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特許7373797表示システム、制御装置、制御方法および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】表示システム、制御装置、制御方法および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231027BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231027BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20231027BHJP
【FI】
G06F3/041 412
G06F3/044 120
G06F3/041 512
G06F3/041 530
G06F3/0354 450
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020002920
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2020166822
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019060317
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019060318
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】平井 敦士
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146660(JP,A)
【文献】特開2013-077276(JP,A)
【文献】特開2014-130350(JP,A)
【文献】特表2016-528625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出する複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数の第2タッチ検出領域は、第3タッチ検出領域と、前記第3タッチ検出領域とは異なる第4タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第3タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第4タッチ検出領域でタッチを検出せず、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第4タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第3タッチ検出領域でタッチを検出しない、ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
タッチが検出された場合、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定する制御回路を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記制御回路は、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定した場合、当該第1タッチ検出領域におけるタッチの検出が途切れると、当該第1タッチ検出領域の設定を解除し、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域においてタッチを検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記制御回路は、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定した場合、当該第1タッチ検出領域以外の共通電極を複数のグループに分割して前記複数の第2タッチ検出領域を再設定する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示装置の表示面上の前記第1タッチ検出領域に配置された回転操作可能なダイヤルを備え、
前記タッチ検出回路は、前記ダイヤルの回転操作位置をタッチ位置として検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示装置は、前記第1タッチ検出領域にGUI(Graphical User Interface)を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間に前記第1タッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに前記第1タッチ検出領域におけるタッチを検出する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出する複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数の第2タッチ検出領域は、第3タッチ検出領域と、前記第3タッチ検出領域とは異なる第4タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第3タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第4タッチ検出領域でタッチを検出せず、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第4タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第3タッチ検出領域でタッチを検出しない、ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、タッチが検出される複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数の第2タッチ検出領域は、第3タッチ検出領域と、前記第3タッチ検出領域とは異なる第4タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチを検出するステップでは、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第3タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第4タッチ検出領域でタッチを検出せず、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域および前記第4タッチ検出領域でタッチを検出し、前記第3タッチ検出領域でタッチを検出しない、ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出する複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、前記第1タッチ検出期間に続く第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数のタッチ検出領域は、第1タッチ検出領域と、前記第1タッチ検出領域とは異なる第2タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが未検出の場合、前記タッチ検出回路は、前記第2タッチ検出期間において、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出せず、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、前記タッチ検出回路は、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出しない、ことを特徴とする表示システム。
【請求項11】
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、前記第2タッチ検出期間を含む1つ以上のタッチ検出期間のそれぞれで、前記第1タッチ検出領域において連続してタッチを検出する、ことを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項12】
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されるごとにタッチ位置の情報を出力する、ことを特徴とする請求項11に記載の表示システム。
【請求項13】
前記タッチ検出回路は、複数回連続してタッチが検出された場合、タッチ位置の情報を出力する、ことを特徴とする請求項11に記載の表示システム。
【請求項14】
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに、前記第1タッチ検出領域において連続してタッチを検出する、ことを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項15】
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、共通電極の静電容量と基準静電容量との差分値をそれぞれ表す複数の検出値を導出し、当該複数の検出値の総和にもとづいてタッチを検出する、ことを特徴とする請求項14に記載の表示システム。
【請求項16】
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、(1)タッチが検出された共通電極の静電容量と基準静電容量との差分値に関する値が判定閾値以上であれば、前記第2タッチ検出期間を含む1つ以上のタッチ検出期間のそれぞれで、前記第1タッチ検出領域において連続してタッチを検出し、(2)前記差分値に関する値が前記判定閾値より小さければ、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに、前記第1タッチ検出領域において連続してタッチを検出する、ことを特徴とする請求項10に記載の表示システム。
【請求項17】
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、タッチの検出が途切れるまで、前記第2タッチ検出期間を含む1つ以上のタッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域において連続してタッチを検出し、タッチの検出が途切れると、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出する、ことを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の表示システム。
