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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20231027BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20231027BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20231027BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231027BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B17/14
G02B7/28 Z
G03B17/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020523650
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2019021062
(87)【国際公開番号】W WO2019235296
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2018110319
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】花岡 崇文
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-094811(JP,U)
【文献】実開昭63-113107(JP,U)
【文献】特開平07-084168(JP,A)
【文献】実開昭57-100730(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 17/14
G02B 7/28-7/40
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒であって、
大径部および該大径部よりも内径側に窪んでいる窪み部が光軸の延伸方向に沿って存在する固定筒と、
少なくとも一部が前記固定筒の外周面に沿うように取り付けられる基板と、
前記固定筒の外周側かつ前記光軸の延伸方向において前記基板よりも大径部側に配置されて前記固定筒に対して相対的に移動する移動筒と、
柔軟に変形可能な可撓性を有し、前記基板に実装される実装部を備え、前記基板と前記固定筒の間を通過する通過部を備え、前記実装部と前記通過部との間に設けられてかつ前記光軸の延伸方向において前記基板に対して前記窪み部側に設けられる長さ調整部を備えるケーブル部材と、
を備え
前記ケーブル部材は、前記光軸の延伸方向において前記通過部よりも前記大径部側に配置される前記ケーブル部材の少なくとも一部が前記固定筒と前記移動筒との間に配置され、
前記長さ調整部は、前記通過部に対して前記光軸の延伸方向に沿って前記大径部から離れる向きの付勢力を与えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1記載のレンズ鏡筒であって、
前記基板は、前記固定筒の前記窪み部に取り付けられていて、
前記基板のうち前記光軸の延伸方向において前記大径部から離れる側の面には、前記実装部が前記窪み部の内径側に向かうように実装されている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1または2記載のレンズ鏡筒であって、
前記基板は、結合部材を介して前記固定筒に取り付けられていると共に、
前記結合部材は、前記ケーブル部材の前記通過部を通過させる凹形状のガイド凹部を有している、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記ケーブル部材には、前記大径部から前記通過部に向かうにつれて前記窪み部の外周面に近接する傾斜部が設けられている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項4記載のレンズ鏡筒であって、
前記大径部の外周面には、前記窪み部側から前記大径部側へ向かって前記ケーブル部材をガイドするガイド溝が設けられていて、該ガイド溝に前記ケーブル部材の溝配置部が配置されている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項5記載のレンズ鏡筒であって、
前記固定筒の外径側には押さえ筒が取り付けられると共に、
前記押さえ筒は、前記窪み部に対して前記移動筒を挟んで反対側に配置されていて、
前記ケーブル部材は前記押さえ筒により前記ガイド溝への入り込みがガイドされている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記大径部は、前記窪み部よりも前記カメラ本体から離れる側に設けられている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備えると共に、該レンズ鏡筒が装着されるカメラ本体を備える、
ことを特徴とするレンズ交換式カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに設けられているレンズ鏡筒の中には、たとえば特許文献1に示すように、電気的な配線として可撓性を有する可撓性基板が内蔵されているものが存在している。特許文献1に開示の構成では、前群レンズ筒(13)にはシャッタ保持枠(13b)が設けられている。このシャッタ保持枠(13b)にはフレキシブルプリント基板(20)に対応した幅の凹部(22)が設けられていて、その凹部(22)の一端に取付台(23)が設けられ、他端には支持突起(24)が設けられている。これら取付台(23)と支持突起(24)には、押え部材(21)が支持される。
