(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20231027BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231027BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20231027BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G03B21/00 D
H04N5/74 E
H05K7/20 G
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2019199683
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】北野 博史
(72)【発明者】
【氏名】北岡 信一
(72)【発明者】
【氏名】山内 健太郎
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058538(JP,A)
【文献】特開平10-186513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356713(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0043516(US,A1)
【文献】特開2013-050542(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105929631(CN,A)
【文献】特開2014-174515(JP,A)
【文献】特開2014-102313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/64-5/74
H05K5/00-5/06
7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射部から出射された光を拡大して被投射体に投射する投射部と、
開口を有する筐体と、
前記投射部を回転移動可能とする回転移動部と、
を備え、
前記投射部は、投射レンズを有し、前記開口を突き抜けるように配置され、
前記回転移動部は、鉛直方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態、および、水平方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態のそれぞれの状態を取り得るように、前記投射部を回転移動可能とし、
前記投射部の光の投射方向における前記投射レンズの先端は、
鉛直方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態、および、水平方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態のそれぞれの状態において、前記開口よりも前記被投射体側に位置している
プロジェクター。
【請求項2】
前記回転移動部は、前記投射部の光軸が水平方向に延びる回転軸を中心に揺動するように、前記投射部を回転移動可能とする
請求項
1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記筐体は、前記筐体内で加熱された空気を排気するための排気口を有し、
前記排気口は、前記開口の開口面と同一面上に設けられている
請求項
1または2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
さらに、前記筐体内に配置された気流生成部を備え、
前記開口は、前記投射部に対して隙間を有するように設けられ、
前記気流生成部は、外部の空気を前記隙間から前記筐体内に取り入れ、前記筐体内で加熱された空気を前記排気口から排出する
請求項
3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記筐体は、建物の天井に嵌め込まれ、
前記開口は、前記天井の天井面を基準として前記被投射体の反対側に設けられている
請求項1~
4のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記投射レンズの先端は、前記開口と前記天井面との間に位置している
請求項
5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記筐体は、建物の天井に嵌め込まれ、
前記開口は、前記天井の天井面と同一面上に設けられている
請求項1~
4のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を投射するプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を投射する投射部を備えるプロジェクターが知られている。その種のプロジェクターの一例として、特許文献1には、筐体に設けられた開口から投射光を投射するプロジェクターが開示されている。このプロジェクターでは、プロジェクターを建物の天井に設置した後、板カムなどの調整機構を用いて投射部の姿勢を調整し、投射光の投射方向を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のプロジェクターにおいて、例えば投射部の姿勢を斜めに傾けて投射すると、投射光の一部が開口周辺の筐体によって遮られることがある。
