(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】媒体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/46 20060101AFI20231027BHJP
B65H 3/12 20060101ALI20231027BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
B65H3/46 F
B65H3/12 310Z
B65H3/48 310B
(21)【出願番号】P 2019057662
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】森田 悦久
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223978(JP,A)
【文献】実開昭58-040739(JP,U)
【文献】特開2001-322756(JP,A)
【文献】特開2018-016420(JP,A)
【文献】特開平06-247576(JP,A)
【文献】特開2011-126611(JP,A)
【文献】特開2013-216487(JP,A)
【文献】実開平02-139841(JP,U)
【文献】国際公開第2019/130951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/12
B65H 3/46-3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を搬送方向に搬送する吸着搬送機構と、
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記吸着搬送機構に吸着させる吸引機構と、
前記吸着搬送機構に吸着された前記媒体の上面にエアを吹き付けることにより、前記吸着された最上位の媒体を前記積載台上に戻す上部エア吹き出し機構と
、
前記吸引機構及び前記上部エア吹き出し機構を制御する制御部とを備え、
前記吸着搬送機構は、前記搬送方向とは反対向きの逆搬送方向に前記媒体を逆搬送可能であり、
前記制御部は、前記吸着搬送機構によって前記逆搬送方向に前記媒体を逆搬送する間に当該媒体の吸引を行い、前記積載台の上方まで搬送された前記媒体に対するエアの吸引を停止するか又は弱めるように前記吸引機構を制御するとともに、当該逆搬送方向に搬送された媒体の前記上面にエアを吹き付けることにより、当該逆搬送方向に搬送された媒体を前記積載台上に戻すように前記上部エア吹き出し機構を制御する
ことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記積載台に積載された前記複数の媒体の媒体情報に基づいて、前記上部エア吹き出し機構によるエアの吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項3】
エアを上方に吹き出す下部エア吹き出し機構と、
前記上部エア吹き出し機構及び前記下部エア吹き出し機構の両方にエアを供給するエア供給手段と、
前記エア供給手段によってエアが供給される対象を前記上部エア吹き出し機構と前記下部エア吹き出し機構とに切り替える切り替え機構と
を更に備えることを特徴とする請求項1
又は2記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記最上位の媒体を含む複数の前記媒体を浮き上がらせるようにエアを吹き出す浮上エア吹き出し機構を更に備え、
前記制御部は、前記媒体の搬送中にジャムが検知された場合、
エアの吹き出しを停止するように前記浮上エア吹き出し機構を制御するとともに前記媒体を前記逆搬送方向に逆搬送させるように前記吸着搬送機構を制御し、前記媒体の前記上面にエアを吹き付けることにより、前記吸着された最上位の媒体を前記積載台上に戻すように前記上部エア吹き出し機構を制御す
る
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項5】
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を搬送方向に搬送する吸着搬送機構と、
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記吸着搬送機構に吸着させる吸引機構と、
前記吸着搬送機構に吸着された前記媒体の上面にエアを吹き付けることにより前記媒体を前記積載台上に戻す上部エア吹き出し機構と、
前記吸引機構及び前記上部エア吹き出し機構を制御する制御部とを備え、
前記吸着搬送機構は、前記搬送方向とは反対向きの逆搬送方向に前記媒体を逆搬送可能であり、
前記制御部は、前記吸着搬送機構によって前記逆搬送方向に
前記媒体を逆搬送する間に当該媒体の吸引を行い、前記積載台の上方まで搬送された前記媒体に対するエアの吸引を停止するか又は弱めるように前記吸引機構を制御するとともに、前記媒体の前記上面にエアを吹き付けることにより前記媒体を前記積載台上に戻すように前記上部エア吹き出し機構を制御する
ことを特徴とする媒体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙を印刷装置の印刷部等に供給する給紙装置として、複数の用紙が積載される積載台と、この積載台に積載された複数の用紙のうち最上位の用紙を搬送する吸着搬送機構と、エアを吸引することによって最上位の用紙を吸着搬送機構に吸着させる吸引機構とを備える給紙装置が知られている。
【0003】
ところで、用紙の連続給紙中にジャムが発生し、搬送が停止すると、搬送経路中に用紙が残される。この場合、ジャムの原因となった用紙以外もジャム解除の対象となり、利用可能な用紙でも損紙となってしまうことがあった。
