(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231027BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 128
(21)【出願番号】P 2019069111
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】青柳 光春
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩介
(72)【発明者】
【氏名】牧内 祐仁
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0277091(US,A1)
【文献】特開2011-232928(JP,A)
【文献】特開2018-022322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された
略矩形の2つの電極
が交差することによって構成され
るノードが、第1の方向へ整列
して該ノード
の各々の接触検知信号
を出力する、複数の
前記ノードを備え、
前記2つの電極は前記接触検知信号を伝送する配線に各々接続され、
前記複数のノードのうち、
前記配線と接続される側の端に配置された
1つの前記ノードを構成する前記2つの電極の一方
の電極は、前記第1の方向へ延長され
、他の前記ノードを構成する前記一方の電極よりも長い前記第1の方向の長さを有しており、
前記1つのノードの静電容量と、前記他のノードの静電容量との差を減少させるように、前記
1つのノードを構成する前記2つの電極の少なくとも一方には切り欠きが形成されている、タッチパネル。
【請求項2】
前記複数のノードは、
前記第1の方向へ各々延在し、該第1の方向と
直交する第2の方向へ並ぶ複数の第1電極と、
前記第2の方向へ各々延在し、前記第1の方向へ並ぶ複数の第2電極であって、前記複数の第1電極と前記複数の第
2電極と
は格子状に交差するように対向配置されている、複数の第2電極と、から構成さ
れている、請求項1に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルの電極に開口を設ける技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接触検知信号を出力するノードの静電容量を均一にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、タッチパネルは、互いに対向配置された2つの電極から構成され、第1の方向へ整列する複数のノードであって、接触検知信号を各々出力する、複数のノードを備え、複数のノードのうち、第1の方向の端に配置された第1のノードを構成する2つの電極の一方は、第1の方向へ延長されて、複数のノードからの接触検知信号を伝送する配線に接続され、第1のノードを構成する2つの電極の少なくとも一方には切り欠きが形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、切り欠きを設けることによって、切り欠きを設けない場合と比べて配線に接続される端のノードを構成する受信電極及び送信電極の総面積が減じられ、端のノードの静電容量を減少させることができる。その結果、端のノードの静電容量と、他のノードの静電容量との差を減少させ、ノードの静電容量の均一性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るタッチパネルの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示すタッチパネルの受信電極と送信電極を上方から見た図である。
【
図3】
図1に示す受信電極と送信電極の拡大図である。
【
図4】一実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図5】他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図6】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図7】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図8】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図9】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図10】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図11】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図12】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図13】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図14】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図15】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図16】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図17】さらに他の実施形態に係る切り欠きを説明するための図である。
【
図18】
