(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】照明システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20231027BHJP
【FI】
H05B47/155
(21)【出願番号】P 2020072064
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】船本 万里
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-336358(JP,A)
【文献】特開2019-146729(JP,A)
【文献】特開2000-357591(JP,A)
【文献】特開2006-059667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部と、
前記光源部が発する光源光の発光状態を制御する光源制御部と、を備え、
前記光源制御部は、(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を
、前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量が小さい発光状態で一定にす
る第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する
照明システム。
【請求項2】
第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部と、
前記光源部が発する光源光の発光状態を制御する光源制御部と、
センサから取得した情報に基づいて、前記光源光の照射範囲の周囲の人の存在を特定するセンシング部と、を備え、
前記光源制御部は、(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御し、
前記センシング部が、前記人の存在を特定したタイミングで、前記第2照明シーンでの前記光源部の制御を開始する
照明システム。
【請求項3】
前記センシング部は、さらに、センサから取得した情報に含まれる前記人の生体情報に基づいて、前記人の状況を特定し、
前記光源制御部は、前記センシング部が特定した前記人の状況の変化に基づいたタイミングで、前記第2照明シーンから前記第1照明シーンに切り替えるように前記光源部を制御する
請求項
2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記センサをさらに備える
請求項
2又は3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記光源部は、前記第1光及び前記第2光と異なる色度を有する第3光を発する第3光源をさらに含み、
前記光源制御部は、
前記第1照明シーンにおいて、前記第1照明シーンの開始から終了にかけて、前記第1発光状態又は前記第2発光状態の前記光源光の光色が、第1光色から第2光色へ変化するように前記光源部を制御し、
前記第1光色と前記第2光色とは、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色である
請求項
1から4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
第1光を発する第1光源、前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源、及び、前記第1光及び前記第2光と異なる色度を有する第3光を発する第3光源を含む光源部と、
前記光源部が発する光源光の発光状態を制御する光源制御部と、を備え、
前記光源制御部は、
(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御し、
前記第1照明シーンにおいて、前記第1照明シーンの開始から終了にかけて、前記第1発光状態又は前記第2発光状態の前記光源光の光色が、第1光色から第2光色へ変化するように前記光源部を制御し、
前記第1光色と前記第2光色とは、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色であり、
前記第1光色は、CIE1931色空間において、色度座標(0.3016,0.6924)と等エネルギー白色点とを通る直線より、x軸正方向側に位置する色度座標であり、
前記第2光色は、CIE1931色空間において、前記直線よりx軸負方向側に位置する色度座標である
照明システム。
【請求項7】
前記光源制御部は、前記第1照明シーンにおいて、前記第1照明シーンの開始から終了にかけて、前記第1発光状態又は前記第2発光状態の前記光源光の光色が、前記第1光色から第3光色を経由して前記第2光色へ変化するように前記光源部を制御し、
前記第1光色と前記第2光色と前記第3光色とは、それぞれJIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色である
請求項
5又は6に記載の照明システム。
【請求項8】
CIE1931色空間における、等エネルギー白色点からx軸正方向側に延び、かつ、x軸に平行な直線に対して、
等エネルギー白色点と前記第1光色の色度座標とを通る直線がなす角度をθ1とし、
等エネルギー白色点と前記第2光色の色度座標とを通る直線がなす角度をθ2とし、
等エネルギー白色点と前記第3光色の色度座標とを通る直線がなす角度をθ3としたとき、
前記θ1と前記θ2と前記θ3とはそれぞれ異なる
請求項
7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記光源制御部は、前記第1照明シーンにおいて、CIE1976 UCS色度図における等エネルギー白色点を原点として、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期の開始時における前記光源光の光色の色度座標と、前記1回の周期の終了時における前記光源光の光色の色度座標とがなす色相角の大きさが25°以下になるように前記光源部を制御する
請求項
5から8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記光源制御部は、前記第1照明シーンにおいて、前記色相角の大きさが25°以下になり、かつ、前記1回の周期の開始時と終了時とで光色が変化するように前記光源部を制御する、
請求項9に記載の照明システム。
【請求項11】
前記光源制御部は、
前記第1照明シーンにおいて、前記第1照明シーンの開始から終了にかけて、前記第1発光状態の前記光源光の光色が、前記第1光色から前記第2光色へ変化し、かつ、前記第2発光状態の前記光源光の光色が、JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円の内側の光色で一定であるように前記光源部を制御する
請求項5から10のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項12】
前記光源制御部は、所定の時間、前記第2照明シーンにした後、前記第1照明シーンに切り替えることを少なくとも1回以上繰り返すように前記光源部を制御する
請求項
1から11のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項13】
前記光源制御部は、ユーザの操作により入力された前記第1周期を示す第1操作情報を取得し、前記第1照明シーンにおいて、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1操作情報が示す前記第1周期で反復して変化させるように前記光源部を制御する
請求項
1から12のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項14】
前記第1操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける第1入力部をさらに備え、
前記光源制御部は、前記第1入力部においてユーザの操作により入力された前記第1操作情報を取得し、前記第1照明シーンにおいて、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、取得した前記第1操作情報が示す前記第1周期で反復して変化させるように前記光源部を制御する
請求項
13に記載の照明システム。
【請求項15】
前記第1周期は、周波数が4.5cycle/min以上7cycle/min以下の周期である
請求項
1から14のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項16】
前記照明システムが設置されている空間に流れる楽曲に関する楽曲情報を取得し、前記楽曲情報における前記楽曲の特徴に基づいて、前記第1周期を示す周期情報を生成する楽曲解析部をさら備え、
前記光源制御部は、前記第1照明シーンにおいて、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記周期情報が示す前記第1周期で反復して変化させるように前記光源部を制御する
請求項
1から15のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項17】
前記光源制御部による前記第1照明シーンの制御の開始のタイミングと同期して、前記楽曲を再生する楽曲再生部をさらに備える、
請求項
16に記載の照明システム。
【請求項18】
前記光源制御部は、ユーザの操作により入力された、前記第1照明シーンと前記第2照明シーンとの切り替えタイミング、並びに、前記第1照明シーン及び前記第2照明シーンの継続時間の少なくとも一方を示す第2操作情報を取得し、前記第2操作情報に基づいて前記第1照明シーンと前記第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する
請求項
1から17のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項19】
