(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/60 20220101AFI20231027BHJP
B61L 27/12 20220101ALI20231027BHJP
【FI】
B61L27/60
B61L27/12
(21)【出願番号】P 2022206022
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202111580326.2
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521091158
【氏名又は名称】北京交通大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴 銘
(72)【発明者】
【氏名】蘇 浩翔
(72)【発明者】
【氏名】劉 宏傑
(72)【発明者】
【氏名】宿 帥
(72)【発明者】
【氏名】呂 継東
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-136217(JP,A)
【文献】特開平09-123912(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103235843(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 27/60
B61L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
前記不変集合は、列車が現在の運行状態にあり得る制約条件であり、前記牽引状態、前記抵抗下での惰行状態及び前記緊急ブレーキ状態に対応する不変集合はいずれも、列車位置が0より大きく、かつ前記走行許可終点位置より小さく、及び列車速度が0より大きいことであり、前記常用ブレーキ状態に対応する不変集合は、列車位置が0より大きく、かつ前記走行許可終点位置より小さく、及び列車速度が0より小さいことであることを特徴とする請求項1に記載の危険予測方法。
【請求項3】
前記4種類の前記運行状態の間の遷移条件は、
列車が前記牽引状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する牽引速度より大きく、現在位置に対応する常用ブレーキ速度より小さい場合、前記抵抗下での惰行状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する常用ブレーキ速度以上であり、現在位置に対応する緊急ブレーキ速度より小さい場合、前記常用ブレーキ状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する緊急ブレーキ速度以上である場合、前記緊急ブレーキ状態に遷移することと、
列車が前記抵抗下での惰行状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する惰行速度より小さい場合、前記牽引状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する常用ブレーキ速度以上である場合、前記常用ブレーキ状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が緊急ブレーキ速度以上である場合、前記緊急ブレーキ状態に遷移することと、
列車が前記常用ブレーキ状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する牽引速度より小さい場合、前記牽引状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する惰行速度より大きく、現在位置に対応する常用ブレーキ速度より小さい場合、前記抵抗下での惰行状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が緊急ブレーキ速度以上である場合、前記緊急ブレーキ状態に遷移することとを含むことを特徴とする請求項1に記載の危険予測方法。
【請求項4】
列車運行制御のパラメトリックモデルを確立する時、EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線に従って4種類の前記運行状態の間の遷移条件を決定し、前記EBI曲線は緊急ブレーキ加速度に従って描かれた速度-位置曲線であり、前記SBI曲線は常用ブレーキ加速度に従って描かれた速度-位置曲線であり、前記COA曲線は列車運行抵抗加速度に従って描かれた速度-位置曲線であることを特徴とする請求項1に記載の危険予測方法。
【請求項5】
【請求項6】
前記擬似状態と4種類の前記運行状態との間の遷移条件は、
列車が前記運行状態にある時、列車の前記運行状態での滞在時間が前記予め設定された時間帯より大きい場合、現在の運行状態から離れた時の列車位置が属する、現在の運行状態に対応する線形関数に対応する擬似状態に遷移することと、
列車が前記擬似状態にある時、列車の前記擬似状態での滞在時間が前記予め設定された時間帯より長い場合、列車の現在速度及び列車の現在位置に従って前記運行状態に遷移することとを含むことを特徴とする請求項
