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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】フッ化化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 347/00 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
C07D347/00 CSP
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021524944
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022446
(87)【国際公開番号】W WO2020246612
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2019107484
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】北村 二雄
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0233420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0298008(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106631680(CN,A)
【文献】WU Junliang, et al.,Stereocontrolled Synthesis of Halovinylbenziodoxoles by Hydro- and Iodochlorination of Ethynylbenzio,Chemistry - A European Journal,2019年04月24日,Vol.25(33),p.7839-7842
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 347/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2):
【化1】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し;
環Aは、1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族炭素環を表し;
、及びRは、同一又は異なって、
水素、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアリール基、又は
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアラルキル基
を表し;及び
前記置換基は、同一又は異なって、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基及びスルフェナモイル基からなる群より選択される少なくとも1種を表す。
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項2】
及びRが、同一又は異なって、
水素、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基、又は
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアリール基である、
請求項1記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項3】
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基である、請求項1又は2に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項4】
1個から置換可能な最大個数のシクロアルキル基で置換されていてもよいアルキル基である、請求項1又は2に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項5】
が水素、又は1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
【請求項7】
式(2):
【化2】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し、
環Aは、1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族炭素環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、
水素、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアリール基、又は
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアラルキル基
を表し;及び
前記置換基は、同一又は異なって、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基及びスルフェナモイル基からなる群より選択される少なくとも1種を表す。
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物の製造方法であって、
式(1):
【化2.1】
[式中の記号は前記と同意義を表す。
で表される化合物を、
式(3):
【化2.2】
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
酸化剤
の存在下で、
フッ素源と反応させる工程Aを含む、製造方法。
【請求項8】
及びRが、同一又は異なって、
水素、
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアルキル基、又は
1個から置換可能な最大個数の置換基を有していてもよいアリール基である、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
及びRが、同一又は異なって、
水素、又は
1個から置換可能な最大個数の置換基を有してもよいC1-C20アルキル基である、
請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
が、水素である、
請求項7~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ化化合物(特に、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なフッ化化合物、その製造方法、及びその利用が知られている。
例えば、非特許文献1及び2には、ヨードトルエンジフルオライド、及びこれを利用したフッ素の立体的及び位置選択的付加が、開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Haraら、Chem. Commun, 1998, pp.965-966
【文献】Haraら、Synthesis, 2004, p2821-2824
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、フッ化化合物(特に、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物)、及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、次の態様を含む。
項1.
式(2):
【化1】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し;
環Aは、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項2.
及びRが、同一又は異なって、
水素、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族基、又は
1個以上の置換基を有していてもよい複素環基である、
項1記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項3.
が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、項2に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項4.
が1個以上のシクロアルキル基で置換されていてもよいアルキル基である、項2に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項5.
が水素、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、項1~4のいずれか一項に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項6.
が水素である、項1~4のいずれか一項に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項7.
環Aが1個以上の置換基を有していてもよい芳香族炭素環である、項1~6のいずれか一項に記載のフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物。
項8.
式(2):
【化2】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し、
環Aは、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物の製造方法であって、
式(1):
【化2.1】
[式中、R、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表される化合物を、
式(3):
【化2.2】
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物、及び
酸化剤
の存在下で、
フッ素源と反応させる工程Aを含む、製造方法。
項9.
及びRが、同一又は異なって、
水素、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族基、又は
1個以上の置換基を有していてもよい複素環基である、
項8に記載の製造方法。
項10.
及びRが、同一又は異なって、水素、1個以上の置換基を有してもよいC1-C20アルキル基である、
項8又は9に記載の製造方法。
項11.
が、水素である、
項8~10のいずれか一項に記載の製造方法。
項12.
環Aが、1個以上の置換基を有していてもよい芳香族炭素環である、
項8~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【0006】
本開示は、更に次の態様を含む。
項B1.
