(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】活動認識と行動分析のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231027BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231027BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20231027BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231027BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
G06Q50/10
A61B5/11
G06F3/01 510
G06K7/10
G08B21/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019107052
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】201821021608
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
【住所又は居所原語表記】Nirmal Building,9th Floor,Nariman Point,Mumbai 400021,Maharashtra,India.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジャイスバル、ディブヤンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ギギエ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーゼ、アビク
(72)【発明者】
【氏名】チャクラウァルティ、タパス
(72)【発明者】
【氏名】ミスラ、アルチャン
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-097472(JP,A)
【文献】特表2018-507008(JP,A)
【文献】特開2018-005536(JP,A)
【文献】特開2016-127348(JP,A)
【文献】特開2012-150633(JP,A)
【文献】特開2005-078635(JP,A)
【文献】国際公開第2017/067937(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/083237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A61B 5/11
G06F 3/01
G06K 7/10
G08B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動認識及び行動分析のためのプロセッサ実装方法であって、該方法は:
低電力モードで動作する無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)
を読み取るRFIDリーダを使用する1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、少なくとも1つの一次オブジェクト
と関連付けられた少なくとも1個の電池不要な一次センサから受信されるセンサデータを、途切れなく感知するステップであって、前記少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:activities of daily living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須である、感知ステップ;
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、前記少なくとも1つの一次オブジェクト
に関連付けられた前記少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信された前記センサデータにおける変化に基づいて、前記一次活動を開始するための被検者の移動性を検出するステップであって、前記センサデータにおける変化は、前記少なくとも1
つの一次オブジェクトとの前記被検者の近接を示す、検出ステップ;
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、前記RFIDリーダを、前記一次活動(306)のための被検者の移動性を検出した際に、前記低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガするステップであって、前記高電力モードの前記RFIDリーダは、RFデータを:
前記被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグであって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び
前記少なくとも1つの一次オブジェクト
の付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型RFIDタグであって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、
前記複数のADL中のADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に前記被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグ
から受信する、トリガステップ;
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、複数のウィンドウ間隔に亘り前記少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグから受信された前記RFデータを、各ウィンドウ間隔に対して、前記被検者の前記一次活動を、前記複数のADL
中のADLにタグ付けするために、分析するステップ;
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、前記1つ又は複数の二次オブジェクト及び前記タグ付けされた一次活動(310)に対応する前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の相互作用を使用して、前記被検者によって実行された前記1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り
注目する前記複数のパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析するステップ;及び
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、各ウィンドウ間隔の前記タグ付けされた一次活動、及び各ウィンドウ間隔に対して前記検出された1つ又は複数の二次活動における前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の前記相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各前記ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定するステップであって、前記事前に定義される評価基準は、
前記複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定される、決定ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、前記少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信された前記センサデータにおける前記変化が、前記被検者が、前記少なくとも1つの一次オブジェクト(314)と近接していないことを示すとき、前記RFIDリーダを、元の前記低電力モードに切換えるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
より長い時間間隔(316)に亘り前記ADLを実行する際の前記被検者の所作を決定するために、複数のウィンドウ間隔を含む事前に定義された期間に亘り、前記被検者によって装着された前記少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ及び複数の二次オブジェクトにタグ付けされた前記複数のパッシブ型RFIDタグから前記受信されたRFデータを分析することで、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、エピソード分析を実行するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、対応するウィンドウ間隔に対して前記ADLを実行中に異常の存在を検出した際に、通報を生成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
命令を記憶するメモリ(202);
1つ又は複数の入力/出力(I/O)インタフェース(206);及び