【0005】
本発明の目的は、投射光が筐体によって遮られないようにするプロジェクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプロジェクターは、光出射部から出射された光を拡大して被投射体に投射する投射部と、開口を有する筐体と、前記投射部を回転移動可能とする回転移動部と、を備え、前記投射部は、投射レンズを有し、前記開口を突き抜けるように配置され、前記回転移動部は、鉛直方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態、および、水平方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態のそれぞれの状態を取り得るように、前記投射部を回転移動可能とし、前記投射部の光の投射方向における前記投射レンズの先端は、鉛直方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態、および、水平方向に沿って配置された前記被投射体に光が投射される状態のそれぞれの状態において、前記開口よりも前記被投射体側に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプロジェクターによれば、投射光が筐体によって遮られないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】比較例のプロジェクターを示す断面図である。
【
図2】実施の形態に係るプロジェクターの使用形態の一例を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係るプロジェクターを斜め上側から見た図である。
【
図4】実施の形態に係るプロジェクターを斜め下側から見た図である。
【
図5】実施の形態に係るプロジェクターを
図2の(a)に示すV-V線で切断した場合の断面図である。
【
図6】実施の形態に係るプロジェクターを
図5に示すVI-VI線で切断した場合の断面図である。
【
図7】実施の形態に係るプロジェクターの制御構成を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態の変形例に係るプロジェクターの断面図である。
【
図9】実施の形態に係るプロジェクターの他の使用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明に至る経緯)
本発明に至る経緯について、比較例のプロジェクターを参照しながら説明する。
【0010】
図1は、比較例のプロジェクター101を示す断面図である。
【0011】
比較例のプロジェクター101は、建物の天井191に埋め込まれる筐体110と、光出射部120から出射された画像光を拡大して投射する投射部130と、投射部130の姿勢を変更する姿勢変更機構(図示省略)とを備えている。
【0012】
筐体110は、箱状であり、投射部130から投射された光を通過させるための開口112を有している。
図1には、姿勢変更機構によって斜めに傾けられた投射部130が、建物の壁に設けられた被投射体180に投射光Lを投射する様子が示されている。
【0013】
比較例のプロジェクター101は、投射部130の先端132aを含む投射部130の全てが、筐体110の内部に配置されているため、投射部130から投射された投射光Lの一部が開口周辺の筐体110によって遮られ、投射光Lを適切に投射できないという問題が起こり得る。
【0014】
それに対し、本実施の形態のプロジェクターは、プロジェクターから投射される投射光が、筐体によって遮られない構造を有している。
【0015】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本発明の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0016】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0017】
(実施の形態)
実施の形態のプロジェクター1について、
図2~
図7を参照しながら説明する。
【0018】
図2は、実施の形態に係るプロジェクター1の使用形態の一例を模式的に示す図である。
図2に示すz軸は鉛直方向に沿って延びる軸であり、x軸およびy軸は水平方向に沿って延びる軸である。
【0019】
プロジェクター1は、例えば、建物の天井91に設置される。
図2の(a)には、プロジェクター1から出射された投射光Lが、建物の壁に投射されている様子が示されている。
図2の(b)には、プロジェクター1から出射された投射光Lが、建物の床に投射されている様子が示されている。なお、建物の壁および床は、投射光Lの投射対象である被投射体80の一例である。被投射体80は、壁および床に限られず、スクリーンまたはテーブルなどの構造物であってもよい。
【0020】
図3は、プロジェクター1を斜め上側から見た図である。
図4は、プロジェクター1を斜め下側から見た図である。
図5は、プロジェクター1を
