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特許7373765部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法
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  • 特許-部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法 図1
  • 特許-部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法 図2A
  • 特許-部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法 図2B
  • 特許-部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
H05K13/04 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019103886
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020198371
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】横山 大
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】長江 和男
(72)【発明者】
【氏名】小山 利幸
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-076100(JP,U)
【文献】特開昭61-067985(JP,A)
【文献】特開昭59-155999(JP,A)
【文献】特開2009-200440(JP,A)
【文献】特開昭61-142039(JP,A)
【文献】特開2009-302282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード付きの部品をそれぞれ収容し、基板の搬送方向に沿って配列された複数のフィーダと、
前記部品が実装される基板を位置決めし、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能な基板位置決め部と、
前記基板位置決め部に位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記フィーダからピックアップした前記部品の前記リードを挿入する挿入ヘッドと、を備え、
前記基板位置決め部は、
前記基板の搬送方向の所定の位置において、
前記基板の搬送方向に交差する方向に位置決めを行う、部品実装装置。
【請求項2】
前記挿入ヘッドは、
前記基板の搬送方向に交差する方向の所定の位置において、
前記基板の搬送方向の移動によりピックアップ位置に移動される、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記挿入ヘッドは、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に設けられる、請求項1又は2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記基板に挿入された前記部品の前記リードをクリンチし、前記基板位置決め部よりも下方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に設けられたクリンチ機構をさらに備える、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記挿入ヘッドと前記クリンチ機構を駆動する共通の駆動機構をさらに備える、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記複数のフィーダは、前記部品として第1部品を収容する第1フィーダと、前記第1部品とは異なる種類の第2部品を収容する第2フィーダとを備え、
前記挿入ヘッドは、前記第1フィーダに収容されている前記第1部品をピックアップする第1挿入ヘッドと、前記第2フィーダに収容されている前記第2部品をピックアップする第2挿入ヘッドとを備える、請求項1からのいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドは前記基板の搬送方向に並べて配置され、前記基板の搬送方向に一体的に移動する、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドは前記基板の搬送方向に並べて配置され、前記基板の搬送方向に独立して移動可能である、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記複数のフィーダはそれぞれ位置固定されている、請求項1から8のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項10】
部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、
前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をそれぞれ収容した複数のフィーダのうちの1つから部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、を含み、
