(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】二枚貝の生剥き身処理装置
(51)【国際特許分類】
A22C 29/04 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
A22C29/04
(21)【出願番号】P 2020084914
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591048324
【氏名又は名称】株式会社タイヨー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】丸山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山本 巧
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-285345(JP,A)
【文献】特開平10-313772(JP,A)
【文献】特開平10-304819(JP,A)
【文献】特表2013-507973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚貝の一方の殻外面を吸着する第一の吸着機構と、
前記第一の吸着機構によって前記一方の殻外面を吸着しつつ前記二枚貝の他方の殻外面を吸着するとともに前記二枚貝を開殻させる第二の吸着機構と、
前記第一の吸着機構と第二の吸着機構とによって開殻された前記二枚貝の開口側から差し込まれ、前記二枚貝内の身接続箇所を剥離させるとともに、前記二枚貝の蝶番部分を破壊する剥離機構と、
前記剥離機構によって破壊されて第一の吸着機構に吸着された一方の殻内に残る身を回収する身回収機構と、を含むことを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置。
【請求項2】
前記剥離機構は、第二の吸着機構が上殻を吸着して上殻と下殻とを強制的に開いた時を契機に、前記上殻と下殻との開口領域に向けて前進移動し、前記開口領域から貝内部に挿入する剥離部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二枚貝の生剥き身処理装置。
【請求項3】
前記上殻と下殻とを強制的に開いたタイミングで前記剥離部を、前記開口領域に案内するガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記タイミングで前記剥離部を前記開口領域に案内できるように揺動可能に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の二枚貝の生剥き身処理装置。
【請求項4】
前記第一の吸着機構は、駆動源と連携されて反時計回り方向に回転可能に構成された中空状の回転軸と、
前記回転軸の外周にて、前記回転軸と同心円上に配される円筒状のドラム部と、
前記回転軸の中空内部と連通して周面から放射状に複数備えられ、前記ドラム部との間にわたって掛け渡される接続管部と、
前記回転軸の中空内部に配される吸気部と、を含み、
前記ドラム部は、前記接続管部と連通状に構成され、前記吸気部からのエア吸い込みにより、下殻外面を吸着する第一の殻受け部をドラム周方向に複数備え、
前記吸気部は、下殻が上殻から分離され、前記身回収機構によって下殻内から身を回収した後、次の吸気位置に至るまでの間、非吸気領域を配して構成されており、
前記第二の吸着機構は、前記第一の吸着機構と同期させて時計回り方向に回転可能に構成された中空状の回転軸と、
前記回転軸の外周にて、前記回転軸と同心円上に配される円筒状のドラム部と、
前記回転軸の中空内部と連通して周面から放射状に複数備えられ、前記ドラム部との間にわたって掛け渡される接続管部と、
前記回転軸の中空内部に配される吸気部と、を含み、
前記ドラム部は、前記接続管部と連通状に構成され、前記吸気部からのエア吸い込みにより、上殻外面を吸着する第二の殻受け部をドラム周方向に複数備え、
前記吸気部は、上殻が下殻から分離された後、次の吸気位置に至るまでの間、非吸気領域を配して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の二枚貝の生剥き身処理装置。
【請求項5】
処理対象二枚貝がホタテ貝であって、
前記身回収機構は、中腸線及び外套膜を回収する第一の回収部と、閉殻筋を回収する第二の回収部と、を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二枚貝の生剥き身処理装置。
【請求項6】
二枚貝の一方の殻外面を吸着する第一の吸着工程と、
前記第一の吸着工程によって前記一方の殻外面を吸着しつつ前記二枚貝の他方の殻外面を吸着するとともに前記二枚貝を開く第二の吸着工程と、
前記第一の吸着工程と第二の吸着工程とによって開かれた前記二枚貝の開口側から剥離機が差し込まれ、前記二枚貝の小柱を殻内面から剥離させるとともに、前記二枚貝の蝶番部分を破壊する剥離工程と、
前記剥離工程によって破壊されて第一の吸着機構に吸着された一方の殻内に残る身を回収する身回収工程と、を含むことを特徴とする二枚貝の生剥き身処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚貝から貝柱などの身を生の状態のまま取り出すことのできる二枚貝の生剥き身処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホタテ貝は、膨らみの大きい殻(右殻)と膨らみの小さい殻(左殻)とが、蝶番部分で連結されて合わさっている。
そして、殻内には、貝柱と称される断面円形の横紋筋(閉殻筋)と、その傍に存する小柱と称される断面三日月型の平滑筋と、横紋筋の傍に存するウロと称される内臓部分(中腸腺)と、横紋筋とウロの周りに存するひもと称される外套膜とを有し、横紋筋(閉殻筋)で二枚の殻同士を閉じ、平滑筋(小柱)で引き寄せて強直状態を保っている。
貝柱とひもは食用として利用され、ウロは食されることもあるが、廃棄されることが多い。
特に、貝柱は、生(生食用)、冷凍、ボイル、あるいは乾燥させて市場に流通される。中でも生食用の剥き身貝柱のニーズは市場価値が高い。
【0003】
ホタテ貝からの生食用貝柱の分離は、作業員による手作業で主として行なわれている。
この場合、作業員が専用の治具を使って、貝を一つ一つ開くとともに、殻内面に付着している平滑筋(小柱)を剥がし、貝柱と、ひもと、ウロと、をそれぞれ分離処理している。
しかし、長時間の立ち作業と多量の水を扱う厳しい作業環境においては、作業員の就業人口の減少が進み、さらに作業員の老齢化も重なって、労働力の確保が大変困難となっているとの課題を有している。
そこで、このような問題点を解決するため、貝柱の自動分離(剥き取り)装置が種々提案されてきた。
【0004】
特許文献1には、プラズマアークにより2枚貝の貝柱の外側で貝殻を加熱して貝柱を分離するようにした技術的手段が開示されている。
特許文献2には、貝柱の上端側を加熱するとともに他の一方を冷却させ、加熱は95℃以下の温水で行い冷却は冷却水により、貝殻の大きさに応じた作用時間を厳密に設定管理・制御できる技術的手段が開示されている。
【0005】
しかし、いずれの従来技術にあっても、原貝の外から横紋筋(閉殻筋)や平滑筋(小柱)あたりに熱を加えることによって、右殻と左殻との結合力を弛緩させるものであるが、貝殻を加熱することで少なからずとも貝柱などの身の部分も多少とも熱が加わってしまい、完全なる生での提供は難しく需要者のニーズには到底応えられるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭64-39931号公報
【文献】特開平9-74993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的とするところは、加熱処理を行うことなく原貝から貝柱などの身を完全に生のままで取り出すことを可能とした二枚貝の生剥き身処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、第1の本発明は、二枚貝の一方の殻外面を吸着する第一の吸着機構と、
前記第一の吸着機構によって前記一方の殻外面を吸着しつつ前記二枚貝の他方の殻外面を吸着するとともに前記二枚貝を開殻させる第二の吸着機構と、
前記第一の吸着機構と第二の吸着機構とによって開殻された前記二枚貝の開口側から差し込まれ、前記二枚貝内の身接続箇所を剥離させるとともに、前記二枚貝の蝶番部分を破壊する剥離機構と、
前記剥離機構によって破壊されて第一の吸着機構に吸着された一方の殻内に残る身を回収する身回収機構と、を含むことを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置としたことである。
【0009】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記剥離機構は、第二の吸着機構が上殻を吸着して上殻と下殻とを強制的に開いた時を契機に、前記上殻と下殻との開口領域に向けて前進移動し、前記開口領域から貝内部に挿入する剥離部を備えていることを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置としたことである。
【0010】
第3の本発明は、第2の本発明において、前記上殻と下殻とを強制的に開いたタイミングで前記剥離部を、前記開口領域に案内するガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記タイミングで前記剥離部を前記開口領域に案内できるように揺動可能に配設されていることを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置としたことである。