前記1つ又は複数のI/Oインタフェース(206)を介して前記メモリ(202)に結合された1つ又は複数のハードウェアプロセッサ(204)であって、前記命令によって:
低電力モードで動作する無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)
を読み取るRFIDリーダ(104)を介して、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサ(106)から受信されるセンサデータを、途切れなく感知し、前記少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:activities of daily living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須であるように;
前記少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた前記少なくとも1個の電池不要の一次センサ(106)から受信された前記センサデータにおける変化に基づいて、前記一次活動を開始するための被検者の移動性を検出し、前記センサデータにおける変化は、前記少なくとも1
つの一次オブジェクトとの前記被検者の近接を示すように;
前記RFIDリーダ(104)を、前記一次活動のための被検者の移動性を検出した際に、前記低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガし、前記高電力モードの前記RFIDリーダは、RFデータを:
前記被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ(108)であって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び
前記少なくとも1
つの一次オブジェクト
の付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型RFIDタグ(110)であって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、
前記複数のADL中のADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に前記被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから、受信するように;
各ウィンドウ間隔に対して、前記被検者の前記一次活動を、前記複数のADL中のADLにタグ付けするために、複数のウィンドウ間隔に亘り前記少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ(108)から受信された前記RFデータを分析するように;
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、前記1つ又は複数の二次オブジェクト及び前記タグ付けされた一次活動に対応する前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の相互作用を使用して、前記被検者によって実行された前記1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り、
注目する前記複数のパッシブ型RFIDタグ(110)から受信された前記RFデータを分析するように;及び
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサを介して、各ウィンドウ間隔の前記タグ付けされた一次活動及び各ウィンドウ間隔に対して前記検出された1つ又は複数の二次活動における前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の前記相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各前記ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定し、前記事前に定義される評価基準は、
前記複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定されるように、構成される、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ
を含む、システム(102)。
【請求項6】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサ(204)は、前記少なくとも1個の電池不要の一次センサ(106)から受信された前記センサデータにおける前記変化が、前記被検者が、前記少なくとも1つの一次オブジェクト(314)と近接していないことを示すとき、前記RFIDリーダを、元の前記低電力モードに切換えるように、更に構成される、請求項5に記載のシステム(102)。
【請求項7】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサ(204)は、より長い時間間隔に亘り前記ADLを実行する際の前記被検者の所作を決定するために、複数のウィンドウ間隔を含む事前に定義された期間に亘り、前記受信されたRFデータを分析することによって、エピソード分析を実行するように、更に構成される、請求項5に記載のシステム(102)。
【請求項8】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサ(204)は、対応するウィンドウ間隔に対して前記ADLを実行中に異常の存在を検出した際に、通報を生成するように更に構成される、請求項5に記載のシステム(102)。
【請求項9】
非一時的なコンピュータ可読媒体であり、ハードウェアプロセッサによって実行される際に、該ハードウェアプロセッサに:
低電力モードで動作する無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)
を読み取るRFIDリーダを使用して、少なくとも1つの一次オブジェクトと関連付けられた少なくとも1個の電池不要な一次センサから受信されるセンサデータを、途切れなく感知し、前記少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:activities of daily living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須であること;
前記少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた前記少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信された前記センサデータにおける変化に基づいて、前記一次活動を開始するための被検者の移動性を検出し、前記センサデータにおける変化は、前記少なくとも1
つの一次オブジェクトとの前記被検者の近接を示すこと;
前記RFIDリーダを、前記一次活動のための被検者の移動性を検出した際に、前記低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガし、前記高電力モードの前記RFIDリーダは、RFデータを:
前記被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグであって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び
前記少なくとも1
つの一次オブジェクト
の付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型RFIDタグであって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、
前記複数のADL中のADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に前記被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから、
受信すること;
複数のウィンドウ間隔に亘り前記少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグから受信された前記RFデータを、各ウィンドウ間隔に対して、前記被検者の前記一次活動を、前記複数のADL中のADLにタグ付けするために、分析すること;
前記1つ又は複数の二次オブジェクト及び前記タグ付けされた一次活動に対応する前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の相互作用を使用して、前記被検者によって実行された前記1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り、
注目する前記複数のパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析すること;及び
各ウィンドウ間隔の前記タグ付けされた一次活動及び各ウィンドウ間隔に対して前記検出された1つ又は複数の二次活動における前記1つ又は複数の二次オブジェクトとの前記被検者の前記相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各前記ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定し、前記事前に定義される評価基準は、