【0003】
そして、上述したフレキシブルプリント基板(20)は、押え部材(21)と凹部(22)の周囲との間の挟み込み部分で挟持される。それにより、フレキシブルプリント基板(20)は、接着テープや接着剤を要することなく、フレキシブルプリント基板(20)をシャッタユニット(16)の周面に密着状態で保持することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録公報第2508107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の構成では、上述の挟み込み部分でフレキシブルプリント基板(20)を挟持するための押え部材(21)を別途用いる必要がある。このため、その押え部材(21)や、固定ねじ(25)を必要とする分だけ、部品点数が増える、という問題がある。
【0006】
また、特許文献1に開示の構成では、制御回路(27)は、レンズ鏡筒の外部のカメラボディ側に設けられている。したがって、制御回路(27)のような基板がレンズ鏡筒の内部に存在する基板内蔵型のレンズ鏡筒に関しては、フレキシブルプリント基板(20)がどのように配置されるのかについて一切開示されていない。このため、基板内蔵型のレンズ鏡筒について、回転筒等のような移動筒に対して摺動しない状態で、フレキシブルプリント基板(20)のようなケーブル部材をどのように配置するのかは不明な状態となっている。
【0007】
なお、参考までに述べると、特許文献1に開示の構成では、フレキシブルプリント基板(20)が上述した挟み込み部分からレンズ鏡筒の外部側の制御回路(27)に向かう際に、狭い隙間部分を通っているが、そのような構成では、カメラボディからレンズ鏡筒を交換することが不能となる。
【0008】
また、特許文献1に開示の構成では、制御回路(27)は、固定鏡筒(11)よりも外径側に設けられているので、フレキシブルプリント基板(20)は、上述した挟み込み部分からレンズ鏡筒の外部側の制御回路(27)に向かう際には、外径側に向かうようにガイドされている。しかしながら、フレキシブルプリント基板(20)を、レンズ鏡筒の内部側から外径側にガイドする場合、そのフレキシブルプリント基板(20)の経路が複雑になってしまう。
【0009】
また、フレキシブルプリント基板(20)が、レンズ鏡筒の内部から外径側に向かう場合、レンズ鏡筒の回転部分や直進部分と摺動し易くなる。このような接触を防止するためには、レンズ鏡筒の駆動を考慮して、フレキシブルプリント基板(20)の長さを適切に管理しないと、フレキシブルプリント基板(20)の余剰部分が、上述した回転部分や直進部分と摺動してしまい、フレキシブルプリント基板(20)の断線の原因となる。
【0010】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数の増加を抑えながらも、レンズ鏡筒の内部に配置される基板に対して、ケーブル部材を良好にガイドすることが可能なレンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラを提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒であって、大径部および該大径部よりも内径側に窪んでいる窪み部が存在する固定筒と、少なくとも一部が固定筒の外周面に沿うように取り付けられる基板と、固定筒に対して相対的に移動する移動筒と、柔軟に変形可能な可撓性を有し、基板に実装される実装部を備え、基板と固定筒の間を通過する通過部を備えるケーブル部材と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒が提供される。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、基板は、固定筒の窪み部に取り付けられている、ことが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、基板は、結合部材を介して固定筒に取り付けられていると共に、結合部材は、ケーブル部材の通過部を通過させる凹形状のガイド凹部を有している、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、ケーブル部材には、大径部から通過部に向かうにつれて窪み部の外周面に近接する傾斜部が設けられている、ことが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、大径部の外周面には、窪み部側から大径部側へ向かってケーブル部材をガイドするガイド溝が設けられていて、該ガイド溝にケーブル部材の溝配置部が配置されている、ことが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、固定筒の外径側には押さえ筒が取り付けられると共に、押さえ筒は、窪み部に対して移動筒を挟んで反対側に配置されていて、ケーブル部材は押さえ筒によりガイド溝への入り込みがガイドされている、ことが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の側面は、上述の発明に加えて更に、大径部は、窪み部よりもカメラ本体から離れる側に設けられていて、ケーブル部材のうち、実装部と通過部の間の部位には、長さ調整部が設けられていて、長さ調整部は通過部に対して、大径部から離れる向きの付勢力を与える、ことが好ましい。
【0018】
