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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】入力装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20231027BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
H01H25/04 N
B60R16/02 630K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019220200
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021089860
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】片岡 憲治
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090501(JP,A)
【文献】特開2016-012466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と、
前記永久磁石で発生する磁界を検知する磁気センサと、
操作部と、
前記操作部の動きを、前記永久磁石である可動部材の、前記磁気センサに対する動きに変換する変換機構と、
前記磁気センサが実装された基板と、
前記永久磁石の位置を基準として前記磁気センサ側に配置される第1本体と、
前記第1本体と結合され、前記永久磁石の前記位置を基準として前記磁気センサとは反対側に配置される第2本体と、を備え、
前記磁気センサは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の回転軸を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力し、
前記変換機構は、前記操作部の第1方向の動きを前記可動部材の第1アクションに変換し、前記操作部の前記第1方向と交差する第2方向の動きを前記可動部材の第2アクションに変換し、
前記第1アクション及び前記第2アクションは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角の変化を伴う動きであり、
前記第1アクションによる前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角と、前記第2アクションによる前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角とは異なる回転角であり、
前記基板は、前記第1本体に保持される、
入力装置。
【請求項2】
前記操作部は、レバーを有する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記変換機構は、前記操作部の前記第1方向の動きを前記可動部材の前記第1アクションに変換することと、前記操作部の前記第2方向の動きを前記可動部材の前記第2アクションに変換することと、を同時に実行可能である、
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記磁気センサは、少なくとも1つのホール素子又は磁気抵抗効果素子を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記変換機構は、前記操作部の前記第2方向の動きに伴い、前記永久磁石の前記回転軸に対し交差する方向において、前記回転軸に対して移動するアクチュエータを備え、前記アクチュエータの動きに応じて、前記可動部材を回転させることで、前記可動部材の前記第2アクションを実現する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記変換機構は、前記可動部材を保持するホルダを含み、
前記ホルダは、前記操作部の前記第1方向の動きに応じて、前記可動部材と共に回転することで、前記可動部材の前記第1アクションを実現する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記変換機構は、前記アクチュエータの動きを前記ホルダに連動させるリンク機構を備え、前記操作部の前記第2方向の動きに応じて、前記リンク機構によって、前記第1アクションによる前記ホルダの回転角を超える回転角で前記ホルダを回転させることで、前記可動部材の前記第2アクションを実現する、
請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記操作部の前記第2方向の動きを支持すると共に、前記操作部と一体に前記第1方向に動き、前記アクチュエータを収納した摺動体と、
前記アクチュエータの動きに交差する方向に前記アクチュエータに近接して配置され、前記アクチュエータに対向する面にカム部を有し、前記摺動体に回転可能に保持されたカム部材と、
前記カム部材と前記可動部材を連結するリンク部材と、
前記アクチュエータに装着され、前記カム部材の前記カム部に弾接する駆動体と、を備え、
前記リンク機構は前記アクチュエータの動きに応じて、前記駆動体が前記カム部に弾接しながら動くことで、前記カム部材を回転させて、前記リンク部材を介し前記可動部材を回転させるようにして前記第2アクションを実現する、
請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
永久磁石と、
前記永久磁石で発生する磁界を検知する磁気センサと、
操作部と、
前記操作部の動きを、前記永久磁石と前記磁気センサとのうち一方である可動部材の、他方に対する動きに変換する変換機構と、を備え、
前記磁気センサは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の回転軸を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力し、
前記変換機構は、前記操作部の第1方向の動きを前記可動部材の第1アクションに変換し、前記操作部の前記第1方向と交差する第2方向の動きを前記可動部材の第2アクションに変換し、
前記第1アクション及び前記第2アクションは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角の変化を伴う動きであり、
前記第1アクションによる前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角と、前記第2アクションによる前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角とは異なる回転角であり、
前記変換機構は、前記操作部の前記第2方向の動きに伴い、前記永久磁石の前記回転軸に対し交差する方向において、前記回転軸に対して移動するアクチュエータを備え、前記アクチュエータの動きに応じて、前記可動部材を回転させることで、前記可動部材の前記第2アクションを実現する、
入力装置。
【請求項10】
永久磁石と、
前記永久磁石で発生する磁界を検知する磁気センサと、
操作部と、
前記操作部の動きを、前記永久磁石と前記磁気センサとのうち一方である可動部材の、他方に対する動きに変換する変換機構と、を備え、
前記磁気センサは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の回転軸を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力し、
前記変換機構は、前記操作部の第1方向の動きを前記可動部材の第1アクションに変換し、前記操作部の前記第1方向と交差する第2方向の動きを前記可動部材の第2アクションに変換し、
前記第1アクション及び前記第2アクションは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角の変化を伴う動きであり、
前記変換機構は、前記可動部材を保持するホルダを含み、
前記ホルダは、前記操作部の前記第1方向の動きに応じて、前記可動部材と共に回転することで、前記可動部材の前記第1アクションを実現し、
前記変換機構は、前記アクチュエータの動きを前記ホルダに連動させるリンク機構を備え、前記操作部の前記第2方向の動きに応じて、前記リンク機構によって、前記第1アクションによる前記ホルダの回転角を超える回転角で前記ホルダを回転させることで、前記可動部材の前記第2アクションを実現する、
入力装置。
【請求項11】
検知ブロックを少なくとも1つ備え、
前記検知ブロックは、前記永久磁石を1つ備え、前記1つの永久磁石の磁界を検知する前記磁気センサを1つ備える、