式(1’):
【化3】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し;
、及びRは、水素、又は有機基を表し;及び
Rは、有機基を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
【化4】
[式中、
波線は、シス配置又はトランス配置を表し;
環Aは、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物

式(3):
【化5】
[式中、Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるアルキン化合物と反応させる工程Bを含む、製造方法。
項B2.
工程Bの反応が、金属触媒の存在下で行われる、項B1に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、フッ化化合物(特に、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物)、又はその製造方法が提供される。
【0008】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態または全ての実装を記述することを意図するものではない。
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。
それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1. 用語
本明細書中、当業者が通常理解する通り、前記式(1)で表される化合物を、「化合物(1)」又は「式(1)の化合物」のように称する場合がある。これは、他の式で表される化合物についても、同様でありえる。
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、技術常識を参照して理解されえる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
本明細書中、表記「Cn-Cm」(ここで、n、及びmは、それぞれ、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0010】
本明細書中、「有機化合物」とは、通常の意味に理解され、1個以上の炭素原子及び1個以上の水素原子を有する化合物であることができる。
【0011】
本明細書中、フッ素化有機化合物は、有機化合物がフッ素化されて生じることができる化合物を意味し、水素原子を含有しなくてもよい。
【0012】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロ(基)」の例は、フルオロ(基)、クロロ(基)、ブロモ(基)、及びヨード(基)を包含できる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン(原子)」の例は、フッ素(原子)、塩素(原子)、臭素(原子)、及びヨウ素(原子)を包含できる。
【0013】
本明細書中、「芳香環」の例は、芳香族炭素環、及び芳香族複素環を包含できる。
【0014】
本明細書中、特に限定の無い限り、「芳香族炭素環」の例は、炭素数6~14の芳香族炭化水素環を包含でき、及びその具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、及びビフェニルを包含できる。
【0015】
本明細書中、特に限定の無い限り、「芳香族複素環」の例は、5又は6員芳香族複素環を包含でき、及びその具体例は、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3-オキサジアゾール環、1,2,4-オキサジアゾール環、1,3,4-オキサジアゾール環、フラザン環、1,2,3-チアジアゾール環、1,2,4-チアジアゾール環、1,3,4-チアジアゾール環、1,2,3-トリアゾール環、1,2,4-トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及びトリアジン環を包含できる。
【0016】
本明細書中、特に限定の無い限り、前記「芳香族複素環」の更なる例は、前記5又は6員芳香族複素環の1個以上と芳香族炭素環の1個以上との縮合環を包含できる。
【0017】
本明細書中、「有機基」とは、
1個以上の炭素原子を含有する基、又は
有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基
を意味する。
有機基は、炭素原子及び水素原子以外の1個以上の原子(例:窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素、ハロ)を含有していてもよい。
有機基の例は、(ペル)フルオロ有機基、及び(ペル)フルオロ有機基を包含できる。
【0018】
当業者が通常理解する通り、接尾語「ペルハロゲノ」は全ての水素原子がハロ基に置換されていることを意味する。
当業者が通常理解する通り、接尾語「ペルフルオロ」は全ての水素原子がフルオロ基に置換されていることを意味する。
【0019】
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基{例:(ペル)ハロゲノアルキル基[例:(ペル)フルオロアルキル基]}、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
O-、
CO-、
SO-、
OCO-、及び
OSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含できる。
【0020】
本明細書中、「有機基」は、例えば、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基[当該炭化水素基には、-NR-、=N-、-N=、-O-、-S-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、-NR-S(=O)-、-S(=O)-NR-、-NR-S(=O)-、-Si(R-(これらの式中、Rは、独立して、水素原子、又は有機基である。)からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。]であることができる。
【0021】
化学分野の常識に基づいて通常理解される通り、このようにヘテロ原子が挿入された炭化水素基の例は、非芳香族複素環基、及びヘテロアリール基を包含できる。