図2の(a)に示すV-V線で切断した場合の断面図である。
図6は、プロジェクター1を
図5に示すVI-VI線で切断した場合の断面図である。なお、
図3では、後述する気流生成部50の図示を省略している。
【0021】
図3~
図6に示すように、プロジェクター1は、建物の室内空間s1と天井裏空間s2とを仕切る天井91に埋め込まれている。
【0022】
図5および
図6に示すように、プロジェクター1は、箱状の筐体10と、画像光を出射する光出射部20と、光出射部20から出射された画像光を拡大して外部に投射する投射部30とを備える。また、プロジェクター1は、投射部30を回転移動可能とする回転移動部40と、筐体10内を冷却するための気流生成部50および排気ダクト55とを備える。
【0023】
筐体10は、天井91に形成された天井開口93に嵌め込まれ、固定されている。筐体10は、例えば直方体状であり、樹脂あるいは金属によって形成されている。筐体10の外形形状は、直方体状に限られず、円柱状であってもよい。
【0024】
筐体10は、下部筐体11および上部筐体18によって構成されている。
【0025】
下部筐体11は、天井91の天井面92を基準として床の反対側、すなわち天井裏側に突き出す凸形状を有している。具体的には、下部筐体11は、矩形状のベース部11aと、ベース部11aの外辺から下側に向けて延びる複数の側脚部11bと、複数の側脚部11bのそれぞれに接続された複数のつば部11cとを有している。下部筐体11は、つば部11cが天井面92に当接した状態で、天井91に固定される。
【0026】
下部筐体11は、例えば金属製の平板である。ただし下部筐体11は、金属製の平板に限られず、樹脂製の化粧パネルであってもよい。下部筐体11のベース部11aは、複数の羽板が平行に配置されたルーバーで構成されていてもよい。
【0027】
ベース部11aは、長穴形状の開口12および長方形状の排気口15を有している。前述したように下部筐体11は凸形状を有しているので、筐体10が天井に設置された場合に、開口12および排気口15は、天井面92を基準として被投射体80の反対側に設けられる。
【0028】
ベース部11aには、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55が配置される。
【0029】
上部筐体18は、天面部を有する筒状の形状をしている。上部筐体18は、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55を覆うように、下部筐体11上に配置される。上部筐体18は、天井裏空間s2にある塵または埃、あるいは昆虫やねずみなどの生物の侵入を防止するために密閉性を有している。
【0030】
図5および
図6に示すように、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55は、下部筐体11と上部筐体18とによって囲まれる筐体内空間s3に収容されている。なお、投射部30の大部分は筐体内空間s3内に収容されているが、投射部30の一部は筐体内空間s3の外に位置している。これについては後で詳しく述べる。
【0031】
光出射部20は、光を出射する光源21と、光源21から出射された光を変調して画像光を出射する光変調素子22と、光学系23と、プリズム24と、ケース25とを備える。光源21、光変調素子22、光学系23およびプリズム24は、ケース25に収容されている。
【0032】
光源21は、例えば、水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)などである。光源21は、赤色光、青色光、緑色光をそれぞれ発する複数の光源を有していてもよい。光源21から出射された光は、レンズまたはミラーなどの光学系23によって光変調素子22に案内される。
【0033】
光変調素子22は、例えば、透過型液晶素子、反射型液晶素子、DMD(Digital Micromirror Device)などである。本実施の形態における光変調素子22は、DMDである。光変調素子22で生成された画像光は、プリズム24を介して投射部30に出射される。
【0034】
投射部30は、光出射部20から出射された画像光を拡大して投射光Lを投射する。投射部30は、光出射部20に接続される筒状の鏡筒31と、鏡筒31内に設けられた投射レンズ32とを備えている。鏡筒31内には、投射レンズ32を含む複数のレンズが設けられていてもよい。
【0035】
投射部30は、下部筐体11の開口12を突き抜けるように配置されている。なお、長穴形状の開口12は、光出射部20のケース25が下部筐体11のベース部11aに干渉しないように、ケース25の下側まで形成されている。
【0036】
下部筐体11の開口12の幅は、鏡筒31の直径より大きく、開口12と鏡筒31との間には、隙間14が設けられている。投射部30の鏡筒31の一部は、開口12よりも下側に突出している。具体的には、投射部30の光の投射方向p1における投射レンズ32の先端32aは、開口12よりも被投射体80側に位置している。この構造により、本実施の形態のプロジェクター1では、投射光Lが筐体10によって遮られることを防いでいる。
【0037】