前記部品実装装置において、
前記複数のフィーダを、前記基板の搬送方向に沿って配列し、
前記基板位置決め部を、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能に構成し、
前記基板位置決め部を、
前記基板の搬送方向の所定の位置において、
前記基板の搬送方向に交差する方向に位置決めを行うように構成した、部品実装基板の製造方法。
【請求項11】
前記挿入ヘッドを、
前記基板の搬送方向に交差する方向の所定の位置において、
前記基板の搬送方向の移動によりピックアップ位置に移動されるように構成した、請求項10に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項12】
前記挿入ヘッドを、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に構成した、請求項10又は11に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項13】
前記部品実装装置のクリンチ機構を用いて、前記基板の前記挿入孔に挿入された前記リードをクリンチするクリンチステップをさらに含み、
前記クリンチ機構を、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に構成した、請求項12に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記部品実装装置として、前記挿入ヘッドと前記クリンチ機構を駆動する共通の駆動機構を備える部品実装装置を用い、
前記挿入ステップにおいて、前記駆動機構により前記挿入ヘッドを駆動し、
前記クリンチステップにおいて、前記挿入ステップと同じ前記駆動機構により前記クリンチ機構を駆動する、請求項13に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項15】
前記複数のフィーダとして、第1部品を収容する第1フィーダと、前記第1部品とは異なる種類の第2部品を収容する第2フィーダとを備えるフィーダを用い、
前記挿入ヘッドとして、前記第1フィーダに収容されている前記第1部品をピックアップする第1挿入ヘッドと、前記第2フィーダに収容されている前記第2部品をピックアップする第2挿入ヘッドとを備える挿入ヘッドを用いた、請求項10から14のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドを前記基板の搬送方向に並べて配置し、前記基板の搬送方向に一体的に移動するように構成した、請求項15に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項17】
前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドを前記基板の搬送方向に並べて配置し、前記基板の搬送方向に独立して移動するように構成した、請求項15に記載の部品実装基板の製造方法。
【請求項18】
前記複数のフィーダとして、位置固定されたフィーダを用いた、請求項10から17のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジアル部品やアキシャル部品等の部品は、2本のリードを有しており、これら2本のリードが基板に設けられた挿入孔に挿入されることにより、部品が基板に装着・実装される。このようなリード付き部品を基板に実装する部品実装装置は、クリンチ機構を備えている。クリンチ機構は、基板の下面側に突出して延びたリードをクリンチして、部品を基板に固定する。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-51300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、昨今では、部品実装装置を小型化することや製造コストを低減することが求められている。特許文献1に開示される構成を含めて、部品実装装置を小型化することおよび製造コストを低減することに関して未だ改善の余地があるといえる。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、小型化および製造コストの低減を実現することができる部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の部品実装装置は、リード付きの部品をそれぞれ収容し、基板の搬送方向に沿って配列された複数のフィーダと、前記部品が実装される基板を位置決めし、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能な基板位置決め部と、前記基板位置決め部に位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記フィーダからピックアップした前記部品の前記リードを上方から挿入し、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に設けられた挿入ヘッドと、前記基板に挿入された前記部品の前記リードをクリンチし、前記基板位置決め部よりも下方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に設けられたクリンチ機構と、を備える。
