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特許7373762電動自転車用動力伝達ユニット、及び電動自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】電動自転車用動力伝達ユニット、及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/50 20100101AFI20231027BHJP
   B62M 6/80 20100101ALI20231027BHJP
   B62J 45/411 20200101ALI20231027BHJP
   B62J 45/413 20200101ALI20231027BHJP
   F16D 41/30 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B62M6/50
B62M6/80
B62J45/411
B62J45/413
F16D41/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018213163
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020079017
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 将史
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝紀
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-016872(JP,A)
【文献】特開平09-290795(JP,A)
【文献】国際公開第2014/184826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40 - 6/90
B62J 45/40 - 45/423
F16D 41/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から伝達した力によって回転する入力軸を有し、前記入力軸と共に回転する入力体と、
前記入力体と共に回転することで、回転力を出力する出力体と、
前記入力体の外周に位置するトルク検出部と、
前記入力体と共に又は連動して回転し、前記入力体の径方向において前記トルク検出部よりも外側に配置される被検出部と、
前記被検出部の回転状態を検出する検出部とを備え、
前記入力体の回転軸と直交する方向から見て、前記トルク検出部の少なくとも一部と前記被検出部の少なくとも一部とが重なった、
電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項2】
前記入力体は、
前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸の軸方向において前記出力体と並び、前記入力軸に結合されて前記入力軸と共に回転し、かつ、前記入力軸の回転力を前記出力体に伝達して前記出力体を回転する伝達部材を有し、
前記トルク検出部は、前記伝達部材の外周に位置する、
請求項1に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項3】
外部から伝達した力によって回転する入力軸と、
回転力を出力する出力体と、
前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸の軸方向において前記出力体と並び、前記入力軸に結合されて前記入力軸と共に回転し、かつ、前記入力軸の回転力を前記出力体に伝達して前記出力体を回転する伝達部材と、
前記伝達部材の外周に位置するトルク検出部と、
前記入力軸と共に又は前記入力軸と連動して回転する被検出部と、
前記被検出部の回転状態を検出する検出部とを備え、
前記被検出部は、前記入力軸の軸方向において、前記入力軸と前記伝達部材との結合部分の前記出力体とは反対側の端部および前記トルク検出部の前記出力体とは反対側の端部よりも、前記出力体とは反対側に位置した、
電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項4】
スプロケットを更に備え、
前記出力体は、前記入力軸の外周に位置し、
前記スプロケットは、前記出力体に取り付けられた、
請求項2又は請求項3に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項5】
ワンウェイクラッチを更に備え、
前記伝達部材は、
前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸に結合されて前記入力軸と共に回転する第一部材と、
前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸の軸方向において前記第一部材と並び、かつ、前記第一部材に結合されて前記第一部材と共に回転する第二部材とを有し、
前記ワンウェイクラッチは、前記第二部材と前記出力体との間に位置し、前記第二部材が前記出力体に対し一方向に回転する時のみ、前記第二部材から前記出力体への回転力の伝達を許容する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項6】
モータと、
前記モータの回転を制御する制御基板とを更に備えた、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項7】
前記制御基板の基板面は、前記モータのモータ軸と交差する方向に延び、
前記制御基板は、前記入力軸の回転軸と直交する方向から見て、前記トルク検出部の少なくとも一部と重なる、
請求項6に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項8】
前記制御基板に実装され、前記モータの回転状態を検出するモータ用回転検出部を更に備え、
前記制御基板には前記検出部が実装された、
請求項6又は7に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項9】
前記検出部と前記モータ用回転検出部とは、前記制御基板の同一の面に実装された、
請求項8に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項10】
外部から伝達した力によって回転する入力軸を有し、前記入力軸と共に回転する入力体と、
前記入力体の外周に位置するトルク検出部と、
前記入力体と共に又は連動して回転し、前記入力体の径方向において前記トルク検出部よりも外側に配置される被検出部と、
前記被検出部の回転状態を検出する検出部とを備え、
前記入力体の回転軸と直交する方向から見て、前記トルク検出部の少なくとも一部と前記被検出部の少なくとも一部とが重なった、
電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項11】
外部から伝達した力によって回転する入力軸と、
前記入力軸と共に回転することで、回転力を出力する出力体と、
前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸の軸方向において前記出力体と並び、前記入力軸に結合されて前記入力軸と共に回転し、かつ、前記入力軸の回転力を前記出力体に伝達して前記出力体を回転する伝達部材と、
前記伝達部材と前記出力体の間に配置され、前記伝達部材の回転を前記出力体に伝達するワンウェイクラッチと、
前記伝達部材の外周に位置するトルク検出部と、
前記入力軸と共に回転する被検出部と、
前記被検出部の回転状態を検出する検出部とを備え、
前記出力体の一部は、前記ワンウェイクラッチを介して、前記伝達部材の外周面に接続され、
前記被検出部は、前記入力軸の軸方向において、前記トルク検出部のうちトルクが検出されるトルク被検出部よりも前記出力体とは反対側に位置し、
前記被検出部および前記検出部は、前記入力軸の軸方向にみて、前記トルク検出部の少なくとも一部と重なる、
電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項12】
モータと、
前記モータの回転を制御する制御基板とを更に備え、
前記制御基板の基板面は、前記モータのモータ軸と交差する方向に延び、
前記制御基板は、前記入力軸の回転軸と直交する方向から見て、前記トルク検出部の少なくとも一部と重なる、
請求項11に記載の電動自転車用動力伝達ユニット。
【請求項13】
車輪と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の電動自転車用動力伝達ユニットとを備え、
前記電動自転車用動力伝達ユニットは、前記車輪に対して回転力を出力する、
電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動自転車用動力伝達ユニット、及び電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動アシスト自転車のモータ駆動ユニットが開示されている。このモータ駆動ユニットでは、ペダルからの人力駆動力が、クランク軸、人力伝達体、中間筒体及び連動体に順に伝達される。連動体では、中間筒体からの人力駆動力とモータからの補助駆動力とが合成される。連動体から出力された駆動力は、駆動力出力輪体及び無端状駆動力伝達体を伝って、後輪に伝達する。
【0003】