請求項1~10のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の入力装置と、
前記入力装置が搭載された移動体本体と、を備える、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に入力装置及び移動体に関し、より詳細には、磁気センサを用いた入力装置及びこの入力装置を備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のレバースイッチ装置(入力装置)は、操作レバー(操作部)と、マグネット(永久磁石)と、2つの検出部(磁気センサ)と、を備えている。操作レバーは、第1の回転軸の回りの第1の回転操作(ターン操作)の方向と、第1の回転軸と交差する第2の回転軸の回りの第2の回転操作(ディマ操作)の方向と、に回転移動可能である。操作レバーのターン操作及びディマ操作により、マグネットが回転とスライド移動の2方向への動きをとる。2つの検出部は、マグネットの回転移動及びスライド移動をそれぞれ独立に検出する。この構成により、1つのマグネットで2方向の操作の検出が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-012466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のレバースイッチ装置は、操作レバーのターン操作に対応したマグネットの回転移動を検出する検出部(磁気センサ)と、操作レバーのディマ操作に対応したマグネットのスライド移動を検出する検出部と、の両方を要していた。そのため、レバースイッチ装置の構造が複雑化する可能性があった。
【0005】
本開示は、磁気センサの個数を低減することができる入力装置及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る入力装置は、永久磁石と、磁気センサと、操作部と、変換機構と、を備える。前記磁気センサは、前記永久磁石で発生する磁界を検知する。前記変換機構は、前記操作部の動きを、前記永久磁石と前記磁気センサとのうち一方である可動部材の、他方に対する動きに変換する。前記磁気センサは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の回転軸を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力する。前記変換機構は、前記操作部の第1方向の動きを前記可動部材の第1アクションに変換し、前記操作部の前記第1方向と交差する第2方向の動きを前記可動部材の第2アクションに変換する。前記第1アクション及び前記第2アクションは、前記磁気センサに対する前記永久磁石の前記回転軸を中心とする前記相対的な回転角の変化を伴う動きである。
【0007】
本開示の一態様に係る移動体は、前記入力装置と、移動体本体と、を備える。前記移動体本体には、前記入力装置が搭載される。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、磁気センサの個数を低減することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る入力装置の斜視図である。
図2図2は、同上の入力装置の分解斜視図である。
図3図3は、同上の入力装置の入力ブロックの分解斜視図である。
図4図4は、同上の入力装置を備えた移動体の概略図である。
図5図5は、同上のカム部材の要部拡大斜視図である。
図6図6は、同上のカム部材の要部平面図及び要部断面図である。
図7図7は、同上の入力装置の入力ブロックの操作前の状態の正面図及び断面図である。
図8図8は、同上の入力装置の入力ブロックの操作後の状態の正面図である。
図9図9は、同上の入力装置の入力ブロックの操作後の状態の正面図及び断面図である。
図10図10は、同上の入力装置の入力ブロックの操作後の状態の正面図及び断面図である。
図11図11は、同上の入力装置の入力ブロックの操作後の状態の正面図及び断面図である。
図12図12は、同上の入力装置の操作部の操作に伴う永久磁石の回転角度を説明する説明図である。
図13図13は、実施形態の変形例2に係る入力装置の操作前の正面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る入力装置1及び移動体100について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態の入力装置1は、図1図3に示すように、永久磁石31と、磁気センサ41と、操作部6と、変換機構M1と、を備えている。磁気センサ41は、永久磁石31で発生する磁界を検知する。変換機構M1は、操作部6の動きを、永久磁石31と磁気センサ41とのうち一方である可動部材の、他方に対する動きに変換する。言い換えると、変換機構M1は、操作部6の動きを、永久磁石31に対する磁気センサ41の動きと、磁気センサ41に対する永久磁石31の動きと、のうち一方に変換する。磁気センサ41は、磁気センサ41に対する永久磁石31の回転軸X1(図7参照)を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力する。変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動きを可動部材の第1アクションに変換し、操作部6の第2方向D2の動きを可動部材の第2アクションに変換する。第2方向D2は、第1方向D1と交差する方向である。第1アクションは、磁気センサ41に対する永久磁石31の回転軸X1を中心とする相対的な回転角の変化を伴う動きである。第2アクションは、磁気センサ41に対する永久磁石31の回転軸X1を中心とする相対的な回転角の変化を伴う動きで、第1アクションによる回転角とは異なる回転角である。
【0012】
本実施形態の入力装置1によれば、変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動きに応じて可動部材の第1アクションを実現し、操作部6の第2方向D2の動きに応じて可動部材の第2アクションを実現する。これにより、磁気センサ41は、操作部6が第1方向D1に動く際に第1アクションに応じた信号を出力し、操作部6が第2方向D2に動く際に第2アクションに応じた信号を出力することができる。つまり、磁気センサ41が操作部6の第1方向D1の動きと第2方向D2の動きとを検知する。よって、操作部6の第1方向D1の動きを検知する磁気センサ41と、操作部6の第2方向D2の動きを検知する磁気センサ41と、をそれぞれ入力装置1が備える場合と比較して、磁気センサ41の個数を低減することができる。
【0013】
(2)詳細
(2-1)入力装置
図1図3に示すように、入力装置1は、入力ブロック2(検知ブロック)を少なくとも1つ備えている。本実施形態の入力装置1は、複数(図1では2つ)の入力ブロック2を備えている。2つの入力ブロック2の各々は、永久磁石31と、磁気センサ41と、操作部6と、変換機構M1と、を備えている。2つの入力ブロック2の各々は、操作部6において操作を受け付け、磁気センサ41において操作を検知し、磁気センサ41の検知結果に応じた信号を出力する。2つの入力ブロック2の各々は、他方の入力ブロック2とは独立して動作する。
【0014】
各入力ブロック2の操作部6は、後述の摺動体72を介して、後述の突出部74(図3参照)に回転可能に支持されている。突出部74に対する操作部6の回転は、第1方向D1の動きである。
【0015】
また、各入力ブロック2の操作部6は、摺動体72に回転可能に支持されている。摺動体72に対する操作部6の回転は、第2方向D2の動きである。
【0016】
本実施形態において、可動部材は、永久磁石31である。すなわち、運転者が操作部6を第1方向D1に動かすと、変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動きを、永久磁石31の第1アクションに変換する。また、運転者が操作部6を第2方向D2に動かすと、変換機構M1は、操作部6の第2方向D2の動きを、永久磁石31の第2アクションに変換する。
【0017】
上述の通り、2つの入力ブロック2の各々は、永久磁石31を1つ備え、磁気センサ41を1つ備えている。1つの磁気センサ41は、1つの永久磁石31の磁界を検知する。すなわち、2つの入力ブロック2の各々の1つの磁気センサ41は、この磁気センサ41を備えている入力ブロック2の1つの永久磁石31と対応しており、対応する永久磁石31の磁界を検知する。1つの永久磁石31が第1アクションと第2アクションとを行い、これに伴う磁界の変化を、対応する磁気センサ41が検知する。
【0018】
(2-2)移動体