5に記載の危険予測方法。
【請求項7】
前記列車の現在速度及び列車の現在位置に従って前記運行状態に遷移することは、具体的には、
列車の現在位置を入力として、前記EBI曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第1速度値を決定し、前記SBI曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第2速度値を決定し、前記COA曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第3速度値を決定することと、
列車の現在速度が第1速度値以上であるか否かを判断し、第1判断結果を得ることと、
前記第1判断結果がはいである場合、前記緊急ブレーキ状態に遷移することと、
前記第1判断結果がいいえである場合、列車の現在速度が第2速度値以上であるか否かを判断し、第2判断結果を得ることと、
前記第2判断結果がはいである場合、前記常用ブレーキ状態に遷移することと、
前記第2判断結果がいいえである場合、列車の現在速度が第3速度値以上であるか否かを判断し、第3判断結果を得ることと、
前記第3判断結果がはいである場合、前記抵抗下での惰行状態に遷移することと、
前記第3判断結果がいいえである場合、前記牽引状態に遷移することとを含むことを特徴とする請求項
6に記載の危険予測方法。
【請求項8】
前記列車運行可到達集合に従って列車に危険が発生するか否かを決定することは、具体的には、
前記列車運行可到達集合における各本の速度-位置曲線について、前記速度-位置曲線が速度超過又は前記走行許可終点位置を超える状況を含むか否かを判断することと、
全ての前記速度-位置曲線が速度超過又は前記走行許可終点位置を超える状況を含まない場合、列車に危険が発生しないこととを含むことを特徴とする請求項1に記載の危険予測方法。
【請求項9】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車スケジューリングの危険予測の技術分野に関し、特に、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車のスケジューリング操作の作業時に、進路のキャンセル・変更が発生し、その結果、列車の入換進路の突然の短縮又はキャンセルを引き起こし、MA(movement authority,走行許可)が一時的に撤回し、速度制限が変化し、これは、列車の緊急ブレーキ、又は速度超過、スイッチスプリット、脱線等の走行安全を脅かす事故につながる可能性がある。これらの列車のスケジューリング操作には、出さなければならないものもあるが(例えば、前方に崩れが発生し、進路を調整しなければならない)、回避できるもの、又はコマンドタイミングを変更できるものもある(例えば、列車の運行效率を向上させようとして進路を変更し、又は前方に異常天気が発生することを予測して最大許容運行速度を低下させる必要がある等)。調整可能なスケジューリングコマンド(即ち、回避でき、又はコマンドタイミングを変更できるスケジューリングコマンド)を実行することで、列車に緊急ブレーキが発生し、さらに危険が発生した場合、引き合わないことになる。
【0003】
現在、操車係は規制に従ってスケジューリングコマンドを出しているが、規制の管理制御力が大きく、管理しにくく、安全上の危険が大きい等の問題がある。したがって、スケジューリングコマンドを出す前に、該スケジューリングコマンドが列車運行に危険を引き起こすか否かを予測でき、その結果を操車係に報告して、予測結果に従って該スケジューリングコマンドを実行又は調整するか否かを決定でき、それによりスケジューリング操作の安全性及び効率を向上させる方法及びシステムを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、スケジューリングコマンドを出す前に、該スケジューリングコマンドが列車運行の危険を引き起こすか否かを予測でき、それによりスケジューリング操作の安全性及び効率を向上させる、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の解決手段を提供する。
【0006】
ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法であって、前記危険予測方法は、
牽引状態、抵抗下での惰行状態、常用ブレーキ状態及び緊急ブレーキ状態を含む4種類の運行状態における各前記運行状態に対応する不変集合及びフロー条件並びに4種類の前記運行状態の間の遷移条件を含む、列車運行制御のパラメトリックモデルを確立することと、
スケジューリングコマンドを出す時に列車が位置する路線の路線工事データ及び列車運行データを取得し、前記スケジューリングコマンドに従って走行許可終点位置を決定し、前記路線工事データ、前記列車運行データ及び前記走行許可終点位置を入力として、前記不変集合、前記フロー条件及び4種類の前記運行状態の間の遷移条件を計算することにより、前記パラメトリックモデルを構成して、インスタンス化モデルを得ることと、
