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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-26
(45)【発行日】2023-11-06
(54)【発明の名称】搬送システム及び無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20231027BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20231027BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231027BHJP
   B65G 43/00 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
B65G47/52 101A
B65G1/00 501C
B65G1/00 511Z
G05D1/02 Y
B65G43/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019169532
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021046285
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】長井 弘明
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-027754(JP,U)
【文献】特開2011-032001(JP,A)
【文献】実開昭56-020916(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 1/00- 1/20
B65G 43/00-43/10
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を搬送する無人搬送車と、前記無人搬送車との間で荷が移載される少なくとも1つのステーションと、を備える搬送システムであって、
前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方は、前記荷の移載時に前記無人搬送車と前記ステーションとの間に架け渡されて前記荷を移動させるための架橋部材を有し、
前記架橋部材は、前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方の平面視における内側に配置された第1の状態と、当該少なくとも一方の平面視における外側に延出した第2の状態とを取り得るように構成され、
前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方は、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する検知手段を有し、
前記検知手段は、前記架橋部材を前記第1の状態と前記第2の状態とに切り替えるサーボモータのエンコーダ出力に基づいて、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する
搬送システム。
【請求項2】
前記架橋部材は、
前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方に、基端部回りに回動可能に取り付けられ、
前記基端部回りの回動に伴って、先端側を上方に向けて起立した前記第1の状態と、先端側を前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方の平面視における外側に配置して倒れた前記第2の状態と、を取り得るように構成されている、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記架橋部材がコンベアである、
請求項1又は請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
荷の搬送と、ステーションとの間での荷の移載とを行う無人搬送車であって、
前記荷の移載時に前記ステーションとの間に架け渡されて前記荷を移動させるための架橋部材を備え、
前記架橋部材は、当該無人搬送車の平面視における内側に配置された第1の状態と、当該無人搬送車の平面視における外側に延出した第2の状態とを取り得るように構成され、
前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する検知手段を備え、
前記検知手段は、前記架橋部材を前記第1の状態と前記第2の状態とに切り替えるサーボモータのエンコーダ出力に基づいて、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する