【0022】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の炭素数は、例えば、1~100、1~80、1~60、1~40、1~30、1~20、又は1~10(例:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)であることができる。
【0023】
本明細書中、
「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」
における「置換基」の例は、それぞれ、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0024】
本明細書中、「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、及びこれらの組合せである基を包含できる。
【0025】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-C10アルキル基を包含できる。
【0026】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例:1~3個、1~6個、1~12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
【0027】
「フルオロアルキル基」は、ペルフルオロアルキル基を包含できる。
【0028】
「ペルフルオロアルキル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。当該ペルフルオロアルキル基の具体例は、トリフルオロメチル基(CF-)、及びペンタフルオロエチル基(C-)を包含できる。
【0029】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~20、炭素数1~12、炭素数1~6、炭素数1~4、炭素数1~3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3、炭素数2、又は炭素数1のフルオロアルキル基であることができる。
【0030】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基(CF-)、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基(C-)、テトラフルオロプロピル基(例:HCFCFCH-)、ヘキサフルオロプロピル基(例:(CFCH-)、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基(例:HCFCFCFCFCH-)、トリデカフルオロヘキシル基、及び3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル基(CFCFCFCFCFCFCHCH-)等が挙げられる。
【0031】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルケニル基」の例は、ビニル、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-1-イル、イソプロペニル、2-ブテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、及び5-へキセン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-C10アルケニル基を包含できる。
【0032】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキニル基」の例は、エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、5-へキシン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-C10アルキニル基を包含できる。
【0033】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルキル基」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3-C7シクロアルキル基を包含できる。
【0034】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルケニル基」の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等のC3-C7シクロアルケニル基を包含できる。
【0035】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルカジエニル基」の例は、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等のC4-C10シクロアルカジエニル基を包含できる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「芳香族基」は、「アリール基」、及び「ヘテロアリール基」を包含できる。
【0036】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、C6-C18アリール基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリルを包含できる。
【0037】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アラルキル基」の例は、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、2-ビフェニリルメチル、3-ビフェニリルメチル、及び4-ビフェニリルメチルを包含できる。
【0038】
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例:1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等を包含できる。
【0039】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ヘテロアリール基」の例は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含できる。
【0040】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピラジニル等を包含できる。
