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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】物品保管システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231027BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/14 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019152990
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021033627
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】511128620
【氏名又は名称】四国プランニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】河西 清昭
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-199236(JP,A)
【文献】特開2009-224157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0228405(US,A1)
【文献】特開2006-158087(JP,A)
【文献】特開2014-142842(JP,A)
【文献】特開2016-042696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に係止部を有し、管理対象となる物品に取り付けられる連結部材と、
前記係止部を係脱自在に保持する保持部を複数有し、保管場所に設置される管理装置と、
前記管理装置と通信可能なサーバとを備え、
前記保持部は、前記係止部をロックするロック機構を備えており、
前記連結部材は、部材識別情報を有するタグを備え、
前記保持部は、係止される前記連結部材の前記部材識別情報を読み取る読取部を備えており、
前記管理装置は、利用者識別情報の入力により利用者に前記連結部材を貸し出す貸出装置を備え、
前記貸出装置は、貸し出される前記連結部材の前記部材識別情報を前記利用者識別情報と共に前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記貸出装置から受信した前記部材識別情報および前記利用者識別情報を互いに関連付けて記憶し、物品の保管開始時に、前記係止部が係合する前記保持部の保持部識別情報および利用者識別情報を受信して互いに関連付けて記憶して、前記読取部により読み取られた前記部材識別情報と予め記憶されている前記部材識別情報とを照合し、照合結果が一致する場合に前記保持部識別情報に対応する前記ロック機構を作動させるロック信号を前記管理装置に送信し、物品の保管終了時に前記利用者識別情報を受信すると、関連付けられた前記保持部識別情報に基づき前記ロック機構を解除するロック解除信号を前記管理装置に送信する物品保管システム。
【請求項2】
前記連結部材は、長尺状に形成されている請求項1に記載の物品保管システム。
【請求項3】
前記連結部材は、前記係止部が係脱自在に係止される係止受部を備える請求項2に記載の物品保管システム。
【請求項4】
前記物品は、充電池を備えており、
前記連結部材は、前記係止部を前記保持部に係合させることにより、前記管理装置から前記充電池に給電可能な給電ケーブルとして機能する請求項1から3のいずれかに記載の物品保管システム。
【請求項5】
前記連結部材には、保管する物品を収容可能な保管容器が取り付けられている請求項1から4のいずれかに記載の物品保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管システムに関し、より詳しくは、自転車や携行品等の一時預かりに好適に使用することができる物品保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物品保管システムとして、特許文献1には、駐輪場で利用可能な自転車の管理システムが開示されている。この管理システムは、利用者が自身のカードに格納された利用者ID等をカードリーダに読み込ませた後、自転車を保管場所に置くと、自転車に設けられたICタグに格納された利用者IDをタグリーダが読み取り、カードリーダで読み込んだ利用者IDとの照合を行う。自転車の保管中はセンサが自転車を監視して盗難防止が図られており、自転車を引き取る際には、事前にカードの利用者IDを読み込むことで、引取者が正規の利用者であることを判別する。
【0003】