このモータ駆動ユニットは、人力駆動力を検出するトルクセンサと、人力伝達体又は中間筒体の回転を検出する回転検出器とを備えている。トルクセンサは磁歪式のセンサであって、人力伝達体の外周表面に形成された磁歪発生部と、その外周に一定の隙間を介して配設されたコイルにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/184826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したモータ駆動ユニットにあっては、回転検出器が、クランク軸の軸方向において、入力体の外周に配置されたトルクセンサよりも連動体側に配置されている。このため、例えば、電子部品であるトルクセンサと回転検出器とがクランク軸の軸方向の離れた位置にあり、トルクセンサ及び回転検出器の配線が煩雑になる等、ユニット内のスペースを有効に活用できないおそれがある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、ユニット内のスペースを有効に活用可能な電動自転車用動力伝達ユニット及びこれを備えた電動自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電動自転車用動力伝達ユニットは、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、入力体、出力体、トルク検出部、被検出部及び検出部を備えている。前記入力体は、入力軸を有している。前記入力軸は、外部から伝達した力によって回転する。前記入力体は、前記入力軸と共に回転する。前記出力体は、前記入力体と共に回転することで、回転力を出力する。前記トルク検出部は、前記入力体の外周に位置する。前記被検出部は、前記入力体と共に又は連動して回転する。前記検出部は、前記被検出部の回転状態を検出する。前記入力体の回転軸と直交する方向から見て、前記トルク検出部の少なくとも一部と前記被検出部の少なくとも一部とが重なっている。
【0008】
また、本開示の別の一態様に係る電動自転車用動力伝達ユニットは、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、入力軸、出力体、伝達部材、トルク検出部、被検出部及び検出部を備えている。前記入力軸は、外部から伝達した力によって回転する。前記出力体は、回転力を出力する。前記伝達部材は、前記入力軸の外周に位置し、前記入力軸の軸方向において前記出力体と並び、前記入力軸に結合されて前記入力軸と共に回転し、かつ、前記入力軸の回転力を前記出力体に伝達して前記出力体を回転する。前記トルク検出部は、前記伝達部材の外周に位置する。前記被検出部は、前記入力軸と連動して回転する。前記検出部は、前記被検出部の回転状態を検出する。前記被検出部は、前記入力軸の軸方向において、前記入力軸と前記伝達部材との結合部分よりも、前記出力体とは反対側に位置する。
【0009】
また、本開示の一態様に係る電動自転車は、以下に示す構成を有している。車輪及び前記電動自転車用動力伝達ユニットを備えている。前記電動自転車用動力伝達ユニットは、前記車輪に対して回転力を出力する。
【発明の効果】
【0010】
前記一態様及び前記別の一態様に係る電動自転車用動力伝達ユニット、並びに前記一態様に係る電動自転車は、電動自転車用動力伝達ユニット内のスペースを有効に活用し、電動自転車用動力伝達ユニットの大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る電動自転車の側面図である。
図2図2は、同上の電動自転車が備えたモータユニットの入力軸とモータ軸とを通る面で切断した断面図である。
図3図3は、図2の部分拡大図である。
図4図4A及び図4Bは、同上のモータユニットの回転体の好ましい位置を示した側面図である。
図5図5は、変形例1のモータユニットの図3に対応する断面図である。
図6図6は、変形例2のモータユニットの図3に対応する断面図である。
図7図7は、変形例3のモータユニットの図3に対応する断面図である。
図8図8は、変形例4のモータユニットの図3に対応する断面図である。
図9図9は、変形例5のモータユニットの入力軸、伝達軸及びモータ軸を通る面で切断した断面図である。
図10図10は、図9の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示す本実施形態に係る電動自転車用動力伝達ユニットは、モータ53を備えたモータユニット3である。モータユニット3は、電動自転車1に搭載される。電動自転車1は、電動アシスト自転車であって、モータユニット3は、電動自転車1の補助駆動力を発生させる。
【0013】
なお、本開示でいう「電動アシスト自転車」は、モータ53により電動自転車1の補助駆動力を発生させる自転車をいい、法律上規定される電動アシスト自転車はもちろん、法律上電動アシスト自転車とは区別される他の電動自転車も含む。また、本開示における「補助駆動力」とは、電動自転車1の車輪11に対して、電動自転車1の運転者がペダル17を踏む力(以下、踏力という)に加えて付加される力(アシスト力)である。また、本開示では、電動自転車1の通常の利用において、電動自転車1が前進する方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」として定義する。また、前方と後方との2方向を「前後方向」と定義し、また、前後方向に直交しかつ水平面に沿う2方向を「左右方向」と定義する。
【0014】
図1に示す本実施形態の電動自転車1は、モータユニット3に加えて、複数の車輪10,11、フロントフォーク12、ハンドル13、フレーム2、バッテリ14、サドル15、一対のクランクアーム16及び一対のペダル17を備えている。
【0015】
本実施形態の電動自転車1は、複数の車輪10,11として、前輪10と後輪11とを備えている。フロントフォーク12は、レッグ120と、ステアリングコラム121とを有している。レッグ120は、前輪10を回転可能に支持している。ステアリングコラム121は、レッグ120の上端部から上側に向かって延びている。
【0016】
本実施形態のフレーム2は、ヘッドパイプ20、上パイプ21、下パイプ22、立パイプ23、シートステー24、チェーンステー25及びブラケット26を有している。
【0017】
ヘッドパイプ20には、ステアリングコラム121がヘッドパイプ20の中心軸に対して回転可能に取り付けられている。ステアリングコラム121の上端部には、ハンドル13が取り付けられている。運転者は、ハンドル13を操作して、ステアリングコラム121をヘッドパイプ20の中心軸回りに回転することで、前輪10の向きを変更することができる。
【0018】
上パイプ21の前端部は、ヘッドパイプ20に接続されている。上パイプ21の後端部は、立パイプ23に接続されている。サドル15は、軸部150を有している。立パイプ23の上端部には、軸部150が取り付けられている。立パイプ23の下端部には、ブラケット26が接続されている。下パイプ22は、上パイプ21の下方に位置している。下パイプ22の前端部は、ヘッドパイプ20に接続されている。下パイプ22の後端部は、ブラケット26に接続されている。下パイプ22には、バッテリ14が着脱可能に取り付けられている。バッテリ14は、モータユニット3に電力を供給する。
【0019】
上パイプ21の後端部には、シートステー24の前端部が接続されている。シートステー24の下方には、チェーンステー25が位置している。シートステー24の後端部は、チェーンステー25の後端部に接続されている。シートステー24とチェーンステー25との接続部分には、後輪11が左右軸回りに回転可能に取り付けられている。ここで、本開示における「左右軸回りに回転可能」とは、左右方向と平行な回転軸を中心に回転可能であることを意味する。後輪11には、リアスプロケット18が固定されている。チェーンステー25の前端部は、ブラケット26に接続されている。
【0020】
ブラケット26には、モータユニット3が取り付けられている。本実施形態のモータユニット3は、前輪10及び後輪11のうちの後輪11にのみ動力を伝達する。
【0021】
モータユニット3は、入力体30を備えている。入力体30は、左右軸回りに回転可能である。入力体30には、一対のクランクアーム16を介して一対のペダル17が連結されている。ペダル17に加わった踏力が、一対のクランクアーム16を伝って入力体30に伝達することで、入力体30は回転する。
【0022】
本実施形態のモータユニット3は、二軸式のモータユニットであって、図2に示すように、回転力を出力する出力体として、第一出力体31と第二出力体32との二つの出力体を備えている。第一出力体31及び第二出力体32の各々は、左右軸回りに回転可能である。第一出力体31は、入力体30の回転力(すなわち、踏力)を動力として回転する。第二出力体32は、モータ53を動力として回転する。
【0023】
本実施形態のモータユニット3は、第一駆動スプロケット51と、第二駆動スプロケット52との二つのスプロケットを更に備えている。第一駆動スプロケット51は、第一出力体31に固定されている。第一駆動スプロケット51は、第一出力体31と共に、左右軸回りに回転する。第二駆動スプロケット52は、第二出力体32に固定されている。第二駆動スプロケット52は、第二出力体32と共に、左右軸回りに回転する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の電動自転車1は、動力伝達体19を更に備えている。動力伝達体19は、第一駆動スプロケット51の回転力及び第二駆動スプロケット52の回転力をリアスプロケット18に伝達する。本実施形態の動力伝達体19は、無端状のチェーンである。動力伝達体19は、第一駆動スプロケット51、第二駆動スプロケット52及びリアスプロケット18に掛けられている。
