(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】研磨装置および研磨方法、並びに、洗浄液供給器
(51)【国際特許分類】
B24B 55/08 20060101AFI20231027BHJP
B24B 21/14 20060101ALI20231027BHJP
B24B 21/18 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B24B55/08 B
B24B21/14
B24B21/18 Z
(21)【出願番号】P 2021561178
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2020034815
(87)【国際公開番号】W WO2021106321
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019214333
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155182
【氏名又は名称】株式会社名南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 行正
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-019963(JP,A)
【文献】特開平11-188629(JP,A)
【文献】特公昭64-000185(JP,B2)
【文献】特公昭64-000184(JP,B2)
【文献】特公平04-000780(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/08
B24B 21/14
B24B 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの該砥粒面を加工材に圧接させた状態で該研磨ベルトを回転することによって、前記加工材を研磨する研磨装置であって、
枠体と、
前記砥粒面とは反対側の面を圧接させた状態で前記研磨ベルトを巻き掛け可能、かつ、前記枠体に回転可能に支持された第1ロールと、
前記研磨ベルトと前記加工材との圧接部に関して、前記研磨ベルトの回転方向に向かって前側の位置において、前記第1ロールと平行かつ前記砥粒面に対向するよう配置されると共に、回転可能かつ少なくとも前記加工材を研磨する際に前記研磨ベルトを介して前記第1ロールに圧接可能に前記枠体に支持された第2ロールと、
前記第1ロールを直接または間接的に回転可能なよう該第1ロールに機械的に接続された第2アクチュエータと、
洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有し、該吐出口が前記第2ロールの外周面に対向するよう前記枠体に支持され
ると共に、前記第2ロールを介して前記洗浄液を前記砥粒面に供給可能な洗浄液供給管と、
を備える研磨装置。
【請求項2】
前記吐出口は、前記第2ロールよりも鉛直方向において上方であって、該第2ロールを前記鉛直方向の上方から見たときの仮想投影面上における該第2ロールの投影領域の内側に配置されている
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記枠体に配置された支持枠と、
該支持枠を前記第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記支持枠に機械的に接続された第1アクチュエータと、
をさらに備え、
前記第2ロールは、前記支持枠に回転可能に支持されている
請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記第2ロールの軸中心線方向に延在するプレートをさらに備え、
前記プレートは、前記第2ロールの軸中心線方向に亘って該第2ロールの外周面と接触する先端部を有すると共に、前記仮想投影面上における前記吐出口の投影よりも前記第2ロールの回転方向において前側に配置されており、
前記先端部は、複数の切欠きを有しており、
該複数の切欠きは、前記プレートの延在方向に均等に配置されている
請求項2または請求項2に従属する請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記洗浄液供給管は、前記支持枠に支持されている
請求項3に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記プレートは、前記支持枠に支持されている
請求項3に従属する請求項4に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記第1および第2ロールと平行かつ前記砥粒面とは反対側の面が圧接されるよう配置されると共に、前記枠体に回転可能に支持された第3ロールをさらに備え、
前記第2アクチュエータは、前記第1および第3ロールの少なくとも一方を回転可能に該第1または第3ロールの少なくとも一方に機械的に接続されており、前記第1および第3ロールの少なくとも一方を回転することによって、該第1および第3ロールに巻き掛けられる前記研磨ベルトを回転する
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記第3ロールに機械的に接続された第3アクチュエータをさらに備えており、
前記第1ロールは、前記研磨ベルトを介して前記加工材に圧接可能なコンタクトロールであり、
前記第3ロールは、前記第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記枠体に支持されており、
前記第3アクチュエータは、前記第3ロールを前記第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動させることができる
請求項7に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記第3ロールに機械的に接続された第4アクチュエータをさらに備えており、
前記第1ロールは、前記研磨ベルトを介して前記加工材に圧接可能なコンタクトロールであり、
前記第3ロールは、長手方向の一端が該長手方向および鉛直方向の両方向に直交する第1方向に移動可能に前記枠体に支持されており、
前記第4アクチュエータは、前記第3ロールの前記長手方向の一端を前記第1方向に移動させることができる
請求項7または8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記第3ロールは、自動調心軸受を介して前記枠体に支持されており、
前記第4アクチュエータは、前記自動調心軸受を介して前記第3ロールに接続されている
請求項9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記第3ロールは、前記第1ロールよりも鉛直方向の上方に配置されている
請求項7ないし10のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記第2ロールと前記砥粒面との接触部よりも鉛直方向において下方に配置された洗浄液トレーをさらに備えている
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記第2ロールと前記砥粒面との接触部の延在方向の中央を向くエア吐出開口を有するエアノズルをさらに備えており、
該エアノズルは、前記延在方向の両端部に配置されている
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記第2ロールの外周面は、弾性部材によって覆われている
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項15】
砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの該砥粒面を加工材に圧接した状態で該研磨ベルトを回転することによって、前記加工材の研磨を行う研磨方法であって、
(a)第2アクチュエータによって、前記研磨ベルトを回転させ、
(b)前記砥粒面と前記加工材との圧接部に関して
,前記研磨ベルトの回転方向に向かって前側に配置されると共に
前記研磨ベルトが掛け渡された第1ロール
に、平行かつ砥粒面に対向するよう配置された第2ロールを、研磨ベルトを介して第1ロールに圧接させ、
(c)
洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有し、該吐出口が前記第2ロールの外周面に対向するよう配置された洗浄液供給管によって前記第2ロールの外周面に洗浄液を供給し、
(d)
前記第2ロールを介して前記砥粒面に前記洗浄液を供給すると共に、前記第2ロールの前記第1ロールへの圧接によって前記砥粒面に付着した前記洗浄液が除去された後の前記研磨ベルトにより前記加工材を研磨する
研磨方法。
【請求項16】
砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの該砥粒面を加工材に圧接した状態で該研磨ベルトを回転することによって、前記加工材の研磨を行う研磨装置であって、枠体と、研磨ベルトが巻き掛けられるよう該枠体に回転可能に支持された巻き掛けロールと、前記研磨ベルトと前記加工材との圧接部に関して,前記研磨ベルトの回転方向に向かって前側の位置において,回転可能かつ少なくとも前記加工材を研磨する際に前記巻き掛けロールに前記研磨ベルトを介して圧接可能に前記枠体に支持された圧接ロールと、
前記巻き掛けロールを直接または間接的に回転可能なよう該巻き掛けロールに機械的に接続されたる第2アクチュエータと、を有する前記研磨装置に、洗浄液を供給する洗浄液供給器において、
前記洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有し、該吐出口が前記圧接ロールの外周面に対向するよう配置され
ると共に前記圧接ロール
を介して前記洗浄液を前記砥粒面に供給可能な洗浄液供給管と、
該洗浄液供給管に前記洗浄液を送給可能に該洗浄液供給管に接続されたポンプと、
を備える洗浄液供給器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状の研磨ベルトによって加工材の研磨を行う研磨装置および研磨方法並びに研磨装置に洗浄液を供給する洗浄液供給器に関する。
【背景技術】
【0002】
特公昭51-12158号公報(特許文献1)には、回転する無端状の研磨ベルトによって加工材を研磨する研磨装置が記載されている。当該研磨装置は、研磨ベルトの砥粒面へ圧接される圧接ロールと、研磨ベルトを介して当該圧接ロールに圧接するよう当該研磨ベルトに関して圧接ロールとは反対側に配置されたバックアップロールと、研磨ベルトに洗浄液を供給可能な複数のノズルを有する洗浄液供給器と、を備えている。ここで、圧接ロールおよびバックアップロールは、研磨ベルトが加工材を研磨する研磨加工位置に関して、当該研磨ベルトの回転方向に向かって前側の位置に配置されている。また、洗浄液供給器は、圧接ロールと研磨ベルトとの圧接部分に関して、研磨ベルトの回転方向に向かって後側の位置に配置されている。さらに、複数のノズルは、圧接ロールと研磨ベルトと圧接部分の延在方向に沿って配置されている。
【0003】
当該研磨装置は、研磨ベルトに直接洗浄液を供給することによって、研磨ベルトの目詰まりや研磨中の摩擦熱の発生を抑制している。また、当該研磨装置は、研磨ベルトに付着した洗浄液を圧接ロールによって除去することによって、洗浄液が加工材に付着することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の研磨装置では、複数のノズルに対向する位置を通過する研磨ベルトの砥粒面と、複数のノズル間に対向する位置を通過する研磨ベルトの砥粒面と、で洗浄液の当たり方が異なる。したがって、砥粒面に洗浄ムラが発生する場合がある。また、上述した公報に記載の研磨装置は、砥粒面に洗浄液を衝突させるために比較的大きな吐出圧および吐出量が必要となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でありながら研磨効果のさらなる向上に資する研磨装置および研磨方法を提供することを目的の一つとする。また、装置のコンパクト化に資する研磨装置および研磨方法を提供することを目的の一つとする。さらに、経済性の向上を図ることができる研磨装置および研磨方法を提供することを目的の一つとする。また、研磨ベルトの洗浄効果の向上に資する洗浄液供給器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の研磨装置および研磨方法、並びに、洗浄液供給器は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る研磨装置の好ましい形態によれば、砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの当該砥粒面を加工材に圧接させた状態で当該研磨ベルトを回転することによって、加工材を研磨する研磨装置が構成される。当該研磨装置は、枠体と、第1ロールと、第2ロールと、第2アクチュエータと、洗浄液供給管と、を備えている。第1ロールは、砥粒面とは反対側の面が圧接されるように枠体に回転可能に支持されている。第2ロールは、研磨ベルトと加工材との圧接部に関して、研磨ベルトの回転方向に向かって前側の位置において、第1ロールと平行かつ砥粒面に対向するように配置されると共に、回転可能かつ少なくとも加工材を研磨する際に研磨ベルトを介して第1ロールに圧接可能かつ回転可能に枠体に支持されている。第2アクチュエータは、第1ロールを直接または間接的に回転可能なように第1ロールに機械的に接続されている。そして、洗浄液供給管は、洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有し、当該吐出口が第2ロールの外周面に対向するように枠体に支持されると共に、第2ロールを介して洗浄液を砥粒面に供給可能である。ここで、第1ロールを直接回転可能な態様としては、第2アクチュエータが第1ロールに直結されて、当該第1ロールを回転する態様がこれに該当する。また、第1ロールを間接的に回転可能な態様としては、第2アクチュエータが、例えば、Vベルトやギヤを介して第1ロールに接続されて、当該Vベルトやギヤを介して第1ロールを回転する態様のみならず、第2アクチュエータが研磨ベルトを介して第1ロールを回転する態様(すなわち、第1ロールが従動する態様)を好適に包含する。
【0009】
本発明によれば、吐出口から第2ロールの外周面に供給された洗浄液は、当該第2ロールを介して研磨ベルトの砥粒面に供給される。ここで、第2ロールの外周面に吐出された洗浄液は、当該第2ロールの外周面を面状に拡がるため、砥粒面の広い範囲に洗浄液を供給することができる。これにより、砥粒面に洗浄ムラが発生することを良好に抑制することができる。この結果、研磨装置の研磨効果のさらなる向上を図ることができる。なお、吐出口から第2ロールの外周面に洗浄液を供給するのみであるため、構成も簡易である。もとより、砥粒面に供給された洗浄液は、研磨ベルトを介した第1ロールと第2ロールとの圧接によって、当該第1ロールと第2ロールとの圧接部を通過することが良好に防止されるため、洗浄液が付着した研磨ベルトが加工材を研磨することを良好に抑制し得る。
【0010】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、吐出口は、第2ロールよりも鉛直方向において上方であって、当該第2ロールを鉛直方向の上方から見たときの仮想投影面上における当該第2ロールの投影領域の内側に配置されている。
【0011】
本形態によれば、吐出口から洗浄液を滴下するのみでも研磨ベルトの砥粒面に洗浄液を供給することができるため、洗浄液を第2ロールに噴き付ける構成に比べて、洗浄液の吐出圧および吐出量を抑制できる。これにより、洗浄液を第2ロールに噴き付ける構成に比べて、洗浄液を送給するポンプの容量を小さく抑えることができ、ポンプのコンパクト化を図ることができる。また、使用する洗浄液の量を低減できるため、経済性の向上も図ることができる。
【0012】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、研磨装置は、第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に枠体に配置された支持枠と、当該支持枠を第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に支持枠に機械的に接続された第1アクチュエータと、をさらに備えている。そして、第2ロールは、支持枠に回転可能に支持されている。
【0013】
本形態によれば、研磨ベルトの洗浄が必要なときだけ、研磨ベルトを介して第2ロールを第1ロールに圧接させる構造を簡易に実現できる。
【0014】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、研磨装置は、第2ロールの軸中心線方向に延在するプレートをさらに備えている。プレートは、第2ロールの軸中心線方向に亘って当該第2ロールの外周面と接触する先端部を有している。また、プレートは、仮想投影面上における吐出口の投影よりも第2ロールの回転方向において前側に配置されている。また、プレートの先端部は、複数の切欠きを有している。そして、当該複数の切欠きは、プレートの延在方向に均等に配置されている。
【0015】
本形態によれば、プレートと第2ロールの外周面とによって構成される領域内に、吐出口から第2ロールの外周面に供給された洗浄液の一部を一時的に貯留可能である。そして、貯留された洗浄液は、プレートの延在方向に均等に配置された複数の切欠きから第2ロールの回転方向の前側に流出する。これにより、洗浄液が第2ロールの外周面にほぼ均一に付着させることができ、砥粒面の広い範囲に洗浄液を供給することができる。この結果、砥粒面に洗浄ムラが発生することをより一層抑制することができる。