回転移動部40は、投射部30から投射される光の投射方向p1を変更する首振り機構である。回転移動部40は、水平方向に延びる一対の回転軸41と、一対の回転軸41を介して光出射部20および投射部30を支持する一対の支柱42と、一対の回転軸41を介して光出射部20および投射部30を回転可能とする駆動部43とを有する(
図6参照)。駆動部43は、例えば、ステッピングモータまたはサーボモータである。なお駆動部43は、上記モータに限られず、例えば、手動で回転させた際の位置を摩擦やリンク機構で保持する回転位置保持機構であってもよい。回転移動部40によって投射部30が回転移動する際、投射部30の鏡筒31は、開口12の長穴方向に沿って移動する。
【0038】
回転移動部40は、投射部30の光軸a1が回転軸41を中心に揺動するように、投射部30を回転移動可能とする。例えば、回転移動部40は、
図2の(a)に示すように鉛直方向に沿って配置された被投射体81に光が投射される状態、または、
図2の(b)に示すように水平方向に沿って配置された被投射体82に光が投射される状態となるように、投射部30を回転移動させる。例えば、被投射体82に光を投射する際の投射部30の光軸a1の角度αを0°とした場合、被投射体81に光を投射する際の光軸a1の角度αは、45°である。
【0039】
プロジェクター1は、回転移動部40によって投射部30が回転移動している途中において、床から壁または壁から床に画像光が移動するように光を投射してもよい。また、上記角度αの45°は一例であり、プロジェクター1は、投射部30の光軸a1の角度αが0°以上90°以下となる範囲において、投射光Lを投射してもよい。
【0040】
投射部30は、回転移動部40によって回転移動可能となるが、回転移動しても投射レンズ32の先端32aは、開口12よりも被投射体81または82側に位置する構造となっている。すなわち、投射レンズ32の先端32aは、必ず、開口12と天井面92との間に位置している。
【0041】
また、投射部30から投射される投射光Lは、投射部30から離れるほど投射光Lの面積(光軸a1に垂直な面の面積)が大きくなる拡がり光であるが、本実施の形態では、この投射光Lが下部筐体11によって遮光されない構造となっている。具体的には、下部筐体11の側脚部11bが、投射光Lを遮光しない高さ寸法となっている。
【0042】
次に、筐体10内を冷却するための構成について説明する。前述したように筐体10の内部には、光源21、光変調素子22、駆動部43等が設けられている。これら光源21、光変調素子22および駆動部43は、熱を発生するため、筐体10には、筐体10内を空冷するための気流生成部50および排気ダクト55が設けられている。
【0043】
気流生成部50は、開口12の近くに配置された第1の気流生成部50aと、排気口15の近くに配置された第2の気流生成部50bとを有している。第1の気流生成部50aは、例えば軸流ファンであり、支持部材51を介してベース部11aに固定されている。なお、第1の気流生成部50aは、支持部材51と異なる支持部材を介して光出射部20に固定されていてもよい。第2の気流生成部50bは、例えば、ブロアファンまたは遠心ファンであり、排気ダクト55内に設けられている。排気ダクト55は、第2の気流生成部50bで生成した気流を排気口15へ案内するダクトである。気流生成部50は、室内空間s1の空気を隙間14から筐体10内に取り入れ、また、筐体10内で加熱された空気を排気口15から室内空間s1へ排出する。
【0044】
排気口15は、開口12の開口面13と同一面上に設けられている。すなわち排気口15は、投射レンズ32の先端32aよりも天井裏側に位置している。言い換えれば、投射レンズ32の先端32aは、排気口15よりも被投射体81または82側に位置している。
【0045】
また排気口15は、排気口15を鉛直方向から見た場合に、投射部30の鏡筒31と重ならない位置に設けられている(
図4参照)。鉛直方向から見た場合に、排気口15と鏡筒31とが重ならない位置関係にあるのは、投射部30が回転移動した場合でも同様である。このプロジェクター1では、排気口15が、投射レンズ32の先端32aと重ならない位置に設けられており、排気口15から排出された高温の空気が、投射部30から出射された投射光Lの光路に入りにくい構造となっている。
【0046】
次に、プロジェクター1の制御構成について説明する。
【0047】
図7は、プロジェクター1の制御構成を示すブロック図である。
【0048】
図7に示すように、プロジェクター1は、光源21、光変調素子22、回転移動部40、気流生成部50、通信部71および制御部70を備えている。
【0049】
制御部70は、光源21、光変調素子22、回転移動部40、気流生成部50および通信部71のそれぞれの作動を制御する。制御部70は、CPU、ROM、RAMなどを備えており、CPUが、ROMに格納されたプログラムを読み込み、RAMに展開することで、様々な処理が実行される。ROMには、光変調素子22が形成する画像の画像データが記憶されている。なお、制御部70は、ROMの代わりに、不揮発性書き換え可能なメモリを有していていもよい。また、制御部70は、通信部71を介して、例えばスマートフォン、PC、リモコンなどの外部機器または外部記憶装置から画像データを取得してもよい。
【0050】