【0025】
入力体30に加わる踏力によって回転する第一出力体31(図2参照)の回転力は、第一駆動スプロケット51、動力伝達体19及びリアスプロケット18を伝って後輪11に伝達する。このように、第一出力体31の回転力が、後輪11に伝達することで、後輪11は、電動自転車1が前進する方向に回転する。
【0026】
モータ53の駆動によって回転する第二出力体32の回転力は、第二駆動スプロケット52、動力伝達体19及びリアスプロケット18を順に伝って、後輪11に伝達する。すなわち、運転者がペダル17を踏み、かつ、モータ53が駆動している状態では、第一出力体31の回転力と、第二出力体32の回転力とが、動力伝達体19及びリアスプロケット18を伝って後輪11に伝達する。この場合、後輪11は、入力体30に加わる踏力と、モータ53の補助駆動力とを合わせた合力によって、電動自転車1が前進する方向に回転する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態のモータユニット3は、モータ53に加えて、ケース33、減速機構57及び制御基板34を更に備えている。ケース33は、モータユニット3の外殻を構成している。ケース33は、金属製であって、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属から形成される。
【0028】
ケース33は、入力体30、第一出力体31、モータ53、減速機構57、第二出力体32及び制御基板34を収容している。ただし、入力体30、第一出力体31及び第二出力体32の各々は、一部だけがケース33に収容されている。
【0029】
本実施形態のケース33は、第一分割体331と、第二分割体332との二つの部材を有している。第一分割体331と第二分割体332とは、左右方向に並んでいる。本実施形態の第一分割体331は、第二分割体332の左側に位置している。
【0030】
第一分割体331は、右側(第二分割体332側)に向かって開口した有底筒状に形成されている。第一分割体331は、第一側壁333と、第一側壁333の周縁から右側に向かって突出した第一周壁334とを有している。
【0031】
第二分割体332は、左側(第一分割体331側)に向かって開口した有底筒状に形成されている。第二分割体332は、第二側壁335と、第二側壁335の周縁から左側に向かって突出した第二周壁336とを有している。
【0032】
第一周壁334の右側の端面は、第一合わせ面337を構成している。第二周壁336の左側の端面は、第二合わせ面338を構成している。第一分割体331と第二分割体332とは、第一合わせ面337と第二合わせ面338とを合わせた状態で、ボルト38により互いに固定されている。
【0033】
ケース33の前端部には、入力体30と第一出力体31とが位置している。入力体30は、外部から伝達した力によって回転する。本実施形態の入力体30は、入力軸35と、伝達機構40とを有している。入力軸35は、外部から伝達した力によって回転する。入力体30は、入力軸35と共に回転する。本実施形態の入力軸35の軸方向は、左右方向と平行である。入力軸35は、第一分割体331の第一側壁333と、第二分割体332の第二側壁335とを貫通している。つまり、入力軸35は、ケース33を左右方向に貫通している。
【0034】
図3に示すように、本実施形態のモータユニット3は、一対の軸受36,37を更に有している。一対の軸受36,37は、入力軸35を左右軸回りに回転可能に支持している。一対の軸受36,37の各々は、ボールベアリングである。一対の軸受36,37のうちの一方の軸受36は、第一分割体331に取り付けられており、ケース33の内部に配置されている。軸受36は、入力軸35を直接支持している。
【0035】
一対の軸受36,37のうちの軸受36とは別の軸受37は、第二分割体332に取り付けられており、ケース33の内部に位置している。本実施形態の第一出力体31は、入力軸35の外周に位置しており、第一出力体31は、入力軸35を左右軸回りに回転可能に支持している。第一出力体31が入力軸35の外周に位置することで、モータユニット3の大型化を抑制できる。軸受37は、第一出力体31を左右軸回りに回転可能に支持している。すなわち、軸受37は、第一出力体31を介して入力軸35を支持している。
【0036】
図2に示すように、入力軸35において、ケース33の外部に突出した左右方向の両端部には、一対のクランクアーム16がそれぞれ固定されている。入力軸35は、ペダル17(図1参照)に加わる踏力によって、一対のクランクアーム16と共に回転する。
【0037】
伝達機構40は、入力軸35の回転力を第一出力体31に伝達して、第一出力体31を回転する。本実施形態の伝達機構40は、伝達部材41と、ワンウェイクラッチ46とを有している。伝達部材41は、その全体形状が入力軸35を囲む筒状であり、入力軸35の外周に位置している。伝達部材41は、左右方向において第一出力体31と並んでおり、第一出力体31の左側に位置している。伝達部材41は、入力軸35に結合されており、入力軸35と共に左右軸回りに回転する。伝達部材41は、入力軸35の回転力をワンウェイクラッチ46を介して第一出力体31に伝達することで、第一出力体31を回転する。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の伝達部材41は、第一部材411と第二部材412との2部材を有している。第一部材411と第二部材412との各々は、入力軸35と同心の筒状に形成されており、入力軸35の外周に位置している。
【0039】
第一部材411の一部は、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、左側に位置している。本実施形態の第一部材411は、大部分が第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも左側に位置しており、右側の端部だけが、第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも右側に位置している。
【0040】
第一部材411は、嵌合部42を有している。本実施形態の嵌合部42は、第一部材411の左側の端部の内周面に形成されている。入力軸35は、嵌合部43を有している。本実施形態の嵌合部43は、入力軸35において嵌合部42に対応する部分の外周面に形成されている。本実施形態の嵌合部42及び嵌合部43の各々は、スプラインであり、嵌合部42は嵌合部43に嵌合している。これにより、第一部材411は、入力軸35に結合されている。すなわち、本実施形態では、嵌合部42と嵌合部43とによって、入力軸35と伝達部材41との結合部分が構成されている。第一部材411は入力軸35と共に回転する。
【0041】
第一部材411における嵌合部42よりも右側の部分と、入力軸35との間には、隙間39が形成されている。このため、モータユニット3の組立時においては、筒状をした第一部材411の内部に、入力軸35を容易に挿入することができる。
【0042】
第二部材412は、左右方向において第一部材411と並んでおり、第一部材411と第一出力体31との間に位置している。すなわち、第一部材411、第二部材412及び第一出力体31は、この順序で、入力軸35の回転軸方向に並んでいる。第二部材412は、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、右側に位置している。
【0043】
第二部材412は、嵌合部44を有している。本実施形態の嵌合部44は、第二部材412における左側の端部の内周面に形成されている。第一部材411は、嵌合部45を有している。本実施形態の嵌合部45は、第一部材411における右側の端部の外周面に形成されている。本実施形態の嵌合部44及び嵌合部45の各々は、スプラインであり、嵌合部44は嵌合部45に嵌合している。これにより、第二部材412は、第一部材411に結合されて第一部材411と共に回転する。第二部材412は、第一部材411を介して入力軸35に結合されている。
【0044】
第一出力体31は、左右方向において、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、右側に位置している。第一出力体31は、入力軸35と同心の筒状に形成されており、入力軸35の外周に位置している。
【0045】
第一出力体31における左側の端部は、第二部材412における右側の端部の外周に位置している。第一出力体31における左側の端部と、第二部材412における右側の端部との間には、ワンウェイクラッチ46が位置している。ワンウェイクラッチ46は、例えば、ラチェット式のワンウェイクラッチであり、第二部材412が第一出力体31に対し一方向に回転する時のみ、第二部材412から出力体31への回転力の伝達を許容する。
【0046】
具体的にワンウェイクラッチ46は、後輪11(図1参照)の前進方向の回転時において、第二部材412の回転速度が、第一出力体31の回転速度よりも速いときに、第二部材412から第一出力体31への回転力の伝達を許容する。すなわち、ワンウェイクラッチ46は、後輪11の前進方向の回転時において、第二部材412から第一出力体31への回転力の伝達のみを許容し、第一出力体31から第二部材412への回転力の伝達を許容しない。これにより、モータ53(図2参照)の駆動時において運転者がペダル17(図1参照)を踏むことを止めたときに、モータ53を動力として、入力軸35及びこれに連結されたクランクアーム16が回転し続けることが抑制される。
【0047】