前記複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定されること
を含む動作を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、前記少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信された前記センサデータにおける前記変化が、前記被検者が、前記少なくとも1つの一次オブジェクトと近接していないことを示すとき、前記RFIDリーダを、元の前記低電力モードに切換えることを更に含む、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
より長い時間間隔(316)に亘り前記ADLを実行する際の前記被検者の所作を決定するために、複数のウィンドウ間隔を含む事前に定義された期間に亘り、前記被検者によって装着された前記少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ及び複数の二次オブジェクトにタグ付けされた前記複数のパッシブ型RFIDタグからの前記受信されたRFデータを分析することで、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、エピソード分析を実行することを更に含む、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって、対応するウィンドウ間隔に対して前記ADLを実行中に異常の存在を検出した際に、通報を生成することを更に含む、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における開示は、概して、活動モニタリング、特に、エネルギ効率の良い活動認識と行動分析のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(優先権の主張)
本願は、2018年6月8日付で出願された、インド国特許仮出願第201821021608号から優先権を主張する。前述した出願の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
活動、典型的には、スマートホーム又はオフィス環境における日常生活の活動(ADL:activities of daily living)の認識は、2つの異なるパラダイムを利用する傾向がある。ウェアラブル感知アプローチでは、典型的には、スマートウォッチやスマートグラス等のウェアラブルコンピューティング装置に埋め込まれたセンサを利用して、きめ細かな、個人特有の運動や身振りの活動を捕捉する。しかしながら、エネルギは、連続的感知にとって依然として重要な課題のままである:低容量電池では、ウェアラブル装置は、頻繁な充電を必要とする。対照的に、食器棚、家電製品や事務用設備等の、日常的な「スマートオブジェクト」にセンサを設置することで、かかるオブジェクトとの人間の相互作用についての間接的な観察を介して、ADL検出を支援するが、複数の居住者が居る環境では、個人特有の洞察を提供できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、従来のシステムで本発明者らによって認識された1つ又は複数の上記技術的課題に対する解決方法として、技術改良を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、一実施形態では、活動認識と行動分析のための方法が提供される。該方法は、低電力モードで動作する無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)リーダを使用して、少なくとも1つの一次オブジェクトと関連付けられた少なくとも1個の電池不要な一次センサから受信されるセンサデータを、途切れなく感知するステップであって、少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:activities of daily living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須である、感知ステップを含む。該方法は、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信されたセンサデータにおける変化に基づいて、一次活動を開始するための被検者の移動性を検出するステップであって、センサデータにおける変化は、少なくとも1つの一次オブジェクトとの被検者の近接を示す、検出ステップを更に含む。更に、該方法は、RFIDリーダを、一次活動のための被検者の移動性を検出した際に、低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガするステップであって、高電力モードのRFIDリーダは、RFデータを:被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグであって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び少なくとも1つの一次オブジェクトの付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型RFIDタグであって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、複数のADL中各ADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから受信する、トリガステップを含む。更にまた、該方法は、複数のウィンドウ間隔に亘り少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグから受信されたRFデータを、各ウィンドウ間隔に対して、被検者の一次活動を、複数のADL中のADLにタグ付けするために、分析するステップを含む。その後、該方法は、1つ又は複数の二次オブジェクト及びタグ付けされた一次活動に対応する1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用を使用して、被検者によって実行された1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り複数の注目するパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析するステップを含む。更にまた、該方法は、各ウィンドウ間隔のタグ付けされた一次活動、及び各ウィンドウ間隔に対して検出された1つ又は複数の二次活動における1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定するステップであって、事前に定義される評価基準は、複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定される、決定ステップを含む。
【0006】
別の態様では、活動認識及び行動分析のためのシステムが提供される。該システムは、命令を記憶するメモリ;1つ又は複数の入力/出力(I/O)インタフェース;及び1つ又は複数のI/Oインタフェースを介してメモリに結合された1つ又は複数のハードウェアプロセッサであって、命令によって:低電力モードで動作するRFIDリーダを使用して、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信されるセンサデータを、途切れなく感知し、少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:Activities of Daily Living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須であるように構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信されたセンサデータにおける変化に基づいて、一次活動を開始するための被検者の移動性を検出し、センサデータにおける変化は、少なくとも1つの一次オブジェクトとの被検者の近接を示すように更に構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、RFIDリーダを、一次活動のための被検者の移動性を検出した際に、低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガし、高電力モードのRFIDリーダは、RFデータを:被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグであって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び少なくとも1つの一次オブジェクトの付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型RFIDタグであって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、複数のADL中各ADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから、受信するように、更に構成される。