(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法、及び、通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20231027BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20231027BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W4/44
(21)【出願番号】P 2019214197
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 英徳
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-503428(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019406(WO,A1)
【文献】特開2011-077635(JP,A)
【文献】特開2005-252623(JP,A)
【文献】特開2006-352189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0234827(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 48/16
H04W 4/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得する取得部と、
自装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記自装置の位置を示す第2の位置情報、および、
前記自装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記自装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる制御部と、
を備
え、
前記自装置が通信中の前記第1の基地局の第1のセクタと、前記第1のセクタに隣り合う第2のセクタとの境界を前記自装置が通過することが予測された場合、前記制御部は、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタのうち、前記第1のセクタの次の通信対象のセクタとして選択される前記一つのセクタへの切り替えの要求を前記第1の基地局へ前記通信部に送信させる、
通信制御装置。
【請求項2】
前記第1の基地局は、前記通信制御装置が通信中の第2 の基地局の周囲に位置する基地局であり、
前記取得部は、前記第1の基地局の前記第1の位置情報を前記第2 の基地局から受信する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2の位置情報および前記方位情報に基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測し、
予測された前記位置および前記セクタ情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
請求項
3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記通信制御装置は、車両に搭載され、
前記制御部は、前記車両のウィンカー情報、及び、ナビゲーションシステムからの航路情報の少なくとも一つに基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測する、
請求項
4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信におけるビームの方向を予測し、
予測された前記ビームの方向における、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信品質に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
請求項
3に記載の通信制御装置。
【請求項7】
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得する取得部と、
自装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記自装置の位置を示す第2の位置情報、および、前記自装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記自装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記自装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
通信制御装置。
【請求項8】
前記通信制御装置が通信中の前記第1の基地局の第1のセクタと、前記第1のセクタに隣り合う第2のセクタとの境界を前記通信制御装置が通過することが予測された場合、前記制御部は、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタのうち、前記第1のセクタの次の通信対象のセクタとして選択される前記一つのセクタへの切り替えの要求を前記第1の基地局へ前記通信部に送信させる、
請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記第1の基地局は、前記通信制御装置が通信中の第2の基地局の周囲に位置する基地
局であり、
前記取得部は、前記第1の基地局の前記第1の位置情報を前記第2の基地局から受信する、
請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2の位置情報および前記方位情報に基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測し、
予測された前記位置および前記セクタ情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記通信制御装置は、車両に搭載され、
前記制御部は、前記車両のウィンカー情報、及び、ナビゲーションシステムからの航路情報の少なくとも一つに基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測する、
請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信におけるビームの方向を予測し、
予測された前記ビームの方向における、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信品質に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項13】
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、
通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、
前記通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、
前記通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信さ
せ、
前記通信制御装置が通信中の前記第1の基地局の第1のセクタと、前記第1のセクタに隣り合う第2のセクタとの境界を前記通信制御装置が通過することが予測された場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタのうち、前記第1のセクタの次の通信対象のセクタとして選択される前記一つのセクタへの切り替えの要求を前記第1の基地局へ前記通信部に送信させる、
通信制御方法。
【請求項14】
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、
通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、前記通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させ、