第一出力体31における右側の端部は、第二分割体332の第二側壁335を貫通している。図2に示すように、第一出力体31においてケース33の外部に突出した右側の端部には、第一駆動スプロケット51が固定されている。ペダル17からクランクアーム16を伝って入力軸35に伝達した踏力は、第一部材411、第二部材412、ワンウェイクラッチ46及び第一出力体31を順に伝って第一駆動スプロケット51に伝達する。すなわち、本実施形態では、クランクアーム16からモータユニット3に伝達した踏力を、第一駆動スプロケット51にまで伝達する人力伝達系が、入力軸35、伝達機構40及び第一出力体31によって構成されている。
【0048】
ケース33の後部には、モータ53、減速機構57及び第二出力体32が位置している。モータ53は、第一分割体331に収容されている。モータ53は、モータ軸54、ロータ55及びステータ56を有している。
【0049】
モータ軸54の軸方向は、左右方向と平行である。モータ軸54における左右方向の両端部は、第一分割体331に取り付けられた軸受47と、第二分割体332に取り付けられた軸受48とで、左右軸回りに回転可能に支持されている。
【0050】
モータ軸54は、ロータ55を左右方向に貫通している。ロータ55は、モータ軸54に固定されており、モータ軸54と共に左右軸回りに回転する。ロータ55の外周には、ステータ56が位置している。ステータ56は、ロータ55を回転する。
【0051】
減速機構57は、モータ軸54の回転速度を遅くした上で、モータ軸54の回転力を第二出力体32に伝達する。本実施形態の減速機構57は、歯車58と、ワンウェイクラッチ59とを有している。歯車58は、左右軸回りに回転可能である。歯車58の外周面には、歯部580が形成されている。モータ軸54においてロータ55から右側に向かって突出した部分の外周面には、歯部540が形成されている。歯部580と歯部540は、咬み合っている。これにより、モータ軸54の回転力が、歯車58に伝達し、歯車58はモータ軸54と連動して回転する。歯部580の歯数は、歯部540の歯数よりも多い。
【0052】
本実施形態の第二出力体32は、軸方向が左右方向と平行な軸である。本実施形態のモータユニット3は、一対の軸受60,61を更に備えている。一対の軸受60,61は、第二出力体32を左右軸回りに回転可能に支持している。一対の軸受60,61の各々は、ボールベアリングである。
【0053】
一対の軸受60,61は、ケース33の内部に位置している。一対の軸受60,61のうちの一方の軸受60は、第一分割体331の一部である軸受支持部3312に取り付けられており、他方の軸受61は、第二分割体332に取り付けられている。軸受60は、第一分割体331に直接取り付けられてもよいし、他の部材を介して間接的に取り付けられてもよい。他方の軸受61は、第二分割体332に直接取り付けられてもよいし、他の部材を介して間接的に取り付けられてもよい。
【0054】
軸受支持部3312は、第一分割体331と別体とすることができる。別体とする場合、軸受支持部3312は、第一分割体331に取り付けられる。軸受支持部3312は、嵌め合わせや、ねじ等の固定部材による固定により、第一分割体331に取り付けられる。軸受支持部3312は、第一分割体331と同じ金属製とすることができる。更に、軸受支持部3312は、第一分割体331と異なる材質からなってもよい。例えば、第一分割体331が金属製の場合、軸受支持部3312を樹脂製とすることができる。この場合、軸受支持部3312が軽量化され、モータユニット3の軽量化が可能となる。
【0055】
第一分割体331は、左側に突出するモータケース部3313を有する。モータケース部3313は、モータ53のステータ56及びロータ55を覆っている。モータケース部3313には、モータ軸54の軸受47が取り付けられている。モータケース部3313は、モータ53のステータ56と接している。ステータ56で発生した熱は、モータケース部3313を介して外部の大気に放熱される。モータケース部3313は、第一分割体331と一体に形成されている。モータケース部3313は、第一分割体331と別体であってもよい。別体の場合、モータケース部3313は、ねじ等の固定部材によって第一分割体331に取り付けられる。
【0056】
モータケース部3313は、右側(第二分割体332側)に向かって開口しており、モータ53のステータ56は、第一分割体331と第二分割体332とが形成するケース33の内部空間と同じ空間に配置される。
【0057】
ワンウェイクラッチ59は、第二出力体32の外周に位置している。ワンウェイクラッチ59の外周には、歯車58が位置している。すなわち、ワンウェイクラッチ59は、第二出力体32と歯車58との間に位置している。本実施形態のワンウェイクラッチ59は、ラチェット式のワンウェイクラッチであり、歯車58が第二出力体32に対し一方向に回転する時のみ、歯車58から第二出力体32への回転力の伝達を許容する。
【0058】
具体的にワンウェイクラッチ59は、後輪11(図1参照)の前進方向の回転時において、歯車58の回転速度が、第二出力体32の回転速度よりも速いときに、歯車58から第二出力体32への回転力の伝達を許容する。すなわち、ワンウェイクラッチ59は、後輪11の前進方向の回転時において、歯車58から第二出力体32への回転力の伝達のみを許容し、第二出力体32から歯車58への回転力の伝達を許容しない。このため、例えば、モータ53が停止し、かつ、運転者がペダル17(図1参照)を踏んだときに、モータ軸54及びロータ55が回転することが抑制される。この場合、第二出力体32から歯車58に回転力が伝達する場合と比較して、後輪11を回転するために必要な踏力が軽減される。
【0059】
第二出力体32における右側の端部は、第二分割体332の第二側壁335を貫通している。第二出力体32においてケース33の外部に突出した右側の端部には、第二駆動スプロケット52が固定されている。
【0060】
歯車58の回転力が、ワンウェイクラッチ59を伝って第二出力体32に伝達するとき、モータ軸54の回転力は、歯車58、ワンウェイクラッチ59及び第二出力体32を順に伝って、第二駆動スプロケット52に伝達する。これにより、第二駆動スプロケット52が回転して、後輪11にモータ53の補助駆動力が伝達する。
【0061】
制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、歯車58と少なくとも一部が重なっている。制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、歯車58と全部が重なってもよい。制御基板34をこの位置に配置することによって、入力軸35の軸方向において、制御基板34をトルク検出部62に近付けることができ、トルク検出部62と制御基板34との間の配線を短くすることができる。
【0062】
本実施形態の制御基板34は、プリント基板である。制御基板34の厚み方向は、左右方向と平行である。制御基板34は、制御基板34の基板面が入力軸35と交差する方向に延びるように配置されていればよい。制御基板34は、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、左側に位置している。制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、第一部材411と重なっている。
【0063】
制御基板34は、モータ53を制御する制御部を有している。制御部は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、各要素の動作を制御する。制御部には、バッテリ14(図1参照)が電気的に接続されており、バッテリ14から電力が供給される。制御部には、ステータ56が電気的に接続されている。本実施形態における制御基板34は、FET等のスイッチング素子及びマイクロコンピュータのいずれかを備えるものである。
【0064】
本実施形態のモータユニット3は、トルク検出部62、回転検出部63及びモータ用回転検出部640を更に備えている。トルク検出部62は、入力体30のトルク(回転力)を検出する。回転検出部63は、入力体30の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する。モータ用回転検出部640は、モータ53の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する。
【0065】
トルク検出部62、回転検出部63及びモータ用回転検出部640の各々は、制御部に電気的に接続されている。制御部は、トルク検出部62、回転検出部63及びモータ用回転検出部640によって検出した情報に基づいて、モータ53を制御する。具体的に制御部は、トルク検出部62によって検出した第一部材411のトルクに基づいて入力体30にトルクが発生したことを検知した際に、ステータ56に電力を供給して、モータ53を駆動する。また、制御部は、モータ53の駆動時において、トルク検出部62によって検出した第一部材411のトルクと、モータ用回転検出部640によって検出したモータ53の回転位置とに基づいて、モータ軸54の回転速度を制御する。また、制御部は、回転検出部63により検出した情報(後述する被検出部90の回転位置)に基づいて、入力体30が回転していない状態を検知した際に、ステータ56への電力の供給を停止して、モータ軸54の回転を停止する。
【0066】