また、本発明の他の側面は、上述の各発明に係るレンズ鏡筒を備えると共に、該レンズ鏡筒が装着されるカメラ本体を備える、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、部品点数の増加を抑えながらも、レンズ鏡筒の内部に配置される基板に対して、ケーブル部材を良好にガイドすることが可能なレンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒の構成を示す斜視図である。
図2図1に示すレンズ鏡筒を1-1線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図3図1に示すレンズ鏡筒の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラの概要を示す模式図である。
図5図1に示すレンズ鏡筒が備える結合部材の構成を示す斜視図である。
図6図1に示すレンズ鏡筒が備える可撓性ケーブルの構成を示す斜視図である。
図7】本発明の変形例に係るレンズ鏡筒の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒およびレンズ交換式カメラ1について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、レンズ鏡筒10の光軸A1の延伸方向(X方向)において、物体側を前側(X1側)、カメラ本体2側を後側(X2側)とする。また、光軸A1と直交する方向を径方向とし、光軸A1から離間する側を外径側、光軸A1に接近する方向を内径側とする。また、光軸A1を中心とする回転方向を周方向とする。
【0022】
[構成について]
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒10の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示すレンズ鏡筒10を1-1線に沿って切断した状態を示す断面図である。図3は、図1に示すレンズ鏡筒10の分解斜視図である。
【0023】
図1から図3に示すように、レンズ鏡筒10は、物体側固定筒20と、押さえ筒30と、像側固定筒40と、回転枠50と、回転カバー60と、主基板70と、結合部材80と、可撓性ケーブル100と、補助基板110とを主要な構成要素としている。また、図2に示すように、レンズ鏡筒10には、レンズ枠91~94を介してレンズL1~L5が取り付けられている。なお、図2に示す構成では、4つのレンズ枠91~94と5つのレンズL1~L5が示されているが、レンズ枠およびレンズの個数は、これ以外に適宜の個数とすることが勿論可能である。
【0024】
物体側固定筒20は、後述する像側固定筒40よりもカメラ本体2から離間する側に位置する筒体であり、カメラ本体2に対して非回転となっている。また、物体側固定筒20と像側固定筒40はビス等で固定されており、像側固定筒40もカメラ本体2に対して非回転となっている。なお、物体側固定筒20と像側固定筒40との少なくとも一方の部材は、固定筒に対応する。
【0025】
図4は、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ1の概要を示す模式図である。この図4においては、レンズL1~L5やカメラ本体2内部の構成の図示は省略している。なお、本実施の形態では、レンズ交換式カメラ1とは、カメラ本体2にレンズ鏡筒10が装着されたものを指す。図4に示すように、物体側固定筒20の外径側には、物体側回転筒120が配置される。物体側回転筒120は、たとえばフォーカス動作を行うための筒体である。しかしながら、物体側回転筒120は、絞り動作やズーム動作等、フォーカス動作以外の動作を行うものであっても良い。
【0026】
このような物体側回転筒120の回転角度を検出するために、物体側固定筒20と物体側回転筒120の間には、回転検出センサ130が配置されている。回転検出センサ130は、たとえば磁気的に回転角度を検出可能なエンコーダ等であり、その回転検出センサ130の回転側部材131(磁気円盤、マグネットバンド等)が物体側回転筒120の回転に伴って回転する。また、回転検出センサ130の固定側のセンサ素子132は、補助基板110に実装されている。この補助基板110には、可撓性ケーブル100の一端側が実装されている。したがって、回転検出センサ130で検出された回転角度に関する電気信号は、可撓性ケーブル100を介して主基板70へと送信される。
【0027】
この物体側固定筒20には、可撓性ケーブル100が配置されるガイド溝21が設けられている。ガイド溝21は、物体側固定筒20の外周面の大径となる部分を、所定の幅だけ内径に向かうように凹ませた部分であり、補助基板110が配置される近傍から、その後側(X2側)に向かうように形成されている。このガイド溝21には、可撓性ケーブル100が配置されるが、以下の説明では、可撓性ケーブル100のうちガイド溝21に配置される部分を、溝配置部102とする(図2図6参照)。
【0028】
なお、溝配置部102はガイド溝21の底部に対して、たとえば両面テープや接着剤等のような固着手段を介して取り付けられている。このガイド溝21の深さは、溝配置部102が両面テープや接着材等のような固着手段を介してガイド溝21の底部に貼り付けられた場合でも、溝配置部102がガイド溝21から突出しないような深さとなっている。具体的には、物体側固定筒20のうち、ガイド溝21が形成されている外周面からのガイド溝21の深さは、溝配置部102の厚みと、両面テープや接着剤等のような固着手段の厚みの合計に、所定の余裕分を加えた寸法となっている。それにより、後述する回転枠50に対して溝配置部102が非接触の状態を維持可能となっている。