【請求項18】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出する複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、前記第1タッチ検出期間に続く第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数のタッチ検出領域は、第1タッチ検出領域と、前記第1タッチ検出領域とは異なる第2タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチ検出回路は、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが未検出の場合、前記タッチ検出回路は、前記第2タッチ検出期間において、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出せず、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、前記タッチ検出回路は、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出しない、ことを特徴とする制御装置。
【請求項19】
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する複数の表示期間と、タッチが検出される複数のタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記複数のタッチ検出期間は、第1タッチ検出期間と、前記第1タッチ検出期間に続く第2タッチ検出期間と、を含み、
前記複数のタッチ検出領域は、第1タッチ検出領域と、前記第1タッチ検出領域とは異なる第2タッチ検出領域と、を含み、
前記タッチを検出するステップでは、前記第1タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが未検出の場合、前記タッチを検出するステップでは、前記第2タッチ検出期間において、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出せず、
前記第1タッチ検出期間においてタッチが検出された場合、前記タッチを検出するステップでは、前記第2タッチ検出期間において、前記第1タッチ検出領域においてタッチを検出し、前記第2タッチ検出領域においてタッチを検出しない、ことを特徴とする制御方法。
【請求項20】
請求項1または10に記載の表示システムにおける表示装置であって、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を備える、ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ検出機能を有する表示システム、制御装置、制御方法および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザのタッチ位置を検出するためのタッチセンサが表示パネル内に組み込まれたインセル型の表示装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。この表示装置では、液晶表示パネルの画素に共通電圧を供給するための共通電極を複数に分割して、これらの共通電極をタッチセンサ電極としても利用する。画像表示期間において共通電圧が複数の共通電極に供給され、タッチ検出期間においてタッチ検出用のタッチ駆動信号が複数の共通電極に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/123813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インセル型の表示装置において、更なる改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の表示システムは、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含む。タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間において、同一の第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
【0006】
本開示の別の態様は、制御装置である。この装置は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含む。タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間において、同一の第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、制御方法である。この方法は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するステップと、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチが検出されるタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含む。タッチを検出するステップでは、複数のタッチ検出期間において、同一の第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
【0008】
本開示の別の態様の表示システムは、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含む。タッチ検出回路は、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
【0009】
本開示の別の態様は、制御装置である。この装置は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含む。タッチ検出回路は、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、制御方法である。この方法は、画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、表示装置への物体のタッチを検出するステップと、を備える。表示装置における単位フレーム期間に、表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチが検出されるタッチ検出期間とが交互に配置され、表示装置は、複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含む。タッチを検出するステップでは、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様により、更なる改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図2図1の表示装置の回路構成を概略的に示す図である。
図3図2の共通電極の配置を示す上面図である。
図4図1の表示装置の動作を説明する図である。
図5図5(a)は、図1の表示装置における単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示し、図5(b)は、図5(a)の各タイミングにおけるダイヤルの回転操作位置を示す図である。
図6図6(a)は、第1の比較例の表示装置の動作を説明する図であり、図6(b)は、第1の比較例の単位フレーム期間のタイミングを示し、図6(c)は、図6(b)の各タイミングにおけるダイヤルの回転操作位置を示す図である。
図7図1の表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図8図8(a)は、第2の実施の形態に係る表示装置の動作を説明する図であり、図8(b)は、図8(a)の表示装置における単位フレーム期間のタイミングを示す図である。
図9】第2の実施の形態に係る表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図10図10(a)は、第3の実施の形態に係る表示装置の動作を説明する図であり、図10(b)は、図10(a)の表示装置における単位フレーム期間のタイミングを示し、図10(c)は、図10(b)の各タイミングにおけるスライドバーのハンドルの操作位置を示す図である。
図11】第3の実施の形態に係る表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図12】第5の実施の形態に係る表示装置の動作を説明する図である。
図13図13(a)は、第5の実施の形態に係る表示装置におけるタッチが未検出の場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示し、図13(b)は、第5の実施の形態に係る表示装置におけるタッチが検出された場合の単位フレーム期間のタイミングおよびタッチ駆動信号の波形を示す図である。
図14】第5の実施の形態に係る表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図15】第6の実施の形態に係る表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図16】第7の実施の形態に係る表示システムのタッチ検出処理を示すフローチャートである。
図17図1の表示装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の基礎となった知見)
実施の形態を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。インセル型のタッチディスプレイでは、1つのフレーム期間を複数の画像表示期間と複数のタッチ検出期間に時分割する。そして、1画面を複数のタッチ検出領域(スキャンブロックとも呼ばれる)に分け、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域でタッチを検出することで、1つのフレーム期間で1画面分のタッチ検出を実行する。1つのフレーム期間において1画面分のタッチ検出を複数回繰り返すことで、画面内の1つの位置における連続するタッチ検出の間の時間を短くできる。
【0014】
このような構成において、ディスプレイの解像度が高くなるほど、一定の長さのフレーム期間においてタッチ検出期間に割り当て可能な時間が制限される。そのため、1つのフレーム期間における1画面分のタッチ検出の繰り返し回数を増やすことは困難であり、画面内のある位置における連続するタッチ検出の間の時間を短くすること、すなわちタッチ検出のレスポンスを高速化することが困難であるという課題を本発明者は発見した。この課題を解決するために、本開示に係る表示システムは以下のように構成される。
【0015】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。表示システム1は、自動車などの車両に搭載された車載の表示システム1である一例について説明するが、用途は特に限定されず、携帯機器などに用いてもよい。
【0017】
表示システム1は、ホスト10と、表示モジュール20とを備える。ホスト10は、ラジオ、カーナビゲーション、Bluetooth(登録商標)通信などの各種機能を実行するとともに、表示モジュール20を制御する。ホスト10は、制御装置12を備える。
【0018】
制御装置12は、たとえばCPUであり、ホストCPUとも呼ばれる。制御装置12は、画像データDDと制御データCDを表示モジュール20に供給し、これらのデータをもとに表示モジュール20を制御する。
【0019】
表示モジュール20は、表示装置22と、制御装置24とを備える。表示装置22は、たとえば、カーナビゲーション画面などが表示される車室内のセンターディスプレイなどとして利用される。