図3に示すように、トルク検出部62は、入力体30の外周に位置している。本実施形態のトルク検出部62は、入力軸35と伝達部材41との結合部分(嵌合部42及び嵌合部43)よりも右側に位置している。また、トルク検出部62は、第二部材412よりも左側に位置しており、かつ、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、左側に位置している。
【0067】
本実施形態のトルク検出部62は、磁歪式のトルクセンサであり、磁歪発生部620と、コイル621とコイルハウジング622とを有している。磁歪発生部620は、磁気異方性が付与された部材であり、第一部材411の外周面に形成されている。磁歪発生部620は、例えば、左右方向に対して45度をなす螺旋状に形成される。コイル621は、第一部材411の外周面における磁歪発生部620が設けられた部分から若干の間隔をあけて配置されている。コイルハウジング622は、コイル621を覆うように配置される。コイル621及びコイルハウジング622は、例えば、ケース33又はケース33に取り付けられた部材によって支持される。
【0068】
入力軸35のトルクが第一部材411に伝達すると、第一部材411に設けられた磁歪発生部620に歪みが生じ、透磁率の増加部分と減少部分とが発生する。このため、コイル621のインダクタンス差を測定することで、入力軸35のトルクを示す情報として、第一部材411のトルクを検出することができる。
【0069】
入力軸35には、運転者の重みがペダル17からクランクアーム16を伝って下向きの力として加わる可能性があり、この力は入力軸35のトルクを検出するにあたって外乱の要因になる。また、第一部材411は、第二部材412のようにワンウェイクラッチ46に隣接しておらず、第一部材411には、ワンウェイクラッチ46に起因する振動が伝わり難い。このため、本実施形態のように第一部材411のトルクを検出することで、入力軸35のトルクを適切に検知することができる。
【0070】
回転検出部63は、入力体30と共に又は連動して回転する被検出部630と、被検出部630の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する検出部631とを有している。本開示において、「共に回転する」は、同じ回転軸で回転することを意味し、「連動して回転する」は、異なる回転軸で回転することを意味する。本実施形態の回転検出部63は、入力体30と連動して回転する。
【0071】
本実施形態の回転検出部63は、被検出部630を含む回転体632を有している。回転体632は、左右軸回りに回転可能である。回転体632は、左右方向と直交する方向において、入力体30と並んでおり、回転体632の回転軸と、入力体30の回転軸とは、左右方向と直交する方向において異なる位置にある。
【0072】
本実施形態の回転体632は、本体633と被検出部630とを有している。本体633は、左右方向と平行な軸である。ケース33は、本体633を左右軸回りに回転可能に支持する一対の支持部65,66を有している。一対の支持部65,66のうちの一方の支持部65は、第一分割体331に形成されており、他方の支持部66は、第二分割体332に形成されている。
【0073】
本体633は膨大部634を有している。膨大部634は、本体633における左右方向の中間部に形成されている。膨大部634は、左右方向から見て、本体633における膨大部634を除く他の部分よりも大きい円板状に形成されている。膨大部634は、歯部635を有している。歯部635は、膨大部634の外周面に形成されている。
【0074】
第二部材412は歯部413を有している。歯部413は、第二部材412における左側の端部の外周面に形成されている。歯部413は、歯部635と噛み合っている。これにより、本体633(回転体632)は、第二部材412と連動して回転する。すなわち、本実施形態では、入力軸35と共に回転する回転部を第二部材412が構成しており、この第二部材412と連動して回転体632が回転する。なお、回転体632が結合される回転部は、入力軸35、伝達機構40及び第一出力体31によって構成された入力伝達系において、ワンウェイクラッチ46よりも入力側に位置する部材であればよい。例えば、回転部は、第一部材411であってもよいし、入力軸35の一部であってもよい。
【0075】
歯部635の歯数は、歯部413の歯数よりも少ない。このため、回転体632が第二部材412と連動して回転した時、回転体632の回転速度は、第二部材412の回転速度よりも速くなる。
【0076】
本体633における左側の端部の外周面には、被検出部630が取り付けられている。被検出部630は、本体633と共に左右軸回りに回転する。本実施形態の被検出部630は、例えば、周方向において交互に磁極が入れ替わるように磁石が埋め込まれた部材、又は周方向において交互に磁極が入れ替わるように着磁された磁石で構成される。
【0077】
被検出部630は、制御基板34よりも左側に位置しており、左右方向と直交する方向から見て、トルク検出部62と重なっている。制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、トルク検出部62と重なっている。被検出部630は、左右方向と直交する方向から見て、一部が磁歪発生部620及びコイル621と重なる位置に配置されている。被検出部630は、左右方向と直交する方向から見て、磁歪発生部620又はコイル621と重なっていればよい。
【0078】
被検出部630は、左右方向と直交する方向から見て、少なくとも右側の端部又は右側の端部だけが磁歪発生部620又はコイル621と重なる位置に配置されてもよい。この場合、被検出部630及び制御基板34を第一分割体331側に寄せることができ、ケース33内のスペースを有効に活用することができる。
【0079】
本実施形態の検出部631は、被検出部630の磁石の磁力を検知するホールIC(Integrated Circuit)である。検出部631は、制御基板34における厚み方向の一方の面である左側の面に実装されている。検出部631は、被検出部630と左右方向に並んでおり、被検出部630に対向している。検出部631は、被検出部630の回転に伴う磁場の変化を検出することにより、被検出部630の回転位置を検出する。
【0080】
図2に示すように、本実施形態のモータユニット3は、モータ用回転検出部640を含んだモータ用検出部64を更に備えている。モータ用検出部64は、モータ用回転検出部640に加えて、回転体641を有している。
【0081】
回転体641は、モータ軸54の外周面に取り付けられており、モータ軸54と共に左右軸回りに回転する。回転体641は、ロータ55と歯車58との間に位置している。回転体641は、制御基板34よりも左側に位置しており、左右方向と直交する方向から見て、トルク検出部62と重なっている。回転体641は、例えば、回転体641の周方向において交互に磁極が入れ替わるように磁石が埋め込まれた部材、又は周方向において交互に磁極が入れ替わるように着磁された磁石で構成される。
【0082】
本実施形態のモータ用回転検出部640は、回転体641の磁石の磁力を検知するホールICである。モータ用回転検出部640は、制御基板34における左側の面に実装されている。なお、モータ用回転検出部640は、制御基板34における右側の面に実装されてもよい。
【0083】
本実施形態では、モータ用回転検出部640と、回転検出部63の検出部631とが、同じ制御基板34に実装されている。このため、モータ用回転検出部640及び回転検出部63を制御基板34に接続するための配線コード等を別途設ける必要がなく、ケース33内に配置する部材を少なくし、モータユニット3の大型化を抑制できる。また、本実施形態では、モータ用回転検出部640と、回転検出部63の検出部631とが、制御基板34の同一の面に実装されている。このため、回転検出部63の検出部631と、モータ用回転検出部640とを、制御基板34に容易に実装することができる。
【0084】
モータ用回転検出部640は、回転体641と左右方向に並んでおり、回転体641に対向している。モータ用回転検出部640は、回転体641の回転に伴う磁場の変化を検出することにより、回転体641の回転位置を検出する。
【0085】
上述したモータユニット3の組立時には、例えば、ケース33内に配置される部品を第二分割体332に左側(第二合わせ面338側)から組み込んだ後、第一分割体331の第一合わせ面337と第二分割体332の第二合わせ面338とを合わせる。ここで、本実施形態では、図3に示すように、左右方向(入力軸35方向)と直交する方向から見て、回転検出部63の被検出部630が、トルク検出部62と重なっている。このため、被検出部630と、これを検出する検出部631とを、トルク検出部62と同様、第一分割体331に近い左側に配置することができる。したがって、上述したモータユニット3の組立時には、トルク検出部62、被検出部630及び検出部631を、第二分割体332に容易に組み込むことができる。
【0086】
図2に示すように、本実施形態では、モータ用検出部64の回転体641も、左右方向と直交する方向から見て、トルク検出部62と重なっている。また、本実施形態では、回転検出部63の被検出部630及びモータ用検出部64の回転体641が、ケース33の第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、左側に位置している。
【0087】
また、本実施形態では、回転体632の回転軸と、入力体30の回転軸とは、左右方向と直交する方向において異なる位置にある。このため、本実施形態のように、回転体632の回転速度を、入力体30の回転速度よりも速くすることで、被検出部630に設けられる磁極の数を抑制しつつ、回転検出部63による検出精度(分解能)を向上することができる。なお、回転体632の回転速度は、入力体30の回転速度よりも遅くなるようにしてもよい。この場合は、例えば、被検出部630の直径を大きくし、被検出部630に設けられる磁極の数を増やすことで、回転検出部63による検出精度を向上することができる。