前記第2操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける第2入力部をさらに備え、
前記光源制御部は、前記第2入力部においてのユーザの操作により入力された前記第2操作情報を取得し、取得した前記第2操作情報に基づいて前記第1照明シーンと前記第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する
請求項
18に記載の照明システム。
【請求項20】
第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部が発する光源光の発光状態を制御する方法であって、
(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を
、前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量が小さい発光状態で一定にす
る第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する
制御方法。
【請求項21】
第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部が発する光源光の発光状態を制御する方法であって、
(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御し、
前記方法は、さらに、
センサから取得した情報に基づいて、前記光源光の照射範囲の周囲の人の存在を特定し、
前記人の存在を特定したタイミングで、前記第2照明シーンでの前記光源部の制御を開始する
制御方法。
【請求項22】
第1光を発する第1光源、前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源、及び、前記第1光及び前記第2光と異なる色度を有する第3光を発する第3光源を含む光源部が発する光源光の発光状態を制御する方法であって、
(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御し、
前記第1照明シーンにおいて、前記第1照明シーンの開始から終了にかけて、前記第1発光状態又は前記第2発光状態の前記光源光の光色が、第1光色から第2光色へ変化するように前記光源部を制御し、
前記第1光色と前記第2光色とは、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色であり、
前記第1光色は、CIE1931色空間において、色度座標(0.3016,0.6924)と等エネルギー白色点とを通る直線より、x軸正方向側に位置する色度座標であり、
前記第2光色は、CIE1931色空間において、前記直線よりx軸負方向側に位置する色度座標である
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知的作業が行われるオフィス環境又は学習環境などの作業環境は、知的作業を行うユーザにとって集中しやすい環境であることが求められる。従来、タスク照明装置とアンビエント照明装置とを含む複数の照明装置を用いることで、作業環境におけるユーザの集中力を高めることができる照明システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、ユーザの集中力を高める作業環境だけでは、ユーザの集中力を持続させることができない場合があり、ユーザの集中力を長時間持続させることで、さらなる知的作業の生産性(以降、知的生産性と称する)の向上が求められている。
【0005】
そこで、本発明では、ユーザの知的生産性を向上させることができる照明システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る照明システムは、第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部と、前記光源部が発する光源光の発光状態を制御する光源制御部と、を備え、前記光源制御部は、(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、第1光を発する第1光源及び前記第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源を含む光源部が発する光源光の発光状態を制御する方法であって、(i)前記光源光の発光状態を、第1発光状態と前記第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させる第1照明シーンと、(ii)前記光源光の発光状態を一定にする、又は、前記光源光の発光状態を、前記第1発光状態と前記第2発光状態との間で、前記第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させる第2照明シーンとを切り替えるように前記光源部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明システム等によれば、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る光源部が発する光源光の発光状態の時間変化の例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る光源部が発する光源光の発光状態の時間変化の別の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る光源部が発する光源光の発光状態の、第2照明シーンにおける時間変化の例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1照明シーンにおける第1発光状態の光色の変化を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
【
図7A】
図7Aは、第1照明シーンにおいて、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期における光色の変化を説明するためのCIE1976 UCS色度図である。
【
図7B】
図7Bは、第1照明シーンにおいて、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期における光色の変化を説明するための周期と色相角の関係を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る照明システムの動作例1のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る照明システムの動作例2のフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る照明システムの動作例3のフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る照明システムの動作例4のフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る照明システムの動作例5のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。
【0011】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る照明システムについて説明する。
【0012】
[照明システムの構成]
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態に係る照明システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る照明システムの概要を示す図である。
図2は、実施の形態に係る照明システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
照明システム1は、照明器具10と操作器20と音響装置30とセンサ40とを備える。図示は省略されているが、照明器具10と操作器20と音響装置30とセンサ40とは、それぞれ、バッテリ等の内部電源又は外部電源から動作用の電力が供給される。
【0014】
照明システム1は、例えば、オフィス、学校又は住宅等のユーザが知的作業を行う空間に設置される。知的作業とは、仕事、勉強又は読書などの頭脳を使う作業のことである。
【0015】
照明器具10は、照射する光量及び光色を調整可能な照明器具である。照明器具10は、例えば、ユーザが知的作業を行う際に用いられる。照明器具10では、ユーザにリラックスを促す第1照明シーンとユーザを知的作業に集中させる第2照明シーンとを切り替えて、照明器具10の光源部11(詳細後述)が光源光を発する。照明器具10は、例えば、知的作業を行うユーザごとにデスクに設置されるスタンドライトである。照明器具10は、スタンドライトに限られず、コファー照明、コーニス照明、コーブ照明、ダウンライト又はシーリングライト等の他の照明器具であってもよい。
【0016】
操作器20は、ユーザの操作を受け付け、受け付けられた操作に応じて照明器具10を動作させるためのリモートコントローラである。操作器20は、ユーザの操作により入力された照明器具10の点灯、消灯、調光及び調色に関する操作情報を送信する。操作器20は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末などの汎用の携帯端末にアプリケーションプログラムがインストールされることによって実現される。また、操作器20は、操作用リモコン、壁付コントローラ又は壁スイッチ等であってもよい。
【0017】
音響装置30は、照明システム1が設置される空間に楽曲を流す装置である。音響装置30は、例えば、操作器20と同一のスマートフォン又はタブレット端末などの汎用の携帯端末にアプリケーションプログラムがインストールされることによって実現される。音響装置30は、操作器20とは別の携帯用音楽プレイヤー又はラジカセ等の各種音響機器であってもよい。