【0011】
第4の本発明は、第3の本発明において、前記第一の吸着機構は、駆動源と連携されて反時計回り方向に回転可能に構成された中空状の回転軸と、
前記回転軸の外周にて、前記回転軸と同心円上に配される円筒状のドラム部と、
前記回転軸の中空内部と連通して周面から放射状に複数備えられ、前記ドラム部との間にわたって掛け渡される接続管部と、
前記回転軸の中空内部に配される吸気部と、を含み、
前記ドラム部は、前記接続管部と連通状に構成され、前記吸気部からのエア吸い込みにより、下殻外面を吸着する第一の殻受け部をドラム周方向に複数備え、
前記吸気部は、下殻が上殻から分離され、前記身回収機構によって下殻内から身を回収した後、次の吸気位置に至るまでの間、非吸気領域を配して構成されており、
前記第二の吸着機構は、前記第一の吸着機構と同期させて時計回り方向に回転可能に構成された中空状の回転軸と、
前記回転軸の外周にて、前記回転軸と同心円上に配される円筒状のドラム部と、
前記回転軸の中空内部と連通して周面から放射状に複数備えられ、前記ドラム部との間にわたって掛け渡される接続管部と、
前記回転軸の中空内部に配される吸気部と、を含み、
前記ドラム部は、前記接続管部と連通状に構成され、前記吸気部からのエア吸い込みにより、上殻外面を吸着する第二の殻受け部をドラム周方向に複数備え、
前記吸気部は、上殻が下殻から分離された後、次の吸気位置に至るまでの間、非吸気領域を配して構成されていることを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置としたことである。
【0012】
第5の本発明は、第1の本発明乃至第4の本発明のいずれかにおいて、処理対象二枚貝がホタテ貝であって、
前記身回収機構は、中腸線及び外套膜を回収する第一の回収部と、閉殻筋を回収する第二の回収部と、を含むことを特徴とする二枚貝の生剥き身処理装置としたことである。
【0013】
第6の本発明は、二枚貝の一方の殻外面を吸着する第一の吸着工程と、
前記第一の吸着工程によって前記一方の殻外面を吸着しつつ前記二枚貝の他方の殻外面を吸着するとともに前記二枚貝を開く第二の吸着工程と、
前記第一の吸着工程と第二の吸着工程とによって開かれた前記二枚貝の開口側から剥離機が差し込まれ、前記二枚貝の小柱を殻内面から剥離させるとともに、前記二枚貝の蝶番部分を破壊する剥離工程と、
前記剥離工程によって破壊されて第一の吸着機構に吸着された一方の殻内に残る身を回収する身回収工程と、を含むことを特徴とする二枚貝の生剥き身処理方法としたことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱処理を行うことなく原貝から貝柱などの身を完全に生のままで取り出すことを可能とした二枚貝の生剥き身処理装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態を示す概略平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示す概略側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示す概略平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態を示す概略正面図である。
【
図10】回転軸と接続管部との連結部分を拡大して示す概略断面図である。
【
図11】第一の吸着機構における回転軸と吸気部との関係を示す概略図である。
【
図12】第二の吸着機構における回転軸と吸気部との関係を示す概略図である。
【
図13】回転軸と接続管部との関係を示す概略断面図である。
【
図14】第一の吸着機構を構成する第一の殻受け部を示す概略図であって、(a)はバキュームパッドの概略断面図、(b)は全体概略断面図である。
【
図15】第二の吸着機構を構成する第二の殻受け部を示す概略図であって、(a)はバキュームパッドの概略断面図、(b)は全体概略断面図である。
【
図16】(a)はバキュームナットの概略平面図、(b)はバキュームナットの概略側面図、(c)はトリガーピンの概略側面図である。
【
図18】
図14(b)の概略拡大図で、トリガーピンがコイルスプリングの弾性力に抗して下方に吸い付けられている状態を示す。
【
図19】回転軸と吸気部との関係を示す概略図で、剥離機構吊下げ状態を示す。
【
図21】(a)は剥離機構の概略背面図、(b)は剥離機構を構成するスクレーパの概略図である。
【
図22】剥離機構を構成するガイド部の概略側面図である。
【
図23】側板部を省略したガイド部を示す概略斜視図である。
【
図24】ガイド部のガイド部本体部分を拡大して示す概略断面図である。
【
図25】第一の回収部の概略図で、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【
図26】第二の回収部の概略図で、(a)は概略側面図、(b)は掻き取り部を装着していない状態の概略背面図、(c)はスクレーパの概略図、(d)はスクレーパを装着した状態の概略平面図である。
【
図27】本実施形態の動作状態を示す概略説明図である。
【
図28】原貝セット機構の概略図で、原貝セット位置に第一の殻受け部が近づいている状態を示す。
【
図29】原貝セット機構の概略図で、押圧クランク部が原貝の上面を押圧して第一の殻受け部に吸着されている状態を示す。
【
図30】押圧クランク部と間欠供給部との位置関係を示す概略斜視図である。
【
図31】
図28に示す原貝セット機構の概略拡大図で、最下位の原貝が腕部上に位置し、間欠供給部の第一の受け部が、次の原貝を受けている状態を示す。
【
図32】
図31の状態から押圧クランク部が腕部方向に向けて回動するとともに、押圧クランク部によって押された間欠供給部が、押圧クランク部の回動方向とは逆方向に回動して間欠供給部の第一の受け部から原貝が外れていく状態を示す。
【
図33】
図29に示す原貝セット機構の概略拡大図で、
図32の状態から押圧クランク部が腕部方向に向けてさらに回動して腕部上に位置する原貝の上面を押圧して第一の殻受け部に原貝が吸着され、間欠供給部がさらに押圧クランク部と反対方向に向けて回動して間欠供給部の第一の受け部から第二の受け部へと原貝が移動した状態を示す。
【
図34】原貝セット機構における整列枠の概略平面図で原貝をセットしている状態を示す。
【
図35】原貝セット機構における原貝セット部の腕部と、第一の吸着機構における第一の殻受け部と、原貝との関係を示す正面図で、原貝が第一の殻受け部に吸着された状態を示す。
【
図36】原貝セット機構における原貝セット部の腕部と、第一の吸着機構における第一の殻受け部と、原貝との関係を示す正面図で、原貝が第一の殻受け部に吸着される前の状態を示す。
【
図37】剥離機構と第一の回収部の動作状態を示す概略図で、スクレーパの待機状態、第一の回収部の待機状態をそれぞれ示す。
【
図38】剥離機構と第一の回収部の動作状態を示す概略図で、スクレーパが原貝の開口領域から挿入されている状態、第一の回収部が原貝の下殻に付着する中腸線(ウロ)及び外套膜(ひも)を吸い込む状態を示す。である。
【
図39】第二の回収部の動作状態を示す概略図で、待機状態を示す。
【
図40】第二の回収部の動作状態を示す概略図で、掻き取りへらが閉殻筋(貝柱)を掬い取ろうとしている状態を示す。
【
図41】第二の回収部の動作状態を示す概略図で、掻き取りへらが閉殻筋(貝柱)を掬い取り、閉殻筋(貝柱)シュータ上を滑り落ちている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態は本発明の一例にすぎずなんらこれに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0017】
本実施形態では、本発明の一例として、ホタテ貝(二枚貝)の生剥き身処理装置を想定する。
【0018】
本実施形態のホタテ貝の生剥き身処理装置1は、第一の吸着工程と、第二の吸着工程と、剥離工程と、身回収工程と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態では、第一の吸着工程の前に、原貝200をホッパー3に投入する原貝投入工程と、原貝投入工程後、ホッパー3から出てきた原貝200の殻外面に付着している藻やゴミなどを専用の除去装置5を介して除去する洗浄工程と、洗浄工程後、送られてきた原貝200を、第一の吸着工程に移行する前に高さ方向に並列させる準備工程と、を採用している。
【0019】
準備工程は、洗浄工程を経て外面が洗浄された原貝200を、高さ方向(図中符号H1の方向)に複数個並列させるとともに、第一の吸着工程により一定間隔で順次送られてくる第一の殻受け部(第一の吸着機構)上にセットさせる原貝セット機構15を備えている(
図1乃至
図3参照)。
【0020】
原貝セット機構15は、生剥き身処理装置1の架台11に備えられている原貝セットコンベア9の前方にて、第一の吸着機構33のドラム部35の上方に迫り出すように配設されている(
図2、
図3、
図27乃至
図36参照。)。
原貝セットコンベア9は、洗浄工程を経て送られてきた洗浄後の原貝200が集められる。
原貝セットコンベア9は、例えば、所定位置に透過センサ(図示省略)が配設されており、この透過センサにより、常時、原貝の検出をしている。すなわち、この透過センサが原貝を検出しなくなったら原貝セットコンベア9が可動して原貝をコンベア9上に用意し、原貝を検出したら停止して原貝の搬送(原貝セットコンベア9の可動)をストップするようにON,OFF構成されている。