【0020】
表示装置22は、インセル型のIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であり、タッチディスプレイとして構成され、タッチ位置を検出可能である。表示装置22の構成は、例えば、以下に説明する周知の構成となっている。
【0021】
図2は、図1の表示装置22の回路構成を概略的に示す。図2は、各構成要素の概略的な配置も示す。表示装置22は、行方向に延びる複数のゲート線G1,G2,・・・と、列方向に延びる複数のソース線S1,S2,・・・と、複数の画素スイッチング素子30と、複数の画素電極32と、複数の共通電極34とを備える。各画素スイッチング素子30は、薄膜トランジスタであり、ゲート線とソース線の交点付近に画素に対応して設けられる。各画素スイッチング素子30において、ゲートにはゲート線が接続され、ソースにはソース線が接続され、ドレインには画素電極32が接続される。1つの共通電極34に対して、複数の画素スイッチング素子30と複数の画素電極32が配置される。画素電極32と共通電極34との間の電界により液晶層が制御される。共通電極34は、画像表示およびタッチ検出に共用される。そのため、電極の層数を削減して、表示装置22を薄く構成できる。共通電極34は、センサ電極と呼ぶこともできる。
【0022】
図3は、図2の共通電極34の配置を示す上面図である。複数の共通電極34は、マトリクス状に配置される。各共通電極34は、信号線36で制御装置24に接続される。
【0023】
表示装置22は、自己容量方式によりタッチ位置を検出する。表示装置22の表示面に指が近づくと、共通電極34と指の間に静電容量が発生する。静電容量が発生すると共通電極34における寄生容量が増加し、共通電極34にタッチ駆動信号を供給するときの電流が増加する。この電流の変動量にもとづいてタッチ位置が検出される。
【0024】
図1に戻る。制御装置24は、たとえばICとして構成され、ホスト10からの制御データCDと画像データDDにしたがって表示装置22を制御する。制御装置24は、制御回路70と、第1駆動回路72と、第2駆動回路74と、タッチ検出回路76とを備える。
【0025】
制御回路70は、たとえばマイコンで構成され、第1駆動回路72と第2駆動回路74の信号生成タイミング、タッチ検出回路76のタッチ検出タイミングなどを制御する。
【0026】
制御回路70は、単位フレーム期間(1フレーム期間)に、表示画像の1フレームが表示装置22に描画され、かつ、1画面のタッチ検出が少なくとも1回実行されるよう、第1駆動回路72、第2駆動回路74およびタッチ検出回路76を制御する。単位フレーム期間は、垂直同期期間とも呼べる。単位フレーム期間の詳細は後述する。
【0027】
第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、基準クロック信号を生成する。第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、ホスト10からの画像データDDにもとづいて、生成された基準クロック信号に同期したソース信号SSを生成する。第1駆動回路72は、制御回路70の制御にしたがい、生成された基準クロック信号に同期したゲート信号GSを生成する。
【0028】
第1駆動回路72は、ソース信号SSを表示装置22の複数のソース線に順次供給し、ゲート信号GSを表示装置22の複数のゲート線に順次供給する。
【0029】
第1駆動回路72は、基準クロック信号を第2駆動回路74に供給する。第2駆動回路74は、制御回路70の制御にしたがい、予め定められた固定電圧である基準電圧VCOM、および、基準クロック信号に同期したタッチ駆動信号TXを生成する。なお、タッチ駆動信号TXは、矩形波でもよいし、正弦波でもよい。第2駆動回路74は、図3の信号線36を介して、基準電圧VCOMまたはタッチ駆動信号TXを表示装置22の全体の複数の共通電極34に供給する。
【0030】
タッチ検出回路76は、表示装置22への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、制御回路70の制御にしたがい、各共通電極34にタッチ駆動信号TXが供給されたときの当該共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに基づいて、当該共通電極34に対応する位置への物体のタッチを検出する。
【0031】
タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、タッチ駆動信号TXのパルスのタイミングごとに積分値と基準値との差を検出値として導出する。1つのタッチ検出期間に1つの共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに関して、1つのタッチ検出期間のタッチ駆動信号TXのパルスの数と等しい数の検出値が得られる。それぞれの検出値は、共通電極34の静電容量と基準静電容量との差分値を表す。物体のタッチによる共通電極34の静電容量の変化量が大きいほど、検出値は大きくなる。タッチがなく、共通電極34の静電容量の変化量がゼロであれば、検出値はゼロである。タッチ検出回路76は、共通電極34から受信したタッチ検出信号RXごとに、1つのタッチ検出期間の複数の検出値の総和を導出する。
【0032】
タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、所定のタッチ検出閾値を比較し、検出値の総和がタッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。これは、タッチが検出されたことに相当する。タッチ検出回路76は、タッチ有りと判定した共通電極34の位置にもとづいて、画面内におけるタッチ位置を検出する。タッチ検出回路76は、検出したタッチ位置の情報を制御回路70に出力する。
【0033】
制御回路70は、タッチ検出回路76からのタッチ位置の情報にもとづいてタッチ位置の座標データTDを導出し、その座標データTDをホスト10の制御装置12に出力する。制御装置12は、座標データTDに応じて各種処理を実行する。
【0034】
制御装置12、制御回路70の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコンピュータ、DSP、ROM、RAM、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0035】
以下、制御回路70による表示装置22の制御、および、表示装置22の動作を具体的に説明する。制御回路70は、画面内の複数の表示領域の1つに対する部分的な画像表示と、画面内の複数のタッチ検出領域の一部に対する部分的なタッチ検出とを交互に繰り返して、画像表示とタッチ検出を時分割に制御する。
【0036】
図4は、図1の表示装置22の動作を説明する図である。表示装置22は、画面内の複数の共通電極34が複数のグループに分割された2つの第1タッチ検出領域R5,R5および4つの第2タッチ検出領域R1,R2,R3,R4を含む。
【0037】
一方の第1タッチ検出領域R5は画面の左下隅に位置し、他方の第1タッチ検出領域R5は画面の右下隅に位置する。第2タッチ検出領域R1,R2,R3,R4は、観察者から見て水平方向に左から右に順に並ぶ。表示装置22の全体の複数の共通電極34は、第1タッチ検出領域R5,R5および第2タッチ検出領域R1からR4のそれぞれに複数ずつ配置される。図4に示す各タッチ検出領域に配置される共通電極34の数は一例である。表示装置22の第1タッチ検出領域の数は「2」に限定されず、第2タッチ検出領域の数は「4」に限定されない。
【0038】
表示システム1は、表示装置22の表示面上の第1タッチ検出領域R5,R5のそれぞれに配置された回転操作可能なダイヤル100を備える。ダイヤル100は、たとえば車両のエアコンディショナの温度設定用のダイヤルである。
【0039】
ダイヤル100は、それぞれ、表示装置22の表示面に固定された回転軸を中心として、ユーザの操作に応じて回転可能である。ダイヤル100の表示装置22の表示面と向かい合う部分には、図示しない導電体が配置されている。ダイヤル100の回転に応じて導電体も回転軸を中心として回転する。タッチ検出回路76は、導電体の位置であるダイヤル100の回転操作位置をタッチ位置として検出する。
【0040】
タッチ検出回路76は、A/Dコンバータ761と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5を有する。図示は省略するが、それぞれのスイッチは、複数組の入力端子と出力端子を有する。図4では図面を簡略化するために共通電極34と信号線36の接続を省略して描いている。
【0041】
スイッチSW1の複数の入力端子は、第2タッチ検出領域R1に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW2の複数の入力端子は、第2タッチ検出領域R2に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW3の複数の入力端子は、第2タッチ検出領域R3に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW4の複数の入力端子は、第2タッチ検出領域R4に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW5の複数の入力端子は、第1タッチ検出領域R5に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。
【0042】
スイッチSW1からSW5の出力端子は、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続されている。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は画面内の共通電極34の数より少ないため、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続される共通電極34がスイッチにより切り替えられる。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は、A/Dコンバータ761が同時に処理可能な入力信号の数と等しく、入力チャンネル数とも呼べる。
【0043】
図5(a)は、図1の表示装置22における単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示し、図5(b)は、図5(a)の各タイミングにおけるダイヤル100の回転操作位置を示す。
【0044】
図5(a)に示す例は、単位フレーム期間(1フレーム期間)Faに、1枚の画像を表示し、1画面のタッチ検出を2回実行する例である。本実施の形態では、60Hz駆動で画像を表示する表示装置22を想定しているため、単位フレーム期間Faは約16.7(=1/60)msに設定される。1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Faに2回実行されるため、約8.3(=1/120)ms周期で実行される。
【0045】