【0018】
センサ40は、人の存在及び人の状況等を特定するための情報を取得するセンサである。図示されている例では、センサ40として、2つのセンサ40a及び40bが設けられているが、センサ40は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、図示されている例では、センサ40aはイメージセンサであり、センサ40bは着座センサであるが、これに限らず、センサ40としては、例えば、イメージセンサ、人感センサ、着座センサ及び加速度センサ等の各種センサが挙げられる。
【0019】
なお、照明システム1は、照明器具10における第1照明シーン及び第2照明シーンの各種条件等があらかじめ設定されている場合には、操作器20、音響装置30及びセンサ40の少なくともいずれかは、備えていなくてもよい。例えば、照明システム1は、照明器具10単独で構成されていてもよい。
【0020】
次に、照明システム1の各構成要素について、主に
図2を用いて詳細に説明する。
【0021】
[照明器具]
照明器具10は、光源部11と光源制御部12と発光制御回路13と楽曲解析部14とセンシング部15と記憶部16と時計回路17と通信部18とを備える。
【0022】
光源部11は、複数の光源を含む。光源部11に含まれる光源の数は、少なくとも2つであり、図示されている例では、光源部11は、第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dの4つの光源を含む。光源部11は、第1光源11a及び第2光源11bの2つの光源で構成されてもよく、第1光源11a、第2光源11b及び第3光源11cの3つの光源で構成されてもよい。光源部11は、複数の光源の光が混合された光源光を発する。光源部11は、複数の光源のうちの1つの光源の光で構成される光源光を発してもよい。
【0023】
第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dは、それぞれ、光源制御部12によって発光制御される光源モジュールである。第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dは、それぞれ、例えば、蛍光体を含む封止部材で封止された発光素子が基板上に実装された発光モジュールである。発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)であり、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等の固体発光素子であってもよい。なお、第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dは、少なくとも発光素子を含んでいればよく、例えば、蛍光体等を含んでいなくてもよい。
【0024】
第1光源11aは、第1光を発する。第2光源11bは、第2光を発する。第3光源11cは、第3光を発する。第4光源11dは、第4光を発する。第1光と第2光と第3光と第4光とは、それぞれ、異なる色度を有する。また、第1光と第2光と第3光と第4光とのうち少なくともいずれかは、異なる刺激純度を有する。また、第1光と第2光と第3光と第4光とは、それぞれ、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色であってもよい。
【0025】
光源部11が、第1光源11a及び第2光源11bの2つの光源で構成される場合、例えば、第1光源11aは白色の第1光を発し、第2光源11bは、赤色、緑色又は青色等の有彩色の第2光を発する。有彩色の分類には、赤色、黄色又は青色以外に、黄赤色、黄色、黄緑色、青緑色、紫色、青紫色、赤紫色及びピンク色が含まれる。なお、本明細書において、色名は、特に記載のない限り、JIS Z8110-1995で定義される基本色名を示す。第1光源11aは、第2光とは異なる色名の有彩色の第1光を発してもよい。
【0026】
また、光源部11が、第1光源11a、第2光源11b及び第3光源11cの3つの光源で構成される場合、例えば、第1光源11aは白色の第1光を発し、第2光源11b及び第3光源11cはそれぞれ、赤色、緑色又は青色等の有彩色の第2光及び第3光を発する。この場合、第2光と第3光とは、色名の異なる光色である。また、第1光源11a、第2光源11b及び第3光源11cは、赤色、緑色及び青色の組み合わせとなる第1光、第2光及び第3光を発してもよい。具体的には、第1光源11aが赤色の第1光を発し、第2光源11bが緑色の第2光を発し、第3光源11cが青色の第3光を発してもよい。
【0027】
また、光源部11が、第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dの4つの光源で構成される場合、例えば、第1光源11aは白色の第1光を発し、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dはそれぞれ、赤色、緑色又は青色等の有彩色の第2光、第3光及び第4光を発する。この場合、第2光と第3光と第4光とは、それぞれ、色名の異なる光色である。
【0028】
第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dは、それぞれ、発光素子の種類、並びに、封止部材に含まれる蛍光体の種類及び量を調整することで、発する光の色度(光色)が調整される。
【0029】
光源制御部12は、発光制御回路13を介して光源部11が発する光源光の発光状態を制御する。具体的には、光源制御部12は、光源部11の複数の光源それぞれの光量を調整することで、光源部11を制御する。また、光源制御部12は、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。第1照明シーンでは、光源制御部12は、光源部11が発する光源光の発光状態を、第1発光状態と第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。第2照明シーンでは、光源制御部12は、光源光の発光状態を一定にする、又は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。なお、刺激純度とは、JIS Z 8113の番号03073で定義される値である。
【0030】
また、光源制御部12は、楽曲解析部14、センシング部15及び通信部18等から各種情報を取得し、取得した情報等に基づいた条件で、光源部11を制御する。
【0031】
発光制御回路13は、光源制御部12の制御(例えばパルス幅変調信号などの制御信号)に基づいて電圧及び電流を光源部11に供給する回路である。発光制御回路13は、具体的には、調光スイッチ、電源回路、電流制御回路、及び、調光回路等で構成される。
【0032】
楽曲解析部14は、照明システム1が設置されている空間に流れる楽曲に関する楽曲情報を取得し、楽曲情報における楽曲の特徴に基づいて、第1周期を示す周期情報を生成する。
【0033】
センシング部15は、センサが検知した情報を取得し、取得した情報に基づいて、人の存在及び人の状況を特定する。
【0034】
光源制御部12、楽曲解析部14及びセンシング部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)並びにRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ等で構成される。光源制御部12、楽曲解析部14及びセンシング部15は、プログラムを記憶するメモリとマイクロプロセッサとを内蔵するマイコンであってもよく、アナログ回路及びデジタル回路を含むハードウェアであってもよい。光源制御部12、楽曲解析部14及びセンシング部15は、1つのハードウェアで構成されてもよく、それぞれ別のハードウェアで構成されてもよい。
【0035】
記憶部16は、光源制御部12、楽曲解析部14及びセンシング部15が参照するためのデータが記憶される記憶装置である。記憶部16は、ハードディスクドライブ又は半導体メモリ等の不揮発性の記憶装置によって実現される。
【0036】
時計回路17は、日時及び時間を計数し、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるタイミング又は第1照明シーン及び第2照明シーンの継続時間等を制御するために光源制御部12に参照される。
【0037】
通信部18は、光源制御部12及び楽曲解析部14が各種情報を受け取るための通信回路である。例えば、通信部18は、操作情報を操作器20から受け取る。また、例えば、通信部18は、音響装置30から楽曲情報を取得する。通信部18によって行われる通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。通信部18が行う通信の通信規格は特に限定されない。通信部18は、有線用又は無線用の通信インターフェイス等により構成される。
【0038】
また、照明器具10は、点灯、消灯、調色及び調光等の操作をユーザから受け付ける操作部をさらに備えていてもよい。操作部は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ等のタッチパネル、入力ボタン等の物理ボタン、調整スライダ又は調整ダイヤル等で構成される。
【0039】
[操作器]
操作器20は、第1入力部21と第2入力部22と第3入力部23と制御部24と通信部25とを備える。
【0040】
第1入力部21は、第1周期を示す第1操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける。
【0041】
第2入力部22は、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えタイミング、並びに、第1照明シーン及び前記第2照明シーンの継続時間の少なくとも一方を示す第2操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける。