【0004】
そこで、吸着搬送部によって搬送された用紙にジャムが発生した場合に、用紙を積載台上へ逆搬送する給紙装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように用紙を積載台上へ逆搬送する給紙装置は、利用可能な用紙が損紙となるのを抑制することができるが、吸着搬送部が用紙を逆搬送する際には、吸引機構によって用紙が吸着搬送部に吸着されることになる。したがって、逆搬送された用紙は、吸着搬送部によって吸着された状態となるため、用紙を浮上させるための浮上エアを停止しても、積載台上に落下するまでに時間を要する。吸着搬送機構に吸着された媒体を積載台上に戻す動作は、媒体を逆搬送する場合に限らず、媒体の搬送を一時的に停止する場合などにも行われる動作である。
【0007】
このように、吸着搬送機構に吸着された用紙等の媒体を積載台上に戻すには、媒体の落下に時間を要していた。
【0008】
本発明の目的は、媒体の落下時間を削減することができる媒体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、媒体供給装置は、複数の媒体が積載される積載台と、前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を搬送方向に搬送する吸着搬送機構と、エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記吸着搬送機構に吸着させる吸引機構と、前記吸着搬送機構に吸着された前記媒体の上面にエアを吹き付けることにより前記媒体を前記積載台上に戻す上部エア吹き出し機構とを備える。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、媒体供給装置において、媒体の落下時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態における印刷システムの内部構成を示す図である。
【
図2】一実施の形態における給紙装置を示す図である。
【
図3】一実施の形態における上部エア吹き出し機構を説明するための図である。
【
図4A】一実施の形態における遮断部を示す平面図(その1)である。
【
図4B】一実施の形態における遮断部を示す平面図(その2)である。
【
図5】一実施の形態に係る給紙装置の制御構成を示す図である。
【
図6】一実施の形態におけるジャム検知時の処理を示すフローチャートである。
【
図7】一実施の形態におけるジャム検知時の各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8A】一実施の形態におけるジャム検知時の給紙装置の動作を説明するための図(その1)である。
【
図8B】一実施の形態におけるジャム検知時の上部エア吹き出し機構の動作を説明するための図(その1)である。
【
図9A】一実施の形態におけるジャム検知時の給紙装置の動作を説明するための図(その2)である。
【
図9B】一実施の形態におけるジャム検知時の上部エア吹き出し機構の動作を説明するための図(その2)である。
【
図10】変形例における上部エア及び分離エア吹き出し機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る給紙装置(媒体供給装置の一例)について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、印刷システム100の内部構成を示す図である。
図2は、給紙装置1を示す図である。
【0014】
図3は、上部エア吹き出し機構40を説明するための図である。
図4A及び
図4Bは、遮断部31を示す平面図である。
【0015】
図5は、給紙装置1の制御構成を示す図である。
なお、
図1~
図4B、及び後述する
図8A~
図10に示す前後、上下、及び左右の各方向は、用紙Pの搬送方向D1(
図2参照)を前方とした場合の一例にすぎないが、例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0016】
図1に示す印刷システム100は、2つの給紙装置1,1と、印刷装置101とを備える。
【0017】
2つの給紙装置1,1は、上下に並んで配置され、単一の印刷装置101の印刷部110へ用紙Pを供給する。2つの給紙装置1,1が用紙Pを供給する対象は、印刷装置101に限られず、搬送装置などの他の装置であってもよい。また、用紙Pは、媒体の一例であり、媒体としては、フィルム等の他の媒体であってもよい。
【0018】
なお、給紙装置1の数は、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、複数の給紙装置1が並べられる方向は、前後方向であっても左右方向であってもよく、特に制限されない。また、給紙装置1は、印刷装置101に一体に備えられていてもよい。
【0019】
2つの給紙装置1,1は、上側の給紙装置1の上部側給紙搬送経路R1と下側の給紙装置1の下部側給紙搬送経路R2とで長さや向きが異なることを除いて同一の構成とすることができる。そのため、以下では、単一の給紙装置1について説明する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、給紙装置1は、積載台10と、吸着搬送機構20と、吸引機構30と、2つの上部エア吹き出し機構40,40と、搬送機構50と、用紙検知センサ64と、中央浮上エア吹き出し機構71と、中央分離エア吹き出し機構72と、2つのサイド浮上エア吹き出し機構81,81と、2つのサイド分離エア吹き出し機構82,82とを備える。
【0021】
また、
図5に示すように、給紙装置1は、制御部61と、記憶部62と、インターフェース部63と、積載台昇降駆動部91と、吸着搬送駆動部92と、搬送駆動部93とを備える。