前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
通信制御方法。
【請求項15】
第1の基地局と、通信制御装置と、を備え、
前記通信制御装置は、
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、
前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、前記通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信さ
せ、
前記通信制御装置が通信中の前記第1の基地局の第1のセクタと、前記第1のセクタに隣り合う第2のセクタとの境界を前記通信制御装置が通過することが予測された場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタのうち、前記第1のセクタの次の通信対象のセクタとして選択される前記一つのセクタへの切り替えの要求を前記第1の基地局へ前記通信部に送信させる、
通信システム。
【請求項16】
第1の基地局と、通信制御装置と、を備え、
前記通信制御装置は、
第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、
前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、前記通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させ、
前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置、通信制御方法、及び、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、第5世代移動通信システム(5G: 5th Generation mobile communication systems)では、long term evolution(LTE)又はLTE-Advancedシステムと比較して、高速・大容量化に有利である、より高い周波数帯域を利用することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のセクタを用いる通信方法について検討の余地がある。
【0005】
本開示の一実施例の目的は、複数のセクタにおいて適切に通信できる通信制御装置、通信制御方法、及び、通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る通信制御装置は、第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得する取得部と、自装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記自装置の位置を示す第2の位置情報、および、自装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記自装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施例によれば、複数のセクタにおいて適切に通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】基地局及び移動局の動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施例に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
上述したように、例えば、5Gシステムにおいて、LTEシステム又はLTE-Advancedシステムの周波数帯域(例えば、800MHz又は2GHz等)よりも高い周波数帯域(例えば、3GHz以上)の利用が検討されている。例えば、5Gシステムにおいて利用される周波数帯域には、3rd Generation Partnership Project(3GPP)において示されているように、4G LTE以前から使用されてきた6GHz帯以下の周波数を含むFrequency Range 1 (FR1)、及び、FR1より通信可能範囲が狭いが周波数帯域の広い24.25GHzから52.6GHzまでのミリ波を含むFrequency Range 2 (FR2)が含まれる。
【0011】
利用する周波数帯域が高いほど、伝搬損失が大きくなる。そこで、例えば、FR2といったより高い周波数帯域を利用する場合に、伝搬損失の増加を補うべく、高利得の指向性アンテナの適用が検討されており、その実現方法の一つとして、ビームフォーミング(BF:beamforming。)がある。ビームフォーミングの適用により、例えば、全方位アンテナの適用時と比較して、基地局(base station(BS)又はgNBとも呼ぶ)と移動局(端末、移動機、mobile station(MS)又はuser equipment(UE)とも呼ぶ)との間の通信可能距離又は通信可能エリアを拡大できる。
【0012】
また、例えば、基地局においてビームフォーミングが適用される際、より広い角度範囲をカバーするために、基地局は、ビームフォーミングの向きを移動局の方向に追従させる処理(例えば、beam sweepingとも呼ぶ)を行うが、一つのアンテナで360度方位をカバーすることが困難である。
【0013】
このため、例えば、スモールセル(small cell)下において、基地局が、360°の通信可能エリアをカバーするためには、1つのアンテナによるカバー可能範囲(換言すると、追従角)を90°とした場合、基地局は、少なくとも4個のアンテナを設置する必要がある。
【0014】
例えば、LTEシステムにおいて運用されている基地局のセクタは、基地局当たりのユーザー数を増加させるための措置として適用されていた。これに対して、5Gにおいて運用されるスモールセル下で基地局がカバーエリアを確保するために、1つのアンテナ面によって通信可能なエリア(又は角度範囲)を定め、「セクタ」として設定することが適切であると考えられる。ここにはMassive MIMOと呼ばれるような複数のビームにより、多接続できるような基地局も1つのセクタとして考えることとする。基地局は、例えば、ビーム(又は、アンテナ)の切り替えによって、移動局と通信可能なセクタを切り替える。換言すると、基地局の通信可能エリアを複数に区分した各部分エリアを「セクタ」と呼ぶ。基地局は、例えば、移動局の位置(例えば、移動)に応じて、セクタを切り替える追従制御を行ってもよい。
【0015】
また、例えば、5Gシステムでは、マクロセル(macro cell)の通信可能エリア(換言すると、カバーエリア)内に、少なくとも一つのスモールセルを配置する構成が検討されている。
【0016】
例えば、5Gシステムにおいて、スモールセルが複数のセクタを有し、セクタ間の切り替え(例えば、切替タイミング)により、移動局の追従制御を行うことが想定される。
【0017】
例えば、特許文献1には、移動局が、移動局の位置又は速度といった移動局に関する情報、及び、基地局から送信される、受信地点におけるアンテナ方向に関する情報に基づいて、移動局の位置、進行方向、又は電波の到来方向といった情報を予測し、予測結果に基づいてアンテナ指向性(換言すると、ビームフォーミング)を制御する方法が開示されている。
【0018】
しかしながら、特許文献1には、移動局のアンテナ指向性を制御する方法が開示されているが、基地局(例えば、スモールセル)が有する複数のセクタの制御に関しては考慮されていない。
【0019】
例えば、スモールセルでは、マクロセルと比較して、セル半径は短く、通信可能エリアは狭い。このため、スモールセルでは、マクロセルと比較して、例えば、複数の基地局それぞれのエリアは狭く、移動局の移動による基地局間の切替が多く発生しやすい。一例として、交差点の信号機に基地局が設置される場合、移動局が移動する方向において、信号機の手前エリアと、真下エリアと、後ろのエリアとでは、基地局が有する複数のセクタの中の適切なセクタがそれぞれ異なる可能性がある。よって、基地局は、移動局の位置に応じて、セクタの切り替えを行う。例えば、移動局が車両に搭載される場合のように、移動局が高速に移動する場合には、車両の移動とともに移動局に対して適切なセクタが瞬時的に変化するため、基地局は、移動局に追従できない場合があり得る。