【0042】
第3入力部23は、ユーザの予定を示すスケジュール情報を入力する操作をユーザから受け付ける。
【0043】
第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ等のタッチパネルで構成される。第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23は、それぞれ、入力ボタン等の物理ボタン、調整スライダ又は調整ダイヤル等で構成されていてもよい。
【0044】
制御部24は、第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23で入力された情報を、通信部25に照明器具10へ送信させる。また、第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23が、タッチパネル式ディスプレイで構成される場合、タッチパネル式ディスプレイに表示させる内容を制御してもよい。制御部24は、CPU並びにRAM及びROM等のメモリ等で構成される。制御部24は、プログラムを記憶するメモリとマイクロプロセッサとを内蔵するマイコンであってもよく、アナログ回路及びデジタル回路を含むハードウェアであってもよい。
【0045】
通信部25は、第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23で入力された情報を、照明器具10へ送信する。通信部25は、照明器具10と通信可能な有線用又は無線用の通信インターフェイス等により構成される。
【0046】
また、操作器20は、光源光の光色を示す情報を入力する操作をユーザから受け付ける第1入力部21、第2入力部22及び第3入力部23とは異なる入力部をさらに備えていてもよい。
【0047】
[音響装置]
音響装置30は、楽曲再生部31と操作部32と制御部33と記憶部34と通信部35とを備える。
【0048】
楽曲再生部31は、制御部33の制御に基づいて、楽曲を再生する。楽曲再生部31は、音響を表現した電気信号を制御部33から取得し、電気信号を空気の振動に変換して音を発する。楽曲再生部31は、例えば、スピーカ、イヤフォン又はヘッドフォン等で構成される。
【0049】
操作部32は、楽曲再生部31に再生させる楽曲の選択する操作を受け付ける。また、操作部32は、楽曲再生部31に再生させる操作をユーザから受け付けてもよい。操作部32は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ等のタッチパネルで構成される。操作部32は、入力ボタン等の物理ボタン又は各種スイッチ等で構成されていてもよい。
【0050】
制御部33は、操作部32によって受け付けた操作等に基づいて、楽曲再生部31に楽曲を再生させる。制御部33は、例えば、記憶部34に記憶されている楽曲のデータを参照して音響を表現した電気信号を生成し、生成した電気信号を楽曲再生部31に送信することで、楽曲再生部31に楽曲を再生させる。制御部33は、通信部35を介して、クラウドサーバ(図示せず)の楽曲データを参照することで、電気信号を生成してもよい。また、制御部33は、楽曲再生部31が再生する楽曲に関する楽曲情報を、通信部35に送信させる。制御部33は、操作部32が、タッチパネル式ディスプレイで構成される場合、タッチパネル式ディスプレイに表示させる内容を制御してもよい。制御部33は、CPU並びにRAM及びROM等のメモリ等で構成される。制御部33は、プログラムを記憶するメモリとマイクロプロセッサとを内蔵するマイコンであってもよく、アナログ回路及びデジタル回路を含むハードウェアであってもよい。
【0051】
記憶部34は、楽曲再生部31が再生する楽曲のデータが記憶される記憶装置である。記憶部34は、例えば、ハードディスクドライブ、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等の不揮発性の記憶装置によって実現される。
【0052】
通信部35は、楽曲再生部31が再生する楽曲に関する楽曲情報を照明器具10に送信する。通信部35は、楽曲再生部31が再生するタイミングを示す再生情報を、照明器具10に送信、又は、照明器具10から受信する。また、通信部35は、楽曲のデータが記憶されているクラウドサーバと通信してもよい。通信部35は、照明器具10と通信可能な有線用又は無線用の通信インターフェイス等により構成される。
【0053】
[光源部の制御]
次に、照明器具10における光源部11の光源光の発光状態の制御について説明する。
【0054】
照明器具10は、電力が供給されると、光源制御部12による制御に基づいて光源部11の複数の光源が発光する。
【0055】
光源制御部12は、第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dへの電流量を個別に調整し、第1光源11a、第2光源11b、第3光源11c及び第4光源11dそれぞれの光量を時間的に変化させることで、光源光を調光及び調色する。これにより、光源光の発光状態が時間的に変化するように、光源部11が光源制御部12に制御される。なお、光源制御部12は、目的の光色によって、電力を供給させない光源があってもよい。光源制御部12は、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。
【0056】
ここで、第1照明シーン及び第2照明シーンについて、詳細に説明する。
【0057】
図3及び
図4は、光源部11が発する光源光の発光状態の時間変化の例を示す図である。
図3及び
図4に示されるように、光源制御部12は、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。光源制御部12は、例えば、第2照明シーンにした後に、第1照明シーンに切り替えるように光源部11を制御する。
【0058】
第1照明シーンは、ユーザにリラックスを促す照明シーンである。具体的には、
図3及び
図4に示されるように、第1照明シーンでは、光源制御部12は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。このように、第1照明シーンでは、光源光の刺激純度及び光量のうち少なくとも一方を一定の周期で連続的に変動させて、一定の周期でユーザに呼吸をするように誘導する。これにより、ユーザにリラックスを促すことができる。
【0059】
第2発光状態は、第1発光状態よりも、刺激純度のみが小さい発光状態であってもよく、光量のみが小さい発光状態であってもよく、刺激純度及び光量のいずれもが小さい発光状態であってもよい。これらの中でも、発光状態の変化量を増やしてユーザに呼吸を誘導する効果を高める観点からは、第2発光状態は、第1発光状態よりも刺激純度及び光量のいずれもが小さい発光状態であってもよい。なお、
図3及び
図4に示される例では、第1発光状態及び第2発光状態の刺激純度及び光量は、時間と共に変化していないが、第2発光状態が、第1発光状態の刺激純度及び光量以上にならない範囲で変化してもよい。また、第1発光状態から第2発光状態への刺激純度及び光量の変化は、図示されるような線形的な変化だけでなく、指数関数的な変化、又は、ステップ状の変化等であってもよい。
【0060】
第1発光状態と第2発光状態との刺激純度及び光量の差は、ユーザの属性、照明器具10が設置される環境等に応じて、ユーザが発光状態の変化を認識できる程度以上に設定される。
【0061】
光源制御部12は、例えば、光源光の刺激純度を小さくしていく場合、光源部11を構成する複数の光源のうち、刺激純度の高い光源の光量を減らしていくと同時に、刺激純度の低い光源の光量を増やしていくように制御する。また、光源光の刺激純度を大きくしていく場合には、刺激純度を小さくする場合と逆の制御を行う。
【0062】
光源制御部12は、
図3に示されるように、第2発光状態で第1照明シーンを開始するように光源部11を制御してもよく、
図4に示されるように、第1発光状態で第1照明シーンを開始するように光源部11を制御してもよい。また、光源制御部12は、第1発光状態と第2発光状態の間の刺激純度及び光量の発光状態で第1照明シーンを開始するように光源光を制御してもよい。
【0063】
第1周期は、後述する動作例で説明するように、操作器20のユーザの操作等に基づいて決定されてもよいが、あらかじめ設定されていてもよい。第1周期があらかじめ設定されている場合、第1周期は、例えば、周波数が4.5cycle/min以上7cycle/min以下の周期である。このような第1周期は、人の血圧の変動の周期と同程度であり、この第1周期に合わせてユーザの呼吸を誘導することで、ユーザの心拍変動にメリハリがつき、ユーザのリラックス度を高めることができる。
【0064】
また、
図3及び
図4に示されるように、例えば、第1周期内での、第2発光状態から第1発光状態へ変化する時間T1は、第1発光状態から第2発光状態へ変化する時間T2よりも短い。つまり、第2発光状態から第1発光状態へ変化する速度が、第1発光状態から第2発光状態へ変化する速度よりも速い。このように、刺激純度及び光量の少なくとも一方が比較的大きい第1発光状態への変化を速くすることで、ユーザが発光状態の変化に気づきやすくなり、ユーザが呼吸をするようにより誘導しやすくなる。また、時間T1と時間T2との比率は、例えば、およそ4:6である。ユーザを、この比率に合わせた呼気と吸気との呼吸に誘導することで、呼気より吸気が適度に長くなるため、よりユーザのリラックス度を高めることができる。なお、時間T1と時間T2とは同じであってもよく、時間T1の方が時間T2よりも長くてもよい。
【0065】
第2照明シーンは、ユーザを知的作業に集中させる照明シーンである。具体的には、
図3及び
図4に示されるように、第2照明シーンでは、光源制御部12は、例えば、光源光の発光状態、つまり、刺激純度(より具体的には色度)及び光量を一定にするように光源部11を制御する。第2照明シーンにおける光源光の発光状態は、
図3に示されるように、第1照明シーンにおける第2発光状態の刺激純度及び光量であってもよく、