ところが、上記従来の管理システムは、自転車の管理を行うために、利用者IDが書き込まれたICタグを自転車ごとに設ける必要があるため、自転車の管理が煩雑になり易いという問題があった。また、保管中の自転車を単にセンサで監視する構成のため、盗難をより確実に防止する上でも改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-132426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、物品を低コストで確実に保管することができる物品保管システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、先端に係止部を有し管理対象となる物品に取り付けられる連結部材と、前記係止部を係脱自在に保持する保持部を複数有し保管場所に設置される管理装置と、前記管理装置と通信可能なサーバとを備え、前記保持部は、前記係止部をロックするロック機構を備えており、前記連結部材は、部材識別情報を有するタグを備え、前記保持部は、係止される前記連結部材の前記部材識別情報を読み取る読取部を備えており、前記管理装置は、利用者識別情報の入力により利用者に前記連結部材を貸し出す貸出装置を備え、前記貸出装置は、貸し出される前記連結部材の前記部材識別情報を前記利用者識別情報と共に前記サーバに送信し、前記サーバは、前記貸出装置から受信した前記部材識別情報および前記利用者識別情報を互いに関連付けて記憶し、物品の保管開始時に、前記係止部が係合する前記保持部の保持部識別情報および利用者識別情報を受信して互いに関連付けて記憶して、前記読取部により読み取られた前記部材識別情報と予め記憶されている前記部材識別情報とを照合し、照合結果が一致する場合に前記保持部識別情報に対応する前記ロック機構を作動させるロック信号を前記管理装置に送信し、物品の保管終了時に前記利用者識別情報を受信すると、関連付けられた前記保持部識別情報に基づき前記ロック機構を解除するロック解除信号を前記管理装置に送信する物品保管システムにより達成される。
【0008】
また、前記連結部材は、長尺状に形成されていることが好ましく、前記係止部が係脱自在に係止される係止受部を備えることがより好ましい。
【0009】
前記物品が充電池を備える場合、前記連結部材は、前記係止部を前記保持部に係合させることにより、前記管理装置から前記充電池に給電可能な給電ケーブルとして機能させることができる。前記連結部材には、保管する物品を収容可能な保管容器を取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品を低コストで確実に保管することができる物品保管システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る物品保管システムの全体構成図である。
図2】管理装置の正面図である。
図3】管理装置の側面図である。
図4】管理装置の要部拡大図である。
図5】連結部材の側面図である。
図6】管理装置のブロック図である。
図7】サーバにおける預かり処理の手順を説明するためのフローチャートである。
図8】管理テーブルの一例を示す図である。
図9】サーバにおける返却処理の手順を説明するためのフローチャートである。
図10】連結部材の他の使用例を示す側面図である。
図11】保管容器の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る物品保管システム1の全体構成図である。図1に示す物品保管システム1は、サーバ10および管理装置20を備えており、保管対象である自転車等の物品の預かり処理および返却処理を行うことができる。管理装置20は、物品を保管する保管場所に設置されており、複数の管理装置20が異なる保管場所にそれぞれ設置されている。各管理装置20は、インターネット、専用回線、移動体通信網等からなるネットワーク2を介してサーバ10に接続されている。管理装置20は必ずしも複数の場所に設ける必要はなく、1か所のみに設置してもよい。また、サーバ10には、ネットワーク2を介して携帯電話やタブレット端末等の利用者端末30からアクセスすることができる。
【0013】
サーバ10は、通信部11、記憶部12および制御部13を備えている。通信部11はネットワーク2に接続されており、管理装置20や利用者端末30との間で種々のデータの送受信を行うことができる。記憶部12は、ハードディスクやSSD等からなり、オペレーティングシステム(OS)や、物品の預かり処理および返却処理を行うためのプログラムが格納されている。また、記憶部12は、管理装置20や利用者端末30から受信したデータを格納する管理テーブル等を備えている。制御部13は、CPU、RAM、ROM等を備えており、記憶部12から各種のプログラムを読み出して実行する。
【0014】