無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム及び無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等において、荷を無人で搬送する無人搬送車(例えばAGV:Automated Guided Vehicle)の適用が進んでいる。このニーズの高まりに伴い無人搬送車の性能向上が進んでおり、本体重量よりも積載可能重量が大きいものもリリースされてきている。
【0003】
一般に、重い荷を搬送する場合には、無人搬送車が荷の下に潜り込んで持ち上げて移載するリフトアップ方式が採られる。しかし、リフトアップ方式では、無人搬送車が潜り込む動作を行うためのスペースや時間が必要となる。
そのため、図5に示すように、無人搬送車上のコンベア等でそのまま簡便に移載できる方式が望ましい。しかしこの場合には、荷の移載時に、荷の重心が無人搬送車の外側に移動するに伴って無人搬送車本体に大きな転倒モーメントが作用し、無人搬送車が転倒するおそれがある。
【0004】
この点、特許文献1に記載の技術では、無人搬送車側に設けた被係合部(係合孔)に係合する係合部(係合突起)が移載先のステーションに設けられており、これらを係合させることにより無人搬送車の転倒を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-298343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、無人搬送車の被係合部とステーションの係合部とを係合させるために、無人搬送車とステーションの精緻な位置決めが必要となる。そのため、煩雑な無人搬送車の動作制御やそのための時間を要してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷の移載時における無人搬送車の転倒を簡便に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送システムは、荷を搬送する無人搬送車と、前記無人搬送車との間で荷が移載される少なくとも1つのステーションと、を備える搬送システムであって、
前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方は、前記荷の移載時に前記無人搬送車と前記ステーションとの間に架け渡されて前記荷を移動させるための架橋部材を有し、
前記架橋部材は、前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方の平面視における内側に配置された第1の状態と、当該少なくとも一方の平面視における外側に延出した第2の状態とを取り得るように構成され、
前記無人搬送車及び前記ステーションの少なくとも一方は、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する検知手段を有し、
前記検知手段は、前記架橋部材を前記第1の状態と前記第2の状態とに切り替えるサーボモータのエンコーダ出力に基づいて、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する構成とした。
【0009】
本発明に係る無人搬送車は、荷の搬送と、ステーションとの間での荷の移載とを行う無人搬送車であって、
前記荷の移載時に前記ステーションとの間に架け渡されて前記荷を移動させるための架橋部材を備え、
前記架橋部材は、当該無人搬送車の平面視における内側に配置された第1の状態と、当該無人搬送車の平面視における外側に延出した第2の状態とを取り得るように構成され、
前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する検知手段を備え、
前記検知手段は、前記架橋部材を前記第1の状態と前記第2の状態とに切り替えるサーボモータのエンコーダ出力に基づいて、前記架橋部材が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれの状態にあるかを検知する構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷の移載時における無人搬送車の転倒を簡便に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る搬送システムの機能構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る搬送システムが備える(a)無人搬送車を示す図であり、(b)ステーションを示す図である。
図3】無人搬送車からステーションへの荷の移載動作を説明するための図である。
図4】無人搬送車からステーションへの荷の移載動作を説明するための図である。
図5】従来の荷の移載動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[搬送システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る搬送システム1の機能構成を示すブロック図であり、図2(a)、(b)は、搬送システム1が備える無人搬送車10及びステーション30を示す図である。