更にまた、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、各ウィンドウ間隔に対して、被検者の一次活動を、複数のADL中のADLにタグ付けするために、複数のウィンドウ間隔に亘り少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグから受信されたRFデータを分析するように、更に構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の二次オブジェクト及びタグ付けされた一次活動に対応する1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用を使用して、被検者によって実行された1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り、複数の注目するパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析するように更に構成される。更にまた、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、各ウィンドウ間隔のタグ付けされた一次活動及び各ウィンドウ間隔に対して検出された1つ又は複数の二次活動における1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定し、事前に定義される評価基準は、複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定されるように、構成される。
【0007】
更に別の態様では、1つ又は複数のハードウェアプロセッサによって実行されると、活動認識及び行動分析のための方法を提供させる、1つ又は複数の命令を含む、1つ又は複数の非一時的な機械可読な情報記憶媒体が提供される。該方法は、低電力モードで動作するRFIDリーダを使用して、少なくとも1つの一次オブジェクトと関連付けられた少なくとも1個の電池不要な一次センサから受信されるセンサデータを、途切れなく感知するステップであって、少なくとも1つの一次オブジェクトの使用は、複数の日常生活の活動(ADL:Activities of Daily Living)中のADLと関連付けられた一次活動を開始するのに必須である、感知ステップを含む。該方法は、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサから受信されたセンサデータにおける変化に基づいて、一次活動を開始するための被検者の移動性を検出するステップであって、センサデータにおける変化は、少なくとも1つの一次オブジェクトとの被検者の近接を示す、検出ステップを更に含む。更に、該方法は、RFIDリーダを、一次活動のための被検者の移動性を検出した際に、低電力モードから高電力モードに切換えるようにトリガするステップであって、高電力モードのRFIDリーダは、RFデータを:被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグであって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び少なくとも1つの一次オブジェクトの付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた、複数のパッシブ型二次RFIDタグであって、異常のない状態で各ADLを実行するのに、複数のADL中各ADLに関連付けられた1つ又は複数の二次活動を実行する間に被検者によって使用される必要がある、複数の二次オブジェクトからの1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから受信する、トリガステップを含む。更にまた、該方法は、複数のウィンドウ間隔に亘り少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグから受信されたRFデータを、各ウィンドウ間隔に対して、被検者の一次活動を、複数のADL中のADLにタグ付けするために、分析するステップを含む。その後、該方法は、1つ又は複数の二次オブジェクト及びタグ付けされた一次活動に対応する1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用を使用して、被検者によって実行された1つ又は複数の二次活動を検出するために、各ウィンドウ間隔に亘り複数の注目するパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析するステップを含む。更にまた、該方法は、各ウィンドウ間隔のタグ付けされた一次活動、及び各ウィンドウ間隔に対して検出された1つ又は複数の二次活動における1つ又は複数の二次オブジェクトとの被検者の相互作用が、事前に定義された一次オブジェクト及び二次オブジェクトの使用評価基準に対応するならば、各ウィンドウ間隔において異常が存在すると決定するステップであって、事前に定義される評価基準は、複数のADL中のADLの予想された実行を確認するために設定される、決定ステップを含む。
【0008】
上述の一般的な記載と以下の詳細な記載の両方共、例示及び説明だけを目的としており、特許請求の範囲に記載されるようには、本発明を制限しないと理解されるべきである。
【0009】
本開示に組込まれ、本開示の一部を構成する添付図は、例示的実施形態を解説し、明細書と共に、開示された原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態による、エネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のためのアーキテクチャの例示的な概観を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、エネルギ効率が良い活動認識及び行動分析を提供する
図1に表されたシステムの機能ブロック図である。
【
図3A】本開示の幾つかの実施形態による、エネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のための方法を示すフロー図である。
【
図3B】本開示の幾つかの実施形態による、エネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のための方法を示すフロー図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態による、
図1のシステムによってモニタリングされた被検者によって実行された様々な日常生活の活動(ADL)のグラフ表示を示す。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態による、
図1のシステムに対する実験的な設定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的実施形態は、添付図を参照して記載される。図面では、参照番号の最も左側の桁(複数可)は、参照番号が最初に出現した図を特定している。便宜上、同じ参照番号は、同じ又は同様な部品を指すために、全図面を通して使用される。開示された原理の実施例及び特徴が本明細書に記載されるが、開示された実施形態の範囲から逸脱しない範囲で、変形、適合、及び他の実装が可能である。以下の詳細な記載は、例示のみと見なされると共に、以下のクレームによって真の範囲が示されるものとする。
【0012】
本明細書における実施形態は、エネルギ効率の良い活動認識と行動分析のための方法及びシステムを提供する。開示されるアーキテクチャは、日常生活の活動(ADL)中にモニタリングされた被検者によって実行された身体活動に関して、安価で、電池不要で感知するハイブリッドモードを利用する。この感知は、スマートスペース(家又はオフィス等)で個人の活動を認識するために、オブジェクトとの相互作用感知を、人特有のウェアラブル感知と組合せる。開示された方法及びシステムは、各個人のエピソードに亘り、ユーザ-アイテム相互作用の長期的観察を使用する確率論的アプローチを定量化して、被検者、或いはユーザとも呼ぶ、の異常行動を演算する。開示されたアプローチでは、異常は、ADL(例えば、食べる)の有無によってだけではなく、一次活動と1つ又は複数の二次活動との組合せとしてADLを分析することによっても定義される。従って、食べる等、例示のADLについて、本方法では、被検者が、注目するADLを開始したことを示す椅子に座るという一次活動をモニタリングする。しかしながら、本方法は、1つ又は複数の二次活動が実行されるか否かを更にモニタリングする。例えば、食事中にグラスの使用に関係する二次活動をモニタリングすることが、実行されると予想される。典型的には、ユーザが食事中、複数回自分のグラスと相互作用したか否かを、言う。これにより、ADL中に被検者の所作測定基準(performance metric)になったものを特定可能になる。こうした方法は、オブジェクトに基づく(object oriented)ADLを単に検出する以上のモニタリングを提供する。本方法の用途を数例挙げるだけでも、本システムによって特定されるこうしたきめ細かな異常により、例えば、高齢ユーザの認知症のような健康状態における、認識機能障害の発症又は進行を一層良く定量化できるようになる。