図4に示すように、本実施形態の入力装置1は、移動体100に用いられる。すなわち、移動体100は、入力装置1を備えている。移動体100は、移動体本体101を更に備えている。移動体本体101には、入力装置1が搭載されている。本実施形態では、移動体100が自動車である場合を例として説明する。そのため、本実施形態の移動体本体101は、車両本体である。
【0019】
移動体100は、ステアリングホイール102を更に備えている。入力装置1は、ステアリングホイール102の前方に配置されている。つまり、入力装置1は、運転席から見てステアリングホイール102の奥に配置されている。入力装置1は、操作部6を2つ備えている。運転席から見て、2つの操作部6は、ステアリングホイール102の中心付近から外縁付近に向かって突出している。以下の説明では、2つの操作部6が並んでいる方向を左右方向(第3方向D3:図1参照)とする。
【0020】
本実施形態の2つの入力ブロック2の各々は、複数種類の制御対象に対してスイッチ操作を行うためのコンビネーションスイッチを構成している。一例として、2つの操作部6のうち一方は、自動車(移動体100)のワイパを操作するためのワイパスイッチ、及び、ウィンドウォッシャ液を噴出するノズルを操作するためのノズルスイッチとして用いられる。2つの操作部6のうち他方は、自動車(移動体100)のヘッドライトを操作するためのヘッドライトスイッチ、及び、方向指示器を操作するためのウインカスイッチとして用いられる。すなわち、各操作部6に対する操作を、入力装置1の磁気センサ41が検知し、自動車(移動体100)のECU(Electronic Control Unit)は、磁気センサ41の検知結果に応じてワイパ、ノズル、ヘッドライト及び方向指示器等の動作を制御する。
【0021】
一例として、ECUは、右側の入力ブロック2の永久磁石31が第1アクションを行うと、磁気センサ41の検知結果に応じて、方向指示器を動作させる。また、一例として、ECUは、右側の入力ブロック2の永久磁石31が第2アクションを行うと、磁気センサ41の検知結果に応じて、ヘッドライトの状態をハイビームとロービームとで切り替えることと、ヘッドライトのパッシング(短時間の点灯)とを行う。
【0022】
また、一例として、ECUは、左側の入力ブロック2の永久磁石31が第1アクションを行うと、磁気センサ41の検知結果に応じて、ワイパを動作させる。また、一例として、ECUは、左側の入力ブロック2の永久磁石31が第2アクションを行うと、磁気センサ41の検知結果に応じて、ノズルにウィンドウォッシャ液を噴射させる。
【0023】
(2-3)入力ブロック
以下では、特に断りの無い限り、2つの入力ブロック2のうち一方に着目して説明する。
【0024】
図3に示すように、入力ブロック2は、磁石ブロック3と、磁気センサ41と、操作部6と、節度部材71と、摺動体72と、ケース73と、突出部74と、変換機構M1と、を備えている。「摺動」とは、滑らせながら動かすことである。
【0025】
(2-3-1)磁石ブロック
磁石ブロック3は、永久磁石31と、ホルダ32と、を有している。永久磁石31の形状は、例えば、直方体である。永久磁石31の磁気モーメントの方向(S極からN極に向かう方向)は、左右方向(第3方向D3)に沿っている。永久磁石31の厚さ方向は、左右方向(第3方向D3)と交差している。ホルダ32は、樹脂成型品等の非磁性体である。
【0026】
ホルダ32は、収容部321と支持軸部324と連結軸部323を有している。ホルダ32は、長手方向が第1方向D1に沿った、長方形板状である。ホルダ32は収容部321と、収容部321の外周には上方へ突出した複数の爪部322と、を有している。複数の爪部322は永久磁石31を挟んで収容部321に保持している。
【0027】
支持軸部324は、収容部321の下面に第4方向D4の下方へ向けて突出している。支持軸部324は第1カバー21の右端近傍の軸孔211に回転可能に支持されている。なお、永久磁石31の平面視中心と第1カバー21の軸孔211と摺動体72の軸孔725とケース73の突出部74の中心は回転軸X1上に配置されている。
【0028】
(2-3-2)磁気センサ
磁気センサ41は、少なくとも1つのホール素子を含む。磁気センサ41は、少なくとも1つのホール素子411を1つのパッケージに収容して構成されている。磁気センサ41は、永久磁石31で発生する磁界を検知する。なお磁気センサ41は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子(MR素子)を含んでもよい。
【0029】
(2-3-3)操作部
操作部6は、レバー61を有している。レバー61の形状は、略円柱状である。レバー61の長手方向は、左右方向(第3方向D3)に沿っている。本実施形態において、操作部6を第1方向D1及び第2方向D2に動かす操作は、レバー61を掴んでレバー61を第1方向D1及び第2方向D2に動かす操作により実現される。また、操作部6の第1方向D1及び第2方向D2の動作は、より詳細には、操作部6の回転動作である。
【0030】
操作部6は、回転式スイッチ62と、中間部63と、2つ(図3では1つのみを図示)の軸突起64と、駆動部65と、2つの係合突起66と、節度ピン67と、を更に有している。
【0031】
回転式スイッチ62は、レバー61に取り付けられている。回転式スイッチ62は、運転者の操作により回転する。一例として、右側の入力ブロック2の回転式スイッチ62が回転させられると、ECUは、ヘッドライトの点灯状態と消灯状態とを切り替える。また、一例として、左側の入力ブロック2の回転式スイッチ62が回転させられると、ECUは、ウィンドウォッシャ液を噴射するノズルの動作及びワイパの動作を切り替える。
【0032】
中間部63は、レバー61の長手方向の一端から突出している。中間部63は、レバー61と駆動部65との間に存在し、レバー61と駆動部65とを連結している。
【0033】
駆動部65は、中間部63から突出している。駆動部65の形状は、円筒状である。駆動部65の長手方向は、左右方向(第3方向D3)に沿っている。駆動部65は、内部に収容空間を有している。
【0034】
2つの軸突起64の各々は、駆動部65の長手方向と直交する向きに中間部63から突出している。一方の軸突起64は、他方の軸突起64とは反対向きに中間部63から突出している。2つの軸突起64の各々の形状は、有底円筒状である。
【0035】
2つの係合突起66の各々は、駆動部65の長手方向と直交する向きに駆動部65から突出している。一方の係合突起66は、他方の係合突起66とは反対向きに駆動部65から突出している。2つの係合突起66の各々の形状は、円柱状である。
【0036】
節度ピン67の形状は、円柱状である。節度ピン67の一部は、駆動部65に収容されている。駆動部65のうちレバー61側とは反対側の一端からは、節度ピン67の先端部が突出している。
【0037】
操作部6は、駆動部65に収容された節度ばねを更に有している。節度ばねは、例えば、圧縮コイルばねである。節度ばねは、節度ピン67を駆動部65の外へ(節度部材71に向かって)動かす向きの弾性力を節度ピン67に加える。
【0038】
(2-3-4)操作部の周辺構成
節度部材71は、節度ピン67と接触する位置に配置されている。駆動部65の長手方向から見て、節度部材71の外形形状は、長方形状である。節度部材71は、節度ピン67と接触する面に、ガイド溝710を有している。ガイド溝710の形状は、十字形である。操作部6は、節度ピン67がガイド溝710の内部を動くように、第1方向D1及び第2方向D2に動く。すなわち、本実施形態の操作部6は、節度ピン67がガイド溝710の十字の中心の基本位置から第1方向D1に動くと同時に、第2方向D2の動きは規制され、節度ピン67が基本位置から第2方向D2に動くと同時に、第1方向D1の動きは規制される。但し、節度ピン67が第2方向D2に動いて所定の位置で保持された状態で、第1方向D1の動きは可能である。なお、ガイド溝710の形状は、十字形に限らず、操作部6に要求される動きに応じて適宜ガイド溝710の形状を変更してもよい。
【0039】
また、ガイド溝710の底面には、突起が設けられている。操作部6は、節度ピン67が突起を乗り越えるとき、ユーザに節度感(クリック感)を与える。また、操作部6に備えられたばねは、節度ピン67が基本位置へ動くようにばね力を加えている。節度ピン67が突起を乗り越えると、節度ピン67が基本位置へ動く動作が妨げられる。つまり、操作部6の動きがロックされる。
【0040】
摺動体72の形状は、角筒状である。摺動体72の軸方向は、駆動部65の長手方向に沿っている。摺動体72の内部には、駆動部65と後述のアクチュエータ5とが挿入されている。摺動体72は、2つのガイド孔721と、第1軸孔722と、2つの第2軸孔723と、を有している。2つのガイド孔721は、駆動部65の長手方向(左右方向)に沿った長孔である。2つのガイド孔721には、アクチュエータ5の後述の4つのガイド突起53が挿入されている。第1軸孔722には、ケース73から突出した突出部74が挿入されている。摺動体72は、突出部74の中心を回転軸X1として操作部6と共にケース73に対して第1方向D1に回転する。2つの第2軸孔723には、操作部6の2つの軸突起64が挿入されている。操作部6は、2つの軸突起64を回転軸として摺動体72に対して第2方向D2に回転する。