前記インスタンス化モデルを線形化して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを得ることと、
多面体過大近似ハイブリッドオートマトン可到達集合計算アルゴリズムを利用して、前記列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを解いて、前記スケジューリングコマンドに従って動作した後から、列車が停止する前までに形成された複数本の速度-位置曲線を含む列車運行可到達集合を得ることと、
前記列車運行可到達集合に従って列車に危険が発生するか否かを決定することとを含む。
【0007】
ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測システムであって、前記危険予測システムは、
牽引状態、抵抗下での惰行状態、常用ブレーキ状態及び緊急ブレーキ状態を含む4種類の運行状態における各前記運行状態に対応する不変集合及びフロー条件並びに4種類の前記運行状態の間の遷移条件を含む、列車運行制御のパラメトリックモデルを確立するためのパラメトリックモデル構築モジュールと、
スケジューリングコマンドを出す時に列車が位置する路線の路線工事データ及び列車運行データを取得し、前記スケジューリングコマンドに従って走行許可終点位置を決定し、前記路線工事データ、前記列車運行データ及び前記走行許可終点位置を入力として、前記不変集合、前記フロー条件及び4種類の前記運行状態の間の遷移条件を計算することにより、前記パラメトリックモデルを構成して、インスタンス化モデルを得るためのインスタンス化モデル構築モジュールと
前記インスタンス化モデルを線形化して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを得るための線形化モデル構築モジュールと、
多面体過大近似ハイブリッドオートマトン可到達集合計算アルゴリズムを利用して、前記列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを解いて、前記スケジューリングコマンドに従って動作した後から、列車が停止する前までに形成された複数本の速度-位置曲線を含む列車運行可到達集合を得るための運行可到達集合計算モジュールと、
前記列車運行可到達集合に従って列車に危険が発生するか否かを決定するための危険予測モジュールとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明が提供する具体的な実施例によれば、本発明は以下の技術的効果を開示する。
【0009】
本発明は、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法及びシステムを提供するために用いられ、まず、列車運行制御のパラメトリックモデルを確立し、次に、路線工事データ、列車運行データ及び走行許可終点位置を入力として、不変集合、フロー条件及び4種類の運行状態の間の遷移条件を計算することにより、パラメトリックモデルを構成して、インスタンス化モデルを得る。さらに、インスタンス化モデルを線形化して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを得て、最後に、多面体過大近似ハイブリッドオートマトン可到達集合計算アルゴリズムを利用して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを解いて、列車運行可到達集合を得て、列車運行可到達集合に従って列車に危険が発生するか否かを決定し、さらにスケジューリングコマンドを出す前に、該スケジューリングコマンドが列車運行の危険を引き起こすか否かを予測でき、それによりスケジューリング操作の安全性及び効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【0011】
【
図1】本発明の実施例1が提供する危険予測方法の方法フローチャートである。
【
図2】本発明の実施例1が提供する危険予測方法のブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1が提供する危険予測方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1が提供するパラメトリックモデルの概略図である。
【
図5】本発明の実施例1が提供する速度-位置曲線の概略図である。
【
図6】本発明の実施例1が提供する列車運行制御曲線の線形化の概略図である。
【
図7】本発明の実施例1が提供する擬似状態の状態概略図である。
【
図8】本発明の実施例1が提供する線形化モデルの概略図である。
【
図9】本発明の実施例1が提供する可到達集合の予測結果の概略図である。
【
図10】本発明の実施例1が提供する様々なパラメータ構成の累積検証時間の概略図である。
【
図11】本発明の実施例2が提供する危険予測システムのシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明した実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0013】