【0022】
図2に示す積載台10には、複数の用紙Pが積載される。積載台10は、
図5に示す積載台昇降駆動部91の駆動によって昇降する。
【0023】
吸着搬送機構20は、搬送ベルト21と、この搬送ベルト21が掛け渡されたプーリ22,23とを有する。プーリ22,23のうち一方は駆動プーリであり、他方は従動プーリである。駆動プーリは、
図5に示す吸着搬送駆動部92の駆動によって回転し、搬送ベルト21を回転させる。これにより、吸着搬送機構20は、最上位の用紙P1を搬送方向D1(
図2における右側)に搬送する。なお、詳しくは後述するが、吸着搬送駆動部92が駆動プーリを逆回転させることによって、吸着搬送機構20は、搬送方向D1とは反対向きの逆搬送方向D2(
図8A参照)に用紙Pを逆搬送可能である。
【0024】
搬送ベルト21には、後述する吸引機構30により吸引される吸引エアA1を通すための貫通孔が複数設けられている。
【0025】
吸着搬送機構20は、一例ではあるが、用紙Pの搬送方向D1に直交する幅方向(
図2における左右方向)の中央において、用紙Pの幅方向に2つ(複数の一例)並んで配置されている。この場合、後述する吸引機構30は、各吸着搬送機構20に1つずつ配置されているとよい。もちろん、吸着搬送機構20は、1つのみ配置されていてもよい。
【0026】
なお、吸着搬送機構20は、搬送部材として、搬送ベルト21に代えて搬送ローラ等の他の搬送部材を有するものであってもよい。吸着搬送機構20が搬送ローラを有する場合には、搬送駆動部82は、駆動プーリではなく駆動ローラ(搬送ローラ)を回転させることになる。
【0027】
吸引機構30は、吸着搬送機構20の搬送ベルト21によって囲まれた領域から、この搬送ベルト21の複数の貫通孔を通して吸引エアA1を上方に吸引する。これにより、吸引機構30は、積載台10に積載された複数の用紙Pのうち最上位の用紙P1を吸着搬送機構20に吸着させる。
【0028】
吸引機構30は、吸引エアA1の吸引を遮断する遮断部31を有する。
遮断部31は、例えば、吸引機構30の内部(チャンバ内部)の底面に配置されている。なお、遮断部31は、吸引機構30の外部(チャンバ外部)の底面に配置されていてもよい。
【0029】
図4A及び
図4Bは、遮断部31を示す平面図である。
図4Aに示すように、遮断部31は、シャッタ31aと、開口部材31bと、回転軸部材31cとを有する。
【0030】
シャッタ31aは、図示しないシャッタ駆動部(例えば、モータ等のアクチュエータ)の駆動によって、回転軸部材31cを回転中心軸として、例えば45度の範囲で時計回り及び反時計回りの両方向に揺動(回転)する。
【0031】
シャッタ31aは、例えば4つの羽根部31a-1を有する。この4つの羽根部31a-1は、シャッタ31aの回転方向において等間隔(例えば90度間隔)に設けられている。
【0032】
開口部材31bは、例えば円板状の板材である。開口部材31bは、吸引機構30により吸引される吸引エアA1を通すための例えば4つの貫通孔31b-1を有する。この4つの貫通孔31b-1は、羽根部31a-1と同様に、シャッタ31aの回転方向において等間隔(例えば90度間隔)に設けられている。
【0033】
シャッタ31aは、
図4Bに示すように、羽根部31a-1が貫通孔31b-1を覆うことで
図3に示す吸引エアA1の吸引を遮断する遮断位置(1)と、
図4Aに示すように、羽根部31a-1が貫通孔31b-1を覆わないことで吸引エアA1の吸引を遮断しない、遮断位置(1)から退避した退避位置(2)とに揺動(移動)する。
【0034】
なお、開口部材31bが配置されていることによって、開口部材31bのうち貫通孔31b-1が設けられていない部分では、開口部材31bが吸引エアA1の吸引を遮断することになるが、開口部材31bによる吸引エアA1の吸引の遮断は用紙Pの吸着力に影響を与えにくいことから、吸引エアA1の吸引を遮断していないと考えることができる。また、吸引機構30の底面に設けられた貫通孔が開口部材31bの貫通孔31b-1と同一形状で貫通孔31b-1に重なるように設けられている場合や、開口部材31bが省略され、シャッタ31aが吸引機構30の底面に設けられた貫通孔を覆う遮断位置と退避位置とに移動する場合には、開口部材31bが吸引エアA1の吸引を遮断することにはならない。
【0035】
なお、遮断部31は、用紙Pに対するエアの吸引を停止するか又は弱める遮断手段の一例である。この遮断手段は、吸引機構30のファン等のエア吸引源(エア吸引手段)の電源のON・OFFや風量の強弱を制御する吸引機構制御回路などであってもよい。また、遮断部31は、シャッタ31aの回転によって吸引エアA1の風量を調整するが、回転軸の向きやシャッタの数などは特に制限されない。また、シャッタがスライド移動することで吸引エアA1の風量を調整してもよい。
【0036】
図3に示すように、2つの上部エア吹き出し機構40,40は、左右対称であることを除いて同一の構成とすることができる。そのため、以下では、単一の上部エア吹き出し機構40について説明する。なお、上部エア吹き出し機構40は、吸着搬送機構20や吸引機構30と同様に、用紙Pの幅方向(左右方向)の中央に1つ又は複数配置されていてもよく、配置される位置は特に制限されない。
【0037】
上部エア吹き出し機構40は、上部エアA2の供給源(エア供給手段)の一例であるファン41と、このファン41によって供給される上部エアA2の流路42とを有する。上部エア吹き出し機構40は、吸引機構30によって吸着搬送機構20(