【0029】
また、物体側固定筒20のうちガイド溝21が配置される外周面の外径側には、押さえ筒30が配置されている。押さえ筒30は、物体側固定筒20の外周面の適宜の位置に、ネジ等のような固定手段を介して固定されている。この押さえ筒30は、可撓性ケーブル100がガイド溝21に入り込むように、外径側から可撓性ケーブル100を押さえる部材である。したがって、補助基板110から可撓性ケーブル100に沿って後側(X2側)に向かって進行すると、押さえ筒30によって可撓性ケーブル100が内径側に向かうように曲げられている。それにより、可撓性ケーブル100の溝配置部102が、ガイド溝21内に位置する構成となっている。押さえ筒30によって補助基板110から後側(X2側)へ向かう可撓性ケーブル100を物体側固定筒20の内径側へ向かう方向へガイドすることで、可撓性ケーブル100の外径側への撓みを抑え、可撓性ケーブル100がガイド溝21からはみ出すことを防止している。
【0030】
以下の説明では、可撓性ケーブル100のうち、押さえ筒30により物体側固定筒20の外周面から内径側に向かうように曲げられている部分を、一端側傾斜部101とする(図2図6参照)。この一端側傾斜部101の存在により、溝配置部102がガイド溝21の内部に配置される状態となる。また、押さえ筒30の外径側に、図示を省略する回転や光軸A1に沿った直進を行う移動筒が配置されても、一端側傾斜部101の存在により溝配置部102がガイド溝21の内部に配置されることで、上記の移動筒に対して可撓性ケーブル100を非接触とすることが可能となっている。また、押さえ筒30と対向するガイド溝21に配置される溝配置部102が、仮に接着が剥がれてガイド溝21の内部から外径側に飛び出してしまったとしても、押さえ筒30が外径側に配置されていることにより、外径側へ大きく撓むことが防止される。また、押さえ筒30により一端側傾斜部101をその外径側から押さえつけている。このため、ガイド溝21よりも外径側に配置されている補助基板110に一端を実装されている可撓性ケーブル100の弾性力による外径側への反発力が、押さえ筒30と対向する溝配置部102に伝達されるのを抑制することで、溝配置部102がガイド溝21から剥離することを防止している。
【0031】
上述した物体側固定筒20の後側(X2側)の端面22には、像側固定筒40がたとえばネジ等のような固定手段を介して固定されている。像側固定筒40も、物体側固定筒20と同様に、カメラ本体2に対して非回転となっている筒体である。この像側固定筒40には、物体側フランジ部41と、窪み部42と、像側フランジ部43とが設けられている。なお、この像側固定筒40は、図示を省略するカメラ本体2側に装着される筒体であるが、その他の筒体がカメラ本体2側に装着されても良い。
【0032】
これらのうち、物体側フランジ部41は、窪み部42よりも大径に設けられている。この物体側フランジ部41には、X方向に向かって形成されたガイド孔44が設けられている。ガイド孔44は、上述したガイド溝21と連通する孔部分であり、物体側フランジ部41を貫通している。それにより、可撓性ケーブル100は、ガイド溝21からガイド孔44を通って窪み部42側へと延伸可能となっている。なお、物体側フランジ部41を貫通するガイド孔44ではなく、物体側フランジ部41の外径側から内径側に向かうように物体側フランジ部41を切り欠いた切欠部を形成し、その切欠部に可撓性ケーブル100を挿通させる構成としても良い。ガイド孔44を採用する場合、そのガイド孔44の外径側に位置する内周面により、可撓性ケーブル100のガイド孔44よりも後側(X2側)が外径側に撓んだとしても、その撓みの影響がガイド孔44よりも前側(X1側)に伝わることを抑制可能となる。以下の説明では、可撓性ケーブル100のうちガイド孔44を通過する部分をガイド孔通過部103とする(図2図6参照)。また、可撓性ケーブル100のうち、ガイド孔44付近から窪み部42の外周面42aに向かうように内径側に向かうように曲げられている部分を内径側傾斜部104とする。この内径側傾斜部104は、傾斜部に対応する。この内径側傾斜部104により、可撓性ケーブル100を大径部の一部である物体側フランジ部41よりも内径側へ向かわせることで、ガイド孔44よりも前側(X1側)の可撓性ケーブル100が撓み等で外径側へ向かうことを抑制可能としている。
【0033】
また、窪み部42は、物体側フランジ部41および像側フランジ部43よりも小径に設けられている部分である。具体的には、後述する主基板70を窪み部42の外径側に配置した場合でも、その主基板70の外周縁部が物体側フランジ部41の外周縁部が光軸中心から同程度の位置(半径位置)に位置するか、または主基板70の外周縁部が物体側フランジ部41の外周縁部よりも内径側に位置するように、窪み部42が物体側フランジ部41および像側フランジ部43よりも窪んでいる。なお、物体側フランジ部41および像側フランジ部43の少なくとも一方は、大径部に対応する。主基板70の外周縁部の光軸中心からの位置(距離)が、物体側フランジ部41の外周縁部の光軸中心からの位置(距離)よりも内径側に配置されることにより、径方向における小型化が可能となり、外装筐体に主基板70に応じた凸部等を形成する必要がなくなる。
【0034】
また、図1および図2に示す回転枠50は、絞りを動作させるために、物体側固定筒20に対して回転可能な筒体であり、物体側固定筒20の外径側に配置されている。しかしながら、回転枠50は、フォーカス動作やズーム動作等、絞り動作以外の動作を行うものであっても良い。なお、回転枠50は、移動筒に対応する。
【0035】