【0020】
また、例えば、セクタ切替が適切に行われない場合には、基地局と移動局との間の通信は切断される可能性がある。通信が切断された場合、基地局及び移動局は、接続処理(例えば、サーチ)を再度行うため、通信再開までに時間を要し、スループットが低下する可能性がある。さらに、例えば、通信再開したタイミングでは、再接続された基地局の通信可能エリア外に移動局が既に移動している可能性もある。
【0021】
そこで、本開示の一実施例では、基地局の複数のセクタを適切に切り替える方法について説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る通信システムの一例を示す。通信システムは、例えば、複数の基地局100(
図1では、BS1及びBS2)、及び、移動局200(例えば、移動制御装置に相当)を含む。
【0023】
基地局100は、例えば、
図1に示すように、通信可能エリア(例えば、セクタ#1~#4)に道路が含まれるように設置される。なお、
図1及び後述する他の図では、便宜上、基地局100(BS1又はBS2)が交差点の中央付近に設置される場合を示しているが、基地局100の設置位置は、
図1に示す位置に限定されない。例えば、基地局100は、信号機などの路側機(図示せず)に設置されてもよく、道路脇の建物に設置されてもよい。
【0024】
移動局200は、例えば、車両に搭載されている。
【0025】
基地局100は、例えば、基地局100が有する複数のセクタ#1~#4の切り替えを制御する。本開示の一実施例では、例えば、移動局200は、当該移動局200の将来の位置を予測し、予測結果に基づいて、セクタの切り替え要求(換言すると、セクタの切り替えを促す情報)を基地局100へ送信する。そして、基地局100は、移動局200からの要求に基づいてセクタを切り替えてもよい。すなわち、移動局200は、例えば、基地局100の複数のセクタの中から、移動局200の通信対象セクタとして選択したセクタと移動局200とを基地局100に通信可能とさせるための要求を基地局100へ送信する。
【0026】
また、基地局100は、例えば、移動局200の位置に応じて、他の基地局への切り替え(換言すると、ハンドオーバ)を制御してもよい。
【0027】
なお、基地局100は、例えば、マクロセル及びスモールセルを形成する装置でもよい。また、
図1に示す通信システムは、例えば、複数の基地局100がLTEシステム又はLTE-Advancedシステムに属するマクロセルと、5Gシステムに属するスモールセルとによって構成される、いわゆる5Gにおけるnon stand alone(NSA)構成でもよく、stand alone(SA)構成でもよい。
【0028】
また、例えば、基地局100では、制御信号(control plane(C-Plane)とも呼ぶ)とユーザデータ信号(user plane(U-Plane)とも呼ぶ)とを分離する「C/U分離方式」が適用されてもよい。例えば、マクロセルでは、U-Planeの通信が行われ、スモールセルでは、C-Planeの通信が行われてもよい。
【0029】
[基地局の構成]
図2は、本実施の形態に係る基地局100の構成例を示すブロック図である。基地局100は、例えば、通信部101、制御部102及び基地局間IF(interface)107を備える。
【0030】
通信部101は、例えば、移動局との間の無線通信(換言すると、送信及び受信の少なくとも一つ)を行う。通信部101は、例えば、通信回路、及び、基地局100が有するセクタに対応するアンテナを備えてもよい。
【0031】
例えば、C/U分離方式が適用される場合、通信部101は、マクロセル用の通信部、及び、スモールセル用の通信部を備えてよい。例えば、マクロセル用の通信部は、スモールセル用の通信部との間でU-Planeデータを送受信し、移動局200との間でC-Planeデータを送受信する。また、スモールセル用の通信部は、例えば、移動局200との間でU-Planeデータを送受信する。
【0032】
制御部102は、例えば、移動局200又は他の基地局100との通信制御処理、及び、移動局200に対するセクタ切り替え処理を行う。制御部102は、例えば、通信制御部103、制御情報保持部104、切替制御部105、及び、制御情報生成部106を備える。
【0033】
通信制御部103は、例えば、制御情報生成部106から入力される制御情報の送信を制御する。基地局100から送信される制御情報には、例えば、基地局100又は他の基地局に関する情報(以下、基地局情報と呼ぶ)が含まれてもよい。基地局情報は、例えば、通信部101又は基地局間IF107を介して、移動局200又は他の基地局へ送信される。また、通信制御部103は、移動局200に対するデータ(換言すると、下りリンクデータ)の送信を制御する。また、例えば、通信制御部103は、切替制御部105から入力される情報(例えば、セクタ切替の判定結果(例えば、後述する切替要求を受理するか否かを示す情報))に基づいて、移動局200との通信に割り当てるセクタを制御する。
【0034】
また、通信制御部103は、例えば、通信部101又は基地局間IF107から入力される制御情報の受信を制御する。基地局100が受信する制御情報には、例えば、移動局200から送信される制御情報、又は、他の基地局の基地局情報が含まれる。また、通信制御部103は、移動局200からのデータ(換言すると、上りリンクデータ)の受信を制御する。
【0035】
なお、基地局情報には、例えば、基地局100(又は、他の基地局)のセクタに関するセクタ情報(例えば、セクタ番号、アンテナ追従角、方位角)、基地局100の位置(例えば、経度、緯度、高度)を示す位置情報、又は、キャリア周波数といった情報が含まれてよい。また、移動局200から送信される制御情報には、例えば、移動局200が基地局100との通信に対して要求する情報(例えば、接続するセクタ情報)が含まれてよい。
【0036】
制御情報保持部104は、例えば、基地局100と異なる他の基地局(例えば、基地局100の周辺の基地局)の基地局情報、又は、移動局200からの制御情報を保持する。制御情報保持部104は、例えば、保持している制御情報を切替制御部105又は制御情報生成部106へ出力する。
【0037】
切替制御部105は、例えば、制御情報保持部104から入力される制御情報に基づいて、移動局200に対するセクタの切替を制御する。例えば、切替制御部105は、移動局200が切替を要求するセクタへの切替を決定してもよい。切替決定の際、切替制御部105は、例えば、基地局100に接続する他の移動局200の状態(接続される移動局の数など)に基づいて、セクタを切り替えるか否かを判断してもよい。切替制御部105は、セクタ切替の判定結果(例えば、切替の有無又は切替先のセクタを含む)を通信制御部103へ出力する。
【0038】
制御情報生成部106は、例えば、制御情報保持部104から入力される情報に基づいて、移動局200、又は、他の基地局向けの制御情報を生成し、通信制御部103へ出力する。
【0039】
基地局間IF107は、他の基地局100との間の通信を行う。基地局間IF107は、例えば、光ファイバ等の有線ケーブルによって、中継局及び交換機の少なくとも一つから構成される通信ネットワーク下において、他の基地局100と通信してよい。基地局100間の通信には、例えば、
図1に示すBS1とBS2との間の通信が含まれてよい。
【0040】
[移動局200の構成]
図3は、本実施の形態に係る移動局200の構成例を示すブロック図である。
図3において、移動局200は、通信部201(例えば、取得部に相当)、及び、制御部202を備える。
【0041】
通信部201は、例えば、基地局100との間の通信(換言すると、送信及び受信の少なくとも一つ)を行う。例えば、C/U分離方式が適用される場合、通信部201は、スモールセルとの間でU-Planeデータを送受信し、マクロセルとの間でC-Planeデータを送受信する。通信部201は、例えば、通信回路及びアンテナ(例えば、一つ又は複数のアンテナ)を備えてもよい。