図3では図示せず)に吸着された用紙Pの上面に上部エアA2を吹き付けることにより用紙Pを積載台10上に戻す。なお、上部エア吹き出し機構40は、例えば斜め下方又は鉛直下方に上部エアA2を吹き出すことがのぞましいが、吸着搬送機構20に吸着された用紙Pよりも上方から上部エアA2を吹き出すのであれば、水平に上部エアA2を吹き出してもよい。詳しくは後述するが、上部エア吹き出し機構40は、吸着搬送機構20によって逆搬送方向D2(
図8A参照)に積載台10の上方まで搬送された
図9Bに示す用紙P0を積載台10上に戻すように、用紙Pの上面に上部エアA2を吹き付けるとよい。
【0038】
図1及び
図2に示すように、搬送機構50は、上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2に配置された複数のローラ対(搬送部材の一例)を有する。このローラ対は、一方が駆動ローラで他方が従動ローラであってもよいし、両方が従動ローラであってもよい。なお、搬送機構50の駆動ローラは、搬送駆動部93が駆動ローラを回転させることによって、搬送方向D1に用紙Pを搬送し、搬送駆動部93が駆動ローラを逆回転させることによって、搬送方向D1とは反対向きの逆搬送方向D2(
図8A参照)に用紙Pを逆搬送可能である。
【0039】
図5に示す制御部61は、給紙装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit)を有し、吸引機構30、40等の各部の動作を制御する。なお、給紙装置1が印刷装置101に一体に備えられる場合などには、印刷装置101の制御部が制御部61として機能してもよい。
【0040】
記憶部62は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0041】
インターフェース部63は、印刷装置101の制御部等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部63は、印刷装置101の制御部から、給紙要求や給紙停止要求などの情報を受け、制御部61は、これらの情報に基づき、給紙装置1の各部の動作を制御する。
【0042】
図2に示す用紙検知センサ64は、用紙Pの通過を検知する例えば光学センサである。
中央浮上エア吹き出し機構71は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも搬送方向D1の下流側に配置され、例えば、最上位の用紙P1を含む10枚程度の用紙Pを浮き上がらせるための中央浮上エアA3を斜め上方に吹き出す。
【0043】
中央分離エア吹き出し機構72は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも搬送方向D1の下流側に配置され、最上位の用紙P1と2枚目の用紙P2とを分離させるための中央分離エアA4を斜め上方に吹き出す。
【0044】
2つのサイド浮上エア吹き出し機構81,81(
図2に右側のみを図示)は、左右対称であることを除いて同一の構成とすることができる。そのため、以下では、単一のサイド浮上エア吹き出し機構81について説明する。
【0045】
サイド浮上エア吹き出し機構81は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも幅方向の右側又は左側にされ、中央浮上エア吹き出し機構71と同様に、例えば、最上位の用紙P1を含む10枚程度の用紙Pを浮き上がらせるためのサイド浮上エアA5を斜め上方に吹き出す。なお、中央浮上エア吹き出し機構71及び2つのサイド浮上エア吹き出し機構81,81は、最上位の用紙P1を含む複数の用紙Pを浮き上がらせるようにエアを吹き出す浮上エア吹き出し機構の一例である。
【0046】
図3に示す2つのサイド分離エア吹き出し機構82,82は、左右対称であることを除いて同一の構成とすることができる。そのため、以下では、単一のサイド分離エア吹き出し機構82について説明する。
【0047】
サイド分離エア吹き出し機構82は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも幅方向の右側又は左側にされ、最上位の用紙P1と2枚目の用紙P2とを分離させるためのサイド分離エアA6を斜め上方に吹き出す。なお、中央分離エア吹き出し機構72及び2つのサイド分離エア吹き出し機構82,82は、最上位の用紙P1と2枚目の用紙P2とを分離させるようにエアを吹き出す分離エア吹き出し機構の一例である。
【0048】
サイド分離エア吹き出し機構82は、サイド分離エアA6の供給源(エア供給手段)の一例であるファン82aと、このファン82aによって供給されるサイド分離エアA6の流路82bとを有する。なお、図示はしないが、中央浮上エア吹き出し機構71、中央分離エア吹き出し機構72、及びサイド浮上エア吹き出し機構81も、サイド分離エア吹き出し機構82と同様にファン及び流路を有する。
【0049】
図5に示す積載台昇降駆動部91は、積載台10を昇降させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0050】
吸着搬送駆動部92は、吸着搬送機構20のプーリ22,23のうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0051】
搬送駆動部93は、搬送機構50の駆動ローラを回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
【0052】
次に、
図1に示す印刷装置101について説明する。
図1に示す印刷装置101は、印刷部110と、吸着搬送機構120と、搬送機構130と、反転部140とを有する。なお、
図1には、上側の給紙装置1の上部側給紙搬送経路R1と下側の給紙装置1の下部側給紙搬送経路R2とが合流した合流搬送経路R3、及び排出搬送経路R4を実線で示し、循環反転搬送経路R5を破線で示す。
【0053】