図2および図3は、それぞれ管理装置20の正面図および側面図である。図2および図3に示すように、管理装置20は、水平に設置された筐体状の本体21と、本体21の近傍に配置された貸出装置28および操作盤29とを備えている。本体21の正面および背面には、複数の保持部22が水平方向に等間隔に設けられている。各保持部22は、本体21の壁面に形成された挿入孔を備えており、保管する自転車Bに固定された長尺状の連結部材40を着脱することができる。
【0015】
図4は、管理装置20の要部拡大図である。図4に示すように、管理装置20の本体21には、保持部22を識別するための保持部識別情報を表示する記号(例えば、「B-1」、「B-2」・・・)やQRコード(登録商標)等の表示部23、および、保持部22の近傍を撮像する認識カメラ24が、各保持部22に対応して設けられている。また、貸出装置28は、利用者のICカード(図示せず)に記憶されている利用者識別情報などを読み取る挿入式(あるいは非接触式)のカードリーダ28aと、利用者が連結部材40の貸し出しを受けるための操作を行うことができるタッチパネル式の操作部28bと、利用者の要求に基づき貸し出される連結部材40を取り出すための取出口を有する貸出部28cと、利用者が連結部材40を返却するための返却口を有する返却部28dとを備えている。操作盤29は、利用者のICカードに記憶されている利用者識別情報などを読み取るカードリーダ29aと、利用者が自転車Bの預かりまたは返却のための操作を行うことができるタッチパネル式の操作部29bと、保管場所に駐輪中の自転車Bを監視する監視カメラ29cとを備えている。
【0016】
図5は、連結部材40の側面図である。図5に示すように、連結部材40は、上述した保持部22に係脱可能な係止部42を先端に有する長尺体41と、長尺体41を自転車BのステムS等に固定する固定部材44とを備えている。長尺体41は、ワイヤやチェーン等により長尺状に形成されており、不使用時のコンパクト化を図るためコイル状に癖付けされている。長尺体41における係止部42の近傍には、連結部材40を識別するための部材識別情報を含むICタグからなるタグ43が取り付けられている。固定部材44は、長尺体41が挿通される挿通部44aを有しており、連結部材40を、利用者以外が自転車Bから取り外しできないように専用のロック部材44bによりステムS等に固定される。長尺体41の基端側は、挿通部44aから脱落しないように、後述する係止受部45により抜け止めされている。
【0017】
図6は、管理装置20のブロック図である。図6に示すように、管理装置20は、通信部211、制御部212および記憶部213が本体21の内部に設けられており、通信部211を介してネットワーク2(図1参照)に接続される。制御部212には、上述した保持部22、貸出装置28および操作盤29が接続されている。
【0018】
各保持部22は、装着される連結部材40のタグ43に含まれる部材識別情報を読み取る読取部221と、連結部材40の係止部42をロックするロック機構222とを備えている。読取部221は、例えばRFIDリーダからなり、タグ43に記憶されている部材識別情報等を非接触で読み取ることができる。読取部221は、タグ43の部材識別情報を読み取り可能であればよく、例えば、読取部221をバーコードリーダやQRコードリーダ等として、タグ43をバーコードやQRコード等としてもよい。ロック機構222は、電磁ロック式であり、制御部212の通電制御により、電磁ソレノイドへの通電中は係止部42のロック状態を保持する一方、電磁ソレノイドへの通電が停止すると係止部42のロックを解除する。
【0019】
次に、上記の構成を備える物品保管システム1により、自転車Bの預かり処理および返却処理を行う方法を説明する。図7は、サーバ10における預かり処理の手順を説明するためのフローチャートである。利用者は、予め会員登録を行うことにより、利用者の氏名、住所、電話番号等の利用者識別情報が格納されたICカードを所有しており、貸出装置28のカードリーダ28aにICカードを挿入し、操作部28bを操作して連結部材40の貸し出しを受ける。貸出装置28は、貸出部28cを作動させて連結部材40を貸し出す際に、部材識別情報をRFIDリーダ等により読み取り、ICカードの利用者識別情報と共にサーバ10に送信する。サーバ10は、これを受けて、利用者識別情報が適正か否かの判断を行った後に、利用者識別情報および部材識別情報を記憶部12の管理テーブルに記憶する(ステップS1)。
【0020】
ついで、利用者は、連結部材40の固定部材44を保管する自転車Bに固定した後、空いている保持部22のいずれかに係止部42を係合させる。そして、操作盤29のカードリーダ29aにICカードを挿入し、操作部29bを操作して、係止部42を係合させた保持部22の表示部23に表示された保持部識別情報を入力する。操作盤29は、入力された保持部識別情報を、ICカードの利用者識別情報と共にサーバ10に送信する。サーバ10は、これを受けて、利用者識別情報および保持部識別情報を管理テーブルに記憶する(ステップS2)。