本実施形態に係る搬送システム1は、例えば倉庫又は工場等で無人で荷を搬送するシステムである。具体的には、図1に示すように、搬送システム1は、複数のステーション30と、複数のステーション30の間で荷を搬送する無人搬送車10と、サーバ装置40とを備える。
【0014】
無人搬送車10は、無人で荷を搬送する装置である。無人搬送車10は、搬送ルートを走行するための構成として、走行モータ12、操舵装置13、制動装置14、走行制御部15及びこれらが組付けられた台車10a(図2参照)を備える。走行制御部15は、例えばマイクロコンピュータであり、走行モータ12及び操舵装置13の駆動制御により台車10aの車輪11の駆動及び操舵を行い、走行ルートに沿って台車10aを走行させる。また、走行制御部15は、制動装置14の駆動又は走行モータ12の回生駆動により、無人搬送車10の制動を行う。走行ルートは、事前に決められたルートであってもよいし、無人搬送車10が自律的に計算して導き出したルートなどであってもよい。走行方式は、自律的に走行ルートを決めて走行するSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)機能を用いたものであってもよいし、磁気テープやGPS(Global Positioning System)を利用したものであってもよい。
【0015】
また、無人搬送車10は、図1及び図2(a)に示すように、ステーション30との間で荷Lを移載するための構成として、荷台コンベア21、在荷センサ22、2つの移載コンベア23、コンベア用モータ24及び移載制御部25を備える。
荷台コンベア21は、台車10a上の略全面に亘って設けられている。この荷台コンベア21は、荷Lが搭載される荷台であるとともに、荷Lを例えば走行の前後方向に移動可能なコンベアである。
在荷センサ22は、例えばレーザレーダ、超音波レーダ又は撮像カメラなどであり、荷台コンベア21上の荷Lの有無を検出する。
【0016】
2つの移載コンベア23は、ステーション30との間での荷Lの移載時に無人搬送車10とステーション30との間に架け渡されて荷を移動させるための架橋部材であり、本実施形態では所定の長さを有するコンベアである。2つの移載コンベア23(23a、23b)は、荷台コンベア21の前端と後端に連結され、各々が荷台コンベア21と同方向に荷Lを移動可能となっている。
各移載コンベア23は、荷台コンベア21との連結部を基端部として、当該基端部回りに回動可能に当該荷台コンベア21と連結されている。そして、各移載コンベア23は、この基端部回りの回動により、先端側を上方に向けて起立した起立状態(図2(a)の実線の状態)と、先端側を台車10aの平面視での外側に配置して倒れた倒伏状態(図2(a)の破線の状態)とを取り得るように構成されている。なお、移載コンベア23の「起立状態」は、先端側が少なくとも基端部よりも上側に位置していればよい。また、移載コンベア23の「倒伏状態」は、先端側が少なくとも台車10aの平面視における外側に位置していればよく、本実施形態では当該移載コンベア23が略水平な状態である。各移載コンベア23には、当該移載コンベア23を基端部回りに回動させる移載用アクチュエータ231が接続されており、この移載用アクチュエータ231の駆動により移載コンベア23が起立状態と倒伏状態とに切り替えられる。また、移載用アクチュエータ231は本実施形態ではサーボモータであり、そのエンコーダ出力により、移載コンベア23が起立状態及び倒伏状態のいずれの状態にあるかを検知できる。また、各移載コンベア23は、移載動作時以外の搬送時等の常態においては起立状態となっている。
【0017】
コンベア用モータ24は、荷台コンベア21及び2つの移載コンベア23の各々に設けられたサーボモータであり、当該荷台コンベア21及び2つの移載コンベア23の各コンベアを駆動する。
移載制御部25は、例えばマイクロコンピュータであり、荷台コンベア21及び2つの移載コンベア23の動作を制御する。具体的に、移載制御部25は、在荷センサ22からの出力やサーバ装置40からの動作指令等に基づいて、各移載用アクチュエータ231を駆動制御して2つの移載コンベア23の状態を切り替えたり、各コンベア用モータ24を駆動制御して荷台コンベア21及び2つの移載コンベア23の各コンベアを動かしたりする。なお、移載制御部25は、走行制御部15と一体的に構成してもよい。
【0018】
また、無人搬送車10は、ステーション30及びサーバ装置40と通信を行う通信部27を備える。通信部27による通信は、ステーション30又はサーバ装置40の通信部33、42と直接行うものであってもよいし、通信ネットワークを介して行うものであってもよい。
【0019】
各ステーション30は、図1及び図2(b)に示すように、搬送コンベア31、在荷センサ32、通信部33及び搬送制御部34を備える。
搬送コンベア31は、ステーション30の固定台30a上に設けられ、載置された荷を所定の方向に搬送する。搬送コンベア31はコンベア用モータ311を有し、当該コンベア用モータ311により駆動される。但し、固定台30aのうち、無人搬送車10が近接する側であって搬送コンベア31の搬送方向手前側の端部は、上面を露出させている。この露出した上面部分は、後述するように、荷Lの移載時に移載コンベア23の先端側を支持する支持部30bとなっている。