この回転枠50は、押さえ筒30よりも後側(X2側)に配置されると共に、ガイド溝21の一部と対向するように設けられている。ただし、上述のように、物体側固定筒20のうち、ガイド溝21が形成されている外周面からのガイド溝21の深さは、溝配置部102の厚みと、両面テープや接着剤等のような固着手段の厚みの合計に、所定の余裕分を加えた寸法となっている。したがって、回転枠50は、ガイド溝21内に配置された可撓性ケーブル100の溝配置部102に対して非接触となっている。そのため、回転枠50が回転しても、該回転枠50と溝配置部102とが摺動しない状態となっている。回転枠50が押さえ筒30よりも後側(X2側)に配置されることにより、一端側傾斜部101と回転枠50とをX方向で離間させることが可能となり、一端側傾斜部101と回転枠50とが接触することを防止できる。
【0036】
また、図1および図2に示すように、回転カバー60は、その前側(X1側)が回転枠50の外径側の一部に対して当接している。また、回転カバー60の後側(X2側)は、物体側フランジ部41および窪み部42の外径側に、それぞれ非接触の状態で配置されているが、物体側フランジ部41の外径側の全体は覆うように配置されているものの、窪み部42の外径側は、その一部のみを覆うように配置されている。この回転カバー60は、回転枠50に対して、たとえばネジ等のような固定手段を介して取り付けられている。したがって、回転カバー60は、回転枠50の回転に伴って、回転枠50と共に一体的に回転する。
【0037】
なお、回転枠50および回転カバー60のうちの少なくとも一方は、移動筒に対応する。
【0038】
また、主基板70(基板に対応)は、像側固定筒40の窪み部42に配置されている。図3に示すように、主基板70は、窪み部42の外周面42aの周方向の形状に沿った略半円の円弧をなすように設けられている。この主基板70の後側(X2側)の面には、可撓性ケーブル100の他端側が実装されている。以下の説明では、可撓性ケーブル100のうち主基板70に実装されている部分を実装部107とする。また、可撓性ケーブル100のうち、通過部105と実装部107の間に存在する部分であり、通過部105から外径側に向かうように曲げられている部分を、長さ調整部106とする(図2図6参照)。
【0039】
上述した主基板70は、結合部材80を介して窪み部42に取り付けられている。図5は、結合部材80の構成を示す斜視図である。図5に示すように、結合部材80には、円弧状部81と、基板固定部82と、取付孔83と、挿通孔84と、ガイド凹部85とが設けられている。円弧状部81は、主基板70と同様に略半円の円弧をなすように設けられている部分である。しかしながら、円弧状部81を含めた結合部材80には可撓性ケーブル100の他端側等を実装する必要がない。このため、結合部材80の径方向の寸法は、主基板70よりも小さく設けられている。
【0040】
この円弧状部81には、径方向に沿うように取付孔83が設けられている。取付孔83は、ネジ等のような固定手段を挿通させる孔部分であり、取付孔83に挿通されたネジ等の固定手段は、窪み部42の外周面42aから内径側に向かうように形成されたネジ穴(図示省略)に捻じ込まれる。それにより、結合部材80は窪み部42に取り付けられる。
【0041】
また、基板固定部82は、主基板70を取付固定するための部分であり、円弧状部81から外径側に突出するように設けられている。この基板固定部82には、光軸A1方向に沿うように挿通孔84が設けられている。挿通孔84は、ネジ等のような固定手段を挿通させる孔部分であり、挿通孔84に挿通されたネジ等の固定手段は、主基板70に捻じ込まれたり、主基板70の前側(X1側)の面に配置されたナット等の固定手段に捻じ込まれることで、結合部材80に対して主基板70を固定する。なお、図3に示す構成では、基板固定部82(挿通孔84)および取付孔83は、それぞれ3つずつ設けられている。しかしながら、基板固定部82(挿通孔84)および取付孔83の個数は幾つ設けられていても良い。
【0042】
なお、基板固定部82に主基板70が固定された状態で、結合部材80が窪み部42に取り付けられた際に、窪み部42の外周面と主基板70との間の少なくとも一部には隙間が存在することが好ましい。隙間の存在により、ガイド凹部85から像側固定筒40の物体側フランジ部41に形成されるガイド孔44へ向かう可撓性ケーブル100と主基板70との干渉を防止することが可能となる。この隙間は、結合部材80のガイド凹部85のように主基板70の内径側の端部の一部を外径側へと切り欠いても良く、主基板70の内径側の端部全体と窪み部42の外周面との間に一定の間隔が形成されるように、結合部材80に主基板70を固定しても良い。
【0043】
また、円弧状部81の内周面側には、ガイド凹部85が設けられている。ガイド凹部85は、可撓性ケーブル100が位置する部分であり、内径側から外径側に向かうように円弧状部81の内周面を所定だけ凹ませた部分である。それにより、結合部材80を窪み部42にネジ等の固定手段で固定した場合に、円弧状部81の内周面側を可撓性ケーブル100が通過するスペースを確保することができる。具体的には、ガイド孔44から後側(X2側)へ延ばされた可撓性ケーブル100の他端側は、窪み部42の外周面42aへ向かって内径側に落ち込むように折り曲げられた内径側傾斜部104を形成する。窪み部42の外周面42aと近接した内径側傾斜部104の後側(X2側)の端部は、主基板70と外周面42aの間を通され、さらに結合部材80のガイド凹部85と外周面42aの間を通される。可撓性ケーブル100(内径側傾斜部104)が結合部材80と外周面42aの間に挟み込まれた状態で、可撓性ケーブル100の他端側の実装部107と主基板70の後側(X2側)の面に配置される電気的接続部とを電気的に接続してから、結合部材80を窪み部42に固定する。上記構成により、可撓性ケーブル100を結合部材80と窪み部42の外周面42aとの間で挟み込んで位置決めおよび固定を行いつつ、内径側傾斜部104が外径側へ撓むことを防止する。以下の説明では、可撓性ケーブル100のうち、主基板70の内周面側および結合部材80のガイド凹部85を通過する部分を、通過部105とする。