単位フレーム期間Faは、2つのサブフレーム期間Fbに分割される。各サブフレーム期間Fbは、4つの表示期間Daと、4つのタッチ検出期間T1a,T2a,T3a,T4aとを含む。表示期間Daとタッチ検出期間は交互に配置される。各サブフレーム期間Fbにおいて、表示期間Da、タッチ検出期間T1a、表示期間Da、タッチ検出期間T2a、表示期間Da、タッチ検出期間T3a、表示期間Da、タッチ検出期間T4aは、この順に並ぶ。単位フレーム期間Faの表示期間Daの数とタッチ検出期間の数は、それぞれ「8」に限定されない。
【0046】
表示装置22は、表示期間Da毎に1フレームを1/8ずつ表示する。単位フレーム期間Faの8つの表示期間Daにより、1フレームが表示される。具体的には表示期間Daの間、第1駆動回路72は、複数のソース線にソース信号SSを供給し、対象のゲート線にゲート信号GSを供給し、第2駆動回路74は複数の共通電極34に基準電圧VCOMを供給する。第2駆動回路74は、表示期間Daにはタッチ駆動信号TXの供給を停止する。
【0047】
第2駆動回路74は、それぞれのタッチ検出期間の間、第1タッチ検出領域R5および第2タッチ検出領域R1からR4の複数の共通電極34にタッチ駆動信号TXを供給する。第2駆動回路74は、タッチ検出期間には基準電圧VCOMの供給を停止する。
【0048】
制御回路70は、スイッチSW5を導通させた状態で、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のうちタッチ検出期間ごとに異なる1つを導通させる。導通したスイッチに入力されるタッチ検出信号RXは、A/Dコンバータ761に出力される。A/Dコンバータ761は、スイッチを介して入力されるアナログのタッチ検出信号RXを、デジタルのタッチ検出信号に変換する。
【0049】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T1aの間、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R1の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R1への物体のタッチを検出する。
【0050】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T2aの間、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R2の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R2への物体のタッチを検出する。
【0051】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T3aの間、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R3の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R3への物体のタッチを検出する。
【0052】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T4aの間、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R4の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R4への物体のタッチを検出する。
【0053】
このようにタッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、同一の第1タッチ検出領域R5およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。つまり、タッチ検出回路76は、検出対象の第1タッチ検出領域R5を固定し、検出対象の第2タッチ検出領域を順次変更する。単位フレーム期間Faの8つのタッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が2回実行される。なお、単位フレーム期間Faのタッチ検出期間の数と同数のタッチ検出領域が表示装置22に含まれてもよく、この場合、単位フレーム期間Faの複数のタッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が1回実行される。
【0054】
ここで、第1の比較例について説明する。図6(a)は、第1の比較例の表示装置22の動作を説明する図であり、図6(b)は、第1の比較例の単位フレーム期間Faのタイミングを示し、図6(c)は、図6(b)の各タイミングにおけるダイヤル100の回転操作位置を示す。
【0055】
第1の比較例では、第1タッチ検出領域R5が設けられず、表示装置22内の全体の複数の共通電極34が第2タッチ検出領域R1からR4にグループ分けされることが、本実施の形態と異なる。つまり、左側のダイヤル100に重なる共通電極34は第2タッチ検出領域R1に含まれ、右側のダイヤル100に重なる共通電極34は第2タッチ検出領域R4に含まれる。
【0056】
複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチ検出が実行される。左側のダイヤル100に対するタッチ検出は、タッチ検出期間T1aで実行され、サブフレーム期間Fbの8.3ms毎に実行される。右側のダイヤル100に対するタッチ検出も同様である。図6(c)に示すように、たとえばタッチ検出期間T1aで左側のダイヤル100の回転操作位置「25」が検出された後、8.3msの間に回転操作位置が「28」まで動いた場合、回転操作位置「26」と「27」は検出されず、次のタッチ検出期間T1aで回転操作位置「28」が検出される。よって、比較的高速にダイヤル100の回転操作が行われる場合、連続した複数の回転操作位置の検出ができないことがある。
【0057】
この第1の比較例に対して本実施の形態では、既述のように複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて第1タッチ検出領域R5でタッチが検出されるため、ダイヤル100が配置された第1タッチ検出領域R5のタッチ検出のレスポンスを第1の比較例より高速化できる。この例では、第1タッチ検出領域R5のタッチ検出は、約2.1ms周期で行われる。したがって、図5(b)に示すように、サブフレーム期間の間にダイヤル100の回転操作位置が「25」から「28」まで動いた場合、回転操作位置「25」、「26」、「27」、「28」のそれぞれが検出される。よって、連続した複数の回転操作位置を第1の比較例より検出しやすい。
【0058】
次に、以上の構成による表示システム1の全体的な動作を説明する。図7は、図1の表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。タッチ検出回路76は、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R1でタッチを検出し(S10)、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R2でタッチを検出し(S12)、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R3でタッチを検出し(S14)、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R4でタッチを検出する(S16)。制御回路70は、座標を演算し(S18)、S10に戻る。制御回路70は、S10からS16のそれぞれで座標を演算してもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、第1タッチ検出領域R5のタッチ検出のレスポンスを第2タッチ検出領域より高速化できる。よって、ダイヤル100の回転操作位置の検出のレスポンスを高速化できる。
【0060】
なお、図4では、第2タッチ検出領域R1の共通電極34の数は、第2タッチ検出領域R2の共通電極34の数より第1タッチ検出領域R5の共通電極34の数だけ少ない例を示したが、第2タッチ検出領域R1からR4のそれぞれの共通電極34の数は、等しいか、または、ほぼ等しくてもよい。この場合、A/Dコンバータ761に同時に接続される第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R2の共通電極34の数、第1タッチ検出領域R5と第2タッチ検出領域R3の共通電極34の数のそれぞれを実施の形態より削減できるので、A/Dコンバータ761の入力ポートの数がより少ない場合にも対応できる。
【0061】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、タッチが検出された位置に第1タッチ検出領域が設定されることが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
制御回路70は、タッチが検出されるまでと、タッチが検出された場合とにおいて、複数の共通電極34の分割パターンを切り替えて異なるタッチ検出領域を設定する。
【0063】
制御回路70は、タッチが未検出の場合、画面内の複数の共通電極34を均等に4つのグループに分けた第2タッチ検出領域R1からR4を設定する。タッチ検出回路76は、タッチが未検出の場合、複数のタッチ検出期間T1aからT4aのそれぞれにおいて、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
【0064】
図8(a)は、第2の実施の形態に係る表示装置22の動作を説明する図であり、図8(b)は、図8(a)の表示装置22における単位フレーム期間Faのタイミングを示す。図8(a),(b)は、タッチ検出期間T2aにおいて第2タッチ検出領域R2内でタッチが検出された例を示す。
【0065】
制御回路70は、タッチが検出された場合、タッチが検出された位置の共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5を設定する。制御回路70は、タッチが検出された位置の共通電極34の周囲の予め定められた数の共通電極34も含む第1タッチ検出領域R5を設定してもよい。予め定められた数は、タッチした物体がスライドすることを検出できるように、共通電極34の大きさなどに応じて実験やシミュレーションにより適宜決定できる。図示する例では、第2タッチ検出領域R2内に4つの共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5が設定される。制御回路70は、設定した第1タッチ検出領域R5に含まれる共通電極34を第2タッチ検出領域R2から除く。
【0066】
タッチ検出回路76は、タッチが検出された場合、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、同一の第1タッチ検出領域R5およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。図示する例では、タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出期間T2aの次のタッチ検出期間T3aでは、第1タッチ検出領域R5および第2タッチ検出領域R3でタッチを検出し、その次のタッチ検出期間T4aでは、第1タッチ検出領域R5および第2タッチ検出領域R4でタッチを検出する。タッチ検出回路76は、その次のタッチ検出期間T1aでは、第1タッチ検出領域R5および第2タッチ検出領域R1でタッチを検出し、その次のタッチ検出期間T2aでは、第1タッチ検出領域R5および第2タッチ検出領域R2でタッチを検出する。