【0041】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含できる。
【0042】
本明細書中、特に限定の無い限り、
「1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいベンゼン環」、
「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいピリジン環」
における各「置換基」の例は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0043】
2. フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物
本開示の一態様である化合物は、
式(2):
【化6】
[式中、
環Aは、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物
である。
【0044】
及びRは、好適に、
同一又は異なって、
水素、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(例:1個以上の置換基を有していてもよいC1-C20アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC1-C6アルキル基)、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族基(例:1個以上の置換基を有していてもよいC6-C20アリール基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-C10アリール基)、又は
1個以上の置換基を有していてもよい複素環基(例:1個以上の置換基を有していてもよい5~20員複素環基、1個以上の置換基を有していてもよい5~10員複素環基)
であることができ、
より好適に、同一又は異なって、水素又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることができ、
更に好適に、同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることができ、
より更に好適に、同一又は異なって、アルキル基であることができる。
【0045】
は、より好適に、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(例:1個以上の置換基を有していてもよいC1-C10アルキル基、及び1個以上の置換基を有していてもよいC1-C6アルキル基)
であることができる。
についての「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の当該アルキル基の炭素数は、
1から20が好ましく、
1から15がよりに好ましく、
1から10が更に好ましく、
1から6がより更に好ましく、及び
1から4が特に好ましい。
【0046】
は、また、より好適に、
1個以上のシクロアルキル基で置換されていてもよいアルキル基(例:1個以上のC3-C6シクロアルキル基で置換されていてもよいC1-C6アルキル基)
であることができる。
【0047】
は、
好適に、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(例:1個以上の置換基を有していてもよいC1-C20アルキル基)であり、
より好適に、水素、又はアルキル基であり、及び
最も好適に、水素であることができる。
の「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数」の当該アルキル基の炭素数は、
1から20が好ましく、
1から15がより好ましく、
1から10が更に好ましく、
1から5がより更に好ましく、
1から2が特に好ましい。
とRとは連結して、これらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、1個以上の置換基を有していてもよい環を形成してもよい。当該「1個以上の置換基を有していてもよい環」の構造は、R及びRの各構造から理解され得る。
【0048】
環Aは、好適に、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族炭素環(例:1個以上の置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族炭素環)
であることができる。
【0049】
環Aは、好適に、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族複素環(例:1個以上の置換基を有していてもよい5~10員芳香族複素環)
であることができる。
【0050】
環Aは、好適に、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族単環(例:1個以上の置換基を有していてもよいベンゼン環並びに;1個以上の置換基を有していてもよいピリジン環、及び1個以上の置換基を有していてもよいチオフェン環等の、1個以上の置換基を有していてもよい5~6員芳香族複素環)
であることができる。
【0051】
3. フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物の製造方法
本開示の一態様である製造方法は、式(2):
【化7】
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物の製造方法であって、
式(1):
【化8】
[式中、R、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表される化合物を、
置換基を有してもいてもよい2-ヨード安息香酸、及び
酸化剤
の存在下で、
フッ素源と反応させる工程Aを含む、製造方法
である。
【0052】
当該製造方法は、前記本開示の一態様である化合物の製造方法であることができる。 従って、当該製造方法の理解のため、前記した当該化合物の好適な態様についての説明もまた参照し得る。
【0053】
3.1. 基質
前記製造方法の基質は、
式(1):
【化9】
[式中、R、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表される化合物
であることができる。
【0054】
及びRは、好適に、同一又は異なって、
水素、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族基、又は
1個以上の置換基を有していてもよい複素環基