【0042】
制御部202は、例えば、基地局100との通信処理を行う。制御部202は、例えば、通信制御部203、境界算出部204、予測部205、及び、切替制御部206を備える。
【0043】
通信制御部203は、例えば、制御情報の送信を制御する。移動局200から基地局100へ送信される制御情報には、例えば、通信(接続)要求、又は、後述するセクタの切替要求が含まれてもよい。また、通信制御部203は、基地局100に対するデータ(換言すると、上りリンクデータ)の送信を制御する。
【0044】
また、通信制御部203は、例えば、通信部201から入力される制御情報又はデータ(換言すると、下りリンクデータ)の受信を制御する。移動局200が基地局100から受信する制御情報には、例えば、基地局100(又は他の基地局)の基地局情報が含まれてもよい。
【0045】
境界算出部204は、例えば、通信制御部203から入力される基地局情報に基づいて、基地局100が有するセクタ間の境界(例えば、境界ラインと呼ぶ)を算出する。境界算出部204は、算出した境界ラインを示す境界情報を予測部205及び切替制御部206へ出力する。なお、境界算出部204における境界ラインの算出例は後述する。
【0046】
予測部205は、例えば、図示しない構成部(例えば、センサなど)から入力される移動局情報(例えば、移動局200の位置又は進行方向等を示す情報)、及び、境界算出部204から入力される境界情報に基づいて、移動局200の将来の位置を予測する。予測部205は、予測した位置を示す予測情報を切替制御部206へ出力する。例えば、予測部205は、移動局200の位置を、周期的に予測してもよく、特定のイベント(例えば、車両のウィンカーのONなど)発生時に予測してもよい。なお、予測部205における移動局200の位置予測の例は後述する。
【0047】
切替制御部206は、例えば、境界算出部204から入力される境界情報、及び、予測部205から入力される予測情報に基づいて、基地局100の複数のセクタ間の切り替えを要求するか否かを判定する。切替制御部206は、例えば、セクタの切り替えを要求する場合、セクタの切替要求を通信制御部203へ出力する。セクタの切替要求には、例えば、切替先のセクタを示す情報または、セクタ切替のタイミングを示す情報が含まれてもよい。
【0048】
[基地局100及び移動局200の動作]
上記構成を有する基地局100及び移動局200の動作について説明する。
【0049】
図4は、本実施の形態に係る基地局100及び移動局200の動作例を示すシーケンス図である。
【0050】
図4において、基地局100及び移動局200は、例えば、レジストレーション処理を行う(S101)。そして、移動局200は、基地局100に対して、基地局100との通信の要求を示す信号(例えば、通信要求)を送信する(S102)。基地局100は、移動局200に対して、通信要求に対する応答(例えば、要求の受理又は拒否)を示す信号(例えば、通信要求応答と呼ぶ)を送信する(S103)。
図4では、一例として、基地局100は、移動局200の通信要求を受理(換言すると、受け入れ)する場合について説明する。
【0051】
基地局100は、基地局100及び他の基地局(例えば、基地局100の周辺基地局)の少なくとも1つに関する基地局情報を移動局200へ送信する(S104)。この処理により、基地局100及び移動局200は、当該基地局100又は他の基地局に関する基地局情報を共有する。基地局情報には、例えば、基地局100(又は他の基地局)のセクタに関する「セクタ情報」、基地局100の位置に関する「位置情報」、又は、キャリア周波数といった情報が含まれてもよい。
【0052】
移動局200は、例えば、当該移動局200に関する移動局情報を取得する(S105)。移動局情報には、例えば、移動局200の位置に関する「位置情報」、及び、移動局200が移動する進行方向(又は方位)に関する「方位情報」が含まれてもよい。
【0053】
【0054】
図5では、基地局情報は、例えば、セクタ情報、位置情報及びキャリア周波数を含む。例えば、セクタ情報には、基地局100が有するセクタ数、及び、各セクタに関する情報(例えば、セクタ番号、方位角、及び、追従角)が含まれる。
【0055】
ここで、方位角は、例えば、緯度及び経度によって算出される東西南北といった方位(換言すると、角度)を示す。
図5の例では、北の方位を0°、東の方位を90°、南の方位を180°、及び、西の方位を270°とする。各セクタの方位角は、例えば、各セクタ中心の方位を示す。
【0056】
また、追従角は、例えば、各セクタがカバーする範囲(換言すると、アンテナカバー範囲)に対応する角度を示す。追従角は、例えば、各セクタの方位角を中心とした角度を表してもよい。
図5の例では、各セクタの追従角はそれぞれ90°である。なお、追従角は、セクタ間で同じてもよく、異なってもよい。
【0057】
また、例えば、基地局情報に含まれる位置情報には、基地局100の設置位置を示す緯度、経度、及び、高度が含まれてよい。
【0058】
また、
図5では、移動局情報には、例えば、移動局200の位置を示す緯度、経度、及び、移動局200の移動する方向(進行方向)を示す方位角が含まれてよい。移動局200は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機又はセンサから移動局情報を取得してもよく、他の方法によって移動局情報を取得又は算出してもよい。
【0059】
なお、基地局情報、及び、移動局情報は、
図5に示す情報に限らず、他の情報が含まれてもよい。また、基地局情報の通知処理(例えば、
図4に示すS104及びS108)、及び、移動局情報の取得処理(例えば、S105)は、周期的に行われてもよく、特定のイベント発生時に行われてもよい。
【0060】
図4において、基地局100及び移動局200は、通信処理を行う(S106)。基地局100及び移動局200は、例えば、移動局200の現在の位置において適切な基地局100又はセクタ(例えば、受信品質がより良好なセクタ)において通信を行う。すなわち、移動局200は、基地局100の複数のセクタの何れか一つのセクタ内に位置する。
【0061】
移動局200は、移動局200の将来の位置(例えば、緯度及び経度)を予測する(S107)。移動局200は、例えば、移動局情報に基づいて、移動局200の将来の位置を特定してもよい。例えば、
図6に示すように、移動局200の現在の位置が初期位置(x0,y0)であり、速度がvであり、方位角がθ°の場合、移動局200は、時間tが経過した後の移動局200の位置(xt,yt)を、(x0+v×t×cos θ,y0+v×t×sin θ)と算出する。
【0062】
図4において、移動局200は、例えば、基地局100におけるセクタ間の境界ラインを算出する(S109)。例えば、移動局200は、基地局情報に基づいて、セクタ境界ラインを算出してもよい。例えば、
図5に示す例では、移動局200は、セクタ#1の方位角及び追従角に基づいて、セクタ#1とセクタ#4との境界ライン(方位角0°)及びセクタ#1とセクタ#2との境界ライン(方位角90°)を算出する。移動局200は、
図5に示す他のセクタ間の境界ラインも同様に算出する。
図5に示すように、移動局200は、基地局100の位置、及び、基地局100におけるセクタの境界ラインに基づいて、各セクタそれぞれのエリア(範囲)を特定できる。
【0063】
なお、
図4において、移動局位置の予測処理(S107)、及び、セクタ境界ラインの算出処理(S109)の順序は逆でもよい。
【0064】
図4において、移動局200は、移動局200の将来の位置と、基地局100のセクタ間の境界ラインとに基づいて、将来(例えば、tb秒後)に、通信中のセクタの境界ラインを移動局200が通過するか否かを判断(換言すると、予測)する(S110)。換言すると、移動局200は、将来(例えば、tb秒後)、通信中のセクタと異なる他のセクタのエリアへ移動局200が移動するか否かを判断する。例えば、
図6に示すように、セクタ#1のエリア内の(x0,y0)に位置する移動局200は、t=tb秒後の位置(xt,yt)において、セクタ#1の境界ラインを通過するか否かを判断する。
【0065】