【0067】
よって、第1タッチ検出領域R5では、第2タッチ検出領域R1などより短い周期でタッチ検出が実行される。そのため、タッチした指を離したり、タッチした指をスライドさせたりした場合に、既述の第1の比較例よりも早いタイミングで検出できる。
【0068】
制御回路70は、タッチが検出された位置の共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5を設定した場合、第1タッチ検出領域R5におけるタッチの検出が途切れると、第1タッチ検出領域R5の設定を解除し、第1タッチ検出領域R5の共通電極34を元の第2タッチ検出領域に含ませ、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域においてタッチを検出する。つまり制御回路70は、第1タッチ検出領域R5におけるタッチの検出が途切れると、タッチが未検出の場合と同じ制御を行う。これにより、タッチの検出が途切れた場合、1つのタッチ検出期間でタッチ検出回路76が処理するタッチ検出信号RXの数を削減できる。
【0069】
次に、以上の構成による表示システム1の全体的な動作を説明する。図9は、第2の実施の形態に係る表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。制御回路70は、タッチが検出されていない場合(S20のN)、S20に戻る。制御回路70は、タッチが検出された場合(S20のY)、第1タッチ検出領域R5を設定する(S22)。続くS10からS18の処理は、第1の実施の形態と同一である。
【0070】
本実施の形態によれば、タッチが検出された位置付近のタッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0071】
なお、図8(a)では、第2タッチ検出領域R2の共通電極34の数は、第2タッチ検出領域R1の共通電極34の数より第1タッチ検出領域R5の共通電極34の数だけ少ない例を示したが、第2タッチ検出領域R1からR4のそれぞれの共通電極34の数は、等しいか、または、ほぼ等しくてもよい。この場合、制御回路70は、タッチが検出された位置の共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5を設定した場合、当該第1タッチ検出領域R5以外の共通電極34を均等に複数のグループに分割して複数の第2タッチ検出領域R1からR4を再設定する。これにより、1つのタッチ検出期間にA/Dコンバータ761に接続される共通電極34の最大数を第2の実施の形態より削減できるので、A/Dコンバータ761の入力ポート数がより少ない場合にも対応できる。制御回路70は、第1タッチ検出領域R5におけるタッチの検出が途切れると、第1タッチ検出領域R5の設定を解除し、再設定する前の複数の第2タッチ検出領域R1からR4に戻す。
【0072】
また、制御回路70は、第1タッチ検出領域R5におけるタッチの検出が途切れても、第1タッチ検出領域R5の設定を解除しなくてもよい。この場合、制御回路70は、第1タッチ検出領域R5におけるタッチの検出が途切れた後、新たなタッチが検出された場合、既存の第1タッチ検出領域R5の設定を解除して、タッチが検出された位置の共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5を再設定すればよい。この場合、制御を単純化できる。
【0073】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、GUI(Graphical User Interface)が第1タッチ検出領域R5に表示されることが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図10(a)は、第3の実施の形態に係る表示装置22の動作を説明する図であり、図10(b)は、図10(a)の表示装置22における単位フレーム期間Faのタイミングを示し、図10(c)は、図10(b)の各タイミングにおけるスライドバー102のハンドル104の操作位置を示す。
【0075】
第1タッチ検出領域R5は、水平方向に延びる長方形の領域である。表示装置22は、第1タッチ検出領域R5にGUIであるスライドバー102を表示する。スライドバー102は、ユーザの指のスライド操作に応じて移動するハンドル104を有する。GUIは、ユーザの指のスライド操作を受け付けるものであれば特に限定されず、ダイヤルでもよい。
【0076】
表示装置22は、GUIの表示と非表示を切り替え可能でもよい。この場合、制御回路70は、GUIが表示された場合、GUIの表示領域の共通電極34を含む第1タッチ検出領域R5を設定する。制御回路70は、GUIが非表示になった場合、第1タッチ検出領域R5の設定を解除し、画面内の複数の共通電極34を均等に4つのグループに分けた第2タッチ検出領域R1からR4を設定し、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域においてタッチを検出する。
【0077】
第1の実施の形態と同様に、第1タッチ検出領域R5では、それぞれの第2タッチ検出領域より短い周期でタッチ検出が実行される。したがって、図10(c)に示すように、サブフレーム期間Fbの間にハンドル104の操作位置が比較的大きく動いた場合、約2.1msごとに操作位置が検出される。そのため、スライドバー102における連続した複数の操作位置を既述の第1の比較例の制御の場合より検出しやすい。
【0078】
次に、以上の構成による表示システム1の全体的な動作を説明する。図11は、第3の実施の形態に係る表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。制御回路70は、GUIの表示領域の共通電極34に第1タッチ検出領域R5を設定する(S30)。続くS10からS18の処理は、第1の実施の形態と同一である。
【0079】
本実施の形態によれば、GUIの操作位置の検出のレスポンスを高速化できる。
【0080】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、第1タッチ検出領域R5のタッチの有無を複数のタッチ検出期間におけるタッチ検出信号RXにもとづいて判定することが第3の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
タッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間に第1タッチ検出領域R5の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに第1タッチ検出領域R5におけるタッチを検出する。複数のタッチ検出期間は、たとえば3つのタッチ検出期間でもよく、単位フレーム期間Fa内のタッチ検出期間の数などに応じて実験やシミュレーションにより適宜決定できる。
【0082】
タッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間に第1タッチ検出領域R5の各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、タッチ駆動信号TXのパルスのタイミングごとに積分値と基準値との差を検出値として導出し、複数の検出値の総和にもとづいてタッチを検出する。具体的には、タッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間に第1タッチ検出領域R5の各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、所定のタッチ検出閾値を比較し、検出値の総和がタッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。タッチ検出回路76は、タッチ有りと判定すると、タッチ位置の情報を出力する。
【0083】
例えば、タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T1aからT3aのタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和がタッチ検出閾値以上であれば、タッチ有りと判定する。以降も同様に3つのタッチ検出期間ごとにタッチの有無を判定する。
【0084】
第2タッチ検出領域では、第1の実施の形態と同様にタッチ検出が実行される。つまりタッチ検出回路76は、それぞれのタッチ検出期間に検出対象の第2タッチ検出領域の共通電極34から受信したタッチ検出信号にもとづいて検出対象の第2タッチ検出領域におけるタッチを検出する。
【0085】
つまり、第1タッチ検出領域R5のタッチ検出は、第2タッチ検出領域のタッチ検出より長い期間のタッチ検出信号RXにもとづいて実行される。そのため、第1タッチ検出領域R5のタッチ検出の感度を第2タッチ検出領域の感度より高めることができる。よって、静電容量の変化量が比較的小さい手袋などがGUIにタッチした場合にも高感度でタッチ位置を検出できる。
【0086】
なお、第2の実施の形態を第1の実施の形態と組み合わせてもよい。第3の実施の形態を第1および第2の実施の形態の少なくとも一方と組み合わせてもよい。第4の実施の形態を第1および第2の実施の形態の少なくとも一方と組み合わせてもよい。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0087】
また、第1から第4の実施の形態では制御装置24が表示モジュール20に含まれるが、制御装置24はホスト10に含まれてもよい。第1から第4の実施の形態では第1駆動回路72が基準クロック信号を生成するが、第2駆動回路74が基準クロック信号を生成してもよい。フレーム期間は、表示装置22のタッチ検出領域の数の3倍以上のタッチ検出期間を含んでもよい。これらの変形例では、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0088】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。以下、制御回路70による表示装置22の制御、および、表示装置22の動作を第1の実施の形態との相違点を中心に具体的に説明する。制御回路70は、画面内の複数の表示領域の1つに対する部分的な画像表示と、画面内の複数のタッチ検出領域の1つに対する部分的なタッチ検出とを交互に繰り返して、画像表示とタッチ検出を時分割に制御する。
【0089】
図12は、第5の実施の形態に係る表示装置22の動作を説明する図である。表示装置22は、画面内の複数の共通電極34が複数のグループに分割された4つのタッチ検出領域R10,R20,R30,R40を含む。タッチ検出領域R10,R20,R30,R40は、観察者から見て水平方向に左から右に順に並ぶ。表示装置22の全体の複数の共通電極34は、タッチ検出領域R10からR40のそれぞれに複数ずつ配置される。図12に示す各タッチ検出領域に配置される共通電極34の数は一例である。タッチ検出領域の数は「4」に限定されない。