印刷部110は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部110の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0054】
吸着搬送機構120は、印刷部110に対向するように配置されている。吸着搬送機構120は、例えば用紙Pを吸着しながら、搬送ベルトによって用紙Pを搬送する。
【0055】
搬送機構130は、合流搬送経路R3、排出搬送経路R4、又は循環反転搬送経路R5に配置された複数のローラ対(搬送部材)を有する。このローラ対は、一方が駆動ローラで他方が従動ローラであってもよいし、両方が従動ローラであってもよい。
【0056】
反転部140は、印刷部110によって表面の印刷が行われ、循環反転搬送経路R5に搬送された用紙Pの表裏を反転させる反転経路やスイッチバックローラ対などを有する。
【0057】
なお、印刷部110において片面のみの印刷又は両面の印刷が行われた用紙Pは、排出搬送経路R4から排出され、印刷装置101に直列に配置された他の印刷装置や、排紙装置(媒体排出装置の一例)や、後処理装置などに搬送されるとよい。
【0058】
以下、
図6~
図9Bを参照しながらジャム検知時の給紙装置1の動作等を説明する。
図6は、ジャム検知時の処理を示すフローチャートである。
【0059】
図7は、ジャム検知時の各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8A及び
図9Aは、ジャム検知時の給紙装置1の動作を説明するための図である。
【0060】
図8B及び
図9Bは、ジャム検知時の上部エア吹き出し機構40の動作を説明するための図である。
【0061】
なお、
図6に示すフローチャートの各処理は、例えば印刷装置101又は給紙装置1の図示しないセンサの出力信号に基づいてジャムを検知することで開始され、
図5に示す制御部61によって行われる。
【0062】
まず、制御部61は、
図8A及び
図8Bに示すように、中央浮上エアA3、中央分離エアA4、サイド浮上エアA5、及びサイド分離エアA6を停止させるように、中央浮上エア吹き出し機構71、中央分離エア吹き出し機構72、サイド浮上エア吹き出し機構81、及びサイド分離エア吹き出し機構82を制御する(ステップS1)。
【0063】
また、制御部61は、積載台10に積載された複数の用紙Pの後述する用紙情報(媒体情報の一例)に基づいて、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し動作の有無を判定する(ステップS2)。
【0064】
制御部61は、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し動作を行うと判定すると(ステップS2:YES)、
図8Bに示すように、上部エアA2の吹き出しを開始するように上部エア吹き出し機構40を制御する(ステップS3)。この際、制御部61は、上記の用紙情報に基づいて、上部エアA2の風量を調整してもよい。
【0065】
なお、制御部61は、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し動作を不要と判定すると(ステップS2:NO)、上部エア吹き出し機構40に上部エアA2の吹き出しを行わせない。
【0066】
次に、制御部61は、
図8Aに示すように上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2にある用紙P0を吸着搬送機構20及び搬送機構50によって、逆搬送方向D2に用紙Pを逆搬送するように
図5に示す吸着搬送駆動部92及び搬送駆動部93を制御する(ステップS4)。
【0067】
なお、中央浮上エアA3、中央分離エアA4、サイド浮上エアA5、及びサイド分離エアA6の停止(ステップS1)と、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出しの開始(ステップS3)と、吸着搬送機構20及び搬送機構50による逆搬送の開始(ステップS4)とは、上述の順番どおりではなく、同時又は順序を変更して行われてもよい。
【0068】
次に、制御部61は、逆搬送方向D2に逆搬送される用紙P0が用紙検知センサ64によって検知された後、用紙検知センサ64を通過したか(用紙検知センサ64によって検知されなくなったか)を判定する(ステップS5)。制御部61は、この用紙検知センサ64による用紙P0の通過検知の有無の判定(ステップS5)を、所定時間経過する(ステップS6:YES)まで繰り返し行う。この所定時間は、逆搬送される用紙P0がないと判断するための時間であり、例えば、用紙Pのサイズ、向き(縦又は横)、搬送間隔などによって決定されるとよい。
【0069】
制御部61は、用紙検知センサ64により用紙P0の通過が検知されずに(ステップS5:NO)、所定時間が経過すると(ステップS6:YES)、
図6に示す処理を終了する。
【0070】
制御部61は、
図9Aに示すように用紙検知センサ64により用紙P0の通過(
図7に示す時間t1,t3におけるON→OFF)が検知されると(ステップS5:YES)、
図9Aに示すように吸着搬送機構20による逆搬送を停止するように吸着搬送駆動部92を制御するとともに、
図9A及び
図9Bに示すように吸引エアA1の吸引を例えば上述の遮断部31によって遮断(OFF)するように吸引機構30を制御する(ステップS7)。これにより、吸着搬送機構20に吸着された用紙P0は、上部エア吹き出し機構40により吹き出される上部エアA2によって、落下して積載台10上に戻る。
【0071】