【0007】
また、本発明の部品実装基板の製造方法は、部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をそれぞれ収容した複数のフィーダのうちの1つから部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、前記部品実装装置のクリンチ機構を用いて、前記基板の前記挿入孔に挿入された前記リードをクリンチするクリンチステップと、を含み、前記部品実装装置において、前記複数のフィーダを、前記基板の搬送方向に沿って配列し、前記基板位置決め部を、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能に構成し、前記挿入ヘッドを、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に構成し、前記クリンチ機構を、前記基板位置決め部よりも下方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品実装装置の小型化および製造コストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の部品実装装置の概略斜視図
図2A】第1部品の概略斜視図
図2B】第2部品の概略斜視図
図3】実施の形態の部品実装装置を用いて部品実装基板を製造する方法の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、リード付きの部品をそれぞれ収容し、基板の搬送方向に沿って配列された複数のフィーダと、前記部品が実装される基板を位置決めし、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能な基板位置決め部と、前記基板位置決め部に位置決めされている前記基板の挿入孔に、前記フィーダからピックアップした前記部品の前記リードを挿入し、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に設けられた挿入ヘッドと、前記基板に挿入された前記部品の前記リードをクリンチし、前記基板位置決め部よりも下方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に設けられたクリンチ機構と、を備える、部品実装装置を提供する。
【0011】
このような構成によれば、挿入ヘッドとクリンチ機構は回転しないことにより、挿入ヘッドとクリンチ機構を回転させる構成に比べて部品実装装置を小型化することができ、部品実装装置の製造コストを低減することができる。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記複数のフィーダは、前記部品として第1部品を収容する第1フィーダと、前記第1部品とは異なる種類の第2部品を収容する第2フィーダとを備え、前記挿入ヘッドは、前記第1フィーダに収容されている前記第1部品をピックアップする第1挿入ヘッドと、前記第2フィーダに収容されている前記第2部品をピックアップする第2挿入ヘッドとを備える、第1態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、複数種類の部品にも対応することができる。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドは前記基板の搬送方向に並べて配置され、前記基板の搬送方向に一体的に移動する、第2態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、装置構成や制御を簡素化することができる。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドは前記基板の搬送方向に並べて配置され、前記基板の搬送方向に独立して移動可能である、第2態様に記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、挿入ヘッドをより柔軟に制御することができる。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記挿入ヘッドと前記クリンチ機構を駆動する共通の駆動機構をさらに備える、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、挿入ヘッドとクリンチ機構に駆動機構を別々に設ける場合に比べて、部品実装装置を小型化することができ、さらには製造コストを低減することができる。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記複数のフィーダはそれぞれ位置固定されている、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の部品実装装置を提供する。このような構成によれば、フィーダの位置を固定することにより、フィーダを可動とした場合に比べて部品実装装置の小型化を図ることができ、さらには部品実装装置の製造コストを低減することができる。
【0017】