【0044】
この通過部105から主基板70と電気的に接続される実装部107までの間には、可撓性ケーブル100が外径側に向かうように曲げられた長さ調整部106が配置されている。
【0045】
図6は、可撓性ケーブル100の構成を示す斜視図である。この可撓性ケーブル100は、湾曲させる等の変形を容易に行う可能な(可撓性を有する)ケーブルや基板であり、たとえばFFC(flexible flat cable)やFPC(Flexible printed circuits)のような偏平状の導電体が該当する。しかしながら、偏平状の導電体以外に、絶縁部材で覆われた被覆線等がケーブル部材に該当するものとしても良い。この可撓性ケーブル100は、可撓性を備えているため、後述するガイド溝21に這わせたり、外周面42aに向かうように曲げることが可能となっている。なお、可撓性ケーブル100は、ケーブル部材に対応する。また、可撓性ケーブル100は1つには限られず、2つ以上存在しても良い。
【0046】
また、可撓性ケーブル100には、上述したような一端側傾斜部101と、溝配置部102と、ガイド孔通過部103と、内径側傾斜部104と、通過部105と、長さ調整部106と、実装部107とが設けられている。一方、図4に示す補助基板110は、湾曲させる等の変形を容易には行えないリジットの基板である。しかしながら、補助基板110は、FPC等の可撓性を有する基板を用いるようにしても良い。
【0047】
以上のような構成のレンズ鏡筒10においては、可撓性ケーブル100は、その一端側が補助基板110に実装され、そこから押さえ筒30によって可撓性ケーブル100が内径側に向かうように曲げられているが、この部分が一端側傾斜部101となっている。さらに、可撓性ケーブル100の溝配置部102は、ガイド溝21の内部に配置されている。この溝配置部102では、可撓性ケーブル100は、回転枠50および回転カバー60と非接触の状態となっている。さらに可撓性ケーブル100に沿って他端側に進行すると、可撓性ケーブル100はガイド孔通過部103に差し掛かって、像側固定筒40のガイド孔44を通過する。
【0048】
また、可撓性ケーブル100の他端側に向かって進行すると、ガイド孔44付近からは窪み部42の外周面42aに向かうように内径側に向かうように曲げられている内径側傾斜部104に到達する。この内径側傾斜部104からさらに可撓性ケーブル100の他端側に向かって進行すると、可撓性ケーブル100は窪み部42の外周面42aに接触する状態で、主基板70の内周面を通過し、さらに結合部材80のガイド凹部85を通過する通過部105に到達する。
【0049】
この通過部105からさらに可撓性ケーブル100の他端側に向かうと、可撓性ケーブル100は外径側に向かうように曲げられた長さ調整部106に到達する。この長さ調整部106では、可撓性ケーブル100の長さ調整が可能となっている。すなわち、可撓性ケーブル100の長さが十分に長い場合には、長さ調整部106の長さも長くなるが、この場合には、長さ調整部106の曲率半径が大きくなるように可撓性ケーブル100が曲げられたり、長さ調整部106を側面視した場合にたとえば略M字を描くように曲げられる。一方、可撓性ケーブル100の長さがさほど長くない場合には、長さ調整部106の長さは、上記の場合よりも短くなり、たとえば長さ調整部106の曲率半径が小さくなるように可撓性ケーブル100が曲げられる。長さ調整部106により、可撓性ケーブル100の長さに余裕があったとしても、撓みや外径側への膨らみの発生を抑制することが可能となる。
【0050】
なお、長さ調整部106の外径側には、回転カバー60等のような回転やスライドを行う筒体は可撓性ケーブル100と対向配置されていない。したがって、長さ調整部106が外径側に大きく突出しても、長さ調整部106は、回転やスライドを行う筒体とは摺動しない状態となっている。かかる長さ調整部106からさらに可撓性ケーブル100の他端側に向かうと、可撓性ケーブル100の一端部に到達し、その一端部は、主基板70に実装された実装部107となっている。
【0051】
[効果について]
以上のような構成のレンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ1は、カメラ本体2に取り付けられるレンズ鏡筒10であるが、物体側フランジ部41(および/または像側フランジ部43;大径部)および物体側フランジ部41(および/または像側フランジ部43;大径部)よりも内径側に窪んでいる窪み部42が存在する像側固定筒40(固定筒)と、少なくとも一部が像側固定筒40(固定筒)の外周面42aに沿うように取り付けられる主基板70(基板)と、像側固定筒40(固定筒)に対して相対的に移動する回転枠50(移動筒)および回転カバー60(移動筒)と、柔軟に変形可能な可撓性を有し、主基板70(基板)に実装される実装部107を備えている。また、レンズ鏡筒10は、主基板70(基板)と像側固定筒40(固定筒)の間を通過する通過部105を備える可撓性ケーブル100(ケーブル部材)と、を備えている。
【0052】