通信中のセクタの境界ラインを通過しない場合(S110:No)、移動局200は、S107の処理に戻り、移動局位置の予測処理(S107)及び境界ラインの算出処理(S109)を繰り返す。
【0066】
一方、通信中のセクタの境界ラインを通過する場合(S110:Yes)、移動局200は、例えば、通信中のセクタから他のセクタへの切り替えを基地局100へ要求することを決定する。移動局200は、セクタの切替先を、例えば、移動局位置の予測に基づいて決定してもよい。
図4に示す例では、移動局200は、例えば、S107における移動局位置の予測に加え、車両のウィンカー情報に基づいて、移動局位置(例えば、方位角)を予測する。
【0067】
例えば、移動局200は、ウィンカー情報に基づいて、ウィンカーがOFFであるか否かを判断する(S111)。換言すると、移動局200は、車両が直進するか(例えば、ウィンカーOFF。進行方向の変化無し)、右折又は左折するか(例えば、ウィンカーON。進行方向の変化有り)を判断する。
【0068】
ウィンカーがONの場合(S111:No)、移動局200は、ウィンカーが右折を示すか否かを判断する(S112)。そして、ウィンカーが右折を示す場合(S112:Yes)、移動局200は、交差点(又は、境界ライン)を通過後(例えば、n(=tb+α)秒後)の移動局200の方位予測を90°修正する(S113)。一方、ウィンカーが左折を示す場合(S112:No)、移動局200は、交差点(又は、境界ライン)を通過後(例えば、n(=tb+α)秒後)の移動局200の方位予測を270°修正する(S114)。
【0069】
一方、ウィンカーがOFFの場合(S111:Yes)、移動局200は、S115の処理に進む。換言すると、ウィンカーがOFFの場合(例えば、車両が直進する場合)、移動局200は、交差点(又は、境界ライン)を通過後の移動局200の方位予測を修正しない。
【0070】
そして、移動局200は、例えば、セクタ情報、及び、移動局200の位置予測(例えば、方位予測を含む)に基づいて、複数のセクタの中から切替先のセクタ(換言すると、通信対象のセクタ)を選択する(S115)。例えば、移動局200は、基地局100が有する複数のセクタのうち、交差点(又は、境界ライン)を通過後(例えば、n(=tb+α)秒後)の移動局200の位置をエリアに含むセクタを選択してもよい。
【0071】
移動局200は、例えば、セクタの切替を要求する信号(切替要求)を基地局100へ送信する(S116)。切替要求の送信により、移動局200は、基地局100に対して、セクタの切替を促す。
【0072】
基地局100は、移動局200に対して、セクタの切替要求に対する応答(例えば、要求の受理又は拒否)を示す信号(例えば、切替要求応答と呼ぶ)を送信する(S117)。例えば、切替要求応答には、切替先のセクタ情報が含まれてもよい。
【0073】
図4では、一例として、基地局100は、移動局200の切替要求を受理(換言すると、受け入れ)する。この場合、基地局100は、例えば、移動局200からのセクタの切替要求に従って、セクタの切替を行ってもよい。なお、基地局100は、例えば、セクタの状態(例えば、受信品質又は他の移動局の接続状態等)に基づいて、移動局200からの切替要求に対応するセクタと異なるセクタ、又は、他の基地局への切替を行ってもよい。
【0074】
基地局100及び移動局200は、例えば、切替後のセクタにおいて通信処理を継続する(S118)。
【0075】
基地局100及び移動局200は、例えば、
図4に示す処理を、通信終了まで繰り返してもよい(図示せず)。
【0076】
【0077】
図7及び
図8では、一例として、交差点に、BS1(基地局100)が設置されている。また、BS1は、4個のセクタ#1~#4を有する。
図7及び
図8では、移動局200は、現在(例えば、0秒の時点)、BS1と通信中であり、セクタ#1のエリア内に位置する。
【0078】
図7及び
図8では、例えば、移動局200は、移動局200(又は車両)の位置を周期的に取得する。
【0079】
移動局200は、例えば、更新周期(換言すると、更新時間間隔)と、測定結果(例えば、
図7及び
図8に示す測定結果1及び測定結果2)とに基づいて、車両の速度v(=距離21/更新周期)を算出してもよい。
【0080】
また、移動局200は、例えば、速度vと、経過時間(例えば、1秒後又は2秒後など)とに基づいて、移動局200の将来の位置(=速度v×経過時間)を算出(換言すると、予測)してもよい。
【0081】
図7及び
図8では、例えば、移動局200は、tb秒後に、BS1のセクタ#1の境界ラインを通過すると判断(又は予測)する。この場合、移動局200は、例えば、セクタ#1の境界ライン(又は交差点)を通過後のn秒後(例えば、n=tb+α)における移動局200の予測位置(例えば、位置及び方位)に基づいて、セクタ#1から切り替えるセクタを選択する。
【0082】
例えば、
図7では、車両のウィンカーはOFFである。よって、移動局200は、tb秒後の交差点通過時には、車両が直進すると判定する。換言すると、移動局200は、tb秒後の交差点通過時における移動局200の予測方位の修正を行わない。よって、
図7に示すように、移動局200は、例えば、tb秒後の交差点通過後において、移動局200の位置がセクタ#3に位置すると判断し、切替先のセクタをセクタ#3に選択する。
【0083】
また、例えば、
図8では、車両のウィンカーはONであり、右折を示す。よって、移動局200は、tb秒後の交差点通過時には、車両が右折すると判定する。換言すると、移動局200は、tb秒後の交差点通過時における移動局200の予測方位を修正する。よって、
図8に示すように、移動局200は、例えば、n秒後の交差点通過後において、移動局200の位置がセクタ#2に位置すると判断し、切替先のセクタをセクタ#2に選択する。
【0084】
なお、図示しないが、車両のウィンカーがONであり、左折を示す場合には、移動局200は、例えば、tb秒後の交差点通過後において、移動局200の位置がセクタ#4に位置すると判断し、切替先のセクタをセクタ#4に選択する。
【0085】
このように、移動局200は、移動局200が通信中の基地局100のセクタ#1と、セクタ#1と隣り合うセクタ(例えば、セクタ#2又はセクタ#4)との境界ラインを移動局200が通過することが予測された場合、セクタ情報、移動局200の位置情報、及び、移動局200の方位情報に基づいて、複数のセクタのうち、セクタ#1の次の通信対象のセクタとして選択されるセクタ(例えば、
図7ではセクタ#3、
図8ではセクタ#2)への切替要求を基地局100(例えば、BS1)へ送信する。
【0086】
切替要求の送信により、基地局100(例えば、BS1)は、移動局200の移動に応じてセクタを適切に切り替えることができる。
【0087】
なお、
図7及び
図8において、基地局100及び移動局200は、セクタの切替タイミングを調整してもよい。例えば、基地局100及び移動局200は、信号機のサイクル(例えば、青色、黄色及び赤色の切替タイミング)に関する情報(以下、信号情報と呼ぶ)に基づいて、セクタの切替タイミングを調整(換言すると、修正)してもよい。例えば、基地局100及び移動局200は、
図7又は
図8において、移動局200が交差点で信号待ちするか否か、又は、信号待ちする期間(例えば、赤信号の期間)に基づいて、交差点を通過するタイミング(例えば、
図7に示すn秒後)を決定してもよい。
【0088】
例えば、基地局100は、信号機から信号情報を直接取得してもよい。また、移動局200は、例えば、信号機から信号情報を直接取得してもよく、光ビーコン等によって信号情報を取得してもよい。
【0089】
以上、移動局200における切替先セクタの選択例について説明した。
【0090】
本実施の形態では、移動局200において、通信部201は、例えば、基地局100の位置を示す位置情報、及び、基地局100の複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得する。そして、制御部202は、移動局200が基地局100の通信可能エリア内に位置する場合、セクタ情報、移動局200の位置情報、及び、移動局200の進行方向を示す方位情報に基づいて、基地局100の複数のセクタの中から移動局200の通信対象のセクタとして選択する。例えば、制御部202は、予測された移動局200の将来の位置及びセクタ情報に基づいて、複数のセクタの中から、一つのセクタを選択する。また、制御部202は、例えば、選択された一つのセクタにおける通信の要求(換言すると、セクタの切替要求)を基地局100へ通信部201に送信させる。