本発明の第7態様によれば、部品実装装置の基板位置決め部を用いて、基板を位置決めする基板位置決めステップと、前記部品実装装置の挿入ヘッドを用いて、リード付きの部品をそれぞれ収容した複数のフィーダのうちの1つから部品をピックアップし、前記基板位置決め部により位置決めされた前記基板の挿入孔に前記部品のリードを挿入する挿入ステップと、前記部品実装装置のクリンチ機構を用いて、前記基板の前記挿入孔に挿入された前記リードをクリンチするクリンチステップと、を含み、前記部品実装装置において、前記複数のフィーダを、前記基板の搬送方向に沿って配列し、前記基板位置決め部を、水平面内で回転可能、かつ、前記基板の搬送方向に交差する方向に移動可能に構成し、前記挿入ヘッドを、前記基板位置決め部よりも上方において前記基板の搬送方向と上下方向に移動可能に構成し、前記クリンチ機構を、前記基板位置決め部よりも下方において前記基板の搬送方向と前記上下方向に移動可能に構成した、部品実装基板の製造方法を提供する。
【0018】
このような方法によれば、第1態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0019】
本発明の第8態様によれば、前記複数のフィーダとして、第1部品を収容する第1フィーダと、前記第1部品とは異なる種類の第2部品を収容する第2フィーダとを備えるフィーダを用い、前記挿入ヘッドとして、前記第1フィーダに収容されている前記第1部品をピックアップする第1挿入ヘッドと、前記第2フィーダに収容されている前記第2部品をピックアップする第2挿入ヘッドとを備える挿入ヘッドを用いた、第7態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第2態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0020】
本発明の第9態様によれば、前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドを前記基板の搬送方向に並べて配置し、前記基板の搬送方向に一体的に移動するように構成した、第8態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第3態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0021】
本発明の第10態様によれば、前記第1挿入ヘッドと前記第2挿入ヘッドを前記基板の搬送方向に並べて配置し、前記基板の搬送に独立して移動するように構成した、第8態様に記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第4態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0022】
本発明の第11態様によれば、前記部品実装装置として、前記挿入ヘッドと前記クリンチ機構を駆動する共通の駆動機構を備える部品実装装置を用い、前記挿入ステップにおいて、前記駆動機構により前記挿入ヘッドを駆動し、前記クリンチステップにおいて、前記挿入ステップと同じ前記駆動機構により前記クリンチ機構を駆動する、第7態様から第10態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第5態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0023】
本発明の第12態様によれば、前記複数のフィーダとして、位置固定されたフィーダを用いた、第7態様から第11態様のいずれか1つに記載の部品実装基板の製造方法を提供する。このような方法によれば、第6態様の部品実装装置と同様の効果を奏することができる。
【0024】
以下、本発明に係る部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法の例示的な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0025】
(実施の形態)
まず図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る部品実装装置について説明する。部品実装装置1は、基板2に部品3を実装する機能を有する。以下、基板2に対して水平な搬送方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、XY平面に対して垂直な方向、すなわち上下方向(鉛直方向)をZ方向と定義する。
【0026】
図1に示すように、部品実装装置1は、フィーダ4と、基板位置決め部6と、搬送コンベア8と、挿入ヘッド10と、クリンチ機構12と、第1駆動機構13と、第2駆動機構14とを備える。
【0027】
フィーダ4は、リード付きの部品3を収容する部品供給部である。図1に示すように、フィーダ4は複数個設けられており、それぞれのフィーダ4に複数の部品3が収容されている。部品は「リード付き部品」とも称してもよい。
【0028】
図1に示すように、複数のフィーダ4はX方向に沿って配列されており、図示しない固定手段によってそれぞれの位置が固定されている。
【0029】
本実施の形態では、2種類のフィーダ4として、第1フィーダ4Aと第2フィーダ4Bを設けている。
【0030】
第1フィーダ4Aは、部品3として、図2Aに示す第1部品3Aを収容するフィーダである。図2Aに示す第1部品3Aはアキシャル部品である(「アキシャルリード型部品」とも称する。)。第1部品3Aは、本体部30Aと、本体部30Aの両側面からそれぞれ延びる2本のリード32Aとを有する。