【0088】
また、本実施形態において回転部を構成する第二部材412及び第二部材412と連動する回転体632は、ワンウェイクラッチ46が第一出力体31から入力軸35への回転力の伝達を許容しないときにも、入力軸35と共に回転する。このため、検出部631によって、第二部材412と連動して回転する回転体632の回転状態を検出することで、入力軸35の回転状態を適切に検知できる。
【0089】
図3に示すように、被検出部630とトルク検出部62のコイル621との間には、その間を仕切る壁部3311が設けられる。壁部3311は、被検出部630が有する磁石の磁力が、トルク検出部62のコイル621に影響を及ぼすことを抑制する。すなわち、被検出部630が有する磁石の磁力によって、トルク検出部62のトルク検出値の精度が低下することを抑制する。壁部3311は、第一分割体331と一体であってもよいし、第一分割体331と別体であってもよい。壁部3311は、鉄等の軟磁性材料からなることが好ましい。鉄等の軟磁性材料を用いることにより、被検出部630が有する磁石の磁力によって、トルク検出部62のトルク検出値の精度が低下することをいっそう抑制することができる。
【0090】
ここで、図4A及び図4Bに示すように、入力軸35の回転軸と直交する方向である前後方向において、回転体632(詳しくは、回転体632におけるモータ用回転検出部640に最も近い箇所)からモータ用回転検出部640までの距離L1は、入力軸35におけるモータ用回転検出部640から最も離れた箇所642からモータ用回転検出部640までの距離L2以下であることが好ましい。この場合、モータ用回転検出部640と、回転体632に対応する検出部631との間の距離を短くし、制御基板34を前後方向においてコンパクトにすることができる。なお、回転体632は、図4Aに示すように、回転体632の全部が、箇所642よりも後方に配置されてもよいし、図4Bに示すように、回転体632の一部のみが箇所642よりも後方に配置されてもよい。
【0091】
(変形例)
次に上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例1~5の説明では、上記実施形態と共通する要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
(変形例1)
図5に変形例1のモータユニット3Aを示す。モータユニット3Aは、上記実施形態のモータユニット3(図2参照)と同様の構成を有している。ただし、モータユニット3Aは、第二部材412に代わる第二部材412Aと、回転部材70とを備えている。第二部材412Aは、第二部材412と同様の構成を有している。ただし、第二部材412Aは、上記実施形態の歯部413を有していない。
【0093】
回転部材70は、第二部材412Aと同心の円環状に形成されている。回転部材70は、第二部材412Aにおける左側の端部の外周に位置している。回転部材70は、第二部材412Aに固定されており、第二部材412Aと共に左右軸回りに回転する。回転部材70の外周面には、歯部71が形成されている。
【0094】
歯部71は、回転体632の歯部635と噛み合っている。これにより、本体633(回転体632)は、回転部材70に結合され、回転部材70と連動して回転する。すなわち、本実施形態では、回転部材70が入力軸35と共に回転する回転部を構成しており、被検出部630を有する回転体632は、この回転部材70と連動して回転する。歯部635の歯数は、歯部71の歯数よりも少ない。
【0095】
(変形例2)
図6に変形例2のモータユニット3Bを示す。モータユニット3Bは、上記実施形態のモータユニット3(図2参照)と同様の構成を有している。ただし、モータユニット3Bは、回転検出部63に代わる回転検出部63Bと、第二部材412に代わる第二部材412Bとを備えている。第二部材412Bは、第二部材412と同様の構成を有している。ただし、第二部材412Bは、上記実施形態の歯部413を有していない。
【0096】
本変形例の回転検出部63Bは、光学式の回転検出器であり、入力体30と共に回転する回転部材72と、回転部材72の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する検出部631Bとを有している。
【0097】
回転部材72は、第二部材412と同心の円環状に形成されている。回転部材72は、第二部材412Bにおける左側の端部の外周に位置している。回転部材72は、第二部材412Bに固定されており、第二部材412Bと共に左右軸回りに回転する。回転部材72は、第二部材412Bから左側に向かって突出しており、トルク検出部62の外周に位置している。
【0098】
回転部材72は、被検出部630Bを有している。被検出部630Bは、回転部材72における左側の端部から、外周側に向かって突出している。被検出部630Bは、透光部73を有している。透光部73は、透光性を有している。透光部73は、例えば、被検出部630Bの外周端部に形成され、回転部材72の周方向に並んだ複数の切欠又は孔で構成される。被検出部630Bは、左右方向と直交する方向から見て、磁歪発生部620及びコイル621と重なっている。被検出部630Bは、左右方向と直交する方向から見て、磁歪発生部620又はコイル621と重なっていればよい。
【0099】
検出部631Bは、光センサである。検出部631Bは、制御基板34の左側の面に実装されており、ケース33の内部に位置している。検出部631Bは、左右方向と直交する方向から見て、トルク検出部62と重なっている。検出部631Bは、出光部74及び受光部75を有している。出光部74と受光部75とは左右方向に並んでいる。出光部74と受光部75との間には、被検出部630Bが位置している。検出部631は、出光部74から受光部75に向かって光を出射し、透光部73を通過した光を受光部75によって受けることにより、回転部材72の回転位置を検出する。なお、回転検出部63Bは、他の光学式の回転センサであってもよい。また、回転検出部63Bは、光学式の回転センサに限られない。
【0100】
本変形例のモータユニット3Bでは、回転体632を省略することができる。
【0101】
(変形例3)
図7に変形例3のモータユニット3Cを示す。モータユニット3Cは、上記実施形態のモータユニット3(図2参照)と同様の構成を有している。ただし、モータユニット3Cは、回転検出部63に代わる回転検出部63Cと、第二部材412に代わる第二部材412Cとを備えている。第二部材412Cは、第二部材412と同様の構成を有している。ただし、第二部材412Cは、上記実施形態の歯部413を有していない。
【0102】
本変形例の回転検出部63Cは、光学式の回転検出器であり、入力体30と共に回転する回転部材76と、回転部材76の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する検出部631Cとを有している。回転部材76は、変形例2の回転部材72と同様の構成を有している。
【0103】
検出部631Cは、変形例2の検出部631Bと同様の構成を有している。ただし、検出部631Cは、制御基板34には実装されておらず、ケース33の内部においてケース33(第一分割体331)に固定されている。検出部631Cは、制御基板34の制御部に電気的に接続されている。
【0104】
本変形例のモータユニット3Cでは、回転体632を省略することができる。
【0105】
(変形例4)
図8に変形例4のモータユニット3Dを示す。モータユニット3Dは、上記実施形態のモータユニット3(図2参照)と同様の構成を有している。ただし、モータユニット3Dは、上記実施形態の回転検出部63に代わる回転検出部63Dと、上記実施形態の第二部材412に代わる第二部材412Dとを備えている。第二部材412Dは、第二部材412と同様の構成を有している。ただし、第二部材412Dは、上記実施形態の歯部413を有していない。
【0106】
本変形例の回転検出部63Dは、光学式の回転検出器であり、入力体30と共に回転する回転部材77と、回転部材77の回転状態(回転位置又は回転速度)を検出する検出部631Dとを有している。
【0107】
回転部材77は、入力軸35と同心の円環状に形成されている。回転部材77は、入力軸35の外周に位置しており、第一部材411及びトルク検出部62よりも左側(第一出力体31とは反対側)に位置している。回転部材77は、入力軸35に固定されており、入力軸35と共に左右軸回りに回転する。
【0108】
回転部材77は、被検出部630Dを有している。被検出部630Dは、回転部材77における左側の端部から、外周側に向かって突出している。
【0109】
被検出部630Dは、透光部78を有している。透光部78は、透光性を有している。透光部78は、例えば、被検出部630Dの外周端部に形成され、回転部材72の周方向に並んだ複数の切欠又は孔で構成される。
【0110】
検出部631Dは、変形例2の検出部631Bと同様の構成を有している。ただし、検出部631Dは、制御基板34に実装されておらず、ケース33に固定されている。
【0111】