在荷センサ32は、例えばレーザレーダ、超音波レーダ又は撮像カメラなどであり、搬送コンベア31上の荷Lの有無を検出する。
通信部33は、無人搬送車10及びサーバ装置40の通信部27、42との間で通信を行う。
搬送制御部34は、ステーション30の各部の動作を中央制御する。具体的に、搬送制御部34は、在荷センサ32の出力等を通信部33から送信したり、通信部33からの信号等に基づいてコンベア用モータ311を駆動制御して搬送コンベア31を動作させたりする。
【0020】
サーバ装置40は、図1に示すように、搬送システム1を管理するコンピュータである。このサーバ装置40は、記憶部41と、通信部42と、制御部43とを備える。
記憶部41には、搬送システム1の各種機能を実現するための各種プログラムやデータが格納されている。
通信部42は、無人搬送車10及びステーション30の通信部27、33との間で通信を行う。
制御部43は、サーバ装置40の各部の動作を中央制御する。具体的に、制御部43は、ユーザ操作や記憶部41内の所定のプログラムに基づいて、無人搬送車10やステーション30に指令を出力したりする。
【0021】
[移載動作]
続いて、無人搬送車10からステーション30に荷Lを移載する移載動作について説明する。
図3及び図4は、この移載動作を説明するための図である。
ここでは、無人搬送車10が、或るステーション30で移載された荷Lを所定の走行ルートに沿って搬送した後に、他のステーション30に移載する場合について説明する。
【0022】
図3(a)に示すように、まず、無人搬送車10の走行制御部15が、当該無人搬送車10を、移載先のステーション30に近接した所定の移載位置に停止させる。この移載位置は、移載先のステーション30に荷Lを移載可能な位置である。但し、移載位置は、無人搬送車10の移載コンベア23を倒伏状態にしたときに、その先端側がステーション30の支持部30bに届く位置であればよい。無人搬送車10が移載位置に到達したことの検知は、無人搬送車10の走行を管理するサーバ装置40からその検知信号を受信することで行ってもよいし、無人搬送車10が自車位置を検出することで行ってもよい。
【0023】
次に、図3(b)に示すように、無人搬送車10の移載制御部25が、移載用アクチュエータ231を駆動制御して、ステーション30側の移載コンベア23aを起立状態から倒伏状態に切り替える。移載制御部25は、サーボモータである移載用アクチュエータ231のエンコーダ出力により、移載コンベア23aが倒伏状態となったことを検知する。これにより、移載コンベア23aの先端側が、ステーション30の固定台30aの支持部30bに支持され、台車10aとステーション30の固定台30aとの間に移載コンベア23aが架け渡される。なお、固定台30aの支持部30bは、移載コンベア23aに掛かる負荷(重量)を支持できればよく、その支持形態は特に限定されない。
【0024】
次に、図4(a)に示すように、無人搬送車10の移載制御部25は、荷台コンベア21及び移載コンベア23aの各コンベア用モータ24を駆動制御し、荷台コンベア21上の荷Lがステーション30に向かうように、これらのコンベアを駆動する。すると、荷台コンベア21上の荷Lは、移載コンベア23a上を搬送され、ステーション30に移載される。
このように、移載時の荷Lは、無人搬送車10とステーション30との間に架け渡された移載コンベア23上を移動する。そのため、荷Lの重量は、その重心位置に応じて、無人搬送車10とステーション30の固定台30aとで分担して支持される。したがって、荷L(の重心)が無人搬送車10の外側へ離れた場合でも、その重量はステーション30の固定台30aに大きく支持され、無人搬送車10に大きな転倒モーメントが作用することはない。これにより、荷Lの移載時における無人搬送車10の転倒が防止される。
【0025】
その後、移載制御部25は、在荷センサ22の出力に基づいて、荷台コンベア21上に荷Lが無いことを検知したら、荷台コンベア21を停止させる。また、移載制御部25は、通信部27を通じて受信したステーション30の在荷センサ32の出力に基づいて、ステーション30の搬送コンベア31上に荷Lが移載されたことを検知したら、移載コンベア23aを停止させる。それから、図4(b)に示すように、移載制御部25は、移載用アクチュエータ231を駆動制御して、移載コンベア23aを倒伏状態から起立状態に切り替える。
こうして、無人搬送車10からステーション30への荷Lの移載が完了する。
【0026】
また、ステーション30から無人搬送車10に荷Lを移載する場合には、上記同様に無人搬送車10とステーション30との間に移載コンベア23を架け渡した状態で、ステーション30から無人搬送車10に向けて当該移載コンベア23及び搬送コンベア31を駆動すればよい。