【0031】
第2フィーダ4Bは、部品3として、図2Bに示す第2部品3Bを収容するフィーダである。図2Bに示す第2部品3Bはラジアル部品である(「ラジアルリード型部品」とも称する。)。第2部品3Bは、本体部30Bと、本体部30Bの底面から延びる2本のリード32Bとを有する。
【0032】
第1部品3Aと第2部品3Bは、異なる種類の電子部品である。このような異なる種類の部品を総称して「部品3」と称し、本体部30A、30Bを「本体部30」と称し、リード32A、32Bを「リード32」と称する。
【0033】
図1では、第1フィーダ4Aと第2フィーダ4Bを1つずつ指しているが、その他のフィーダ4も第1フィーダ4Aあるいは第2フィーダ4Bのいずれかであり、表示を省略している。
【0034】
基板位置決め部6は、基板2を位置決めするための部材である。図1に示すように、基板位置決め部6に対して搬送コンベア8がX方向に隣接している。搬送コンベア8は、基板2をX方向に搬送する部材である。搬送コンベア8によって、基板位置決め部6へ基板2をX方向に搬入し、基板位置決め部6から基板2をX方向に搬出することができる。
【0035】
基板位置決め部6は、第1駆動機構13によって駆動される。第1駆動機構13は、矢印XY1で示すように、基板位置決め部6をXY平面内で回転させる機能を有する。さらに矢印Y1で示すように、第1駆動機構13は基板位置決め部6をY方向に直線的に移動させる機能を有する。
【0036】
第1駆動機構13は基板位置決め部6をX方向やZ方向に移動させる機能を有しない。
【0037】
図1に示す挿入ヘッド10は、基板位置決め部6により位置決めされている基板2の挿入孔20に、部品3のリード32を挿入するためのヘッドである。挿入ヘッド10は基板位置決め部6よりも上方に配置されている。挿入ヘッド10は、基板2の挿入孔20に部品3のリード32を上方から挿入する。
【0038】
本実施の形態では、2種類の挿入ヘッド10として、第1挿入ヘッド10Aと第2挿入ヘッド10Bを設けている。第1挿入ヘッド10Aは第1部品3Aに対応し、第2挿入ヘッド10Bは第2部品3Bに対応する。
【0039】
第1挿入ヘッド10Aは、第1フィーダ4Aに収容されている第1部品3Aをピックアップし、ピックアップした第1部品3Aのリード32Aを基板2の挿入孔20に挿入する。第2挿入ヘッド10Bは、第2フィーダ4Bに収容されている第2部品3Bをピックアップし、ピックアップした第2部品3Bのリード32Bを基板2の挿入孔20に挿入する。
【0040】
第1挿入ヘッド10Aと第2挿入ヘッド10Bはともに、第2駆動機構14によって駆動される。第2駆動機構14は、図1の矢印X1で示すように、挿入ヘッド10をX方向に直線的に移動させる機能を有する。第2駆動機構14はさらに、図1の矢印Z1で示すように、挿入ヘッド10をZ方向に直線的に移動させる機能を有する。
【0041】
本実施の形態では、第1挿入ヘッド10Aと第2ヘッド10BはX方向に一体的に移動する一方で、Z方向には独立して移動するように駆動される。
【0042】
第2駆動機構14は、挿入ヘッド10をY方向に移動させる機能や任意の回転方向に回転させる機能を有しない。
【0043】
挿入ヘッド10はその先端に、部品3を保持するための揺動部(図示せず)を有する。挿入ヘッド10がY方向に移動しない構成であっても、揺動部が揺動し、部品3をフィーダ4からピックアップするピックアップ位置と、基板2に部品3を挿入する挿入位置の間を移動することができる。
【0044】
クリンチ機構12は、基板2の挿入孔20に挿入された部品3のリード32をクリンチする機構である。クリンチ機構12は、基板位置決め部6よりも下方に配置されており、部品3のリード32を下方からクリンチする。
【0045】
本実施の形態では、2種類のクリンチ機構12として、第1クリンチ機構12Aと第2クリンチ機構12Bを設けている。第1クリンチ機構12Aは第1部品3Aに対応し、第2クリンチ機構12Bは第2部品3Bに対応する。なお、第1部品3Aと第2部品3Bを包括的に対応するクリンチ機構を1つ、もしくは、2つ搭載する、ということでもよい。
【0046】
第1クリンチ機構12Aは、基板2に挿入された部品3が第1部品3Aである場合に、基板2の下面側に突出した第1部品3Aのリード32Aをクリンチする。第2クリンチ機構12Bは、基板2に挿入された部品3が第2部品3Bである場合に、基板2の下面側に突出した第2部品3Bのリード32Bをクリンチする。
【0047】
第1クリンチ機構12Aと第2クリンチ機構12Bはともに、挿入ヘッド10と同じ第2駆動機構14によって駆動される。なお、クリンチ機構12と挿入ヘッド10は、別々の駆動機構によって駆動される構成でもよい。第2駆動機構14は、図1の矢印X2、Z2で示すように、クリンチ機構12をX方向とZ方向のそれぞれに直線的に移動させる機能を有する。
【0048】
挿入ヘッド10と同様に、第1クリンチ機構12Aと第2クリンチ機構12BはX方向に一体的に移動する一方で、Z方向には独立して移動するように駆動される。また第2駆動機構14は、クリンチ機構12をY方向に移動させる機能や任意の回転方向に回転させる機能を有しない。
【0049】