【0016】
第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能な支持枠をさらに備える本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、洗浄液供給管は、支持枠に支持されている。
【0017】
本形態によれば、第2ロールおよび洗浄液供給管をユニット化できる。
【0018】
第1ロールに近づく方向および遠ざかる方向に移動可能な支持枠をさらに備える本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、プレートは、前記支持枠に支持されている。
【0019】
本形態によれば、第2ロールおよびプレートをユニット化できる。
【0020】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、研磨装置は、第3ロールをさらに備えている。第3ロールは、第1および第2ロールと平行かつ砥粒面とは反対側の面が圧接されるよう配置されると共に、枠体に回転可能に支持されている。また、第2アクチュエータは、第1および第3ロールの少なくとも一方を回転可能に当該第1または第3ロールの少なくとも一方に機械的に接続されている。そして、第2アクチュエータは、第1および第3ロールの少なくとも一方を回転することによって、当該第1および第3ロールに巻き掛けられる研磨ベルトを回転する。
【0021】
本形態によれば、研磨ベルトが巻き掛けられる第1および第3ロールを第2ロールのバックアップロールとして利用するため、第2ロールをバックアップするためだけの専用のロールを有する構成に比べて部品点数の低減を図ることができる。
【0022】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、研磨装置は、第3ロールに機械的に接続された第3アクチュエータをさらに備えている。ここで、第1ロールは、研磨ベルトを介して加工材に圧接可能なコンタクトロールである。また、前記第3ロールは、第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に枠体に支持されている。そして、第3アクチュエータは、第3ロールを第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動させることができる。
【0023】
本形態によれば、第3ロールを第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動させることによって、研磨ベルトの張力の調整が可能である。当該構成では、第3ロールが移動するため、第2ロールを第3ロールに圧接させることはできず、第2ロールは第1ロールに圧接させる必要がある。この場合、第2ロールと加工材間のスペースが狭くなり、当該スペースに洗浄液供給器を配置することが困難となる。即ち、研磨ベルトに直接洗浄液を供給する態様の従来の洗浄液供給器による研磨ベルトの洗浄が困難となる。しかしながら、本形態によれば、第2ロールの外周面に洗浄液を供給すれば足りるため、当該狭いスペースに洗浄液供給器を配置する必要が無い。これにより、洗浄液供給器の配置自由度が向上する。
【0024】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、研磨装置は、第3ロールに機械的に接続された第4アクチュエータをさらに備えている。ここで、第1ロールは、研磨ベルトを介して加工材に圧接可能なコンタクトロールである。また、第3ロールは、長手方向の一端が当該長手方向および鉛直方向の両方向に直交する第1方向に移動可能に枠体に支持されている。そして、第4アクチュエータは、第3ロールの長手方向の一端を第1方向に移動させることができる。
【0025】
本形態によれば、第3ロールを第1方向に移動させることによって、研磨ベルトの第1および第3ロールに対する当該第1および第3ロールの長手方向への位置ズレを矯正可能である。当該構成では、第3ロールの長手方向の一端が第1方向に移動されるため、第2ロールを第3ロールに圧接させることはできず、第2ロールは第1ロールに圧接させる必要がある。この場合、第2ロールと加工材と間のスペースが狭くなり、当該スペースに洗浄液供給器を配置することが困難となる。即ち、研磨ベルトに直接洗浄液を供給する態様の従来の洗浄液供給器による研磨ベルトの洗浄が困難となる。しかしながら、本形態によれば、第2ロールの外周面に洗浄液を供給すれば足りるため、当該狭いスペースに洗浄液供給器を配置する必要が無い。これにより、洗浄液供給器の配置自由度が向上する。
【0026】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、第3ロールは、自動調心軸受を介して枠体に支持されている。そして、第4アクチュエータは、自動調心軸受を介して第3ロールに接続されている。
【0027】
本形態によれば、第3ロールの長手方向の一端が第1方向に移動されることに起因して生じる第3ロールの軸中心線と回転軸心との軸心ずれを自動調心軸受によって吸収することができる。
【0028】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、第3ロールは、第1ロールよりも鉛直方向の上方に配置されている。
【0029】
本形態によれば、研磨装置が、加工材の搬送方向、および、当該搬送方向および鉛直方向の両方向に直交する方向に大型化することを防止できる。
【0030】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、第2ロールと砥粒面との接触部よりも鉛直方向において下方に配置された洗浄液トレーをさらに備えている。
【0031】
本形態によれば、研磨ベルトの砥粒面を洗浄後の洗浄液を洗浄液トレーで受けることができる。
【0032】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、第2ロールと砥粒面との接触部の延在方向の中央を向くエア吐出開口を有するエアノズルをさらに備えている。そして、当該エアノズルは、延在方向の両端部に配置されている。
【0033】
本形態によれば、エアノズルから吐出されるエアによって、第2ロールと研磨ベルトの砥粒面との接触部に滞留する洗浄液が、当該接触部の外側に飛散することを良好に抑制することができる。
【0034】
本発明に係る研磨装置の更なる形態によれば、第2ロールの外周面は、弾性部材によって覆われている。
【0035】
本形態によれば、弾性部材を弾性変形によって研磨ベルトの砥粒面の各砥粒間に入り込ませることができ、この際、洗浄液も各砥粒間に浸入させることができる。これにより、各砥粒面間に入り込んだ研磨屑を効果的に洗浄することが可能となる。また、各砥粒間に浸入した洗浄液は、弾性変形して各砥粒間に入り込む弾性部材によって良好に掻き出されるため、研磨ベルトの砥粒面に洗浄液が残存することを効果的に防止できる。
【0036】
本発明に係る研磨方法の好ましい形態によれば、砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの当該砥粒面を加工材に圧接した状態で当該研磨ベルトを回転することによって、加工材の研磨を行う研磨方法が構成される。当該研磨方法は、(a)第2アクチュエータによって、研磨ベルトを回転させ、(b)砥粒面と加工材との圧接部に関して,研磨ベルトの回転方向に向かって前側に配置されると共に研磨ベルトが掛け渡された第1ロールに、平行かつ砥粒面に対向するよう配置された第2ロールを、研磨ベルトを介して第1ロールに圧接させ、(c)洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有し、当該吐出口が第2ロールの外周面に対向するように配置された洗浄液供給管によって第2ロールの外周面に洗浄液を供給し、(d)第2ロールを介して砥粒面に洗浄液を供給すると共に、第2ロールの第1ロールへの圧接によって研磨ベルトの砥粒面に付着した洗浄液が除去された後の研磨ベルトにより加工材を研磨する。
【0037】
本発明によれば、第2ロールの外周面に供給された洗浄液は、当該第2ロールを介して研磨ベルトの砥粒面に供給される。ここで、第2ロールの外周面に吐出された洗浄液は、当該第2ロールの外周面を面状に拡がるため、砥粒面の広い範囲に洗浄液を供給することができる。これにより、砥粒面に洗浄ムラが発生することを良好に抑制することができる。この結果、研磨装置の研磨効果のさらなる向上を図ることができる。なお、第2ロールの外周面に洗浄液を供給するのみであるため、構成も簡易である。もとより、砥粒面に供給された洗浄液は、研磨ベルトを介した第1および第2ロールの圧接によって、当該第1および第2ロールの圧接部を通過することが良好に防止されるため、洗浄液が付着した研磨ベルトが加工材を研磨することを良好に抑制し得る。
【0038】