図4に示されるように、第1照明シーンにおける第2発光状態の刺激純度及び光量より大きい発光状態であってもよい。また、第2照明シーンにおける光源光の発光状態は、第1照明シーンにおける第2発光状態の刺激純度及び光量より小さい発光状態であってもよい。また、第1照明シーンと第2照明シーンとで、光源光の色度は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0066】
また、
図5は、光源部11が発する光源光の発光状態の、第2照明シーンにおける時間変化の例を示す図である。
図5に示されるように、第2照明シーンでは、光源制御部12は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させるように光源部11を制御してもよい。第2周期は、例えば、第1周期の1.5倍以上であり、ユーザが光源光の発光状態の変化を気づきにくい周期に設定される。このように、第2照明シーンでは、光源光の発光状態の変化を少なくする又は無くすことで、ユーザを知的作業に集中させる照明環境を演出する。第2照明シーンにおける光源光の発光状態は、操作器20のユーザの操作等に基づいて決定されてもよく、あらかじめユーザが知的作業に集中しやすい色度及び光量に設定されていてもよい。
【0067】
光源制御部12は、例えば、所定の時間、第2照明シーンにした後、第1照明シーンに切り替えることを少なくとも1回以上繰り返すように光源部11を制御する。これにより、ユーザが知的作業に集中できる第1照明シーンの後に、ユーザがリラックスできる第2照明シーンとなる照明環境が繰り返されるため、一定の間隔でユーザがリラックスすることができる。このように、知的作業中にユーザがリラックスして休憩することで、ユーザの集中力の低下を抑制できるため、知的作業中のユーザの集中力を持続させ、知的生産性を向上させることができる。
【0068】
第1照明シーン及び第2照明シーンの継続時間、並びに、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えタイミングは、後述する動作例で説明するように、操作器20のユーザの操作等に基づいて決定されてもよいが、あらかじめ設定されていてもよい。第1照明シーンの継続時間があらかじめ設定されている場合、第1照明シーンの継続時間は、例えば、5分以上20分以下である。これにより、ユーザを適度にリラックスさせ、ユーザが再び知的作業を行う際の集中力を効果的に高めることができる。また、第2照明シーンの継続時間があらかじめ設定されている場合、第2照明シーンの継続時間は、例えば、30分以上120分以下である。この範囲の時間、第2照明シーンが継続してから第1照明シーンに切り替えられることで、ユーザの集中力が低下する前にユーザにリラックスを促すことができ、ユーザの集中力の低下を抑制できる。
【0069】
また、光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、第1照明シーンの開始から終了にかけて、第1発光状態又は第2発光状態の光源光の光色が変化するように、光源部11を制御してもよい。以下では、第1発光状態の光源光の光色が変化する場合の例について説明する。なお、第2発光状態の光源光の光色が、以下の説明と同様に変化してもよい。
【0070】
図6は、第1照明シーンにおける第1発光状態の光色の変化を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
【0071】
図6に示されるように、光源制御部12は、第1照明シーンにおける第1発光状態の光源光の光色が、例えば、第1照明シーンの開始から終了にかけて、色度座標C1の第1光色から色度座標C3の第3光色を経由して色度座標C2の第2光色へ変化するように、光源部11を制御する。第1光色と第2光色と第3光色とは、それぞれJIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色である。なお、光源制御部12は、第1照明シーンにおける第1発光状態の光源光の光色が、第1照明シーンの開始から終了にかけて、第3光色を経由せずに第1光色から第2光色に変化するように、光源部11を制御してもよい。また、この場合の第1光色及び第2光色の色度座標は、例えば、色度座標C1、C2及びC3のいずれの2つの組み合わせであってもよい。
【0072】
このように、第1照明シーンの開始時と終了時とで、光源光の光色が変化し、ユーザに与える光源光の印象が変化することで、ユーザに飽きを感じさせずに呼吸を誘導することができる。また、第1照明シーンの終了時の光色を、知的作業の性質及び重要度等に応じた心理生理的効果を与えることができる光色に設定することができる。また、光源光の光色が、第1光色から第2光色へ変化するまでに第3光色を経由することで、より光色の変化が増えるため、さらにユーザに飽きを感じさせずに呼吸を誘導することができる。
【0073】
また、
図6に示されるように、CIE1931色空間における等エネルギー白色点CWからx軸正方向側に延び、かつ、x軸に平行な直線L0に対して、等エネルギー白色点CWと第1光色の色度座標C1とを通る直線L1が成す角度をθ1とする。また、直線L0に対して、等エネルギー白色点CWと第2光色の色度座標C2とを通る直線L2が成す角度をθ2とする。また、直線L0に対して、等エネルギー白色点CWと第3光色の色度座標C3とを通る直線L3が成す角度をθ3とする。θ1、θ2及びθ3は、直線L0に対して、時計回り方向が正の値になる角度であり、-180度から+180度の範囲である。この場合に、例えば、θ1とθ2とθ3とは、それぞれ異なる。これにより、第1照明シーンにおける光源光の光色の色相が変化し、ユーザに与える印象が変化しやすい光色の変化となるため、よりユーザが飽きることを抑制できる。
【0074】
また、第1光色は、CIE1931色空間において、色度座標(0.3016,0.6924)(
図6で示される色度座標範囲外)と等エネルギー白色点CWとを通る直線L10よりx軸正方向側に位置する色度座標C1である。また、第2光色は、CIE1931色空間において、直線L10よりx軸負方向側に位置する色度座標C2である。直線L10よりx軸正方向側に位置する色度座標は、暖色系の光色の色度座標であり、直線L10よりx軸負方向側に位置する色度座標は、寒色系の光色の色度座標である。また、暖色系の光色は、人をリラックスさせる心理生理的効果が高く、寒色系の光色は、人を覚醒させる心理生理的効果が高い。そのため、光源制御部12は、第1照明シーンを暖色系の第1光色で開始し、寒色系の第2光色で終了するように光源部11を制御することで、暖色系の光色でユーザを効果的にリラックスさせつつ、寒色系の光色で覚醒させ、休憩から作業への切り替えを容易にできる。
【0075】
また、第1発光状態の光色を変化させる際、第2発光状態の光色は、等エネルギー白色点CW近傍の光色で一定であってもよい。また、第2発光状態の光色は、色度座標C1と等エネルギー白色点CWとの間の光色から、色度座標C3と等エネルギー白色点CWとの間の光色を経由して、色度座標C2と等エネルギー白色点CWとの間の光色に変化してもよい。
【0076】
上述のように第1照明シーンにおいて光色を変化させる場合、例えば、光源部11は、第1光源11aと第2光源11bと第3光源11cと第4光源11dとで構成される。例えば、各光源として、第1光源11aには、等エネルギー白色点近傍の光色(例えば、JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円の内側の光色)の第1光を発する光源を用いる。また、第2光源11bには、第1光色の第2光を発する光源を用いる。また、第3光源11cには、第2光色の第3光を発する光源を用いる。また、第4光源11dには、第3光色の第4光を発する光源を用いる。このような光源部11の構成により、光源光における、第1発光状態と第2発光状態との変化、及び、第1照明シーンの開始から終了にかけての光色の変化が、細やかで自然な変化となる。また、第1照明シーンにおける第1発光状態の光源光の光色が、第1照明シーンの開始から終了にかけて、第3光色を経由せずに第1光色から第2光色に変化する場合には、光源部11は、上述の構成のうち第1光源11a、第2光源11b及び第3光源11cとで構成される。
【0077】
光源制御部12は、例えば、第1照明シーンの開始時には、第1光源11aと第2光源11bとの光量を調整することで、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる。具体的には、光源制御部12は、光源光を第1発光状態にする場合、第2光源11bの光量が第1光源11aの光源よりも多くなるように、若しくは、第2光源11bのみを発光させるように制御する。時間が経過するにつれて、光源制御部12は、光源光を第1発光状態にする場合に、第4光源11dも発光させ、第2光源11bと第4光源11dとの光量を調整することで、第1発光状態の光色を第1光色から第3光色に変化させる。さらに、光源制御部12は、第1発光状態の光色が第3光色になった場合には、第2光源11bを発光させず、第3光源11cを発光させ、第4光源11dと第3光源11cとの光量を調整することで、第1発光状態の光色を第3光色から第2光色に変化させる。また、光源制御部12は、光源光を第2発光状態にする場合、第1光源11aの光量が第2光源11b、第3光源11c、第4光源11dのいずれの光源よりも多くなるように、若しくは、第1光源11aのみを発光させるように制御する。このように光源制御部12が光源部11を制御することで、上述のような第1照明シーンにおける光色及び発光状態の変化が実現できる。
【0078】
図7Aは、第1照明シーンにおいて、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期における光色の変化を説明するためのCIE1976 UCS色度図である。また、