上述したような構成によれば、基板位置決め部6は回転する一方で、挿入ヘッド10とクリンチ機構12は回転しない。このため、第2駆動機構14において回転駆動のための構成を設ける必要がなくなり、回転駆動用の構成を設ける場合に比べて第2駆動機構14を小型化することができる。これにより、部品実装装置1を小型化することができる。
【0050】
また上記構成では、挿入ヘッド10とクリンチ機構12の両方を駆動させる共通の駆動機構として第2駆動機構14を利用している。これにより、挿入ヘッド10とクリンチ機構12をX方向に一体的に移動させることができ、挿入ヘッド10とクリンチ機構12のそれぞれに別々の駆動機構を設ける場合に比べて、部品実装装置1を小型化することができ、制御も簡単にすることができる。
【0051】
また上記構成では、複数のフィーダ4を位置固定しているためフィーダ4を駆動させる駆動機構を設ける必要がない。このため、フィーダ4用の駆動機構を設けてフィーダ4を可動とする場合に比べて、部品実装装置1を小型化することができる。
【0052】
次に、上述した構成を有する部品実装装置1を用いて、基板2に部品3を実装した部品実装基板を製造する方法について、図3を用いて説明する。図3は、部品実装装置1を用いて部品実装基板を製造する方法の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図3に示すように、まず、基板位置決めステップを行う(ステップS1)。具体的には、図1に示す部品実装装置1において、コンベア8を用いて基板位置決め部6に基板2を搬入する。搬入された基板2は基板位置決め部6によって保持され、基板位置決め部6は保持した基板2を所定位置に位置決めするように駆動される。基板2の位置決め位置は、部品実装装置1の制御部(図示せず)に予めプログラムされている。第1駆動機構13によって、基板2を保持した基板位置決め部6をY方向に移動させるとともにXY平面内で回転させることで、予め定められた所定位置・姿勢に基板2を位置決めすることができる。
【0054】
次に、ピックアップステップを行う(ステップS2)。具体的には、フィーダ4に収容されている部品3を挿入ヘッド10がピックアップする。第2駆動機構14によって駆動されることにより、挿入ヘッド10が矢印X1、Z1で示すようにX方向とZ方向に駆動され、部品3をピックアップするピックアップ位置に移動される。第1フィーダ4Aに収容されている第1部品3Aをピックアップする場合は第1挿入ヘッド10AをZ方向に駆動し、第2フィーダ4Bに収容されている第2部品3Bをピックアップする場合は第2挿入ヘッド10BをZ方向に駆動する。ピックアップ位置において、挿入ヘッド10の先端に設けた揺動部が揺動し、フィーダ4に収容されている部品3をピックアップして保持する。
【0055】
次に、挿入ステップを行う(ステップS3)。具体的には、挿入ヘッド10が第2駆動機構14によってX方向とZ方向に駆動され、基板2へ部品3を挿入可能な挿入位置に移動される。挿入位置に到達した挿入ヘッド10は、保持している部品3のリード32を基板2の挿入孔20に対して上方から挿入する。
【0056】
次に、クリンチステップを行う(ステップS4)。具体的には、クリンチ機構12を用いて、基板2の挿入孔20に挿入された部品3のリード32をクリンチする。第2駆動機構14によって駆動されることにより、クリンチ機構12が矢印X2、Z2で示すようにX方向とZ方向に駆動され、リード32をクリンチするクリンチ位置に移動される。部品3が第1部品3Aである場合は第1クリンチ機構12AをZ方向に駆動し、部品3が第2部品3Bである場合は第2クリンチ機構12BをZ方向に駆動する。なお、クリンチ機構12によるクリンチは、挿入ヘッド10が基板2に対して部品3を押し付けた状態で行う。
【0057】
上述したステップS1~S4を実行することにより、基板2に部品3を実装した部品実装基板を製造することができる。基板2の種類や用途に応じて、第1部品3Aあるいは第2部品3Bを選択的に実装することができ、複数種類の部品3に対応することができる。
【0058】
上述したように、本実施の形態の部品実装装置1は、フィーダ4と、基板位置決め部6と、挿入ヘッド10と、クリンチ機構12と、を備える。フィーダ4は、リード付きの部品3をそれぞれ収容し、基板2の搬送方向であるX方向に沿って配列されている。基板位置決め部6は、部品3を実装する基板2を位置決めし、水平面であるXY平面内で回転可能、かつ、X方向に交差するY方向に移動可能である。挿入ヘッド10は、基板位置決め部6に位置決めされている基板2の挿入孔20に、フィーダ4からピックアップした部品3のリード32を上方から挿入するヘッドである。挿入ヘッド10は、基板位置決め部6よりも上方においてX方向に移動可能、かつ上下方向であるZ方向に移動可能に設けられている。クリンチ機構12は、基板2に挿入された部品3のリード32を下方からクリンチする機構である。クリンチ機構12は、基板位置決め部6よりも下方においてX方向とZ方向に移動可能に設けられている。
【0059】