次に、制御部61は、逆搬送方向D2に逆搬送される2枚目以降の用紙P0が用紙検知センサ64によって検知されるかを判定する(ステップS8)。制御部61は、この用紙検知センサ64による用紙P0の検知の有無の判定(ステップS8)を、所定時間経過する(ステップS9:YES)まで繰り返し行う。この所定時間は、上述のステップS6の所定時間と同一であってもよい。
【0072】
制御部61は、用紙検知センサ64により用紙P0が検知されずに(ステップS8:NO)、所定時間が経過すると(ステップS9:YES)、
図6に示す処理を終了する。
【0073】
制御部61は、
図9Aに示すように用紙検知センサ64により再び用紙P0(
図7に示す時間t2におけるOFF→ON)が検知されると(ステップS8:YES)、吸着搬送機構20による逆搬送を再開するように吸着搬送駆動部92を制御するとともに、吸引エアA1の吸引を開始(ON)するように吸引機構30を制御し(ステップS10)、ステップS5の処理に戻る。
【0074】
なお、
図7に示すように、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出しは、
図6のステップS3において開始されてから
図6に示す処理が終了するまで継続する。これは、上部エア吹き出し機構40が上部エアA2を吹き出していても、上部エアA2の風量よりも強い吸引機構30による吸引エアA1の風量によって用紙P0の吸着搬送機構20への吸着が維持されるためである。但し、吸着搬送機構20に吸着された用紙P0が落下して積載台10上に戻るのは、吸引機構30が吸引エアA1の吸引を停止するステップS7の処理以降であるため、吸引機構30が吸引エアA1の吸引を停止している間のみ(例えば、用紙検知センサ64による用紙P0の通過検知(OFF)をトリガにして)、上部エア吹き出し機構40が上部エアA2を吹き出してもよい。
【0075】
ここで、上述のステップS2における用紙情報は、例えば、用紙Pのサイズ、用紙Pの向き、用紙Pの種類などである。なお、用紙情報は、例えば、制御部61によって印刷ジョブに基づいて取得される。
【0076】
用紙Pのサイズは、例えば、A3(297×420mm)、A4(210×297mm)などである。用紙Pの向きは、用紙Pの長手方向が搬送方向D1に平行な縦、又は、用紙Pの長手方向が搬送方向D1に直交する横である。用紙Pの種類は、普通紙、厚紙、薄紙などであるが、坪量などであってもよい。
【0077】
例えば、用紙Pが厚紙である場合、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出しがなくとも、吸引機構30による吸引エアA1の吸引停止のみによって用紙Pが積載台10上に短時間で落下することがある。そのため、制御部61は、例えば用紙Pが厚紙である場合には、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出しを不要(ステップS2:NO)と判断し、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し(ステップS3)を省略してもよい。
【0078】
また、制御部61は、例えば用紙Pが厚紙である場合には、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し(ステップS3)の風量を、用紙Pが薄紙である場合よりも弱くなるように遮断部31を制御してもよい。このように、制御部61は、用紙情報に基づいて、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整するとよい。
【0079】
なお、制御部61は、用紙情報に基づいて、中央浮上エアA3、中央分離エアA4、サイド浮上エアA5、及びサイド分離エアA6のうちの少なくとも1つの吹き出し量と吹き出し動作の有無との少なくとも一方を調整するように、中央浮上エア吹き出し機構71、中央分離エア吹き出し機構72、サイド浮上エア吹き出し機構81、及びサイド分離エア吹き出し機構82のうち少なくとも1つを制御してもよい。
【0080】
また、制御部61は、上述の用紙情報に加えて(又は用紙情報に代えて)、給紙装置1が設置された環境の湿度、気流などの環境情報を図示しないセンサから取得し、この環境情報に基づいて、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整してもよい。例えば、湿度が低いほど用紙Pの重量が小さくなって吸着搬送機構20に吸着された用紙Pへの積載台10上への落下時間がかかり、また、上昇気流が強いほど吸着搬送機構20に吸着された用紙Pへの積載台10上への落下時間がかかる。制御部61は、このような用紙Pの積載台10上への落下時間の長短に応じて、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整するとよい。
【0081】
以上説明した本実施の形態では、媒体供給装置の一例である給紙装置1は、積載台10と、吸着搬送機構20と、吸引機構30と、上部エア吹き出し機構40とを備える。積載台10には、複数の用紙P(媒体の一例)が積載される。吸着搬送機構20は、積載台10に積載された複数の用紙Pのうち最上位の用紙P1を搬送方向D1に搬送する。吸引機構30は、吸引エアA1を吸引することによって最上位の用紙P1を吸着搬送機構20に吸着させる。上部エア吹き出し機構40は、吸着搬送機構20に吸着された用紙P(用紙P0)の上面にエアを吹き付けることにより用紙Pを積載台10上に戻す。
【0082】