【0041】
摺動体72は、保持部724と、軸孔725と、を更に有している。保持部724の形状は、軸孔725側に開放部726を有し、開放部726の左側の3方に壁状の形状である。保持部724は、その内側に後述のカム部材23を回転可能に保持している。なお、図3では、保持部724は3方向に分離した3つの壁状に形成されているが、これらが一体となり、開放部726を有する円筒状に形成してもよい。
【0042】
ケース73の形状は、互いに隣り合う2面が開口した中空の直方体状である。ケース73には、節度部材71と、摺動体72と、操作部6のうち摺動体72に挿入された部位とが収容されている。ケース73のうち開口した1面を通して、操作部6がケース73の内外に亘って配置されている。
【0043】
突出部74は、ケース73の内面から突出している。突出部74は、摺動体72の第1軸孔722に挿入されている。摺動体72は、ケース73の内面に対して滑りながら、突出部74を回転軸として操作部6と共にケース73に対して第1方向D1に回転する。
【0044】
第1方向D1における摺動体72及び操作部6の回転は、ケース73により規制される。つまり、摺動体72がある基準位置から第1方向D1に第1角度だけ回転すると、摺動体72がケース73の内面に接するので、摺動体72及び操作部6は、第1方向D1に第1角度を超えて回転しない。
【0045】
第2方向D2における操作部6の回転は、摺動体72により規制される。つまり、操作部6がある基準位置から第2方向D2に第2角度だけ回転すると、操作部6が摺動体72の内面に接するので、操作部6は、第2方向D2に第2角度を超えて回転しない。
【0046】
(2-3-5)変換機構
変換機構M1は、アクチュエータ5と、リンク機構L1と、ホルダ32と、を含んでいる。リンク機構L1は駆動体54と、カム部材23と、リンク部材22と、と、を含んでいる。
【0047】
図3に示すように、操作部6の駆動部65の長手方向から見て、アクチュエータ5の形状は、U字状である。アクチュエータ5は、連結板51と、2つの側板52と、を有している。連結板51の平面視形状は、長方形状である。2つの側板52は、連結板51の互いに対向する2辺から連結板51の厚さ方向に沿って突出している。
【0048】
アクチュエータ5は、4つ(図3では2つのみを図示)のガイド突起53を更に有している。2つの側板52のうち一方の側板52からは、4つのガイド突起53のうち2つのガイド突起53が突出しており、他方の側板52からは、残りの2つのガイド突起53が突出している。摺動体72の2つのガイド孔721のうち一方のガイド孔721には、4つのガイド突起53のうち2つのガイド突起53が挿入されており、他方のガイド孔721には、残りの2つの2つのガイド突起53が挿入されている。これにより、摺動体72に対するアクチュエータ5の動きの方向が左右方向(第3方向D3)に限定されている(図7(b)の矢印A5、A6の方向)。つまり、アクチュエータ5は、摺動体72に対して左右方向(第3方向D3)に動く一方で第2方向D2に動かないように動きが規制されている。
【0049】
また、アクチュエータ5の2つの側板52はそれぞれ、カム孔520を有している。つまり、アクチュエータ5は、2つのカム孔520を有している。2つのカム孔520は、左右方向(第3方向D3)に対して斜めの方向に長さを有している。2つのカム孔520は、操作部6の2つの係合突起66と一対一で対応している。各カム孔520には、対応する係合突起66が挿入されている。操作部6が摺動体72に対して第2方向D2に動くと、アクチュエータ5は、各カム孔520の内部における係合突起66の位置を変化させながら、操作部6に対して左右方向(第3方向D3)に動く(図7及び図9~11参照)。
【0050】
アクチュエータ5は連結板51の上面に有底の穴部511を有している。有底の穴部511には駆動体54と付勢部材541が挿入されている。付勢部材541は例えば圧縮コイルばねであり、駆動体54は例えば先端が球面状で全体が円筒状のピン部材である。付勢部材541は駆動体54をカム部材23に対して押圧する弾性力を駆動体54に加える。
【0051】
カム部材23について、図3図5及び図6を参照しながら説明する。カム部材23は円盤状の基部231と、カム部233と、軸部232と、を有する。カム部233は内側が基部231の下面から第4方向D4の上方に窪む共に、外側が基部231の上面から上方へ突出して形成されている。軸部232は円柱状で、基部231の中心から離れた外周近傍に第4方向D4の上方へ突出している。
【0052】
カム部材23は摺動体72の保持部724に回転可能に保持されて、基部231の中心がカム部材23の回転中心となる回転軸X2である。
【0053】
カム部233は、図5の斜視図、図6(a)の平面図及び図6(b)、(c)、(d)の要部断面図に示すように、複数の溝状に繋がった面S1~S16を有する。面S1~S16は基部231の面と平行な平行面、又は基部231の面に対し交差した傾斜面、もしくは隣接する面との段差となる段差面を含む。
【0054】
詳細には、面S1はカム部材23の回転軸X2を通過し、第3方向D3に延伸する平行面である。図5に示すように、面S1の第3方向D3の一端側(左端側)から傾斜面である面S2を介して、面S1より高さが高く平行面である面S3に繋がる。なお、ここで、面の高さとは、基部231の下面である第1面234から視て、深さが浅い方を高さが「高い」、深さが深い方を高さが「低い」とする。面S3から低い方へ傾斜した傾斜面である面S4と段差面の面S5を介して、面S3より低い平行面である面S6に繋がる。面S6は延長線上に回転軸X2が位置する細長い面である。面S6の回転軸X2側の他端は、面S6から高い方へ傾斜した傾斜面である面S7を介して、面S6より高い平行面である面S8に繋がる。面S8は段差である面S9を介して、面S8より低い面S1に繋がる。
【0055】
次に、面S1の他端側(右端側)から傾斜面である面S10を介して面S1より高い平行面である面S11に繋がる。面S11から低い方へ傾斜した傾斜面である面S12と段差面である面S13を介して、面S11より低い平行面である面S14に繋がる。面S14は延長線上に回転軸X2が位置する細長い面である。面S14の他端から高い方へ傾斜した傾斜面である面S15を介して、面S14より高い平行面である面S16に繋がる。面S16は段差である面S9を介して、面S16より低い面S1に繋がる。
【0056】
なお、面S1及び面S9は第3方向D3に沿って一端側から他端側に直線上に延伸している。また、面S4と面S8の間に壁部W1、面S12と面16の間には壁部W2、面S8と面S16との間には壁部W3が、各々立設され、隣り合う互いの面を仕切っている。
【0057】
カム部233は面S1を起点として形成された左側の面S2~S8の形状と、右側の面S10~S16の形状は、面S1の長手方向に対し直交すると共に回転軸X2を通過する中心線に対し線対称な形状を有する。
【0058】
カム部233内の段差である面S5、S9、S13を除く面S1~S16のいずれかの面に対して、下方のアクチュエータ5の上面に装着された駆動体54の先端が弾接している。
【0059】
リンク部材22について、図3及び図7を参照しながら説明する。リンク部材22は連結部221と、軸孔222、223を有している。軸孔222にはカム部材23の軸部232が挿入され、軸孔223にはホルダ32の連結軸部323が挿入されている。ホルダ32及び磁石ブロック3はリンク部材22により連結され、カム部材23の回転動作に連動して回転する。
【0060】
アクチュエータ5はカム部材23の第4方向D4の下方に対向して配置され、連結板51上面の駆動体54の先端が、カム部材23下面のカム部233に弾接している。なお、第4方向D4は、第3方向D3と交差する方向である。より詳細には、第4方向D4は、第3方向D3と直交する上下方向である。ここで言う上下方向は、アクチュエータ5とカム部材23とが並んでいる方向として規定される。ただし、この規定は、入力装置1の使用方向を限定する趣旨ではない。なお、本開示において「直交する」とは、厳密に90度の角度で交差する場合だけに限定されない。例えば、85度以上95度以下の角度で交差する場合を含み得る。
【0061】
リンク機構L1は、操作部6の第2方向D2の動きに応じて、アクチュエータ5が第3方向D3に動き、駆動体54がカム部233の面S1~面S16に弾接しながら移動することに伴い、カム部材23が回転すると共に、リンク部材22を介してホルダ32を回転させる構成を有する。リンク機構L1によって永久磁石31の第2アクションを実現する。