【0021】
図8は、管理テーブルの一例を示す図である。管理テーブルには、上記のステップS1において、利用者識別情報および部材識別情報が互いに関連付けられて記憶され、上記のステップS2において、ステップS1で記憶された利用者識別情報に保持部識別情報が関連付けられて記憶される。管理テーブルには、その他に、連結部材40を貸し出した貸出日時と、自転車Bの保管を開始した保管開始日時などが記憶される。
【0022】
連結部材40の係止部42が保持部22に装着されると、連結部材40のタグ43に格納された部材識別情報が読取部221により読み取られて、保持部識別情報と共にサーバ10に送信される。サーバ10は、これを受けて、保持部識別情報を検索キーとして記憶部12の管理テーブルを検索し、管理テーブルから抽出した部材識別情報と、読取部221が読み取った部材識別情報とを照合する(ステップS3)。
【0023】
サーバ10は、照合結果が一致する場合に正規の利用と判断し、管理装置20にロック信号を送信する(ステップS4)。管理装置20の制御部212は、これを受けて、該当する保持部22のロック機構222を作動させて、係止部42をロックする。こうして、預かり処理が終了し、自転車Bの保管が開始される。なお、自転車Bが確実に駐輪されていることは、管理装置20の認識カメラ24による撮像データに基づいて把握することも可能であり、この撮像データも併用して、サーバ10からロック信号を送信するように構成することもできる。一方、ステップS3において照合結果が一致しない場合には、正規の利用でないと判断し、操作盤29等を通じてその旨を利用者に告知すると共に、管理テーブルに格納したデータを消去して、預かり処理を終了する。
【0024】
上記のステップS2は、利用者が操作盤29を操作する代わりに、利用者端末30からサーバ10にアクセスして行うこともできる。利用者は、サーバ10のウェブページにアクセスし、利用者登録により予め入手した利用者識別情報およびパスワードを入力してログインした後、連結部材40を係合させた保持部22の表示部23に表示された保持部識別情報を、カメラ機能によるQRコードの読み取りや利用者のキー入力等により取得して、サーバ10に送信する。これにより、利用者識別情報および保持部識別情報をサーバ10において受信することができ、管理テーブルに記憶することができる。
【0025】
上記のステップS3における部材識別情報の照合は必須のものではなく、保管する物品を利用者識別情報および保持部識別情報のみで管理することもできる。この場合は、連結部材40がタグ43を備えない構成であってもよい。
【0026】
図9は、サーバ10における返却処理の手順を説明するためのフローチャートである。利用者が操作盤29のカードリーダ29aにICカードを挿入し、操作部29bを操作して、返却を希望する物品の連結部材40が装着された保持部22に対応する1または複数の保持部識別情報を入力する。操作盤29は、入力された保持部識別情報をICカードの利用者識別情報と共に送信し、サーバ10が、利用者識別情報および保持部識別情報を受信する(ステップS11)。
【0027】
ついで、サーバ10は、記憶部12の管理テーブル(図8参照)を検索し、該当する利用者識別情報および保持部識別情報の組み合わせが存在する場合には、操作盤29を介して利用者に課金画面を表示し、利用者の承諾後に課金処理を行う(ステップS12)。なお、保管中の物品が1つのみの場合には、サーバ10は、管理装置20から利用者識別情報のみを受信し、利用者識別情報に基づいて管理テーブルを検索するように構成してもよい。管理テーブルに利用者識別情報が存在しない場合には、操作盤29にその旨を表示して返却処理を終了する。
【0028】
次に、サーバ10は、管理装置20にロック解除信号を送信する(ステップS13)。管理装置20の制御部212は、これを受けて、該当する保持部22のロック機構222を解除し、連結部材40を保持部22から取り外し可能にする。この後、利用者は、専用鍵を用いて連結部材40を自転車Bから取り外し、貸出装置28の返却部28dに投入して返却する。サーバ10は、貸出装置28から返却信号を受信すると、該当する利用者識別情報および保持部識別情報を管理テーブルから削除して、返却処理を終了する。
【0029】
