、2個のプラグを同時に接続可能な2個口タイプのコンセントであってもよいし、3個口タイプのコンセントであってもよい。
【0117】
また、コンセントとして機能する配線器具システム10に接続されるプラグは、負荷4のケーブルの先端部に設けられるプラグに限らず、例えば、充電器等の、筐体とプラグとが一体化された負荷4のプラグであってもよい。
【0118】
また、配線器具システム10は、例えば、一対の負荷4への通電状態/非通電状態を切り替えるスイッチ、及び、過電流若しくは漏電電流等の異常電流又は過熱等を検知して負荷4への通電を遮断する保護回路を、更に備えていてもよい。スイッチ及び保護回路は、第1ユニット1及び第2ユニット2のいずれに設けられていてもよい。
【0119】
(実施形態2)
本実施形態に係る配線器具システム10Gは、
図9A及び
図9Bに示すように、第1ユニット1が、装着スペース12を複数有する点で、実施形態1に係る配線器具システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
図9Aでは、第2ユニット2を想像線(2点鎖線)で示している。
【0120】
本実施形態では、第1ユニット1は、
図9Aに示すように、3つの装着スペース12を有している。各装着スペース12には、第2ユニット2を1つ装着可能である。そのため、1つの第1ユニット1に対して、最大3つの第2ユニット2を装着可能である。
【0121】
図9Aの例では、これら複数(ここでは3つ)の装着スペース12は、左右方向に並べて配置されている。そして、3つの装着スペース12の各々には、Iタイプのコンセント(Outlet)を構成する3つの挿通孔142Gが配置されている。すなわち、本実施形態では、実施形態1の第1変形例と同様に、第2ユニット2が装着スペース12に装着される際に、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転は伴わない構成を採用する。
【0122】
本実施形態に係る配線器具システム10Gによれば、
図9Bに示すように、複数(ここでは3つ)の第2ユニット2を、1つの第1ユニット1に対して装着可能である。その結果、複数(ここでは3つ)の第2ユニット2が並べて配置されることになる。
図9Bの例では、実施形態1で説明した複数種類の第2ユニット2が混在するように配置されている。具体的には、スイッチ装置として機能する第2ユニット206、コンセントとして機能する第2ユニット201、マグネットコンセントとして機能する第2ユニット204、が並べて配置されている(
図5参照)。
【0123】
ここで、第1ユニット1は、複数(ここでは3つ)の第2ユニット2に共有されるので、第2ユニット2ごとに第1ユニット1を設ける場合に比べて、構成の簡略化を図ることができる。
【0124】
また、第1ユニット1は、装着スペース12を複数有していればよく、
図9Bのように、互いに種類が異なる複数の第2ユニット2が装着される構成に限らず、同一種類の第2ユニット2が複数装着されてもよい。さらに、装着スペース12の数は3つに限らず、第1ユニット1は、例えば、2つ又は4つ以上の装着スペース12を有していてもよい。
【0125】
さらに、複数の装着スペース12は、左右方向に一直線上に並ぶような配置に限らず、例えば、上下方向に並ぶように配置されてもよいし、L字状に並ぶように配置されてもよい。
【0126】
また、複数の装着スペース12間には、仕切りがあってもよい。仕切りがあれば、隣接する装着スペース12間の絶縁距離(沿面距離)を稼ぐことができ、例えば、強電系の第2ユニット2と、弱電系の第2ユニット2とが隣接する場合に、相互の影響が生じにくくなる。一方、仕切がなければ、複数の装着スペース12を用いて、大型の1つの第2ユニット2を装着することも可能である。
【0127】
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0128】
(実施形態3)
本実施形態に係る配線器具システム10Hは、
図10A及び
図10Bに示すように、第1ユニット1が、正面視において第2ユニット2の周囲に配置される化粧プレート17を含む点で、実施形態1に係る配線器具システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0129】
すなわち、本実施形態では、
図10Aに示すように、第1ユニット1が、化粧プレート17を有している。化粧プレート17は、壁パネル31の表面側に配置される。化粧プレート17は、正面視において第2ユニット2(前板部23)よりも一回り大きい略正方形状に形成されている。本実施形態では一例として、化粧プレート17は、
図10Bに示すように、挿入ガイド15と一体に形成されている。具体的には、挿入ガイド15が施工孔33を通して壁パネル31の表面側まで延長されており、この挿入ガイド15の前端部から側方(上方、下方、左方及び右方)に張り出すように、化粧プレート17が一体に形成されている。
【0130】
本実施形態に係る配線器具システム10H全体が施工対象物3に取り付けられた状態で、第1ユニット1の化粧プレート17の背面(後面)は、壁パネル31における施工孔33の周辺に前方から接触する。さらに、配線器具システム10Hにおいて、壁パネル31の表面からの突出量は、化粧プレート17よりも第2ユニット2(前板部23)で僅かに大きくなる。