【0091】
この処理により、移動局200は、移動局200の将来の予測位置と、基地局100のセクタのエリアとに基づいて、基地局100の複数のセクタ間の切り替えの要否を事前に(例えば、交差点の通過前に)判断できる。よって、本実施の形態によれば、例えば、移動局200が高速に移動する場合、すなわち、車両の移動とともに移動局200に対して適切なセクタが瞬時的に変化する場合でも、基地局100は、移動局200の移動に追従してセクタを切り替えることができる。例えば、マクロセルと比較して通信エリアが狭いスモールセルにおいても、基地局100は、移動局200と通信するセクタを、移動局200の移動に応じて適切に切り替えることができる。
【0092】
よって、本実施の形態によれば、例えば、5Gシステムに適用されるスモールセル下において適切に通信できる。
【0093】
また、基地局100では、移動局200の通信対象のセクタが適切に切り替えられるので、基地局100と移動局200との間の通信切断(換言すると、通信切断後の再接続処理又はリカバリ処理)を抑制し、基地局100と移動局200との間の通信を維持できる可能性が高くなる。よって、本実施の形態によれば、通信切断による通信の遅延、又は、スループットの低減を抑制できる。
【0094】
また、本実施の形態によれば、移動局200が基地局100におけるセクタ切替を判断するので、基地局100におけるセクタ切替のための構成の増大を抑制できる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、基地局100及び移動局200は、基地局100及び移動局200の位置情報を共有するので、例えば、基地局100又は移動局200の周辺の環境によって通信状態が変化した場合でも、通信状態の変化に応じてセクタの切替を制御できる。
【0096】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1では、一例として、
図7及び
図8に示すように、交差点に基地局100が設置される場合について説明したが、基地局100の設置箇所は交差点に限定されない。
【0097】
例えば、変形例1では、
図9に示すように、基地局100(例えば、BS1及びBS2)は、道路脇に設置されてもよい。
図9に示す例では、各基地局100は、2つのセクタ(セクタ#1及びセクタ#2)を有する。
図9に示す場合でも、移動局200は、実施の形態1と同様、基地局100の位置情報、セクタ情報、移動局200の位置情報、及び、進行方向に基づいて、セクタ切替を制御すればよい。
【0098】
(実施の形態1の変形例2)
移動局200による位置の予測方法は、
図6に示す方法に限定されない。
【0099】
例えば、移動局200は、車両のウィンカー情報(例えば、右折又は左折を示す情報)に基づいて、車両(又は移動局200)の方位角の変化を予測してもよい。この予測により、移動局200は、例えば、交差点などを通過した後の移動局200の位置を予測できる。
【0100】
又は、移動局200は、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムから取得する情報(例えば、航路情報)に基づいて、移動局200の位置を予測してもよい。例えば、移動局200は、カーナビゲーションシステムにおける車両の目的地への案内情報(例えば、将来の移動経路)に基づいて、車両(又は移動局200)の方位角又は位置の変化を予測してもよい。
【0101】
又は、移動局200は、車両の加速度を検知する加速度センサ、及び、車両の速度に基づいて、移動局200の方位角(例えば、直進、右折又は左折といった進行方向)を予測してもよい。例えば、交差点などを直進時(かつ、信号が青の場合)には、車両は速度を落とさずに走行(通過)することが想定される。また、交差点を右折時又は左折時には、車両は速度を減速することが想定される。そこで、移動局200は、車両の加速度及び速度に基づいて、移動局200の方位角の変化を予測してもよい。また、移動局200は、更に、車両が走行するレーン(例えば、直進レーン、右折レーン又は左折レーン)を示すレーン情報に基づいて、車両の進行方向(すなわち、移動局200の方位角)を予測してもよい。
【0102】
なお、移動局200は、上述した移動局位置の予測方法の少なくとも1つ又は複数の組み合わせに基づいて、移動局200の位置を予測してもよい。複数の予測方法の組み合わせにより、移動局200における移動局位置の予測精度を向上できる。
【0103】
例えば、移動局200は、通信に対応するサービスにおいて想定される遅延時間を加味して、移動局位置の予測方法を設定してもよい。例えば、移動局200は、低遅延又は高信頼性が要求されるサービス(例えば、URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)では、少ない遅延時間になることを見込んで、将来の移動局200の位置を予測してもよい。
【0104】
(実施の形態1の変形例3)
例えば、各基地局100は、GPS(Global Positioning System)受信機を備え、例えば、D-GPS(Differential GPS)の基準局として運用し、基地局100から移動局200に向けて、ディファレンシャルデータを送ることにより、移動局200における位置測位精度を向上できることとしてもよい。
【0105】
(実施の形態1の変形例4)
移動局200は、例えば、基地局100におけるセクタ(換言すると、ビームパターン又はアンテナ)の切替に応じて、移動局200が有するアンテナの向き(換言すると、ビームパターン)を切り替えてもよい。
【0106】
(実施の形態2)
ビームフォーミングの一例として、ビームを電子的に走査するフェイズドアレイがある。フェイズドアレイでは、指向性をより鋭くすることにより(換言すると、ビーム幅を狭くすることにより)、アンテナ利得を向上する。
【0107】
例えば、基地局と移動局との間の通信では、ビームの向き(例えば、ビーム方位とも呼ぶ)を制御して通信を確立させている。例えば、移動局は、基地局及び移動局の位置に基づいて、基地局との通信に設定するビーム方位を予測してもよい。
図10は、ビーム方位の予測方法の一例を示す。
図10では、例えば、緯度方向をx軸で表し、経度方向をy軸で表し、高さ方向をz軸で表す。
【0108】
図10では、例えば、基地局(BS)は(緯度b1,経度b2,高度b3)に位置し、移動局(例えば、車両)は(緯度m1,経度m2,高度m3)に位置する。
【0109】
図10に示すように、移動局は、例えば、緯度(x軸)方向の基地局と移動局との距離Δx、及び、経度(y軸)方向の基地局と移動局との距離Δyに基づいて、基地局との方位角(tan
-1(Δy/Δx))を算出できる。
【0110】
また、
図10に示すように、移動局は、例えば、緯度(x軸)及び経度(y軸)の2次元平面における基地局と移動局との距離、及び、基地局と移動局との高度差(z軸における距離)に基づいて、基地局との間の仰角(tan
-1(高度差/距離))を算出できる。
【0111】
このように、移動局は、基地局及び移動局それぞれの測位情報に基づいて、基地局との通信におけるビーム方位(例えば、方位角及び仰角)を予測できる。
【0112】
しかしながら、基地局と移動局との間の通信品質(例えば、移動局周辺の環境)によっては、適切なビーム方位を予測できない場合があり得る。例えば、
図10に示す例において、基地局と移動局との間に他の車両(図示せず)が存在する場合、基地局と移動局との間の通信を遮蔽し、通信品質(例えば、受信レベル)が劣化し得る。
【0113】
そこで、本実施の形態では、基地局と移動局との間の通信環境に応じて、ビーム(換言すると、セクタ又は基地局)を適切に切り替える方法について説明する。
【0114】
本実施の形態に係る基地局の基本構成は、実施の形態1(例えば、