【0013】
次に、図面、特に
図1~
図5を参照すると、全図面を通して一貫して、同様な参照文字は、対応する特徴を指し、好適な実施形態が示されており、これらの実施形態については、以下の例示的なシステム及び/又は方法に関連して記載される。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による、エネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のためのアーキテクチャ100の例示的な概観を示す。アーキテクチャ100は、様々な日常生活の活動(ADL)がモニタリングされる必要がある、観察下にある被検者112に対するエネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のシステム112を含む。複数のADLからの各活動が実行される様子は、ADLの一次活動に関係する1つ又は複数の一次オブジェクト、及び同じADLに関連付けられる1つ又は複数の二次活動に関連付けられる1つ又は複数の二次オブジェクト(環境オブジェクトとも呼ばれる)に関して、システム102ではっきりと定義される。
【0015】
アーキテクチャ100で表されるように、ハイブリッド感知機構は、複数の種類のセンサ及び該センサからのデータを読取るために無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)リーダ104を含む。
a)1種類のセンサは、被検者112によって装着される電池不要のウェアラブルタグ108である。これを、例えば、RFIDリーダの高出力動作を必要とする加速度計タグとすることができる。電池不要のウェアラブルタグを使用することで、再充電のために定期的に取外す必要なく、低コストで、個人特有の感知(かかるタグの費用は、現在、10~12ドルで、ウェアラブルスマートウォッチより二桁以上低い)が可能になる。
b)1つ又は複数の一次オブジェクト(例えば、椅子)に取着された1個又は複数の一次センサ(例えば、電池不要の一次センサ106)。
c)複数の二次オブジェクト(例えば、グラス、本、及び同様のもの)に取着された複数の二次パッシブ型RFIDタグ。
【0016】
一実施形態では、被検者112は、ADL、或いは活動と呼ばれる、に含まれる動作の複雑さに基づいて、1個又は複数の電池不要のウェアラブルタグを装着するように依頼されてもよい。更に、
図1に表されるように、一次オブジェクト106(例えば、本明細書では、椅子)は、被検者112によって使用されるべき(必須の)オブジェクトを指し、事前に定義されたADL中のADLについて予想される一次活動を開始し、実行する。ADLを実行中に、被検者112をモニタリングし、ADLが異常ありの状態で又は異常なしの状態で実行されているか否かを決定するために、システム102は、一次活動の対応する1つ又は複数の二次活動において、被検者112による1つ又は複数の二次オブジェクト110の使い方を分析すると共に、一次活動が実行されたかを認識するように構成される。
【0017】
アーキテクチャ100で表されたように、モニタリングされた被検者112の日常生活の活動(ADL)等の活動及び行動を決定するために、システム102は、モニタリング最中の被検者112の環境を、被検者が活動を開始し、実行する間の被検者の環境における一次オブジェクト及び二次オブジェクトの助けを借りて、特定する。被検者112は、電池不要なウェアラブルタグ108、典型的には、被検者の動きに対応する信号又はデータを提供できるRFID加速度計を装着する。被検者によって実行される活動をモニタリングし、記録するために、電池不要のウェアラブルタグ108からのデータは、RFIDリーダ104を備えるアーキテクチャ100の感知要素によって読取られる。電池不要なウェアラブルタグについては、内蔵型3軸加速度計付きパッシブ型RFIDタグ、例えばFarsens Kineo(商標)が使用できる。
【0018】
RFIDリーダは、通常、固定したハードウェア装置であり、RF波を使用して、RFIDタグを駆動し、要求されるRFデータを、適用範囲内にある様々なRFセンサから収集する。例示のRFIDリーダは、ThinkMagic(商標)、Astra EX(商標)及び同様のものを含む。一般に、RFIDリーダは、周囲のRFIDタグからデータを読取るために、高電力モードで動作する必要があり、その結果、途切れなくモニタリングするのに、RFIDリーダ104の電力消費量は、RFIDリーダが高電力モードで絶え間なく動作しなければならないために、高くなることが予想され、RFIDリーダ104の電池を消耗し、途切れないモニタリングを、実質的に、中断させる。これは、ADLをモニタリングする既存のシステムが直面する1つの大きなハードルである。しかしながら、本明細書で開示されたシステム102では、RFIDリーダ104は、アーキテクチャ100の環境内の場所に固定されてもよく、システム102によって、通常は、低電力モードで動作するように設定される。低電力モードでも、RFIDリーダ104は、一次オブジェクト(椅子)に関連付けられた一次センサ106からのデータを読取ることができる。従って、システム102は、イベントが検出されない限り、RFIDリーダ104を高電力モードに設定しない。例えば、イベントは、被検者112によるADLの開始を示す一次活動の検出としてもよい。イベントの検出は、RFIDパッシブ型外部センサタグである、電池不要の一次センサ106を通して感知される。例えば、アーキテクチャ100は、椅子の下にある圧力(圧電)センサを利用して、被検者112が該椅子に座る時を特定するのを助ける。この外部圧力センサは、パッシブ型RFIDタグ(例えば、SL900Aパッシブ型RFIDタグ)に接続され、該タグは、低電力モードでRFIDリーダ104によって読取られることができる。外部圧力センサとRFIDタグとの組立体は、電池不要の一次センサ106と呼ばれる。イベントの検出時に、システム102は、RFIDリーダを高電力モードにトリガするように構成されており、そうすると、RFIDリーダは、電池不要のウェアラブルセンサ108及び/又は複数の二次オブジェクト110に取着された複数のパッシブ型RFIDタグ110等の、周囲にあるRFIDタグからRFデータを読取りできる。
【0019】
一次センサは、当該環境において1つ又は複数の一次オブジェクトにタグ付けされた電池不要の力又は圧力センサとすることができる。一次オブジェクトは、一次活動として分類される活動を実行するのに、被検者112によって使用されるのが必要である又は義務であるオブジェクトであり、一次活動は、更に1つ又は複数の二次活動に分類される。例えば、一次オブジェクトは、一次活動の「座る」に関連付けられる椅子としてもよい。一次活動は、実行されると、RFIDリーダ104によって、低電力モードで、該RFIDリーダ104のRF範囲内に存在する、環境にある1個又は複数の一次センサ108から途切れなくスキャンされたデータを読取ることによって、検出できる。
【0020】
しかしながら、一次活動の「座る」は、二次活動の「飲む」又は「読書する」又は「両方」を更に含むことがある。その結果、二次活動は、カップ、本及び同様のもの等の環境オブジェクト(EO:environmental object)である、1つ又は複数の二次オブジェクト110を使用して、被検者によって関連付けられる、又は実行される。各環境オブジェクトは、パッシブ型RFIDタグ、或いは、標準的なパッシブ型RFIDタグであるオブジェクトタグとも呼ばれる、を使用してタグ付けされる。開示されたシステム102は、一次センサ106によって示された一次活動検出を、イベントとして利用して、二次活動のモニタリングをトリガし、RFIDリーダ104の高電力モードをトリガする。その後、二次活動のモニタリングが開始する。更に、二次活動のモニタリングは、被検者112の身振りの活動表示を提供する二次オブジェクトにタグ付けされたパッシブ型RFIDタグ110の読取りを通して行う。RFIDリーダ104の高電力モードで、(a)被検者の環境にある二次オブジェクトに関連付けられた複数のパッシブ型RFIDタグ110から、RFデータを収集する、及び(b)被検者112によって装着された電池不要のウェアラブル108からRFデータを収集する。次に、システム102は、RFIDリーダ104によって、二次オブジェクトのRFIDパッシブ型タグ110及び電池不要のウェアラブルセンサ108から収集されたRFデータの分析を実行して、被検者112の特定の身振りによる活動(一次活動及び1つ又は複数の二次活動を含むADL)を特定する。更に、システム102は、ウィンドウ分析(window analysis)を実行して、観察のウィンドウ間隔毎に、被検者112の現在の活動を記録する。システム102は、被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ108及び複数の二次オブジェクトにタグ付けされたパッシブ型RFIDタグ110から受信したRFデータを分析することによって、エピソード分析を更に実行する。被検者112によって示される異常行動を検出するために、数日又は数カ月といったより長い期間に亘り記録された活動に対して。ウィンドウ分析及びエピソード分析について、
図3A及び
図3Bのフロー図と併せて説明する。