【0131】
これにより、配線器具システム10Hが施工対象物3に固定された状態で、第2ユニット2の周囲を化粧プレート17にて覆うことができ、見映えがよくなる。
【0132】
また、化粧プレート17の形状は、略正方形状に限らず、例えば、長方形状、三角形状又は円形状等の適宜の形状を採用可能である。
【0133】
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1又は2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0134】
(実施形態4)
本実施形態に係る配線器具システム10Iは、
図11A~
図11Cに示すように、ロック部8を有する点で、実施形態1に係る配線器具システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0135】
すなわち、第1ユニット1及び第2ユニット2の少なくとも一方は、ロック部8を有している。ロック部8は、第2ユニット2が装着スペース12に装着された状態で、第1ユニット1からの第2ユニット2の取り外しを規制する規制状態と、規制を解除する解除状態と、を切替可能に構成されている。つまり、ロック部8は、少なくとも規制状態と解除状態との2つの状態を切替可能に構成されている。ロック部8が規制状態にあれば、第1ユニット1からの第2ユニット2の取り外しが規制されるので、第1ユニット1から第2ユニット2を取り外す際には、ロック部8を解除状態とする必要がある。
【0136】
本実施形態では、ロック部8は、
図11Bに示すように、第1ユニット1に設けられたロック溝81と、第2ユニット2に設けられたロックピン82と、を有している。具体的には、ロック溝81は、例えば、第1ユニット1の挿入ガイド15の前面の一部に形成されている。ロックピン82は、第2ユニット2の前板部23を、前板部23の厚み方向(前後方向)に貫通した状態で、第2ユニット2に保持されている。ロックピン82は、前板部23の厚み方向(前後方向)において、前板部23に対して相対的に移動可能である。
【0137】
すなわち、実施形態1で説明したように、第2ユニット2を第1ユニット1に装着するに際しては、少なくとも第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転を伴う。そこで、
図11Aに示すように、第2ユニット2が第1ユニット1に装着された状態で、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転を規制すれば、第1ユニット1からの第2ユニット2の取り外しが規制される。本実施形態では、
図11Bに示すように、ロックピン82がロック溝81に挿入されていない状態が、ロック部8の解除状態に相当し、
図11Cに示すように、ロックピン82がロック溝81に挿入されている状態が、ロック部8の規制状態に相当する。要するに、ロック部8が規制状態にあれば、ロックピン82がロック溝81に嵌ることで、第1ユニット1に対する第2ユニット2の相対的な回転が規制されるので、第1ユニット1からの第2ユニット2の取り外しが規制される。
【0138】
また、本実施形態では、ロック溝81内には、スイッチ83が設けられている。スイッチ83は、第1ユニット1から第2ユニット2への給電を制御(オン/オフ)するためのスイッチである。具体的には、スイッチ83は、モーメンタリ型の常開型押釦スイッチであって、スイッチ83がオンしている間のみ、第1ユニット1から第2ユニット2への給電を行う。そのため、ロックピン82がロック溝81に挿入された規制状態でのみ、スイッチ83がロックピン82に押されてオンし、第1ユニット1から第2ユニット2への給電が行われる。一方、ロック部8が解除状態になれば、スイッチ83はオフ状態になるので、第1ユニット1から第2ユニット2への給電は停止する。
【0139】
要するに、本実施形態では、ロック部8が規制状態から解除状態へ切り替わると、自動的に第1ユニット1から第2ユニット2への給電が停止するので、第1ユニット1から第2ユニット2への給電を継続しつつ、ロック部8を解除状態とすることはできない。言い換えれば、ロック部8は、第1ユニット1から第2ユニット2へ給電されている状態では、規制状態から解除状態への切り替えが制限される。これにより、第1ユニット1から第2ユニット2へ給電されている状態で、第1ユニット1から第2ユニット2が取り外されることによる不具合を防止できる。
【0140】
また、第1ユニット1及び第2ユニット2の少なくとも一方が、ロック部8を有していればよく、例えば、第1ユニット1(又は第2ユニット2)のみに、ロック部8が設けられていてもよい。
【0141】
また、ロック部8は、第1ユニット1から第2ユニット2へ給電されている状態で、規制状態から解除状態への切り替えが制限されることは、配線器具システム10Iに必須の構成ではない。つまり、第1ユニット1から第2ユニット2へ給電されている状態において、ロック部8は規制状態から解除状態への切り替えが可能であってもよい。
【0142】
実施形態4で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1~3で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0143】