これにより、例えば、上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2を逆搬送方向D2に搬送された用紙P0、或いは給紙(媒体供給)の一時的な停止によって給紙が行われなくなる用紙Pなどの吸着搬送機構20に吸着された用紙Pを、上部エア吹き出し機構40による用紙Pの上面への上部エアA2の吹き付けによって叩き落とすことで積載台10上に短時間で戻すことができる。よって、本実施の形態によれば、吸着搬送機構20に吸着された用紙Pの積載台10上への落下時間を削減することができる。これにより、ジャム検知後に逆搬送方向D2に逆搬送される用紙P0が複数ある場合に吸着搬送機構20に吸着された用紙P0が落下するまで次の用紙P0を逆搬送できなくなることや、或いは、給紙を一時的に停止した後すぐに再開することができなくなることなどに起因して給紙装置1のダウンタイムが増加するのを抑制することができる。なお、本実施の形態では、上部エア吹き出し機構40によって用紙Pを積載台10上に落下させるため、用紙Pが自然落下する場合と比較して、積載台10上で用紙Pを整然と積載することもできる。
【0083】
また、本実施の形態では、給紙装置1は、吸引機構30及び上部エア吹き出し機構40を制御する制御部61を備える。吸着搬送機構20は、搬送方向D1とは反対向きの逆搬送方向D2に用紙P0を逆搬送可能である。制御部61は、吸着搬送機構20によって逆搬送方向D2に積載台10の上方まで搬送された用紙P0に対する吸引エアA1の吸引を停止するか又は弱めるように吸引機構30を制御するとともに、用紙P0の上面に上部エアA2を吹き付けることにより用紙P0を積載台10上に戻すように上部エア吹き出し機構40を制御する。これにより、上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2を逆搬送方向D2に逆搬送されて吸着搬送機構20に吸着された用紙P0が積載台10上に落下する時間を、上部エア吹き出し機構40による用紙Pの上面への上部エアA2の吹き付けのみならず、吸引機構30による吸引エアA1の吸引が停止するか又は風量が弱くなることによっても、短縮することができる。したがって、給紙装置1のダウンタイムをより一層削減することができる。また、用紙P0が吸着搬送機構20によって逆搬送方向D2に逆搬送されるため、ジャム検知後に上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2に滞留する用紙P0を再利用することができる。したがって、ジャム検知に伴う損紙(破棄される媒体)の発生を最小限に抑えることができる。なお、本実施の形態では、2つ(複数)の給紙装置1,1が配置されていることによって、単一の給紙装置1が配置されている場合と比較して、上部側給紙搬送経路R1及び下部側給紙搬送経路R2(特に上部側給紙搬送経路R1)が長くなる。これにより、ジャム検知時に上部側給紙搬送経路R1又は下部側給紙搬送経路R2から逆搬送される用紙P0の枚数も多くなり、ひいては、逆搬送に要する時間が長くなりやすい。この点、本実施の形態では、上述のように、逆搬送されて吸着搬送機構20に吸着された用紙P0が積載台10上に落下する(戻る)時間を短縮することができるため、複数の用紙P0を順次、積載台10上に戻す場合に、逆搬送される用紙P0の枚数が増えるほど、給紙装置1のダウンタイムを削減することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、給紙装置1は、上部エア吹き出し機構40を制御する制御部61を備える。この制御部61は、積載台10に積載された複数の用紙Pの用紙情報(媒体情報の一例)に基づいて、上部エア吹き出し機構40による上部エアA2の吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整する。これにより、制御部61は、用紙Pのサイズ、向き、種類などに起因して変動する吸着搬送機構20に吸着された用紙Pの積載台10上への落下時間に応じて、制御を行うことができるため、吸着搬送機構20に吸着された用紙P0が積載台10上に落下する時間を確実に短縮することができる。
【0085】
<変形例>
次に、
図10に示す変形例における給紙装置2(媒体供給装置の一例)について説明する。本変形例における給紙装置2は、
図3に示す上部エア吹き出し機構40とサイド分離エア吹き出し機構82とを兼用する上部エア及び分離エア吹き出し機構210が配置される点のみ上述の給紙装置1と異なり、その他は同様にすることができる。そのため、詳細な説明は省略する。
【0086】
図10は、変形例における上部エア及び分離エア吹き出し機構210を説明するための図である。
【0087】
図10に示すように、2つの上部エア及び分離エア吹き出し機構210は、左右対称であることを除いて同一の構成とすることができる。そのため、以下では、単一の上部エア及び分離エア吹き出し機構210について説明する。
【0088】
上部エア及び分離エア吹き出し機構210は、ファン211と、共通流路212と、上部エア流路213と、分離エア流路214と、切り替え機構215とを有する。
【0089】
ファン211は、エア(上部エアA2及びサイド分離エアA6)の供給源(エア供給手段)の一例である。
【0090】
共通流路212は、ファン211によって供給されるエアの流路である。
上部エア流路213は、共通流路212を介して211から上部エアA2を供給される流路である。分離エア流路214は、上部エア流路213の下方に配置され、共通流路212を介してファン211からサイド分離エアA6を供給される流路である。なお、上部エア流路213は、吸着搬送機構20に吸着された用紙Pの上面に上部エアA2を吹き付けることにより用紙Pを積載台10上に戻す上部エア吹き出し機構の一例として機能する。また、分離エア流路214は、エアを上方(例えば斜め上方)に吹き出す下部エア吹き出し機構の一例である。
【0091】