本発明に係る洗浄液供給器の好ましい形態によれば、砥粒面を有する無端状の研磨ベルトの当該砥粒面を加工材に圧接した状態で当該研磨ベルトを回転することによって、加工材の研磨を行う研磨装置に洗浄液を供給する洗浄液供給器が構成される。研磨装置は、枠体と、巻き掛けロールと、圧接ロールと、第2アクチュエータと、を有している。巻き掛けロールは、研磨ベルトが巻き掛けられるように当該枠体に回転可能に支持されている。圧接ロールは、研磨ベルトと加工材との圧接部に関して、研磨ベルトの回転方向に向かって前側の位置において、回転可能かつ少なくとも加工材を研磨する際に巻き掛けロールに研磨ベルトを介して圧接可能に枠体に支持されている。第2アクチュエータは、巻き掛けロールを直接または間接的に回転可能なように当該巻き掛けロールに機械的に接続されている。そして、洗浄液供給器は、洗浄液供給管と、ポンプと、を備えている。洗浄液供給管は、洗浄液を吐出可能な少なくとも1つの吐出口を有している。また、洗浄液供給管は、当該吐出口が圧接ロールの外周面に対向するように配置されていると共に圧接ロールを介して洗浄液を砥粒面に供給可能である。また、ポンプは、洗浄液供給管に洗浄液を送給可能に当該洗浄液供給管に接続されている。ここで、巻き掛けロールを直接回転可能な態様としては、第2アクチュエータが巻き掛けロールに直結されて、当該巻き掛けロールを回転する態様がこれに該当する。また、巻き掛けロールを間接的に回転可能な態様としては、第2アクチュエータが、例えば、Vベルトやギヤを介して巻き掛けロールに接続されて、当該Vベルトやギヤを介して巻き掛けロールを回転する態様のみならず、第2アクチュエータが研磨ベルトを介して巻き掛けロールを回転する態様(すなわち、巻き掛けロールが従動する態様)を好適に包含する。
【0039】
本発明によれば、圧接ロールの外周面に供給された洗浄液は、当該圧接ロールを介して研磨ベルトの砥粒面に供給される。ここで、圧接ロールの外周面に吐出された洗浄液は、当該圧接ロールの外周面を面状に拡がるため、砥粒面の広い範囲に洗浄液を供給することができる。これにより、砥粒面に洗浄ムラが発生することを良好に抑制することができる。この結果、研磨装置の研磨効果のさらなる向上を図ることができる。なお、圧接ロールの外周面に洗浄液を供給するのみであるため、構成も簡易である。もとより、砥粒面に供給された洗浄液は、研磨ベルトを介した巻き掛けロールと圧接ロールとの圧接によって、当該巻き掛けロールと圧接ロールとの圧接部を通過することが良好に防止されるため、洗浄液が付着した研磨ベルトが加工材を研磨することを良好に抑制し得る。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、簡易な構成でありながら研磨効果のさらなる向上を図ることができる。また、装置のコンパクト化を図ることができる。さらに、経済性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1実施例としての研磨装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図4】
図2の矢印C方向から見た研磨装置1の要部を拡大して示す要部拡大図である。
【
図6】本発明の第2実施例としての研磨装置100の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図7】プレート120の外観、および、プレート120の水切りロール10およびパイプ70に対する配置関係を示す斜視図である。
【
図8】プレート120の水切りロール10およびパイプ70に対する配置関係の詳細を示す説明図である。
【
図9】プレート120と水切りロール10の外周面との接触部を含む領域に洗浄水CWが一時的に貯留される様子を示す説明図である。
【
図10】本発明の第3実施例としての研磨装置200におけるエアノズル220,220の配置を示す説明図である。
【
図11】エアノズル220,220によって、水切りロール10とコンタクトロール8との接触部90近傍にエアを噴き付ける様子を示す斜視図である。
【
図12】エアノズル220,220によって、水切りロール10とコンタクトロール8との接触部90近傍にエアを噴き付ける様子を拡大して示す拡大説明図である。
【
図13】変形例の研磨装置300の構成の概略を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0043】
本発明の第1実施例の研磨装置1は、
図1ないし
図3に示すように、主に、ベッド2上に固定されたメインフレーム4と、当該メインフレーム4に回転可能に支持された上ロール6およびコンタクトロール8(
図2および
図3参照)と、コンタクトロール8にVベルトVBLTを介して接続されたモータM(
図3参照)と、コンタクトロール8に対向配置された水切りロール10(
図2参照)と、当該水切りロール10の鉛直方向の上方に配置された洗浄水供給器12と、ベッド2上に固定された軸受13a,13b,13cによって回転可能に支持された複数の支持ロールSR1,SR2,SR3(
図2参照)と、支持ロールSR1,SR3に対向配置された押えロールPR1,PR2(
図2参照)と、を備えている。研磨装置1は、上ロール6とコンタクトロール8とに掛け渡された無端状の研磨ベルトPBを回転させることによって、支持ロールSR1,SR2,SR3上に載置され搬送される合板などの加工材Vnの表面を研磨する。なお、研磨ベルトPBは、砥粒面が上ロール6およびコンタクトロール8に圧接されない状態、即ち、砥粒面が外側を向くように上ロール6とコンタクトロール8とに掛け渡される。モータMは、本発明における「第2アクチュエータ」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
メインフレーム4は、
図1および
図3に示すように、ベッド2の上面から鉛直方向の上方に延在する主壁4aと、当該主壁4aの延在端に接続されると共に当該主壁4aの延在方向に対して直交する方向に延在するビーム4bと、ベッド2の上面から鉛直方向の上方に延在する一対の支持壁4c,4cと、を有している。メインフレーム4は、本発明における「枠体」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
主壁4aおよびビーム4bは、
図1および
図3に示すように、合板などの加工材Vnの搬送方向の一方側(
図1および
図3の紙面に垂直な方向)から見た場合に、逆さL字状を有している。ビーム4bの上面には、
図1および
図3に示すように、一対の支持台14a,14bが、ビーム4bの延在方向に所定距離離れた状態で配置されている。支持台14a,14bは、
図2に示すように、ビーム4bの上面に取り付けられたエアシリンダ16,16のピストンロッド16a,16aが接続されている(
図2には、支持台14aのみが記載されている)。エアシリンダ16,16は、ピストンロッド16a,16aの伸縮方向が鉛直方向と平行となるようにビーム4bの上面に取り付けられている。
【0046】
また、支持台14a,14bの下面には、
図2に示すように、スライド部材15が一体に取り付けられている(
図2には、支持台14aのみが記載されている)。当該スライド部材15は、ビーム4bの上面に一体に取り付けられたガイド部材5に係合されている。なお、ガイド部材5は、ピストンロッド16a,16aの伸縮方向(鉛直方向)と平行な方向に延在している。こうしてビーム4bの上面に配置された支持台14a,14bは、エアシリンダ16,16によるピストンロッド16a,16aの伸縮によって、ビーム4bの上面に対して近付く方向および遠ざかる方向(鉛直方向の上下方向)に移動される。エアシリンダ16,16は、本発明における「第3アクチュエータ」に対応する実施構成の一例である。
【0047】
一対の支持台14a,14bの上面には、
図1ないし
図3に示すように、それぞれ自動調心玉軸受18a,18bが設置されている。自動調心玉軸受18aは、
図2に示すように、リニアガイド17を介して支持台14aに接続されている。より具体的には、自動調心玉軸受18aには、連結体19が一体に取り付けられている。連結体19には、支持台14aに固定されたエアシリンダ20の図示しないピストンロッドが接続されている。なお、エアシリンダ20は、図示しないピストンロッドの伸縮方向が、鉛直方向および自動調心玉軸受18aの軸線中心線の延在方向の両方向に直交する方向(
図2の左右方向)と平行になるように支持台14aに固定されている。これにより、エアシリンダ20の図示しないピストンロッドが伸縮されると、自動調心玉軸受18aのみが、支持台14aに対して図示しないピストンロッドの伸縮方向に相対移動される。なお、自動調心玉軸受18bは、支持台14bに固定されている。エアシリンダ20は、本発明における「第4アクチュエータ」に対応する実施構成の一例である。
【0048】
支持壁4c,4cは、
図1および
図3に示すように、ビーム4bの延在方向に所定距離離れて配置されている。支持壁4c,4cの延在端は、