【0062】
図3に示すように、入力ブロック2はさらに、第1カバー21と、第2カバー24を有する。
【0063】
第1カバー21は略長方形の平板状で、第3方向D3のレバー61側の端部に上面に円形の軸孔211と、軸孔211の反対面(下面)に下方へ突出する円柱状の軸部212を有する。軸孔211の中心と、軸部212の中心と、第1軸孔722の中心は同一直線上に配置されている。第1カバー21の軸孔211に対しレバー61とは反対側には開口部213が設けられている。
【0064】
第1カバー21は、摺動体72が収納されたケース73の第4方向D4の上方の開口部分に、摺動体72を覆うように配置される。摺動体72は第1軸孔722に突出部74が挿入されると共に、軸孔725に第1カバー21の軸部212が挿入される。摺動体72は、操作部6への第1方向D1の向きへの操作に伴い、軸部212と突出部74の各中心を結ぶ回転軸X1を中心として回転可能に、ケース73内に保持されている。
【0065】
第2カバー24は略長方形の平板状で、4つの各コーナーに取付孔251を有している。第2カバー24は第1カバー21の上に載置され、ビス25が取付孔251を挿通すると共に、取付孔251に対応する第1カバー21の取付孔252及びケース73の取付孔253に挿通してねじ止めされ、第2カバー24、第1カバー21及びケース73が結合される。
【0066】
したがって、第2カバー24が第1カバー21上に載置されることによって、カム部材23、リンク部材22、ホルダ32及び磁石ブロック3が第2カバー24によって上方への移動を規制される。
【0067】
操作部6が第1方向D1に回転するとき、ケース73に対して摺動体72が第1方向D1に回転する(図7(a)、図8参照)。摺動体72が第1方向D1に回転するとき、摺動体72の回転に伴って、ホルダ32に保持された永久磁石31が第1方向D1に回転する。要するに、操作部6がケース73に対して第1方向D1に回転するとき、摺動体72、ホルダ32及び永久磁石31も共にケース73に対して回転する。
【0068】
つまり、操作部6の第1方向D1の動きが、永久磁石31の第1アクションに変換される。第1アクションにより、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角が変化する。上記回転角は、回転軸X1(図7(a)参照)を中心とする回転の回転角である。回転軸X1は、可動部材(ここでは、永久磁石31)の回転の中心を表す仮想軸である。回転軸X1は、永久磁石31を通る。回転軸X1の方向は、第4方向D4(図7(a)の紙面奥行き方向)に沿っている。
【0069】
このように、ホルダ32は、永久磁石31を保持し、操作部6の第1方向D1の動きに応じて、永久磁石31と共に回転することで、永久磁石31の第1アクションを実現する。
【0070】
(2-4)基板ブロック
図2に示すように、入力装置1は、基板ブロック4と、第1本体11と、第2本体12と、を備えている。第1本体11と第2本体12とで、基板ブロック4を収容する収容部を形成している。
【0071】
基板ブロック4は、基板40と、複数(図2では2つ)の磁気センサ41と、複数の電子部品42と、を備えている。2つの磁気センサ41及び複数の電子部品42は、基板40に実装されている。各磁気センサ41は、基板ブロック4の構成であると共に、入力ブロック2の構成でもある。
【0072】
2つの入力ブロック2がそれぞれ1つの永久磁石31と、永久磁石31の第1アクション及び第2アクションを検知する1つの磁気センサ41と、を備えている。つまり、入力装置1は、一対一で対応する2つの磁気センサ41及び2つの永久磁石31を備えている。言い換えると、1つの磁気センサ41に対応する永久磁石31の個数は、1つである。各磁気センサ41は、対応する永久磁石31で発生する磁界を検知する。各磁気センサ41は、対応する永久磁石31との間に第4方向D4に所定距離をあけて配置されている。各磁気センサ41は、対応する永久磁石31と対向するように、基板40に実装されている。ここで、磁気センサ41が永久磁石31と対向するとは、本実施形態のように磁気センサ41と永久磁石31との間に他の部材が配置されているような場合を含む。少なくとも、磁気センサ41は、永久磁石31で発生する磁界を検知可能な位置に配置されていればよい。
【0073】
(2-5)第1本体及び第2本体
第1本体11及び第2本体12は、一の面が開口した箱状に形成されている。第1本体11及び第2本体12は、互いの上記一の面(開口面)を向かい合せた状態で互いに結合される。第1本体11及び第2本体12の結合は、例えば、ねじ止めによりなされる。
【0074】
上述の通り、基板40には、磁気センサ41が実装されている。また、第1本体11は、永久磁石31の位置を基準として磁気センサ41側に配置されている。第2本体12は、第1本体11と結合される。第2本体12は、永久磁石31の位置を基準として磁気センサ41とは反対側に配置されている。基板40は、第1本体11に保持されている。より詳細には、基板40は、第1本体11に収容されている。また、第2本体12は、2つの入力ブロック2を保持している。
【0075】
(2-6)磁気センサの詳細
例えば、磁気センサ41は少なくとも一つのホール素子を備え、磁気センサ41に印可される所定の軸方向の磁界の強さ及び向きを求めることができる。このような処理はECUにより実行される。ただし、磁気センサ41が処理回路を備えていて、磁気センサ41の処理回路により上記処理の少なくとも一部が実行されてもよい。
【0076】
永久磁石31の第1アクションにより、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角が変化するので、磁気センサ41に印加される磁界の向きが変化する。また、永久磁石31の第2アクションにより、第1アクションによる永久磁石31の回転角とは異なるように永久磁石の31の回転角が変化する。すなわち、磁気センサ41は、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角に応じた信号を出力する。
【0077】
(3)動作例
(3-1)第1アクション
操作部6は、第1方向D1に回転する。図7(a)は、操作部6が回転可能な範囲の中心に位置しているときの入力ブロック2を表している。この状態から、運転者は、操作部6を第1方向D1の一方側(矢印A1の向き)又は他方側(矢印A2の向き)に回転させる。図8は、操作部6を図7(a)の位置から矢印A1の向きに回転させたときの入力ブロック2を表している。変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動き(矢印A1の向きの回転)を永久磁石31の第1アクションに変換する。すなわち、操作部6が回転軸X1を中心として第1方向D1の一例として角度θ11回転することに伴って、永久磁石31が回転軸X1を中心として第1方向D1に角度θ11回転する。つまり、操作部6の回転角度と永久磁石31の回転角度は同じである。このように、第1アクションは、磁気センサ41(図7(b)参照)に対する永久磁石31の相対的な回転角の変化を伴う動きである。
【0078】
図7(b)に図示の通り、磁気センサ41は基板40に固定されており、永久磁石31の回転により、磁気センサ41に対して永久磁石31から生じる磁力線の向きが変化する。よって、磁気センサ41で検知される磁界の向きが変化する。つまり、磁気センサ41は、第1アクションを磁界の向きの変化として検知する。ECUは、磁気センサ41で検知される磁界の向きに応じて車両のワイパ、ノズル、ヘッドライト及び方向指示器等の動作を制御する。
【0079】
また、図8の状態から矢印A2の向きに操作部6を回転させることで、図7(a)の状態に戻すことができる。
【0080】
また、図7(a)の状態から矢印A2の向きに操作部6を回転させることで、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角は、図7(a)の状態とも図8の状態とも異なる回転角となる。このように、操作部6が第1方向D1に動くとき、磁気センサ41は、操作部6の2以上の位置(回転角)に対応して異なる出力をすることができる。そのため、移動体100は、操作部6の位置に応じて、2以上の制御を切り替えることができる。また、図7(a)の状態から操作部6を矢印A2の向きに回転させた後、操作部6を矢印A1の向きに回転させることで、図7(a)の状態に戻すことができる。
【0081】