本変形例のモータユニット3Dの被検出部630Dは、入力軸35と伝達部材41との結合部分(嵌合部42及び嵌合部43)よりも左側に位置しており、ケース33内部の左右方向における中間部に広い空間を確保できる。このため、中間部に制御基板34を配置したり、制御基板34上に電解コンデンサ等の大きな部材(背の高い部材)を配置したり、複数枚の基板を配置したりすることができ、ケース33内部のスペースを有効に活用することができる。また、被検出部630Dとこれを検出する検出部631Dとを、トルク検出部62と同様、第一分割体331に近い左側に配置することができる。また、本変形例のモータユニット3Dでは、回転体632を省略することができる。なお、本変形例の検出部631Dは、変形例2の検出部631Bと同様に、制御基板34に実装されてもよい。
【0112】
(変形例5)
図9に変形例5のモータユニット3Eを示す。本変形例のモータユニット3Eは、上記実施形態の第二出力体32(図2参照)を有していない一軸式のモータユニットである。なお、モータユニット3Eは、上記実施形態のモータユニット3と共通の構成を有している。このため、以下のモータユニット3Eの説明では、モータユニット3と共通の構成については、説明を省略する。
【0113】
モータユニット3Eは、第一出力体31に代わる出力体31Eを備えている。本変形例では、モータ53がケース33の前部に位置し、入力体30及び出力体31Eは、ケース33の後端部に位置している。
【0114】
出力体31Eは、第一出力体31と同様の構成を有している。ただし、出力体31Eは、歯部84を有している。歯部84は、出力体31Eの左側の端部の外周面に形成されており、ケース33の内部に位置している。
【0115】
本実施形態のモータユニット3Eは、上記実施形態の減速機構57に代わる減速機構57Eを備えている。減速機構57Eは、ケース33の内部に収容されている。減速機構57Eは、モータ軸54の回転速度を遅くした上で、モータ軸54の回転力を出力体31Eに伝達する。減速機構57Eは、伝達軸80、ワンウェイクラッチ83、第一伝達歯車81、及び第二伝達歯車82を有している。
【0116】
伝達軸80は、左右方向と平行である。伝達軸80は、ケース33又はケース33に取り付けられた軸受によって、左右軸回りに回転可能に支持されている。ワンウェイクラッチ83は、伝達軸80の外周に位置しており、第一伝達歯車81は、ワンウェイクラッチ83の外周に位置している。すなわち、ワンウェイクラッチ83は、伝達軸80と第一伝達歯車81との間に位置している。
【0117】
第一伝達歯車81は、ワンウェイクラッチ83により左右軸回りに回転可能に支持されている。第一伝達歯車81は、歯部810を有している。歯部810は、第一伝達歯車81の外周面に形成されている。歯部810は、モータ軸54の歯部540と噛み合っている。これにより、第一伝達歯車81は、モータ軸54の回転力によって回転する。歯部810の歯数は、歯部540の歯数よりも多い。
【0118】
伝達軸80におけるワンウェイクラッチ83及び第一伝達歯車81よりも右側に位置する部分の外周には、第二伝達歯車82が位置している。第二伝達歯車82は、伝達軸80に固定されており、伝達軸80と共に左右軸回りに回転する。第二伝達歯車82は、歯部820を有している。歯部820は、第二伝達歯車82の外周面に形成されている。
【0119】
第二伝達歯車82の歯部820は、出力体31Eの歯部84と噛み合っている。これにより、第一伝達歯車81の回転力は、出力体31Eに伝達する。第二伝達歯車82の歯部820の歯数は、第一伝達歯車81の歯部810の歯数よりも少ない。
【0120】
ワンウェイクラッチ83は、ラチェット式のワンウェイクラッチであり、第一伝達歯車81が伝達軸80に対し一方向に回転する時のみ、第一伝達歯車81から伝達軸80への回転力の伝達を許容する。
【0121】
具体的にワンウェイクラッチ83は、後輪11(図1参照)の前進方向の回転時において、第一伝達歯車81の回転速度が、伝達軸80の回転速度よりも速いときに、第一伝達歯車81から伝達軸80への回転力の伝達を許容する。すなわち、ワンウェイクラッチ83は、後輪11の前進方向の回転時において、第一伝達歯車81から伝達軸80への回転力の伝達のみを許容し、伝達軸80から第一伝達歯車81への回転力の伝達を許容しない。このため、例えば、モータ53が停止し、かつ、運転者がペダル17(図1参照)を踏んだときに、モータ軸54及びロータ55が回転することが抑制される。この場合、伝達軸80から第一伝達歯車81への回転力が伝達する場合と比較して、後輪11を回転するために必要な踏力が抑制される。
【0122】
第一伝達歯車81の回転力がワンウェイクラッチ83を伝って伝達軸80に伝達するとき、モータ軸54の回転力は、第一伝達歯車81、ワンウェイクラッチ83、伝達軸80及び第二伝達歯車82を伝って出力体31Eに伝達する。したがって、運転者がペダル17(図1参照)を踏み、かつ、モータ53が駆動している状態では、踏力によって回転する第二部材412の回転力と、モータ53の駆動によって回転する第二伝達歯車82の回転力とを合わせた合力によって出力体31Eが回転する。この出力体31Eの回転力によって電動自転車1が前進する方向に回転する。
【0123】
制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、第一伝達歯車81と重なっている。制御基板34は、左右方向と直交する方向から見て、第一伝達歯車81と少なくとも一部が重なっていればよい。制御基板34をこの位置に配置することによって、入力軸35の方向において、制御基板34をトルク検出部62に近付けることができ、トルク検出部62と制御基板34との間の配線を短くすることができる。更に、トルク検出部62の配線取り出し部が、入力体30の軸線方向において、右側(第二分割体332側)に配置されるとよい。この場合、トルク検出部62と制御基板34との間の配線を更に短くすることができる。
【0124】
本変形例のモータユニット3Eは、第一実施形態の回転検出部63に代わる回転検出部63Eを備えている。図10に示すように、回転検出部63Eは、被検出部630Eを含む回転体632Eと、検出部631Eとを有している。被検出部630E、回転体632E及び検出部631Eは、それぞれ、第一実施形態の被検出部630、回転体632及び検出部631と同様の構成を有している。ただし、回転体632Eは、入力体30の後方に位置しており、回転体632の右側の端部は、ケース33に取り付けられた支持部材85によって左右軸回りに回転可能に支持されている。
【0125】
(他の変形例)
上述した実施形態及び各変形例のモータユニット3,3A~3E及び電動自転車1は、適宜設計変更可能である。
【0126】
例えば、上記実施形態及び変形例1~3,5では、左右方向と直交する方向から見て、被検出部630,630B,630C,630Eの全体が、トルク検出部62の一部のみと重なっているが、被検出部630,630B,630C,630Eの一部のみが、トルク検出部62の一部又は全部と重なっていてもよい。また、左右方向と直交する方向から見て、被検出部630,630B,630C,630Eの全体が、トルク検出部62の磁歪発生部620又はコイル621と重なっていても良く、被検出部630,630B,630C,630Eの一部のみが、トルク検出部62の磁歪発生部620又はコイル621と重なっていてもよい。
【0127】
また、回転検出部63、63Eは、磁石及びホールICを有する回転検出器に限定されず、例えば、変形例2~4の回転検出部63B~63Dのような光学式の回転検出器であってもよい。また、回転検出部63B~63Dは、光学式に限定されず、上記実施形態ように磁石及びホールICを有するものであってもよい。
【0128】
また、検出部631,631C及びモータ用回転検出部640の各々は、ホールICに限られず、ホール素子、MR(Magnetic Resistance)素子等であってもよい。
【0129】
また、第一部材411は、全体が第一合わせ面337及び第二合わせ面338よりも、左側に位置してもよい。
【0130】
また、回転体632,632Eは、入力軸35の回転軸に直交する方向において、回転体632,632Eからモータ用回転検出部640までの距離L1が、入力軸35におけるモータ用回転検出部640から最も離れた箇所642からモータ用回転検出部640までの距離L2より長くなる位置に配置されてもよい。
【0131】
また、回転体641(図2参照)は、モータ53のモータ軸54と共に又は連動して回転する部材であればよく、例えば、モータ軸54と噛み合って回転する部材、ロータ55等であってもよい。
【0132】
また、ケース33は、非金属から形成されてもよく、ケース33の材質は特に限定されない。
【0133】
また、嵌合部42及び嵌合部43は、スプラインに限られず、例えば、セレーションであってもよい。嵌合部42及び嵌合部43は、一方が雄ねじで他方が雌ねじであってもよい。また、嵌合部44及び嵌合部45は、スプラインに限られず、例えば、セレーションであってもよい。また、嵌合部42及び嵌合部43は、一方が雄ねじで他方が雌ねじであってもよい。
【0134】
また、ワンウェイクラッチ46,59,83の各々は、例えば、ローラ型のワンウェイクラッチ、スプラグ式のワンウェイクラッチ等であってもよい。
【0135】
また、軸受36,37,60,61の各々は、ころ軸受等、ボールベアリング以外の軸受であってもよい。
【0136】
また、トルク検出部62は、磁歪式のトルクセンサに限らず、ポテンショメータを用いたトルクセンサであってもよい。
【0137】
また、検出部631,631Eと、モータ用回転検出部640とは、制御基板34の異なる面に実装されてもよい。また、検出部631とモータ用回転検出部640とは、それぞれ、異なる制御基板に実装されてもよい。
【0138】