図7Bは、第1照明シーンにおいて、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期における光色の変化を説明するための周期と色相角の関係を示す図である。
【0079】
図7A及び
図7Bに示されるように、第1照明シーンにおいて、CIE1976 UCS色度図における、第1発光状態と第2発光状態との間で反復して変化させる1回の周期の開始時における光色の色度座標aとし、当該1回の周期の終了時における光色を色度座標bとする。光源制御部12は、例えば、第1照明シーンにおいて、色度座標aと色度座標bとがなす色相角の大きさθ4が25°以下になるように光源部11を制御する。
【0080】
2つの光色の色相角が25°以下である場合、人は同一色又は同系色に見えるとされている変化であるため、第1照明シーンにおいて、第1発光状態又は第2発光状態の光色が変化する場合であっても、ユーザに違和感を感じさせにくい。よって、このようにθ4が25°以下になるように光源部11が制御されることで、ユーザに飽きを感じさせず、且つ、ユーザに違和感を感じさせずに呼吸を誘導することができる。
【0081】
なお、第1照明シーンにおける光源光の光色は、上記説明のような変化に限らない。第1光色、第2光色及び第3光色は、それぞれ、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色であれば、どのような色度を有していてもよい。第1光色、第2光色及び第3光色は、上記説明のような光色にあらかじめ設定されていてもよく、操作器20のユーザの操作等に基づいて決定されてもよい。光色が操作器20のユーザの操作等に基づいて決定される場合、例えば、光源部11は、赤色、緑色及び青色の組み合わせとなる第1光、第2光及び第3光を発する第1光源11a、第2光源11b及び第3光源11cで構成される。
【0082】
[動作例]
次に、照明システム1における動作例について説明する。
【0083】
まず、照明システム1の動作例1について説明する。動作例1は、ユーザの操作によって第1周期が設定される場合の動作例である。
図8は、照明システム1の動作例1のフローチャートである。
【0084】
まず、操作器20の第1入力部21は、第1周期を示す第1操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける(ステップS11)。操作器20の制御部24は、ユーザから入力を受け付けた第1操作情報を、照明器具10へ通信部25に送信させる。次に、光源制御部12は、ユーザの操作により入力された第1操作情報を、通信部18を介して取得する(ステップS12)。そして、光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、取得した第1操作情報が示す第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する(ステップS13)。これにより、光源部11は、ユーザが入力した第1周期で第1照明シーンの発光状態が制御された光源光を照射する。
【0085】
これにより、ユーザが任意で第1周期を設定できるため、光源部11は、ユーザの知的作業時の体調及び気分等に応じた第1周期で呼吸を誘導するための光源光を発することができる。よって、第1照明シーンにおいて、より効果的にユーザをリラックスさせることで、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【0086】
次に、照明システム1の動作例2について説明する。動作例2は、ユーザの操作によって、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えが行われる動作例である。
図9は、照明システム1の動作例2のフローチャートである。
【0087】
まず、操作器20の第2入力部は、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えタイミング、並びに、第1照明シーン及び第2照明シーンの継続時間の少なくとも一方を示す第2操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける(ステップS21)。操作器20の制御部24は、ユーザから入力を受け付けた第2操作情報を、照明器具10へ通信部25に送信させる。次に、光源制御部12は、ユーザの操作により入力された第2操作情報を、通信部18を介して取得する(ステップS22)。そして、光源制御部12は、取得した第2操作情報に基づいて第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する(ステップS23)。
【0088】
例えば、第2操作情報が第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えタイミングを示す情報の場合、光源制御部12は、第1照明シーン又は第2照明シーンで光源部11を制御している際に、第2操作情報を取得する。そして、光源制御部12は、第2操作情報が示すタイミングで、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。例えば、この場合の第2操作情報は、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えを即時に実施させるトリガを示す情報であり、光源制御部12が第2操作情報を取得してすぐに第1照明シーンと第2照明シーンとが切り替わる。また、第2操作情報は、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替え時刻、又は、第1照明シーン及び第2照明シーンの開始及び終了の時刻を示す情報であってもよい。
【0089】
また、例えば、第2操作情報が第1照明シーン及び第2照明シーンの継続時間を示す情報の場合、光源制御部12は、光源部11の制御を開始する前に、第2操作情報を取得する。そして、光源制御部12は、光源部11の制御を開始し、第2操作情報が示す継続時間が経過した時点で、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。
【0090】
これにより、ユーザが任意のタイミングで第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えられるため、光源制御部12は、ユーザの知的作業時の体調及び気分等に応じたタイミングで第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えることができる。よって、より効果的なタイミングでユーザをリラックスさせるシーンと知的作業に集中させるシーンとを切り替えることができるため、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【0091】
次に、照明システム1の動作例3について説明する。動作例3は、照明器具10が音響装置30と連動して、光源部11の光源光の発光状態を制御する場合の動作例である。
図10は、照明システム1の動作例3のシーケンス図である。
【0092】
まず、最初、ユーザによって照明器具10の点灯操作が行われ、照明器具10の光源制御部12は、光源部11の制御を開始する。その際、照明器具10の光源制御部12は、第2照明シーンで光源部11の光源光の発光状態を制御する(ステップS31)。次に、音響装置30の操作部32は、ユーザから楽曲再生部31に再生させる楽曲の選択を受け付ける(ステップS32)。そして、制御部33は、ユーザが選択した楽曲に関する楽曲情報を通信部35に送信させる(ステップS33)。照明器具10の楽曲解析部14は、通信部18を介して、音響装置30からの楽曲情報を取得する。つまり、楽曲解析部14は、照明システム1が設置されている空間に流れる楽曲に関する楽曲情報を取得する。
【0093】
そして、楽曲解析部14は、取得した楽曲情報における楽曲の特徴に基づいて、第1周期を示す周期情報を生成する(ステップS34)。具体的には、楽曲解析部14は、例えば、公知のテンポ解析手法等を用いて、取得した楽曲情報における楽曲の特徴として楽曲のBPM(Beats Per Minute)を取得する。そして、楽曲解析部14は、楽曲のBPMに基づいて、第1周期を決定する。楽曲解析部14は、例えば、第1周期が、周波数が4.5cycle/min以上7cycle/min以下の周期、且つ、BPMの逆数である楽曲の拍間隔の整数倍の周期になるように、第1周期を決定し、決定した第1周期を示す周期情報を生成する。楽曲解析部14は、生成した周期情報を光源制御部12に送信する。
【0094】
次に、光源制御部12は、第1照明シーンの開始のタイミングで、楽曲再生部31に楽曲を再生させるための再生タイミングを示す再生情報を、通信部35を介して音響装置30に送信する(ステップS35)。制御部33は、通信部35を介して、送信された再生情報を取得する。ステップS35での再生情報の送信した後、光源制御部12は、第2照明シーンでの光源部11の制御を終了し、第1照明シーンでの光源部11の制御を開始する(ステップS36)。また、光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、周期情報が示す第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する(ステップS37)。また、音響装置30の楽曲再生部31は、光源制御部12による第1照明シーンの開始のタイミングと同期して、ステップS32によってユーザにより選択された楽曲を再生する(ステップS38)。具体的には、制御部33は、取得した再生情報に基づいて、光源制御部12による第1照明シーンの開始のタイミングと同期して、楽曲再生部31に楽曲を再生させる。これにより、光源制御部12が第1照明シーンで光源部11を制御している間、照明システム1が設置されている空間で楽曲が再生される。
【0095】
これにより、第1照明シーンでユーザに呼吸を誘導する際に、楽曲の特徴と第1照明シーンにおける光源光の変動の周期とがあった環境にできるため、ユーザに呼吸をより誘導しやすくなる。その結果、より効果的にユーザをリラックスさせることができる。