図5に示す切り欠きを、後端のノードを構成する送信電極に形成した形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明においては、図中の直交座標系を方向の基準とし、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方として言及することがある。
【0009】
図1を参照して、一実施形態に係るタッチパネル10について説明する。タッチパネル10は、カバー12、複数の受信電極14、第1基材16、複数の送信電極18、及び第2基材20を備える。カバー12は樹脂等から構成され、透明領域22と非透明領域24とを有する。受信電極14は、第1基材16の上に設けられている。受信電極14及び第1基材16は第1接着剤層26によりカバー12の裏面に接着されている。
【0010】
送信電極18は、第2基材20の上に設けられている。送信電極18及び第2基材20は第2接着剤層28により第1基材16の裏面に接着されている。第1接着剤層26及び第2接着剤層28により接着されたカバー12、受信電極14、第1基材16、送信電極18、及び第2基材20は、一体形状のタッチパネル10を構成している。第1基材16及び第2基材20は、PET等の透明樹脂から構成されている。また、第1接着剤層26及び第2接着剤層28は、透明接着剤から構成されている。
【0011】
次に、
図2を参照して、受信電極14及び送信電極18について説明する。受信電極14と送信電極18とは、互いに格子状に交差するように対向配置されている。各々の受信電極14は例えばITO(酸化インジウムスズ)等の導電性材料による透明薄膜から構成され、x方向へ真直ぐ延在している。本実施形態において、各々の受信電極14は、予め定められた短手方向の幅がW
1の略矩形の部材であって、長手方向がx方向と平行となるように配置され、計7個の受信電極14がy方向へ略等間隔で整列している。
【0012】
各々の受信電極14の右端部には、導電性のパッド30が被覆されており、各々のパッド30から引き回し用の配線32が引き出されている。各々の配線32は、パッド30を介して、各々の受信電極14と導通している。配線32は互いに絶縁されており、導通する受信電極14からの信号を伝送する。
【0013】
パッド30及び配線32は、カバー12の非透明領域24の直下に配置され、非透明領域24によって上側から覆われている。上側からタッチパネル10を見る使用者は、非透明領域24によってパッド30及び配線32を視認することができないようになっている。各々の受信電極14の右端は非透明領域24の直下まで右方へ延長され、パッド30及び配線32に接続されている。
【0014】
送信電極18の各々は、ITO等の導電性材料の透明薄膜から構成され、y方向へ真直ぐ延在している。本実施形態において、各々の送信電極18は、予め定められた短手方向の幅がW2の矩形の部材であって、長手方向がy方向と平行となるように配置され、計8個の送信電極18がx方向へ略等間隔で整列している。
【0015】
本実施形態において、送信電極18の幅W2は、受信電極14の幅W1よりも大きい(W2>W1)。各々の送信電極18の後端には導電性のパッド34が被覆されており、各々のパッド34から配線36が引き出されている。各配線36は、パッド34を介して各々の送信電極18と導通している。
【0016】
パッド34及び配線36は、カバー12の非透明領域24の直下に配置され、非透明領域24によって上側から覆われている。上側からタッチパネル10を見る使用者は、非透明領域24によってパッド34及び配線36を視認することができないようになっている。各々の送信電極18の後端は、非透明領域24の直下まで後方へ延長され、パッド34及び配線36に接続されている。
【0017】
次に、
図3を参照してタッチパネル10のノード38について説明する。互いに対向配置された1つの受信電極14と1つの送信電極18とによって1つのノード38が形成される。本実施形態においては、計7個の受信電極14と計8個の送信電極18とによって、計56個のノード38が形成されている。
【0018】
図3では、56個のノード38のうち、3個の受信電極14と3個の送信電極18とによって形成された9個のノード38が示されており、ノード38の境界線を一点鎖線で模式的に表している。各々のノード38は、格子状に交差する受信電極14と送信電極18との交差部分40を含む領域として定義される。ここで、交差部分40とは、受信電極14及び送信電極18の一方を他方へ向かってz方向へ投影したときに他方と重なり合う領域を、受信電極14と送信電極18との間でz方向へ延長させた領域として、定義され得る。
【0019】
各々のノード38において、互いに対向する受信電極14と送信電極18とは、静電容量Cを有するコンデンサを構成する。送信電極18には配線36を介して接続される不図示の電圧源から駆動電圧信号が印可される。これにより、送信電極18から受信電極14へ至る電気力線が生じ、受信電極14に電圧(いわゆる、RAW値)が発生する。
【0020】
使用者が指でカバー12の透明領域を接触操作したとき、操作された領域にあるノード38において受信電極14と送信電極18との間で生じる電気力線の一部が使用者の指に移動する。これにより、受信電極14に発生していた電圧が低下する。各々のノード38は、接触操作による受信電極14の電圧低下を接触検知信号として出力する。ノード38が出力した接触検知信号は、配線32を介してプロセッサ(図示せず)に伝送され、接触操作に応じた画像表示等の動作が実行される。
【0021】