一例として、移動体100は、操作部6が第2方向D2において回転範囲の中心の中立位置にあって、第1方向D1に動くとき、操作部6の位置に応じて、5つの制御を切り替えることができる。すなわち、移動体100は、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角(磁気センサ41で検知される磁界の向き)がいずれに含まれるかに応じて、5つの制御を切り替えることができる。
【0082】
より具体的な例について、図12を参照しながら説明する。図12は第1アクション及び第2アクションによる永久磁石31の回転角度の大きさを説明する説明図である。移動体100のECUは、磁気センサ41に対する永久磁石31の相対的な回転角が中立位置の0度のとき(図7(a)の状態)、方向指示器を動作させない。ECUは、上記回転角が角度θ11とき(図8の状態)、及び、角度θ11の約1/2のとき(図7(a)と図8との間の位置に操作部6が有る状態)、左側の方向指示器を点滅させる。角度θ11の約1/2の状態においては、運転者が操作部6への操作を止めると、操作部6に備えられたばねのばね力により操作部6が元の位置に戻るので、方向指示器が消灯する。操作部6の位置が角度θ11においては、操作部6がロックされる。その後、運転者が操作部6を手動で元の位置に戻すか、ステアリングホイール102を所定角度以上回転させてロックを解除することで操作部6が元の位置に戻ると、方向指示器が消灯する。回転角度が角度θ11及び角度θ11の約1/2のときにはそれぞれ、左への車線変更の合図及び左折の合図に対応する。同様に回転角度が角度-θ11、角度-θ11の約1/2のときには、それぞれ、右への車線変更の合図及び右折の合図に対応する。
【0083】
(3-2)第2アクション
操作部6は、第2方向D2に回転する。図7(b)は、操作部6が回転可能な範囲の中心の中立位置C2に位置しているときの入力ブロック2の断面図を表している。この状態から、運転者は、操作部6を第2方向D2の一方側(矢印A3の向き)又は他方側(矢印A4の向き)に回転させる。図9(b)は、操作部6を図7(b)の位置から矢印A4の向きに回転させたときの入力ブロック2を表している。変換機構M1は、操作部6の第2方向D2の動き(矢印A4の向きの回転)を永久磁石31の第2アクションに変換する。
【0084】
第2アクションの詳細について図5図7、及び図9図11を参照しながら説明する。操作部6を第2方向D2の矢印A4の向きへ角度θ21回転操作すると、係合突起66がカム孔520内に沿って回転して、アクチュエータ5が矢印A5の向きに移動する。このとき、駆動体54もカム部材23のカム部233に弾接しながら移動する(図9の状態)。駆動体54はカム部233の面S1の基準位置P1から傾斜面の面S2を通り、面S3に移動する(図9(a)の状態)。このとき、駆動体54は回転軸X2を通過する直線状に形成された面S1を移動するため、カム部材23は回転することなく静止している。
【0085】
さらに操作部6を角度θ21から、さらに矢印A4の向きに角度θ22まで操作すると(図10(b)の状態)、駆動体54が傾斜面の面S4に移動し、駆動体54が面S4に弾接して押圧する力により、カム部材23は矢印A7の向きに付勢されながら、駆動体54が面S6に移動することですばやく回転する(図10(a)の状態)。
【0086】
このように駆動体54がカム部材23に弾接しながら移動することで、カム部材23が回転すると共に、リンク部材22に連結されたホルダ32及び永久磁石31がすばやい動きで角度θ31まで回転する。なお、角度θ31は操作部6の第1方向D1の動きに伴う永久磁石31の回転時の角度θ11より大きい。
【0087】
このとき、移動体100のECUは、磁気センサ41で検知される回転角度が角度θ31であることによって、ヘッドライトの状態をロービームにする。
【0088】
次に、操作部6をさらに矢印A4の向きに操作すると、アクチュエータ5の移動に伴い、駆動体54は平行面の面S6の他端側へ移動する。このとき、駆動体54は延長線上に回転軸X2が位置し、直線状に形成された面S6を移動するため、カム部材23は回転することなく静止している。
【0089】
図10(b)の状態から、操作部6を矢印A4とは反対方向の矢印A3の向きに回転させて、中立位置C2に戻すと、駆動体54は面S6の一端側に移動した後、高さが高くなる傾斜面の面S7を乗り越えて、面S1に繋がる傾斜面の面S8に移動する(図11の状態)。
【0090】
この時、駆動体54が面S8に移動すると、面S8の傾斜面に駆動体54が弾接しながら面S8上を移動すると共に、カム部材23が矢印A8の向きに付勢されながらすばやく回転し、段差である面S9を通過して、面S1の基準位置P1(図7の状態)に戻る。
【0091】
このように、磁気センサ41は、第2アクションを回転角の変化として検知する。ECUは、磁気センサ41で検知される回転角に応じて車両のワイパ、ノズル、ヘッドライト及び方向指示器等の動作を制御する。
【0092】
また、図7の中立位置C2の状態から矢印A3の向きに操作部6を回転させることで、アクチュエータ5は、矢印A4の向きに操作した場合と反対の方向の矢印A6の向きに移動すると共に、駆動体54もカム部233に対して弾接しながら移動する。このとき、カム部材23は矢印A4の向きに操作した場合とは反対の矢印A8の向きに回転して、ホルダ32、永久磁石31がリンク部材22を介して回転する。さらに操作部6を所定の最大回転角度に回転した状態から矢印A4の向きに操作部6を回転させることで、図7の中立位置C2の状態に戻すことができる。
【0093】
このように、操作部6が第2方向D2に動くとき、磁気センサ41は、操作部6の2以上の位置(回転角)に対応して異なる出力をすることができる。そのため、移動体100は、操作部6の位置に応じて、2以上の制御を切り替えることができる。
【0094】
一例として、移動体100は、操作部6が第1方向D1において回転範囲の略中心である中立位置C1に保持され、操作部6が第2方向D2に動くとき、操作部6の位置に応じて、3つの制御を切り替えることができる。すなわち、移動体100は、磁気センサ41で検知される回転角度が角度θ0、角度θ11、角度-θ11(図12参照)のいずれかに位置するかに応じて、3つの制御を切り替えることができる。
【0095】
より具体的な例としては、移動体100のECUは、磁気センサ41で検知される回転角度が角度θ0のとき(図7の状態)、ヘッドライトの状態をロービームにする。ECUは、磁気センサ41で検知される回転角度が角度θ11のとき(図8の状態)、ヘッドライトの状態をハイビームにする。ECUは、磁気センサ41で検知される回転角度が角度-θ22のとき(図示せず)、ヘッドライトの状態をパッシング状態(短時間の点灯)にする。
【0096】
さらに、第2アクションと第1アクションが複合する場合の、永久磁石31の回転角度の変化について、図8図10、及び図12を参照しながら説明する。図12は第1アクションと第2アクションによる永久磁石31の回転角度の大きさの設定の一例を示す説明図である。
【0097】
回転軸X1を中心として、磁気センサ41と永久磁石31が基準位置に配置されている状態が図示されている。このときの基準位置における永久磁石31の上面視の中立位置C1が角度θ0=0度とする。
【0098】
一例として、図10に示すように、操作部6が第2方向D2の矢印A4方向に角度θ22回転して保持された状態において、図8に示すように、操作部6を第1方向D1の矢印A1の方向へ操作した状態について説明する。
【0099】
このとき、操作部6が第2方向D2の矢印A4方向に角度θ22回転して保持された状態においては、永久磁石31は角度θ31回転した状態となっている。次に、この状態において、操作部6を第1方向D1の矢印A1の方向へ操作すると、永久磁石31は角度θ31回転した状態からさらに角度θ11回転した、角度(θ31+θ11)回転して、磁気センサ41がこれを検知する。
【0100】
同様に、操作部6を第1方向D1の矢印A2の方向へ操作すると、永久磁石31は角度θ31回転した状態から角度-θ11回転した角度(θ31-θ11)を、磁気センサ41が検知する。
【0101】
なお、図12に示すように、操作部6を中立位置C1、C2から各所定の方向へ操作することによる、永久磁石31の基準位置の角度θ0から矢印A9の方向又は矢印A10の方向への回転角度は便宜上、同じ角度で互いに方向が異なるものとして説明する。
【0102】
操作部6を中立位置C1から第1方向D1の矢印A1の向きに角度θ11回転させたときの、永久磁石31の回転角度θ11に対し、操作部6を中立状態から第2方向D2の矢印A4の向きに角度θ22回転させたときの、永久磁石31の回転角度θ31は、より大きい。
【0103】