【0096】
なお、ステップS32でのユーザからの楽曲の選択が行われず、楽曲再生部31は、あらかじめ定められた楽曲を再生してもよい。この場合、ステップS33では、制御部33は、あらかじめ定められた楽曲に関する楽曲情報を通信部35に送信させる。
【0097】
また、ステップS35において、光源制御部12が音響装置30に再生情報を送信したが、制御部33が楽曲再生部31に楽曲を再生させるタイミングを示す情報を光源制御部12に送信してもよい。この場合、光源制御部12が、楽曲再生部31による楽曲の再生のタイミングに合わせて、第1照明シーンでの光源部11の制御を開始することで、楽曲再生部31が、光源制御部12による第1照明シーンの開始のタイミングと同期して、楽曲を再生する。
【0098】
また、動作例3において、楽曲再生部31は、光源制御部12による第1照明シーンの開始のタイミングと同期して、楽曲を再生したが、これに限らない。楽曲再生部31は、常時、照明システム1が設置されている空間に楽曲を流していてもよい。この場合、楽曲解析部14は、光源制御部12による第1照明シーンの制御の開始前に、照明システム1が設置されている空間に流れている楽曲に関する楽曲情報を取得し、取得した楽曲情報に基づいて周期情報を生成する。つまり、動作例3におけるステップS32、S35及びS38が省略されてもよい。
【0099】
また、楽曲解析部14は、マイク等の集音装置を介して、照明システム1が設置されている空間に流れている楽曲に関する楽曲情報を取得してもよい。
【0100】
次に、照明システム1の動作例4について説明する。動作例4は、センサ40から取得した情報に基づいて、光源制御部12が光源部11を制御する場合の動作例である。
図11は、照明システム1の動作例4のフローチャートである。動作例4では、センサ40がイメージセンサである場合について説明するが、センサ40は他の種類のセンサであってもよい。
【0101】
まず、照明器具10のセンシング部15は、センサ40から取得した情報に基づいて、照明器具10の光源光の照射範囲の周囲の人(例えば、知的作業を行うユーザ)の存在を特定する(ステップS41)。例えば、センシング部15は、センサ40が取得した画像から、照明器具10の周囲に人が存在するかどうかを特定する。また、例えば、センサ40が人感センサ又は着座センサ等のセンサである場合は、センサの人の検知結果又は着座の検知結果から、センシング部15は、照明器具10の周囲に人が存在するかどうかを特定する。
【0102】
そして、光源制御部12は、センシング部15が人の存在を特定したタイミングで、第2照明シーンでの光源部11の制御を開始する(ステップS42)。具体的には、センシング部15は、人の存在を特定した場合に、光源部11の制御を開始させる制御信号を光源制御部12に送信し、光源制御部12は、制御信号を受け取ったタイミングで、第2照明シーンでの光源部11の制御を開始する。
【0103】
次に、センシング部15は、センサ40から取得した情報に含まれる生体情報に基づいて、人の状態を特定する(ステップS43)。例えば、センシング部15は、一定時間ごとに、センサから取得した画像から、生体情報として、人の瞳孔の様子、視線、表情及びポーズ等に関する情報を取得する。センシング部15は、例えば、公知のアイトラッキング手法又は画像解析手法を用いて生体情報を取得する。また、例えば、生体情報と人の疲労度との関係性を示す情報が記憶部16に記憶されており、センシング部15は、記憶部16の情報を参照することで、取得した生体情報に基づいて、人の状況として人の疲労度を決定する。また、センシング部15は、生体情報として、視線に関する情報を取得する場合、例えば、視線の移動度が小さいほど疲労度が低く、視線の移動度が大きいほど疲労度が高いとして、人の疲労度を決定する。そして、センシング部15は、一定時間ごとに、決定した人の疲労度を、記憶部16に記憶させる。
【0104】
次に、光源制御部12は、センシング部15が特定した人の状況の変化に基づいたタイミングで、光源部11の制御を、第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えるように光源部11を制御する(ステップS44)。例えば、光源制御部12は、特定した人の状況として記憶部16に記憶された人の疲労度を参照する。そして、光源制御部12は、第2照明シーンの開始時の人の疲労度と比較して、疲労度が所定の値以上上昇した場合に、第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えるように光源部11を制御する。
【0105】
このように、センシング部15が、人の状況を特定して、光源制御部12が、例えば人の疲労度等の人の状況の変化に応じたタイミングで第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えるように光源部11を制御する。そのため、例えば、知的作業を行うユーザが疲れたタイミングで、ユーザにリラックスを促す第1照明シーンに切り替えることができるため、効果的にユーザをリラックスさせることができる。
【0106】
なお、動作例4において、光源制御部12は、ステップS42の後、所定の時間後に第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えてもよい。所定の時間として、あらかじめ人の集中力の継続時間に応じた時間が設定されていてもよく、動作例2のように、光源制御部12が、第2操作情報に基づいて、第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えてもよい。
【0107】
また、ステップS41におけるセンサ40と、ステップS43におけるセンサ40とは、同一のセンサであってもよく、異なるセンサであってもよい。
【0108】
次に、照明システム1の動作例5について説明する。動作例5は、ユーザのスケジュールに応じた光色で、光源制御部12が光源部11を制御する場合の動作例である。
図12は、照明システム1の動作例5のフローチャートである。
【0109】
まず、光源制御部12は、ユーザの予定を示すスケジュール情報を取得する(ステップS51)。スケジュール情報は、例えば、操作器20の第3入力部23を操作することでユーザから入力されたスケジュール情報である。光源制御部12は、操作器20からスケジュール情報を取得する。また、光源制御部12は、通信部18を介して、クラウドサーバ等に記憶されているスケジュール情報を取得してもよい。次に、光源制御部12は、スケジュール情報に基づいて、ユーザの予定の重要度を特定する(ステップS52)。例えば、ユーザの予定と予定の重要度との関係性を示す情報が記憶部16に記憶されており、光源制御部12は、記憶部16の情報を参照することで、ユーザの予定の重要度を特定する。また、スケジュール情報に、ユーザの予定の重要度を示す情報が含まれていてもよい。
【0110】
次に、光源制御部12は、第1照明シーンでの光源部11の制御を開始する際、当該第1照明シーンでの制御後の予定の重要度に基づいて、第1照明シーンにおける光色を決定する(ステップS53)。そして、光源制御部12は、決定した光色で、第1照明シーンでの光源部11の制御を開始する(ステップS54)。例えば、光源制御部12は、当該第1照明シーンでの制御後の予定の重要度が一定以上高い場合、第1発光状態における光色を、第1照明シーンの開始時に暖色系の光色とし、第1照明シーンの終了時に寒色系の光色になるように変化させて光源部11を制御する。これにより、第1照明シーンが覚醒度を高めやすい寒色系の光色で終了し、ユーザが重要な予定へ移行しやすくなる。また、例えば、光源制御部12は、当該第1照明シーンでの制御後の予定の重要度が一定以上高くない場合、第1発光状態における光色を、暖色系の光色で変化させずに光源部11を制御する。これにより、第1照明シーンにおいて、ユーザをリラックスさせる効果を高め、知的作業中のユーザの集中力をより持続させる。
【0111】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る照明システム1は、第1光を発する第1光源11a及び第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源11bを含む光源部11と、光源部11が発する光源光の発光状態を制御する光源制御部12とを備える。光源制御部12は、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。第1照明シーンでは、光源制御部12は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。第2照明シーンでは、光源制御部12は、光源光の発光状態を一定にする、又は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。
【0112】
これにより、第1照明シーンでは、光源光の刺激純度及び光量のうち少なくとも一方を一定の周期で連続的に変動させて、一定の周期でユーザに呼吸をするように誘導することで、ユーザにリラックスを促すことができる。また、第2照明シーンでは、光源光の発光状態の変化を少なくする又は無くすことで、ユーザが知的作業に集中できる照明環境を演出する。このような、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えることで、ユーザが知的作業に集中できる照明シーンと、ユーザがリラックスできる照明シーンとが切り替わり、ユーザが知的作業を行う際のメリハリがつく。そのため、知的作業中のユーザの集中力を持続させ、知的生産性を向上させることができる。
【0113】
また、ユーザの知的生産性が向上した結果、知的作業の時間を短縮できるため、照明システム1の使用時間を短くすることができ、エネルギー消費を低減できる。
【0114】