なお、原貝セットコンベア9は、所定時間毎に間欠作動するように設計するか、あるいは作業者の任意のタイミングで作動,停止可能なようにON,OFFスイッチ切替可能な構成に設計することも可能である。
原貝セットコンベア9の下方には、作業者が立つステップ部7が配設されている。
【0021】
原貝セット機構15は、原貝200を高さ方向H1に複数個並列させる整列枠17と、当該整列枠17内で高さ方向で下位に位置している原貝200を受け、かつ第一の吸着機構33の第一の殻受け部47上に原貝200を順次自動的にセットしていく原貝セット部27と、を含んで構成している(
図2、
図27乃至
図36参照。)。
なお、原貝200を整列枠17にセットさせる作業は、作業者の手作業によって行われ、原貝200の膨らみの大きい殻、すなわち下殻(右殻)201を下に、膨らみの小さい殻、すなわち上殻(左殻)203を上にして、かつ蝶番205部分を手前側(本実施形態では、
図2に示すように作業者が立つステップ部7に対向する側)にして高さ方向H1に複数個重ね合わせるようにしてセットする。
なお、本実施形態では、整列枠17に対して原貝200を複数個重ね合わせるようにしてセットする構成を採用しているが、原貝200を一つずつセットするように構成すること等も可能であって本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0022】
整列枠17は、架台11から鉛直方向(
図2中、矢印H1で示す高さ方向)で上方に向けて一体に立設される断面視で略L字型の基台13の上板13aに一体に設けられている。本実施形態では、鉛直方向H1に対して所定角度をもって手前側(本実施形態では、
図2に示すように作業者が立つステップ部7に対向する側)に傾斜させて立設されている。
整列枠17は、平面視で略三角形状とした左枠19と右枠21とで構成され、左枠19と右枠21は、それぞれ上板13aから手前側に向けて傾斜状に一体に設けられている支持枠23,23と一体に成形されて傾斜状に設けられている。
【0023】
左枠19と右枠21は、それぞれ長尺矩形状の二枚のプレートからなる平面視で三角形状の枠部材であって、左枠19と右枠21のそれぞれの二枚のプレート同士で形成されている内角同士を対向させ、かつそれぞれの間に所定間隔S1をあけて配設されている(
図34参照。)。
【0024】
所定間隔S1とは、本実施形態によれば、所定サイズ以下のホタテ貝の原貝200が収容可能で、かつ蝶番部分201を左枠19と右枠21との間に形成された手前側間隙部25から外方に突出可能なサイズに設定される。また、この所定間隔S1は、第一の吸着機構33のドラム部35に備えられる第一の殻受け部47の外径47aよりも大径に形成されている。
なお、所定間隔S1は本発明の範囲内で適宜設計変更可能であって特に限定解釈されるものではない。
また、整列枠17の傾斜形態は本実施形態の図示例に限定解釈されるものではなく、第一の吸着機構33の第一の殻受け部47上に原貝200をセットするに適した傾斜形態が本発明の範囲内で適宜設計可能である。
【0025】
原貝セット部27は、基台13の上板13aの上面にて回動可能に配設されている回動軸30と、整列枠17の左枠19と右枠21との間にて、回動軸30と同期して回動可能に下端701側が固定されて配される押圧クランク部700と、押圧クランク部700の前方かつ上方に備えられた軸721に回動可能に配される間欠供給部711と、整列枠17の下方にて、回動軸30と同期して回動可能に固定され、整列枠17内で高さ方向H1の最も下位に位置している原貝200を受ける左右二本の腕部29,29と、を備えている(
図27乃至
図36参照。)。
【0026】
回動軸30は、例えば、その一端側に鉛直方向に一体に立設された連結杆500を備えており、連結杆500の上端には、架台11の所定位置に配設したシリンダ機構600のシリンダロッド601が接続されている(
図2)。
このシリンダロッド601は、後述する第一センサ145からの第二サイドプレート39のスポーク部40の通過検出信号を受けて前後進(伸縮)作動するよう構成されている。
【0027】
押圧クランク部700は、下端701,701から上端705,705に向けて拡開する側面視で扇形状を有する左右の側壁702,702と、側壁702,702の上端705,705間にわたって架設される上壁704と、側壁702,702の前端間にわたって架設される前壁706と、で構成されている(
図27乃至
図33参照。)。
【0028】
間欠供給部711は、下端から上端に向けて拡開する側面視で扇形状を有する左右の側壁714,714と、側壁714,714の上端間にわたって架設される上壁716と、側壁714,714の前端間にわたって架設される前壁717と、側壁714,714の後端間にわたって架設される後壁719と、で構成され、前壁717の上端には、横方向にわたって前方に突出する舌片713aを設けることで凹状に連続した第一の受け部713が設けられ、前壁717の下端には、横方向にわたって前方に突出する舌片715aを設けることで凹状に連続した第二の受け部715が設けられている(
図27乃至
図33参照。)。
【0029】
間欠供給部711は、左右の支持枠23,23の背面側(
図31にて向かって右側)にて、上板13aから立設された左右の取付板部24,24の上端(先端)間にわたって備えられた軸721のまわりを回動可能に配されている。
そして、軸721位置よりも下がった位置で、押圧クランク部700の前壁上端706a領域が、後壁719と接するように構成されている(
図27乃至
図33)。
また、本実施形態では、間欠供給部711が弾性部材(スプリング)723によって、常に、前方(
図2及び
図31において向かって左方向)に回動するように付勢されている(
図31乃至
図33参照。)。
【0030】
腕部29,29は、原貝200の左右端領域部分を受け得る長さを有する側面視で略L字形の棒状に形成され、整列枠17内の所定間隔S1幅よりも内側に位置するように配設される(
図34乃至
図36参照。)。
また、この左右の腕部29,29同士の離間距離L1は、第一の殻受け部47の外径(直径)47aよりも広く設定されている(
図28及び
図29、
図34、
図35及び
図36参照。)。
本実施形態の腕部29は、それぞれの先端側が、大きな湾曲面を有する下殻(右殻)201の外面をしっかりとホールドできるように大きな湾曲状に構成されている(
図31参照。)。
【0031】
本実施形態において左右の腕部29,29は、基台13の上板13aの上面にて回動可能に配設されている回動軸30に基端31側が回動可能に取り付けられている(
図2、
図27乃至
図33)。また、腕部29は、弾性部材(スプリング)などによって、例えば、
図2において時計回り方向に付勢されている。
【0032】
すなわち、シリンダロッド601が後退移動(
図2にて向かって左方向に収縮)すると、連結杆500を前方(
図2にて反時計回り方向)へと引き寄せるように動かし、回転軸30が、
図2にて反時計回り方向に回動する。これにより、回動軸30と一体に配設されている押圧クランク部700が、
図2にて反時計回り方向へと移動する(
図31の状態から
図33の状態へと移動する)。
【0033】
一方、シリンダロッド601が前進移動(
図2にて向かって右方向に伸長)すると、連結杆500を後方(
図2にて時計回り方向)へと押し倒すように動かし、回転軸30が、
図2にて時計回り方向に回動する。
これにより、回動軸30と一体に配設されている押圧クランク部700が、
図2にて時計回り方向へと移動する。すなわち、
図33の状態から
図31の状態に戻るように移動する。
【0034】
なお、押圧クランク部700と左右の腕部29は、一定のスピード、すなわち、順次回ってくる第一の殻受け部47上に一つずつ原貝200をセットし得るスピードで自動的に回動するように制御することも可能で本発明の範囲内である。
【0035】
第一の吸着工程は、第一の吸着機構33を介して原貝(ホタテ貝)200の下殻(右殻)201の外面を吸着する第一の吸着機構33を備えている。
【0036】
第一の吸着機構33は、駆動源300側と第一ベルト123を介して連携されて回転可能に構成された中空状の回転軸103と、回転軸103の外周にて、回転軸103と一体で同心円上に配される円筒状のドラム部35と、回転軸103の周面から放射状に複数備えられ、ドラム部35との間にわたって掛け渡される接続管部115と、回転軸103の中空内部に配される吸気部(固定軸)107と、を含んで構成されている。本実施形態における第一の吸着機構33を構成するドラム部35は、架台11の所定位置に配設される駆動源によって、反時計回り方向の回転動作が伝達される(
図2、
図27参照。)。なお、本実施形態の駆動系を示す
図9は
図2や
図27の裏側(反対側)から見た状態を示すため、
図9では矢印で示すような時計回り方向となる。
【0037】
ドラム部35は、同一径の円板状に形成される第一サイドプレート37及び第二サイドプレート39と、第一サイドプレート37と第二サイドプレート39のそれぞれの外周面が、内周面に当接して一体に構成されている円筒状のドラム本体43と、で構成されている。
【0038】
ドラム本体43の外周面には、円形状の開口孔部45が、周方向に所定間隔をあけて複数個設けられている。
本実施形態では、軸方向(
図3、
図5、
図6にて矢印A1にて示す方向)に所定間隔をあけて二列で開口孔部45が設けられている。それぞれの列の開口孔部45は軸方向A1で同一位置に設けられている。
そして、それぞれの開口孔部45には、原貝200の下殻(右殻)201の殻外面を受ける第一の殻受け部47が一体に配設される。すなわち、本実施形態では、周方向に所定間隔で複数個備えられるとともに、軸方向に並んで二列で隣り合って備えられている。