このような構成によると、可撓性ケーブル100は通過部105を備え、その通過部105は主基板70(基板)と像側固定筒40(固定筒)の間を通過しているので、通過部105においては、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が外径側の回転枠50側(移動筒側)および回転カバー60側(移動筒側)に移動するのが抑制される。そのため、部品点数の増加を抑えながらも、レンズ鏡筒10の内部に配置される主基板70(基板)に対して、ケーブル部材を良好にガイドすることが可能となる。また、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が回転枠50(移動筒)および回転カバー60(移動筒)と接触するのを防止可能となる。また、主基板70(基板)と可撓性ケーブル100(ケーブル部材)との実装部位に、抜け方向の力が加わるのを防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、主基板70(基板)は、像側固定筒40(固定筒)の窪み部42に取り付けられている。このため、主基板70を窪み部42に取り付けない場合と比較して、レンズ鏡筒10の小径化を図ることが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態では、主基板70(基板)は、結合部材80を介して像側固定筒40(固定筒)に取り付けられている。これと共に、結合部材80は、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)の通過部105を通過させるガイド凹部85を有している。
【0055】
このため、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)は、ガイド凹部85を通過させることで、結合部材80と可撓性ケーブル100(ケーブル部材)とが干渉するのを防止可能となる。また、結合部材80で可撓性ケーブル100(ケーブル部材)を抑えることで、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が外径側の回転枠50側(移動筒側)および回転カバー60側(移動筒側)に移動するのが抑制可能となる。
【0056】
また、本実施の形態では、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)には、物体側フランジ部41(および/または像側フランジ部43;大径部)から通過部105に向かうにつれて像側固定筒40(固定筒)の外周面42aに近接する内径側傾斜部104(傾斜部)が設けられている。
【0057】
このため、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)に沿ってガイド孔通過部103から通過部105に向かうにつれて、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)は、外径側の回転枠50(移動筒)および回転カバー60(移動筒)から遠ざかるので、これら移動筒に可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が接触するのを良好に防止可能となる。
【0058】
また、本実施の形態では、像側固定筒40(固定筒)のうち窪み部42から離れる側には、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)をガイドするガイド溝21が設けられていて、該ガイド溝21に可撓性ケーブル100(ケーブル部材)の溝配置部102が配置されている。
【0059】
このように、一端側傾斜部101がガイド溝21に配置されることで、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が、外径側の回転枠50(移動筒)および回転カバー60(移動筒)と干渉するのを防止可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、像側固定筒40(固定筒)の外径側には押さえ筒30が取り付けられている。また、押さえ筒30は、ガイド溝21のうち窪み部42から離間する他端側に配置されていて、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)は押さえ筒30によりガイド溝21への入り込みがガイドされている。
【0061】
このため、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)がガイド溝21に入り込むのを良好にガイド可能となる。また、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が外径側に突出するのを抑えることが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態では、物体側フランジ部41(大径部)は、窪み部42よりもカメラ本体2から離れる側に設けられている。また、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)のうち、実装部107と通過部105の間の部位には、長さ調整部106が設けられていて、該長さ調整部106は通過部105に対して、物体側フランジ部41(大径部)から離れる向きの付勢力を与えている。
【0063】
このため、長さ調整部106の有するバネ性により、通過部105が物体側フランジ部41(大径部)から離間する向きに引っ張られるので、内径側傾斜部104が外径側に突出するように曲がるのを防止可能となる。
【0064】