本実施形態の物品保管システム1は、自転車Bを保管対象としているが、自動二輪車やカート等の他の車両であってもよく、更には、鞄やスポーツ用品等の携行品のように、連結部材を固定可能な種々の物品の保管に使用することができる。本実施形態の物品保管システムは、ロック機構が、保管物品を直接ロックするのではなく、保管物品に取り付けられる連結部材の係止部をロックするように構成されているので、保管対象となる物品の形状や大きさ等に拘らず、ロック機構をコンパクトに構成することができ、物品の保管を低コストで確実に行うことができる。また、連結部材が係止された保持部の保持部識別情報を利用者識別情報に対応付けて記憶することにより、利用者識別情報を有するタグを物品ごとに設ける必要がないため、管理を容易にして運営の低コスト化を図ることができる。連結部材は、物品の保管終了後に他の物品の保管に再利用することができ、この点からも低コスト化を図ることができる。
【0030】
保管対象となる物品が、電動式自転車などのように充電池を備える場合には、連結部材40を給電ケーブルとして機能させることで、係止部42を保持部22に係合させたときに、管理装置20を作動するための電源等から給電ケーブルを介して充電池に給電することができる。これにより、物品を保管場所に保管している間に、充電池を効率良く充電することができる。
【0031】
本実施形態の連結部材40は、物品の保管時に貸出装置28から貸し出し可能に構成しているが、保管を定期的に行うような物品の場合には、物品に予め取り外し不能に固定してもよい。この場合、連結部材40は、図5に示すように、長尺体41の基端側に、係止受部45を設けてもよい。係止受部45は、係止部42が係脱自在に係止される装着部45aと、ロックキー45bとを備えており、係止部42が係止受部45に係止された状態でロックキー45bを抜き取ることにより、係止部42を係止受部45に固定することができる。これにより、図10に示すように、長尺体41によりループを形成して手すりR等に取り付けることができ、連結部材40をチェーン錠やワイヤ錠等として、保管場所以外における一時駐輪用の鍵として使用することができる。ロックキー45bを利用して係止部42を係止受部45に固定する代わりに、連結部材40のタグ43の情報を利用者端末30で読み取ることにより、サーバ10との通信により開閉可能な電子キーとすることもできる。
【0032】
また、連結部材40は、物品に直接取り付ける代わりに、物品を収容する保管容器に取り付けてもよい。図11は、保管容器の一例を示す正面図である。保管容器50は、折り畳み可能な蛇腹状に形成されており、上部開口を覆う蓋体51がスライドファスナー52により開閉可能に設けられている。スライドファスナー52は、挿通孔を有する2つのスライダー53,54を備えており、周方向の両端部から2つのスライダー53,54を互いに接近させて接合することにより、保管容器50を閉止することができる。連結部材40は、長尺体41の基端側が保管容器50の下部に取り付けられている。
【0033】
物品の保管時には、保管容器50に物品を収容した後、2つのスライダー53,54を操作してスライドファスナー52を閉じてから、スライダー53,54の挿通孔に連結部材40の係止部42を挿通して、係止部42を保持部22に係止させる。これにより、保管容器50を開放不能な状態に維持することができ、収容された物品を確実に保管することができる。保管容器50は、貸出装置28から連結部材40と共に貸し出し可能に構成してもよく、あるいは、連結部材40とは別の装置から個別に貸し出し可能に構成してもよい。保管容器50は、貸し出す代わりに利用者が所有するものであってもよく、連結部材40に上記の係止受部45を設けることにより、連結部材40を保管場所以外での一時保管用の鍵として使用することができる。
【0034】
本実施形態においては、物品を保管する利用者(保管者)と物品の返却を受ける利用者(受領者)とが同じである場合を想定しているが、保管者と受領者とは互いに異なる利用者であってもよい。この場合、保管者が、本実施形態と同様に保管者の利用者識別情報に基づきサーバ10にアクセスして、受領者の利用者識別情報を入力することにより、サーバ10が預かり処理を行う際に、保管者の利用者識別情報と受領者の利用者識別情報とを関連付けて、管理テーブルに記憶することができる。これにより、受領者は、受領者の利用者識別情報に基づいてサーバ10にアクセスして、物品を受領することが可能になる。物品保管システム1をこのように構成することで、例えば、宅配業者および顧客をそれぞれ保管者および受領者として、マンション等の宅配ボックスとして利用することができる。保管する物品は、本実施形態と同様に、保管容器に収容してもよく、あるいは、大型の物品等には連結部材を直接取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 物品保管システム
10 サーバ
20 管理装置
22 保持部
28 貸出装置
30 利用者端末
40 連結部材
41 長尺体
42 係止部
45 係止受部
B 自転車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11