【0027】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、無人搬送車10とステーション30との間での荷Lの移載時に、これらの間に架け渡された移載コンベア23(架橋部材)により荷Lが移動される。
これにより、荷Lの移載時には、その重量が無人搬送車10とステーション30とで分担して支持される。つまり、荷L(の重心)が無人搬送車10の外側へ離れた場合でも、その重量はステーション30に大きく支持され、無人搬送車10に大きな転倒モーメントが作用することはない。これにより、荷Lの移載時における無人搬送車10の転倒が防止される。
したがって、無人搬送車とステーションを精緻に位置決めして互いを係合させていた従来と異なり、荷Lの移載時における無人搬送車10の転倒を簡便に防止することができる。
【0028】
また本実施形態では、移載コンベア23が、基端部回りの回動に伴って、先端側を上方に向けて起立した起立状態と、先端側を無人搬送車10の平面視における外側に配置して倒れた倒伏状態とを取り得るように構成されている。
そのため、荷Lの移載時には倒伏状態の移載コンベア23を利用するのは勿論のこと、移載時以外の搬送時等には起立状態とした移載コンベア23により、無人搬送車10からの荷Lの落下や荷崩れを防止できる。
【0029】
また本実施形態では、無人搬送車10とステーション30との間に架け渡される架橋部材がコンベア(移載コンベア23)であるので、この架橋部材自体によって荷Lを移載することができる。
【0030】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、架橋部材である移載コンベア23が、基端部回りの回動により起立状態から倒伏状態に切り替えられることで、無人搬送車10とステーション30との間に架け渡されることとした。しかし、移載コンベア23は、無人搬送車10の平面視における内側に配置された第1の状態(上記実施形態では起立状態)と、無人搬送車10の平面視における外側に延出した第2の状態(上記実施形態では倒伏状態)とを取り得るように構成されていればよい。したがって、移載コンベア23は、例えば、荷台コンベア21の幅方向に配置されて前後のスライドにより無人搬送車10から出没する構成であってもよいし、荷台コンベア21よりも下側から出没する構成等であってもよい。
また、移載コンベア23を第1の状態と第2の状態に切り替える構成は、アクチュエータを用いる方式に限定されず、例えば無人搬送車10の移動力(慣性力)や重力を利用し、制動時に移載コンベア23を前方に倒す構成等であってもよい。
【0031】
また、移載コンベア23は、無人搬送車10に設けられるものに限定されず、無人搬送車10及びステーション30の少なくとも一方に設けられていればよい。したがって、ステーション30側から移載コンベア23を架け渡す構成であってもよいし、無人搬送車10とステーション30の両側からそれぞれの移載コンベア23を連結させる構成であってもよい。但し、移載コンベア23を無人搬送車10に設けた方が、上述のとおり荷Lの落下や荷崩れを防ぐ壁として利用でき、また複数のステーション30の各々に設ける場合よりもコストを抑えられる。
【0032】
また上記実施形態では、移載コンベア23が無人搬送車10の前後両側に設けられることとしたが、片側だけに設けられることとしてもよい。但し、無人搬送車10が所定の走行コースを一定の向きで往復する場合等には、移載コンベア23を前後両側に設けて、一のステーション30からの荷の積載時には一方の移載コンベア23を使用し、他のステーション30への荷の移載時には他方の移載コンベア23を使用するのが好ましい。
【0033】
また上記実施形態では、荷Lの移載時に架け渡される架橋部材が移載コンベア23であることとしたが、当該架橋部材はコンベアでなくともよい。つまり、荷Lを架橋部材上に移動させる方式はコンベア方式に限定されず、例えば、荷Lにフックを掛けて移動させるプッシュプル方式などであってもよい。
【0034】
また上記実施形態では、移載用アクチュエータ231のエンコーダ出力により、移載コンベア23が起立状態及び倒伏状態のいずれの状態にあるかを検知することとしたが、これを検知するための専用の検知手段を設けてもよい。
【0035】
また上記実施形態では、荷Lの移載が無人搬送車10の走行方向の前後方向に行われることとした。しかし、無人搬送車10の走行方向と移載方向との関係は特に限定されず、移載方向が走行方向に対する左右方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。
【0036】
また、ステーション30は少なくとも1つあればよい。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 搬送システム
10 無人搬送車
10a 台車
21 荷台コンベア
22 在荷センサ
23 移載コンベア(架橋部材)
24 コンベア用モータ
25 移載制御部
30 ステーション
30a 固定台
30b 支持部
31 搬送コンベア
32 在荷センサ
34 搬送制御部
231 移載用アクチュエータ(検知手段)
311 コンベア用モータ
L 荷
図1
図2
図3
図4
図5