であることができる。
は、好適に水素であることができる。
環Aは、好適に1個以上の置換基を有していてもよい芳香族炭素環であることができる。
【0055】
3.2. 目的物
前記製造方法の目的物は、
式(2):
【化10】
[式中の記号は前記と同意義である。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物
であることができる。
【0056】
前記目的物についてのR及びR並び環Aは、前記目的物についてのこれらと、それぞれ同一又は異なっていることができるが、通常、同一である。
【0057】
及びRは好適に、同一又は異なって、
水素、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい芳香族基、又は
1個以上の置換基を有していてもよい複素環基
であることができる。
【0058】
及びRは好適に、
水素、又はC1-C20アルキル基
であることができる。
【0059】
3.3. 工程A
工程Aでは、
前記式(1)で表される化合物を、
1個以上の置換基を有してもいてもよい2-ヨード安息香酸、及び
酸化剤
の存在下で、
フッ素源と反応させる。
【0060】
環Aは、好適に1個以上の置換基を有していてもよいベンゼン環、又は1個以上の置換基を有していてもよいピリジン環、及びより好適にベンゼン環であることができる。
【0061】
3.3.1 1個以上の置換基を有してもいてもよい2-ヨード安息香酸
前記「1個以上の置換基を有してもいてもよい2-ヨード安息香酸」の好適な例は、2-ヨード安息香酸
を包含できる。
【0062】
前記「置換基を有してもいてもよい2-ヨード安息香酸」の量は、
基質である化合物(1)に対して、
通常0.2~10等量の範囲内
好ましくは0.5~5等量の範囲内、
より好ましくは0.8~3等量の範囲内、及び
より更に好ましくは1~2等量の範囲内
であることができる。
【0063】
3.3.2 酸化剤
工程Aに用いられる前記「酸化剤」は、好ましくは、例えば、
(i )式:RCOOOM
(当該式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及び
Mは、水素原子、又は金属原子
である。)、
で表される化合物;
(ii )式:ROOM
(当該式中、
は、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、及びMは、水素原子、又は金属原子である。)
で表される化合物;及び
(iii)金属酸化物
からなる群より選択される1種以上であることができる。
前記酸化剤の例は、
メタクロロ過安息香酸、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物、過マンガン酸、ニクロム酸、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化アンチモン、酸化オスミウム、及び三酸化硫黄
を包含できる。
前記酸化剤の好適な例は、
メタクロロ過安息香酸、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルキシド、過硫酸カリウム、及び過硫酸水素カリウム-硫酸水素カリウム-硫酸カリウム混合物
を包含できる。
前記酸化剤のより好適な例は、m-クロロ過安息香酸を包含できる。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0064】
当該酸化剤の量は、例えば、
基質である化合物(1)に対して、
通常0.1~40等量の範囲内
好ましくは0.5~30等量の範囲内、
より好ましくは0.8~10等量の範囲内、及び
より更に好ましくは1~5等量の範囲内
であることができる。
【0065】
3.3.3 フッ素源
工程Aに用いられる前記「フッ素源」は、好適に、フッ化水素源であることができる。 前記「フッ素源」の例は、
式:MF(当該式中、Mは、H、周期表第一族金属、又は周期表第二族金属であり;及びnは、1又は2である。)で表されるフッ素源)を包含できる。
【0066】
Mは、
好適に、H、Li、Na、K、Ca、又はCsであることができ、
より好適に、H、Na、K、又はCaであることができ、及び
更に好適に、Hであることができる。
【0067】
前記「フッ素源」の例は、また、
無水フッ化水素酸、
フッ化水素酸水溶液(例:濃度10~70重量%のフッ化水素酸水溶液)、
フッ化水素酸と有機塩基との混合物又は複合体、
フッ化水素酸と無機塩基との混合物又は複合体
を包含できる。
【0068】
当該フッ化水素酸と有機塩基との混合物又は複合体は、例えば、
フッ化水素-トリエチルアミン塩[EtN・nHF(n=1~10、又は1~5)]、
フッ化水素-ピリジン塩[Py・nHF(n=1~10)]、及び
フッ化水素-テトラエチルアンモニウムフルオリド塩[EtNF・nHF(n=1~10)]
などの塩であるか、又はこれらに由来するものであることができる。
【0069】
当該混合物中、フッ化水素酸と有機塩基との混合物又は複合体は、例えば、
HF-KF(KHF
などであるか、又はこれに由来するものであることができる。
【0070】
当該フッ素源は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0071】
当該フッ素源の量は、例えば、
基質である化合物(1)に対して、フッ化水素として、
通常1~70モルの範囲内、
好ましくは3~50モルの範囲内、
より好ましくは5~40モルの範囲内、及び
より更に好ましくは10~30モルの範囲内
であることができる。
0.1~1000モルの範囲内、好ましくは0.2~500モルの範囲内、より好ましくは0.3~100モルの範囲内、更に好ましくは0.4~50モルの範囲内、更により好ましくは0.5~30モルの範囲内であることができる。
【0072】
3.3.4 酸
工程Aの反応は、好適に酸の存在下に実施できる。
当該酸の使用量の下限は、例えば、基質である化合物(1)に対して、0.5、0.6、0.8、1、3、又は5であることができる。
当該酸の使用量の上限は、例えば、基質である化合物(1)に対して、50、30、20、又は15であることができる。
当該酸の使用量は、
例えば、
基質である化合物(1)に対して、
通常0.5~50等量の範囲内
好ましくは0.5~30等量の範囲内、
より好ましくは0.6~20等量の範囲内、及び
より更に好ましくは0.8~15等量の範囲内
であることができる。
【0073】
前記「酸」の例としては、