また、操作部6を中立状態から第2方向D2の矢印A4の向きに角度θ22回転させた状態で、操作部6を第1方向D1の矢印A1の向きに角度θ11回転させたときには、永久磁石31の回転角度は角度θ31の位置から、さらに角度θ11回転した角度(θ31+θ11)となる。なお、操作部6を中立位置C2から第2方向D2の矢印A3の向きに角度θ22回転させた状態で、操作部6を第1方向D1の矢印A2の向きに角度-θ11回転させたときには、永久磁石31の回転角度は角度θ31の位置から、基準位置側へ戻るように角度-θ11回転した角度(θ31-θ11)となる。これらの永久磁石31の操作部6の操作に伴い第1アクション及び第2アクションによって生じる永久磁石31の各回転角度の関係は、互いに異なり、角度θ11<角度(θ31-θ11)<角度θ31<角度(θ31+θ11)となるように設定されている。
【0104】
同様に、操作部6を中立状態から第1方向D1の矢印A2の向きに角度-θ11回転させた場合や、操作部6を中立位置C2から第2方向D2の矢印A3の向きに角度-θ22回転させた場合、及び操作部6を中立位置C2から第2方向D2の矢印A3の向きに角度-θ22回転させた状態で、操作部6を中立位置C1から第1方向D1の矢印A1又は矢印A2の向きに操作した場合における、永久磁石31の回転角度の絶対値の関係も、互いに異なる。つまり、角度|-θ11|<角度|(-θ31+θ11)|<角度|-θ31|<角度|(-θ31-θ11)|となるように設定されている。
【0105】
このように、第1アクションによる永久磁石31の回転角度と、第2アクションによる永久磁石31の回転角度は互いに異なり重ならない。さらに、第1アクションと第2アクションが複合した操作状態においても、永久磁石の回転角度は、第1アクションのみの永久磁石の角度及び第2アクションの永久磁石の角度とは異なり重ならない。
【0106】
したがって、操作部6の操作に伴う永久磁石31の回転角度が誤検知されることを防ぎ、確実な検知が可能である。
【0107】
上述の通り、一例として、移動体100は、操作部6が第1方向D1に動くとき、操作部6の位置に応じて、5つの制御を切り替えることができる。また、一例として、移動体100は、操作部6が第2方向D2に動くとき、操作部6の位置に応じて、3つの制御を切り替えることができる。ただし、操作部6の第1方向D1の動きに対応した移動体100による制御のバリエーション及び、操作部6の第2方向D2の動きに対応した移動体100による制御のバリエーションは、5つ又は3つに限定されず、2つ、4つ又は6つ以上であってもよい。
【0108】
(4)小括
以上説明したように、本実施形態の入力装置1では、変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動きを永久磁石31の第1アクションに変換し、操作部6の第2方向D2の動きを永久磁石31の第2アクションに変換する。これにより、1つの磁気センサ41により、操作部6の第1方向D1の動きと第2方向D2の動きとを検知することができる。実際に、本実施形態の入力装置1は、1つの操作部6につき当該操作部6に対応する磁気センサ41を1つのみ備えている。よって、1つの操作部6につき、操作部6の第1方向D1の動きを検知する磁気センサと、操作部6の第2方向D2の動きを検知する磁気センサと、をそれぞれ入力装置1が備える場合と比較して、磁気センサの個数を低減することができる。
【0109】
また、本実施形態の入力装置1は、1つの操作部6につき当該操作部6に対応する永久磁石31を1つのみ備えている。よって、入力装置1が1つの操作部6につき当該操作部6に対応する複数の永久磁石31を備える場合と比較して、永久磁石31の個数を低減することができる。なお、複数の永久磁石が1箇所に集約されている場合は、この1箇所に集約された複数の永久磁石を、1つの永久磁石と見なす。
【0110】
(変形例1)
以下、変形例1に係る入力装置1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
本変形例1の節度部材71(図3参照)のガイド溝710の形状は、曲面状である。より詳細には、ガイド溝710の形状は、所定位置に近いほど窪んだ曲面状である。ガイド溝710の形状は、例えば、球面状、楕円球面状又は放物面状である。
【0112】
操作部6は、節度ピン67がガイド溝710の内部を動くように、第1方向D1及び第2方向D2に動く。また、操作部6は、第1方向D1の動きと第2方向D2の動きとを同時に行うことができる。言い換えると、操作部6は、第1方向D1のベクトル成分と第2方向D2のベクトル成分とを含む方向に動くことができる。
【0113】
操作部6が第1方向D1の動きと第2方向D2の動きとを同時に行うとき、永久磁石31がホルダ32と共に回転すると共に、アクチュエータ5が左右方向(第3方向D3)に動き永久磁石31を第4方向D4に動かす。つまり、本変形例1の変換機構M1は、操作部6の第1方向D1の動きを永久磁石31の第1アクション(回転)に変換することと、操作部6の第2方向D2の動きを永久磁石31の第2アクション(第4方向D4の動き)に変換することと、を同時に実行可能である。
【0114】
本変形例1により、操作部6に第1方向D1の動きと第2方向D2の動きとを同時に行わせ、その動きを磁気センサ41で検知することができる。
【0115】
(変形例2)
以下、変形例2に係る入力装置1Aについて、図13を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0116】
本変形例2の入力装置1Aは、変換機構M2の構造が実施形態の変換機構M1の構造とは異なる。変換機構M2は、第1アクションに関する構造は変換機構M1と同様であり、リンク機構L2がリンク機構L1と異なる。
【0117】
リンク機構L2のアクチュエータ5Aには、連結板51Aの左側の第1方向D1の中央に駆動体54Aが上方へ突出している。駆動体54Aは円柱状で連結板51Aに固定又は一体に形成されている。
【0118】
リンク部材22Aは連結部221Aと、軸孔222A、223Aを有している。軸孔222Aは駆動体54Aに挿入され、軸孔223Aはホルダ32の連結軸部323が挿入されている。ホルダ32及び磁石ブロック3はリンク部材22Aにより連結され、アクチュエータ5Aの動作に連動して回転する。
【0119】
つまり、実施形態のリンク機構L1に対して、カム部材23は存在せず、アクチュエータ5Aの第3方向D3の移動に伴い駆動体54Aとリンク部材22Aを介して、ホルダ32及び永久磁石31は回転する。
【0120】
したがって、操作部6の操作に伴う永久磁石31の回転動作は、操作部6の動作スピードにほぼ比例した動作スピードとなる。
【0121】
実施形態の場合は、アクチュエータ5の動作がカム部材23によって、所定の位置ですばやく回転することで、永久磁石31も連動してすばやく回転して、磁気センサ41は操作部6の第1方向D1への操作と第2方向D2の操作とを誤検知し難い。
【0122】
一方、変形例2においては、節度部材によって操作部6の動作を所定の操作位置間はすばやく移動するように、カム山の形状や潤滑性を高めることで、実施形態と同様に誤検知を防ぐことが可能あり、カム部材23や付勢部材541を省くことができ、簡易な構造のものにすることができる。
【0123】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0124】
永久磁石31が磁気センサ41に対して動くのに代えて、磁気センサ41が永久磁石31に対して動くように構成されていてもよい。つまり、永久磁石31と磁気センサ41とのうち磁気センサ41が可動部材であってもよい。例えば、実施形態における永久磁石31の配置と磁気センサ41の配置とを入れ替えることで、磁気センサ41を可動部材として用いた入力装置1を実現できる。
【0125】
永久磁石31、磁気センサ41及び操作部6の各々の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。永久磁石31、磁気センサ41及び操作部6の各々の個数が同じであることが好ましい。
【0126】
また、永久磁石31は直方体としたが、永久磁石31の形状はこれらに限定されず、円盤状、菱形状など、適宜、多様な形状の中から選択されてもよい。
【0127】
磁気センサ41の出力に応じた制御は、ECUにより実行されることに限定されず、適宜の制御装置により実行されてもよい。制御装置は、例えば、磁気センサ41の出力に応じた制御を行うためのプログラムを記憶したメモリ及びプログラムを実行するプロセッサ等を備える。制御装置は、入力装置1、1A又は移動体100の構成に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0128】
実施形態の移動体100は、4輪の自動車であるが、移動体100は、4輪の自動車に限定されず、2輪の自動車又は3輪の自動車等であってもよい。また、移動体100は、例えば、フォークリフト、船、航空機、自転車又はハンドル形電動車椅子等であってもよい。
【0129】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0130】