【0039】
第一のサイドプレート37と第二のサイドプレート39は、中心から円環状外枠38に向けて複数のスポーク部40を所定間隔で複数設けることにより、隣り合う各スポーク部40間に略三角形状の窓部41を設けた円板状に形成され、ドラム本体43の内径側で、それぞれドラム本体43の外側から所定距離内側に入った位置にて、外周面がドラム本体43の内周面に当接して一体に設けられている。
第一のサイドプレート37と第二のサイドプレート39は、それぞれ同一の外径を有するとともに、中心領域には、回転軸103が挿通される軸孔が形成されている。
【0040】
ドラム本体43に設けられる開口孔部45は、これら第一のサイドプレート37と第二のサイドプレート39とで形成される内側領域に対応したドラム本体43の外周面に開口されている。
【0041】
第一の殻受け部47は、円筒状のベース部49と、ベース部49の開口側の上面に一体に連結されて設けられるバキュームパッド67と、ベース部49内に備えられるバキュームナット77及びトリガーピン87と、を含んで構成されている(
図14、
図16乃至
図18参照。)。
【0042】
ベース部49は、上端に大径の開口を有して中空円筒状に形成された第一のベース部51と、当該第一のベース部51の下端に一体成形され、下端に小径の開口を有して中空円筒状に形成された第二のベース部61とが連通状に一体成形されている。
【0043】
第一のベース部51は、開口側の上面内縁にバキュームパッド67の下端側を密着して一体に嵌合可能な嵌合突部53及び嵌合溝部55を周設し、中央領域には、バキュームナット77とトリガーピン87とを収容可能な中空円筒状の収容部57を凹設している。収容部57の底面中央には第二のベース部61の中空領域と連通する連通孔59が設けられている。
【0044】
第二のベース部61は、第一のベース部51の連通孔59と連通するとともに、その下端の開口側に、接続管部115の上端を収容して連結する中空円筒状の管部連結孔63を設けている。なお、本実施形態では、この管部連結孔63と第一のベース部51の連通孔59との間に、前記管部連結孔63よりも小径の円環状のトリガーピン移動許容空間65が形成されている。
【0045】
バキュームパッド67は、上端側と下端側とをそれぞれ開口して連通した内部中空状の略円筒状に形成され、下端側に第一のベース部51の嵌合突部53が嵌合する嵌合溝部69と、第一のベース部51の嵌合溝部55が嵌合する嵌合突部71と、が周設されている(
図14参照。)。
【0046】
バキュームパッド67は、原貝200の下殻(右殻)201の外面側をホールドするように受ける上端開口側のホールド部73が設けられており、ホールド部73は、内径側に設けられている連通路75方向に向けて外径側から下り傾斜状の漏斗状面部73aを有している。連通路75は、ホールド部73の下端に連続して円筒状に設けられる。
【0047】
また、バキュームパッド67は、吸気作用が生じた際に原貝200の下殻(右殻)201を、その吸着力によって漏斗状面部73aに押し付けて密着できるように軟質状に形成されている。例えば、本実施形態では、ウレタン樹脂などが想定されている。バキュームパッド67の材質は特に本実施形態に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0048】
バキュームナット77は、円筒部79と、円筒部79の上端に一体成形される多角形状(本実施形態では六角形状)の上端部81とからなり、円筒部79の下端から上端部内にわたって連続して貫通する縦孔83と、縦孔83から上端部81の外側面に貫通して放射状に連続して設けられる三本の横孔85と、を備えている。
三本の横孔85は、本実施形態では、120度間隔で設けられている(
図16参照。)。
【0049】
円筒部79は、第一のベース部51の収容部57内に収容され、上端部81は第一のベース部51の上端開口側の空間領域51aの略中央に位置するように配設されるとともに、上端部81の上方部分は、第一のベース部51の上端開口から外方に突出して(
図14、
図17及び
図18参照。)。すなわち、バキュームパッド67を装着したときには、バキュームパッド67の連通路75内にて、当該連通路75の内面との間に所定の間隙76をもって上端部81が位置するように設定されている。また、円筒部79は、収容部57内に固定して配設されている(
図14、
図16乃至18参照。)。
【0050】
トリガーピン87は、バキュームナット77の円筒部79の縦孔83内にて上下移動可能に収容される(
図14、
図16乃至
図18参照。)。
【0051】
トリガーピン87は、円筒状の第一部材89と、第一部材89よりも小径で、かつ第一部材89よりも長尺で第一部材89と連続して形成された円筒状の第二部材91と、第二部材91よりも小径で、かつ第二部材91よりも短尺(第一部材89よりも長尺)で第二部材91と連続して形成された第三部材93と、第二部材91と同一径かつ同一長尺で、第三部材93と連続して形成された第四部材95とで構成されている(
図16(c)、
図17及び
図18参照。)。
【0052】
第一部材89には、その中央領域に、上下に貫通する第一の連通孔89aが形成されている。
第二部材91には、その中央領域にて、前記第一の連通孔89aと連続して上端側(第一部材89と連続する側)から円筒状に形成される大径円筒孔91a1と、前記大径円筒孔91a1から連続して徐々に小径となる漏斗状に形成される漏斗状孔91a2と、さらに、その漏斗状孔91a2から連続して前記大径円筒孔91a1よりも小径の円筒状に形成されてなる小径円筒孔91a3と、で構成される一連の第二の連通孔91aが形成されている。
第三部材93には、中央領域にて、上端側(第二部材91と連続する側)と下端側に連続して形成される縦孔93a1と、該縦孔93a1から連通して外方に向けて放射状に形成される4本の横孔93a2と、で構成される第三の連通孔93aが形成されている。
第四の部材95には、中央領域にて、上端側(第三部材93と連続する側)から前記第三の連通孔93aと連続し、上端側から連続して徐々に小径となる漏斗状に形成される第二の漏斗状孔95a1と、該漏斗状孔95a1から連通して下端側に貫通してなる細長縦孔95a2と、で構成される第四の連通孔95aが形成されている。
すなわち、このように第一部材89の上端から第四部材95の下端に至るまで連続した一つの連通孔(第一の連通孔89a、第二の連通孔91a、第三の連通孔93a、第四の連通孔95a)が形成されている。
【0053】
トリガーピン87は、第一の部材89と第二の部材91との間にて形成されているフランジ部97と、第二のベース部61内に形成されているトリガーピン移動許容空間65と、の間にわたって、前記フランジ部97の下面から第四部材95の下端までの長さよりも長尺で、第二部材91から第四部材95の外周を挿入可能に形成されたコイルスプリング99を備えている。コイルスプリング99の下端側は、前記トリガーピン移動許容空間65の内部下端に当接している。従って、無負荷状態で、トリガーピン87の下端とトリガーピン移動許容空間65の内部下端との間には所定の間隙101が形成されている(
図14、
図17及び
図18参照。)。
【0054】
従って、バキュームナット77とトリガーピン87とを組み合わせると、バキュームナット77の縦孔83・横孔85と、トリガーピン87の連通孔(第一の連通孔89a、第二の連通孔91a、第三の連通孔93a、第四の連通孔95a)と、が連通し、バキュームパッド67内と管部連結孔63に連結される接続管部115内と、が連通する(
図14、
図17及び
図18参照。)。
【0055】
回転軸103は、中空筒状に形成され、その内部に配設している吸気部(固定軸)107の外周にて回転可能に配設されている(
図2、
図4、
図11及び
図19参照。)。
回転軸103の外周には、その周方向に複数個の通孔105が軸の中空内部と連通している。
【0056】
図20は、本実施形態で採用される回転軸103の分解図である。
本実施形態において回転軸103は、分離・接続可能な複数の部材で構成されており、例えば、
図20にて向かって左端から、第一軸部103a、第二軸部103b、第三軸部103c、第四軸部103d、第五軸部103e、第六軸部103f、締結ハンドル103g、と構成されている。なお、本実施形態において通孔105は、第五軸部103eに等間隔で二列設けられている。二列の間隔は、ドラム本体43に二列で設けられている開口孔部45の隣り合う間隔とあわせている。図中符号106はエアー漏れを防ぐために備えられるOリングである。
そして、各通孔105には、各接続管部115の下端側が連結されて接続管部115が放射状に配設される(
図4、
図6、
図10及び
図13参照。)
【0057】
第一軸部103aから第六軸部103fまで、中空の内部空間の内径を同一径とするとともに、隣接する部材同士を同軸上に嵌合し、第六軸部103fの遊端側(
図20にて向かって右端)から締結ハンドル103gにて締結することで一体化される構成を採用している。図中、符号104a、104bは、それぞれ、第六軸部103fと締結ハンドル103gとの間に一端側を嵌合し、他端側を架台11の所定位置に取り付けて回転軸103を保持するステーである(
図19及び
図20参照。)。
第五軸部103eは、ドラム部35を構成する第一サイドプレート37の軸孔と第二サイドプレート39の軸孔とが外周に嵌合されるとともに所定位置をボルト止めして一体化している。
【0058】
吸気部(固定軸)107は、回転軸103の内径よりも外径を小径とした円筒状に形成されるとともに、回転軸103内にて回転軸103の内面と接触状態に内装されている。吸気部107は、回転軸103の外方にて、図示しない吸気ポンプと接続されている接続パイプ109に接続固定されており、この接続パイプ109は架台11の所定位置に固定されている。