ハロゲン化水素又はハロゲン化水素酸、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸、又は過ハロゲン酸[例:硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、フッ化水素、フッ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、過臭素酸、及び過ヨウ素酸]、
スルホン酸、或いはポリスチレンスルホン酸、フッ素化スルホン酸樹脂[Nafion-H(商品名)]等のポリマー担持スルホン酸[例:フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸]、
モノ若しくはポリカルボン酸[例:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸、ブロム酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸];
ルイス酸、又はそのエーテル錯体[例:SO、BF、BCl、B(OCH、AlCl、AlBr、SbF、SbCl、SbF、PF、PF、AsF、AsCl、AsF、TiCl、NbF、TaF];
ルイス酸とハロゲン化水素とからなる酸[例:HBF、HPF、HAsF、HSbF、及びHSbCl]、又は
これらのエーテル等との錯体、或いは
これらの2種以上の混合物
が挙げられる。
【0074】
3.3.5.工程Aの条件
工程Aの反応は、溶媒の存在下又は不存在下で実施できる。
当該溶媒は、非極性溶媒、又は極性溶媒のいずれでもよく、
その具体例は、
当該溶媒は、非極性溶媒、又は極性溶媒のいずれでもよい。
当該溶媒は、エステル、ケトン、芳香族化合物、アルコール、エーテル、アミン、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、フッ素系溶剤、カーボネイト、又はその他の溶媒、或いはこれらの組合せであることができる。
【0075】
前記溶媒としてのエステルの例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを包含でき、及びその好適な例は、酢酸エチルを包含できる。
【0076】
前記溶媒としてのケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルヘキサノン、及びアセトフェノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールを包含でき、及びその好適な例は、アセトンを包含できる。
【0077】
前記溶媒としての芳香族化合物の例は、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンを包含でき、及びその好適な例は、ベンゼン、及びトルエンを包含できる。
【0078】
前記溶媒としてのアルコールの例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、及びヘキサントリオールを包含でき、及びその好適な例は、メタノール、及びエタノールを包含できる。
【0079】
前記溶媒としてのエーテルの例は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジエチルエーテルを包含でき、及びその好適な例は、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランを包含できる。
【0080】
前記溶媒としてのアミンの例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンを包含できる。
【0081】
前記溶媒としての含窒素極性有機化合物の例は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、及び1,3―ジメチル-2-イミダゾリジノンを包含でき、及びその好適な例は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチル-2-ピロリドンを包含できる。
【0082】
前記溶媒としてのニトリルの例は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、及びアジポニトリルを包含でき、及びその好適な例はアセトニトリルを包含できる。
【0083】
前記溶媒としてのハロゲン化炭化水素の例は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及びクロロトルエンを包含でき、及びその好適な例はジクロロメタン、及びクロロホルムを包含できる。
【0084】
前記溶媒としての脂肪族炭化水素の例は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、及びミネラルスピリットを包含でき、及びその好適な例はシクロヘキサン、ヘプタンを包含できる。
【0085】
前記フッ素系溶剤の例は、ペルフルオロベンゼン、トリフルオロトルエン、ジトリフルオロベンゼン、トリフルオロエタノールを包含でき、及びその好適な例は、ペルフルオロベンゼン、及びトリフルオロエタノールを包含できる。
【0086】
前記溶媒としてのカーボネイトの例は、テトラリンジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートを包含でき、及びその好適な例は、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートを包含できる。
【0087】
前記その他の溶媒の例は、酢酸、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及び水を包含できる。
当該溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0088】
溶媒の使用量は、例えば、
基質である有機化合物(1)の1質量部に対して、
通常0~200質量部の範囲内
好ましくは、0~100質量部の範囲内、及び
より好ましくは0~50質量部の範囲内
であることができる。
【0089】
工程Aの温度は、
通常-78~200℃の範囲内
好ましくは、-10~100℃の範囲内、
より好ましくは、-65~100℃の範囲内、及び
更に好ましくは0~100℃の範囲内
であることができる。
【0090】
工程Aの時間は、
通常0.1~72時間の範囲内
好ましくは、0.1~48時間の範囲内、及び
より好ましくは0.1~36時間の範囲内
であることができる。
【0091】