なお、本変形例では、上述の実施の形態の上部エア吹き出し機構40とサイド分離エア吹き出し機構82とを兼用する上部エア及び分離エア吹き出し機構210が配置されているが、上部エア吹き出し機構40とサイド浮上エア吹き出し機構81とを兼用し、共通のファンを有する吹き出し機構が配置されてもよい。この場合、下部エア吹き出し機構として、分離エア流路214に代えて、浮上エア流路が配置されることになる。
【0092】
切り替え機構215は、上部エア流路213を塞ぐ位置と分離エア流路214を塞ぐ位置とに移動可能な例えば板材である。切り替え機構215は、ファン211によってエアが供給される対象を、上部エア流路213(上部エア吹き出し機構,上部エアA2)と分離エア流路214(分離エア吹き出し機構(下部エア吹き出し機構),サイド分離エアA6)とに切り替える。
【0093】
なお、このように切り替え機構215が、ファン211によって供給されるエアを上部エアA2とサイド分離エアA6とに切り替えても、上述の
図6に示すフローチャートを参照しながら説明したように、上部エアA2とサイド分離エアA6とを同時に吹き出す必要はないため、支障はない。但し、切り替え機構215が上部エア流路213の一部と分離エア流路214の一部とのうち両方又は一方を塞ぐ位置や、上部エア流路213も分離エア流路214も塞がない位置に移動し、上部エアA2とサイド分離エアA6とが同時に吹き出されてもよい。なお、切り替え機構215が、上部エア流路213の一部と分離エア流路214の一部とのうち両方又は一方を塞ぐ位置に移動する場合、上部エアA2又はサイド分離エアA6の風量を調整することができる。
【0094】
本変形例では、給紙装置2は、エアを上方に吹き出す下部エア吹き出し機構の一例である分離エア流路214と、上部エア流路213(上部エア吹き出し機構の一例)及び分離エア流路214(分離エア吹き出し機構の一例)の両方にエアを供給するファン211(エア供給手段の一例)と、このファン211によってエアが供給される対象を上部エア流路213と分離エア流路214とに切り替える切り替え機構215とを備える。これにより、サイド分離エアA6(又はサイド浮上エアA5)を供給するための例えば既存のエア供給手段(ファン211)を用いて、上部エアA2とサイド分離エアA6とを選択的に供給することができる。そのため、上部エア吹き出し機構(上部エア流路213)を配置することに伴うエア供給手段の追加設置を省略することができる。
【0095】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0096】
[付記1]
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を搬送方向に搬送する吸着搬送機構と、
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記吸着搬送機構に吸着させる吸引機構と、
前記吸着搬送機構に吸着された前記媒体の上面にエアを吹き付けることにより前記媒体を前記積載台上に戻す上部エア吹き出し機構と
を備えることを特徴とする媒体供給装置。
【0097】
[付記2]
前記吸引機構及び前記上部エア吹き出し機構を制御する制御部を更に備え、
前記吸着搬送機構は、前記搬送方向とは反対向きの逆搬送方向に前記媒体を逆搬送可能であり、
前記制御部は、前記吸着搬送機構によって前記逆搬送方向に前記積載台の上方まで搬送された前記媒体に対するエアの吸引を停止するか又は弱めるように前記吸引機構を制御するとともに、前記媒体の前記上面にエアを吹き付けることにより前記媒体を前記積載台上に戻すように前記上部エア吹き出し機構を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0098】
[付記3]
前記上部エア吹き出し機構を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記積載台に積載された前記複数の媒体の媒体情報に基づいて、前記上部エア吹き出し機構によるエアの吹き出し量と吹き出し動作の有無とのうち少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
【0099】
[付記4]
エアを上方に吹き出す下部エア吹き出し機構と、
前記上部エア吹き出し機構及び前記下部エア吹き出し機構の両方にエアを供給するエア供給手段と、
前記エア供給手段によってエアが供給される対象を前記上部エア吹き出し機構と前記下部エア吹き出し機構とに切り替える切り替え機構と
を更に備えることを特徴とする付記1から3のいずれか記載の媒体供給装置。
【符号の説明】
【0100】
1,2 給紙装置
10 積載台
20 吸着搬送機構
21 搬送ベルト
22,23 プーリ
30 吸引機構
31 遮断部
31a シャッタ
31a-1 羽根部
31b 開口部材
31b-1 貫通孔
31c 回転軸部材
40 上部エア吹き出し機構
41 ファン
42 流路
50 搬送機構
61 制御部
62 記憶部
63 インターフェース部
64 用紙検知センサ
71 中央浮上エア吹き出し機構
72 中央分離エア吹き出し機構
81 サイド浮上エア吹き出し機構
82 サイド分離エア吹き出し機構
82a ファン
82b 流路
91 積載台昇降駆動部
92 吸着搬送駆動部
93 搬送駆動部
100 印刷システム
101 印刷装置
110 印刷部
120 吸着搬送機構
130 搬送機構
140 反転部
210 上部エア及び分離エア吹き出し機構
211 ファン
212 共通流路
213 上部エア流路
214 分離エア流路
215 切り替え機構
A1 吸引エア
A2 上部エア
A3 中央浮上エア
A4 中央分離エア
A5 サイド浮上エア
A6 サイド分離エア
D1 搬送方向
D2 逆搬送方向
P 用紙
R1 上部側給紙搬送経路
R2 下部側給紙搬送経路
R3 合流搬送経路
R4 排出搬送経路
R5 循環反転搬送経路