また、本実施の形態の部品実装装置1を用いて部品実装基板を製造する方法は、基板位置決めステップ(S1)と、挿入ステップ(S3)と、クリンチステップ(S4)とを含む。基板位置決めステップ(S1)は、基板位置決め部6を用いて、基板2を位置決めするステップである。挿入ステップ(S3)は、挿入ヘッド10を用いて、リード付きの部品3をそれぞれ収容した複数のフィーダ4のうちの1つから部品3をピックアップし、基板位置決め部6により位置決めされた基板2の挿入孔20に部品3のリード32を上方から挿入するステップである。クリンチステップ(S4)は、クリンチ機構12を用いて、基板2の挿入孔20に挿入されたリード32を下方からクリンチするステップである。当該方法において、複数のフィーダ4を、基板2の搬送方向であるX方向に沿って配列している。また、基板位置決め部6を、水平面であるXY平面内で回転可能、かつ、X方向に交差するY方向に移動可能に構成している。また、挿入ヘッド10を、基板位置決め部6よりも上方においてX方向と上下方向であるZ方向に移動可能に構成している。また、クリンチ機構12を、基板位置決め部6よりも下方においてX方向とZ方向に移動可能に構成している。
【0060】
このような構成および方法によれば、基板位置決め部6が回転し、挿入ヘッド10とクリンチ機構12は回転しないことにより、挿入ヘッド10とクリンチ機構12を回転させる構成に比べて部品実装装置1を小型化することができる。またフィーダ4の位置を固定することにより、フィーダ4を可動とした場合に比べて部品実装装置1の小型化を図ることができる。
【0061】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、複数のフィーダ4は、部品3として第1部品3Aを収容する第1フィーダ4Aと、第1部品3Aとは異なる種類の第2部品3Bを収容する第2フィーダ4Bとを備える。また、挿入ヘッド10は、第1フィーダ4Aに収容されている第1部品3Aをピックアップする第1挿入ヘッド10Aと、第2フィーダ4Bに収容されている第2部品3Bをピックアップする第2挿入ヘッド10Bとを備える。
【0062】
このような構成および方法によれば、複数種類の部品にも対応することができる。
【0063】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、第1挿入ヘッド10Aと第2挿入ヘッド10BはX方向に並べて配置され、X方向に一体的に移動する。
【0064】
このような構成および方法によれば、装置構成や制御を簡素化することができる。
【0065】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、挿入ヘッド10とクリンチ機構12を駆動する共通の駆動機構である第2駆動機構14を設けている。
【0066】
このような構成および方法によれば、挿入ヘッド10とクリンチ機構12に駆動機構を別々に設ける場合に比べて、部品実装装置1を小型化することができ、さらには製造コストを低減することができる。
【0067】
また、本実施の形態の部品実装装置1およびそれを用いた部品実装基板の製造方法によれば、複数のフィーダ4をそれぞれ位置固定している。
【0068】
このような構成および方法によれば、フィーダ4の位置を固定することにより、フィーダ4を可動とした場合に比べて部品実装装置1の小型化を図ることができ、さらには部品実装装置1の製造コストを低減することができる。
【0069】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。例えば、実施の形態では、第1挿入ヘッド10Aと第2挿入ヘッド10BがX方向に一体的に移動し、第1クリンチ機構12Aと第2クリンチ機構12BがX方向に一体的に移動する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1挿入ヘッド10Aと第2挿入ヘッド10BをZ方向だけでなくX方向にも独立して移動するようにし、第1クリンチ機構12Aと第2クリンチ機構12BをZ方向だけでなくX方向にも独立して移動するようにしてもよい。このような構成および方法によれば、挿入ヘッド10をより柔軟に制御することができる。
【0070】
また実施の形態では、部品3として第1部品3Aおよび第2部品3Bという2種類の部品を対象とする場合について説明したが、このような場合に限らない。1種類のみあるいは3種類以上の部品3を対象とする場合であってもよい。その場合、部品の種類の数に応じて、挿入ヘッド10とクリンチ機構12の個数をそれぞれ変更してもよい。
【0071】
また実施の形態では、第1部品3Aがアキシャル部品であり、第2部品3Bがラジアル部品である場合について説明したが、このような場合に限らず、その他の種類の部品を用いてもよい(例えば、チップ型部品)。
【0072】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0073】
なお、前記実施の形態の様々な変形例のうち、任意の変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、部品実装装置およびそれを用いた部品実装基板の製造方法であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 部品実装装置
2 基板
3 部品
3A 第1部品
3B 第2部品
4 フィーダ
4A 第1フィーダ
4B 第2フィーダ
6 基板位置決め部
8 搬送コンベア
10 挿入ヘッド
10A 第1挿入ヘッド
10B 第2挿入ヘッド
12 クリンチ機構
12A 第1クリンチ機構
12B 第2クリンチ機構
13 第1駆動機構
14 第2駆動機構
20 挿入孔
30、30A、30B 本体部
32、32A、32B リード
図1
図2A
図2B
図3