各々のノード38において、電気力線は、受信電極14と送信電極18との交差部分40を中心として、x方向及びy方向に広がりを持ちつつ、送信電極18から受信電極14へ至る。したがって、1つのノード38は、ノード38を構成する受信電極14と送信電極18との間で生じる電気力線に基づいて、交差部分40を中心としてx方向及びy方向に広がりを持つ領域として画定される。
図3は、ノード38の領域の境界線を模式的に示している。
【0022】
複数のノード38のうち、右端に配置されたノード38aにおいては、ノード38aを構成する受信電極14の右端がパッド30の位置まで右方へ延長されている。これにより、ノード38aの受信電極14のx方向の長さが、他のノード38bを構成する受信電極14のx方向の長さよりも実質長くなる。
【0023】
その結果、ノード38aを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積が他のノード38bよりも増大し、ノード38aの容量Caが他のノード38bの静電容量Cbよりも大きくなってしまう。したがって、ノード38において静電容量Cの均一性を確保することが困難となる。
【0024】
そこで、本実施形態においては、右端のノード38aの静電容量C
aを減少させて他のノード38bの静電容量C
bと均一にすべく、ノード38aを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積を減じるための切り欠きが形成されている。以下、
図4~
図17を参照して、種々の形態の切り欠きについて説明する。なお、
図4~
図17においては、理解の容易のために複数の右端のノード38aのうちの1つのみを図示している。
【0025】
図4に示す切り欠き50は、送信電極18を貫通するように送信電極18に形成された、z方向から見て略四角形の貫通孔である。切り欠き50は、右端のノード38aの領域内において、受信電極14と送信電極18との交差部分40から前方にずれた位置に配置されている。
図5に示す切り欠き52は、切り欠き50と同様に送信電極18に形成された略四角形の貫通孔であり、受信電極14と送信電極18との交差部分40から後方にずれた位置に配置されている。
【0026】
図6に示す切り欠き54は、受信電極14を貫通するように受信電極14に形成された、略四角形の貫通孔である。切り欠き54は、受信電極14と送信電極18との交差部分40から左方へずれた位置に配置されている。
図7に示す切り欠き56は、切り欠き54と同様に受信電極14を貫通する略四角形の貫通孔であり、受信電極14と送信電極18との交差部分40から右方へずれた位置に配置されている。
【0027】
図8に示す切り欠き58は、切り欠き54と同様に受信電極14を貫通する略四角形の貫通孔であり、受信電極14と送信電極18との交差部分40に配置されている。
図9に示す切り欠き60は、切り欠き50と同様に送信電極18を貫通する略四角形の貫通孔であり、受信電極14と送信電極18との交差部分40に配置されている。
【0028】
図10に示す切り欠き62は、受信電極14を貫通するように受信電極14に形成された、z方向から見て略矩形の貫通長孔である。切り欠き62は、その長手方向がx方向と平行になるように配置されている。本実施形態においては、切り欠き62は、その全域が受信電極14と送信電極18との交差部分40に配置されている。しかしながら、切り欠き62は、その右端が交差部分40よりも右方に突出した位置に配置されてもよいし、その左端が交差部分40よりも左方に突出した位置に配置されてもよい。
【0029】
図11に示す切り欠き64は、送信電極18を貫通するように送信電極18に形成された、z方向から見て略矩形の貫通長孔であり、その長手方向がy方向と平行になるように配置されている。本実施形態においては、切り欠き64は、その前端が、受信電極14と送信電極18との交差部分40の前方に突出した位置に配置されている一方、その後端が交差部分40の後方に突出した位置に配置されている。しかしながら、切り欠き64の前端又は後端が交差部分40に配置されてもよい。
【0030】
図12に示す切り欠き66は、受信電極14に形成された半円状の凹部66a及び66bを有する。凹部66aは受信電極14の前側の側縁14aから後方へ凹むように形成されている一方、凹部66bは受信電極14の後側の側縁14bから前方へ凹むように形成されている。本実施形態においては、凹部66a及び66bは、受信電極14と送信電極18との交差部分40に配置されている。しかしながら、凹部66a及び66bの少なくとも一方を、交差部分40よりも右方又は左方にずれて配置してもよい。
【0031】
図13に示す切り欠き68は、受信電極14に形成された半円状の凹部68a、68b、68c、68d、68e、68f、68g、及び68hを有する。凹部68a、68b、68c、及び68dは、受信電極14の側縁14aから後方へ凹むように各々形成され、x方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁14aは、凹部68a~68dが形成されている部分において、ジグザグ状に画定されている。
【0032】
一方、凹部68e、68f、68g、及び68hは、受信電極14の側縁14bから前方へ凹むように形成され、x方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁14bは、凹部68e~68hが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0033】