本発明は、スケジューリングコマンドを出す前に、該スケジューリングコマンドが列車運行の危険を引き起こすか否かを予測でき、それによりスケジューリング操作の安全性及び効率を向上させる、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0014】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0015】
実施例1:
【0016】
列車運行危険の予測について、予測結果の安全性、即ち、予測結果が完全であることを保証する必要があり、予測結果が安全であるが、列車の実際の運行に危険が発生する状況は発生しない。現在、いくつかのATSシステム(automatic train supervision,列車自動監視システム)は、シミュレーションによってスケジューリングコマンドの実行結果を予測できる。しかし、シミュレーションに基づく予測は不完全であり、結果の安全性を保証できない。ランタイム検証は、仕様(即ち、一組の検査対象の期待されるセキュリティ属性)に従ってシステムの全ての可能な実行軌跡を計算して、システムに危険の可能性があるか否かの予測を与える軽量の形式化方法である。しかし、従来のランタイム検証技術は、過度に複雑な非線形システムを処理できず、列車の運行危険の予測に適用できない。
【0017】
以上の問題を解決するために、本実施例は、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測方法を提供する。該方法は、1セットの形式化に基づく列車運行モニターを確立し、スケジューリング作業(即ち、操車係がスケジューリング命令を出す)時の列車運行データ及び路線工事データに従って、列車運行状態の可到達集合を計算し、列車の将来の可能な運行状態を予測し、将来、列車に危険が発生するか否かを判断し、かつ可能な危険に警報情報を出す。
【0018】
図1、
図2及び
図3に示すように、前記危険予測方法は、S1~S5を含む。
【0019】
S1:牽引状態、抵抗下での惰行状態、常用ブレーキ状態及び緊急ブレーキ状態を含む4種類の運行状態における各前記運行状態に対応する不変集合及びフロー条件並びに4種類の前記運行状態の間の遷移条件を含む、列車運行制御のパラメトリックモデルを確立する。
【0020】
具体的には、列車運行制御の設計原理に従ってパラメトリックハイブリッドオートマトンモデリングを行い、列車運行制御のパラメトリックモデルを得て、列車運行制御のパラメトリックモデルからモニターを生成する。
図4に示すように、パラメトリックモデルの概略図が与えられる。
図4において、ACC(accelerate,加速)は牽引状態を表し、加速運行状態とも呼ばれ、COA(coasting,惰行)は抵抗下での惰行状態を表し、SB(service braking,常用ブレーキ)は常用ブレーキ状態を表し、EB(emergency braking,緊急ブレーキ)は緊急ブレーキ状態を表す。列車運行制御のパラメトリックモデルは、ACC、COA、SB及びEBという4つの状態を含み、それぞれ列車運行システムの4種類の列車速度制御モード、即ち、牽引、惰行、常用ブレーキ及び緊急ブレーキを表す。
【0021】
不変集合Invは、列車が現在の運行状態にあり得る制約条件である。牽引状態、抵抗下での惰行状態及び緊急ブレーキ状態に対応する不変集合はいずれも、列車位置が0より大きく、かつ走行許可終点位置より小さく、及び列車速度が0より大きいことであり、即ち、0<s<keoa&v>0であり、ここで、sは列車位置であり、keoaは走行許可終点位置であり、vは列車速度である。常用ブレーキ状態に対応する不変集合は、列車位置が0より大きく、かつ走行許可終点位置より小さく、及び列車速度が0より小さいことであり、即ち、0<s<keoa&v<0である。
【0022】
【0023】
図4において、tran
1 ...tran
9はいずれもエッジ名であり、4種類の運行状態の間の遷移条件を示す。遷移条件の具体的な表示を表1に示す。
【0024】
【0025】
【0026】
各運行状態では、変数s及びvは該実行状態に対応するフロー条件に従って変換し、同時に変数s及びvの値が該実行状態に対応する不変集合の制約を満たさない場合、該運行状態から強制的に離れる。パラメトリックモデルは様々な運行状態において現在の運行状態に対応するフロー条件に応じて列車状態パラメータs及びvを更新し、同時に列車運行状態パラメータが一定の条件を満たす時にモデル状態の変換を行う。モデル状態遷移の具体的な説明は以下のとおりである。
【0027】
列車が牽引状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する牽引速度より大きく、現在位置に対応する常用ブレーキ速度より小さい場合、即ち、変数s及びvが遷移条件1(trans1)を満たす場合、モデル状態は抵抗下での惰行状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する常用ブレーキ速度以上であり、現在位置に対応する緊急ブレーキ速度より小さい場合、即ち、変数s及びvが遷移条件4(trans4)を満たす場合、モデル状態は常用ブレーキ状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する緊急ブレーキ速度以上である場合、即ち、変数s及びvが遷移条件5(trans5)を満たす場合、モデル状態は緊急ブレーキ状態に遷移する。