また、本実施の形態のレンズ交換式カメラ1は、上述したレンズ鏡筒10を備えると共に、このレンズ鏡筒10が装着されるカメラ本体2を備えている。このため、レンズ交換式カメラ1においても、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が外径側の回転枠50側(移動筒側)および回転カバー60側(移動筒側)に移動するのが通過部105で抑制される。そのため、部品点数の増加を抑えながらも、レンズ鏡筒10の内部に配置される主基板70(基板)に対して、ケーブル部材を良好にガイドすることが可能となる。また、可撓性ケーブル100(ケーブル部材)が回転枠50(移動筒)および回転カバー60(移動筒)と接触するのを防止可能となる。また、主基板70(基板)と可撓性ケーブル100(ケーブル部材)との実装部位に、抜け方向の力が加わるのを防止することができる。
【0065】
[変形例]
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0066】
上述の実施の形態においては、ケーブル部材に対応する可撓性ケーブル100は、補助基板110から主基板70に向かうように延伸している。しかしながら、可撓性ケーブルは、このような構成には限られない。すなわち、図7に示すような構成であれば、どのようなものであっても良い。なお、図7に示すレンズ鏡筒10Aにおいては、像側固定筒40のような固定筒40Aが存在し、その固定筒40Aには物体側フランジ部41のような大径部41Aと窪み部42Aが存在する。また、基板70Aは、少なくとも一部が固定筒40Aの外周面42A1に沿うように取り付けられている。さらに、移動筒50Aは、固定筒40Aよりも外径側に配置されると共に、固定筒40Aに対して相対的に移動する。また、ケーブル部材100Aは、柔軟に変形可能な可撓性を有し、基板70Aに実装される実装部107Aを備え、基板70Aと固定筒40Aの間を通過する通過部105Aを備えている。さらに、レンズ鏡筒10Aは、結合部材80と同様の結合部材80Aを備えても良い。
【0067】
また、上述の実施の形態では、レンズ鏡筒10は、カメラ本体2のような撮像装置に装着され、該レンズ鏡筒10がカメラ本体2に装着されるとレンズ交換式カメラ1を構成するものとしている。しかしながら、レンズ鏡筒10は、レンズ交換が不能なカメラ本体に取り付けられるものであっても良い。また、レンズ鏡筒10は、たとえばプロジェクタ装置等のような投影装置等、別途の光学装置に対して装着されても良い。
【0068】
また、上述の実施の形態では、固定筒としての像側固定筒40について説明している。しかしながら、固定筒は像側固定筒40には限られない。たとえば、図1図2に示す構成において、カメラ本体2側に物体側固定筒20に対応する固定筒を設けるようにしても良い。
【0069】
また、上述の実施の形態では、移動筒としての回転枠50や回転カバー60について説明している。しかしながら、移動筒は回転枠50や回転カバー60には限られなく、移動を行う別途の筒体を移動筒としても良い。
【0070】
また、上述の実施の形態では、移動筒に対応する回転枠50および回転カバー60は、回転を行うものとしている。しかしながら、回転枠50および回転カバー60は、光軸A1方向に沿ってスライドする構成であっても良い。また、回転枠50および回転カバー60に代えて、スライドのみを行う筒体(枠状の部材を含む)を、移動筒としても良い。
【0071】
また、上述の実施の形態では、レンズ鏡筒10は結合部材80を備えていて、この結合部材80を介して窪み部42の外周面42aに主基板70(基板)を取り付けている。しかしながら、レンズ鏡筒10は、結合部材80を省略する構成を採用しても良い。たとえば、外周面42aから径方向に突出する突出部分を設ける。そして、その突出部分に光軸A1方向に沿う貫通孔を設け、その貫通孔にネジ等を挿入する等によって、突出部分を介して主基板70(基板)を窪み部42に固定するようにしても良い。
【0072】
また、上述の実施の形態では、移動筒に対応する回転枠50および回転カバー60は、固定筒に対応する像側固定筒40よりも外径側に配置されている。しかしながら、移動筒は、固定筒よりも内径側に配置される構成を採用しても良い。この場合には、移動筒の光軸A1方向の両端側に、固定筒の外周面から外径側に突出する突出支持部を設ける。そして、その突出支持部にて、移動筒よりも外径側にケーブル部材が延伸する状態で、該ケーブル部材を支持する。このように構成すれば、移動筒に対し非接触の状態で、該移動筒よりも外径側でケーブル部材を支持することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1…レンズ交換式カメラ、2…カメラ本体、10,10A…レンズ鏡筒、20…物体側固定筒(固定筒に対応)、21…ガイド溝、22…端面、30…押さえ筒、40,40A…像側固定筒(固定筒に対応)、41…物体側フランジ部(大径部に対応)、41A…大径部、42,42A…窪み部、42a,42A1…外周面、43…像側フランジ部、44…ガイド孔、50…回転枠(移動筒に対応)、50A…移動筒、60…回転カバー(移動筒に対応)、70,70A…主基板(基板に対応)、80,80A…結合部材、81…円弧状部、82…基板固定部、83…取付孔、84…挿通孔、85…ガイド凹部、91~94…レンズ枠、100…可撓性ケーブル(ケーブル部材に対応)、100A…ケーブル部材、101…一端側傾斜部、102…溝配置部、103…ガイド孔通過部、104…内径側傾斜部(傾斜部に対応)、105,105A…通過部、106…長さ調整部、107,107A…実装部、110…補助基板、120…物体側回転筒、130…回転検出センサ、131…回転側部材、132…センサ素子、A1…光軸、L1~L5…レンズ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7