(実施形態5)
本実施形態に係る配線器具システム10Jは、
図12A~
図12Cに示すように、第1ユニット1が、第2ユニット2を電気的に接続するための接続部18を複数有する点で、実施形態1に係る配線器具システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
図12A~
図12Cでは、第1ユニット1に装着された状態の第2ユニット2を想像線(2点鎖線)で示している。さらに、
図12B及び
図12Cでは、接続部18に差し込まれた接続端子24等を模式的に表している。
【0144】
本開示でいう「接続部」は、第2ユニット2を電気的に接続するための構成を意味し、実施形態1においては、内カバー14の一対の挿通孔142、及び受電部11の一対の接続口111が接続部に含まれる。本実施形態では、第1ユニット1は、
図12Aに示すように、A,C兼用タイプのコンセント(Outlet)を構成する一対の第1接続口181と、Iタイプのコンセントを構成する3つの第2接続口182と、を有している。そして、これら一対の第1接続口181、及び3つの第2接続口182がそれぞれ、接続部18を構成する。言い換えれば、第1ユニット1は、一対の第1接続口181からなる接続部18と、3つの第2接続口182からなる接続部18と、を有している。
【0145】
本実施形態では、これら複数(ここでは2つ)の接続部18は、1つの装着スペース12に配置されている。具体的には、これら2つの接続部18は、装着スペース12において上下方向に並べて配置されている。
【0146】
さらに、これら複数(ここでは2つ)の接続部18は、種類が異なる第1の接続部と第2の接続部とを含んでいる。本実施形態では、一対の第1接続口181からなる接続部18が「第1の接続部」であって、3つの第2接続口182からなる接続部18が「第2の接続部」である。すなわち、1つの装着スペース12に配置された複数(ここでは2つ)の接続部18は、互いに種類が異なっている。本開示でいう接続部18の「種類」は、例えば、コンセントのタイプ、USBであるか否か、及び強電系/弱電系等を含んでいる。つまり、本実施形態では、第1の接続部18がA,C兼用タイプのコンセント、第2の接続部18がIタイプのコンセントであるので、両者は互いに種類が異なる。
【0147】
これにより、第1ユニット1に装着される第2ユニット2の種類により、複数(ここでは2つ)の接続部18のうちのいずれかのみが、第2ユニット2を電気的に接続するために使用されることになる。例えば、
図12Bに示すように、第1の接続部18を使用する第2ユニット2が第1ユニット1に装着される場合、この第2ユニット2の接続端子24は、複数の接続部18のうちの第1の接続部18(一対の第1接続口181)のみに差し込まれる。そのため、
図12Bの例では、第2の接続部18(3つの第2接続口182)は未使用となる。
【0148】
本実施形態に係る配線器具システム10Jでは、このような未使用の接続部18を利用して、第2ユニット2を機械的に保持することが可能である。すなわち、本実施形態では、複数の接続部18のうちの一部の給電用の接続部18は、装着スペース12に装着された第2ユニット2へ給電する。そして、複数の接続部18のうちの給電用の接続部18以外の1以上の接続部18は、装着スペース12に装着された第2ユニット2を機械的に保持する。
【0149】
一例として、
図12Cに示すように、給電用の接続部18として、第2の接続部18を使用する第2ユニット2が第1ユニット1に装着される場合を想定する。この場合、第2ユニット2の接続端子24は、複数の接続部18のうちの、給電用である第2の接続部18(3つの第2接続口182)に差し込まれる。一方で、給電用の接続部18以外の接続部18、つまり第1の接続部18(一対の第1接続口181)は、第2ユニット2の機械的な保持に用いられる。具体的には、第2ユニット2は、接続端子24とは別に、ダミー端子29を有し、このダミー端子29が第1の接続部18(一対の第1接続口181)に差し込まれる。ダミー端子29は、単に第2ユニット2の機械的な保持に用いられるので、接続端子24のように、第2ユニット2の機能部21とは電気的に切り離されている。ダミー端子29は、電気的絶縁材料で形成されていてもよい。
【0150】
このように、給電用として使用しない接続部18を利用して、第2ユニット2を機械的に保持することで、第1ユニット1による第2ユニット2の保持の強度の向上を図ることができる。
【0151】
また、第2ユニット2によっては、複数の接続部18を給電用として利用してもよい。
【0152】
実施形態5で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1~4で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0153】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)は、第1ユニット(1)と、第2ユニット(2)と、を備える。第1ユニット(1)は、施工対象物(3)に固定される。第2ユニット(2)は、第1ユニット(1)に対して取り外し可能に装着される。第1ユニット(1)は、受電部(11)と、装着スペース(12)と、を有する。受電部(11)は、電力供給を受ける。装着スペース(12)は、第2ユニット(2)を1つ装着するためのスペースである。第2ユニット(2)は、機能部(21)を有する配線器具である。機能部(21)は、負荷(4)への電力供給と負荷(4)の制御との少なくとも一方を行う。第1ユニット(1)は第2ユニット(2)に給電する。