【0028】
列車が抵抗下での惰行状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する惰行速度より小さい場合、即ち、変数s及びvが遷移条件2(trans2)を満たす場合、モデル状態は牽引状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する常用ブレーキ速度以上である場合、即ち、変数s及びvが遷移条件7(trans7)を満たす場合、モデル状態は常用ブレーキ状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が緊急ブレーキ速度以上である場合、即ち、変数s及びvが遷移条件9(trans9)を満たす場合、モデル状態は緊急ブレーキ状態に遷移する。
【0029】
列車が常用ブレーキ状態にある時、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する牽引速度より小さい場合、即ち、変数s及びvが遷移条件3(trans3)を満たす場合、モデル状態は牽引状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が現在位置に対応する惰行速度より大きく、現在位置に対応する常用ブレーキ速度より小さい場合、即ち、変数s及びvが遷移条件6(trans6)を満たす場合、モデル状態は抵抗下での惰行状態に遷移し、列車の現在位置での列車速度が緊急ブレーキ速度以上である場合、即ち、変数s及びvが遷移条件8(trans8)を満たす場合、モデル状態は緊急ブレーキ状態に遷移する。
【0030】
列車運行制御のパラメトリックモデルを確立する時、EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線に従って4種類の運行状態の間の遷移条件を決定し、EBI曲線は緊急ブレーキ加速度に従って描かれた速度-位置曲線であり、SBI曲線は常用ブレーキ加速度に従って描かれた速度-位置曲線であり、COA曲線は列車運行抵抗加速度に従って描かれた速度-位置曲線である。
【0031】
具体的には、牽引状態、惰行状態、常用ブレーキ状態及び緊急ブレーキ状態に入る遷移条件(tran
1~tran
9)を計算することは、以下のモデルに基づいて実現される。列車スケジューリングコマンドに従って列車走行許可終点(EOA,end of authority)位置、即ち、列車が到達することを許可する最も遠い位置を取得し、該最も遠い位置で列車速度がゼロであることを期待する。スケジューリングコマンドを出す時の列車運行データに従って初期位置及び初期速度を得ることができる。さらに、初期位置、初期速度、最遠位置、最遠位置で速度がゼロであること及び緊急ブレーキ加速度に基づいて描かれた速度-位置曲線はEBI曲線である。初期位置、初期速度、最遠位置、最遠位置で速度がゼロであること及び常用ブレーキ加速度に基づいて描かれた速度-位置曲線はSBI曲線である。初期位置、初期速度、最遠位置、最遠位置で速度がゼロであること及び列車運行抵抗加速度に基づいて描かれた速度-位置曲線はCOA曲線である。速度-位置曲線は列車の運行過程における速度と位置との関係曲線である。EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線を
図5に示す。
【0032】
また、列車が緊急ブレーキの制御状態でEOA位置まで運行すると仮定し、一本の速度-位置曲線を得ることができ、該曲線はEBI曲線であり、列車速度が該曲線を超える場合、緊急ブレーキを実施する必要があり、そうでない場合、EOAを超える危険が発生する。同様に、列車は常用ブレーキの制御状態でEOAまで運行し、生成された速度-位置曲線は列車のSBI曲線である。同時に、所定時間内に運行計画を完了するために、列車運行時の速度はある値以上すべきであり、この速度未満である場合、列車を加速して運行する必要があり、この速度に対応する速度-位置曲線は列車のCOA曲線であり、COA曲線の計算方式はSBI曲線から固定値を減算することであり、列車運行時の速度-位置曲線はSBI曲線とCOA曲線との間にあることが期待される。上記列車運行の制御規則に基づいて、4種類の運行状態の間の遷移条件を決定して、パラメトリックモデルを確立する。
【0033】
S2:スケジューリングコマンドを出す時に列車が位置する路線の路線工事データ及び列車運行データを取得し、前記スケジューリングコマンドに従って走行許可終点位置を決定し、前記路線工事データ、前記列車運行データ及び前記走行許可終点位置を入力として、前記不変集合、前記フロー条件及び4種類の前記運行状態の間の遷移条件を計算することにより、前記パラメトリックモデルを構成して、インスタンス化モデルを得る。
【0034】