得られた化合物(2)は、所望により、抽出、溶解、濃縮、析出、脱水、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製できる。
【0092】
本開示の製造方法によれば、原料転化率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
本開示の製造方法によれば、目的化合物の選択率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
本開示の製造方法によれば、目的化合物の収率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
【0093】
4. フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物の製造方法
本開示の別の一態様である製造方法は、
式(1’):
【化11】
[式中、
波線はシス配置又はトランス配置を表し;
、及びRは、水素、又は有機基を表し;及び
Rは、有機基を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
【化12】
[式中、
波線は、シス配置又はトランス配置を表し;
環Aは、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環を表し;及び
、及びRは、同一又は異なって、水素、又は有機基を表す。]
で表されるフッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物[本明細書中、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物(2)と称する場合がある。]を、
式(3):
【化13】
[式中、Rは、前記と同意義を表す。]
で表されるアルキン化合物と反応させる工程B
を含む、製造方法
である。
工程Bの反応は、所望により、金属触媒及び/又は塩基の存在下で行われる。
【0094】
前記金属触媒における金属は、
好適に、遷移金属、及び
より好適に、Cu、Pd、Fe、Zr、Co、Ni、Ru、及びRhからなる群より選択される一種以上の金属
であることができる。
【0095】
前記金属触媒は配位子を有していてもよい。 配位子を有する金属触媒の例は、
パラジウム触媒(例:酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド)
を包含できる。
当該金属触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0096】
前記金属触媒は、好適に、銅化合物との組み合わせにおいて、使用され得る。
当該銅化合物の例は、
塩化銅、臭化銅、及びヨウ化銅
を包含できる。
当該銅化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0097】
前記金属触媒の、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物(2)に対する、使用量の下限は、例えば、0.001等量であることができる。
当該量の上限は、例えば、1等量であることができる。
【0098】
前記塩基の例は、
有機塩基(例:トリエチルアミン、トリブチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン);及び
無機塩基(例:炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸セシウム)
を包含できる。
【0099】
当該塩基は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用され得る。
【0100】
当該塩基の、フッ化ビニル基含有環状超原子価ヨウ素化合物(2)に対する使用量の上限は、例えば、1等量であることができる。
その量の下限は、例えば、50等量であることができる。
【0101】
液体の有機塩基は、工程Bの反応において、溶媒としても使用され得る。
【0102】
工程Bの反応は、溶媒の存在下で実施されてもよい。当該溶媒の例は、前記工程Aについて例示したものを包含できる。
【0103】
溶媒の使用量は、例えば、
基質である有機化合物(1)の1質量部に対して、
通常0~200質量部の範囲内
好ましくは、0~100質量部の範囲内、及び
より好ましくは0~50質量部の範囲内
であることができる。
【0104】
工程Bの温度は、
通常-78~200℃の範囲内
好ましくは、-10~100℃の範囲内、及び
より好ましくは0~100℃の範囲内
であることができる。
【0105】
工程Bの時間は、
通常0.1~72時間の範囲内
好ましくは、0.1~48時間の範囲内、及び
より好ましくは0.1~36時間の範囲内
であることができる。
【0106】
得られた化合物(2)は、所望により、抽出、溶解、濃縮、析出、脱水、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製できる。
【0107】
本開示の製造方法によれば、原料転化率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
本開示の製造方法によれば、目的化合物の選択率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
本開示の製造方法によれば、目的化合物の収率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることができる。
【実施例
【0108】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0109】
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
Pr: ピリジン
mCPBA: メタクロロ過安息香酸
【0110】
実施例1
2-Iodine benzoic acid (1.5 eq.), mCPBA (1.5 eq.)、ジクロロメタン,Py・HF(20 eq.), 1-Octyne 1a (0.5mmol)を加えた。その後、-65℃下にてBF3・OEt2 (10 eq.)を加え室温でさらに撹拌した。その後、クエンチ、分液、溶媒留去、及び精製を行い、収率84%で目的物2aを得た(表1、Entry 1)。
【0111】
実施例2~9
1-Octyne を下記アルキン1b1fに変更した以外同様の操作を行い、対応する目的物2b~2fを得た。結果を表1(Entry 2-7)に示す。
【表1】