【0090】
タッチ検出回路76は、A/Dコンバータ761と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4を有する。図示は省略するが、それぞれのスイッチは、複数組の入力端子と出力端子を有する。図12では図面を簡略化するために共通電極34と信号線36の接続を省略して描いている。
【0091】
スイッチSW1の複数の入力端子は、タッチ検出領域R10に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW2の複数の入力端子は、タッチ検出領域R20に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW3の複数の入力端子は、タッチ検出領域R30に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。スイッチSW4の複数の入力端子は、タッチ検出領域R40に含まれる複数の共通電極34と信号線36で1対1に接続されている。
【0092】
スイッチSW1からSW4の出力端子は、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続されている。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は画面内の共通電極34の数より少ないため、A/Dコンバータ761の入力ポートに接続される共通電極34がスイッチにより切り替えられる。A/Dコンバータ761の入力ポートの数は、A/Dコンバータ761が同時に処理可能な入力信号の数と等しく、入力チャンネル数とも呼べる。
【0093】
制御回路70は、タッチが検出されるまでと、タッチが検出された場合とにおいて、異なる制御を行う。
【0094】
まず、タッチが未検出の場合の動作を説明する。図13(a)は、第5の実施の形態に係る表示装置22におけるタッチが未検出の場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。
【0095】
図13(a)に示す例は、単位フレーム期間(1フレーム期間)Faに、1枚の画像を表示し、1画面のタッチ検出を2回実行する例である。本実施の形態では、60Hz駆動で画像を表示する表示装置22を想定しているため、単位フレーム期間Faは約16.7(=1/60)msに設定される。1画面のタッチ検出は単位フレーム期間Faに2回実行されるため、約8.3(=1/120)ms周期で実行される。
【0096】
単位フレーム期間Faは、2つのサブフレーム期間Fbに分割される。各サブフレーム期間Fbは、4つの表示期間Daと、4つのタッチ検出期間T1a,T2a,T3a,T4aとを含む。表示期間Daとタッチ検出期間は交互に配置される。各サブフレーム期間Fbにおいて、表示期間Da、タッチ検出期間T1a、表示期間Da、タッチ検出期間T2a、表示期間Da、タッチ検出期間T3a、表示期間Da、タッチ検出期間T4aは、この順に並ぶ。単位フレーム期間Faの表示期間Daの数とタッチ検出期間の数は、それぞれ「8」に限定されない。
【0097】
表示装置22は、表示期間Da毎に1フレームを1/8ずつ表示する。単位フレーム期間Faの8つの表示期間Daにより、1フレームが表示される。具体的には表示期間Daの間、第1駆動回路72は、複数のソース線にソース信号SSを供給し、対象のゲート線にゲート信号GSを供給し、第2駆動回路74は複数の共通電極34に基準電圧VCOMを供給する。第2駆動回路74は、表示期間Daにはタッチ駆動信号TXの供給を停止する。
【0098】
第2駆動回路74は、それぞれのタッチ検出期間の間、タッチ検出領域R10からR40の複数の共通電極34にタッチ駆動信号TXを供給する。第2駆動回路74は、タッチ検出期間には基準電圧VCOMの供給を停止する。
【0099】
制御回路70は、タッチが未検出の場合、スイッチSW1からSW4のうちタッチ検出期間ごとに異なる1つを導通させる。導通したスイッチに入力されるタッチ検出信号RXは、A/Dコンバータ761に出力される。A/Dコンバータ761は、スイッチを介して入力されるアナログのタッチ検出信号RXを、デジタルのタッチ検出信号に変換する。
【0100】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T1aの間、タッチ検出領域R10の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R10への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T2aの間、タッチ検出領域R20の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R20への物体のタッチを検出する。
【0101】
タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T3aの間、タッチ検出領域R30の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R30への物体のタッチを検出する。タッチ検出回路76は、タッチ検出期間T4aの間、タッチ検出領域R40の複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、タッチ検出領域R40への物体のタッチを検出する。
【0102】
このようにタッチ検出回路76は、タッチが未検出の場合、複数のタッチ検出期間のそれぞれにおいて、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域でタッチを検出する。つまり、タッチ検出回路76は、検出対象のタッチ検出領域を順次変更する。単位フレーム期間Faの8つのタッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が2回実行される。なお、単位フレーム期間Faのタッチ検出期間の数と同数のタッチ検出領域が表示装置22に含まれてもよく、この場合、単位フレーム期間Faの複数のタッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が1回実行される。
【0103】
次に、複数のタッチ検出領域R10からR40の1つでタッチが検出された場合の動作を説明する。図13(b)は、第5の実施の形態に係る表示装置22におけるタッチが検出された場合の単位フレーム期間Faのタイミングおよびタッチ駆動信号TXの波形を示す。
【0104】
制御回路70は、タッチが検出された場合、スイッチSW1からSW4のうちタッチが検出された時点で導通していたスイッチを続けて導通させる。タッチ検出回路76は、タッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
【0105】
タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出し、タッチが検出されるごとにタッチ位置の情報を出力する。つまり、タッチ検出期間ごとにタッチ位置の情報が出力される。
【0106】
図12図13(b)に示す例では、タッチ検出期間T2aでタッチ検出領域R20においてタッチが検出されている。そのため、タッチ検出回路76は、タッチ検出領域R20において、タッチ検出期間T2aに続くタッチ検出期間T3a,T4a,T1a,T2a,T4aで連続してタッチを検出する。
【0107】
タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、タッチの検出が途切れると、タッチが未検出の場合の動作に戻り、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出する。これにより、タッチが途切れた場合、再び画面の全体でタッチを検出できる。
【0108】
ここで、第2の比較例について説明する。第2の比較例では、タッチが検出されたか否かによらず、図13(a)のようにタッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出することが、本実施の形態と異なる。あるタッチ検出領域に対するタッチ検出は、サブフレーム期間Fbの8.3ms毎に実行される。そのため、たとえばタッチ検出期間T2aにタッチ検出領域R20でタッチが検出された後、8.3msの間に、タッチした物体がスライドしたり画面から離れたりした場合、これらはすぐには検出されず、次のタッチ検出期間T2aにおいて物体のスライド先の位置またはタッチが途切れたことが検出される。
【0109】
この第2の比較例に対して本実施の形態では、既述のようにタッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出するため、タッチ検出のレスポンスを第2の比較例より高速化できる。図13(b)の例では、タッチが検出されたタッチ検出領域R20のタッチ検出は、約2.1ms周期で行われる。したがって、タッチした物体がスライドしたり画面から離れたりしたことを第2の比較例より早いタイミングで検出できる。
【0110】
次に、以上の構成による表示システム1の全体的な動作を説明する。図14は、第5の実施の形態に係る表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。タッチ検出回路76は、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域でタッチを検出し(S110)、タッチが検出されていない場合(S112のN)、S112に戻る。タッチが検出された場合(S112のY)、タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出領域でタッチを検出し(S114)、タッチが検出された場合(S116のY)、制御回路70は座標を演算し(S118)、S114に戻る。S116でタッチが検出されていない場合(S116のN)、S110に戻る。
【0111】
本実施の形態によれば、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出するので、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。また、タッチ位置の情報を出力する頻度を高めることができる。
【0112】
(第5の実施の形態における別の検出例)
第2の比較例では、ノイズなどにより、物体がタッチしていなくてもタッチがあったと誤検出される可能性がある。これに対処するため、複数のタッチ検出期間において同一の位置で連続してタッチが検出された場合に限り、タッチ位置の情報を出力する第3の比較例も知られている。この場合、ノイズなどにより1回だけタッチが検出されてもタッチ位置の情報が出力されないため、誤検出を抑制できる。しかし、たとえば2回連続してタッチが検出されるとタッチ位置の情報を出力する場合、タッチ位置の情報の出力に要する時間が第2の比較例の2倍になり、レスポンスが遅くなる。
【0113】