【0021】
図2は、本開示の実施形態による、エネルギ効率が良い活動認識及び行動分析を提供する
図1に表されたシステムの機能ブロック図である。
【0022】
一実施形態では、システム102は、プロセッサ204、入力/出力(I/O)インタフェース(複数可)206とも呼ばれる通信インタフェース装置(複数可)、及び1つ又は複数の、プロセッサ204とも呼ばれる、ハードウェアプロセッサ(複数可)204に動作可能に結合される1つ又は複数のデータ記憶装置又はメモリ202を含む。一実施形態では、ハードウェアプロセッサは、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央演算処理装置、状態機械、論理回路、及び/又は、動作命令に基づいて信号を操作する任意の装置として、実装できる。他の能力の中では、プロセッサ(複数可)は、メモリに保存されたコンピュータ可読な命令をフェッチし、実行するように構成される。一実施形態では、システム102は、ラップトップコンピュータ、ノート型パソコン、携帯端末、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、サーバ、ネットワーククラウド及び同様のもの等、様々なコンピューティングシステムで実装できる。
【0023】
I/Oインタフェース装置(複数可)206は、例えば、ウェブインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース、及び同様のものといった様々なソフトウェア及びハードウェアインタフェースを含むことができ、例えば、LAN、ケーブル等の有線ネットワーク、及びWLAN、セルラ又は衛星等の無線ネットワークを含む、多種多様のネットワークN/W及びプロトコルタイプ内で、複数の通信を促進できる。一実施形態では、I/Oインタフェース装置(複数可)は、多数の装置同士を接続する又は多数の装置を別のサーバに接続するための1つ又は複数のポートを含むことができる。I/Oインタフェース206は、(a)少なくとも1つの一次オブジェクトと関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサ106から、センサデータ、(b)被検者112によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ108から、RFデータ、及び(c)RFIDリーダ104を介して少なくとも1つの一次オブジェクトの付近に置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた複数のパッシブ型RFIDタグ110から、RFデータを受信するように構成される。
【0024】
メモリ202は、従来技術で既知の任意のコンピュータ可読な媒体を含んでもよく、該媒体は、例えば、スタティックRAM(SRAM)及びダイナミックRAM(DRAM)等の揮発性メモリ、及び/又は、読出し専用メモリ(ROM:read only memory)や、消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク、及び磁気テープ等の非揮発性メモリを含む。一実施形態では、システム202は、活動認識器(
図2では図示せず)を含んで、被検者112によって実行された活動(ADL)を認識してもよい。また、メモリ202は、オブジェクトスキャナ(図示せず)を更に含むウィンドウ分析器(図示せず)を含み、観察のウィンドウ又はウィンドウ間隔に亘り、ユーザの現在の活動(短期間の行動)を提供して、ウィンドウ分析を実行してもよい。また、メモリ202は、エピソード分析器(図示せず)を含んで、数日間又は一カ月に及ぶ事前に定義されたウィンドウ間隔に亘る長期の行動を特定してもよい。更に、メモリ202は、事前に定義されたADLを記憶してもよいデータベース208を含む。メモリ202は、更に、専門家によって分析し、ショートメッセージサービス(SMS)で被検者の付添者への通報を生成するための、ウィンドウ分析器の結果及びエピソード分析器の結果を、記憶してもよい。
【0025】
一実施形態では、データベース208は、システム100の外部(図示せず)とし、I/Oインタフェース106を通してアクセスされてもよい。メモリ202は、更に、本開示のシステム100及び方法のプロセッサ204によって実行される各ステップの入力(複数可)/出力(複数可)に関する情報を含んでもよい。
【0026】
図3A及び
図3Bは、本開示の幾つかの実施形態による、エネルギ効率の良い活動認識及び行動分析のための方法300を示すフロー図である。
【0027】
一実施形態では、システム102は、プロセッサ204と動作可能に結合された1つ又は複数のデータ記憶装置又はメモリ202を含み、プロセッサ204によって方法300のステップを実行するための命令を記憶するように構成される。次に、本開示の方法300のステップについて、
図2で表されたシステム102の構成要素又はブロック、及び
図3で表されたフロー図を参照して、説明される。プロセスステップ、方法ステップ、技術等は、順番に記載されてもよいが、かかるプロセス、方法及び技術は、別の順序(alternate order)で作動するように構成されてもよい。つまり、記載される可能性があるステップのあらゆる順番又は順序は、必ずしも、その順序でステップが実行される必要性を示しているわけではない。本明細書に記載されたプロセスのステップは、実用的に如何なる順序で実行されてもよい。更に、一部のステップは、同時に実行されてもよい。
【0028】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ302では、プロセッサ204は、低電力モードで動作するRFIDリーダ104を介して、少なくとも1つの一次オブジェクトに関連付けられる少なくとも1個の電池不要の一次センサ106から受信されるセンサデータを、途切れなく感知するように構成される。
図1で言及されたように、少なくとも1つの一次オブジェクト106を使用することは、複数の日常生活の活動(ADL)からのADLと関連付けられる一次活動を開始するのに必須である。
【0029】
方法300のステップを参照すると、ステップ304では、プロセッサ204は、少なくとも1つの一次オブジェクトと関連付けられた少なくとも1個の電池不要の一次センサ106から受信されたセンサデータにおける変化に基づいて、一次活動の開始と関連付けられた被検者112の移動性を検出するように構成される。センサデータにおける変化は、被検者の、少なくとも1つの一次オブジェクトとの近接を示す。
【0030】
方法300のステップを参照すると、ステップ306では、プロセッサ204は、一次活動のための被検者112の移動性を検出した際に、低電力モードから高電力モードに切換えるように、RFIDリーダ104をトリガするよう構成される。高電力モードのRFIDリーダ104は、RFデータを:
(a)被検者によって装着された少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ108であって、RF駆動のパッシブ型加速度計を含む、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ;及び
(b)少なくとも1つの一次オブジェクトに近接して置かれた複数の二次オブジェクトにタグ付けされた複数のパッシブ型RFIDタグであって、異常のない状態で、複数のADL中の各ADLを実行する間に被検者によって使用される必要がある1つ又は複数の二次オブジェクトは、事前に定義される、複数のパッシブ型RFIDタグから、受信する。
【0031】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ308では、活動認識器を実装するプロセッサ204は、被検者の一次活動を、各ウィンドウ間隔毎に、複数のADL中の1つの活動にタグ付けするために、複数のウィンドウ間隔に亘り、少なくとも1個の電池不要のウェアラブルタグ108から受信されたRFデータを分析するように構成される。ステップ308に記載された機能は、活動認識器を使用して実装される。以下の分析フレームワークは、活動認識器の活動認識プロセスを更に説明する。
【0032】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ310では、ウィンドウ分析器及びオブジェクトスキャナを実装するプロセッサ204は、各ウィンドウ間隔に亘り複数の注目するパッシブ型RFIDタグから受信されたRFデータを分析して、被検者によって実行された複数の二次活動を、複数の二次オブジェクト及び一次活動中の被検者の二次オブジェクトとの相互作用に基づいて、検出するように構成される。ステップ310に記載された機能は、オブジェクトスキャナも含むウィンドウ分析器(図示せず)を使用して実装される。以下の一般的な分析フレームワークは、ウィンドウ分析プロセスについて更に説明する。