図2に示す基地局100)と同様でもよい。
図11は、本実施の形態に係る移動局300の構成例を示すブロック図である。なお、
図11において、実施の形態1(例えば、
図3に示す移動局200)と同一構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
図11において、移動局300の予測部301には、例えば、基地局100の基地局情報(例えば、位置情報、及び、セクタ情報を含む)が通信制御部203から入力される。基地局情報は、例えば、移動局300と通信中の基地局、又は、移動局300と通信中の基地局の周囲に位置する基地局に関する情報が含まれてもよい。
【0116】
また、予測部301には、例えば、移動局300の移動局情報(例えば、位置情報、速度情報等)が入力される。
【0117】
予測部301は、例えば、基地局100(又は、各セクタ)と移動局300との間の通信品質を予測(換言すると、推定)する。
【0118】
【0119】
図12では、例えば、予測部301は、BS1の基地局情報、及び、移動局300の移動局情報に基づいて、BS1の各セクタ(図示せず)と移動局300との間のビーム方位(例えば、方位角及び仰角)を予測する(例えば、
図10を参照)。
【0120】
また、予測部301は、予測したビーム方位における伝搬距離dに基づいて、自由空間における伝搬損失(換言すると、距離減衰)を算出する。伝搬損失は、例えば、自由空間伝搬損失(FSPL:Free Space Path Loss)でもよい。例えば、FSPLは、(4πd/λ)2で表される。ここで、dは伝搬距離[m]を示し、λは信号の波長[m]を示す。
【0121】
また、予測部301は、例えば、BS1から送信される信号(例えば、参照信号)に基づいて、BS1から送信される信号の受信レベル(換言すると、受信品質)を測定する。受信レベルは、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、又は、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)といったパラメータでもよい。
【0122】
そして、予測部301は、例えば、算出される伝搬損失Loss(すなわち、伝搬距離による減衰)と、測定した受信レベルが閾値(例えば、基地局100の送信出力、基地局100のアンテナ利得、移動局300のアンテナ利得、伝送距離dから想定される伝搬損失(例えば、FSPL)及びその他誤差要因から予測される受信電力の許容範囲)より小さい場合、BS1(又は、セクタ)と移動局300との間に遮蔽物(又は障害物)が存在すると判断してもよい。
【0123】
または、予測部301は、例えば、測定した受信レベルが閾値(例えば、許容感度の下限値)未満の場合、BS1(又は、セクタ)と移動局300との間に遮蔽物(又は障害物)が存在すると判断してもよい。
【0124】
予測部301は、例えば、BS1と移動局300との間に遮蔽物が存在すると判断した場合には、BS1との通信が不可であると判断してもよい。
【0125】
なお、例えば、予測部301は、移動局300の将来の位置を予測し、予測した将来の位置におけるBS1と移動局300との間の遮蔽物の存在(換言すると、通信の可否)を判断してもよい。また、予測部301は、上述した基地局100との通信可否の判断処理(換言すると、通信状態の予測処理)を、BS1及びBS2を含む複数の基地局100の各セクタ(換言すると、各アンテナ)毎に行ってもよい。
【0126】
図11において、移動局300の切替制御部302は、予測部301の出力(例えば、各セクタに対する予測結果)に基づいて、基地局100の複数のセクタ間の切り替え、又は、基地局100の切替を要求するか否かを判定する。切替制御部302は、例えば、セクタの切り替えを要求する場合、セクタの切替要求を通信制御部203へ出力する。
【0127】
例えば、
図12に示す例では、BS1と移動局300との間の通信において、他の車両(遮蔽物)による減衰によって、移動局300は、BS1との通信が不可であると判断する。一方、
図12に示す例では、BS2と移動局300との間の通信において、移動局300は、BS2との通信が可能であると判断する。そこで、移動局300は、例えば、BS1からBS2へのセクタ切替を基地局100へ送信する。
【0128】
このように、移動局300は、例えば、基地局100の位置情報及び移動局300の位置情報に基づいて、移動局300と基地局100との間の通信におけるビーム方位を予測し、予測されたビーム方位における、移動局300と基地局100との間の通信品質に基づいて、複数のセクタ(又は基地局)の中から、一つのセクタ(又は基地局)を選択する。換言すると、移動局300は、例えば、移動局300の位置、又は、移動局300の周辺の車両に関して変動し得る受信品質(又は受信レベル)を予測して、セクタ(又は基地局100)を適切に切り替える。
【0129】
例えば、
図12において、仮に、遮蔽物が存在しない場合には、移動局300に対して、BS2との通信よりもBS1との通信の方が受信品質は良好である。一方、
図12に示すように、BS1と移動局300との間の遮蔽物による減衰が発生した場合、移動局300に対して、BS1との通信よりもBS2との通信の方が受信品質は良好である。本実施の形態では、移動局300は、予測されるビーム方位での受信品質に基づくセクタ(又は基地局)の切替要求により、BS1の受信品質が劣化する場合でもBS2との間において通信を継続できる。
【0130】
よって、本実施の形態によれば、例えば、5Gシステムにおける適用されるスモールセル下おいて適切に通信できる。
【0131】
また、基地局100では、移動局300の通信対象のセクタ(又は基地局)が適切に切り替えられるので、基地局100と移動局300との間の通信切断(換言すると、通信切断後の再接続処理又はリカバリ処理)を抑制し、基地局100と移動局300との間の通信を維持できる可能性が高くなる。よって、本実施の形態によれば、通信切断による通信の遅延、又は、スループットの低減を抑制できる。
【0132】
また、本実施の形態によれば、移動局300が基地局100におけるセクタ(又は基地局)間の切り替えを判断するので、基地局100におけるセクタ(又は基地局)切替のための構成の増大を抑制できる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、基地局100及び移動局300は、基地局100及び移動局300の位置情報を共有するので、例えば、基地局100又は移動局300の周辺の環境によって通信状態が変化した場合でも、通信状態の変化に応じてセクタの切替を制御できる。
【0134】
なお、
図12において、切替要求の送信先である基地局100は、例えば、BS1でもよく、BS2でもよく、BS1及びBS2と異なる他の基地局100(例えば、マクロセル)でもよい。
【0135】
また、本実施の形態では、一例として、移動局300が、基地局100から送信される信号の受信レベル(測定値)に基づいて当該基地局100との通信品質を予測する場合について説明した。しかし、通信品質の予測は、受信レベルの測定値に基づく方法に限定されない。例えば、通信品質の予測は、移動局300(又は車両)が備えるカメラ又はセンサによって検知される、ビーム方位の遮蔽物の有無に基づいて行われてもよい。
【0136】
また、移動局300は、基地局100との通信において遮蔽物の存在を予測した場合に当該基地局100から他の基地局100への切替を要求する場合について説明したが、この処理に限定されない。例えば、移動局300は、
図12において移動局300とBS1との間の通信が遮蔽物によって減衰される状態が所定時間継続される場合に、セクタ切替の要求を送信してもよい。換言すると、移動局300は、移動局300とBS1との間の通信が遮蔽物によって減衰される状態が所定時間以内に解消された場合には、セクタ切替の要求を送信しなくてもよい。または、移動局300は、自動運転車両に搭載される場合、基地局100との通信において遮蔽物の存在を予測した場合に、車両に対してレーンの変更を要求してもよい。
【0137】
また、