モニターは、入換車両が位置する路線データ入力を取得し、即ち、路線勾配値及び路線速度制限値を含む路線工事データを取得する。スケジューリング操作を行っている列車は運行データをモニターにリアルタイムで送信し、列車運行データは列車位置、速度、ID及び列車の現在の運行状態を含む。入換作業時に、操車係は列車の進路を随時調整し、列車MA及び路線速度制限が随時変化する可能性があり、列車は以上の変化データをモニター(即ち、パラメトリックモデル)に送信する。
【0035】
モニターは、列車運行データ及び路線工事データを組み合わせてパラメトリックモデルをインスタンス化する。インスタンス化方法は以下のとおりである。取得したEOA位置、路線速度制限情報、列車の現在の速度と位置、列車の最大牽引及びブレーキ加速度に従って、3種類の制御状態の速度-距離曲線を計算し、即ち、EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線を描いて、パラメトリックモデルにおける不変集合、フロー条件及び遷移条件におけるパラメータ値を計算することにより、パラメトリックモデルにおけるパラメータを具体的な数値に変更して、インスタンス化モデルを得る。
【0036】
S3:前記インスタンス化モデルを線形化して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを得る。
【0037】
インスタンス化モデルは連続非線形モデルであり、現在では、従来のハイブリッドオートマトンを用いて非線形問題を解決できず、非線形モデルの可到達集合を迅速に計算するために、本実施例はPLOAアルゴリズム(piecewise linear over-approximation,区分線形過大近似)を用いてインスタンス化モデルを区分的に線形化する。具体的には、S3は(1)~(4)を含むことができる。
【0038】
(1)PLOAアルゴリズムを利用して、それぞれEBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線を区分的に線形化して、EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線にそれぞれ対応するマルチセグメント線形関数を得る。
【0039】
具体的には、いずれかの曲線を例として該PLOAアルゴリズムを説明する。
図6に示すように、列車運行制御のs-v曲線(EBI曲線、SBI曲線及びCOA曲線)は非線形二次関数曲線であり、該曲線を3セグメントの線形化線分に線形化処理すると仮定すると、まず列車の初期位置からEOA位置までの間に2つのセグメント点を等間隔で取り、直線でセグメント点を接続すると、3セグメントの線形化線分を構成でき、ここで、0~h1はf
1であり、h1~h2はf
2であり、h2~s
EOAはf
3であり、かつs(0,h1)=s(h1,h2)=s(h2,s
EOA)である。s(0,h1)は、0からh1までの距離を指す。
【0040】
【0041】
上記式を利用して、各速度-位置曲線をn+1セグメントの線形化線分に分割
でき、各線形化線分の線形関数を計算できる。
【0042】
【0043】
(3)線形関数に従って、擬似状態と4種類の運行状態との間の遷移条件を決定する。
【0044】
擬似状態と4種類の運行状態との間の遷移条件は以下を含む。
【0045】
列車が運行状態にある時、列車の運行状態での滞在時間が予め設定された時間帯より大きい場合、現在の運行状態から離れた時の列車位置が属する、現在の運行状態に対応する線形関数に対応する擬似状態に遷移する。
【0046】
列車が擬似状態にある時、列車の擬似状態での滞在時間が予め設定された時間帯より長い場合、列車の現在速度及び列車の現在位置に従って運行状態に遷移する。
【0047】
具体的には、列車の現在速度及び列車の現在位置に従って運行状態に遷移することは以下を含むことができる。列車の現在位置を入力として、EBI曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第1速度値を決定し、SBI曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第2速度値を決定し、COA曲線に対応するマルチセグメント線形関数に基づいて第3速度値を決定し、列車の現在速度が第1速度値以上であるか否かを判断し、第1判断結果を得て、第1判断結果がはいである場合、緊急ブレーキ状態に遷移し、第1判断結果がいいえである場合、列車の現在速度が第2速度値以上であるか否かを判断し、第2判断結果を得て、第2判断結果がはいである場合、常用ブレーキ状態に遷移し、第2判断結果がいいえである場合、列車の現在速度が第3速度値以上であるか否かを判断し、第3判断結果を得て、第3判断結果がはいである場合、抵抗下での惰行状態に遷移し、第3判断結果がいいえである場合、牽引状態に遷移する。
【0048】
上記遷移条件により、擬似状態と4種類の運行状態との間の遷移を実現できる。なお、各運行状態において、依然として該運行状態に対応するフロー条件に応じて列車位置及び列車速度を更新する。
【0049】
(4)擬似状態と4種類の運行状態との間の遷移条件並びに擬似状態及び各運行状態に対応する不変集合とフロー条件に基づいて、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを決定する。