【0033】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ312では、プロセッサ204は、各ウィンドウ間隔のタグ付けされた一次活動、及び各ウィンドウ間隔毎の複数の二次活動において検出された二次オブジェクトとの被検者112の相互作用が、事前に定義された評価基準セットに対応するならば、各ウィンドウ間隔における異常の存在を決定するように構成される。事前に定義される評価基準は、例えば、以下とすることができる:食事(ADL)のために、椅子(一次オブジェクト)は、使用されるのが必須であり、少なくとも1回の、第1二次オブジェクト(グラス)の使用、及び少なくとも10回の第2二次オブジェクト(スプーン)の使用と共に、一次活動(座る)が開始したことを示す。二次オブジェクトの使用に関係する被検者の動作は、ADL(食事)と関連付けられる二次活動である。この対応付けは、複数のADL中のADLに関する予想された実行を確認する。
【0034】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ314では、プロセッサ204は、センサデータの変化が、被検者が少なくとも1つの一次オブジェクトと近接していないことを示すとき、元の低電力モードにRFIDリーダを切換えるように構成される。
【0035】
本開示の一実施形態における、方法300のステップを参照すると、ステップ316では、エピソード分析器を実装するプロセッサ204は、複数のウィンドウ間隔を含む事前に定義された期間に亘り受信されたRFデータを分析して、より長い時間間隔に亘りADLを実行する際の被検者の所作(performance)を決定するように構成される。活動認識器のための分析フレームワークについて、以下で説明される。
【0036】
一実施形態では、方法300は、対応するウィンドウ間隔に対して異常の存在を検出した際に、通報を生成するステップと共に、エピソード分析を、専門家に、更なる分析及び対処(action)のために、通信装置でEメール又はSMSを通して報告するステップを、更に含んでもよい。
【0037】
異常なADLを演算するために一次活動の検出後にシステム102によって実装される一般的な分析フレームワークは、以下の通りである。所定の設定では、Aは、以下のような活動文法(activity grammar)を表すものとする。
【0038】
【0039】
式中、nは、モニタリングされるADLの総数を表す。
【0040】
加速度計タグ(電池不要のウェアラブルセンサ108)で収集されたデータは、バッファリングされて、固定持続時間(即ち、wsで示されたウィンドウ間隔サイズ)に対するデータのウィンドウを取得する。一旦データのウィンドウを取得すると、指数平滑法フィルタを適用して、ノイズ及びアーチファクトを除去し、その後、ユーザの(被検者の)現在の活動を特定する。
【0041】
活動認識(ステップ308):現在の活動を予想するために、平均値、個々の軸の分散、一度に2軸を取る共分散及び相関、及び3軸全ての大きさ等の、統計的特徴のセットが、着信データの各ウィンドウに対して演算される。特徴ベクトルは、まず、二値分類器を使用して、被検者の不動性を特定するために分析される。被検者が移動性として分類されたならば、ランダムフォレスト分類器(監督下で予め訓練される)が使用されて、現在の活動ラベルを予測する。Akは、データのk番目のウィンドウに対する機械学習モデルからの出力活動ラベルを表すものとする。
【0042】
オブジェクトスキャナ(ステップ310):活動認識機能と平行して、オブジェクトスキャナ(ウィンドウ分析機能)は、パッシブ型オブジェクトタグ(パッシブ型RFIDタグ110)からのデータを分析して、環境における異なる二次オブジェクト(二次オブジェクト)の存在、及び該二次オブジェクトとの相互作用を特定する。ウィンドウ分析では、環境は、電池不要のウェアラブルセンサ108と並行して感知される。Xは、かかる二次オブジェクトの集合を表すものとする。
【0043】
【0044】
【0045】
ここで、システム102は、活動AiがオブジェクトXiを使用して実行されると仮定する。更に、全ての活動Aiは、互いに独立しており、活動Aiは、オブジェクトXiの有無にかかわらず実行できる。二次オブジェクトは、場面に存在するかも知れないが、使用されない場合もあり得る。二次オブジェクトの使用をモニタリングするために、システム102は、パッシブ型RFIDタグ110の受信信号強度インジケータ(RSSI:Received Signal Strength Indicator)値における変化を利用する。
図4A、
図4B及び
図4Cに表された受信RSSI値のグラフ表示は、二次オブジェクトが、(a)食べるとき又は(b)タイプ入力するときのように使用されている(運動中又は移動性である)場合に、比較の、オブジェクトが使用されていない場合に(静止)、どのようにRSSI値が変化するかを示している。システム102は、各二次タグから反射信号のRSSIの分散及び標準偏差等の特徴を使用する、二値分類器を利用して、特定の二次オブジェクトが使用されている、又は使用されていないかを特定する。次に、二次オブジェクト使用の出力は、対応するウィンドウ間隔に対する身振りに基づく活動認識と融合される。更に、長期的に、かかる二次オブジェクト使用を追跡し続けることで、人(被検者)の活動を予測するためのメタデータとしての役割を果たせる。例えば、人(被検者)が紅茶を飲むことや、薬を服用する間に水を飲むのに特定のカップを使用するならば、この関係から、システムは、個人的な使用パターンを使用して、当該オブジェクトに対する活動モデルをトリガできる。
【0046】
ウィンドウに関する分析(ステップ312):活動認識フロー及びオブジェクトスキャナからの出力は、次に、現在のウィンドウが異常か否かを検出するために分析される。活動Aiを実行中に、オブジェクトXiが存在しない、又は存在するが使用されていないならば、ウィンドウは、異常であると言える(訓練データで高い裏付けを有する、即ち、ADLの訓練エピソードで盛んに使用された二次オブジェクトのみが、かかる異常を決定するためのものと見なされる)。
【0047】
Xi=0のとき、又はXi=1であり且つオブジェクトスキャナが、オブジェクトXiが使用されていないと断言する場合にのみ、ウィンドウは、異常として注釈付けされる。ZWは、所定のウィンドウに対する異常状態として定義されるものとする。
【0048】
【0049】
ウィンドウ分析器の出力は、ウィンドウの集合及びその異常状態である。Wは、以下のような活動ウィンドウの集合を表すものとする。
【0050】
【0051】
【0052】
式中、kは、ウィンドウの時間指標を表し、Akは、当該時間ウィンドウに割当てられた出力活動ラベルであり、ZWkは、対応する異常状態である。
【0053】
エピソードに関する分析(ステップ316):「W」を入力として、このエピソード分析機能又はモジュールは、異なる活動と対応するエピソード異常(もしあれば)のエピソード発生を演算する。この段階の分析は、長期的(毎日、毎月等の終わり)にオフラインで実行される。活動のエピソードは、Aiが発生する平均持続時間Tiに基づいて演算される。Tは、かかる持続時間値Tiの集合とする。
【0054】
【0055】
Cは、各n回の活動に対する閾値カウントの集合とし、時間Tiにおいて、ラベルAiとして予想されるウィンドウの最低数を表し、それによりシステムは、Aiのエピソード発生として、該集合を検出するようにする。経験的に、この閾値カウントは、活動Aiに対するエピソードの平均持続時間から1つの標準偏差(σi)内の何処かにあるはずだと仮定できる。
【0056】
【0057】
エピソードの演算:活動検出ウィンドウサイズwsに対して、及び所定の活動Ajに対して、Tiは、エピソードの持続時間とする。従って、ウィンドウの総数は、(Ti*60秒)/wsになり、その外で、ciウィンドウがAiとして分類されたならば、活動Aiのエピソードが発生したことになる。エピソードの演算は、後段の処理ブロックで行われる。Eは、1日における全エピソードの集合を表す。
【0058】
【0059】
【0060】
式中、Ejは、所定の日において検出されたj番目のエピソードであり、該エピソードは、その間にエピソードが発生した活動ラベルAiの組(tuple)、及びZEjとするエピソードの異常状態によって、更に表される。
【0061】
エピソード異常の特定:一旦ウィンドウの集合が、エピソードとして特定されると、かかる各エピソードは、エピソード異常(EA:Episode Anomaly)を特定するために分析される。当該エピソードにおける活動Aiのウィンドウの大部分が、ウィンドウ異常として注釈されるならば、当該エピソードは、以下のように、ZEによって示された異常として見なされる。
【0062】
【0063】
推論エンジン:全てのかかるエピソードの集合は、単一のエピソードでも、任意の活動(Ai)に対して検出されるかをチェックするために、毎日の終わりに分析される。エピソード異常が検出されると、特定の確率値(以下に示す)が、今後の分析及び推論目的のために計算され、記憶される。
【0064】
【0065】
【0066】
式中、Pは、タグ付けされたオブジェクトを使用せずに実行されたエピソード(活動Aiに対する)の部分を示す。極めて低い確率値は、人が、自分の活動の大部分を行うのにタグ付けされたオブジェクトを使用したことを示すのに対して、高い値は、かかるADLの正常な行為からの逸脱を示す。他方、P(E)では、普段のADLを実行中に適切なオブジェクトを使用する際の、被検者の規則性に関する全体的な確率測度(probabilistic measure)を求められる。
【0067】
図5は、本開示の幾つかの実施形態による、システム102を含む
図1のアーキテクチャ100のための実験的な設定を示している。注目するテーブル(