図14に示す切り欠き70は、送信電極18に形成された半円状の凹部70a、70b、70c、70d、70e、70f、70g、及び70hを有する。凹部70a、70b、70c、及び70dは、送信電極18の左側の側縁18aから右方へ凹むように各々形成され、y方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁18aは、凹部70a~70dが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0034】
一方、凹部70e、70f、70g、及び70hは、送信電極18の右側の側縁18bから左方へ凹むように形成され、x方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁18bは、凹部70e~70hが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0035】
図15に示す切り欠き72は、受信電極14に形成された三角形状の凹部72a、72b、72c、72d、72e、72f、72g、及び72hと、送信電極18に形成された三角形状の凹部72i、72j、72k、72l、72m、72n、72o、及び72pとを有する。
【0036】
凹部72a、72b、72c、及び72dは、受信電極14の側縁14aから後方へ凹むように各々形成され、y方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁14aは、凹部72a~72dが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0037】
一方、凹部72e、72f、72g、及び72hは、受信電極14の側縁14bから前方へ凹むように形成され、x方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁14bは、凹部72e~72hが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0038】
また、凹部72i、72j、72k、及び72lは、送信電極18の側縁18aから右方へ凹むように各々形成され、y方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁18aは、凹部72i~72lが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。
【0039】
一方、凹部72m、72n、72o、及び72pは、送信電極18の側縁18bから左方へ凹むように形成され、x方向に並ぶように配置されている。これにより、側縁18bは、凹部72m~72pが形成されている部分においてジグザグ状に画定されている。本実施形態においては、受信電極14に形成された凹部72a~72hの各々は、送信電極18に形成された凹部72i~72pの各々よりも面積が小さい。
【0040】
図16に示す切り欠き74は、凹部74a及び74bを有する。凹部74aは、受信電極14の側縁14aの右端部と受信電極14に被覆されたパッド30の前縁とから下方へ凹むように、受信電極14及びパッド30に形成されている。一方、凹部74bは、受信電極14の側縁14bの右端部と受信電極14に被覆されたパッド30の後縁とから前方へ凹むように、受信電極14及びパッド30に形成されている。
【0041】
これにより、凹部74a及び74bが形成されている受信電極14の右端部とパッド30のy方向の幅が幅W1よりも小さくなっている。なお、凹部74a及び74bの少なくとも一方を、ノード38aの領域の左端まで延長してもよい。仮に、凹部74a及び74bの双方がノード38aの左端まで延長された場合、受信電極14は、凹部74a及び74bによってノード38aの領域において幅W1よりも小さい幅を有することになる。
【0042】
なお、切り欠き74を送信電極18に形成してもよい。この場合、送信電極18の幅がノード38aの領域において幅W2よりも小さくなるように、送信電極18に形成された切り欠き74の凹部74a及び74bをノード38aのy方向の全域に亘って延長させてもよい。
【0043】
図17に示す切り欠き76は、凹部76a及び76bを有する。凹部76aは受信電極14の側縁14aの右端部とパッド30の前縁に形成され、凹部76aによって、側縁14aとパッド30の前縁とは右方へ延びるにつれて後方へ向かうようにx方向に対して傾斜している。
【0044】
一方、凹部76bは、受信電極14の側縁14bの右端部とパッド30の後縁に形成され、凹部76bによって側縁14bとパッド30の後縁とは右方へ延びるにつれて前方へ向かうようにx方向に対して傾斜している。凹部76a及び76bによって、受信電極14及びパッド30のy方向の幅は右方へ向かうにつれて先細状になる。
【0045】
上述した切り欠き50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、又は76を設けることによって、切り欠きを設けない場合と比べてノード38aを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積が減じられ、これにより、ノード38aの静電容量Caを減少させることができる。その結果、右端のノード38aの静電容量Caと他のノード38bの静電容量Cbとの差を減少させ、以って、ノード38の静電容量Cの均一性を高めることができる。
【0046】
なお、上述の切り欠き50~76の面積は、各切り欠きが形成される電極14又は18の電気抵抗が許容値を超えない範囲において、ノード38aを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積を、他のノード38bを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積に可能な限り一致させるように設定される。