そこで、第5の実施の形態において、タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出し、予め定められた回数連続してタッチが検出された場合、タッチ位置の情報を出力してもよい。予め定められた回数は、複数回であり、単位フレーム期間Fa内のタッチ検出期間の数などに応じて実験やシミュレーションにより適宜決定できる。これにより、誤検出を抑制した上で、第3の比較例よりレスポンスを高速化できる。
【0114】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、タッチが検出されたタッチ検出領域における複数のタッチ検出期間の検出値の総和にもとづいてタッチを検出することが第5の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0115】
第5の実施の形態と同様に、タッチが未検出の場合、タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、第1タッチ検出閾値を比較し、検出値の総和が第1タッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。第1タッチ検出閾値は、指などと比較して静電容量の変化量が小さい手袋などがタッチした場合にタッチ有りと判定されるように、その場合に得られる検出値の総和より小さく設定される。ノイズの影響によりタッチ有りと誤判定される可能性があるため、この時点では、タッチ検出回路76はタッチ位置の情報を出力しない。よって、ノイズによる誤ったタッチ位置の出力を抑制できる。
【0116】
タッチ検出回路76は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出する。複数のタッチ検出期間は、たとえば3つのタッチ検出期間でもよく、単位フレーム期間Fa内のタッチ検出期間の数などに応じて実験やシミュレーションにより適宜決定できる。
【0117】
タッチ検出回路76は、この場合、複数のタッチ検出期間に各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、タッチ駆動信号TXのパルスのタイミングごとに積分値と基準値との差を検出値として導出し、複数の検出値の総和にもとづいてタッチを検出する。具体的には、タッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間に各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、所定の第2タッチ検出閾値を比較し、検出値の総和が第2タッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。タッチ検出回路76は、タッチ有りと判定すると、タッチ位置の情報を出力する。第2タッチ検出閾値は、第1タッチ検出閾値より大きい。
【0118】
図13(b)の例では、タッチ検出期間T2aでタッチが検出された場合、タッチ検出回路76は、3つのタッチ検出期間T2aからT4aのタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和が第2タッチ検出閾値以上であれば、タッチ有りと判定する。タッチの検出が途切れるまで、以降も同様に3つのタッチ検出期間ごとにタッチの有無を判定する。
【0119】
図15は、第6の実施の形態に係る表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。S110とS112の処理は第5の実施の形態と同一である。S112でタッチが検出された場合(S112のY)、タッチ検出回路76は、タッチ検出期間にて、タッチが検出されたタッチ検出領域からタッチ検出信号RXを受信し(S130)、次のタッチ検出期間にて、タッチが検出されたタッチ検出領域からタッチ検出信号RXを受信し(S132)、次のタッチ検出期間にて、タッチが検出されたタッチ検出領域からタッチ検出信号RXを受信する(S134)。これらのタッチ検出信号RXにもとづいてタッチが検出された場合(S136のY)、制御回路70は、3つのタッチ検出期間のタッチ検出信号RXにもとづいて座標を演算し(S138)、S130に戻る。S136でタッチが検出されていない場合(S136のN)、S110に戻る。
【0120】
既述の第2の比較例においても、第5の実施の形態と同様に、1つのタッチ検出期間内のタッチ駆動信号TXのパルスの数と等しい数の検出値の総和にもとづいてタッチの有無が判定される。そのため、1つのタッチ検出期間内のタッチ駆動信号TXのパルス数を増やすほど、検出値の総和を大きな値とすることができ、タッチ感度を向上できる。しかし、1つのタッチ検出期間の長さには制限があるため、第2の比較例においてタッチ駆動信号TXのパルス数を増やすことは困難である。
【0121】
第2の比較例に対して、本実施の形態では、1つのタッチ検出期間内のタッチ駆動信号TXのパルス数を増やすことなく検出値の総和を大きな値とすることができ、タッチ検出の感度を向上した上でレスポンスを高速化できる。車載用途の表示装置22では、安全性の観点や、曲面ディスプレイの需要の増加から、表示装置22の前面側の保護層にガラスに代わり樹脂カバーが用いられることが多くなっている。樹脂カバーの場合、ガラスに比べて誘電率が低いため、タッチ感度の低下につながる。本実施の形態では、樹脂カバーの場合にも、感度を向上できる。
【0122】
また、第2の比較例では、タッチ駆動信号TXの振幅を小さくすることでタッチ駆動信号TXに起因する輻射を低減できるが、感度が低下する。第2の比較例に対して、本実施の形態では、検出感度を維持しつつ、タッチ駆動信号TXの振幅を小さくできる。よって、感度の低下を抑制した上で、輻射を低減できる。
【0123】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、タッチが検出されたときの検出値の総和に応じて、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出するときのタッチ検出方法を切り替えることが第5の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0124】
第5の実施の形態と同様に、タッチが未検出の場合、タッチ検出回路76は、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、第1タッチ検出閾値を比較し、検出値の総和が第1タッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。
【0125】
タッチ検出回路76は、タッチが検出された場合、タッチが検出された共通電極34の検出値の総和が判定閾値以上であれば、複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出し、タッチが検出されるごとにタッチ位置の情報を出力する。つまり、タッチ検出回路76は、第5の実施の形態のタッチ検出処理を実行する。タッチが検出された共通電極34の検出値の総和は、タッチが検出された共通電極34の静電容量と基準静電容量との差分値に関する値に相当する。
【0126】
タッチ検出回路76は、検出値の総和が判定閾値より小さければ、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出する。つまり、タッチ検出回路76は、第6の実施の形態のタッチ検出処理を実行する。既述のように、タッチ検出回路76は、複数のタッチ検出期間に各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値の総和と、第2タッチ検出閾値を比較し、検出値の総和が第2タッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。
【0127】
判定閾値は、静電容量の変化量が比較的大きい指などがタッチした場合に得られる検出値の総和より小さく設定される。判定閾値は、第1タッチ検出閾値より大きい。
【0128】
図16は、第7の実施の形態に係る表示システム1のタッチ検出処理を示すフローチャートである。S112でタッチが検出された場合(S112のY)、タッチが検出された共通電極34の検出値の総和が判定閾値以上であれば(S140のY)、S114に移る。S114からS118の処理は第5の実施の形態と同一である。タッチが検出された共通電極34の検出値の総和が判定閾値未満であれば(S140のN)、S130に移る。S130からS138の処理は第6の実施の形態と同一である。
【0129】
本実施の形態によれば、静電容量の変化量が比較的大きい指などがタッチした場合、複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出するので、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。また、静電容量の変化量が比較的小さい手袋などがタッチした場合、複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出するので、検出感度を向上できる。よって、タッチした物体に適したタッチ検出を実行できる。
【0130】
以上、本開示について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0131】
たとえば、第7の実施の形態において、タッチが検出された共通電極34の検出値の総和が判定閾値より小さい場合、第5の実施の形態の別の検出例の処理を実行してもよい。この場合、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0132】
また、第5から第7の実施の形態では制御装置24が表示モジュール20に含まれるが、制御装置24はホスト10に含まれてもよい。第5から第7の実施の形態では第1駆動回路72が基準クロック信号を生成するが、第2駆動回路74が基準クロック信号を生成してもよい。フレーム期間は、表示装置22のタッチ検出領域の数の3倍以上のタッチ検出期間を含んでもよい。これらの変形例では、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0133】
表示装置22は、例えば以下に説明する構成を有してもよい。図17は、図1の表示装置22の縦断面図である。表示装置22は、厚さ方向に沿って順に重ねて配置されるバックライトユニット40、下偏光板42、薄膜トランジスタ基板(以下、TFT基板と呼ぶ)44、液晶層52、カラーフィルタ基板54、上偏光板56、接合層58、および、保護層60を備える。
【0134】
以下の説明では、表示装置22の厚さ方向のうち、TFT基板44に対して保護層60が位置する側を前面側とし、その逆を背面側とする。
【0135】
表示装置22は、バックライトユニット40から出射された光を用いて、画像光を前面側、即ち観察者側に出射する。
【0136】
TFT基板44は、ガラス基板46、ガラス基板46の前面側に配置された複数のゲート電極48、複数のソース電極50、および、複数の共通電極34を有する。図示は省略するが、TFT基板44は、図2の複数のゲート線G1,G2,・・・、複数のソース線S1,S2,・・・、複数の画素電極32および複数の画素スイッチング素子30も有する。TFT基板44の前面側に配置された液晶層52は、画素電極32と共通電極34との間に発生する横方向の電界により制御される。
【0137】