図4に示すように、互いに向き合う方向に切り欠いた段差部50,50を有している。当該段差部50,50は、鉛直方向およびビーム4bの延在方向の両方向に直交する方向(
図4の紙面に垂直な方向、
図5の左右方向)に延在している。換言すれば、段差部50,50は、コンタクトロール8寄りの位置から当該コンタクトロール8から遠ざかる方向に向かって水平に延在していると言うことができる。また、段差部50,50は、水平で平坦な面50a,50aを有している。面50a,50aは段差部50,50の延在方向に沿って延在している。
【0049】
当該面50a,50aには、
図4および
図5に示すように、載置台30がスライド自在に載置されていると共に、エアシリンダ31,31が固定されている。載置台30は、
図4に示すように、支持壁4c,4c間に亘って延在している。載置台30の上面には、軸受32a,32aを有する支持体32,32と、洗浄水供給器12の後述する排水受け34と、が固定されている。支持体32,32は、載置台30の長手方向(
図4の左右方向)の両端部寄りの位置に配置されている。換言すれば、支持体32,32は、載置台30の長手方向(
図4の左右方向)に所定間隔をもって配置されていると言うことができる。支持体32,32は、軸受32a,32aの回転軸中心線がコンタクトロール8の回転軸中心線と平行となるように載置台30に配置されている。軸受32a,32aは、水切りロール10の後述する回転軸10a,10aを支持する。即ち、水切りロール10は、軸受32a,32aを介してメインフレーム4に回転可能に支持されている。このとき、水切りロール10の回転軸中心線は、コンタクトロール8の回転軸中心線と平行となっている。エアシリンダ31は、本発明における「第1アクチュエータ」に対応する実施構成の一例である。
【0050】
また、支持体32,32の上面には、
図4に示すように、パイプ支持体36,36が固定されている。パイプ支持体36,36は、
図5に示すように、上面が凹状に切り欠かれた受部36a,36aを有している。当該受部36a,36aに洗浄水供給器12の後述するパイプ70が載置される。載置台30、支持体32、パイプ支持体36は、本発明における「支持枠」に対応する実施構成の一例である。
【0051】
エアシリンダ31,31は、
図5に示すように、載置台30に関して、コンタクトロール8が配置された側とは反対側に配置されている。エアシリンダ31,31のピストンロッド31a,31aの先端は、載置台30に接続されている。
【0052】
上ロール6は、
図1および
図3に示すように、回転軸6a,6aを有している。当該回転軸6a,6aが、自動調心玉軸受18a,18bによって支持されている。即ち、上ロール6は、自動調心玉軸受18a,18bを介してメインフレーム4に回転可能に支持されていると共に、スライド部材15およびガイド部材5によって鉛直方向に移動可能にメインフレーム4に支持されていると言うことができる。
【0053】
上ロール6は、自動調心玉軸受18a,18bに支持されることによって、その回転軸中心線がビーム4bの延在方向と平行になる。なお、エアシリンダ20の図示しないピストンロッドの伸縮によって、自動調心玉軸受18aのみが支持台14aに対して図示しないピストンロッドの伸縮方向に相対移動されることにより、上ロール6の長手方向の一端部が、当該上ロール6の長手方向および鉛直方向の両方向に直交する方向(
図2の左右方向)に移動される。即ち、上ロール6は、水平面内において、その回転軸中心線がビーム4bの延在方向に平行な状態と、その回転軸中心線が当該ビーム4bの延在方向に交差する状態と、の間で状態変更可能とされている。ここで、上ロール6は、本発明における「第3ロール」に対応する実施構成の一例である。また、上ロール6が、自動調心玉軸受18a,18bを介してメインフレーム4に対して鉛直方向に移動可能に支持される態様は、本発明における「前記第3ロールは、前記第1ロールに対して近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記枠体に支持されており、」に対応する実施構成の一例である。また、上ロール6の長手方向の一端部が、当該上ロール6の長手方向および鉛直方向の両方向に直交する方向(
図2の左右方向)に移動される態様は、本発明における「前記第3ロールは、長手方向の一端が該長手方向および前記鉛直方向の両方向に直交する第1方向に移動可能に前記枠体に支持されており、」に対応する実施構成の一例である。
【0054】
コンタクトロール8は、
図3に示すように、回転軸8aを有している。当該回転軸8aは、主壁4aの側面に固定された一対の軸受22,22に支持されている。即ち、コンタクトロール8は、軸受22,22を介してメインフレーム4に回転可能に支持されていると言うことができる。軸受22,22は、その軸中心線が自動調心玉軸受18a,18bの軸中心線(上ロール6の回転軸中心線)と平行になるように、かつ、当該軸受22,22の軸中心線の延在方向の一方側から研磨装置1を見た場合に(
図2参照)、当該軸受22,22の軸中心と自動調心玉軸受18a,18bの軸中心(上ロール6の回転軸中心)とを結ぶ直線が鉛直方向と平行になるように主壁4aの側面に取り付けられている。これにより、コンタクトロール8と上ロール6とが平行に配置されると共に、コンタクトロール8の回転軸中心線の延在方向の一方側から研磨装置1を見た場合に、コンタクトロール8と上ロール6とが鉛直方向にほぼ一直線上に配置される。なお、回転軸8aのうち軸受22,22間には、V溝付きプーリ23aが一体に取り付けられている。また、コンタクトロール8の外周面には、弾性部材8bが被覆されている(
図2参照)。コンタクトロール8は、本発明における「第1ロール」および「巻き掛けロール」に対応する実施構成の一例である。
【0055】
モータMは、
図3に示すように、回転軸24を有している。モータMは、回転軸24がコンタクトロール8の回転軸8aと平行となるようにベッド2に固定されている。回転軸24の先端には、V溝付きプーリ23bが一体に取り付けられている。コンタクトロール8の回転軸8aに取り付けられたV溝付きプーリ23aと、モータMの回転軸24に取り付けられたV溝付きプーリ23bと、に無端状のVベルトVBLTが掛け渡される。これにより、モータMの回転軸24の回転がVベルトVBLTを介してコンタクトロール8の回転軸8aに伝達されて、コンタクトロール8が回転される。
【0056】
水切りロール10は、
図4に示すように、回転軸10a,10aを有している。当該回転軸10a,10aが、軸受32a,32aによって回転可能に支持されている。即ち、水切りロール10は、軸受32a,32aを介して支持体32,32に回転可能に支持されている。また、水切りロール10は、エアシリンダ31,31による載置台30の移動によって、研磨ベルトPBを介してコンタクトロール8に圧接する洗浄位置と、研磨ベルトPBを介したコンタクトロール8との圧接が解除される洗浄待機位置と、の間で往復移動される。なお、水切りロール10の外周面には、
図2に示すように、弾性部材10bが被覆されている。水切りロール10は、本発明における「第2ロール」および「圧接ロール」に対応する実施構成の一例である。
【0057】
洗浄水供給器12は、
図4に示すように、複数の吐出口70aを有するパイプ70と、配管72を介してパイプ70に接続されたポンプPと、パイプ70からの洗浄水を受けるための排水受け34と、を備えている。洗浄水供給器12のうちパイプ70と排水受け34とは、エアシリンダ31,31による載置台30の移動によって、水切りロール10と一体に、コンタクトロール8に近づく方向(洗浄位置)および遠ざかる方向(洗浄待機位置)に移動される。パイプ70は、本発明における「洗浄液供給管」に対応する実施構成の一例である。
【0058】
パイプ70は、
図4に示すように、複数の吐出口70aが鉛直方向の下方(水切りロール10側)を向くようにパイプ支持体36,36に支持される。そして、パイプ70がパイプ支持体36,36によって支持された際に、複数の吐出口70aが、
図5に示すように、鉛直方向の上側から研磨装置1を見たときの仮想投影面上における水切りロール10の投影領域の内側に配置される。なお、パイプ70は、パイプ支持体36,36に支持された際に、水切りロール10の上方に配置される。
【0059】
排水受け34は、
図4および
図5に示すように、支持体32,32間に配置されている。排水受け34は、水切りロール10の長手方向(
図4の左右方向および
図5の上下方向)の長さよりも若干長い長さを有している。また、排水受け34は、
図5に示すように、鉛直方向の上側から研磨装置1を見たときの仮想投影面上における排水受け34の投影領域の内側に水切りロール10が配置されるような大きさ(投影面積)を有している。なお、排水受け34の底面には、
図1に示すように、洗浄水を排出するためのチューブTubが接続されている。
【0060】
支持ロールSR2は、