【0154】
この態様によれば、配線器具としての第2ユニット(2)を第1ユニット(1)から取り外すことで、第2ユニット(2)のみを施工対象物(3)から取り外すことが可能である。このとき、電力供給を受けるための受電部(11)を備えた第1ユニット(1)は、施工対象物(3)側に残るので、受電部(11)に対する配線(51)のつなぎ替えを行わずとも、配線器具としての第2ユニット(2)の交換等が可能となる。したがって、配線器具システム(10,10A~10J)によれば、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図ることが可能である。
【0155】
第2の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1の態様において、第2ユニット(2)は、正面視で円形状の円形部(22)を含む。
【0156】
この態様によれば、円形部(22)の中心軸周りで第2ユニット(2)を回転させることで、第2ユニット(2)の姿勢を変えることができるので、使い勝手等によって、第2ユニット(2)の向き等を決定することが可能である。
【0157】
第3の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1又は2の態様において、第1ユニット(1)は、装着スペース(12)を複数有する。
【0158】
この態様によれば、1つの第1ユニット(1)に対して複数の第2ユニット(2)を装着することが可能である。
【0159】
第4の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~3のいずれかの態様において、第1ユニット(1)は、装着スペース(12)に、第2ユニット(2)の少なくとも一部を収容する凹部(121)を有する。
【0160】
この態様によれば、凹部(121)に第2ユニット(2)の少なくとも一部が収容されることで、施工対象物(3)からの第2ユニット(2)の突出量を小さく抑えることができる。
【0161】
第5の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~4のいずれかの態様において、装着スペース(12)は、第2ユニット(2)に代えて、第1ユニット(1)からの電力供給を受けて動作する機器(6)を装着可能である。
【0162】
この態様によれば、第1ユニット(1)からの電力供給を受けて動作する機器(6)をスマートに設置することが可能である。
【0163】
第6の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~5のいずれかの態様において、第1ユニット(1)は、スイッチボックス(13)を含む。スイッチボックス(13)は、施工対象物(3)に固定され、配線(51)を引き込む引込部(131)を有する。
【0164】
この態様によれば、第1ユニット(1)への配線(51)の接続を、スイッチボックス(13)内で行うことが可能である。
【0165】
第7の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~6のいずれかの態様において、第2ユニット(2)は、装着スペース(12)に装着される際に、第1ユニット(1)に対する直線的な移動を伴う。
【0166】
この態様によれば、比較的簡単な操作で、第1ユニット(1)に対して第2ユニット(2)を装着することができる。
【0167】
第8の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~7のいずれかの態様において、第2ユニット(2)は、装着スペース(12)に装着される際に、第1ユニット(1)に対する相対的な回転を伴う。
【0168】
この態様によれば、比較的簡単な操作で、第1ユニット(1)に対して第2ユニット(2)を装着することができる。
【0169】
第9の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~8のいずれかの態様において、第1ユニット(1)及び第2ユニット(2)の少なくとも一方は、ロック部(8)を有する。ロック部(8)は、規制状態と、解除状態と、を切替可能である。規制状態は、第2ユニット(2)が装着スペース(12)に装着された状態で、第1ユニット(1)からの第2ユニット(2)の取り外しを規制する状態である。解除状態は、規制を解除する状態である。
【0170】
この態様によれば、ユーザが意図せず、第2ユニット(2)が第1ユニット(1)から外れることが生じにくくなる。
【0171】
第10の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第9の態様において、ロック部(8)は、第1ユニット(1)から第2ユニット(2)へ給電されている状態では、規制状態から解除状態への切り替えが制限される。