また、本実施の形態に係る制御方法は、第1光を発する第1光源11a及び第1光と異なる色度を有する第2光を発する第2光源11bを含む光源部11が発する光源光の発光状態を制御する方法である。制御方法では、第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。第1照明シーンでは、光源部11が発する光源光の発光状態を、第1発光状態と第1発光状態よりも刺激純度及び光量の少なくとも一方が小さい第2発光状態との間で、第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。第2照明シーンでは、光源光の発光状態を一定にする、又は、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、第1周期よりも長い第2周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。
【0115】
このような制御方法においても、上記照明システム1と同様の作用効果が得られる。
【0116】
また、光源制御部12は、ユーザの操作により入力された第1周期を示す第1操作情報を取得し、第1照明シーンにおいて、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、第1操作情報が示す第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。
【0117】
これにより、ユーザが任意で第1周期を設定できるため、光源部11は、ユーザの知的作業時の体調及び気分等に応じた第1周期で呼吸を誘導するための光源光を発することができる。よって、第1照明シーンにおいて、より効果的にユーザをリラックスさせることで、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【0118】
また、照明システム1は、第1操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける第1入力部21をさらに備える。光源制御部12は、第1入力部21においてユーザの操作により入力された第1操作情報を取得し、第1照明シーンにおいて、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、取得した第1操作情報が示す第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。
【0119】
これにより、照明システム1は、第1入力部21から第1操作情報を取得できる。
【0120】
また、照明システム1は、照明システム1が設置されている空間に流れる楽曲に関する楽曲情報を取得し、楽曲情報における楽曲の特徴に基づいて、第1周期を示す周期情報を生成する楽曲解析部14をさら備える。光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、光源光の発光状態を、第1発光状態と第2発光状態との間で、周期情報が示す第1周期で反復して変化させるように光源部11を制御する。
【0121】
これにより、第1照明シーンでユーザに呼吸を誘導する際に、照明システム1が設置されている空間に流れる楽曲の特徴と第1照明シーンにおける光源光の変動の周期とがあった環境にできるため、ユーザに呼吸をより誘導しやすくなる。その結果、より効果的にユーザをリラックスさせることで、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【0122】
また、光源制御部12は、ユーザの操作により入力された、第1照明シーンと第2照明シーンとの切り替えタイミング、並びに、第1照明シーン及び第2照明シーンの継続時間の少なくとも一方を示す第2操作情報を取得する。光源制御部12は、第2操作情報に基づいて第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。
【0123】
これにより、ユーザが任意のタイミングで第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えられるため、光源制御部12は、ユーザの知的作業時の体調及び気分等に応じたタイミングで第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えることができる。よって、より効果的なタイミングでユーザをリラックスさせるシーンと知的作業に集中させるシーンとを切り替えることができるため、ユーザの知的生産性を向上させることができる。
【0124】
また、照明システム1は、第2操作情報を入力する操作をユーザから受け付ける第2入力部22をさらに備える。光源制御部12は、第2入力部22においてユーザの操作により入力された、第2操作情報を取得し、取得した第2操作情報に基づいて第1照明シーンと第2照明シーンとを切り替えるように光源部11を制御する。
【0125】
これにより、照明システム1は、第2入力部22から第2操作情報を取得できる。
【0126】
また、照明システム1は、センサ40から取得した情報に基づいて、光源光の照射範囲の周囲の人の存在を特定するセンシング部15をさらに備える。光源制御部12は、センシング部15が、人の存在を特定したタイミングで、第2照明シーンでの光源部11の制御を開始する。
【0127】
これにより、ユーザ等の人が操作することなく、第2照明シーンが開始することで、ユーザの知的生産性を向上させることができる照明環境が自動的に整えられる。
【0128】
また、センシング部15は、さらに、センサ40から取得した情報に含まれる人の生体情報に基づいて、人の状況を特定する。光源制御部12は、センシング部15が特定した人の状況の変化に基づいたタイミングで、第2照明シーンから第1照明シーンに切り替えるように光源部11を制御する。
【0129】
このように、光源制御部12は、人の状況の変化に基づいたタイミングで第2照明シーンから第1照明シーンに切り替える。そのため、光源制御部12は、疲れ等によって知的作業を行うユーザなどの人の状況が変化した場合に、リラックスを促す第1照明シーンに切り替えることができるため、効果的にユーザをリラックスさせることができる。
【0130】
また、照明システム1は、さらにセンサ40を備える。
【0131】
これにより、照明システム1は、センサ40によって情報を取得することができる。
【0132】
また、光源部11は、第1光及び第2光と異なる色度を有する第3光を発する第3光源11cをさらに含む。また、光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、第1照明シーンの開始から終了にかけて、第1発光状態又は第2発光状態の光源光の光色が、第1光色から第2光色へ変化するように光源部11を制御する。第1光色と第2光色とは、JIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色である。
【0133】
これにより、第1照明シーンの開始時と終了時とで、光源光の光色が変化し、ユーザに与える光源光の印象が変化する。そのため、光源部11の光源光により、ユーザに飽きを感じさせずに呼吸を誘導することができる。
【0134】
また、光源制御部12は、第1照明シーンにおいて、第1照明シーンの開始から終了にかけて、第1発光状態又は第2発光状態の光源光の光色が、第1光色から第3光色を経由して第2光色へ変化するように光源部11を制御する。第1光色と第2光色と第3光色とは、それぞれJIS Z8110-1995で定義される色名が異なる光色である。
【0135】
これにより、第1照明シーンの開始時と終了時とで、光源光の光色が変化する場合に、さらに第1照明シーンの開始時と終了時との間で、光源光の光色が別の光色にも変化する。よって、光源部11の光源光により、さらにユーザに飽きを感じさせずに呼吸を誘導することができる。
【0136】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0137】
例えば、上記実施の形態では、照明システム1は、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。照明システム1が複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された照明システム1が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、照明器具10が備える光源制御部12等の構成要素が、操作器20等の他の機器に備えられていてもよいし、独立した装置によって実現されていてもよい。また、例えば、操作器20、音響装置30及びセンサ40の少なくとも1つの構成要素が、照明器具10に備えられていてもよい。
【0138】
また、照明器具10、操作器20、音響装置30及びセンサ40は、上記実施の形態で説明した各構成要素を全て備えていなくてもよく、目的の動作をさせるための構成要素のみで構成されていてもよい。
【0139】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0140】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0141】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0142】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0143】
例えば、本発明は、上記実施の形態の照明システムとして実現されてもよいし、照明の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0144】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
1 照明システム
11 光源部
11a 第1光源
11b 第2光源
11c 第3光源
12 光源制御部
14 楽曲解析部
15 センシング部
21 第1入力部
22 第2入力部
31 楽曲再生部
40、40a、40b センサ