第1の態様に係る入力装置(1、1A)は、永久磁石(31)と、磁気センサ(41)と、操作部(6)と、変換機構(M1、M2)と、を備える。磁気センサ(41)は、永久磁石(31)で発生する磁界を検知する。変換機構(M1、M2)は、操作部(6)の動きを、永久磁石(31)と磁気センサ(41)とのうち一方である可動部材の、他方に対する動きに変換する。磁気センサ(41)は、磁気センサ(41)に対する永久磁石(31)の回転軸(X1)を中心とする相対的な回転角に応じた信号を出力する。変換機構(M1、M2)は、操作部(6)の第1方向(D1)の動きを可動部材の第1アクションに変換し、操作部(6)の第2方向(D2)の動きを可動部材の第2アクションに変換する。第2方向(D2)は、第1方向(D1)と交差する方向である。第1アクション及び第2アクションは、磁気センサ(41)に対する永久磁石(31)の回転軸(X1)を中心とする相対的な回転角の変化を伴う動きである。
【0131】
上記の構成によれば、変換機構(M1、M2)は、操作部(6)の第1方向(D1)の動きに応じて可動部材の第1アクションを実現し、操作部(6)の第2方向(D2)の動きに応じて可動部材の第2アクションを実現する。これにより、磁気センサ(41)は、操作部(6)が第1方向(D1)に動く際に第1アクションに応じた信号を出力し、操作部(6)が第2方向(D2)に動く際に第2アクションに応じた信号を出力することができる。よって、操作部(6)の第1方向(D1)の動きを検知する磁気センサ(41)と、操作部(6)の第2方向(D2)の動きを検知する磁気センサ(41)と、をそれぞれ入力装置が備える場合と比較して、磁気センサ(41)の個数を低減することができる。
【0132】
また、第2の態様に係る入力装置(1、1A)では、第1の態様において、可動部材は、永久磁石(31)である。
【0133】
上記の構成によれば、可動部材が磁気センサ(41)である場合と比較して、磁気センサ(41)に接続される配線(導体)を容易に配置できる。
【0134】
また、第3の態様に係る入力装置(1、1A)は、第2の態様において、基板(40)と、第1本体(11)と、第2本体(12)と、を更に備える。基板(40)には、磁気センサ(41)が実装されている。第1本体(11)は、永久磁石(31)の位置を基準として磁気センサ(41)側に配置される。第2本体(12)は、第1本体(11)と結合される。第2本体(12)は、永久磁石(31)の位置を基準として磁気センサ(41)とは反対側に配置される。基板(40)は、第1本体(11)に保持される。
【0135】
上記の構成によれば、基板(40)の設置スペースを確保できる。
【0136】
また、第4の態様に係る入力装置(1、1A)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、操作部(6)は、レバー(61)を有する。
【0137】
上記の構成によれば、操作者は、レバー(61)を持つことで操作部(6)を容易に操作できる。
【0138】
また、第5の態様に係る入力装置(1、1A)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、変換機構(M1、M2)は、操作部(6)の第1方向(D1)の動きを可動部材の第1アクションに変換することと、操作部(6)の第2方向(D2)の動きを可動部材の第2アクションに変換することと、を同時に実行可能である。
【0139】
上記の構成によれば、変換機構(M1、M2)が上記の2つを同時に実行できない場合と比較して、入力装置(1、1A)の利便性を向上させることができる。
【0140】
また、第6の態様に係る入力装置(1、1A)では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、磁気センサ(41)は、少なくとも1つのホール素子又は磁気抵抗効果素子を含む。
【0141】
上記の構成によれば、磁気センサ(41)の機能を容易に実現できる。
【0142】
また、第7の態様に係る入力装置(1)では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、変換機構(M1、M2)は、操作部(6)の第2方向(D2)の動きに伴い、永久磁石(31)の回転軸(X1)に対し交差する方向において、回転軸(X1)に対して移動するアクチュエータ(5、5A)を備え、アクチュエータ(5、5A)の動きに応じて、可動部材を回転させることで、可動部材の第2アクションを実現する。
【0143】
上記の構成によれば、簡易な構成により第2アクションを実現できる。
【0144】
また、第8の態様に係る入力装置(1、1A)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、変換機構(M1、M2)は、ホルダ(32)を含む。ホルダ(32)は、可動部材を保持する。ホルダ(32)は、操作部(6)の第1方向(D1)の動きに応じて、可動部材と共に回転することで、可動部材の第1アクションを実現する。
【0145】
また、第9の態様に係る入力装置(1、1A)では、第8の態様において、アクチュエータ(5)の動きをホルダ(32)に連動させるリンク機構(L1、L2)を備え、操作部(6)の第2方向(D2)の動きに応じて、リンク機構(L1、L2)によって、第1アクションによるホルダ(32)の回転角とは異なる回転角でホルダ(32)を回転させることで、可動部材の第2アクションを実現する。
【0146】
上記の構成によれば、第1アクションによる永久磁石(31)の回転角度と、第2アクションによる永久磁石(31)の回転角度と、を確実に検知できる。
【0147】
また、第10の態様に係る入力装置(1)では、第9の態様において、操作部(6)の第2方向(D2)の動きを支持すると共に、操作部(6)と一体に第1方向(D1)に動き、アクチュエータ(5)を収納した摺動体(72)と、を備える。
【0148】
さらに、アクチュエータ(5)の動きに交差する方向にアクチュエータ(5)に近接して配置され、アクチュエータ(5)に対向する面にカム部(233)を有し、摺動体(72)に回転可能に保持されたカム部材(233)と、カム部材(23)と可動部材を連結するリンク部材(22)と、アクチュエータ(5)に装着され、カム部材(23)のカム部(23)に弾接する駆動体(54)と、を備える。
【0149】
リンク機構(L1)はアクチュエータ(5)の動きに応じて、駆動体(54)がカム部に弾接しながら動くことで、カム部材(23)を回転させ、リンク部材(22)を介して可動部材を回転させることで、可能部材の第2アクションを実現する。
【0150】
上記の構成によれば、簡易な構成により第2アクションを実現できる。
【0151】
また、第11の態様に係る入力装置(1、1A)は、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、検知ブロック(入力ブロック(2))を少なくとも1つ備える。検知ブロックは、永久磁石(31)を1つ備える。検知ブロックは、1つの永久磁石(31)の磁界を検知する磁気センサ(41)を1つ備える。
【0152】
上記の構成によれば、入力装置(1、1A)における永久磁石(31)の個数を低減することができる。
【0153】
第1の態様以外の構成については、入力装置(1、1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0154】
また、第12の態様に係る移動体(100)は、第1~11の態様のいずれか1つに係る入力装置(1、1A)と、移動体本体(101)と、を備える。移動体本体(101)には、入力装置(1、1A)が搭載される。
【0155】
上記の構成によれば、磁気センサ(41)の個数を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本開示は、例えば自動車等の車両に搭載される入力装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0157】
1、1A 入力装置
11 第1本体
12 第2本体
2 入力ブロック(検知ブロック)
21 第1カバー
22、22A リンク部材
23 カム部材
233 カム部
24 第2カバー
31 永久磁石
32 ホルダ
40 基板
41 磁気センサ
5、5A アクチュエータ
54、54A 駆動体
6 操作部
61 レバー
72 摺動体
100 移動体
101 移動体本体
L1、L2 リンク機構
M1、M2 変換機構
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
D4 第4方向
X1、X2 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13