すなわち、本実施形態では、この吸気部107の外周にて、回転軸103の内周が摺接するように備えられている。図中符号400は、吸気部107の所定位置にて、筒長さ方向にわたって設けられ、回転軸103の内面と摺接するパッキン(シール部材)である。このパッキン400は、吸気部107の周方向で所定距離をあけて2箇所設けられており、吸気領域A1と非吸気領域A2とを非連通状に仕切る機能を有している(
図11、
図12及び
図19参照。)。
なお、図中符号111は、吸気部107の非吸気領域A2に設けられる貫通孔である。
【0059】
吸気部107は、下殻(右殻)201と上殻(左殻)203とが分離された後、次の原貝吸着位置に至るまでの間、非吸気領域A2を配している。本実施形態では、符号A1で示すエリアが吸気領域で、A2で示すエリアが非吸気領域に設定されている。
すなわち、本実施形態の吸気部107は、符号A1で示す吸気領域にあたる範囲の外周部分が長尺矩形状に切り欠かれて吸気口113が形成され、それ以外の外周部分は切り欠かれていないため、符号A2で示す非吸気領域となっている。
【0060】
従って、この吸気部107の外周を摺接して回る回転軸103が、吸気領域A1に入るとそれぞれの接続管部115を介して各第一の殻受け部47内の吸気が開始される。そして、この吸気領域A1を通過すると、非吸気領域A2となるため、下殻(右殻)201に作用していた吸気力が解除される。また、本実施形態では、貫通孔111から外気を導入する構造としているため、下殻(右殻)201に作用していた吸気力解除に供することとなる。
本実施形態では、原貝セット機構15が配設されている原貝セット領域よりも下流側、すなわち、本実施形態では、原貝セット領域よりも下方の位置から身回収機構の第二の回収部と対向する位置までの領域である220度の範囲の領域(
図11にて上方の領域)が吸気領域A1として機能し、それ以外の140度の範囲の領域(
図11にて下方の領域)が非吸気領域A2として機能している(
図11参照)。
【0061】
接続管部115は、中空の細長円筒状に形成され、回転軸103の通孔105と、第一の殻受け部47の第二のベース部61の管部連結孔63との間にわたって連通状に架け渡されている。
【0062】
図中符号117で示す構成は、第一の吸着機構33の非吸気領域A2の外方にてドラム部35の外周に沿って所定間隙をあけて配設されている下殻受けシュータである。下殻受けシュータ117は、下方に配設されている第一の殻搬送コンベア119に向けて下り傾斜状に配設されている。
非吸気領域A2に至った下殻(右殻)は、この下殻受けシュータ117に至る以前に落下するものである(シュータ立上り壁117aよりも上流側で落下する)が、落下せずに下殻受けシュータ117に至った場合、下殻(右殻)201を受けて第一の殻搬送コンベア119へと送る機能を下殻受けシュータ117は有している。
【0063】
第二の吸着工程は、前記第一の吸着工程によって下殻(右殻)201の外面を吸着しつつ、上殻(左殻)203の殻外面を吸着するとともに下殻(右殻)201と上殻(左殻)203を開く第二の吸着機構121を備えている。
【0064】
第二の吸着機構121は、第一の吸着機構33と同様に、中空状の回転軸103と、回転軸103の外周にて、回転軸103と一体で同心円上に配される円筒状のドラム部35と、回転軸103の周面から放射状に複数備えられ、ドラム部35との間にわたって掛け渡される中空状の接続管部115と、回転軸103の中空内部に配される吸気部107と、を含んで構成されている。本実施形態では、
図27にて時計回り方向に回転可能に構成されている。
【0065】
ドラム部35、回転軸103、接続管部115は、第一の吸着機構33と略同一であるため、同一箇所に同一符号を付してその説明は省略する。
なお、第二の吸着機構121を構成するドラム部35は、第一の吸着機構33を構成するドラム部35とその回転動作を同期させることで、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転とは逆回転である時計回り方向に回転動作させている(
図2、
図6及び
図12参照。)。
図9中、符号123は、第二の吸着機構121を構成するドラム部35の回転動作を、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転動作に同期させる第一ベルトである。
【0066】
なお、ドラム部35に配される第二の殻受け部125は、第一の殻受け部47と略同様の構成を採用しているが、バキュームパッド127は第一の殻受け部47のバキュームパッド67と構成を変えている。
【0067】
すなわち、本実施形態では、第一の殻受け部47のバキュームパッド67に比して第二の殻受け部125のバキュームパッド127の方が長尺状に形成されている。このように構成した理由は、第二の殻受け部125は、上殻(左殻)203を上方から吸着するとともに、そのまま上殻(左殻)203を引き上げて上殻(左殻)203と下殻(右殻)201とを開口させる必要があり、かつ上殻(左殻)203を下殻(右殻)201から分離させた後、吊り下げた状態で非吸気領域A2に入るまで運ぶ必要があるため、密着力を高めるためにもバキュームパッド127の大きさを第一の殻受け部47のバキュームパッド67よりも長尺状に構成している。また、下殻(右殻)が押し付けられた時に破損しない(割れない)ようにクッション的な役割も有するため長尺状に形成されている。
なお、第一の殻受け部47のバキュームパッド67と第二の殻受け部125のバキュームパッド127とを同一の形態とすることも可能であって、第一の殻受け部47のバキュームパッド67と第二の殻受け部125のバキュームパッド127とのいずれにあわせるのも任意であって本発明の範囲内である。
【0068】
具体的には次の通りである。
バキュームパッド127は、原貝200の上殻(左殻)203の外面側をホールドするように受ける上端開口側のホールド部129が設けられており、ホールド部129は、内径側に設けられている連通路131方向に向けて外径側から下り傾斜状の漏斗状面部129aを有している。連通路131は、ホールド部129の下端に連続して円筒状に設けられる第一の連通路131aと、第一の連通路131aの下端から段差状に連続し、第一の通路131aよりも小径の円筒状に設けられる第二の連通路131bとを有している(
図15参照。)。
【0069】
吸気部107は、第一の吸着機構33に配されている吸気部107と同様に構成されているが、第一の吸着機構33との対向側に吸気領域A1が位置するように構成されている。
すなわち、
図12に示すように、第一の吸着機構33と対向する所定範囲の領域、例えば第一の殻受け部47と第二の殻受け部125とが対向して、上殻(左殻)203と下殻(右殻)201とを互いに吸着する位置(
図12にて下方の領域)、を含めたドラム回転方向の上流側と下流側の130度の範囲を吸気領域A1とする。従って、本実施形態では、第二の吸着機構121における吸気部107は、この吸気領域A1に対向する範囲に吸気口113がくるように設計されている。従って、この130度の吸気領域A1以外の領域(
図12にて上方の領域)が非吸気領域A2として機能している。
図12中、符号400は回転軸103の内面との間にて摺接して配されるOリング(シール部材)である。
図12にて符号400は、第一の吸着機構33にて説明したパッキン400と同じ構成および作用効果を有している。
【0070】
また、第二の吸着機構121を構成する吸気部107は、第一の吸着機構33を構成する吸気部107と同様に回転軸103内に摺接状に内装され、回転軸103の外方にて、第一の吸着機構33を構成する吸気部107が接続される分岐部133を介して接続パイプ135に接続されている(
図19参照。)。
【0071】
剥離工程は、前記第一の吸着工程と第二の吸着工程とによって開かれた原貝200の開口領域207側から剥離部材が差し込まれ、原貝200の小柱を上殻(左殻)203の内面から剥離させるとともに、上殻(左殻)203と下殻(右殻)201との蝶番205部分を破壊する剥離機構137を備えている(
図2、
図21、
図37及び
図38参照。)。
【0072】
剥離機構137は、第二の殻受け部125が上殻(左殻)203を吸着して上殻(左殻)203と下殻(右殻)201とを強制的に開いた時を契機に、上殻(左殻)203と下殻(右殻)201との開口領域207に向けて前進移動し、開口領域207から原貝200の内部に挿入して、上殻(左殻)203の内面に付着する小柱(図示省略)と閉殻筋(貝柱)211を上殻(左殻)203の内面から剥がす(切除する)と共に、蝶番205部位を破壊して上殻(左殻)203と下殻(右殻)201とを完全分離させる剥離部139を備えている(
図19、
図21乃至
図24、
図37及び
図38参照。)。
【0073】
剥離部139は、平板状に形成されて前後進自在に備えられているスクレーパ(へら)141と、このスクレーパ141を原貝200の上殻(左殻)203と下殻(右殻)201の開口領域207へと案内するガイド部147とで構成されている(
図19、
図21乃至
図23、
図37及び
図38参照。)。
【0074】
スクレーパ141は、細長平板状に形成されるとともにその先端の刃部分をR状に形成してなり、一端側を架台11に取り付けたシリンダ機構143のシリンダロッド先端と連結して前後進自在に備えられている(
図21参照。)。
このシリンダ機構143は、架台11の所定位置に備えた第一センサ145及び第二センサ146からの信号を受けて作動するよう構成されている(
図2、