制御部70は、電源がONになると、光源21および光変調素子22を駆動させる。これにより、例えば、投射部30からの投射光Lが被投射体81または82に向けて投射される。また、制御部70は、スマートフォン等から通信部71を介して、投射光Lの投射方向p1に関する情報を取得し、回転移動部40を制御して投射方向p1を変更してもよい。また、制御部70は、電源がONになると、気流生成部50を駆動させる。これにより、プロジェクター1の筐体10内が冷却される。
【0051】
(効果等)
以上のように、本実施の形態のプロジェクター1は、光出射部20から出射された光を拡大して被投射体80に投射する投射部30と、開口12を有する筐体10とを備える。投射部30は、投射レンズ32を有し、開口12を突き抜けるように配置されている。投射部30の光の投射方向p1における投射レンズ32の先端32aは、開口12よりも被投射体80側に位置している。
【0052】
このように、投射レンズ32の先端32aが、開口12よりも被投射体80側に位置することで、投射部30から投射する投射光Lを筐体10の外から出射することができる。これにより、投射光Lが筐体10によって遮られないようにすることができる。
【0053】
また、プロジェクター1は、さらに、投射部30を回転移動可能とする回転移動部40を備えていてもよい。
【0054】
このように、プロジェクター1が回転移動部40を備えることで、投射部30から投射する光の投射方向p1を変更することができる。本実施の形態では、投射レンズ32の先端32aが、開口12よりも被投射体80側に位置しているので、投射部30が回転移動した場合であっても、投射光Lを筐体10の外から出射することができる。これにより、投射光Lが筐体10によって遮られないようにすることができる。
【0055】
また、回転移動部40は、投射部30の光軸a1が水平方向に延びる回転軸41を中心に揺動するように、投射部30を回転移動可能としてもよい。
【0056】
これによれば、投射部30から投射する光の投射方向p1を、回転軸41を中心に簡易に変更することができる。本実施の形態では、投射レンズ32の先端32aが、開口12よりも被投射体80側に位置しているので、投射部30が回転軸41を中心に揺動した場合であっても、投射光Lを筐体10の外から出射することができる。これにより、投射光Lが筐体10によって遮られないようにすることができる。
【0057】
また、回転移動部40は、鉛直方向に沿って配置された被投射体81に光が投射される状態、または、水平方向に沿って配置された被投射体81に光が投射される状態となるように、投射部30を回転移動可能としてもよい。
【0058】
これによれば、壁またはスクリーンなどの被投射体81、および、床またはテーブルなどの被投射体82に、投射光Lを投射することができる。本実施の形態では、投射レンズ32の先端32aが、開口12よりも被投射体81または82側に位置しているので、被投射体81および82に光を投射する場合に、投射光Lを筐体10の外から出射することができる。これにより、投射光Lが筐体10によって遮られないようにすることができる。
【0059】
また、筐体10は、筐体10内で加熱された空気を排気するための排気口15を有し、排気口15は、開口12の開口面13と同一面上に設けられていてもよい。
【0060】
このように、排気口15を開口面13と同一面上に設けることで、投射レンズ32の先端32aを排気口15よりも被投射体80側に位置させることができる。これにより、排気口15から排出された高温の空気が、投射光Lの光路上に入りにくくすることができ、投射光Lを適切に投射することができる。
【0061】
また、プロジェクター1は、さらに、筐体10内に配置された気流生成部50を備え、開口12は、投射部30に対して隙間14を有するように設けられ、気流生成部50は、外部の空気を隙間14から筐体10内に取り入れ、筐体10内で加熱された空気を排気口15から排出する。
【0062】
これによれば、筐体10内への空気の取り入れおよび筐体10外への空気の排出を簡易な構造で実現できるので、筐体10内を簡易に冷却することができる。この冷却により、筐体10内で形成される画像光を適切に形成することができるので、投射光Lに含まれる画像を適切に投射することができる。
【0063】
また、筐体10は、建物の天井91に嵌め込まれ、開口12は、天井91の天井面92を基準として被投射体80の反対側に設けられていてもよい。
【0064】
これによれば、開口12を天井面92よりも奥側に配置することができ、プロジェクター1を下側から見た場合に、開口12を目立たなくすることができる。
【0065】
また、投射レンズ32の先端32aは、開口12と天井面92との間に位置していてもよい。
【0066】
これによれば、プロジェクター1を下側から見た場合に、開口12から突き抜けている投射部30を目立たなくすることができる。
【0067】
(実施の形態の変形例)
次に、実施の形態の変形例に係るプロジェクター1Aについて、
図8を参照しながら説明する。この変形例では、筐体10の下部筐体が凸形状でなく、平坦な形状をしている例について説明する。
【0068】
図8は、示すプロジェクター1Aの断面図である。プロジェクター1Aは、天井91に埋め込まれている。
【0069】