また、電動自転車用動力伝達ユニットは、モータ53を備えていないユニットであってもよい。この場合、電動自転車1の補助駆動力は、例えば、電動自転車用動力伝達ユニット付近に設けられたモータ、又は電動自転車の前輪を駆動するハブモータによって発生する。特に後者の場合、モータの駆動時には、例えば、走行する電動自転車1の後輪11の回転力が、動力伝達体19を伝って第一出力体31又は出力体31Eに伝達される。
【0139】
(態様)
以上説明した、実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、入力体(30)、出力体(31,31E)、トルク検出部(62)、被検出部(630,630B,630C,630E)及び検出部(631,631B,631C,631E)を備えている。入力体(30)は、入力軸(35)を有している。入力軸(35)は、外部から伝達した力によって回転する。入力体(30)は、入力軸(35)と共に回転する。出力体(31,31E)は、入力体(30)と共に回転することで、回転力を出力する。トルク検出部(62)は、入力体(30)の外周に位置する。被検出部(630,630B,630C,630E)は、入力体(30)と共に又は連動して回転する。検出部(631,631B,631C,631E)は、被検出部(630,630B,630C,630E)の回転状態を検出する。入力体(30)の回転軸と直交する方向から見て、トルク検出部(62)の少なくとも一部と被検出部(630,630B,630C,630E)の少なくとも一部とが重なっている。
【0140】
この態様によれば、電動自転車用動力伝達ユニットのトルク検出部(62)、被検出部(630,630B,630C,630E)及び検出部(631,631B,631C,631E)を、入力体(30)の回転軸方向における近い位置に配置することができ、トルク検出部(62)及び検出部(631,631B,631C,631E)の配線の取り回しが簡易化でき、ユニット内のスペースを有効に活用することができる。
【0141】
第2の様態の電動自転車用動力伝達ユニットは、第1の様態との組み合わせにより実現され得る。第2の態様は、以下に示す構成を有している。入力体(30)は、伝達部材(41)を有している。伝達部材(41)は、入力軸(35)の外周に位置し、入力軸(35)の軸方向において出力体(31,31E)と並び、入力軸(35)に結合されて入力軸(35)と共に回転し、かつ、入力軸(35)の回転力を出力体(31,31E)に伝達して出力体(31,31E)を回転する。トルク検出部(62)は、伝達部材(41)の外周に位置する。
【0142】
この態様によれば、トルク検出部(62)を用いて伝達部材(41)のトルクを検出し、入力軸(35)のトルクを正確に検知することができる。
【0143】
第3の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、入力軸(35)、出力体(31)、伝達部材(41)、トルク検出部(62)、被検出部(630D)及び検出部(631D)を備えている。入力軸(35)は、外部から伝達した力によって回転する。出力体(31)は、回転力を出力する。伝達部材(41)は、入力軸(35)の外周に位置し、入力軸(35)の軸方向において出力体(31)と並び、入力軸(35)に結合されて入力軸(35)と共に回転し、かつ、入力軸(35)の回転力を出力体(31)に伝達して出力体(31)を回転する。トルク検出部(62)は、伝達部材(41)の外周に位置する。被検出部(630D)は、入力軸(35)と連動して回転する。検出部(631D)は、被検出部(630D)の回転状態を検出する。被検出部(630D)は、入力軸(35)の軸方向において、入力軸(35)と伝達部材(41)との結合部分よりも、出力体(31)とは反対側に位置している。
【0144】
この態様によれば、電動自転車用動力伝達ユニット内における左右方向における中間部に広い空間を確保できる。このため、ユニット内における左右方向における中間部に、制御基板(34)等を配置することができ、ユニット内のスペースを有効に活用することができる。
【0145】
第4の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第2又は第3の様態との組み合わせにより実現され得る。第4の態様は、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、スプロケット(51)を更に備えている。出力体(31,31E)は、入力軸(35)の外周に位置している。スプロケット(51)は、出力体(31,31E)に取り付けられている。
【0146】
この態様によれば、入力軸(35)の外周に出力体(31,31E)を配置することで、電動自転車用動力伝達ユニットの大型化を抑制できる。
【0147】
第5の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第2~第4のいずれか一つの様態との組み合わせにより実現され得る。第5の態様は、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、ワンウェイクラッチ(46)を更に備えている。伝達部材(41)は、第一部材(411)と第二部材(412,412A~412E)とを有している。第一部材(411)は、入力軸(35)の外周に位置し、入力軸(35)に結合されて入力軸(35)と共に回転する。第二部材(412,412A~412E)は、入力軸(35)の外周に位置し、入力軸(35)の軸方向において第一部材(411)と並び、かつ、第一部材(411)に結合されて第一部材(411)と共に回転する。ワンウェイクラッチ(46)は、第二部材(412,412A~412E)と出力体(31)との間に位置し、第二部材(412,412A~412E)が出力体(31)に対し一方向に回転する時のみ、第二部材(412,412A~412E)から出力体(31)への回転力の伝達を許容する。
【0148】
この態様によれば、運転者がペダル(17)を踏むことを止めたときに、モータ(53)を動力として入力軸(35)が回転し続けることが抑制される。
【0149】
第6の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第1~第5のいずれか一つの様態との組み合わせにより実現され得る。第6の態様は、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、モータ(53)と、制御基板(34)とを更に備えている。制御基板(34)は、モータ(53)の回転を制御する。
【0150】
この態様によれば、モータ(53)と制御基板(34)とを備えた電動自転車用動力伝達ユニット内のスペースを有効に活用することができる。
【0151】
第7の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様は、以下に示す構成を有している。制御基板(34)の基板面は、モータ(53)のモータ軸(54)と交差する方向に延びている。制御基板(34)は、入力軸(35)の回転軸と直交する方向から見て、トルク検出部(62)の少なくとも一部と重なっている。
【0152】
この態様によれば、制御基板(34)をトルク検出部(62)に近付けることができ、トルク検出部(62)と制御基板(34)との間の配線を短くすることができる。
【0153】
第8の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第6又は第7の様態との組み合わせにより実現され得る。第8の態様は、以下に示す構成を有している。電動自転車用動力伝達ユニットは、モータ用回転検出部(640)を更に備えている。モータ用回転検出部(640)は、制御基板(34)に実装され、モータ(53)の回転状態を検出する。制御基板(34)には、検出部(631,631B~631E)が実装されている。
【0154】
この態様によれば、検出部(631,631B~631E)と、モータ用回転検出部(640)とを、共通の制御基板(34)に実装することができ、電動自転車用動力伝達ユニットの大型化を抑制できる。
【0155】
第9の態様の電動自転車用動力伝達ユニットは、第8の様態との組み合わせにより実現され得る。第9の態様は、以下に示す構成を有している。検出部(631,631B~631E)とモータ用回転検出部(640)とは、制御基板(34)の同一の面に実装されている。
【0156】
この態様によれば、検出部(631,631B~631E)とモータ用回転検出部(640)とを制御基板(34)に容易に実装することができる。
【0157】
第10の態様の電動自転車(1)は、以下に示す構成を有している。電動自転車(1)は、車輪(11)と、第1~第9のいずれか一つの態様の電動自転車用動力伝達ユニットとを備えている。電動自転車用動力伝達ユニットは、車輪(11)に対して回転力を出力する。
【0158】
この態様によれば、第1~第8のいずれか一つの態様の電動自転車用動力伝達ユニットを備えた電動自転車(1)を提供できる。
【符号の説明】
【0159】
1 電動自転車
11 車輪(後輪)
3 電動自転車用駆動力伝達ユニット(モータユニット)
30 入力体
31 出力体(第1出力体)
31E 出力体
34 制御基板
35 入力軸
41 伝達部材
411 第一部材
412,412A~412D 第二部材
46 ワンウェイクラッチ
51 スプロケット(第1駆動スプロケット)
53 モータ
62 トルク検出部
630,630B~630E 被検出部
631,631B~631E 検出部
640 モータ用回転検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10