図37及び
図38参照。)。
【0075】
第一センサ145は、第一の吸着機構33と第二の吸着機構121のそれぞれのドラム部35が回転作動を続け、第一の殻受け部47と第二の殻受け部125とが接近し、第一の殻受け部47と第二の殻受け部125とが同一線上に位置する手前(回転方向の上流側)で、第二サイドプレート39のスポーク部40の通過を検出することが可能な位置で架台11の所定位置に備えられ、第二サイドプレート39のスポーク部40が通過したことを検出する(
図2、
図8、
図37及び
図38参照。)。
【0076】
第二センサ146は、第一のセンサ145よりも下流側(回転方向で先)で、第一の吸着機構33と第二の吸着機構121のそれぞれのドラム部35が回転作動を続け、第一の殻受け部47と第二の殻受け部125とが離間していくことで上殻(左殻)203と下殻(右殻)201とが蝶番205部位を支点として強制的に開かれた時点(開口領域207を形成した時点)を検出できる手前の位置、すなわち、この時点で第一の殻受け部47と第二の殻受け部125との間に原貝がセットされている、ということを検出する必要があるため、第二の殻受部125の通過を検出することが可能な位置で架台11に備えられている(
図2、
図37及び
図38参照)。
原貝がセットされていない状態でスクレーパ141が作動してしまうと、原貝がない状態の第二の殻受け部125のバキュームパッド127にスクレーパ141が接触し、バキュームパッド127を破損させてしまう虞があるためである。
【0077】
本実施形態で採用される第一センサ145、第二センサ146は、光電センサなどの周知のセンサが想定され、所定位置に備えたセンサによって原貝200が通過したことを検知した信号を受けてシリンダ機構143のシリンダロッドが前進し得るものであればよい。センサは、透過型、反射型のいずれであってもよく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0078】
ガイド部147は、第二の吸着機構121を構成する回転軸103の第三軸部103cと第四軸部103dとの間及び第六軸部103fと締結ハンドル103gとの間にて、摺動可能に遊嵌保持される左右の保持リング部147a,147aと、左右の保持リング部147a,147aから、側面視で略扇状にそれぞれ一体に垂設される左右の側板部147b,147bと、左右の側板部147b,147bのそれぞれの下辺間にわたって架設される湾曲状の底板部147e、所定の間隔をあけて一体に設けられる左右のガイド部本体147cと、左右の側板部147bの後端側にて、所定の間隔をあけて一体に設けられる左右の上殻受けシュータ147dと、で構成されている(
図19、
図21乃至
図24、
図27、
図37及び
図38参照。)。
本実施形態では、第二の吸着機構121を構成する回転軸103(103d,103f)から吊り下がった状態で、ガイド部147が、第二の吸着機構121を構成するドラム部35の下方にて位置するように備えられている(
図2、
図19、
図21乃至
図24、
図27、
図37及び
図38参照。)。
【0079】
ガイド部147は、所定のタイミングでスクレーパ141を原貝200の上殻(左殻)203と下殻(右殻)201の開口領域207に案内できるように構成されており、例えば本実施形態では、第二の吸着機構121を構成するドラム部35の回転動作に同期させて揺動のタイミングを調整しているクランク機構149によって前後に揺動可能に配設されている(
図2、
図37及び
図38参照)。クランク機構149の一端は架台11に取り付けられ、他端がガイド部147に取り付けられている。
ガイド部147の揺動範囲は、スクレーパ141の待機状態(
図37の状態)から移動状態(
図38の状態)までの全ての状態において、スクレーパ141が、ガイド部本体147c内からはずれないように設定されている。
図9中、符号151と153は、第二の吸着機構121を構成するドラム部35の回転動作にクランク機構149の揺動動作を同期させる第二ベルト(151)と第三ベルト(153)である。
【0080】
底板部147eは、湾曲した平板状に形成され、先端側には、第一の切り欠き領域147hと第二の切り欠き領域147hとが、左右方向で所定間隔をあけて形成され、後端側には、第三の切り欠き領域147iと第四の切り欠き領域147iとが所定間隔をあけて形成されている(
図23参照。)。
第一の切り欠き領域147hと第二の切り欠き領域147hとは、それぞれの切り欠き領域に対応する底板部147eの下面側に、ガイド部本体147c,147cがそれぞれ一体に配設されている(
図22乃至
図24参照。)。
第三の切り欠き領域147iと第四の切り欠き領域147iとは、その切り欠き領域に対応する底板部147eの下面側に、上殻受けシュータ147d,147dがそれぞれ一体に配設されている(
図22及び
図23参照。)
なお、底板部147eの湾曲は、ドラム部35と同じ曲率としている。
【0081】
ガイド部本体147cは、ガイド部147の揺動範囲内において、スクレーパ141がずれることなくスライド可能に案内されるように保持される保持部154を有し、保持部154は、左右の保持壁154a,154aと、保持壁154a,154aの間にわたって架設される保持底154bと、保持壁154a,154aの先端近くの領域間にわたって架設される保持棒154cと、を備えている。
【0082】
左右の保持壁154は、スクレーパ141の左右側面が摺接可能な所定間隔をもって構成されている(
図21乃至
図24参照。)。すなわち、ガイド部本体147cに挿入されるスクレーパ141が左右にぶれることなくガイドするためのものである。
また、保持棒154cは、保持底154dとの間に所定間隔をあけて架設されており、この所定間隔は、ガイド部本体147cに挿入されるスクレーパ141が上方にぶれることなくガイドするためのものである(
図24参照。)。
【0083】
そして、スクレーパ141は、ガイド部本体147cによって所定位置(原貝200が開口した位置)へと案内されるため、第一センサ145・第二センサ146からの信号を受けた際にスクレーパ141が確実に原貝200の開口領域207へと案内される。これにより、上殻(左殻)203の内面に付着している小柱部分と貝柱211を確実に切除するとともに、蝶番205部分を確実に破壊することができる。
【0084】
上殻受けシュータ147dは、スクレーパ141によって蝶番205部分が破壊され、第二の吸着機構121のドラム部35の回転動作によって吸着状態のまま時計回り方向に移動し、非吸着領域A2に至ったときに、第二の殻受け部125のバキュームパッド127から離間して落下する上殻(左殻)203を受けるシュータであって、下り傾斜状に構成されている。なお、上殻受けシュータ147dの落下地点には、上殻受けシュータ147dから落下してきた上殻(左殻)203を受けて第一の殻搬送コンベア119へと送る第二の上殻受けシュータ155が架台11の所定位置に取り付けられて備えられている(
図2及び
図27参照。)。
【0085】
この第一の殻搬送コンベア119は、身回収機構の第一の回収部159と第二の回収部173を経て身全部が回収されて残った下殻(右殻)201が、第一の吸着機構33のドラム部35の回転動作によって反時計回り方向に回転し、非吸気領域A2に至ったときに、第一の殻受け部47のバキュームパッド67から離間して落下した下殻(右殻)201も併せて受けるように構成されている(
図2及び
図27参照。)。
【0086】
身回収工程は、前記剥離機構137によって破壊されて第一の吸着機構33に吸着された下殻(右殻)201内に残る身(中腸線(ウロ)209、外套膜(ひも)210、閉殻筋(貝柱)211)を回収する工程であって、身回収機構157を備えている(
図2、
図25及び
図26、
図27、
図37乃至
図41参照。)。
【0087】
身回収機構157は、中腸線(ウロ)209及び外套膜(ひも)210を回収する第一の回収部159と、閉殻筋(貝柱)211を回収する第二の回収部173と、を含む。
【0088】
第一の回収部159は、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の第一の殻受け部47に吸着された状態で送られてきた剥離工程を経た後の下殻(右殻)201に対向し、バキューム部161を押し付けて中腸線(ウロ)209及び外套膜(ひも)210を回収する。
本実施形態では、架台11の所定位置に回動可能に軸支して垂設される吊下部163と、吊下部163の下端に一体に備えられるバキューム部161と、バキューム部161の後端側にて一端を連結し、他端を架台11の所定位置に連結されるクランク機構165とで構成されている(
図25、
図27、
図37及び
図38参照。)。また、本実施形態では、二列で配設されている左右の第一の殻受け部47と対向するように左右に所定間隔をあけて二つ配設されている。
【0089】
バキューム部161は、下殻(右殻)201の内面の略全域を覆う程度の内径をもって略円筒状に形成され、バキューム口161a側をドラム部35と対向して備えるとともに、後端(反バキューム口側の端部)161bはバキューム装置167側と連結されている。バキューム装置167は図示しない中腸線(ウロ)回収部と、外套膜(ひも)回収部とに連結されている。
なお、本実施形態では、中腸線(ウロ)209と外套膜(ひも)210のみを吸い込み回収し、下殻(右殻)201の内面に付着している閉殻筋(貝柱)211は吸い込み回収し得ない程度の吸い込み力とする構成を想定している。
バキューム部161の構成は特に本実施形態に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0090】