図5で示したような)と呼ばれる、使用事例は、リハビリテーションセンタのシナリオであり、重要な毎日の仕事の大部分が実行されるテーブル及び椅子から成る。ここでは、椅子は、着座状況(sitting context)を定義するオブジェクトであり、予想される活動は、A={食べる、タイプ入力する、読む}、即ちn=|A|=3によって求められる活動認識及び行動分析器の活動文法で定義される。訓練された機械学習モデルMは、10秒のウィンドウ(ws)に対して活動認識を実行するのに使用される。タグ付けされたオブジェクト(EO)は、各活動に其々対応する、X={スプーン、ラップトップ、本}を含む。感知システムは、適時的(opportunistically)にトリガされると、該システムのRFIDリーダが、2つの電力モードa)椅子上に置かれた圧力センサタグを読取り、着座状況を感知する低電力(20dBmの)で、及びb)被検者によって其々装着された加速度計タグ(WS)を読取る高電力(30dBmの)で、作動する。システムは、低電力モードで、着座状況をモニタリングし始める。一旦椅子(一次オブジェクト)が占領されると、椅子にあるPOタグから感知され、電力モードは、高に変わると共に、環境が、タグ付けされた二次オブジェクト(或いは、EOタグを有する環境オブジェクト(EO:environmental object)とも呼ばれる)の存在について、スキャンされる。被検者112によって装着された電池不要のウェアラブルタグ108からのリアルタイム加速度計データが、次に、バッファリングされ、分析される。被検者が去ると、RFIDリーダ104は、電池不要のウェアラブルタグ108から加速度計データを読取れない。これを確認するために、健康度チェックが、椅子にある圧力センサ(POタグ)の状態を通して行われた。被検者の不在時、RFIDリーダ104は、低電力モードに切換えられる、そうでなければ、エラー警報が、トリガされる。
【0068】
実験結果:実験は、上記使用事例に対して行われた。全てのデータは、研究室の環境1で収集された。参加者は、ウェアラブルタグを装着し、椅子に座り、各活動、即ち、食べる、タイプ入力する及び読むを5分間ずつ実行するように求められた(
図5に示されたように)。圧力センサが被検者の占領を感知できると直ぐに、加速度計データが、RFIDリーダ(5Hzのサンプリングレート)を使用して感知され、個々の活動に対する異なるファイルとして記録が取られた。データ収集には、20名の健常者が参加した。特徴は、10秒のウィンドウ毎に演算され、訓練モデルを生成するのにランダムフォレスト分類器が使用された。表1は、正解率96%での、10分割交差検証試験の混同行列を示している。
【0069】
【0070】
また、学習モデルは、リアルタイムで、5名の無名の試験被検者が、連続する食べる、タイプ入力する及び読むを伴う3分間の活動(各活動1分間で、立て続けに)を、実行する展開で試験される。各活動を考慮して演算された平均誤差(MAE:mean average error)は、其々、0.2、及び0.17であった。実験中、一活動から別の活動への遷移を伴ったウィンドウは、時折、不正確に分類され、従って、MAE合計の0.12に寄与したことが観察されたことがある。RSSIベースのオブジェクト使用二値分類器は、3オブジェクトを使用して訓練される。RSSIデータは、使用時と非使用時の、異なる状態で、パッシブ型RFIDタグから収集される。10分割交差検出では、ランダムフォレスト分類器を使用して、正解率82%が報告された。
【0071】
システム102は、低価格の電池不要のRFIDタグを利用するオブジェクト追跡フレームワークと共に、電池不要のウェアラブルを提供して、きめ細やかなADL認識を支援し、「物理的な分析法」技術の範囲において新たな設計の選択を提供する。10秒という適度に大きなウィンドウサイズ値を使用することによって、システム102は、高精度で3ADLを区別できる。システム102は、ADLを実行中に、ユーザのマイクロレベルのオブジェクト相互作用を研究するのに使用でき、それにより、経時的に、ユーザの規律正しさ(orderliness)に関する変化をモニタリングする方法を提供する。微視的な人間-オブジェクトの相互作用に基づく、そうした規律正しさ測度は、高齢患者における認識に関する病気(例えば、認知症)の発症又は進行を予測するのに貴重な洞察を提供するかも知れない。
【0072】
本明細書は、全ての当業者が実施形態を作製及び使用できるように、本明細書における主題を記載する。主題の実施形態の範囲は、クレームで規定され、当業者が着想する他の変形例を含んでもよい。かかる他の変形例は、クレームの文言と異ならない同様の要素を有するならば、又はクレームの文言とごく僅かな相違点を有する同等な要素を含むならば、クレームの範囲内にあるものとする。
【0073】
保護の範囲は、かかるプログラム、更にそこにメッセージを有するコンピュータ可読な手段に拡大されると理解されるべきである;かかるコンピュータ可読な記憶手段は、プログラムがサーバ又はモバイル装置又は任意の適当なプログラム可能装置上で走る際に、本方法の1ステップ又は複数のステップを実装するためのプログラム-コード手段を含有する。ハードウェア装置は、サーバ又はパーソナルコンピュータ又は同様なもののような任意の種類のコンピュータ、又はそれらの組合せを含む、プログラムできる任意の種類の装置とすることができる。また、該装置は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、例えばハードウェア手段、或いは、例えば、ASICとFPGA、又は少なくとも1つのマイクロプロセッサと内部にソフトウェア処理構成要素が配置された少なくとも1つのメモリといったハードウェアとソフトウェア手段の組合せとしてもよい。従って、これらの手段は、ハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書に記載された方法の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアに実装し得る。また、装置は、ソフトウェア手段を含んでもよい。或いは、実施形態は、例えば複数のCPUを使用して、異なるハードウェア装置上に実装されてもよい。
【0074】
本明細書中の実施形態は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素を含むことができる。ソフトウェアに実装される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載された様々な構成要素によって実行される機能は、他の構成要素又は他の構成要素の組合せにおいて実装されてもよい。本明細書の目的のために、コンピュータ使用可能な又はコンピュータ可読な媒体は、命令実行システム、機器、若しくは装置によって、又はそれらと接続して使用するプログラムを、含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は移植できる任意の機器とすることができる。
【0075】
解説されたステップは、図示された例示実施形態について説明するために提示されたもので、現在進行中の技術開発が、特定機能が実行される様式を変化させるであろうことは、見込まれるべきである。これらの実施例は、限定ではなく、説明目的で本明細書に提示されている。更に、機能を構築する各ブロックの境界は、記載の便宜上、本明細書では恣意的に規定されている。代替的境界は、それらの指定された機能及び関係が適切に実行される限りにおいて、規定され得る。代替手段(本明細書に記載されたものの、同等物、拡張物、変形物、仕様変更物(deviation)等を含む)は、本明細書に含有される教示に基づいて、関連技術の当業者には明らかであろう。かかる代替手段は、開示された実施形態の範囲内にある。また、単語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」及び「含む(including)」、及び他の同様な形は、意味において同等であり、これらの単語のいずれか1つに続く一項目若しくは複数の項目が、かかる項目又は複数の項目の総記を意味せず、又は列記された項目若しくは複数の項目だけに限定されることを意味しない点で、オープンエンドであると意図される。また、本明細書及び付記されるクレームで使用されるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、その文脈で別段明記していない限り、複数の参照物も含むことにも、注意されねばならない。
【0076】
更に、1つ又は複数のコンピュータ可読な記憶媒体が、本開示に沿った実施形態を実装する際に利用されてもよい。コンピュータ可読な記憶媒体は、プロセッサによって可読な情報又はデータが記憶されてもよいあらゆる種類の物理的なメモリを指す。従って、コンピュータ可読な記憶媒体は、本明細書に記載された実施形態に沿ったステップ又は段階をプロセッサ(複数可)に実行させる命令を含む、1つ又は複数のプロセッサによって実行する命令を記憶してもよい。用語「コンピュータ可読な媒体」は、有形なアイテムを含み、搬送波及び過渡信号を除外する、即ち非一時的なものと理解されるべきである。実施例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、及びあらゆる他の既知の物理的記憶媒体を含む。
【0077】
本開示及び実施例は、例示のみと見なされ、開示された実施形態の真の範囲は、以下のクレームによって示されるものとする。