プロジェクター1Aは、箱状の筐体10と、画像光を出射する光出射部20と、画像光を拡大して外部に投射する投射部30とを備える。また、プロジェクター1Aは、投射部30を回転移動可能とする回転移動部40と、筐体10内を冷却するための気流生成部50および排気ダクト55とを備える。
【0070】
筐体10は、天井91に形成された天井開口93に嵌め込まれ、固定されている。筐体10は、例えば直方体状であり、樹脂あるいは金属によって形成されている。筐体10の外形形状は、直方体状に限られず、円柱状であってもよい。
【0071】
筐体10は、下部筐体11Aおよび上部筐体18によって構成されている。
【0072】
下部筐体11Aは、平坦状の形状を有しており、天井面92に沿って設けられる。下部筐体11は、天井面92に当接した状態で、天井91に固定される。
【0073】
下部筐体11Aは、例えば金属製の平板である。ただし下部筐体11Aは、金属製の平板に限られず、樹脂製の化粧パネルであってもよいし、複数の羽板が平行に配置されたルーバーで構成されていてもよい。
【0074】
下部筐体11Aは、長穴形状の開口12および長方形状の排気口15を有している。筐体10が天井に設置された場合に、開口12および排気口15は、天井面92と同一面上に設けられる。
【0075】
下部筐体11Aには、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55が配置される。
【0076】
上部筐体18は、天面部を有する筒状の形状をしている。上部筐体18は、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55を覆うように、下部筐体11A上に配置される。
【0077】
図8に示すように、光出射部20、投射部30、回転移動部40、気流生成部50および排気ダクト55は、下部筐体11Aと上部筐体とによって囲まれる筐体内空間s3に収容されている。なお、投射部30の大部分は筐体内空間s3内に収容されているが、投射部30の一部は筐体内空間s3の外に位置している。
【0078】
光出射部20は、光を出射する光源21と、光源21から出射された光を変調して画像光を出射する光変調素子22とを備える。
【0079】
投射部30は、光出射部20から出射された光を拡大して投射する。投射部30は、筒状の鏡筒31と、鏡筒31内に設けられた投射レンズ32とを備えている。
【0080】
投射部30は、下部筐体11Aの開口12を突き抜けるように配置されている。下部筐体11Aの開口12の幅は、鏡筒31の直径より大きく、開口12と鏡筒31との間には、隙間14が設けられている。投射部30の鏡筒31の一部は、開口12よりも下側に突出している。具体的には、投射部30の光の投射方向p1における投射レンズ32の先端32aは、開口12よりも被投射体80側に位置している。この構造により、本実施の形態のプロジェクター1Aでは、投射光Lが筐体10によって遮られることを防いでいる。
【0081】
また、筐体10は、建物の天井91に嵌め込まれ、開口12は、天井91の天井面92と同一面上に設けられていてもよい。
【0082】
これによれば、プロジェクター1Aを天井91に簡易に設置することができる。
【0083】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係るプロジェクターについて、上記実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。例えば、本発明は、上記実施の形態および変形例を組み合わせて得られた構成であってもよい。
【0084】
例えば、上記実施の形態のプロジェクター1では、被投射体81に光を投射する際の光軸a1の角度αが45°である例を示したが、それに限られない。例えば
図9に示すように、プロジェクター1は、光軸a1の角度αを-45°とし、一方の壁側の被投射体80に対向する他方の壁側の被投射体80に光を投射してもよい。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、気流生成部50が第1の気流生成部50aおよび第2の気流生成部50bを備えている場合を例示したが、気流生成部50は少なくとも1つであればよい。例えば気流生成部50は、第2の気流生成部50bのみであってもよい。
【0086】
上記実施の形態では、排気口15は、開口12の開口面13と同一面上に設けられている例を示したが、それに限られない。排気口15は、開口面13と投射レンズ32の先端32aとの間の位置に設けられていてもよい。
【0087】
例えば、排気口15には、集塵フィルタなどが設けられていてもよい。また、開口12と鏡筒31との隙間14には、伸縮可能な集塵フィルタが設けられていてもよい。
【0088】
例えば、プロジェクター1は、プロジェクター1が天井91等に設置された後、投射部30の姿勢をネジ等で微調整する調整機構を備えていてもよい。
【0089】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1、1A プロジェクター
10 筐体
12 開口
13 開口面
14 隙間
15 排気口
20 光出射部
30 投射部
32 投射レンズ
32a 先端
40 回転移動部
41 回転軸
50、50a、50b 気流生成部
80、81、82 被投射体
91 天井
92 天井面
a1 光軸
L 投射光
p1 投射方向