クランク機構165は、例えば本実施形態では、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転動作に同期させて揺動のタイミングを調整している(
図2、
図25、
図27、
図37及び
図38参照)。
図9中、符号169と171は、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転動作にクランク機構165の揺動動作を同期させる第四ベルトと第五ベルトである。
【0091】
第二の回収部173は、第一の回収部159にて中腸線(ウロ)209及び外套膜(ひも)210が回収された後に下殻(右殻)201の内面に付着している閉殻筋(貝柱)211を回収する。
本実施形態では、架台11の所定位置に回動可能に軸支して垂設される吊下部175と、吊下部175の下端に一体に備えられる掻き取り部177と、吊下部175の所定位置にてシリンダロッドの先端を連結し、他端を架台11の所定位置に連結されるシリンダ機構179とで構成されている(
図2、
図26及び
図27、
図39乃至
図41参照。)。
【0092】
シリンダ機構179は、例えば本実施形態では、第一の回収部159の配設位置と第二の回収部173の配設位置との間にて、架台11の所定位置に備えられる第三センサ181を有している(
図2、
図26及び
図27、
図39乃至
図41参照。)。そして、閉殻筋(貝柱)211が付着した下殻(右殻)201を吸着した状態の第一の殻受け部47の通過を検出した第三センサ181からの信号を受けてシリンダ機構179のシリンダロッドが前進移動するよう構成されている(
図39乃至
図41参照。)。第三センサ181は第一センサ145と同じ構成であっても異なる構成であってもよく、本発明の範囲内である。
【0093】
また、本実施形態では、二列で配設されている左右の第一の殻受け部47と対向するように左右に所定間隔をあけて、掻き取り部177が二つ横並びで配設されている(
図26参照。)。
【0094】
掻き取り部177は、第一の回収部159を経てドラム部35の回転動作によって送られてくる下殻(右殻)201の移動軌道に沿うように先端部をR状に曲げて形成した掻き取りへらであって、先端部をドラム部35と対向して備え、下殻(右殻)201の内面に付着して残っている閉殻筋(貝柱)211の付着面を掻き取る。
【0095】
また、本実施形態では、この掻き取り部177は、下殻(右殻)201から掻き取った閉殻筋(貝柱)211をそのまま受けて下方に配設されている第一の貝柱搬送コンベア185上へと送る貝柱シュータ183を一体に備えている(
図39乃至
図41参照。)。掻き取り部177の先端部のR形状は特に図示形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、本実施形態では、二つの掻き取り部177,177が、単一のシリンダ機構179によって同時に可動するように構成されているが、それぞれの掻き取り部177が別個に備えたシリンダ機構によって独立して動作するように構成することも可能であって本発明の範囲内である。
「動作概略説明」
【0096】
ここで、本実施形態の二枚貝の生剥き身処理装置1の動作概略説明をする。
【0097】
まず、原貝200をホッパー3内に投入すると、原貝200が整列されて除去装置5へと順次送られる。そして、除去装置5によって、原貝200の外面に付着している藻やゴミなどを除去して綺麗に洗浄する(
図1参照。)。
除去装置5にて洗浄された洗浄後の原貝200は、原貝送りコンベア187を介し、本実施形態の生剥き身処理装置1前へと順次運ばれてくる。
【0098】
生剥き身処理装置1前へと運ばれてきた原貝200は、装置1前にセットされているステップ7上に立つ作業者によって、原貝200の膨らみの大きい殻、すなわち下殻(右殻)201を下に、膨らみの小さい殻、すなわち上殻(左殻)203を上にして、かつ蝶番205部分を手前側(本実施形態では、
図1乃至
図3に示すように作業者が立つステップ7に対向する側)にして、原貝セット機構15の整列枠17内に、所定数積み重ね状態(高さ方向)でセットされる。
【0099】
この状態のとき、最下位に位置する原貝200は、原貝セット機構15の間欠供給部711の第一の受け部713にて蝶番205側が受けられて保持されている。このとき、押圧クランク部700と間欠供給部711は、それぞれ鉛直方向で略直立状態で、押圧クランク部700の前壁706の上端706aが間欠供給部711の背面側に接している。
【0100】
そして、第一の吸着機構33と第二の吸着機構121の各ドラム部35,35が所定方向に回動を開始し、第二サイドプレート39のスポーク部40の通過を第一センサ145が検出すると、その検出信号を受けてシリンダ600のシリンダロッド601が後進作動(収縮作動)する。
【0101】
このシリンダロッド601の後進作動(収縮作動)により、連結杆500が前方に引き寄せられるとともに、回転軸30が回転し、押圧クランク部700を前方に向けて回動(
図2などにおいては反時計回り方向に回動)させる。
この押圧クランク部700の前方に向けての回動作動により、間欠供給部711の背面側が押圧され、弾性部材723の弾性に抗して間欠供給部711を後方に向けて回動(
図2、
図31乃至
図33などにおいては時計回り方向に回動)させる。
この間欠供給部711の回動作動により、第一の受け部713によって保持されていた原貝200は、第一の受け部713からはずれて第二の受け部715上に落下し、第二の受け部715によって保持される。
このとき、押圧クランク部700は、前方に向けて回動し、その前壁706が腕部29と対向する回動限界位置まで回動する(
図31乃至
図33)。
【0102】
そして、上記回動限界位置まで回動するようにシリンダロッド601が後進作動(収縮作動)したことをシリンダ600のセンサが検知すると、次に、シリンダ600のシリンダロッド601が前進作動(伸長作動)する。
このシリンダロッド601の前進作動(伸長作動)により、連結杆500が後方に押し倒されるとともに、回転軸30が回転し、押圧クランク部700を後方に向けて回動(
図2、
図31乃至
図33などにおいては時計回り方向に回動)させる。
この押圧クランク部700の後方に向けての回動作動により、間欠供給部711は、弾性部材723の復元力によって前方に向けて回動(
図2などにおいては反時計回り方向に回動)する。
この間欠供給部711の回動作動により、第二の受け部715によって保持されていた原貝200は、第二の受け部715からはずれて腕部29上に落下し、腕部29によって保持される(
図31の状態となる)。このとき、間欠供給部711の第一の受け部713には次の原貝200が保持されている(
図31参照。)。この一連の初動動作により、腕部29上に原貝200がセットされることとなる。ここまでの動作は、第二サイドプレート39のスポーク部40を検出してから次のスポーク部40を検出するまでの間に行われる。
【0103】
なお、この初動動作中においては、第一の殻受け部47上に原貝200がセットされていない(配設されていない)ため、第一のセンサ145及び第二のセンサ146によって原貝200を検出することがない。すなわち、原貝200の検出がされないことから、剥離機構137が作動することもない。
【0104】
そして、初動動作が終わり、腕部29上に原貝200がセットされ(
図31)、次に、第二サイドプレート39のスポーク部40の通過を第一センサ145が検出すると、その検出信号を受けてシリンダ600のシリンダロッド601が後進作動(収縮作動)する。
【0105】
このシリンダロッド601の後進作動(収縮作動)により、連結杆500が前方に引き寄せられるとともに、回転軸30が回転し、押圧クランク部700を前方に向けて回動(
図2などにおいては反時計回り方向に回動)させる(
図32)。
この押圧クランク部700の前方に向けての回動作動により、間欠供給部711の背面側が押圧され、弾性部材723の弾性に抗して間欠供給部711を後方に向けて回動(
図2などにおいては時計回り方向に回動)させる(
図32)。
この間欠供給部711の回動作動により、第一の受け部713によって保持されていた原貝200は、第一の受け部713からはずれて第二の受け部715上に落下し、第二の受け部715によって保持される(
図33)。
このとき、押圧クランク部700は、前方に向けて回動し、その前壁706が腕部29と対向する回動限界位置まで回動し、上端706aが腕部29上にある原貝200を押圧する(
図33)。
【0106】
このとき、腕部29の下方には、第一の殻受け部47が到達し、押圧クランク部700の押圧力によって、第一の殻受け部47のバキュームパット67上に原貝200の下殻(右殻)201部分が押し付けられる。これにより、第一の殻受け部47に作用している吸着(吸気)力によって原貝200の下殻(右殻)201が第一の殻受け部47上に吸着される(
図27及び
図29参照。)。
【0107】
なお、原貝200が第一の殻受け部47のバキュームパッド67上に乗るまでの間は、吸気部107からの吸気作用により、トリガーピン87の小径円筒孔91a3及びバキュームナット77の横孔85からバキュームパッド67内の空気が吸気され、バキュームパッド67内は多少の吸気状態となっているが、バキュームパッド77内よりもトリガーピン87下方の領域の方が吸気状態の度合いが高いため、コイルスプリング99の弾性に抗してトリガーピン87が降下している(
図18に示す状態。)。
そして、原貝200が第一の殻受け部47のバキュームパッド67上に乗り、バキュームパッド67の開口側を覆ってバキュームパッド67の開口側を閉鎖すると、バキュームパッド67内は略真空状に密閉されることとなる。これにより、バキュームパッド67内の吸引力が高くなり、バキュームパッド77内とトリガーピン87の下方の領域との真空度合に均等がとれてくるため、コイルスプリング99の弾性力が勝り、トリガーピン87が上昇する(