【0050】
列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルは線形化モデルであり、該線形化モデルを
図8に示す。該線形化モデルは、初期状態Init、n個の擬似状態(Mid1~Midn)及び4種類の運行状態(牽引状態、惰行状態、常用ブレーキ状態、緊急ブレーキ状態)を含む。擬似状態の数は区分関数のセグメントの数と同じであり、システムが擬似状態にある時、列車の速度と位置はいずれも変化しない。
【0051】
ここで、線形化モデルの部分遷移条件を表2に示す。
【0052】
【0053】
表2において、jsbn、ksbnは線形化SBI曲線のn番目の曲線の傾き及び切片であり、jebn、kebnは線形化EBI曲線のn番目の曲線の傾き及び切片であり、sは距離である。
【0054】
システムが初期状態にある時、列車位置sはs≦h1の遷移条件を満たし、区分関数f1(s)に対応し、擬似状態Mid1に遷移し、擬似状態内で列車の速度と位置はいずれも変化せず、Δt=0.1sの時間を経た後に遷移条件Δt≧0.1、u≦jsb1×s+ksb1-2を満たし、牽引状態ACCに遷移し、該状態において、曲線f1(s)で列車の速度と位置を更新し、Δt=0.1sの時間牽引した後に遷移条件Δt≧0.1、u≦jsb1×s+ksb1-2を満たし、牽引状態ACCに遷移する。モデルは、様々な状態で、まず現在の速度位置に従って対応する擬似状態に遷移し、擬似状態において位置情報に従って様々な区分関数の使用を判断してから、対応する状態に遷移する。このように往復する状態遷移及び演算を利用して、列車の加速過程を記述する。列車が第1線形セグメント点の位置を通過した後、遷移する擬似状態はMid2に変化し、曲線f2(s)で列車の速度と位置を更新し、このように類推して、列車が終点まで運行すると、システムは最後の擬似状態Midnに遷移し、EOA終点に到達する。
【0055】
S4:多面体過大近似ハイブリッドオートマトン可到達集合計算アルゴリズムを利用して、前記列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを解いて、前記スケジューリングコマンドに従って動作した後から、列車が停止する前までに形成された複数本の速度-位置曲線を含む列車運行可到達集合を得る。
【0056】
列車運行可到達集合は列車運行位置、速度及び時間(s,v,t)の全ての可能な組み合わせであり、即ち、列車が停車する前の全ての可能な速度-位置曲線集合を計算する。
【0057】
S5:前記列車運行可到達集合に従って、列車に危険が発生するか否かを決定する。
【0058】
列車運行可到達集合における各本の速度-位置曲線について、速度-位置曲線が速度超過又は走行許可終点位置を超える状況を含むか否かを判断し、全ての速度-位置曲線が速度超過又は走行許可終点位置を超える状況を含まない場合、列車に危険が発生しない。即ち、計算して得られた列車運行可到達集合が速度超過又はEOAを超える危険状態を含まない場合、列車運行可到達集合は安全制約を満たし、現在の状態から停車するまで、全ての可能な運行状況で、列車に危険が発生しないと考えられる。列車運行可到達集合が、速度超過又はEOAを超える危険状態を含む場合、システムは、可能な限り迅速に危険警報を開始し、具体的な危険提示を列車運行制御システムに送信する。
【0059】
以下、具体的な実施例によって本実施例に記載の危険予測方法をさらに説明する。列車がある特定の初期条件でスケジューリング作業を行い、ランタイム検証方法の危険予測結果を利用することは以下のとおりである。路線条件を表3に示す。
【0060】
【0061】
A(m,n)はLPHAモデル(linear parametric hybrid automata,線形パラメトリックハイブリッドオートマトン)構成であり、mはセグメント点の数を表し、nは状態遷移間隔時間制限を表し、システムがある状態にnsを超えて滞在する時に該状態から遷移する。パラメータmが大きいほど、モデルを線形化した後の結果は元の非線形化モデルにより近くなり、より良好なフィッティング効果を達成できるが、状態が増えるため、検証時間が長くなる。パラメータnが大きいほど、各状態に滞在する時間が長くなり、状態遷移の回数がより少なくなり、擬似状態にある時間がより少なくなり、総検証時間がより少なくなるが、大きすぎる時間間隔はモデルの線形フィッティング効果に影響を与える。
【0062】
列車の運行初期位置が2203mであり、初期速度が7.2m/sである検証を例とし、ランタイム検証方法を利用して、列車の入換作業時の危険状況を予測し、それぞれモデルにA(5,0.1)、A(5,0.2)、A(5,0.5)、A(3,0.1)、A(3,0.2)、A(3,0.5)のパラメータを構成し、予測結果を
図9に示す。
【0063】
計算された可到達集合において、全ての状況で列車はEOAに到達する前にいずれの速度が0である場合、安全であると判定され、そうでない場合、列車の将来の運行に危険が発生する可能性があると考えられる。