図2に示すように、鉛直方向においてコンタクトロール8の下方に、当該コンタクトロール8に対向するように配置されている。支持ロールSR2とコンタクトロール8との間は、合板などの加工材Vnが通過可能な隙間を有している。当該隙間は、合板などの加工材Vnの板厚よりも若干小さくなるように設定可能である。
【0061】
支持ロールSR1,SR3は、
図2に示すように、支持ロールSR2に関して、合板などの加工材Vnの搬送方向(
図2の左右方向)の両側に配置されている。支持ロールSR1,SR3は、図示しないモータによって回転駆動される。
【0062】
次に、こうして構成された研磨装置1の動作、特に、研磨ベルトPBを洗浄する際の動作について説明する。研磨装置1によって合板などの加工材Vnの研磨を行うにあたり、まず、研磨装置1に研磨ベルトPBを装着する。研磨ベルトPBの研磨装置1への装着は、まず、ピストンロッド16a,16aが縮む方向に当該エアシリンダ16,16を駆動する。これにより、自動調心玉軸受18a,18bを介して支持台14a,14bに支持された上ロール6が、ビーム4bの上面に対して近付く方向、即ち、コンタクトロール8に近付く方向に移動されて、上ロール6の回転軸中心線とコンタクトロール8の回転軸中心線との間の距離が小さくなる。このとき、ピストンロッド31aが縮む方向にエアシリンダ31,31を駆動して、水切りロール10を洗浄待機位置に移動させる。
【0063】
当該状態で、上ロール6とコンタクトロール8とに研磨ベルトPBを掛け渡す。その後、ピストンロッド16a,16aが伸びる方向にエアシリンダ16,16を駆動する。これにより、上ロール6が自動調心玉軸受18a,18bおよび支持台14a,14bと共に鉛直方向の上方に移動されて、上ロール6の回転軸中心線とコンタクトロール8の回転軸中心線との間の距離が増加する。研磨ベルトPBに所定の張力が作用した時点で、当該状態(研磨ベルトPBに所定の張力が作用した状態)が維持されるように、エアシリンダ16,16の駆動を保持する。このとき、ピストンロッド31aが伸びる方向にエアシリンダ31,31を駆動して、水切りロール10を洗浄位置に移動させる。こうして、研磨装置1への研磨ベルトPBの装着が完了する。
【0064】
続いて、モータMを駆動する。モータMの駆動によって、回転軸24が回転され、当該回転軸24の回転がVベルトVBLTを介して、コンタクトロール8に伝達される。これにより、コンタクトロール8が
図2において時計回りに回転する。コンタクトロール8の回転によって、研磨ベルトPBが
図2において時計回りに回転する。このとき、上ロール6は研磨ベルトPBによって従動回転される。
【0065】
一方、水切りロール10は、洗浄位置に移動されて、研磨ベルトPBを介してコンタクトロール8に圧接しているため、
図2において反時計回りに従動回転される。この状態で、洗浄水供給器12のポンプPを駆動して、パイプ70の複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面に洗浄水CWを供給する。こうして、研磨作業開始の準備が完了する。洗浄水CWは、本発明における「洗浄液」に対応する実施構成の一例である。
【0066】
研磨作業開始の準備が完了すると、次に、図示しないモータを駆動して支持ロールSR1,SR2を回転させる(
図2において時計回り)。そして、支持ロールSR1と押えロールPR1との間から合板などの加工材Vnを挿入する。これにより、加工材Vnは、
図2において左から右へ搬送され、コンタクトロール8と支持ロールSR2との間を通過する際に、コンタクトロール8に巻き掛けられた研磨ベルトPBによって、その表面が研磨される。
【0067】
このとき、研磨ベルトPBの表面(砥粒面)には、加工材Vnを研磨することによって生じた研磨屑が付着する。しかしながら、本実施の形態の研磨装置では、当該研磨屑が付着した研磨ベルトPBが、水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90を通過する際に、当該水切りロール10の外周面に付着した洗浄水CWによって、当該研磨屑が研磨ベルトPBの表面(砥粒面)から洗い流される。
【0068】
ここで、本実施の形態の研磨装置1では、複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面に洗浄水CWを供給する構成であるため、洗浄水CWが水切りロール10の外周面を面状にムラなく拡がる。即ち、水切りロール10の外周面のうち、複数の吐出口70aからの洗浄水CWの滴下位置よりも少なくとも水切りロール10の回転方向において前側に位置する部分には、水切りロール10の回転も相まって、水切りロール10の長手方向に亘ってムラなく十分に洗浄水が付着する。
【0069】
当該水切りロール10の外周面に付着した洗浄水CWは、その大半が当該水切りロール10の外周面に付着したまま、水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90まで運ばれるため(
図2参照)、研磨ベルトPBの表面(砥粒面)をムラなく効果的に洗浄することができるものと思われる。これにより、研磨効果のさらなる向上を図ることができる。なお、複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面に洗浄水を供給するのみであるため、構成も簡易である。もとより、接触部90まで運ばれた洗浄水CWは、研磨ベルトPBを介した水切りロール10と研磨ベルトPBを介したコンタクトロール8との圧接によって、接触部90を通過することが良好に防止されるため、洗浄水が付着した研磨ベルトPBが加工材を研磨することを良好に抑制し得る。
【0070】
また、水切りロール10の外周面およびコンタクトロール8の外周面には、それぞれ弾性部材8b,10bが被覆されているため、各弾性部材8b,10bの弾性変形によって、研磨ベルトPBの表面(砥粒面)の各砥粒間に洗浄水CWが浸入し易いものとなると思われる。これにより、研磨ベルトPBの表面(砥粒面)をより効果的に洗浄することができるものと思われる。なお、各砥粒間に浸入した洗浄水CWは、弾性変形して各砥粒間に入り込む弾性部材10bによって良好に掻き出されるため、研磨ベルトPBの表面(砥粒面)に洗浄水CWが残存することを効果的に防止できる。
【0071】
さらに、本実施の形態の研磨装置1では、水切りロール10の真上にパイプ70を配置する構成であるため、当該複数の吐出口70aから洗浄水を滴下するのみでも研磨ベルトPBの表面(砥粒面)に十分な洗浄水CWをムラなく供給することができるため、洗浄水CWを研磨ベルトPBや水切りロール10に噴き付ける構成に比べて、洗浄水の吐出圧および吐出量を抑制することができる。これにより、ポンプPの容量を小さく抑えることができ、ポンプPのコンパクト化を図ることができる。また、使用する洗浄水の量を低減できるため、経済性の向上も図ることができる。
【0072】
このように洗浄水CWによって洗浄された砥粒面が、研磨ベルトPBの回転によって再び加工材Vnに圧接し、当該加工材Vnの表面を研磨することになるため、良好な加工状態を継続することができる。こうして、表面が研磨された加工材Vnは、
図2においてさらに右方向に搬送されて、支持ロールSR3と押えロールPR2との間から排出される。
【0073】
なお、砥粒面を洗浄した洗浄水CWや、水切りロール10の外周面に付着しきれなかった洗浄水CWは、排水受け34に収容され、図示しないフィルタによって研磨屑などの異物が除去された後、再び、ポンプPに送られる。このように、洗浄水CWを再利用することによって、省資源化を図っている。
【0074】
また、研磨ベルトPBによる研磨作業を継続していると、研磨時に生じる研磨ベルトPBとコンタクトロール8との間の摩擦や、研磨装置1の作動に起因する振動などによって、研磨ベルトPBが上ロール6の長手方向(
図1の左右方向)に位置ずれを生じる場合がある。本実施の形態では、研磨ベルトPBの当該位置ずれをセンサ60a,60bによって検知すると共に、エアシリンダ20の駆動によって当該位置ずれの矯正を図っている(
図1参照)。
【0075】
センサ60a,60bは、
図1に示すように、研磨ベルトPBの走行方向(
図1の上下方向)に直交する方向(
図1の左右方向)の当該研磨ベルトPBの一方の側縁PBs1を挟むように配置されている。換言すれば、位置ずれを生じていない状態の研磨ベルトPBの側縁PBs1が、センサ60a,60b間を通ると言うことができる。
【0076】
したがって、センサ60a,60bの両方が研磨ベルトPBを検知した場合には、研磨ベルトPBが位置ずれを生じて、
図1において左側(側縁PBs1側)へ寄っていると、図示しない制御装置は判断する。一方、センサ60a,60bの両方が研磨ベルトPBを検知しなくなった場合には、研磨ベルトPBが位置ずれを生じて、
図1において右側(側縁PBs2側)へ寄っていると、判断する。
【0077】
そして、研磨ベルトPBが、
図1において左側(側縁PBs1側)へ寄っている場合には、制御装置は、研磨ベルトPBが
図1において右側へ移動するよう、即ち、研磨ベルトPBの側縁PBs2側(
図1の右側)の見かけ上の周長が、側縁PBs1側(