図12では、移動局300(車両)の進行方向(換言すると、前後方向)における基地局100(例えば、BS1及びBS2)の切替について説明したが、これに限定されない。例えば、
図13に示すように、移動局300(車両)の進行方向と垂直の方向(換言すると、左右方向)における前後の基地局100(例えば、BS3及びBS4)の切替でもよい。
【0138】
また、
図12では、BS1及びBS2の2つの基地局100について説明したが、移動局300の周囲に位置する基地局100は2個に限らず、3個以上でもよい。この場合、移動局300は、通信中の基地局100(又はセクタ)の受信品質劣化が予測される場合、他の基地局100のうち、受信品質(又は受信レベル)がより高い基地局100(又はセクタ)への切替を要求してもよい。
【0139】
以上、本開示の一実施例について説明した。
【0140】
なお、基地局100が有するセクタ数は4個に限らず、他の個数でもよい。例えば、基地局100が交差点に設置される場合、4の倍数のセクタが設けられてもよい。これにより、例えば、交差点から四方への通信を確保しやすくなる。
【0141】
また、移動局200又は移動局300は、基地局情報(例えば、位置情報及びセクタ情報)を、例えば、移動局200又は移動局300が通信中の基地局100から受信してもよく、移動局200又は移動局300が通信中の基地局100の周囲に位置する基地局から受信してもよい。
【0142】
また、基地局100が有するセクタは、例えば、緯度(例えば、x軸)及び経度(例えば、y軸)の2次元平面における基地局100の通信可能エリアを区分した部分エリアに限らない。例えば、セクタは、緯度(例えば、x軸)及び経度(例えば、y軸)に加え、高度(例えば、z軸)の3次元空間における基地局100の通信可能エリアを区分した部分エリアでもよい。例えば、
図7又は
図8に示す例において、BS1は、セクタ#1~#4に加え、BS1から真下の方向をカバーする部分エリアであるセクタ#5(図示せず)を有してもよい。換言すると、基地局100は、例えば、緯度及び経度の2次元平面(例えば、水平方向)におけるbeam sweeping、及び、高度方向(例えば、垂直方向)におけるbeam sweepingの少なくとも一方を適用してもよい。
【0143】
また、実施の形態1及び実施の形態2を組み合わせて動作してもよい。例えば、移動局は、実施の形態1の移動局200のように、移動局の将来の予測位置に基づいてセクタ切替を制御し、かつ、実施の形態2の移動局300のように、移動局の通信品質の予測(例えば、遮蔽物の有無)に基づいてセクタ(又は基地局)切替を制御してもよい。
【0144】
また、移動局200及び移動局300は、例えば、カーナビゲーションシステム、ドライブレコーダ、又は、コクピットといった車載器でもよく、携帯電話でもよい。また、移動局200及び移動局300が搭載される移動体は、車両に限らず、他の移動体でもよい。
【0145】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0146】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0147】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0148】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0149】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0150】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0151】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0152】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0153】
以上の説明において、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0154】
(実施の形態のまとめ)
本開示の一実施例に係る通信制御装置は、第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得する取得部と、自装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記自装置の位置を示す第2の位置情報、および、自装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記自装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる制御部と、を備える。
【0155】
本開示の一実施例において、前記通信制御装置が通信中の前記第1の基地局の第1のセクタと、前記第1のセクタに隣り合う第2のセクタとの境界を前記通信制御装置が通過することが予測された場合、前記制御部は、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタのうち、前記第1のセクタの次の通信対象のセクタとして選択される前記一つのセクタへの切り替えの要求を前記第1の基地局へ前記通信部に送信させる。
【0156】
本開示の一実施例において、前記第1の基地局は、前記通信制御装置が通信中の第2の基地局の周囲に位置する基地局であり、前記取得部は、前記第1の基地局の前記第1の位置情報を前記第2の基地局から受信する。
【0157】
本開示の一実施例において、前記制御部は、前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記第2の位置情報、および、前記方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する。
【0158】
本開示の一実施例において、前記制御部は、前記第2の位置情報および前記方位情報に基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測し、予測された前記位置および前記セクタ情報に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する。
【0159】
本開示の一実施例において、前記通信制御装置は、車両に搭載され、前記制御部は、前記車両のウィンカー情報、及び、ナビゲーションシステムからの航路情報の少なくとも一つに基づいて、前記通信制御装置の将来の位置を予測する。
【0160】
本開示の一実施例において、前記制御部は、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信におけるビームの方向を予測し、予測された前記ビームの方向における、前記通信制御装置と前記第1の基地局との間の通信品質に基づいて、前記複数のセクタの中から、前記一つのセクタを選択する。
【0161】
本開示の一実施例に係る通信制御方法は、第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる。
【0162】
本開示の一実施例に係る通信システムは、第1の基地局と、通信制御装置と、を備え、前記通信制御装置は、第1の基地局の位置を示す第1の位置情報、および、前記第1の基地局の通信可能エリアが区分された複数の部分エリアである複数のセクタそれぞれのエリアを示すセクタ情報を取得し、前記通信制御装置が前記第1の基地局の通信可能エリア内に位置する場合、前記セクタ情報、前記通信制御装置の位置を示す第2の位置情報、および、前記通信制御装置の進行方向を示す方位情報に基づいて、前記複数のセクタの中から前記通信制御装置の通信対象のセクタとして選択された一つのセクタにおける通信の要求を前記第1の基地局へ通信部に送信させる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0164】
100 基地局
101,201 通信部
102,202 制御部
103,203 通信制御部
104 制御情報保持部
105,206,302 切替制御部
106 制御情報生成部
107 基地局間IF
200,300 移動局
204 境界算出部
205,301 予測部