図17に示す状態。)。
これにより、略真空状に密閉されるバキュームパッド67内に原貝200は吸引されてバキュームパッド67に押し付けられた状態で強固に吸着される(
図29及び
図35参照)。
【0108】
そして、このままドラム部35の回転作動(反時計回り方向に回転)によって原貝200の下殻(右殻)201を吸着した状態の第一の殻受け部47が原貝セット機構15位置から離間していき、原貝セット機構15は、シリンダロッド601が後進作動(収縮作動)したことをシリンダ600のセンサが検知すると、シリンダロッド601が前進作動(伸長作動)し、連結杆500が後方に押し倒されるとともに、回転軸30が回転し、押圧クランク部700を後方に向けて回動(
図2などにおいては時計回り方向に回動)させる。
そして、間欠供給部711は、弾性部材723の復元力によって前方に向けて回動(
図2、
図31乃至
図33などにおいては反時計回り方向に回動)する。
この間欠供給部711の回動作動により、第二の受け部715によって保持されていた原貝200は、第二の受け部715からはずれて腕部29上に落下し、腕部29によって保持されて次の第一の殻受け部47の到着を待機する(
図28及び
図31参照。)。このとき、間欠供給部711の第一の受け部713には次の原貝200が保持されている(
図31参照。)。そして、上述した動作を順次繰り返し行っていく(
図27及び
図28、
図31乃至
図33参照。)。
【0109】
そして、ドラム部35の回転作動により原貝200の下殻(右殻)201を吸着した状態の第一の殻受け部47が回転方向の下流側に移動していき、第一の吸着機構33の上方に配設され、第一の吸着機構33のドラム部35とは反対方向(時計回り方向)に回転作動している第二の吸着機構121のドラム部35に備えられている第二の殻受け部125と同一位置で対面する(
図2、
図27、
図37及び
図38参照。)。
【0110】
このとき、第二の殻受け部125のバキュームパッド127は、その移動してきて対向する第一の殻受け部47のバキュームパッド67に吸着されている原貝200の上殻(左殻)203に当接するとともに、その上殻(左殻)203を、第二の吸着機構121を構成する吸気部107からの吸気作動によって引き上げ状態に吸気する(
図12、
図37及び
図38参照。)。
【0111】
そして、このように第一の殻受け部47と第二の殻受け部125によって、それぞれ下殻(右殻)201と上殻(左殻)203とが吸着されたまま、それぞれのドラム部35が回転作動を続けると、原貝200が開口してくる(
図37及び
図38参照。)。
このとき、原貝200をセットした状態で通過したことを検出した第二センサ146からの信号を受けたシリンダ機構143により、スクレーパ141が前進移動する。このときガイド部147は、第二の吸着機構121を構成するドラム部35の回転動作と同期して前後方向に揺動し、スクレーパ141を、原貝200の開口領域207へと確実に差込案内する(
図37及び
図38参照。)。
そして、上殻(左殻)203の内面に付着している小柱と貝柱211をスクレーパ141によって切除するとともに、蝶番205部分を破壊する(
図37及び
図38参照。)。
【0112】
そして、下殻(右殻)201と上殻(左殻)203とが分離され、それぞれドラム部35の回転動作によって、それぞれの回転方向の下流側へと移動する(
図27、
図37及び
図38参照。)。
【0113】
そして、下殻(右殻)201から分離して第二の殻受け部125のバキュームパッド127に吸着された状態の上殻(左殻)203は、第二の吸着機構121側の非吸気領域A2に至る(
図12)と、今まで上殻(左殻)203に掛かっていた吸気部107からの吸着(吸気)力は解除される。
吸気力が解除されたことにより、第二の殻受け部125のバキュームパッド127上に吸着されていた上殻(左殻)203は、ガイド部147の上殻受けシュータ147d上に自然落下する。そして、第二の上殻受けシュータ155を介して第一の殻搬送コンベア119へと送られ、第二の殻搬送コンベア189、第三の殻搬送コンベア191を介して殻回収ケース193へと回収される(
図1,
図27参照。)。
【0114】
一方、上殻(右殻)203から分離して第一の殻受け部47のバキュームパッド67に吸着され、中腸線(ウロ)209及び外套膜(ひも)210と、閉殻筋(貝柱)211とを残した状態の下殻(右殻)201は、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転方向(反時計回り方向)で下流側に移動する(
図27、
図37及び
図38参照。)。
そして、第一の回収部159のバキューム部161のバキューム口161aと対向する位置に近づいてくると、第一の吸着機構33を構成するドラム部35の回転動作と同期させている第一の回収部159のクランク機構165によって前記バキューム部161が前進移動して下殻(右殻)201に残る身(中腸線209及び外套膜210と、閉殻筋211)全体を覆うようにバキューム口161aが当接し、その身を構成する中腸線(ウロ)209と外套膜(ひも)210のみを吸い込む(
図27、
図37及び
図38参照。)。
【0115】
そして次に、中腸線(ウロ)209及び外套膜(ひも)210を回収して閉殻筋(貝柱)211のみが内面に付着している下殻(右殻)201を吸着した第一の殻受け部47が、ドラム部35の回転動作によってさらに下流側に移動し、第二の回収部173に近づき、第三センサ181によって通過を検出すると、その信号を受けたシリンダ機構179により、第二の回収部173が前進移動する(
図27、
図37乃至
図40参照。)。
そして、下殻(右殻)201の内面に向けて掻き取り部177が移動するとともに閉殻筋(貝柱)211の下殻(右殻)201の内面との付着部分に入り込み、その状態でドラム部35がさらに下流側に向けて回転することにより、閉殻筋(貝柱)211は掻き取り部177によって掬うようにして掻き取られる(
図27、
図37乃至
図40参照。)。
【0116】
そして、第二の回収部173の掻き取り部177によって下殻(右殻)201の内面から掻き取られた閉殻筋(貝柱)211は、第二の回収部173に備えられている貝柱シュータ183を介して第一の貝柱搬送コンベア185上に落下し(
図27、
図39乃至
図41参照。)、第二の貝柱搬送コンベア195、第三の貝柱搬送コンベア197を経て貝柱回収ケース199内に回収される(
図1参照。)。
下殻(右殻)201は、第一の殻搬送コンベア119上に落下し、第二の殻搬送コンベア189、第三の殻搬送コンベア191を介してから殻回収ケース193内に回収される(
図1、
図27参照。)。
【0117】
本実施形態によれば、上述の通り本発明特有の構成としたため、原貝200を一切加熱処理することなく、貝柱211などの身の部分を完全に生のままで自動的に分離処理できる。また、作業者の手作業によることもないため、長時間の立ち作業と多量の水を扱う厳しい作業環境の中で作業員が手作業によって行うといった問題も解消される。
さらに、貝柱211部分を完全に生の状態で提供できるだけではなく、貝柱211などの身の部分以外、例えば、内臓部分(中腸腺)や、ひもと称される外套膜も確実に分離処理できる。
【0118】
本実施形態にて想定された第一の殻受け部47、第二の殻受け部125の配設列数及び配設個数などは特に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0119】
「その他の実施形態」
本実施形態では、第一の吸着機構33と第二の吸着機構121とが、それぞれドラム状に形成されるとともに、それぞれが異なる方向に回転(時計回り方向と反時計回り方向に回転)し、所定位置でそれぞれの第一の殻受け部47に吸着されている下殻(右殻)201と第二の殻受け部125に吸着されている上殻(左殻)203とを、それぞれのドラム部35の回転動作で上下方向に離間していくことで開口させるとともに、内部の身を生の状態のままで回収する構成をもって本発明の一形態を説明したが、本発明の実施形態はこれに限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
例えば、それぞれが上下の位置で平行に配設された上下のベルトコンベア状の第一の吸着機構と第二の吸着機構とし、所定の位置、すなわち、例えばそれぞれのコンベアの端部領域で、それぞれに配設した第一の殻受け部と第二の殻受け部とが離間していくことで上殻と下殻とが開口する形態であってもよく、本発明の範囲内である。そして、この開口位置に剥離機構を備えるとともに、下側のベルトコンベアのコンベア移動方向の下流側に身回収機構を備える構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、ホタテ貝の他、イタヤ貝、ヒオウギ貝、平貝、その他の二枚貝の生剥き身処理装置としても利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 生剥き身処理装置
33 第一の吸着機構
35 ドラム部
47 第一の殻受け部
103 回転軸
107 吸気部
115 接続管部
121 第二の吸着機構
125 第二の殻受け部
137 剥離機構
141 スクレーパ
157 身回収機構
159 第一の回収部
173 第二の回収部
200 原貝
201 下殻(右殻)
203 上殻(左殻)
205 蝶番
207 開口領域
209 中腸線(ウロ)
210 外套膜(ひも)
211 閉殻筋(貝柱)