図1の左側)の見かけ上の周長よりも長くなるように、エアシリンダ20の図示しないピストンロッドを伸縮作動させる。そして、制御装置は、センサ60bのみが研磨ベルトPBを検知するようになったときに、エアシリンダ20の駆動を停止する。
【0078】
また、研磨ベルトPBが、
図1において右側(側縁PBs2側)へ寄っている場合には、制御装置は、研磨ベルトPBが
図1において左側へ移動するよう、即ち、研磨ベルトPBの側縁PBs1側(
図1の左側)の見かけ上の周長が、側縁PBs2側(
図1の右側)の見かけ上の周長よりも長くなるように、エアシリンダ20の図示しないピストンロッドを伸縮作動させる。そして、制御装置は、センサ60bのみが研磨ベルトPBを検知するようになったときに、エアシリンダ20の駆動を停止する。
【0079】
このように、研磨ベルトPBが回転(走行)している間は、上述した動作を繰り返し実行することによって、研磨ベルトPBが上ロール6およびコンタクトロール8に適切な位置関係で掛け渡された状態を維持している。
【0080】
なお、本実施の形態では、上ロール6の回転軸6a,6aが、自動調心玉軸受18a,18bによって支持されているため、エアシリンダ20の図示しないピストンロッドを伸縮作動させても、回転軸6a,6aの軸中心線と、自動調心玉軸受18a,18bの軸中心線と、が一致するため、上ロール6が回転不良を生じることはない。
【0081】
以上説明した本発明の第1実施例の研磨装置1によれば、水切りロール10の真上に配置したパイプ70から当該水切りロール10の外周面に洗浄水CWを供給するため、水切りロール10の外周面には、水切りロール10の回転も相まって、その長手方向に亘って、洗浄水CWが面状にムラなく付着する。そして、当該水切りロール10の外周面に十分に付着した洗浄水CWが、水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90に運ばれて、研磨ベルトPBの砥粒面を洗浄するため、砥粒面に洗浄ムラが発生することを良好に抑制することができる。これにより、研磨装置1の研磨効果のさらなる向上を図ることができる。
【0082】
なお、複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面に洗浄水CWを供給するのみであるため、構成も簡易である。また、複数の吐出口70aから洗浄水を滴下するのみでも砥粒面に十分な洗浄水CWをムラなく供給することができるため、洗浄水CWを研磨ベルトPBや水切りロール10に噴き付ける構成に比べて、洗浄水CWの吐出圧および吐出量を抑制することができる。これにより、ポンプPの容量を小さく抑えることができ、ポンプPのコンパクト化を図ることができる。また、使用する洗浄水CWの量を低減できるため、経済性の向上も図ることができる。
【0083】
さらに、上ロール6が、鉛直方向や、鉛直方向およびビーム4bの長手方向の両方向に直交する方向に移動する構成であるが故に、水切りロール10をコンタクトロール8に圧接させる必要があり、コンタクトロール8と加工材Vn間の狭いスペースに洗浄水供給器12を配置する必要がないため、洗浄水供給器12の配置自由度を向上することができる。
【0084】
もとより、砥粒面に供給された洗浄水CWは、研磨ベルトPBを介した水切りロール10とコンタクトロール8との圧接によって、当該水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90を通過することが良好に防止されるため、洗浄水CWが付着した研磨ベルトPBが加工材Vnを研磨することを良好に抑制し得る。
【0085】
また、本発明の第1実施例の研磨装置1によれば、水切りロール10、パイプ70および排水受け34を載置台30に設置するため、これら水切りロール10、パイプ70および排水受け34をユニット化することができる。即ち、研磨ベルトPBの洗浄機能を有さない研磨装置1に、当該ユニット化した水切りロール10、パイプ70および排水受け34を後付けすることが容易となる。
【0086】
さらに、本発明の第1実施例の研磨装置1によれば、水切りロール10のバックアップロールとしてコンタクトロール8を用いるため、水切りロール10をバックアップするためのみの専用のロールを準備する必要がない。これにより、部品点数の増加を抑制できる。
【0087】
また、本発明の第1実施例の研磨装置1によれば、上ロール6をコンタクトロール8の鉛直方向の上方に配置し、当該鉛直方向に上ロール6を移動させることによって、研磨ベルトPBの張力を調整する構成であるため、研磨装置1が、加工材Vnの搬送方向(水平方向、
図2の左右方向)や、当該搬送方向(水平方向、
図2の左右方向)および鉛直方向(
図2の上下方向)の両方向に直交する方向(
図2の紙面に垂直な方向)に大型化することを防止することができる。
【0088】
また、本発明の第1実施例の研磨装置1によれば、水切りロール10の外周面およびコンタクトロール8の外周面それぞれに、弾性部材8b,10bを被覆するため、各弾性部材8b,10bの弾性変形によって、研磨ベルトPBの砥粒面の各砥粒間に洗浄水CWが浸入し易くなるものと思われる。これにより、砥粒面をより効果的に洗浄することができるものと思われる。なお、各砥粒間に浸入した洗浄水CWは、弾性変形して各砥粒間に入り込む弾性部材10bによって良好に掻き出されるため、砥粒面に洗浄水CWが残存することを効果的に防止できる。
【実施例2】
【0089】
次に、本発明の第2実施例の研磨装置100について説明する。第2実施例の研磨装置100は、
図6に示すように、第1実施例の研磨装置1に対して、水切りロール10に圧接するプレート120を備える点を除いて、
図1を用いて説明した第1実施例の研磨装置1と同様の構成を有している。したがって、第2実施例の研磨装置100のうち第1実施例の研磨装置1の構成と同一の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
プレート120は、
図7に示すように、水切りロール10の長手方向とほぼ同じ長さを有している。また、プレート120は、先端に複数のスリット122を有している。当該複数のスリット122は、プレート120の長手方向に亘って等間隔に配置されている。さらに、プレート120は、
図8に示すように、パイプ70から供給される洗浄水CWが水切りロール10の外周面に接触するポイントCWPに関して、水切りロール10の回転方向に向かって前側(
図8の矢印Dfの方向)の位置で、スリット122を有する先端がコンタクトロール8の外周面に軽く接触するように載置台30に支持されている。なお、プレート120の載置台30への支持の詳細については省略する。スリット122は、本発明における「切欠き」に対応する実施構成の一例である。また、プレート120が、ポイントCWPに関して、水切りロール10の回転方向に向かって前側(
図8の矢印Dfの方向)の位置で、その先端がコンタクトロール8の外周面に軽く接触するように載置台30に支持されている態様は、本発明における「前記プレートは、前記仮想投影面上における前記吐出口の投影よりも前記第2ロールの回転方向において前側に配置されており、」に対応する実施構成の一例である。
【0091】
こうして構成された第2実施例の研磨装置100では、パイプ70の複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面(ポイントCWP)に供給された洗浄水CWは、
図9に示すように、当該水切りロール10の回転によりプレート120側へ流れる。そして、プレート120まで流れた洗浄水CWの一部は、プレート120によって、水切りロール10の回転方向にさらに流れることが抑制される。即ち、プレート120と水切りロール10の外周面との接触部を含む領域に、洗浄水CWが一時的に貯留される(
図8および
図9の符号「SW」)。このように、プレート120によって洗浄水CWを一時的に貯留することにより、水切りロール10の長手方向の全域に亘って、洗浄水CWを行き渡らせることができる。
【0092】
一方、パイプ70の複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面(ポイントCWP)に供給された洗浄水CWの一部は、複数のスリット120から水切りロール10の回転方向に流れ出て、水切りロール10の外周面に付着した状態で、水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90まで運ばれる。ここで、プレート120に関して、水切りロール10の回転方向に向かって後側(手前側)では、水切りロール10の長手方向の全域に亘って洗浄水CWが行き渡った状態で貯留されているため、各スリット122からは、ほぼ均等な量の洗浄水CWが流出する。また、複数のスリット120が、プレート120の長手方向に等間隔に配置されているため、水切りロール10の長手方向における洗浄水CWの付着量にバラツキが生じることを良好に抑制し得る。これにより、水切りロール10の外周面には、ほぼ均一に洗浄水CWを付着させることができるため、接触部90の延在方向に亘ってほぼ均等な量の洗浄水を供給することができる。この結果、洗い流すことができる。研磨ベルトPBに洗浄ムラが生じることをより一層抑制することができる。