図9に示すように、1番目のA(5,0.1)モデル構成条件を除いて、可到達集合に危険がないと予測され、残りは可能な危険が予測された。危険を予測したことを前提として、列車制御システムに警報を出すことにより、入換作業で列車運行MA及び速度制限が一時的に変化しても安全に操作できることを保証するために、車載は警報情報を受信した後、緊急ブレーキをトリガーし、システムを安全側に向けるようにブレーキ措置を適時とる。
【0064】
該初期条件では、以上の5種類のパラメータ構成シナリオの下で、それぞれ列車スケジューリング時にリアルタイム検証を行い、検証にかかる時間曲線及び列車運行曲線を
図10に示す。Δtの大きさは検証時間に大きな影響を与え、特にΔt=0.1の場合、システムの検証時間が大幅に増加し、セグメント点の数も検証時間に一定の影響を与え、セグメント点の数が多いほど、検証効果がより正確になるが、システムの検証時間もある程度増加することがわかる。
【0065】
現在のスケジューリングコマンドの安全保障は主に規制、人的経験又はコンピュータシミュレーション検証等の方法に基づいて実現され、列車操車係が進路を変更し、一時的な速度制限を出し、又はMAを撤回する等の操作を行う時、全ての発生可能なシナリオを考慮することが困難であるため、結果の安全性を保証できないことになり、又は安全を確保するために効率を犠牲にし、粗放管理方法を用いて、危険を引き起こす可能性がある全ての操作を禁止し、このようにして都市軌道全体の輸送効率及び異常状況に対する処理・回復能力を低下させる。ランタイム検証は、完全で安全な予測方法である。列車の挙動モデルを確立することにより、予測結果の安全性を保証できる。予測結果を操車係にフィードバックすることにより、スケジューリングコマンドの安全性が保証され、安全を前提として、スケジューリング効率が向上する。しかし、列車運行制御システムは計算、通信及び制御という3つの面の高周波リアルタイムコラボレーションに関するものであるため、列車運行挙動は非線形の複雑な特徴を呈し、従来の形式化検証方法には状態空間爆発の問題がある。危険状態を識別する能力を失うことなく、可到達集合の計算の複雑さを低減させるために、本実施例は、列車挙動モデルのための過大近似線形化アルゴリズムを提案する。本実施例は、複雑な列車運行システムにおける危険に対する安全かつ完全な予測の問題を解決する。該技術は、都市軌道ATSシステムにおいて、スケジューリングコマンドを出す前に、将来、列車に危険が発生するか否かを判断し、可能な危険に対して警報を実施する補助的な手段として使用される。本方法を適用すると、列車が不必要な緊急ブレーキをトリガすることを効果的に回避し、走行安全を脅かす事故の発生を低減させることができ、スケジューリング全体の安全性及び効率の向上に対して積極的な意義及び広い市場の見通しを有する。
【0066】
実施例2:
【0067】
本実施例は、ランタイム検証に基づく列車スケジューリング操作の危険予測システムを提供するために用いられ、
図11に示すように、前記危険予測システムは、
牽引状態、抵抗下での惰行状態、常用ブレーキ状態及び緊急ブレーキ状態を含む4種類の運行状態における各前記運行状態に対応する不変集合及びフロー条件並びに4種類の前記運行状態の間の遷移条件を含む、列車運行制御のパラメトリックモデルを確立するためのパラメトリックモデル構築モジュールM1と、
スケジューリングコマンドを出す時に列車が位置する路線の路線工事データ及び列車運行データを取得し、前記スケジューリングコマンドに従って走行許可終点位置を決定し、前記路線工事データ、前記列車運行データ及び前記走行許可終点位置を入力として、前記不変集合、前記フロー条件及び4種類の前記運行状態の間の遷移条件を計算することにより、前記パラメトリックモデルを構成して、インスタンス化モデルを得るためのインスタンス化モデル構築モジュールM2と、
前記インスタンス化モデルを線形化して、列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを得るための線形化モデル構築モジュールM3と、
多面体過大近似ハイブリッドオートマトン可到達集合計算アルゴリズムを利用して、前記列車運行制御のハイブリッドオートマトンモデルを解いて、前記スケジューリングコマンドに従って動作した後から、列車が停止する前までに形成された複数本の速度-位置曲線を含む列車運行可到達集合を得るための運行可到達集合計算モジュールM4と、
前記列車運行可到達集合に従って列車に危険が発生するか否かを決定するための危険予測モジュールM5とを含む。
【0068】
本明細書における各実施例はいずれも他の実施例との相違点を重点的に説明し、各実施例の間の同じ類似部分は互いに参照すればよい。実施例で開示されたシステムについては、実施例で開示された方法に対応するため、説明が比較的簡単であり、関連する部分は方法部分の説明を参照すればよい。
【0069】
本明細書では、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその核心思想を理解するのを助けるためのものに過ぎない。また、当業者であれば、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲のいずれも変化できる。要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。