接合層58は、透光性を有し、上偏光板56と保護層60とを接合する。接合層58は、例えば、OCR(Optically Clear Resin)などの液状の透明樹脂、または、OCA(Optically Clear Adhesive)などの透明粘着シートが硬化したものである。
【0138】
保護層60は、表示装置22を保護するための透光性を有する層であり、ガラス基板またはプラスチック基板などで構成される。保護層60は、カバーレンズなどとも呼ばれる。
【0139】
本開示の一態様に係る表示システムは、次の通りである。
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間において、同一の前記第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
この態様によると、第1タッチ検出領域のタッチ検出のレスポンスを第2タッチ検出領域より高速化できる。
【0140】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
タッチが検出された場合、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定する制御回路を備えるとしても良い。
この場合、タッチが検出された位置のタッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0141】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記制御回路は、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定した場合、当該第1タッチ検出領域におけるタッチの検出が途切れると、当該第1タッチ検出領域の設定を解除し、タッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域においてタッチを検出するとしても良い。
この場合、タッチの検出が途切れた場合、1つのタッチ検出期間でタッチ検出回路が処理するタッチ検出信号の数を削減できる。
【0142】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記制御回路は、タッチが検出された位置の共通電極を含む前記第1タッチ検出領域を設定した場合、当該第1タッチ検出領域以外の共通電極を複数のグループに分割して前記複数の第2タッチ検出領域を再設定するとしても良い。
この場合、第2タッチ検出領域のそれぞれの共通電極の数を均等に近づけることができる。
【0143】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記表示装置の表示面上の前記第1タッチ検出領域に配置された回転操作可能なダイヤルを備え、
前記タッチ検出回路は、前記ダイヤルの回転操作位置をタッチ位置として検出するとしても良い。
この場合、ダイヤルの回転操作位置の検出のレスポンスを高速化できる。
【0144】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記表示装置は、前記第1タッチ検出領域にGUI(Graphical User Interface)を表示するとしても良い。
この場合、GUIの操作位置の検出のレスポンスを高速化できる。
【0145】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間に前記第1タッチ検出領域の共通電極から受信した前記タッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとに前記第1タッチ検出領域におけるタッチを検出するとしても良い。
この場合、第1タッチ検出領域のタッチ検出の感度を第2タッチ検出領域より高めることができる。
【0146】
本開示の一態様に係る制御装置は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記タッチ検出回路は、複数のタッチ検出期間において、同一の前記第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
この態様によると、第1タッチ検出領域のタッチ検出のレスポンスを第2タッチ検出領域より高速化できる。
【0147】
本開示の一態様に係る制御方法は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチが検出されるタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された第1タッチ検出領域および複数の第2タッチ検出領域を含み、
前記タッチを検出するステップでは、複数のタッチ検出期間において、同一の前記第1タッチ検出領域およびタッチ検出期間ごとに異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。
この態様によると、第1タッチ検出領域のタッチ検出のレスポンスを第2タッチ検出領域より高速化できる。
【0148】
本開示の一態様に係る表示システムは、次の通りである。
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置と、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記タッチ検出回路は、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、前記複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
この態様によると、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0149】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出するとしても良い。
この場合、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0150】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されるごとにタッチ位置の情報を出力するとしても良い。
この場合、タッチ位置の情報を出力する頻度を高めることができる。
【0151】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、複数回連続してタッチが検出された場合、タッチ位置の情報を出力するとしても良い。
この場合、誤検出を抑制できる。
【0152】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出するとしても良い。
この場合、より長い期間のタッチ検出信号にもとづいてタッチを検出するので、検出感度を向上できる。また、検出感度を維持しつつ、タッチ駆動信号の振幅を小さくできる。よって、輻射を低減できる。
【0153】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、共通電極の静電容量と基準静電容量との差分値をそれぞれ表す複数の検出値を導出し、当該複数の検出値の総和にもとづいてタッチを検出するとしても良い。
この場合、検出感度を向上できる。
【0154】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、前記複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、(1)タッチが検出された共通電極の静電容量と基準静電容量との差分値に関する値が判定閾値以上であれば、複数のタッチ検出期間のそれぞれでタッチを検出し、(2)前記差分値に関する値が前記判定閾値より小さければ、複数のタッチ検出期間に受信したタッチ検出信号にもとづいて、当該複数のタッチ検出期間ごとにタッチを検出するとしても良い。
この場合、タッチした物体に適したタッチ検出を実行できる。
【0155】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記タッチ検出回路は、タッチが検出されたタッチ検出領域において連続してタッチを検出する場合、タッチの検出が途切れると、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出するとしても良い。
この場合、タッチが途切れた場合、画面の全体でタッチを検出できる。
【0156】
本開示の一態様に係る制御装置は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置を制御する制御装置であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するタッチ検出回路と、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、前記タッチ検出回路がタッチを検出するタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記タッチ検出回路は、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、前記複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
この態様によると、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0157】
本開示の一態様に係る制御方法は、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を有する表示装置における制御方法であって、
前記複数の共通電極のそれぞれにタッチ駆動信号を供給するステップと、
前記複数の共通電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて、前記表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
を備え、
前記表示装置における単位フレーム期間に、前記表示装置が画像を表示する表示期間と、タッチが検出されるタッチ検出期間とが交互に配置され、
前記表示装置は、前記複数の共通電極が複数のグループに分割された複数のタッチ検出領域を含み、
前記タッチを検出するステップでは、タッチが未検出の場合、タッチ検出期間ごとに異なるタッチ検出領域においてタッチを検出し、前記複数のタッチ検出領域の1つでタッチが検出された場合、タッチが検出されたタッチ検出領域において複数のタッチ検出期間で連続してタッチを検出する。
この態様によると、タッチ検出のレスポンスを高速化できる。
【0158】
本開示の一態様に係る表示装置は、
本開示の一態様に係る表示システムにおける表示装置であって、
画像表示およびタッチ検出に共用される複数の共通電極を備える。
この態様によると、表示システムに用いられる表示装置を提供できる。
【符号の説明】
【0159】
1…表示システム、12…制御装置、22…表示装置、24…制御装置、34…共通電極、70…制御回路、76…タッチ検出回路、100…ダイヤル、102…スライドバー。
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