【実施例3】
【0093】
次に、本発明の第3実施例の研磨装置200について説明する。第3実施例の研磨装置200は、
図10に示すように、第1実施例の研磨装置1に対して、エアノズル220,220を備える点を除いて、
図1を用いて説明した第1実施例の研磨装置1と同様の構成を有している。したがって、第3実施例の研磨装置200のうち第1実施例の研磨装置1の構成と同一の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0094】
エアノズル220,220は、
図10に示すように、エア吐出開口220a,220aを有している。エアノズル220,220は、配管220bを介して図示しないエアポンプに接続されている。また、エアノズル220,220は、水切りロール10の長手方向の両端部の近傍に配置されている。なお、エア吐出開口220a,220aは、
図11および
図12に示すように、水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90の延在方向(水切りロール10の長手方向に同じ)の中央を向いている。換言すれば、エアノズル220,220は、エア吐出開口220a,220aが互いに向き合うような状態で載置台30(
図10)に支持されていると言うことができる。
【0095】
こうして構成された第3実施例の研磨装置200では、パイプ70の複数の吐出口70aから水切りロール10の外周面(ポイントCWP)に洗浄水CWを供給する際に、図示しないエアポンプを駆動して、エアノズル220,220のエア吐出開口220a,220aからエアを吐出させる。これにより、水切りロール10の外周面に供給され、水切りロール10の外周面に付着した状態で水切りロール10と研磨ベルトPBとの接触部90まで運ばれた洗浄水CWが、接触部90の外方、即ち、接触部90の延在方向の外側に飛散することを良好に抑制することができる。
【0096】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、コンタクトロール8を水切りロール10のバックアップロールとして用いたが、これに限らない。例えば、上ロール6がビーム4bに対して相対移動しない構成、即ち、上ロール6が鉛直方向(
図2の上下方向)に往復移動したり、あるいは、上ロール6の長手方向の一端部が、当該上ロール6の長手方向および鉛直方向の両方向に直交する方向(
図2の左右方向)に往復移動したりしない構成の場合には、当該上ロール6を水切りロール10のバックアップロールとして用いても良い。また、
図13に例示する変形例の研磨装置300に示すように、水切りロール10をバックアップするための専用のバックアップロール380を備える構成としても良い。
【0097】
この場合、
図13に示すように、軸受322を介してバックアップロール380をビーム4bに回転可能に支持すると共に、支持壁4c,4cや載置台30、支持体32,32などの形状を変更して、水切りロール10が研磨ベルトPBを介して当該バックアップロール380に圧接可能に構成すれば良い。なお、変形例の研磨装置300は、上述したように、第1実施例の研磨装置1に対して水切りロール10が研磨ベルトPBを介して当該バックアップロール380に圧接可能な構成に変更した点に加えて、
図13に示すように、第1実施例の研磨装置1に対してコンタクトロール8を駆動ロール308および従動ロール318に置き換えると共に、研磨ベルトPBを加工材Vnの表面に押し付けるための加圧体350を付加した構成を有している。変形例の研磨装置300は、これらの点を除いて、
図1を用いて説明した第1実施例の研磨装置1と基本的には同様の構成を有している。したがって、変形例の研磨装置300のうち第1実施例の研磨装置1の構成と同一の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0098】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、パイプ70を水切りロール10の上方に配置する構成、より具体的には、鉛直方向の上側から研磨装置1を見たときの仮想投影面上における水切りロール10の投影領域の内側に複数の吐出口70aが配置される構成としたが、これに限らない。例えば、水切りロール10に関してコンタクトロール8とは反対側(水切りロール10の真横)にパイプ70を配置する構成など、上ロール6の外周面に洗浄水CWを供給することができれば、パイプ70の配置は如何なる配置であっても良い。
【0099】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、水切りロール10やパイプ70、排水受け34が、洗浄位置と洗浄待機位置との間で往復移動可能としたが、これに限らない。例えば、水切りロール10やパイプ70、排水受け34のいずれかが洗浄位置と洗浄待機位置との間で往復移動する構成や、水切りロール10やパイプ70、排水受け34の全てを洗浄待機位置に固定する構成としても良い。
【0100】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、コンタクトロール8と上ロール6とを鉛直方向にほぼ一直線上に配置したが、これに限らない。例えば、コンタクトロール8と上ロール6とを鉛直方向に対して傾斜した直線の延在方向にほぼ一直線上に配置する構成や、コンタクトロール8と上ロール6とを水平方向にほぼ一直線状に配置する構成など、コンタクトロール8と上ロール6とは如何なる配置関係であっても良い。
【0101】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、研磨ベルトPBに張力を発生させるために、上ロール6をビーム4bに対して相対移動させる構成としたが、これに限らない。例えば、研磨ベルトPBに張力を発生させるための専用のロールを用いる構成としても良い。
【0102】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、研磨ベルトPBの位置ずれ(上ロール6の長手方向に沿う方向の位置ずれ)を矯正するために、上ロール6の長手方向の一端部をビーム4bに対して相対移動させる構成としたが、これに限らない。例えば、研磨ベルトPBの位置ずれを矯正するための専用の機構を別途有する構成としても良い。
【0103】
第1実施例や第2実施例、第3実施例では、コンタクトロール8および上ロール6の2つのロールのみで研磨ベルトPBを回転させる構成としたが、研磨ベルトPBを巻き掛けるロールの数は1つでも良く、また、3つ以上であっても良い。
【0104】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。
【符号の説明】
【0105】
1 研磨装置(研磨装置)
2 ベッド
4 メインフレーム(枠体)
4a 主壁
4b ビーム
4c 支持壁
5 ガイド部材
6 上ロール(第3ロール)
6a 回転軸
8 コンタクトロール(第1ロール、コンタクトロール、巻き掛けロール)
8a 回転軸
8b 弾性部材(弾性部材)
10 水切りロール(第2ロール、圧接ロール)
10a 回転軸
10b 弾性部材(弾性部材)
12 洗浄水供給器
13a 軸受
13b 軸受
13c 軸受
14a 支持台
14b 支持台
15 スライド部材
16 エアシリンダ(第3アクチュエータ)
16a ピストンロッド
17 リニアガイド
18a 自動調心玉軸受(自動調心軸受)
18b 自動調心玉軸受(自動調心軸受)
19 連結体
20 エアシリンダ(第4アクチュエータ)
23a V溝付きプーリ
23b V溝付きプーリ
24 回転軸
30 載置台(支持枠)
31 エアシリンダ(第1アクチュエータ)
31a ピストンロッド
32 支持体(支持枠)
32a 軸受
34 排水受け
36 パイプ支持体(支持枠)
36a 受部
50 段差部
50a 面
60a センサ
60b センサ
70 パイプ(洗浄液供給管)
70a 吐出口(吐出口)
72 配管
90 接触部(接触部)
100 研磨装置(研磨装置)
120 プレート(プレート)
122 スリット(切欠き)
200 研磨装置(研磨装置)
220 エアノズル(エアノズル)
220a エア吐出開口(エア吐出開口)
220b 配管
300 研磨装置(研磨装置)
308 駆動ロール
318 従動ロール
350 加圧体
380 バックアップロール
VBLT Vベルト
M モータ(第2アクチュエータ)
SR1 支持ロール
SR2 支持ロール
SR3 支持ロール
PR1 押えロール
PR2 押えロール
Vn 加工材
PB 研磨ベルト(研磨ベルト)
PBs1 側縁
PBs2 側縁
P ポンプ(ポンプ)
Tub チューブ
CW 洗浄水(洗浄液)
CWP ポイント
SW 貯留された洗浄水