【0172】
この態様によれば、第1ユニット(1)から第2ユニット(2)へ給電されている状態で、第1ユニット(1)から第2ユニット(2)が取り外されることによる不具合を防止できる。
【0173】
第11の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~10のいずれかの態様において、第1ユニット(1)は、正面視において第2ユニット(2)の周囲に配置される化粧プレート(17)を含む。
【0174】
この態様によれば、第2ユニット(2)の周囲を化粧プレート(17)にて覆うことができ、見映えがよくなる。
【0175】
第12の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~11のいずれかの態様において、第1ユニット(1)と第2ユニット(2)との少なくとも一方は、電力の変換を行う電力変換部(73)を有する。
【0176】
この態様によれば、電力変換部(73)で変換された電力を、第2ユニット(2)又は負荷(4)に供給することが可能である。
【0177】
第13の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第12の態様において、電力変換部(73)は、第1ユニット(1)に設けられている。
【0178】
この態様によれば、電力変換部(73)で変換された電力を、第2ユニット(2)に供給することが可能である。
【0179】
第14の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~13のいずれかの態様において、装着スペース(12)に装着された状態での第2ユニット(2)の姿勢は可変である。
【0180】
この態様によれば、装着スペース(12)に装着された状態において、第2ユニット(2)の姿勢を変えることができるので、使い勝手等によって、第2ユニット(2)の向き等を決定することが可能である。
【0181】
第15の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第1~14のいずれかの態様において、第1ユニット(1)は、第2ユニット(2)を電気的に接続するための接続部(18)を複数有する。
【0182】
この態様によれば、1つの第1ユニット(1)に対して、複数の第2ユニット(2)を電気的に接続することができる。
【0183】
第16の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第15の態様において、複数の接続部(18)は、1つの装着スペース(12)に配置されている。
【0184】
この態様によれば、接続部(18)への接続の形態が異なる複数種類の第2ユニット(2)を、装着スペース(12)に装着可能となる。
【0185】
第17の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第15又は16の態様において、複数の接続部(18)は、種類が異なる第1の接続部(18)と第2の接続部(18)とを含む。
【0186】
この態様によれば、接続部(18)への接続の形態が異なる複数種類の第2ユニット(2)を、第1ユニット(1)に装着可能となる。
【0187】
第18の態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)では、第15~17のいずれかの態様において、複数の接続部(18)のうちの一部の給電用の接続部(18)は、装着スペース(12)に装着された第2ユニット(2)へ給電する。複数の接続部(18)のうちの給電用の接続部(18)以外の1以上の接続部(18)は、装着スペース(12)に装着された第2ユニット(2)を機械的に保持する。
【0188】
この態様によれば、給電用の接続部(18)以外の1以上の接続部(18)を利用して、第2ユニット(2)の機械的な保持強度の向上を図ることができる。
【0189】
第19の態様に係るユニット装置は、第1~18のいずれかの態様に係る配線器具システム(10,10A~10J)に、第1ユニット(1)又は第2ユニット(2)として用いられる。
【0190】
この態様によれば、配線器具としての第2ユニット(2)を第1ユニット(1)から取り外すことで、第2ユニット(2)のみを施工対象物(3)から取り外すことが可能である。このとき、電力供給を受けるための受電部(11)を備えた第1ユニット(1)は、施工対象物(3)側に残るので、受電部(11)に対する配線(51)のつなぎ替えを行わずとも、配線器具としての第2ユニット(2)の交換等が可能となる。したがって、上記ユニット装置によれば、配線器具の交換等に係る手間の軽減を図ることが可能である。
【0191】
第2~18の態様に係る構成については、配線器具システム(10,10A~10J)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0192】
1 第1ユニット
2 第2ユニット
3 施工対象物
4 負荷
6 機器
8 ロック部
10,10A~10J 配線器具システム
11 受電部
12 装着スペース
13 スイッチボックス
17 化粧プレート
18 接続部
21 機能部
22 円形部
51 配線
73 電力変換部
121 凹部
131 引込部