【0047】
したがって、一例として、切り欠き50~76の各々の面積は、ノード38aを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積と、他のノード38bを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積との差に略一致するように設定され得る。
【0048】
また、
図4、
図5、
図9、
図11、及び
図14に示す形態においては、切り欠き50、52、60、及び70が、受信電極14よりも大きな幅W
2を有する送信電極18に形成されている。このように、より大きな幅の電極に切り欠きを形成することにより、より小さな幅の電極に切り欠きを形成する場合と比べて、切り欠き形成に起因した電気抵抗の上昇の影響を、小さくすることができる。
【0049】
また、
図15に示す形態においては、上述したように、凹部72a~72hの面積は、凹部72i~72pの面積よりも小さい。このように、より大きな幅の電極により大きな面積の切り欠きを形成することによって、切り欠き形成に起因した電気抵抗の上昇の影響を小さくすることができる。
【0050】
しかしながら、
図15に示す形態において、凹部72a~72pは同じ面積を有してもよい。また、
図14に示す切り欠き70を、
図13に示す送信電極18に形成してもよい。この場合において、送信電極18に形成した切り欠き70(凹部70a~70h)の面積を、受信電極14に形成した切り欠き68(凹部68a~68h)と同じ、又はそれよりも大きくしてもよい。
【0051】
なお、上述した切り欠き50~76は全てのノード38aにそれぞれ形成される一方で、他のノード38bには切り欠きが形成されない。しかしながら、他のノード38bに、受信電極14又は送信電極18の抵抗値を均一にするための孔を形成してもよい。また、切り欠き50~76の少なくとも2つを、1つのノード38aに形成することもできる。
【0052】
上述した切り欠き50~76は、複数のノード38のうち、後端に配置されたノード38cの各々に形成することもできる。具体的には、
図18に示すように、後端に配置されたノード38cを構成する送信電極18の後端が、パッド34の位置まで後方へ延長されている。
【0053】
これにより、ノード38cを構成する送信電極18のy方向の長さが、他のノード38bを構成する送信電極18のy方向の長さよりも実質長くなる。その結果、ノード38cを構成する受信電極14及び送信電極18の総面積がノード38bよりも増大し、ノード38cの静電容量Ccが他のノード38bの静電容量Cbよりも大きくなってしまう。
【0054】
そこで、
図18に示す形態では、ノード38cを構成する送信電極18に切り欠き52が形成されている。これにより、ノード38の静電容量Cの均一性を高めることができる。なお、ノード38cに上述した切り欠き50~76を適用できることが、当業者に理解できよう。
【0055】
上述の実施形態では、7個の受信電極14と8個の送信電極18とによって56個のノード38が形成されている場合について述べた。しかしながら、受信電極14と送信電極18の個数は、ノード38の総数が2以上となる限り如何なる個数であってもよい。
【0056】
上述した実施形態では、受信電極14及び送信電極18が導電性材料の透明薄膜である場合について述べたが、受信電極14又は送信電極18は導電ワイヤで構成してもよい。この場合、導電ワイヤは、断面を例えば円形又は四角形とし、人が視認不能な寸法(相当直径)とする。
【0057】
受信電極14又は送信電極18を導電ワイヤから構成した場合でも、配線32又は36に接続される端のノード38a又は38cにおいて静電容量Cが不均一になる課題が生じる。この場合、導電ワイヤである受信電極14又は送信電極18に面積を減ずるための幅を小さくする切り欠きを設けることで、静電容量Cの不均一を是正できる。
【0058】
また、受信電極14又は送信電極18を導電性の透明薄膜と導電ワイヤとの組み合わせから構成することもできる。各々のノード38において交差部分40に相当する受信電極14及び送信電極18の部分のみを透明薄膜から構成する一方、隣接する2つの交差部分40の間で延在する受信電極14及び送信電極18を導電ワイヤから構成してもよい。
【0059】
上述の実施形態では、パッド30及び配線32が受信電極14の右端側にのみ設けられている場合について述べた。しかしながら、パッド30及び配線32に加えて、受信電極14の左端側にさらなるパッド及び引き回し用の配線を設けてもよい。この場合、受信電極14の左端のノード38に上述した切り欠き50~76を設けてもよい。
【0060】
上述の実施形態では、パッド34及び配線36が送信電極18の後端側にのみ設けられている場合について述べた。しかしながら、パッド34及び配線36に加えて、送信電極18の前端側にさらなるパッド及び引き回し用の配線を設けてもよい。この場合、送信電極18の前端のノード38に上述した切り欠き50~76を設けてもよい。
【0061】
上述の切り欠き50、52、54、56、58、又は60は、円形、楕円形、多角形等、如何なる外形の貫通孔であってもよい。また、送信電極18の幅W2は、受信電極14の幅W1と同じであってもよいし、それよりも小さくてもよい。
【0062】
以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0063】
10 タッチパネル
12 カバー
14,18 電極
16,20 基材
30,34 パッド
32,36 配線
50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76 切り欠き